本発明およびその多くの付加的な利点は、以下の詳細な説明を参照しながら添付図面と関連付けて考慮することによって、一層良く理解されるであろう。図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について説明する。種々の図面を通じて、同様の参照番号は同一の部分または対応する部分を示すこととする。
[送受信機の構成]
図1は、本発明の好適な実施形態による超広帯域(UWB)送受信機のブロック図である。図1に示すように、送受信機は、3つの主要構成要素、即ち、受信機1、無線コントローラおよびインターフェース3、ならびに送信機5を含む。受信機1は、受信アンテナ10、フロント・エンド15、UWB波形相関器20、および受信タイミング発生器25を含む。送信機は、送信アンテナ40、UWB波形発生器45、エンコーダ50、および送信タイミング発生器55を含む。
単一の無線コントローラおよびインターフェース3が受信機1および送信機5双方に供するように示されているが、代替実施形態では、受信機1および送信機5の各々に別個の無線コントローラおよびインターフェース3を含むこともできる。加えて、送信および受信間で切り換えられる単一のアンテナを、別個の受信および送信アンテナ10および40の代わりに用いることもできる。また、受信および送信タイミング発生器25および55も、組み合わせて単一のタイミング発生器とすることができ、あるいは別個のユニットとして維持することもできる。
無線コントローラおよびインターフェース3は、好ましくは、プロセッサを用いたユニットとし、1つ以上の特定用途集積回路(ASIC)または1つ以上のプログラム可能なプロセッサのようなハード・ワイヤ・ロジックで具体化される。動作において、無線コントローラおよびインターフェース3は、メディア・アクセス制御(MAC)コントローラとして機能するか、あるいは受信機1および送信機5によって実施されるUWBワイヤレス通信機能と、UWB通信チャネルを用いて遠隔デバイスとデータを交換するアプリケーションとの間のMACインターフェースとして機能する。
送受信機が信号を受信しているとき、受信アンテナ10は着信UWB電磁波形を電気信号(または光信号)に変換し、この電気信号を無線フロント・エンド15に供給する。波形の種類に応じて、無線フロント・エンド15は、電気信号を処理し、当該信号のレベルおよび当該信号のスペクトル成分が、UWB波形相関器20における処理に適するようにする。この処理は、マッチド・フィルタリング、部分的マッチド・フィルタリング、単純なロール・オフなどのようなスペクトル整形を含んでもよい。
フロント・エンドの処理の後、次に、UWB波形相関器20は、着信信号を、タイミング発生器25からのクロック信号に基づいて発生した異なる候補信号と相関付け、受信機1が着信信号と同期しているか否か判定し、同期している場合、受信した着信信号に収容されているデータを判定する。
タイミング発生器25は、無線コントローラおよびインターフェース3の制御の下で動作し、クロック信号CLKRを発生する。こクロック信号CLKRは、UWB波形相関器20にて実行される相関プロセスにおいて用いられる。このクロック信号CLKRの位相は、受信アンテナ10で受信した着信信号に対して変化することが好ましい。UWB波形相関器は、クロック信号CLKRを用いて、内部的に相関信号を発生する。相関信号は、着信信号の一部と一致し、クロック信号CLKRの位相を有する。内部で発生した相関信号(内部発生信号)および着信信号の位相が互いに整合している場合、UWB波形相関器20は、以降の処理のために、信号対ノイズ比(SNR)が高い信号を無線コントローラおよびインターフェース3に供給する。
概念的には、UWB波形相関器20は、内部信号を収容する相関ウィンドウを有すると見なすことができる。クロック信号の位相が着信信号のそれに対して変動すると、相関ウィンドウはずれる。次いで、容認できる相関結果が得られ、取得ロックを遂行したことを示すまで、相関ウィンドウを着信信号のスナップショットと比較する。
状況によっては、UWB波形相関器20の出力はデータ自体の場合もある。別の状況では、UWB波形相関器20は、単に中間相関結果を供給し、無線コントローラおよびインターフェース3が中間相関結果を用いて、データを判定し、受信機1が着信信号と同期しているときを判定する。
UBW波形相関器20は、2つの動作モード、即ち、信号追跡モード(「追跡モード」)および信号取得モード(「取得モード」)で動作する。取得モードを用いるのは、同期が未だ取られていない場合、または同期を逸したときであり、受信機1はかかる同期を達成するために動作する。追跡モードを用いるのは、同期が取られ、これを維持する必要があるときである。
取得モード中、無線コントローラおよびインターフェース3は、制御信号を受信機1に供給し、同期を取得する。この制御信号は、受信機1に、UWB波形相関器20内の相関ウィンドウをずらして着信信号の位相を合わせようとし、取得ロックを行うように命令する。即ち、これを遂行するには、所望の相関結果が得られるまで、タイミング発生器25から出力されるクロックの位相および周波数を調節する。
一旦同期が取られたなら、受信機は追跡モードに入る。追跡モード中、送受信機は、同期を維持し高めるように動作する。即ち、無線コントローラおよびインターフェース3は、UWB波形相関器20からの相関結果を分析し、UWB波形相関器20内の相関ウィンドウ、即ち、タイミング発生器からの内部信号の位相を調節する必要があるか否かの判定を行う。
加えて、追跡モード中、受信機1は、データを無線コントローラおよびインターフェース3の入力ポート(「RX Data In」)に供給し、一方無線コントローラおよびインターフェース3は、出力ポート(「RX Data Out」)を介して、このデータを外部プロセスに供給する。外部プロセスは、受信機によって受信されたデータ、または送信機5によって遠隔受信機に送信されるデータのいずれかを用いて行われる多数のプロセスのうちのいずれでもよい。
送受信機が信号を送信しているとき、無線コントローラおよびインターフェース3は、外部ソースからソース・データを入力ポート(「TX Data In」)において受信する。次に、無線コントローラおよびインターフェース3は、このデータを、出力ポート(「TX Data Out」)を介して、送信機5のエンコーダ50に印加する。また、無線コントローラおよびインターフェース3は、UWBパルスのシグナリング・シーケンスを識別する際に用いるための制御信号を送信機5に供給する。先に注記したように、本発明の実施形態では、受信機1および送信機5の機能は、合同資源、例えば、共通のタイミング発生器および/または共通のアンテナを用いてもよい。
エンコーダ50は、ユーザ・コーディング情報およびデータを無線コントローラおよびインターフェース3から受け取り、このデータおよびコーディングを事前処理して、UWB波形発生器45にタイミング入力を供給する。一方、UWB波形発生器45は、形状および/または時間でエンコードしたUWBパルスを生成し、データを遠隔地に搬送する。エンコーダ50は、この機能を、送信タイミング発生器55から受信したタイミング信号に応じて実行する。
エンコーダ50は、必要な変調を行うために必要な制御信号を生成する。例えば、エンコーダ50は、シリアル・ビット・ストリームを取り込み、前進誤り訂正(FEC)アルゴリズム(例えば、リード・ソロモン・コード、ゴレイ・コード、ハミング・コード、畳み込みコード等のような)を用いてこれをエンコードすることができる。また、エンコーダ50は、データをインターリーブして、バースト・エラーから保護する。また、エンコーダ50は、白色化機能を適用して、「1」または「0」の長いストリングを防止する。また、エンコーダ50は、ユーザ特定スペクトル拡散機能を適用し、所定長のチッピング・コードを発生し、これらを一群として送出し、1ビット(例えば、「1」ビットに対しては反転、「0」ビットに対しては非反転)を表すようにすることもできる。エンコーダ50は、シリアル・ビット・ストリームを部分集合に分割し、ウェーブレット毎またはチッピング・コード毎に多数のビットを送出し、複数の制御信号を発生し、前述のような変調方式のいずれの組み合わせにも対応するようにする(例えば、ラティ(Lathi)の”Modern Digital and Analog Communications Systems”(最新ディジタルおよびアナログ通信システム)、ホルト、ラインハートおよびウィンストン(Holt、Rineharlt and Winston)に記載されている。その内容全体は、ここで引用したことにより、本願にも含まれるものとする)。
無線コントローラおよびインターフェース3は、入力ポート(「TX Data In」)において受信したデータの発信元のユーザIDのような、何らかの識別を供給することができる。本発明の一実施形態では、このユーザIDは、送信シーケンス内に挿入し、情報パケットのヘッダであるかのようにすることができる。本発明の別の実施形態では、ユーザID自体を用いてデータをエンコードし、送信を受信する受信機が、データを解釈するためには、ユーザIDの先験知識を仮定するかまたは有することが必要となるようにする。例えば、エンコーディングを信号上に刻印する方法として、IDを用いて、異なる振幅信号(例えば、振幅「f])を高速変調制御信号に適用することができる。
エンコーダ50の出力は、UWB波形発生器45に印加され、UWB波形発生器45は、受信したコマンド信号に従って、パルス形状のUWBパルス・シーケンスをパルス時点に生成する。これは、いくつかの異なる方式の1つでもよい。次に、UWB発生器45からの出力は、送信アンテナ40に供給され、送信アンテナ40はUWBエネルギを受信機に送信する。
UWB変調の一方式では、データをエンコードする際に、送信パルス(例えば、PPM、チャープ等)の相対的間隔を用いることができる。別のUWB変調方式では、データをエンコードする際に、前述のように(および/またはラティに記載されているように)パルスの形状を利用することもできる。尚、本発明は、時間変調(例えば、パルス位置変調、チャープ等)を、パルスの形状を処理する別の変調方式と組み合わせることもできることを注記しておく。
以上の機能には、送信機5から送られるシンボル当たりに1つよりも多いデータ・ビットを通信するというような、利点がある。しかしながら、潜在的に重要度が高いものとしては、多数の拡散コード(例えば、各々がスパイク自己相関関数を有し、合同でピーク相互相関機能を有する等)を必要とするスペクトル拡散マルチ・ユーザ・システムを具体化するために、かかる技術を適用することである。
加えて、タイミング、位相、周波数、および振幅変調を組み合わせることによって、拡散コード機能の自由度が高まり、相互相関および自己相関特性の一層の最適化が可能となる。自己相関および相互相関特性が改善された結果、本発明によるシステムは能力が向上したことにより、多くの送受信機が互いに干渉せずに、近接して動作することが可能となる。
図2は、本発明の好適な実施形態による図1の送受信機の受信機ならびに無線制御およびインターフェース部のブロック図である。図2に示すように、UWB波形相関器20は、更に、パルス形成ネットワーク(PFN)およびタイマ205、データ相関器210、ならびにエラー・チャネル相関器215を含む。無線コントローラおよびインターフェース3は、第1および第2のA/D変換器220、225、及びディジタル・コントローラ230を含む。受信機1ならびに無線コントローラおよびインターフェース3の動作について以下に説明する。
タイミング発生器25から受信したクロック信号に基づいて、PFNおよびタイマ205は、一連の内部パルス、例えば、方形パルスまたはウェーブレット(即ち、内部発生信号)を発生し、データ相関器210およびエラー・チャネル相関器215双方に供給する。また、PFNおよびタイマ205は、制御信号をデータおよびエラー・チャネル相関器210および215に供給し、クロッキング・コマンドを第1および第2のA/D変換器220、225に供給する。制御信号は、データおよびエラー・チャネル相関器210、215の動作を制御し、クロッキング信号は、第1および第2のA/D変換器220、225に、データおよびエラー・チャネル相関器210および215のそれぞれの出力をサンプリングするように命令する。
第1および第2のA/D変換器220、225は、データおよびエラー・チャネル相関器210および215からのアナログ出力をそれぞれ受け取り、これらをディジタル信号に変換し、ディジタル・コントローラ230に供給する。一方、ディジタル・コントローラ230は、(取得のためまたは信号ロックを維持するためのいずれかに)十分な量の信号を受信したか否かの判定を行い、モード制御動作を実行し、受信機1が現在追跡モードまたは取得モードのどちらにあるべきか選択を行う。加えて、受信機1が追跡モードにある場合、ディジタル・コントローラ230は受信機タイミング発生器25にも情報を供給し、信号ロックを改善する。
図3は、本発明の好適な実施形態による受信機におけるデータ経路のブロック図である。図3に示すように、フロント・エンド15は増幅器305を内蔵し、データ相関器210はデータ・ミキサ310およびデータ積分器315を内蔵し、タイミング発生器25は局部発振器(「LO」)320および位相コントローラ325を含む。
増幅器305は、着信信号をデータ相関器210に送出する前に、これを増幅する。代替実施形態では、必要に応じた数の動作を実行するようにフロント・エンドを改良することもできる。例えば、フィルタリングや、必要であれば、自動利得制御(AGC)のような信号調節も行うことができる。
データ・ミキサ310は、フロント・エンド15から増幅された着信信号、そしてPFNおよびタイマ205から内部発生信号を受け取り、2つの信号を混合してオンタイム信号を発生する。次いで、オンタイム信号はデータ積分器315に供給され、データ積分器315は、PFNおよびタイマ205から受け取るリセット・コマンド間の時間期間にわたってオンタイム信号を積分する。データ積分器315が発生した積分オンタイム信号は、第1のA/D変換器を介して、ディジタル・コントローラ230に出力される。ディジタル・コントローラ230は、取得モードにおいて取得に成功したか否か、またはデータ・ロックが追跡モードにおいて維持されているか否かの判定を行う。
代替実施形態では、1つ以上の別の処理ユニット(増幅器、フィルタ等のような)によって分離された多数のミキサを用いることもできる。最初のミキサは入力信号をIF信号に還元し、第2のミキサはこの信号をベースバンドに還元する。
図4は、本発明の好適な実施形態による受信機におけるエラー・チャネル経路のブロック図である。図4に示すように、フロント・エンド15は増幅器305を内蔵し、エラー・チャネル相関器215は第1のエラー・チャネル・ミキサ405、第2のエラー・チャネル・ミキサ410、エラー・チャネル加算器415、およびエラー・チャネル積分器420を内蔵し、タイミング発生器25は局部発振器320および位相コントローラ325を含む。
