JP2005514489A - 接着性組成物用の金属塩改質剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、たとえば低表面エネルギー基材(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレン)の接着に有用な接着性組成物および反応性2液型接着性組成物を提供する。本発明の接着性組成物は、有機ボランと、重合性モノマーと、接着性組成物の硬化動力学を調整して長い接着性組成物可使時間および速い強度増加速度の好適なバランスを提供する金属塩とを含む。

Description

本発明は、接着性組成物に関し、特に、低表面エネルギー基材用の接着性組成物、および反応性2液型接着性組成物に関する。本発明の接着性組成物は接着複合体、特に低表面エネルギー基材の接着複合体の製造に特に有用である。
ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレン(たとえばテフロン(TEFLON))のような低表面エネルギー基材を接着接合するための効率的で効果的な手段が長く探し求められている。これらの材料を接着接合させることに関する問題はよく知られている。たとえば、ゴムおよびプラスチック技術における進展、第1巻(Progress in Rubber and Plastic Technology,volume 1)1ページ(1985)に見られるD.M.ブルース(Brewis)による「ポリマー表面における接着の問題」(Adhesion Problems at Polymer Surfaces)を参照されたい。
従来方法では、火炎処理、コロナ放電、プラズマ処理、オゾンまたは酸化性の酸による酸化、およびスパッタエッチングなどの複雑で費用のかかる基材表面の予備処理技術が使用されることが多い。あるいは、基材表面は、高表面エネルギー材料をコーティングすることによってプライマー処理される場合もある。しかし、プライマーの適切な接着力を実現するために、上述の表面予備処理技術を最初に使用する必要が生じることがある。これらの技術のすべてはよく知られており、接着および接着剤に関する論文(Treatis on Adhesion and Adhesives(J.D.ミンフォード(Minford)編集、マーセルデッカー(Marcel Dekker)、1991年、ニューヨーク(New York)、第7巻、333〜435ページ)に報告されている。公知の方法は、特定の基材の使用に特化されていることが多い。その結果、これらの方法は、一般に低表面エネルギー基材の接着には有用でない場合がある。
さらに、現在知られている方法は複雑で費用がかかるため、最終消費者(たとえば、家の修理、日曜大工などを行う者)による使用、または低容量作業においては特に好適とはならない。長く存在し続ける問題の1つは、くずかご、洗濯物入れ、および玩具などのポリエチレン、ポリプロピレン、またはポリスチレンから製造される多くの安価で一般的な家庭用品の修理である。
ジャーロフ(Zharov)らに付与された一連の特許(米国特許第5,539,070号明細書、第5,690,780号明細書、および第5,691,065号明細書)は、少なくとも1種類のアクリル系モノマーと、有効量のある種の有機ボランアミン錯体と、アクリル系モノマーの重合を開始するための有効量の酸とを含む重合性アクリル系接着性組成物を報告している。このアクリル系組成物は、低表面エネルギーポリマーを接着させるアクリル系接着剤として特に有用である。
ポーシャス(Pocius)らに付与された別の一連の特許(米国特許第5,616,796号明細書、第5,684,102号明細書、および第5,795,657号明細書)は、アクリル系モノマーと、有機ボランポリアミン錯体と、アミンに対して反応性である材料とを含む重合性アクリル系接着性組成物を報告している。低表面エネルギーポリマーを接着させるための接着剤として有用な重合性アクリル系モノマー組成物を調製することができる。上記ポリアミンは、2つの末端第1級アミンを有する材料と、第1級アミンに対して反応性である少なくとも2つの基を有する材料との反応生成物である。
最終使用者の要求が増加するとともに、接着性組成物の配合者は、接着性組成物の適用性能(たとえば、可使時間、強度増加速度、および硬化時間)および物理的性質の性能(たとえば、T型剥離強度)の両方の向上が常に要求されている。接着性組成物のある性質を向上させるような配合の変化が、接着性組成物の第2の性質に悪影響を及ぼす場合が非常に多い。このため、配合者は、競合する性質の間の所望のバランスが得られなくても容認しなければならない場合もある。この理由のため、接着剤配合者は、接着性組成物の諸性質の全体のバランスがより好都合となる新規な材料を常に探し求めている。