第1のエラー・チャネル・ミキサ405は、フロント・エンド15から増幅された着信信号と、PFNおよびタイマ205から内部発生信号の第1のコピーとを受け取り、2つの信号を混合する。第2のエラー・チャネル・ミキサ410は、フロント・エンド15から増幅着信信号と、PFNおよびタイマ205から内部発生信号の第2のコピーとを受け取り、2つの信号を乗算する。
第1および第2のエラー・チャネル・ミキサ405および410に供給される内部発生信号の第1および第2のコピーは、好ましくは、互いから設定量だけ遅延され、第1のエラー・チャネル・ミキサ405が第1の位相を有する内部発生信号を考慮し、第2のエラー・チャネル・ミキサ410が第2の位相を有する内部発生信号を考慮するようにする。これによって、エラー・チャネル相関器215は、内部信号に対する2つの異なる位相に基づいて相関値を考慮することが可能となる。この比較に基づいて、ディジタル・コントローラ230は内部信号の位相に対して必要な調節を決定することができる。
先に注記したように、代替実施形態では、1つ以上の他の処理ユニット(増幅器、フィルタ等のような)によって分離された多数のミキサを用いることができる。第1のミキサは入力信号をIF信号に還元し、第2のミキサはこの信号をベースバンドに還元する。
実施態様では、着信信号に対する位相遅延は、機能的に、第1および第2のエラー・チャネル・ミキサ405、410に供給される信号を要求量だけ遅延させることによって、または第1および第2のエラー・チャネル・ミキサ405、410に供給される内部発生信号の第1および第2のコピーの位相を、中心位相から同じ量だけのところに位置付けることによって遂行することができる。
局部発振器320は、初期クロック信号を発生する。この信号は、着信信号と同じ周波数であることが好ましいが、必ずしもそうである必要はない。初期クロック信号ならびに無線コントローラおよびインターフェース3(特に、ディジタル・コントローラ230)からの位相制御信号に基づいて、位相コントローラ325は、特定の位相を有する内部発生信号を形成する。この位相は、信号を処理する際に、ディジタル・コントローラ230からの命令に応じて調節することができる。
本発明の好適な実施形態では、着信信号のチッピング・レート、初期クロック信号、および内部発生信号のチッピング・レートの周波数は通常1.3GHzであり、データ積分器315、エラー積分器420、および第2のA/D変換器225に供給されるリセット・コマンド、ならびに第1のA/D変換器220に供給されるクロッキング信号の周波数は、100MHzである。しかしながら、代替実施形態では、これらの周波数を変化させてもよい。
図5は、本発明の好適な実施形態による受信機1のデータおよびエラー・チャネル経路を示すブロック図である。図5に示すように、ディジタル・コントローラ230は、データ・コード・プロセッサ520、エラー・チャネル・コード・プロセッサ530、およびモード・コントローラ540を含む。モード・コントローラ540は、更に、取得コントローラ545、ロック検出器550、およびエラー・チャネル・コントローラ555を含む。加えて、PFNおよびタイマ205から出力される内部信号の位相は、第1、第2、および第3の遅延505、510、515によって、2τ、0τ、および1τだけそれぞれ遅延される。
データ・コード・プロセッサ520およびエラー・チャネル・コード・プロセッサ530は、ディジタル領域にて、データ相関器210およびエラー・チャネル相関器215と同様の機能を実行する。データ相関器210が着信信号を内部発生信号と混合してアナログ領域で相関結果を得るように、データ・コード・プロセッサ520は、相当する機能をディジタル領域にて実行する。データ・コード・プロセッサ520は、単に着信ディジタル信号および内部発生ディジタル信号を受け、相関結果を実行する。エラー・チャネル・プロセッサ530は、ディジタル・エラー信号をディジタル・コードワードと相関付け、最終的なエラー値を生成する。
そして、データ・コード・プロセッサ520およびエラー・チャネル・コード・プロセッサ530は同じコード・ワード長を有する場合もあるが、これらは必ずしも同一である必要はない。例えば、データ・コード・プロセッサ520は、長さ5のコードワードを用いることができ、一方エラー・チャネル・コード・プロセッサは長さ1のコードワードを用いることができる。
これらのディジタル・コード・プロセッサ520および530は、望ましは、取り除くことができる(例えば、コード・ワード長を1に等しく設定すれば、エラー・チャネル・コード・プロセッサ530を取り除くことができる)が、これらを設けておくと、ディジタル相関の追加が可能となり、信号受信の信頼度を高めることができる。これらの構成の実施態様は、ディジタル・ロジックで実現されることを除いて、相関器20において行われる動作に相当する。
データおよびエラー・チャネル・コード・プロセッサ520および530からの結果に基づいて、モード・コントローラ540は、受信機1がどちらのモードにあるか判定を行い、受信機1の取得または追跡を改善するために相関信号を供給する。受信機1が取得モードにある場合、取得コントローラ545は、信号が適正に取得されたか否かの判定を行う。肯定の場合、受信機を追跡モードに変更する。否定の場合、次のデータ信号のセットを待ち、別の取得判定を行う。
受信機1が追跡モードにある場合、ロック検出器550は、信号が追跡モードのままであればよいか否かの判定を行う。肯定の場合、次のデータ信号のセットを待ち、別の信号ロック判定を行う。否定の場合、受信機を取得モードに変更する。加えて、追跡モードにある場合、エラー・チャネル・コントローラ555は相関値を供給し、追跡を改善する。
第1、第2、および第3の遅延505、510、515は、データ・ミキサ310、第1のエラー・チャネル・ミキサ405、および第2のエラー・チャネル・ミキサ410の各々が、位相が若干異なる内部信号を受け取るように内部信号を遅延させる。これによって、データ相関器210は、着信信号に位相が十分に近い内部発生信号を受信することができ、エラー・チャネル相関器215は、データ相関器210が用いる内部発生信号の前後の設定量である位相を有する2つの内部発生信号を受信することができる。
図5に示す実施形態では、PFNおよびタイマ205が発生する内部発生信号の位相は、第1、第2、および第3の遅延505、510、および515によって、2τ、0τ、および1τだけそれぞれ遅延させることが好ましい(τは設定遅延量)。しかしながら、代替実施形態では、遅延は、内部発生信号ではなく、着信信号に適用することもできる。
図6は、本発明の好適な実施形態による取得コントローラまたはロック検出器のブロック図である。図6に示すように、取得コントローラ545またはロック検出器550は、第1のスケーリング・ミキサ605、絶対値ブロック610、第1の二乗器615、ノイズ経路フィルタ620、ノイズ経路サブサンプラ223、第2のスケーリング・ミキサ625、信号経路フィルタ630、信号経路サブサンプラ223、第2の二乗器635、第3のスケーリング・ミキサ640、および比較器645を含む。
この記載全体を通じて、「ノイズ経路」という用語を場合によっては用いる。この用語は、ノイズに関連する経路を意味し、ノイズ成分を含む。経路がノイズのみを搬送することを示唆することは意図していない。しかしながら、簡略化のため、場合によっては、ノイズ経路と呼ぶ場合もある。本記載において用いる場合、「ノイズ経路」および「ノイズ関連パス」という用語は、相互交換可能に用いることができるものとする。
この実施形態では、第1、第2、および第3のスケーリング・ミキサ605、625、および640は、それぞれ、倍率K1、K2、およびK3で、種々の点において、取得コントローラ545によって処理される信号の振幅を調整するように作用する。最も単純な場合、これらの倍率は、一括してまたは個々に1に等しくすることができ、その場合、関連するスケーリング・ミキサを完全に取り除くことができる。これらの倍率K1、K2、およびK3は、動作全体を通じて一定としてもよく、またはプログラム可能としてもよい。
別個の第2および第3のスケーリング・ミキサ625および640を有することによって、システムは事実上、第2のミキサの端数調整を可能にする。つまり、第2および第3の倍率K2およびK3が整数に限定されても、これらを第3の倍率K3に対して正規化することができる。これは、信号経路は事実上、1の倍率を有し、一方、ノイズ経路はK2/K3の有効倍率を有するということを意味する。
実施形態によっては、倍率はあらゆる値を取ることができるが、他の実施形態では、倍率の一部を2の係数に設定することができる。これによって、関連するスケーリング・ミキサを、シフト・レジスタを用いて実現することができ、設計および実施が簡略化される。
処理中、絶対値ブロック610は、第1のスケーリング・ミキサ605から受け取った信号に対して絶対値機能を実行し、受け取った全ての負値をそれらに対応する正値に変換する。この絶対値信号は、次に、ノイズ経路(第1の二乗器615、ノイズ経路フィルタ620、および第2のスケーリング・ミキサ625)、および信号経路(信号経路フィルタ630、第2の二乗器635、および第3のスケーリング・ミキサ640)に供給される。
ノイズ経路では、最初に、第1の二乗器615において絶対値信号の二乗が算出され、次いで二乗信号がノイズ経路フィルタを通過し、必要に応じて、第2のスケーリング・ミキサ625によって、濾過した信号が調整される。これを信号経路の結果と組み合わせることによって、ノイズに基づくパラメータが生成される。これは、着信信号のノイズ強度の推定値となる。
ノイズ経路は、ノイズ経路サブサンプラ623を含んでもよく、これは、ノイズ経路フィルタ620の出力を周期的なレートで、周期的にサンプリングする。このレートは、例えば、4出力毎、15出力毎、228出力毎等で変化させることができる。しかしながら、サンプリング・レートを均一に1に設定すると、即ち、あらゆる結果をサンプリングすると、ノイズ・パス・サブサンプラ223を全体的に省略することができる。
信号経路は、最初に、絶対値信号を信号経路フィルタ630において濾過し、次いで濾過した信号の二乗を第2の二乗器635によって算出し、必要に応じて、第3のスケーリング・ミキサ640によって二乗信号を調整する。これによって、着信信号の信号強度の推定値である信号パラメータが生成される。
信号経路は、信号経路サブサンプラ633を含んでもよく、これは、信号経路フィルタ630の出力を周期的なレートで、周期的にサンプリングする。このレートは、例えば、4出力毎、15出力毎、228出力毎等で変化させることができる。しかしながら、サンプリング・レートを均一に1に設定すると、即ち、あらゆる結果をサンプリングすると、ノイズ・パス・サブサンプラ223を全体的に省略することができる。加えて、信号パス・サブサンプラ633のサンプリング・レートは、ノイズ・パス・サブサンプラ223のサンプリング・レートと同じである必要はない。
次に、比較器645は、ノイズに基づくパラメータと、ある閾値判断基準に基づく信号パラメータとを比較し、信号が適正に取得されたか否かの判定を行う。この閾値判定に基づいて、比較器645は、モード制御パラメータを出力する。モード制御パラメータは、受信機1を取得モードまたは追跡モードのどちらにすべきかを示す。好ましくは、出力信号が閾値よりも大きい場合、受信機は追跡モードにあるべきであり、出力信号が閾値よりも小さい場合、受信機1は取得モードに遷移すべきである。
この実施形態では比較器645が示されているが、代替実施形態では、更に複雑なプロセッサを用いて、信号パラメータおよびノイズに基づくパラメータを処理し、モード制御パラメータを発生することができる。例えば、かかるプロセッサは、信号パラメータおよびノイズに基づくパラメータに対して非線形数学的関数を実行し、この数学的関数の結果を用いて、モード制御パラメータを決定することができる。
ノイズおよび信号経路フィルタ620および630は、ノイズおよび信号強度に対して可能な限り最良の推定値が得られるように選択することが好ましい。取得コントローラ545の好適な実施形態では、漏出積分フィルタを、ノイズ経路フィルタ629として用い、二極無限インパルス応答フィルタを信号経路フィルタ630として用いている。ロック検出器550の好適な実施形態では、移動平均フィルタを、ノイズ経路フィルタ620および信号経路フィルタ630双方として用いている。しかしながら、種々のその他のフィルタも同様に用いることができる。
図7Aは、本発明の好適な実施形態による漏出積分フィルタのブロック図である。図7Aに示すように、漏出積分器は、第1のミキサ705、加算器710、遅延715、および第2のミキサ720を含む。
動作では、漏出積分フィルタは、第1のミキサ705において、着信信号を受信し、第1の倍率Gで調整する。調整後の着信信号は、次に加算器710に送られ、ここで、第2のミキサ720によって供給されるフィードバック信号と加算される。加算器710の出力は、フィルタ結果として出力され、更に遅延715に供給される。次に、遅延715の出力は、第2のミキサ720に供給され、第2の倍率Hに応じて調整される。つまり、漏出積分フィルタは、次の式にしたがって動作する。
ここで、x
nは、着信信号の現在値、ynはフィルタ結果の現在値、y
n-1はフィルタ結果の前回値、そしてGおよびHはそれぞれ第1および第2の倍率である。
好ましくは、フィルタに安定性を備えるために第1および第2の倍率GおよびHは、双方とも1よりも小さく設定される。好適な実施形態では、以下の式が真となる。
ここで、αは1よりも小さい実数である。しかしながら、第1および第2の倍率GおよびHには、代わりの値を用いてもよい。
図7Bは、本発明の好適な実施形態による移動平均フィルタのブロック図である。図7Bに示すように、移動平均フィルタは、第1乃至第3の遅延725、730、および735、加算器740、ならびにスケーリング・ミキサ745を含む。
動作においては、図7Bの移動平均フィルタの実施形態は、第1の遅延725において着信信号を受け取り、遅延信号は第2および第3の遅延730および735を通過する。着信信号および第1乃至第3の遅延725、730、735からそれぞれ出力された第1乃至第3の遅延信号は、加算器740に入力として供給される。これらの値は、加算器740によって合計され、スケーリング・ミキサ745において倍率Dで調整される。この実施形態では、倍率は1/4に等しい。したがって、移動平均フィルタは、着信信号の現在値および着信信号の直前の3つの値の効果を平均化する。これは、式(3)に示す通りである。
ここで、y
nは現フィルタ結果、xnは着信信号の現在値、x
n-1、x
n-2、およびx
n-3は、着信信号の直前の3つの値である。
この実施形態では、入力信号の4つの値を平均化して、フィルタ結果を得る。この数は、必要に応じて、代替実施形態では増加または減少させてもよい。また、倍率Dは、この実施形態では1/4に等しいが、1を含むいずれの所望値にも容易に変更することができる。(D=1)の場合、スケーリング・ミキサ745を省略することができる。
図7Cは、本発明の好適な実施形態による二極無限インパルス応答フィルタのブロック図である。図7Cに示すように、無限インパルス応答フィルタは、第1および第2の加算器750および755、第1および第2の遅延760および765、ならびに第1および第2のミキサ770および775を含む。
動作において、無限インパルス応答フィルタは、第1の加算器750において、現着信信号Xnを受信し、これを補正係数Cに加算して、現出力信号ynを得る。次に、出力信号を第1および第2の遅延760および765によって遅延して、第1および第2の遅延出力信号yn-1およびyn-2をそれぞれ得る。これらの値を、第1および第2のスケーリング・ミキサ770および775において、第1および第2の倍率β1およびβ2によってそれぞれ調整する。次に、第2のスケーリング・ミキサ775の出力は、第2の加算器において、第1のスケーリング・ミキサ770の出力から減算され補正係数Cを発生する。補正係数Cは、次に、第1の加算器750にフィードバックされる。この補正係数Cは、第1および第2の遅延出力信号yn-1およびyn-2、ならびに第1および第2の倍率β1およびβ2に応じて、正または負のいずれにすることもできる。したがって、無限インパルス応答フィルタは、以下の式にしたがって動作する。
ここで、x
nは着信信号の現在値、y
nはフィルタ結果の現在値、y
n-1およびy
n-2はフィルタ結果の第1および第2の遅延値、そしてβ
1およびβ
2は、それぞれ、第1および第2の倍率である。
好ましくは、第2のスケーリング・ミキサ775の出力を第1のスケーリング・ミキサ770のそれから減算するが、代替実施形態ではこれを逆にすることもできる。同様に、追加の遅延および調整信号を供給し、補正係数Cを計算することも可能である。
図7Dは、本発明の好適な実施形態による有限インパルス応答(FIR)フィルタのブロック図である。図7Dに示すように、移動平均フィルタは、第1乃至第3のフィルタ772、774、および776、第1乃至第4のスケーリング・ミキサ778、780、782、および784、加算器786、ならびに第5のスケーリング・ミキサ788を含む。
動作において、図7DのFIRフィルタの実施形態は、第1の遅延722において着信信号を受け取り、遅延信号は第2および第3の遅延774および776を通過する。着信信号および第1乃至第3の遅延772、774、776からそれぞれ出力された第1乃至第3の遅延信号が入力として第1乃至第4のスケーリング・ミキサ778、780、782、および784にそれぞれ供給される。
第1乃至第4のスケーリング・ミキサ778、780、782、および784の各々は、それぞれの入力信号を第1乃至第4の倍率α1、α2、α3、およびα4によって調整する。第1乃至第4のスケーリング・ミキサ778、780、782、および784の出力信号は、次に加算器786に供給され、合算される。次いで、第5のスケーリング・ミキサ788において、この和を第5の倍率Eによって調整する。
この実施形態では、第1乃至第5の倍率α1、α2、α3、α4、およびEは、好ましくは、好適な入力フィルタ応答に一致するように選択する。式(6)は、1/4の第5の倍率Eを用いた場合のynの出力式を示す。
ここで、y
nは現フィルタ結果、xnは着信信号の現在値、そしてx
n-1、x
n-2、およびx
n-3は着信信号の3つの直前値である。
この実施形態では、入力信号の4つの値を調整し、合計してフィルタ結果を得る。この数は、必要に応じて、代替実施形態では増加または減少させてもよい。また、倍率Eは、この実施形態では1/4に等しいが、1を含むいずれの所望値にも容易に変更することができる。(E=1)の場合、第5のスケーリング・ミキサ788を省略することができる。
図8は、図1のUWB送受信機の更に詳細なブロック図である。図8に示すように、UWB送受信機は、アンテナ800、送信/受信(T/R)スイッチ805、フロント・エンド815、スプリッタ810、複数の相関器201〜20N、無線コントローラおよびインターフェース3、エンコーダ50、波形発生器45、1組のフィルタ815、増幅器820、およびタイミング発生モジュール825を含む。タイミング発生モジュール825は、出力信号発生器8250、および複数の入力タイミング発生器8251〜825Nを含む。この実施形態では、多数のフィンガ(アームとも呼ぶ)が同時に着信信号を処理することができ、取得および追跡の速度および効率が向上する。
T/Rスイッチ805は、送受信機が送信しているかまたは受信しているかに応じて、アンテナ800を増幅器820またはフロント・エンド15のいずれかに接続する。代替実施形態では、T/Rスイッチ805は、別個の送信および受信アンテナを用いることを含む種々の方法で取り除くことができる。
アンテナ800を介してエネルギを受信すると、受信エネルギはT/Rスイッチ805に接続され、T/Rスイッチ805はエネルギを無線フロント・エンド15に着信信号として受け渡す。無線フロント・エンド15は、濾過し、ノイズを抽出し、着信信号の振幅を調節した後、これをスプリッタ810に供給する。
スプリッタ810は、着信信号を、着信信号のN個のコピーに分割し、N個の着信信号をそれぞれの相関器201〜20Nに印加する。相関器201〜20Nの各々は、図8に示すように、タイミング発生モジュール825のそれぞれの入力タイミング発生器8251〜825Nからのクロック入力信号を受け取る。これら相関器の各々は、送受信機の異なるフィンガに対応する。
入力タイミング発生器8251〜825Nは、図8に示すように、位相および周波数調節信号を受け取るが、高速変調信号またはその他の制御信号を受け取ることもできる。また、無線コントローラおよびインターフェース3は、時間同期および変調制御のために、制御信号(例えば、位相、周波数および高速変調信号等)をタイミング発生モジュール825に供給することもできる。高速変調制御信号を用いると、例えば、チャープ波形、高速時間スケールPPM波形のようなPPM波形等を実施することができる。
図示しないが、無線コントローラおよびインターフェース3は、制御信号を、例えば、エンコーダ50、波形発生器45、フィルタ集合815、増幅器820、T/Rスイッチ805、フロント・エンド15、相関器201〜20N等に供給し、例えば、増幅器の利得、信号波形、フィルタの通過帯域およびノッチ関数、代替の復調および検出プロセス、ユーザ・コード、拡散コード、カバー・コード等を制御することもできる。
信号取得中、無線コントローラおよびインターフェース3は、相関器201が受信機において生成した信号のタイミングを識別し着信信号のタイミングと一致させる試みにおいて、入力タイミング発生器8251の位相入力を調節する。受信信号および内部発生信号の時間が互いに一致した場合、無線コントローラおよびインターフェース3は、高い信号強度即ち高いSNRを検知し、追跡を開始し、受信機を受信信号と同期させる。
一旦同期が取れると、受信機は追跡モードで動作し、入力タイミング発生器8251を連続する一連の位相調節によって調節し、入力タイミング発生器8251および着信信号のタイミングにおけるあらゆる相違を抑制する。しかしながら、本発明の特徴は、既知の時間期間にわたる位相調節値の平均を検知することによって、無線コントローラおよびインターフェース3が入力タイミング発生器8251の周波数を調節し、位相調節値の平均を0にすることである。
この場合、周波数を調節するのは、入力タイミング発生器8251と受信信号のクロッキングとの間には周波数のずれがあることが位相調節値のパターンから明らかであるからである。同様の動作は、入力タイミング発生器8252〜825Nにおいて行われ、受信機の各フィンガが、マルチパス(即ち、局在物体からの反射による異なる経路に沿った散乱)によって生ずる遅延のように、異なる量だけ遅延した信号を復元できるようにしてもよい。
図8における送受信機の特徴は、複数の追跡相関器201〜20Nを含むことである。複数の相関器を設けることによって、種々の利点が得られる。第1に、一層素早く同期を取ることができる(即ち、並列の相関アームのセットを動作させ、異なるコード・ホイール・セグメント(code-wheel segment)にわたって強いSNR点を求めることによって)。第2に、受信動作モードの間、多数のアームは信号の異なるマルチパス成分を解明し、これにロックすることができる。コヒーレント加算(coherent addition)によって、UWB通信システムは、異なるマルチパス信号成分からのエネルギを用いて受信信号を補強することにより、信号対ノイズ比を改善する。第3に、複数の追跡相関アームを設けることによって、1つのアームを用いて連続的にチャネルを走査し、他のアームで受信したものよりも良好な信号を得ることができる。
本発明の一実施形態では、走査アームが、データを復調するために用いられる別のアームよりも高いSNRを有するマルチパス項を発見した場合、アームの役割を切り換える(即ち、SNRが高い方のアームを用いてデータを復調し、SNRが低い方のアームが検索を開始する)。このように、通信システムは変化するチャネル条件に動的に適応する。
無線コントローラおよびインターフェース3は、異なる相関器201〜20Nから情報を受け取り、データをデコードする。また、無線コントローラおよびインターフェース3は、利得、フィルタ選択、フィルタ適応化等、フロント・エンド15を制御したり、タイミング発生モジュール825によって同期や追跡動作を調節する制御信号も供給する。
加えて、無線コントローラおよびインターフェース3は、本発明の通信リンク構造と、ワイヤレスUWB通信リンクを用いて他の機能を実行するその他の上位アプリケーションとの間のインターフェースとしても機能する。これらの機能の一部は、例えば、範囲発見動作、ワイヤレス・テレフォニ、ファイル共有、携帯情報端末(PDA)機能、埋め込み制御機能、位置検出動作等を含む。
図8に示す送受信機の送信部上において、出力タイミング発生器8250は、無線コントローラおよびインターフェース3からのUWB波形をエンコードする際に用いる位相、周波数および/または高速変調調節信号も受け取る。データおよびユーザ・コード(制御信号を通じた)はエンコーダ50に供給され、本発明の一実施形態の場合、時間変調を用いて、コマンド信号(例えば、Δt)を出力タイミング発生器8250に受け渡し、パルスを送出する時点を提示する。このようにしてデータを送信波形にエンコードすることができる。
異なるパルスの波形をデータおよび/またはコードに応じて変調する場合、エンコーダ50は、波形発生器45において個々の波形を発生するために異なる形状を選択する方法として、コマンド信号を生成する。例えば、チャネル・シンボル毎にデータを多数のデータ・ビットに集合化することができる。次いで、波形発生器45は、タイミング発生器8250によって示された特定の時点において、要求された波形を生成する。次に、波形発生器の出力は、フィルタ集合815において濾過され、増幅器820において増幅された後、アンテナ800を通じて、T/Rスイッチ805を介して送信される。
本発明の別の実施形態では、送信電力は非常に低く、送信機および受信機を交互に電源切断しつつ、他方はT/Rスイッチ805を必要とせずに動作する。また、本発明の実施形態の一部では、フィルタ集合815も増幅器820も必要でない。何故なら、所望の電力レベルおよびスペクトルは、波形発生器45から直接的に使用可能であるからである。加えて、フィルタ集合815および増幅器820は、本発明の実施態様によっては、波形発生器45に含ませることもできる。
開示したUWB通信システムの特徴は、例えば、高いチッピング・レートを用いて、ほぼ連続的な電力フローを有するように送信波形を形成可能なことであり、波形内の個々のウェーブレットはほぼ連続的に配される。この構成によって、システムは低いピーク電圧で動作でき、しかも十分な平均送信電力を生成し、効率的に動作することができる。その結果、例えば、1ボルト・レベルで動作するミクロン以下のジオメトリーのCMOSスイッチを用いて直接アンテナ800を駆動し、増幅器820を不要とすることができる。このように、無線機全体を単一のモノリシック集積回路上に集積することができる。
ある動作条件の下では、システムは、フィルタ集合815がなくとも動作することができる。しかしながら、例えば、システムが別の無線システムと共に動作する場合、フィルタ集合815を用いれば、ノッチ機能を設けて、他の無線システムとの干渉を抑制することができる。このように、システムは、他の無線システムと同時に動作することができ、アンテナに直接接続された雪崩型デバイス(avalanching type device)を用い、内部にフィルタを含むことが困難な従来のデバイスよりも有利である。
[送受信機の信号]
前述の送受信機の好適な実施形態の動作について、図9〜図14を参照しながらこれより説明する。この実施形態では、送受信機は情報の転送にバイフェーズ・モノパルスを用いる。図9〜図11は、送信信号の種々の構成を示すタイミング図である。図12A〜図14Cはエラー・チャネルの動作を示すタイミング図である。図15は、本発明の好適な実施形態の実際の動作について、着信信号および相関信号を示すタイミング図である。
[バイフェーズ・モノパルス]
図9は、本発明の好適な実施形態によるバイフェーズ・モノパルス・ストリームのタイミング図である。図9に示すように、各バイフェーズ・モノパルス900は、正のピークおよび負のピークが互いに隣接して形成された信号である。モノパルスは、必要に応じて極性を逆にすることができ、この極性の相違が情報を搬送するために用いられる。
本発明の好適な実施形態によれば、モノパルスを用いたデータ信号は、最も低いレベルの情報ビットを、アナログ・チップによって送信する。各アナログ・チップには、チップの期間、および対応するアナログ・チップ周波数Fac(またはアナログ・チップ・レート)を示す、アナログ・チップ期間Tacが設定されており、情報の1ビットまたは部分的ビットを表す単一のモノパルスを含む。
モノパルスの特性上、モノパルスの幅を精度高く測定することは非常に難しい。しかしながら、モノパルスのピーク対ピーク・パルス幅Tpを測定することは比較的容易である。したがって、実用的な意味では、モノパルスTpのアナログ・チップ期間Tacとピーク対ピーク・パルス幅との間の関係を設定し、ピーク対ピーク・パルス幅Tpをアナログ・チップ・期間Tacよりも少なくなるようにする。即ち、
好適な実施形態では、T
pはT
acの値のほぼ1/9である。