接着性組成物の多くの興行的用途および消費者では、長い可使時間が非常に望ましい特徴となる。可使時間とは一般に、接着性組成物の硬化開始後に接着性組成物を接着させる基材と接触させる(すなわち、接着剤を接近させる)ことができる最大時間を意味する。可使時間を過ぎた後で基材を接着性組成物と接触させると、基材との間に形成された結合の極限強度が損なわれる。
接着性組成物の可使時間を延長するために数種類の方法が報告されている。公知技術の1つでは、たとえば接着性組成物中の重合開始剤の量の減少および/または開始剤の化学反応性の低下によって、接着性組成物の硬化速度を減少させることによって可使時間が延長される。しかしこの方法では、典型的には全体の硬化時間が延長される場合があり、接着性組成物の強度増加速度が低下しうる。ある種の重合性モノマーを接着性組成物に添加することによる可使時間の延長も報告されている。米国特許第5,859,160号明細書(リゲッティーニ(Righettini)ら)は、フリーラジカル硬化性化合物と、フリーラジカル硬化性化合物とは化学的に異なるビニル芳香族化合物とを含み、2液型接着剤として有用なフリーラジカル硬化性組成物を報告している。可使時間を延長するための別の公知の方法が米国特許第6,291,593号明細書(チェン(Cheng))に開示されており、非プロトン性ルイス酸、亜鉛塩、およびそれらの混合物からなる群より選択される遅延性添加剤を添加することによって実施される。有機ボランを主成分とする系の場合には、これらの遅延性添加剤による可使時間の延長は実証されていない。
上記報告の方法は接着性組成物の可使時間の延長に使用することができるが、強度増加速度、硬化時間、およびT型剥離強度などの接着性組成物の他の性質が、可使時間の延長の結果として犠牲になる場合がある。上述のことを考慮して、長い接着性組成物可使時間と速い強度増加速度とを好適なバランスで有する改良された組成物が望まれている。
本発明は、複数の低表面エネルギー基材(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレン)を互いに接着する場合に特に有用な接着性組成物を提供する。本発明の接着性組成物は、有機ボランと、重合性モノマーと、接着性組成物の硬化動力学を調整して長い接着性組成物可使時間および速い強度増加速度の好適なバランスを提供する金属塩とを含む。
一実施態様では、本発明は、
(i)有機ボランと、
(ii)重合性モノマーと、
(iii)式(I)
[Ma+n][X-ma/m
(1)
による金属塩とを含み、
式中、Mは、2つの化学的に利用可能な酸化状態を有し正電荷aを有する金属陽イオンであり、aは1〜6の範囲の整数であり、
Xは電荷−mを有する対イオンであり、mは1〜3の範囲の整数であり、
Lは共有結合しているリガンドであり、
nは0〜10の範囲の整数であり、前期金属陽イオンと共有結合しているリガンドの数を表している、
接着性組成物を提供する。
2つの化学的に利用可能な酸化状態を有する金属陽イオンMの代表例としては、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、アンチモン、白金、およびセリウムが挙げられる。本発明の好ましい実施態様では、2つの化学的に利用可能な酸化状態は電荷の1単位だけ離れている。
対イオンXの代表例としては、ハロゲン化物、ホウ酸塩、スルホン酸塩、およびカルボン酸塩が挙げられ、より好ましくは塩化物、臭化物、テトラフルオロホウ酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ナフテン酸塩、および2−エチルヘキサン酸塩が挙げられる。
リガンドLの代表例としては、アンモニア、アミン、カルボニル、イソニトリル類、ホスフィン類、ホスフィット類、アルシン類、ニトロシル、エチレン、およびアルケンが挙げられる。
本発明での使用に好適な金属塩の例としては、臭化銅(II)、塩化銅(II)、2−エチルヘキサン酸銅(II)、臭化鉄(III)、臭化バナジウム(III)、臭化クロム(III)、臭化ルテニウム(III)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、ナフテン酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化鉄(II)、臭化マンガン(II)、臭化コバルト(II)、臭化ニッケル(II)、臭化アンチモン(III)、および臭化パラジウム(II)が挙げられる。