アナログ・チップ期間Tacは、隣接するモノパルス900の対応するピーク間の時間として測定する。アナログ・チップの実際の開始点および終了点を、必要に応じて、選択することができるが、これらがモノパルス900の時間間隔と重複しないことが条件となる。図9が示す実施形態では、アナログ・チップを、モノパルス900の前後にほぼ等しい空所部分を有するものとして規定している。しかしながら、代替実施形態では、アナログ・チップの開始点および終了点の配置は、いかようにも変更することができる。好適な一実施形態では、ピーク対ピーク・パルス幅Tpは約80psであり、一方アナログ・チップ期間Tacは約770psである。
[アナログ・コード・ワード]
個々のアナログ・チップを一緒に配列してアナログ・コード・ワードとし、データを任意のデータ・レートで転送する。各アナログ・コード・ワードは、転送する情報の1ビットまたは部分ビットに対応する。アナログ・コード・ワードは、アナログ・コード・ワードの期間を示すアナログ・コード・ワード期間Taw、および関連するアナログ・コード・ワード周波数Fawを有する。これは、データ・レートに対応してもよいが、そうする必要もない。図10Aおよび図10Bは、アナログ・コード・ワードの例を2つ示す。
図10Aは、本発明の好適な実施形態による1チップ・アナログ・コード・ワードを示すタイミング図である。この最も単純な例は、単一のアナログ・チップを含むアナログ・コード・ワードを有する。この場合、アナログ・コード・ワード期間Tawおよびアナログ・チップ期間Tacは同一である(即ち、アナログ・チップおよびアナログ・コード・ワードは同じ周波数で送信される)。図10Aに示すように、アナログ・チップの一方の特定的な配向はアナログ「1」に対応し、アナログ・チップの他方の配向はアナログ「0」に対応する。これは、代替実施形態では逆にすることもできる。
図10Bは、本発明の好適な実施形態による5チップ・アナログ・コード・ワードを示すタイミング図である。この実施形態のアナログ・コード・ワードは、5つのアナログ・チップを含む。この場合、アナログ・コード・ワードの期間は、アナログ・チップ期間の5倍となる(即ち、アナログ・コード・ワードは、アナログ・チップの1/5の周波数で送信される)。
言い換えると、n−チップのアナログ・コード・ワードについて、
となる。つまり、アナログ・チップ期間T
acおよびアナログ・コード・ワード当たりのアナログ・チップの数nが、アナログ・コード・ワードT
awの期間を決定する。
図10Bに示すように、5つのアナログ・チップの特定の配向がアナログ「1」に対応し、この配向の逆がアナログ「0」に対応する。アナログ・コード・ワード内におけるチップ配向および配列の個々の選択は重要ではなく、必要に応じていかようにも変更可能である。重要なのは、アナログ「1」およびアナログ「0」コード・ワードが互いに逆であることである。
好適な一実施形態では、アナログ・コード・ワード当たり13のアナログ・チップを含み、アナログ・チップ周波数を1.3GHzに設定する(770psアナログ・チップ期間)。その結果、アナログ・コード・ワードの周波数は100MHz(10nsアナログ・コード・ワード期間)となり、これは、毎秒100Mビットの情報のアナログ・データ転送レートに対応する。
ピーク対ピーク・パルス幅Tp、アナログ・チップ期間Tac、アナログ・チップ周波数Fac、アナログ・コード・ワード当たりのアナログ・チップ数n、アナログ・コード・ワード期間Taw、およびアナログ・コード・ワード周波数Fawの種々のパラメータは、必要に応じて、送受信機に所望の性能特性を得るために、いかようにでも変更可能である。例えば、図10Aおよび図10Bに開示した実施形態では、アナログ・チップ数nは異なるが、アナログ・コード・ワード期間Tawは同じである。これが意味するのは、任意のアナログ・コード・ワード期間Tawに対する送信電力を、図10Aの実施形態では単一のモノパルスにおいて用いるが、図10Bの実施形態では5つのモノパルスに拡散するということである。代替実施形態では、必要に応じてこれらのパラメータを変更可能であることは明らかである。
[ディジタル・コード・ワード]
アナログ・コード・ワードをディジタル・コード・ワードに組み込んで、送受信機によって送信または受信される信号データを搬送することができる。この場合、アナログ・コード・ワードをディジタル・チップとして用いて、ディジタル・コード・ワードを作成する。したがって、各ディジタル・チップのディジタル・チップ期間Tdcは、アナログ・コード・ワード期間Tawに等しく、ディジタル・チップ周波数Fdwはアナログ・コード・ワード周波数Fawに等しい。言い換えると、
ディジタル・コード・ワードを作成する際に用いるディジタル・チップ(即ち、アナログ・コード・ワード)の数mは、送信の速度および信頼性に対する必要性のバランスを取ることによって決定する。その最も単純な形態では、ディジタル・コード・ワードは単一のディジタル・チップ(m=1)を含むことができ、したがってアナログ・コード・ワード周波数で送信することができる。ディジタル・コード・ワードのサイズが大きくなるに連れて、任意の距離および平均送信電力に対して、送信の信頼性が向上するが、実際のデータ送信速度は低下する。図11は、ディジタル・コード・ワードの一例を示す。
図11は、本発明の好適な実施形態による2チップ・ディジタル・コード・ワードのタイミング図である。この実施形態では、ディジタル・コード・ワードは2つのアナログ・チップ(m=2)を含む。この場合、ディジタル・コード・ワード期間Tdwは、ディジタル・チップ期間の2倍である(即ち、ディジタル・コード・ワードは、ディジタル・チップの周波数の半分で送信される)。言い換えると、
図11に示すように、2つのディジタル・チップの1つの特定的な配列がディジタル「1」に対応し、この配向の逆がディジタル「0」に対応する。しかしながら、ディジタル・コード・ワード内におけるディジタル・チップの特定的な選択および配列は重要ではなく、必要に応じていかようにでも変更可能である。逆を用いるとデコーディングにおいてある利点があるが、これは必須ではない。例えば、ディジタル「1」は、アナログ「11」で構成することもでき、一方ディジタル「0」はアナログ「01」で構成することもできる。
加えて、ディジタル・コード・ワード当たりのディジタル・チップ数が1を超えて増加すると、ディジタル・コード・ワード当たり1ビットよりも多い二進情報をエンコードすることが可能となる。単に「0」または「1」をエンコードするのではなく、二進コード・ワードは「0」、「1」、「2」または「3」、あるいはディジタル・コード・ワード当たりのディジタル・チップ数によって許されるエンコーディングのその他のいずれのレベルでもエンコードすることができる。(注:これはアナログ・コード・ワードにも当てはまる)。
アナログ・コード・ワードに加えてディジタル・コード・ワードも用いることの利点の1つに、ディジタル・コード・ワードのサイズを動作中に容易に変更できることがあげられる。アナログ・コード・ワード当たりのアナログ・チップ数は、多くの場合、設計の間に固定されるが、ディジタル・コード・ワード毎のディジタル・チップの数は、必要に応じて動作中に変更することができる。これを行うと、例えば、所望の送信信頼性を変更することが可能となる。このように、送受信機は、アナログ送信レートに等しい最大データ送信レートで動作することができ、または送信レートを低下させるが信頼性を向上させて動作することもできる。
好適な一実施形態では、アナログ・コード・ワード周波数Fawを100MHz(10nsアナログ・コード・ワード期間Taw)に設定する。これは、毎秒100Mビットの情報のアナログ・データ転送レートに対応する。ディジタル・コード・ワードのサイズmを1に設定した場合、ディジタル・コード・ワードは、100MHzのディジタル・コード・ワードFdwの周波数で送信される。これは、毎秒100Mビットのディジタル・データ転送レートに対応する。しかしながら、ディジタル・コード・ワードのサイズを2に設定すると、ディジタル・コード・ワードFdwは、50MHzのディジタル・コード・ワード周波数(アナログ・コード・ワード周波数の半分)で送信され、これは毎秒50Mビットのディジタル・データ転送レートに対応する。ディジタル・コード・ワードのサイズが大きくなるに連れて、ディジタル・コード・ワード周波数およびディジタル・データ転送レートが対応して低下する。究極的には、先に示したように、データ・レートおよび信頼性に所望のバランスが得られるまで、ディジタル・コード・ワードのサイズはいかようにも変更することができる。
最も重要なのは、このディジタル・コードワード長は異なる送信毎に変更可能なことである。干渉レベルが低くエラーの減少が期待できる場合、短いディジタル・コード・ワード長mを選択すれば、データ転送速度を最大限高めることができる。しかしながら、多量の干渉が予期される場合、選択するディジタル・コード・ワード長mを長くすることができるが、このためデータ転送速度は低下する。
[信号取得および追跡]
これより、図12A乃至図14を参照しながら、取得および追跡動作について説明する。図12Aおよび図12Bは、2つの信号間の位相差による着信バイフェーズ・モノパルス信号および内部発生バイフェーズ・モノパルス信号の相関結果を示すタイミング図である。具体的には、図12Aは、UWB送受信機における着信信号および内部発生信号を示すタイミング図であり、図12Bは、図12Aの着信信号および内部発生信号を比較した相関結果を示すタイミング図である。
図12Aに示すように、着信パルス1202、1204、および1206を含む着信信号1200が、Tac(即ち、アナログ・チップ期間)と呼ぶ、ある固定クロック間隔で到達する。一方、内部パルス1212、1214、および1216を含む内部発生信号1210が、着信パルスと同様に形成されるが、着信信号に対して未知の位相ずれΦ0を伴う。次に、これら2つの信号を互いに比較して、2つの位相の近接度を示す相関結果を得る。
図1〜図8に開示した好適な実施形態では、着信信号1200はアンテナ10に到達し、フロント・エンド15を通過して、取得相関器210に達する。内部発生信号1210は、タイミング発生器25から受け取った信号に基づいて、PFNおよびタイマ205において形成される。着信信号1200および内部発生信号1210は、次に、データ・ミキサ310(取得ミキサ)において乗算され、データ積分器315(取得積分器)において積分されて相関結果が得られ、取得モードにおいて用いられる。着信信号1200および内部発生信号1210は、第1および第2のエラー・チャネル・ミキサ405および410(追跡ミキサ)において2箇所の遅延時点において乗算され、その結果を用いてエラー・チャネル(即ち、エラー信号)を得る。これは、着信信号および内部発生信号の位相が近いときに、着信信号および内部発生信号間の位相差Φ0を判定するために用いることができる。エラー・チャネルは、追跡モード中に用いられる。
図12Bは、着信信号の取得積分器315から出力された内部発生パルスとの相関結果1220を時間(または位相、何故なら、位相を走査するからである)の関数として簡略化して示す。この結果は、第1のA/D変換器220を介して、ディジタル・コントローラ230に渡され、ディジタル・コントローラ230はこの結果を用いて相関度を判定する。
取得相関器210において最大の相関となるのは、着信信号1200および内部発生信号1210の位相が完全に整合したときである。初期状態では、2つの信号が互いに整合(同期)しているか否かは分からない。したがって、PFNおよびタイマ205において形成した内部パルス1212、1214、1216は、図12Aに示すように、着信信号1200の着信パルス1202、1204、1206間に位置する場合もある。
不整合位相の場合、取得相関器210の出力の大きさは小さく、これは、信号の相関結果が小さいことを意味する。相関を最大にするには、取得相関器210において内部発生信号1210が着信信号1200と同相になるまで、ディジタル・コントローラ230の制御の下で、PFNおよびタイマ205に取り付けられた位相コントローラ325の位相を変化させる。
取得相関器210からの出力の信号対ノイズ比(SNR)が任意の閾値TRを超過しない場合、ディジタル・コントローラ230は位相コントローラ325に信号を送り、内部発生信号1210の位相を調節する。こうして、取得相関器210において内部パルス1212、1214、1216が着信パルスと整合(同期)するまで、即ち最大の相関に達するまで、これらの位相をずらせる。
図12Bは、取得相関器210における、着信信号と内部発生パルスとの相関結果1220を時間(または位相、何故なら、位相を走査するからである)の関数として示す。実際、相関器210の出力の大きさは、着信信号および内部発生信号間の位相差Φ0の関数である。
所望の相関レベルにある相関関数の特定の部分を識別するために用いられるSNR閾値TRが設定される。相関結果1220を任意の時間(または位相)にわたって検査し、一例としてのSNR閾値TRよりも高い相関部分が発見されるまで続ける。相関がSNR閾値例TRよりも高い位相において、受信機は着信信号に同期したと見なすことができる。
図示を明確にするために、図12Bでは、着信データ・ストリーム1200は全て同じ方位のモノパルスから成ると想定する。しかしながら、バイフェーズ変調データは論述に影響を及ぼさない。また、図12Bは、添加ノイズがない相関信号のみを示す。
時点1222に見られるように、信号の位相が完全に整合した場合、相関は最大となる。更に、時点1222は隣接する相関部分と共に、大きさ閾値TRよりも高い。閾値TRは、必要に応じて変更し、所望の相関レベルを得ることができる。実際、閾値TRは、必要な相関レベルが高くなったり、または低くなったりするに連れて、動作中に変更することができる。
図13は、着信信号および内部発生信号間の位相差Φ0の関数として、エラー信号の振幅を示す簡略タイミング図である。図13に示すように、エラー・チャネル1300は、着信信号および内部発生信号の位相が非常に異なる比較的平坦な部分F、着信信号および内部発生信号の位相がいくらか近くなった2カ所の曲線領域C1およびC2、ならびに着信信号および内部発生信号の位相が非常に近接したほぼ直線状の領域Lを有する信号である。
図1乃至図5に開示した実施形態では、エラー・チャネルは追跡相関器215の出力に対応する。追跡相関器は、取得位相より設定量だけ前の位相、および取得位相より設定量だけ後の位相において、着信信号を内部発生信号と混合する。
エラー・チャネル1300が直線領域Lにある場合、その大きさは、着信信号および内部発生信号間の位相差に比例する。一旦、直線領域Lを離れると、エラー・チャネル1300は位相差に対して劣った推定値となる。
図13に示すように、早期追跡信号および後期追跡信号間で計算した差の振幅が0である場合、着信信号および内部発生信号間の位相差は0であり、相関を実行する必要はなくなる(エラー・チャネル上の点P1)。早期追跡信号および後期追跡信号間で計算した差の振幅が正の値A+である場合、内部発生信号の位相は、任意の方向(エラー・チャネル上の点P3)に量Φ+だけ着信信号のそれからずれている。早期追跡信号および後期追跡信号間で計算した差の振幅が負の値A-である場合、内部発生信号の位相は、逆方向(エラー・チャネル上の点P2)に量Φ-だけ着信信号のそれからずれている。
エラー曲線の正確な形状、および位相差の判定方法は、追跡相関器215の実施態様によって異なる。
図14A乃至図14Cは、図12Bの相関曲線に関して追跡モードの動作を示すタイミング図である。図12Bに示すように、着信信号を取得するのは、相関信号のSNR(この場合振幅)が閾値TRよりも高いときである。理想的には、これを行うのは、相関信号の振幅が最大のときである。しかしながら、相関信号は閾値TRよりも高い点にはあるが最大ではないという可能性の方が高い。加えて、信号が最初に完全な位相で取得されても、動作中に何らかの位相のずれがあり、取得点が、相関曲線上の最大点以外のどこかにずれる場合もあり得る。
したがって、一旦、着信信号を取得すると、受信機1は取得モードから脱して、追跡モードに入る。追跡モードでは、追跡相関器215が内部発生信号の位相が正しいか、高過ぎるか、または低過ぎるか判定を行い、それを補正する方法の指示を与える。
図14A乃至図14Cは、取得位相について3つの可能な条件を示す。図14Aでは、取得位相ΦA1は理想的な点にあり、図14Bでは、取得位相ΦA2は理想的な点よりも遅れており、図14Cでは、取得位相ΦA3は理想的な点よりも手前にある。各場合において、取得位相よりも設定量τだけ前に位相がずれた点、および取得位相よりも同じ設定量τだけ後ろに位相がずれた点に注目する。これら2つの点間に引いた線の傾斜の極性は、どのように取得位相を変更すべきかを示しており、傾斜の大きさは、どの程度取得位相を変更すべきかを示す。
図14Aは、第1の取得位相をΦA1として選択し、その結果、第1の追跡位相ΦT1が第1の取得位相ΦA1よりも量τだけ前となり、第2の追跡位相ΦT2が第1の取得位相ΦA1よりも量τだけ後になった状況を示す。第1の取得位相ΦA1は、相関曲線上の第1の取得点A1に対応し、第1および第2の追跡位相ΦT1およびΦT2は、それぞれ、相関曲線上の第1および第2の追跡点T1およびT2に対応する。
図14Aにおいて、第1の取得点は、相関曲線上の最大点にあり、したがって第1の取得位相は完全に正確である。その結果、第1および第2の追跡点T1およびT2の相関曲線上での大きさは同じとなる。したがって、第1および第2の追跡点T1およびT2間に引いた線の傾斜は0であり、第1の取得位相ΦA1には変更が不要であることを示す。
図14Bは、第2の取得位相をΦA2として選択し、その結果、第3の追跡位相ΦT3が第2の取得位相ΦA2よりも量τだけ前となり、第4の追跡位相ΦT4が量τだけ第2の取得位相ΦA2よりも量τだけ後になった状況を示す。第2の取得位相ΦA2は、相関曲線上の第2の取得点A2に対応し、第3および第4の追跡位相ΦT3およびΦT4は、相関曲線上の第3および第4の追跡点T3およびT4にそれぞれ対応する。
図14Bでは、第2の取得位相ΦA2はあるべき位置よりも高く、第2の取得点A2の大きさは、相関曲線上の最大点よりも低いことを意味する。更に、第3の追跡点T3の大きさは、第4の追跡点T4よりも大きい。したがって、第3および第4の追跡点T3およびT4間に引いた線の傾斜は負となり、このことは第2の取得位相ΦA2を減少させなければならないことを示す。更に、第2の取得位相ΦA2がずれて理想的な点から遠ざかるに連れて、第3および第4の追跡点T3およびT4間の線の傾斜は減少し、第2の取得位相ΦA2の減少量をより大きくしなければならないことを示す。
図14Cは、第3の取得位相をΦA3として選択し、その結果、第5の追跡位相ΦT5が第3の取得位相ΦA3よりも量τだけ前となり、第6の追跡位相ΦT6が第3の追跡位相ΦA3よりも量τだけ後になった状況を示す。第3の取得位相ΦA3は、相関曲線上の第3の取得点A3に対応し、第5および第6の追跡位相ΦT5およびΦT6は、相関曲線上の第5および第6の追跡点T5およびT6にそれぞれ対応する。
図14Cにおいて、第3の取得位相ΦA3はあるべき位置よりも低く、第3の取得点A3の大きさは、相関曲線上の最大点よりも低いことを意味する。更に、第5の追跡点T5の大きさは、第6の追跡点T6よりも小さい。したがって、第5および第6の追跡点T5およびT6間に引いた線の傾斜は正となり、このことは第3の取得位相ΦA3を増大させなければならないことを示す。更に、第3の取得位相ΦA3がずれて理想的な点から遠ざかるに連れて、第5および第6の追跡点T5およびT6間の線の傾斜は増加し、第3の取得位相ΦA3の増大量をより大きくしなければならないことを示す。
したがって、任意の取得位相の両側における2つの追跡点間の線の傾斜を表示することができれば、非常に役立つであろう。図14の直線領域Lにおけるエラー・チャネルは、まさにこのような推定である。着信信号および内部発生信号間の位相差Φ0が小さく、エラー・チャネルが直線領域L内にある限りは、エラー・チャネル信号を用いて、2つの追跡点間の線の傾斜を計算することができ、次いでこの傾斜を用いて、内部発生信号の位相をどのように変更すべきか示すことができる。
この分析を行うには、内部発生信号について、各々量τだけ位相が離れた3つの遅延位相を得ればよい。第1の信号(量0τだけ遅延)を早期追跡信号として用い、第2の信号(量1τだけ遅延)を取得信号として用い、第3の信号(量2τだけ遅延)を後期追跡信号として用いる。これは、第1乃至第3遅延505、510、および515を有することによって、図1〜図5の実施形態において得られる。しかしながら、代替実施形態では、遅延を着信信号に適用し、内部発生信号は不変のまま通過することもできる。
図5に示すように、早期追跡信号を第1の追跡ミキサ405に供給し、後期追跡信号を第2の追跡ミキサ410に供給する。双方とも着信信号のコピーを受け取る。これら2つの混合動作の結果を追跡加算器415に送り、差を取る。図4および図5の好適な実施形態では、第2の追跡ミキサ410からの結果を第1の追跡ミキサ405の結果から減算する。これは、純粋に例示の目的のために示すに過ぎない。この動作は、逆にも容易に行うことができ、その場合、第1の追跡ミキサ405からの結果が第2の追跡ミキサ410の結果から減算される。この場合、異なるのは、追跡加算器415から出力される信号の極性だけである。
図13は、追跡積分器420から出力されたエラー追跡結果を着信信号および内部発生信号間の位相差の関数として示す。この結果を、第2のA/D変換器230を介して、ディジタル・コントローラ230に受け渡し、ディジタル・コントローラ230はその結果を用いて、実際の取得位相の理想的な取得位相に対する近接度を判定し、理想的な取得位相に一層近づけるためにはどのように変更すべきかについて判断する。
[送受信機の動作]
図15は、図1乃至図7に示したような、本発明の好適な実施形態の実際の動作における着信信号および相関信号を示すタイミング図である。
[信号特性]
図1乃至図7の送受信機において用いるには、形状変調ウェーブレット・シーケンスによってUWB信号を発生することが好ましく、この場合、形状変調ウェーブレットの発生時点も変調することができる。アナログ変調では、形状制御パラメータの少なくとも1つを、アナログ信号で変調する。更に通例では、ウェーブレットは、M個の可能な形状を取る。ディジタル情報をエンコードして、M個のウェーブレット形状および発生時点の一方またはその組み合わせを用いて、情報を伝達する。
前述の実施形態では、各ウェーブレットはバイフェーズのような2つの形状を用いて、1ビットを伝達する。本発明の別の実施形態では、各ウェーブレットは、qビットを伝達するように構成することもできる。ここで、M≧2qである。例えば、直角位相または4レベル振幅変調を用いるというようにして、2ビットを伝達するように4つの形状を構成することもできる。本発明の別の実施形態では、各ウェーブレットはコード・シーケンスにおける「チップ」であり、シーケンスは、一群として、1つ以上のビットを伝達する。コードは、チップ・レベルにおいてM進であり、チップ毎にM個の可能な形状から選択する。
チップまたはウェーブレット・レベルでは、本発明の実施形態はUWB波形を生成する。UWB波形を変調するには種々の技法があり、(i)バイフェーズ変調信号(+1、−1)、(ii)マルチレベル・バイフェーズ信号(+1、−1、+a1、−a1、+a2、−a2、...、+aN、−aN)、(iii)直角位相信号(+1、−1、+j、−j)、(iv)マルチフェーズ信号(1、−1、exp(+jπ/N)、exp(−jπ/N)、exp(+jπ2/N)、exp(−jπ2/N)、...、exp(+jπ(N−1)/N)、exp(−jπ(N−1)/N))、(v)マルチレベル・マルチフェーズ信号(aiexp(j2πβ/N)|ai∈{1、a1、a2、...、aK}、β∈{0、1、...、N−1})、(vi)周波数変調パルス、(vii)パルス位置変調(PPM)信号(恐らく異なる候補タイム・スロットにおいて送信された同一形状パルス)、(viii)M進変調波形gBi(t)、Bi∈(1、...、M}、そして(ix)チャーピング・シグナリング方式(chirping signaling scheme)にしたがって送信されるマルチフェーズ・チャネル・シンボルのような、前述の波形のあらゆる組み合わせを含み、なおもこれらには限定されない。しかしながら、本発明は、前述の変調方式およびその他の変調方式(例えば、ラティ(Lathi)の”Modern Digital and Analog Communications Systems”(最新のディジタルおよびアナログ通信システム)、ホルト、ラインハルトおよびウィンストン(Holt、Rinehart and Winston)、1998に記載されている。その内容全体は、この引用により本願にも含まれるものとする)の変形に適用可能であり、これは関連技術の当業者には認められよう。
波形のいくつかの例および関連する特性式についてこれより説明する。例えば、時間変調成分は、以下のように定義することができる。tiを(i−1)番目のパルスとi番目のパルスとの間の時間間隔とする。すると、i番目のパルスまでの全時間は、
信号Tiは、データ、拡散コードまたはユーザ・コードの一部、またはその何らかの組み合わせのためにエンコードすることができる。例えば、信号Tiは、等しく離間することができ、または拡散コードの一部とすることができる。この場合、Tiはチャープ、即ち、Tiのシーケンスのゼロ交差に対応し、aおよびkの所定のセットに対して
となる。ここで、aおよびkも、ユーザ・コードまたはエンコードしたデータに基づいて有限集合から選択することができる。
M進変調を用いた本発明の一実施形態について説明することができる。以下の式11は、一例としての送信または受信パルス・シーケンスを表すために用いることができる。ここで、各パルスは、形状変調UWBウェーブレット、gBi(t−Ti)である。
上の式において、下付文字iは、送信または受信したUWBパルス・シーケンスにおけるi番目のパルスを示す。ウェーブレット関数gは、M個の可能な形状を有し、したがってB
iは、データから、シーケンスにおけるi番目のM進変調形状の1つへのマッピングを表す。ウェーブレット発生器のハードウエア(例えば、UWB波形発生器45)は、ウェーブレットの形状を管理する数本の制御線(例えば、無線コントローラおよびインターフェース3から来る)を有する。したがって、B
iは、参照テーブルにおいてM個の所望のウェーブレット形状を生成する制御信号のM個の組み合わせを求めるためのインデックスと考えることができる。エンコーダ21は、データ・ストリームおよびコードを組み合わせて、M進状態を発生する。波形相関器5ならびに無線コントローラおよびインターフェース9において復調を行い、元のデータ・ストリームを復元する。時間位置およびウェーブレット形状をパルス・シーケンスに組み込んで、情報の搬送、ユーザ・コードの実施等を行う。
前述の場合では、信号は、i=0から無限までのウェーブレットで構成されている。iを増分する毎に、1つのウェーブレットが生成される。以下の式13は、汎用ウェーブレット・パルス関数を表すために用いることができ、その形状をパルス毎に変化させることにより、情報の搬送、またはユーザ・コードの実施等を行うことができる。
上の式において、関数fは基本ウェーブレット形状を定義し、関数hは単に関数fのヒルベルト変換である。パラメータB
i,jは、複素数であり、各ウェーブレット・パルスの大きさおよび位相を調節することができる。即ち、B
i,j=a
i∠θ
iである。ここで、a
iは有限の振幅集合から選択され、θ
iは有限の位相集合から選択される。パラメータ{B
1、2、B1、
3、...}は、ウェーブレット形状を制御する汎用パラメータ群を表す。
一例としての波形シーケンスx(t)は、ウェーブレット・パルス形状fの族に基づくことができ、ウェーブレット・パルス形状fは、以下の式14で定義されるようなガウス波形の導関数(derivative)である。
上の式において、関数Ψ()はf
Bi(t)のピーク絶対値を1に正規化する。パラメータB1、
2は、パルス期間および中心周波数を制御する。パラメータB1、
3は、導関数の数であり、帯域幅および中心周波数を制御する。
別の一例としての波形シーケンスx(t)は、以下の式15に記述するような、ガウス重み付け正弦波関数である、ウェーブレット・パルス形状fの族に基づくことができる。
上の式において、b
iはパルス期間を制御し、ω
iは中心周波数を制御し、k
iはチャープ・レートを制御する。ガウス系以外にも、本発明に適用可能な重み付け関数があり、その例として、例えば、矩形、ハニング、ハミング、ブラックマン−ハリス(Blackman-Harris)、ニュトール(nutall)、カイザー(Kaiser)、チェビシェフ(Chebychev)等が含まれる。
波形シーケンスx(t)の別の一例は、以下の式16に記述するように、逆指数重み付け正弦波関数であるウェーブレット・パルス形状fの族に基づくことができる。
ここで、[B
i,2, B
i3, B
i4, B
i5, B
i6, B
i7, B
i8] = [t1
i, t2
i, tr
i, tf
i, θ
i,ω
i,k
i ]である。
上の式において、立ち上がりエッジのターン・オン時点(leading edge turn on time)はt1によって制御され、ターン・オン・レートはtrによって制御される。立ち下がりエッジのターン・オフ時点はt2によって制御され、ターン・オフ・レートはtfによって制御される。t=0においてチャープが開始し、TDをパルス期間とすると、開始位相はθによって制御され、開始周波数はωによって制御され、チャープ・レートはkによって制御され、停止周波数はω+kTDによって制御される。パラメータ値の割り当て例として、ω=1、tr=tf=0.25、t1=tr/0.51、およびt2=TD−tr/9とする。
本発明の特徴の1つは、ウェーブレット形状を制御するために用いられるM進パラメータ集合は、UWB信号を形成するように選択されることであり、g(t)のパワー・スペクトルの中心周波数fcおよび帯域幅Bは、2fc>B>0.25fcを満たす。尚、従来の式は、バイフェーズおよび直角信号(例えば、多くの場合IおよびQと呼ばれる)を正弦項および余弦項として定義していることを注記しておく。しかしながら、この従来の定義はUWB信号には不適当であることは重要な注目点である。本発明は、かかる従来の定義を用いると、DCオフセットの問題や性能の低下を招き得ることを認めている。
更に、帯域幅が.25fcから遠ざかり、2fcに向かって移動するに連れて、かかる欠点が増々悪化する。ウェーブレット例(または、例えば、同時係属中の米国特許出願第09/209,460号に記載されているもの。その内容は、この引用により本願にも含まれるものとする)の主要な属性は、先の式12におけるfもhもDC成分を有さず、しかもfおよびhがUWBシステムに要求される広い相対帯域幅を呈するように、パラメータを選択することである。
同様に、B>.25fcの結果、UWB信号のマッチド・フィルタ出力は、通例期間が数サイクルに過ぎず、または僅か1サイクルであることを注記しておく。
これより図15を参照して、UWBウェーブレットの圧縮(即ち、コヒーレント・マッチド・フィルタで処理した)パルス幅を定義する。したがって、図15では、ウェーブレットの時間ドメイン・バージョンはg(t)を表し、フーリエ変換(TF)バージョンはG(ω)によって表される。これに応じて、マッチド・フィルタは複素共役G*(ω)として表されるので、マッチド・フィルタの出力は、P(ω)=G(ω)・G*(ω)となる。時間ドメインにおけるマッチド・フィルタの出力を知見するには、P(ω)を逆フーリエ変換してp(t)、圧縮された、即ち、マッチド・フィルタで処理したパルスを得る。圧縮パルスp(t)の幅はTcによって定義される。Tcは、図16に示すように、ピークから6dB低い圧縮パルスE(t)の包絡線上の点間の時間である。包絡線波形E(t)は、以下の式17で決定することができる。
ここで、p
H(t)はp(t)のヒルベルト変換である。
したがって、先に記したパラメータ化した波形は、UWBウェーブレット関数の例であり、これを制御すれば、広いパラメータ空間で情報を伝達でき、その結果得られた優れた自己相関および相互相関関数でコードを形成することができる。ディジタル変調では、パラメータの各々は、伝達するディジタル・データを受け取るエンコーダに応じた所定のリストから選択される。アナログ変調では、伝達するアナログ信号のある関数(例えば、周期的に)にしたがって動的に少なくとも1つのパラメータを変化させる。
[取得および追跡]
先に注記したように、動作中、受信機は取得モードまたは追跡モードのいずれかで動作する。受信機が既に着信信号にロックされている場合、受信機は追跡モードにある。信号の完全性が大きく低下した場合、または未だロックされていない場合、受信機は取得モードに入り、信号を取得または再取得する。
取得モードでは、着信UWB信号がアンテナ10を通じて受信される。内部では、PFNおよびタイマ205が送信信号に適用されたコードに連続的に対応するパルス・ストリングを発生する。このパルス・ストリングは、次に、取得ミキサ310において着信信号と混合する。取得積分器315は、取得ミキサ310の出力を積分し、着信UWB信号とPFNおよびタイマ205が発生したパルス・ストリングとの間の相関を示す相関値を出力する。取得積分器315の出力が最大の相関値を有するのは、その2つの入力の位相が完全に整合しているときである。
初期状態では、2つの信号が互いに整列されているか否かわからない。PFNおよびタイマ205において形成された内部パルス・ストリームは、着信信号とは位相外れで配置してもよい。即ち、内部パルス・ストリームのパルスは、着信信号のパルスの間に現れる。この場合、取得積分器315から出力される相関値は小さくなる。これら2つの信号間で十分に高い相関を得るには、取得ミキサにおいて、発生するパルス・ストリームの位相が着信信号と十分密接に一致するまで、PFNおよびタイマ205におけるクロックの位相を位相コントローラ325によって変化させる。
これを制御するに当たり、取得積分器から出力される相関のSNRに対して閾値TRを用いる。取得積分器315から出力される相関のSNEが、設定された閾値よりも低い場合、ディジタル・コントローラ230は信号を位相コントローラ325に送り、発生する内部パルス・ストリームの位相を調節する。これを行うために、局部発振器320の位相を繰り返し調節して、着信信号と十分同相となるまで、内部パルス・ストリームの位相をずらしていく。このように、取得ミキサ310において着信信号と時間が整合するまで、内部パルス・ストリームの位相をずらし、こうして最大相関SNRを得る。最大相関SNRが得られる時点は、種々の取得ルーチンのいずれでも決定できる。
「最大相関SNR」という用語を用いる場合、これは、絶対的な最大相関値ではなく、設定した閾値TRよりも高い相関SNRのことを言う。閾値を設定するレベルに応じて、「最大相関SNR」の位置の数が変化する。
十分な品質の相関SNR、即ち、絶対相関SNRまたは絶対相関ピークから許容できる距離以内の点が求められると、ディジタル・コントローラ230は、受信機1を追跡モードで動作させるように切換を行う。この時点では、着信信号の信号対ノイズ比(SNR)を連続的に監視して、許容可能なサービス品質、例えば、許容可能なビット・エラー・レート(BER)のデータ・レートが維持されているか否か、第1のA/D変換器220の出力またはデータ・コード・プロセッサ520の出力における信号サンプル点のパターンを監視することによって判断する必要がある。
好適な実施形態では、第1のA/D変換器220は、アナログ・コードワード周波数Fawに等しいサンプリング・レートを有するように設定され、こうしてアナログ・コード・ワード当たり1つのサンプルを供給する。これらのサンプルの各々は、データ・ビット幅が3乃至8ビットであり、第1のA/D変換器220の実施態様によって異なる。したがって、着信ビットは、Aまたは−Aのいずれかのノイズのない値を有するサンプル点であり、ここでAは信号の振幅である。振幅Aは、着信信号「1」を示し、振幅−Aは、着信信号「0」(「−1」で表す)を示す。しかしながら、着信信号におけるノイズのために、実際にはAおよび−A付近でビット・パターンのばらつきがある。
エンコーディングまたは信号反転が異なるために、着信信号の解釈も変化する場合がある。例えば、代替実施形態では、振幅Aは容易に着信信号「0」を示すことができ、一方、振幅−Aは「1」の着信信号を示すことができる。
信号電力は、ビット・パターンの絶対値の平均の二乗で表すことができ、UWB信号の圧縮後の振幅と対応する。ノイズ電力は、その平均を中心とした分散によって与えられる。追跡が適正に進んでいるか否かの判定するためには、SNRを測定して、信号が十分なSNRを有することを確認する必要がある。
本発明の好適な実施形態では、着信信号はバイフェーズ信号である。即ち、これは反転および非反転チャネル・シンボルによって伝達する。BERは、理想的には、関数Q(A/σ)によって与えられ、ここでAは信号の振幅であり、σはノイズの標準偏差である。一例として、許容BERが10-2(100個の着信ビットの内1つのエラーが許容される)の場合、システムは、エラーが100着信ビットに対して1つ未満である限り、追跡モードを維持する。
バイフェーズ変調では、BERはSNRに関連がある。これを認識して、本発明者は、好適な動作モード、即ち、取得または追跡を確実に決定できるようにSNRを推定する機構およびプロセスを実現した。このシステムでは、受信したサンプルをxi=biA+σniとする。ここで、biはビット値、biε{−1、1}、Aは信号の振幅、niはゼロ−平均単位分散、白色ガウス・ノイズであり、σはノイズ成分の標準偏差である。A/σが2.3よりも大きい場合、|xi|の統計的特性は、A+σniの統計的特性とほぼ同一である。したがって、絶対値の適正な近似は、A/σが十分に大きい、即ち、約2.3よりも大きい場合、
本発明のモード・コントローラは、有限ステート・マシンを実現する。図16は、本発明の好適な実施形態によるモード・コントローラのステート図である。モード・コントローラは、開始状態1600、取得状態1601、および追跡状態1602を含む。
取得状態1601では、取得コントローラ545は、取得動作モード中に着信信号を取得する。追跡状態1602では、エラー・チャネル・コントローラ555が着信信号を追跡し、ロック検出器550が追跡動作モード中の信号のSNRを監視する。変数Lの値は、モード・コントローラが状態間で遷移すべきとき、および受信機が動作すべきモードを決定することによって、モード・コントローラを駆動する。つまり、Lはモード制御パラメータである。
動作中、モード・コントローラは初期状態1600にて開始する。次に、状態1601において、取得コントローラ545は信号を取得し、Lの値を繰り返し判定する。
この好適な実施形態では、信号を取得するのに必要な設定取得閾値よりもSNRが高い場合には、Lを1に等しく設定し、SNRが取得閾値よりも低い場合Lを−1に等しく設定する。したがって、モード・コントローラ540は、L=−1の場合、状態1601に止まり、L=1の場合追跡状態1602に遷移する。このプロセスは、モード・コントローラ540が追跡状態1602に遷移するまで(即ちL=1となるまで)、動作中連続的に繰り返される。
一旦、モード・コントローラ540が追跡状態1602に遷移すると、次にエラー・チャネル・コントローラ555が信号を追跡する。ここでは、Lの値は、再度ロック検出器550によって繰り返し決定される。
好適な実施形態では、追跡を維持するのに必要な設定追跡閾値よりもSNRが高い場合、Lを1に等しく設定し、SNRが追跡閾値よりも低い場合、Lを−1に等しく設定する。したがって、モード・コントローラ540は、L=1の場合、状態1602に止まり、L=−1の場合、取得状態に戻って、信号を再度取得する。このプロセスは、動作中連続的に繰り返される。
他の実施形態では、図17に示すように、モード・コントローラ540は、多数の追跡状態を含むこともできる。図17は、本発明の代替好適実施形態によるモード・コントローラの状態図である。図17の実施形態では、モード・コントローラ540は、開始状態1700、取得状態1701、および状態1702乃至1708に一例として示すN個の追跡状態を含む。この場合、Nは1よりも大きい整数である。
図16のモード・コントローラ540と同様、図17のモード・コントローラ540も初期状態1700にて開始し、次いで取得状態1701において信号を取得する。取得は、取得状態1601に関して先に説明したように行われる。
取得後、モード・コントローラ540は第1の追跡状態1702に進み、Lを計算する。図16の実施形態と同様、追跡を維持するために必要な設定追跡閾値よりもSNRの方が高い場合、Lを1に等しく設定し、SNRが追跡閾値よりも低い場合、Lを−1に等しく設定する。
L=1の場合、モード・コントローラ540は第1の追跡状態1702に止まり、L=−1の場合、モード・コントローラ540は次の第2の追跡状態1704に遷移する。次いで、Lの値を再度決定する。モード・コントローラ540が引き続きL=−1と計算した場合、モード・コントローラ540は次の第3の追跡状態1706以降を通って、第Nの追跡状態1708に遷移する。第1の追跡状態1702は、初期追跡状態と見なすことができ、第2乃至第Nの追跡状態1704〜1708は中間状態と見なすことができる。これら中間状態にある場合、受信機はなおも追跡モードにある。
しかしながら、第Nの追跡状態1708においてL=−1の場合、モード・コントローラ540は、第Nの追跡状態1708を抜けて、取得状態1701に戻る。この時点で、モード・コントローラ540は受信機に信号を再度取得するように指令する。取得後、モード・コントローラ540は制御を第1の追跡状態1702に戻し、プロセスを繰り返す。
中間追跡状態1704乃至1708にある場合、L=1の値があると、追跡状態iから追跡状態(i−1)への遷移が生ずる。したがって、モード・コントローラは、信号完全性が低い短い期間から復帰することができる。
中間追跡状態1704乃至1708の機能は、受信機がノイズ・バーストを受信した場合に、直ちに再取得状態にジャンプするのを防止することである。モード・コントローラ540は、無線性能曲線の急峻性を高め、偶然的な信号アンロック(unlock)が発生しないことを保証するように構築されている。したがって、アンロックされ、曲線が急峻になるのにかかる時間が長くなる。これらの中間状態によって、受信機は、取得状態に入ることなく、間欠的なビット・エラーに耐えることが可能となる。中間状態数の増減によって、追跡プロセスをアンロックするのに要する時間量を調節することができる。
この機能は、バースト・エラーがあるときには特に有用である。これらバースト・エラーは、短期間にビット・エラーが増大する原因となる。しかしながら、信号が容易にアンロックされると、これら間欠的バースト・エラーのために信号が周波数再取得に向かい、システム・スループットを低下させる可能性がある。図16および図17に必要なモード・コントローラ540は、例えば、ASICのような、プログラマブル・プロセッサに具体化することができる。
図17に示すモード・コントローラのステート・マシンの好適な実施形態は、3つの中間追跡状態を内蔵することができる。代替実施形態では、信号完全性の低い期間から復帰するのに許される時間量に応じて、これよりも多いまたは少ない中間追跡状態を選択することができる。
[モード・コントローラ−第1の好適な実施形態]
図6の実施形態は、モード・コントローラ540が、信号およびノイズ電力の推定に基づいて、受信機1が取得モードまたは追跡モードのどちらにあるべきか判断する場合を示す。この判断は、2つのパラメータ、即ち、信号強度s1の推定値、およびノイズおよび信号強度n1の推定値の計算から開始する。図18は、図6の取得コントローラ545またはロック検出器550の具体的な実施形態のブロック図である。この実施形態では、第1および第3の倍率K1およびK2を1に設定し、第2の倍率K3をKに設定している。(K1=K3=1)なので、第1および第3のスケーリング・ミキサ615および640は取り除いてある。取得コントローラ545またはロック検出器550の動作について、以下に説明する。
式19は、s1の計算を示す。ここで、着信信号におけるBビットの組についてサンプルx1を加算し、次いで二乗する。同様に、式20は、n1の計算を示し、x1の二乗をBビットの組について加算する。
ロック・パラメータLは、信号がSNR要件を満たすか否かの判定である。ロック定数Kは、Lが1、即ち、信号が満たさなければならない閾値になる確率に影響を及ぼす。したがって、容認できるSNRでは、s
1はロック定数Kに等しい倍数だけn
1よりも大きいはずである。このように、本プロセスはs
1およびn
1を式21において比較する。信号電力がノイズ電力よりも十分に大きい場合、L=1となり、十分なSNRを示す。逆に、信号電力が、ノイズ電力と比較して十分に大きくない場合、L=−1となり、不十分なSNRを示す。
ここで、s
1およびn
1はランダム変数である。式22〜式24は、s
1、n
1、およびs
1−Kn
1の予測値を示し、式18からの|x
i|を式19および式20に代入して、予測値を求める。
k
iはゼロ平均および単位分散であるので、E[(Σk
i)2]=BおよびE[Σk
i]=0である。
殆どの時間L=1であることを確保するには、E(s
1−Kn
1)>0となる。等価的に、
BERはSNRの関数であるので、モード・コントローラは、式25におけるKおよびBの値を変化させることによって、取得モードに入るべきBER閾値を調節する。モード制御プロセスおよび機構に刺激を与えるのは、この数学的分析である。何故なら、これは低コストで信頼性が高い実施態様を可能にするからである。
式19乃至式25に記述した実施形態に示すように、ノイズおよび信号経路フィルタ620および630は、B倍にサブサンプルされる移動平均フィルタである。しかしながら、代替実施形態では異なるフィルタを用いることができる。この場合、式19乃至25は、選択したフィルタの挙動を考慮して変更することになる。加えて、第1および第3の倍率K1およびK2を1以外の値に等しく設定した場合、これらの値に対応する新たな定数を、必要な場合、式に追加することができる。
図18に示すように、動作中、着信するサンプル・データ・ストリームxiは絶対値ブロック610を通過し、着信サンプル・データ・ストリームの絶対値|xi|を決定する。次に、調整した着信信号の絶対値|xi|を並行計算において用い、ノイズ関連推定値n1および信号推定値s1を決定する。
ノイズ関連推定値n1を決定するには、第1の二乗器615において、調整した着信信号の絶対値|xi|を二乗し、ノイズ経路フィルタ620において二乗を濾過する。次に、ノイズ関連推定値n1を、第2のスケーリング・ミキサ625において倍率Kで調整し、調整したノイズ関連推定値Kn1を比較器645に供給する。好ましくは、Kの値は最初に所望のBERに対応するように設定する。
信号推定値s1を決定するには、調整した着信信号の絶対値|xi|を、設定した数のサンプルにわたって信号経路フィルタ630において濾過し、次いで、第2の二乗器635において濾過した信号を二乗する。次に、信号推定値s1を比較器645に供給する。信号推定値は、比較器645に供給する前に、任意に調整することもできる。
比較器645において、信号推定値s1と調整したノイズ関連推定値Kn1とを比較して、着信信号がロックされている確率を判定する。この比較によってロック・パラメータLが得られる。Lをモード・コントローラのステート・マシン1805に入力する。この信号に基づいて、モード・コントローラのステート・マシン1805は現在の状態に止まるか、または異なる状態に遷移する。これについては図16および図17を参照して説明した。
比較器645はLの値を出力する。これによって、信号が十分な品質を有し取得状態において取得できるか否か、または信号が十分な品質を有しているので追跡状態においてロックを維持できるか否か判断する。したがって、式24における比率の直接計算は不要である。何故なら、式24は、Kの値を設定するためにのみ用いられるからである。等価的に、Kの値は、シミュレーションに基づいて経験的に設定することができる。これは、多くの場合、ノイズおよび信号経路フィルタ620および630に一層複雑なフィルタを用いる場合に用いられる技法である。
図19は、図6のモード・コントローラの実施形態にしたがって、取得状態1601、1701または追跡状態1602、1702、1704、1706、1708(図16および図17参照)のいずれかにおけるモード・コントローラ・ステート・マシン1805によって実行するステップを示す。
開始状態には係わらず、モード・コントローラ・ステート・マシン1805は、以下のステップを実行する。ステップS1902において、着信信号内の1組のビットBを収集する。この1組B個のサンプルを用いて、現状態1601、1602、1701、1702、1704、1706、または1708は、1組の中間パラメータS1904を計算する。これら中間パラメータに基づいて、ステップS1906において出力パラメータを計算し、ステップS1908においてこの出力パラメータを出力として供給する。
中間パラメータは、好ましくは、信号パラメータおよびノイズ関連パラメータである。これらは、モード・コントローラの第1の好適な実施形態に関して先に説明したように、s1およびn1とすることができる。また、モード・コントローラの第2および第3の好適な実施形態に関して、図22を参照して以下で説明するように、これらは、Iおよびg、またはI1およびg1とすることもできる。これらのパラメータは、連続的に監視してもよいし、設定した周期でサンプリングしてもよい。
好ましくは、中間パラメータは「帯域内」で計算する。言い換えると、これらは同じ帯域幅内で計算する。
好適な実施形態では、出力パラメータは、ロック・パラメータLと呼ばれるモード制御パラメータであり、1または−1の値を取る。ロック・パラメータLは、モード・コントローラ・ステート・マシン1805が新たな状態に遷移すべきか、または新たな状態が何であるかを示す。
図16および図17ならびに関連する説明に示すように、ロック・パラメータLは、1組B個のサンプルのSNRが十分に高く新たな状態に遷移できるか否かを示す。図16および図17の実施形態では、SNRの値が十分に高いと、Lは1の値を有し、モード・コントローラ・ステート・マシン1805は追跡状態に移動するか、または更に低い追跡状態に遷移する。同様に、SNRが十分に低いと、Lは−1の値を有し、モード・コントローラ・ステート・マシン1805は、更に高い追跡状態に移動するか、または再度取得状態に遷移する。
モード・コントローラ・ステート・マシン1805の動作は、異なる状態にある場合には多少異なる場合もある。即ち、出力パラメータS1906を計算するステップは、取得モードにおいて実行する場合、追跡モードにおける場合と比較すると、多少異なる。
サブサンプル移動平均フィルタを用いない実施形態では、中間パラメータ、即ち、信号パラメータおよびノイズ関連パラメータを常に監視して、有効なロック時点の出現を検出することができる。実施形態の中には、ノイズおよび信号経路フィルタ620および630を、有限インパルス応答(FIR)または無限インパルス応答(IIR)フィルタのいずれかとすることができるものもある。
かかる実施形態の一例では、図7Cに図示した形態のIIR信号フィルタ620を用いる。これは、図12Bの自己相関パルスの形状に非常に良く似たインパルス応答を有するように設計されている。したがって、図18の信号推定経路に、近似マッチド・フィルタが用いられている。
異なる構造でFIRフィルタまたはIIRフィルタを用いた同等の手法も用いることができる。図18のノイズ関連経路において用いられる種類のフィルタの一例は、図7Aに示す漏出積分フィルタまたは図7Bの移動平均フィルタである。他の形態のFIRおよびIIRフィルタも可能である。
図20は、図18の取得コントローラまたはロック検出器にしたがって、Kの種々の値に対する確率曲線の挙動を示すグラフであり、ノイズおよび信号経路フィルタ620および630に、サブサンプル移動平均フィルタを用いている。この実施形態では、Bに選択した値は16であり、フィルタは16倍にサブサンプリングされる。これらの曲線から、Kの値が大きい程、低いBERでLを−1に駆動することがわかる。先に延べたように、この実施形態例におけるBERは、10-2に設定されている。これは、着信する100ビット毎に1つのエラーを許容することを意味する。BERが10-2よりも大きくなった場合、平均的に、モード・コントローラは、新しい信号を取得するように受信機を駆動する。取得は、システム・スループットの低下という観点からは「高価」であるので、BERが10-2においてL=1となる確率が高くなるように、取得定数KAを選択する。この好適な実施形態では、(K=50)である。
図21は、3つの中間追跡状態(図17参照)を有する、図18におけるモード・コントローラ・ステート・マシン1805の性能曲線を示す。ロック・コントローラは(B=16)および(K=50)を用いる。この曲線を生成するには、最初に追跡状態に入った後に取得状態に入るのに必要な平均ビット数を計算する。この曲線から、BERが10-2のとき、システムは1000万ビット以内にアンロックされることが示されている。この曲線は、BERが-3のときに、システムが非常に長い時間量にわたってロックされ続けるように、劇的に増大する。
[モード・コントローラ−第2の好適な実施形態]
図22は、図5のモード・コントローラにおける取得コントローラ545またはロック検出器550の代替実施形態を示す。図22に示すように、取得コントローラ545またはロック検出器550は、絶対値ブロック2205、第1のフィルタ2210、第1のサブサンプラ2213、第1のスケーリング・ミキサ2215、第1の二乗器2220、第2の二乗器2230、第2のフィルタ2235、第2のサブサンプラ2238、第2のスケーリング・ミキサ2240、および比較器2245を含む。
一例として、図22のロック検出器550による図16および図17からの追跡ステート・マシンの追跡状態1602、1702において行われるプロセスについて説明する。この実施形態では、SNRを算出するには、2つのパラメータIおよびgを計算する。式26は、第1のフィルタ2310を移動平均フィルタと仮定した場合に、Iの期待値をどのように計算できるかを示唆する。更に、式26は、第2のフィルタ2335が移動平均フィルタと仮定した場合に、gの期待値をどのように計算できるかを示唆する。
I
2は信号電力を推定し、g−I
2はノイズ電力を推定する。すると、定義上、式28はSNRの直接推定値を示す。
前述のように、BERはSNRの関数であるので、所望のBERに対応するSNRを決定し監視することができる。SNRが目標レベルTh未満に低下した場合、モード・コントローラは、ロック・パラメータLによって、アンロックステータスを検出することができる。つまり、本発明は、式29においてSNRを目標レベルと比較する。
図22に示すように、着信ビット・ストリームx
iが絶対値ブロック2205において受信され、絶対値ブロック2205は着信ビット・ストリームx
iの絶対値を計算する。次に、この絶対値を第1のフィルタにおいて濾過し、第1のスケーリング・ミキサ2215において倍率1/Bと乗算し、Iを決定する。次に、このIの値を二乗し、値I
2を決定する。値gを決定するには、第2の二乗器2230においてx
iを二乗し、第2のフィルタ2235において二乗値を濾過する。次に、第2のスケーリング・ミキサ2240においてこの出力を1/Bと乗算する。次に、比較器2245は、Iおよびgを比較して、ロック・パラメータLを決定する。ロック・パラメータLをコントローラに供給し、モード・コントローラがこれを用いて、受信機は追跡モードまたは取得モードのどちらにあればよいかの判定を行う。この場合も、図17に示すように、追跡状態は、複数の下位状態を含んでもよく、ステート・コントローラは、多数の追跡下位状態間ならびに追跡状態および取得状態間で受信機を移動させることもできる。
第1のサブサンプラ2213は、第1のフィルタ2210と第1のスケーリング・ミキサ2215との間に設けることができる。第1のサブサンプラ2213は、周期的なレートで第1のフィルタ2210の出力をサンプリングする。このレートは、例えば、4出力毎、15出力毎、228出力毎等で変化させることができる。しかしながら、サンプリング・レートを1に均一に設定した場合、即ち、全ての結果をサンプリングする場合、第1のサブサンプラ2213を省略することができる。同様に、第2のサブサンプラ2238は、第2のフィルタ2235と第2のスケーリング・ミキサ2240との間に設けることができる。前述と同様、そのサンプリング・レートを1に均一に設定した場合、即ち、全ての結果をサンプリングする場合、第2のサブサンプラ2238を省略することができる。第1および第2のサブサンプラ2213および2238のサブサンプリング時間は、同一である必要はない。
式26乃至式29に記載した実施形態に示すように、第1および第2のフィルタ2210および2235は加算器である。しかしながら、代替実施形態では、異なるフィルタを用いることもできる。この場合、式26乃至29も、選択したフィルタの挙動を考慮して変更される。
[モード・コントローラ−第3の好適な実施形態]
図23は、本発明の取得コントローラ545またはロック検出器550の別の代替実施形態を示し、ここでは、モード・コントローラが取得モードまたは追跡モードのどちらにすればよいかを判定するのに先だって、AGC初期化を用いている。AGC初期化の間、ノイズ標準偏差vを推定する。
ノイズ分散を測定することによってAGCを初期化するとき、量子化レベルを直接BERに換算することができる。例えば、AGC制御によってノイズ分散をある任意の値に設定する場合、A/D変換器からの着信信号の振幅は、当該振幅に比例するSNRを示唆する。比例定数は、ノイズ分散を設定したレベルに依存する。この値は直接BERに換算される。したがって、信号取得に先だってノイズ分散を設定することによって、量子化レベルが直接BERに換算される。
推定ノイズ標準偏差vを用いて、モード・コントローラ540は次に第1のA/D変換器220またはデータ・コード・プロセッサ520から出力される着信信号xiを単に監視すれば、適正なモードを決定することができる。
推定ノイズ標準偏差を調整し、着信信号xiの濾過後の(そして、潜在的にサブサンプリングした)絶対値と比較する。Lは、式30に記述するように計算する。
ここで、qは着信ビット・ストリームの濾過後(そして恐らくサブサンプリングした)絶対値、K
5は倍率、そしてvは推定ノイズ標準偏差である。
図23に示すように、取得コントローラ545またはロック検出器550は、絶対値ブロック2305、フィルタ2310、サブサンプラ2315、スケーリング・ミキサ2320、および比較器2325を含む。
着信ビット・ストリームxiは、絶対値ブロック2305において受信され、絶対値ブロック2305は、着信ビット・ストリームxiの絶対値を計算する。次に、この絶対値はフィルタ2310において濾過され、qの値を決定する。推定ノイズ標準偏差vの値が、スケーリング・ミキサ2320において受け取られ、倍率K5と乗算される。
次に、比較器2245がqとK5vとを比較して、ロック・パラメータLを決定する。ロック・パラメータLはコントローラに供給され、モード・コントローラによって用いられて、受信機が追跡モードまたは取得モードのどちらにあればよいかの判定を行う。この場合も、図17に示すように、追跡状態は多数の下位状態を含んでもよく、ステート・コントローラも受信機を多数の追跡下位状態間、または追跡状態および取得状態の間で移動させることができる。
サブサンプラ2315は、フィルタ2310と比較器2325との間に設けることができる。サブサンプラ2215は、周期的なレートで第1のフィルタ2310の出力をサンプリングする。このレートは、例えば、4出力毎、15出力毎、228出力毎等で変化させることができる。しかしながら、サンプリング・レートを1に均一に設定した場合、即ち、全ての結果をサンプリングする場合、サブサンプラ2215を省略することができる。
初期ノイズ分散推定値vを過小評価した場合、SNRは実際よりも高く見られる。一方、初期ノイズ分散推定値vを過大評価した場合、SNRは実際よりも低く見られる。しかし、ノイズ分散推定値vは、追跡モードにある間、絶対値データの拡散を監視することによって、周期的に更新することができるので、最終的には、ノイズ分散推定値vは妥当な値に集束する。
モード・コントローラについて3つの異なる実施形態を示したが、これらは例示および制限と見なしてしかるべきである。他の実施形態も可能である。加えて、取得および追跡の要件を満たすために必要であれば、取得および追跡のために種々の実施形態を混合および調和させることも可能である。
[大型システムにおける送受信機の使用]
図1乃至図8を参照して説明したUWB送受信機は、積層プロトコル・アーキテクチャの一部として、異なるアプリケーションとインターフェースする無線トランスポート機能を実行するために用いることもできる。かかる構成では、UWB送受信機は、信号形成、送信、および受信機能を通信サービスとしてアプリケーションに対して実行し、アプリケーションは、有線I/Oポートと全く同様に、送受信機にデータを送り、送受信機からデータを受信する。更に、UWB送受信機は、有線技術またはワイヤレス技術のいずれかによる他のデバイスへの相互接続を含み得る種々のデバイスのいずれにも、ワイヤレス通信機能を設けるために用いることもできる。つまり、図1のUWB送受信機は、固定構造を接続するローカル・エリア・ネットワーク(LAN)の一部として、または例えば、移動デバイスを接続するワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク(WPAN)の一部として用いることもできる。
かかる実施態様のいずれにおいても、本発明の教示にしたがってプログラムされた従来の汎用マイクロプロセッサを用いて、本発明の全部または一部を、マイクロプロセッサ・システムに実装することができ便利である。このことは、マイクロプロセッサ・システムの技術における当業者には明白であろう。本発明の教示に基づいて、通常の知識を有するプログラマであれば、適切なソフトウエアを容易に準備することができる。これは、ソフトウエア技術の当業者には明白であろう。
図24は、本発明の好適な実施形態によるプロセッサ・システム2400を示す。この実施形態では、プロセッサ・システム2400は、プロセッサ・ユニット2401、ディスプレイ2415、1つ以上の入力デバイス2417、カーソル制御部2419、プリンタ2421、ネットワーク・リンク2423、通信ネットワーク2425、ホスト・コンピュータ2427、インターネット・プロトコル(IP)ネットワーク2429、および移動デバイス2431を含む。プロセッサ・ユニット2401は、バス2403、プロセッサ2405、主メモリ2407、リード・オンリー・メモリ(ROM)2409、記憶装置2411、および通信インターフェース2913を含む。代替実施形態では、種々のエレメントを省略する場合もある。
バス2403は、プロセッサ・ユニット全域にわたって情報を伝達するように動作する。これは、データ・バス、または情報を伝達するためのその他の通信機構であることが好ましい。
プロセッサ2405は、バス2403に接続されており、情報を処理するように動作する。
主メモリ2407は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)またはその他のダイナミック記憶デバイス(例えば、ダイナミックRAM(DRAM)、スタティックRAM(SRAM)、同期DRAM(SDRAM)、フラッシュRAM)とするとよい。これは、バス2403に接続され、情報やプロセッサ2405が実行する命令を格納することが好ましい。加えて、主メモリ2407は、プロセッサ2405によって実行される命令の実行中に一時的変数や中間情報を格納するために用いることもできる。
ROM2409は、単純なリード・オンリー・メモリでよく、あるいは別の種類のスタティック記憶デバイス(例えば、プログラマブルROM(PROM)、消去可能PROM(EPROM)、および電気的消去可能PROM(EEPROM(EEPROM))とすることもできる。これは、バス2403に接続され、プロセッサ2405のために静止情報および命令を格納する。
記憶装置2411は、磁気ディスク、光ディスク、またはデータを格納するのに適していればその他のいずれの装置でもよい。これは、バス2403に供給および接続され、情報および命令を格納する。
また、プロセッサ・ユニット2401は、特殊目的論理デバイス(例えば、特定用途集積回路(ASIC))または構成変更可能な論理デバイス(例えば、単純なプログラマブル論理デバイス(SPLD)、複雑なプログラマブル論理デバイス(CPLD)、または再プログラム可能フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA))を含むこともできる。適切なデバイス用バス(例えば、小型システムインターフェース(SCSI)バス、改良型集積装置電子機器(IDE)バス、または超直接メモリ・アクセス(DMA)バス)を用いて、その他の着脱可能な媒体デバイス(例えば、コンパクト・ディスク、テープ、および着脱可能な光磁気媒体)、または固定の高密度媒体ドライブもプロセッサ・ユニット2401に追加してもよい。加えて、プロセッサ・ユニット2401は、コンパクト・ディスク読み取り装置、コンパクト・ディスク書き込み/読み取り装置、またはコンパクト・ディスク・ジュークボックスを含むことができ、これらの各々は、同じデバイス・バスまたは別のデバイス・バスに接続することができる。
プロセッサ・システム2401は、バス2403を通じて、ディスプレイ2415に接続することができる。ディスプレイ・ユニットは、陰極線管(CRT)、液晶ディスプレイ、または情報をシステム・ユーザに表示するのに適した装置であれば他のいずれでもよい。ディスプレイ2415は、ディスプレイまたはグラフィックス・カードによって制御することができる。
また、プロセッサ・システム2401は、1つ以上の入力デバイス2417およびカーソル制御部2419にも接続され、情報およびコマンド選択をプロセッサ2405に伝達することが好ましい。1つ以上の入力デバイスは、キーボード、キーパッド、または情報およびコマンド選択を転送するその他のデバイスを含むことができる。カーソル制御部2419は、マウス、トラックボール、カーソル方向キー、または方向情報およびコマンド選択をプロセッサ2405に伝達し、ディスプレイ2415上でのカーソルの移動を制御するのに適したデバイスであればいずれでもよい。
加えて、プリンタ2412は、プロセッサ・システム2401が格納および/または発生したデータ構造またはその他のあらゆるデータのリストを印刷して提供することができる。
プロセッサ・ユニット2401は、主メモリ2407のようなメモリに収容されている1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ2405に応答して、本発明の処理ステップの一部または全部を実行する。かかる命令は、記憶装置2411のような別のコンピュータ読み取り可能媒体から主メモリ2407に読み取ることができる。マルチ処理構成では、1つ以上のプロセッサを用いて、主メモリ2407に収容されている命令シーケンスを実行することもできる。代替実施形態では、ハード・ワイヤ回路をソフトウエア命令の代わりに、またはこれらと組み合わせて用いることもできる。このように、実施形態は、ハードウエア回路およびソフトウエアのいずれの特定的な組み合わせにも限定されない。
前述のように、プロセッサ・ユニット2401は、本発明の教示にしたがってプログラムされた少なくとも1つのコンピュータ読み取り可能媒体またはメモリを含み、データ構造、表、記録、またはその他のここに記載したデータを収容する。コンピュータ読み取り可能媒体のいずれか1つまたはその組み合わせに格納するものとして、本発明は、システム2401を制御し、本発明を実施する1つまたは複数のデバイス、およびシステム2401に人間のユーザと双方向処理させるソフトウエアを含む。かかるソフトウエアは、限定ではないが、デバイス・ドライバ、オペレーティング・システム、開発ツール、およびアプリケーション・ソフトウエアを含むことができる。更に、かかるコンピュータ読み取り可能媒体は、本発明を実施する再に実行する処理の全部または一部(処理が分散される場合)を実行するための、本発明のコンピュータ・プログラム生産物も含む。
本発明のコンピュータ・コード・デバイスは、あらゆる解釈されたコード機構または実行可能コード機構とすることができ、限定ではないが、スクリプト、解釈可能なプログラム、ダイナミック・リンク・ライブラリ、Javaまたはその他のオブジェクト指向クラス、およびコンピュータ実行可能プログラムを含む。更に、本発明の処理の一部を分散すれば、性能、信頼性の向上、および/またはコスト低減を図ることができる。
「コンピュータ読み取り可能媒体」という用語は、ここで用いる場合、命令をプロセッサ2405に供給し実行する際に関与するあらゆる媒体のことを言う。コンピュータ読み取り可能媒体は、多くの形態を取ることができ、限定ではないが、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む。不揮発性媒体は、例えば、光、磁気ディスクや、記憶装置2411のような光磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、主メモリ2407のようなダイナミック・メモリを含む。伝送媒体は、同軸ケーブル、銅線、および光ファイバを含む。また、伝送媒体は、無線波や赤外線データ通信中に発生するような、音響または光波の形態を取ることもできる。
コンピュータ読み取り可能媒体の共通な形態は、例えば、ハード・ディスク、フロッピ・ディスク、テープ、光磁気ディスク、PROM(EPROM、EEPROM、フラッシュEPROM)、DRAM、SRAM、SDRAM、またはその他のあらゆる磁気媒体、コンパクト・ディスク(例えば、CD−ROM)、あるいはその他の光媒体、パンチ・カード、紙テープ、あるいは孔のパターンを有するその他の物理的媒体、搬送波、無搬送波伝送、あるいはシステムが読み取ることができるその他のあらゆる媒体を含む。
種々の形態のコンピュータ読み取り可能媒体は、1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスをプロセッサ2405に供給し実行する際に必要となる場合がある。例えば、命令は当初遠隔コンピュータの磁気ディスク上に在中している場合がある。遠隔コンピュータは、本発明の全部または一部を実施するための命令を、遠隔地においてダイナミック・メモリにロードし、モデムを用いて電話回線上で命令を送ることができる。システム2401専用モデムが電話回線上でデータを受信し、赤外線送信機を用いて、このデータを赤外線信号に変換する。バス2403に接続されている赤外線検出器は、赤外線信号内に搬送されているデータを受信し、このデータをバス2403上に置くことができる。バス2403は、データを主メモリ2407に搬送し、ここからプロセッサ2405が命令を読み出して実行する。主メモリ2407が受け取る命令は、プロセッサ2405による実行の前または後のいずれかに、記憶装置2411に格納するという選択肢も可能である。
通信インターフェース2413は、ネットワーク2423に対する双方向UWBデータ通信接続を設け、ネットワーク・リンク2423は通信ネットワーク2425に接続されている。通信ネットワーク2425は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)等とすることができる。たとえば、通信インターフェース2413は、ネットワーク・インターフェース・カードとすることができ、通信ネットワークは、パケット交換UWB可能PAN(UWB-enabled PAN)とすることができる。別の一例として、通信インターフェース2413は、UWBアクセス可能非対称ディジタル加入者回線(ADSL)カード、ディジタル統合サービス・ネットワーク(ISDN)カード、または対応する形式の通信回線へのデータ通信接続を設けるモデルとすることもできる。
また、通信インターフェース2413は、UWB接続以外の双方向ワイヤレス通信接続を設けるハードウエア、またはネットワーク・リンク2423に対するハード・ワイヤ接続を含むこともできる。このように、通信インターフェース2413は、図1または図8のUWB送受信機を、ネットワーク・リンク2423に対するハード・ワイヤおよび非UWBワイヤレス通信接続を含む万能インターフェースの一部として組み込むことができる。
ネットワーク・リンク2423は、通例、1つ以上のネットワークを通じて、他のデータ・デバイスに対するデータ通信を行う。例えば、ネットワーク・リンク2423は、LANを通じて、ホスト・コンピュータ2427に、またはIPネットワーク2429を通じてデータ通信サービスを提供するサービス・プロバイダが運用するデータ機器に接続を設けることができる。更に、ネットワーク・リンク2423は、通信ネットワーク2425を通じて、移動デバイス2431、例えば、パーソナル・データ・アシスタント(PDA)、ラップトップ・コンピュータ、またはセルラ電話機に接続を設けることもできる。
通信ネットワーク2425およびIPネットワーク2429双方は、電気、電磁、または光信号を用いてディジタル・データ・ストリームを搬送することが好ましい。種々のネットワークを通じた信号、およびネットワーク・リンク2423上にあり通信インターフェース2413を通じた信号は、システム2401間でディジタル・データを搬送するが、情報を輸送する搬送波の形態例である。プロセッサ・ユニット2401は、通信ネットワーク2425、ネットワーク・リンク2423、および通信インターフェース2413を通じて、通知を送信し、プログラム・コードを含むデータを、受信することができる。
以上の教示を参照すれば本発明の多数の変更や改良が可能であることは明らかである。したがって、添付した特許請求の範囲内において、本発明は、ここに具体的に記載した以外でも実施可能であることは理解されるべきである。