典型的には、金属塩は、0ppmを超え約40,000ppm未満(接着性組成物を基準とする)となる量で存在し、より好ましくは約60ppm〜約20,000ppm(接着性組成物を基準とする)の範囲の量で存在し、最も好ましくは約100ppm〜約2,000ppm(接着性組成物を基準とする)の範囲の量で存在する。
本発明の好ましい実施態様では、有機ボランは錯化剤(complexing agent)と錯形成し、接着性組成物は脱錯化剤(decomplexer)をさらに含む。好ましい錯化剤としては、たとえば、アミン、アミジン、水酸化物、アルコキシド、およびそれらの組み合わせが挙げられる。好ましい脱錯化剤としては、たとえば、酸、無水物、アルデヒド、β−ケトン化合物、イソシアネート、酸塩化物、塩化スルホニル、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の接着性組成物は、可使時間試験方法で定義される可使時間が約5分以上、より好ましくは約10分以上、最も好ましくは約20分以上であってよい。
別の実施態様では、本発明は、
第1の基材と、硬化した接着性組成物の層によってともに接着接合した第2の基材とを含む接着複合体を提供する。
好ましい実施態様では、第1および第2の基材の少なくとも1つが低表面エネルギーポリマー材料、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレンである。
別の実施態様では、本発明は、
(a)有機ボランを含む開始剤成分と、
(b)重合性組成物であって、
少なくとも1種類の重合性モノマー、および
前出の式(1)による金属塩を含む重合性組成物と、
を含む反応性2液型接着性組成物を提供する。
第1液および第2液は、典型的には約1:1〜約1:10の整数比で混合される。
発明の好ましい実施態様では、有機ボランは錯化剤と錯形成し、第2液は脱錯化剤をさらに含む。
本明細書で使用される場合、用語「有機基」は脂肪族基または環状基であってよい。本発明の状況では、用語「脂肪族基」は、飽和または不飽和、線状または分岐炭化水素基を意味する。この用語は、たとえば、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、アルキル基、アルケニル基、およびアルキニル基を包含するために使用される。用語「アルキル基」は、一価で飽和の線状または分岐炭化水素基(たとえば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、ヘプチル基、ドデシル基、オクタデシル基、アミル基、または2−エチルヘキシル基など)を意味する。用語「アルキレン」は、多価で飽和の線状または分岐炭化水素基を意味する。用語「アルケニル基」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する一価で不飽和の線状または分岐炭化水素基(たとえば、ビニル基)を意味する。用語「アルケニレン」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する多価で不飽和の線状または分岐炭化水素基を意味する。用語「アルキニル基」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する多価で不飽和の線状または分岐炭化水素基を意味する。用語「アルキニレン」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する多価の線状または分岐炭化水素基を意味する。
用語「環状基」は、脂環式基、芳香族基、または複素環基として分類される閉じた環式炭化水素基を意味する。用語「脂環式基」は、脂肪族基と類似した性質を有する環状炭化水素基を意味する。用語「芳香族基」または「アリール基」は、単環芳香族炭化水素基または多環芳香族炭化水素基を意味する。
本明細書で使用される場合、たとえば複素環基および官能基(たとえばカルボニル基)の場合のように、有機基または有機結合基はヘテロ原子(例えばO、NまたはS原子)を含むことができる。
本発明は、複数の低表面エネルギー基材(たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレン)を互いに接着する場合に特に有用な接着性組成物を提供する。本発明の接着性組成物は、有機ボランと、重合性モノマーと、接着性組成物の硬化動力学を調整して長い接着性組成物可使時間および速い強度増加速度の好適なバランスを提供する金属塩とを含む。本発明の接着性組成物は、有機ボランを含む開始剤成分と、少なくとも1種類の重合性モノマーを含む重合性組成物と、金属塩とを含む2液型接着性組成物の形態で提供されてもよい。
本発明の接着性組成物の個々の成分について以下に詳細に示す。
有機ボラン
有機ボランは、重合性モノマーのフリーラジカル重合を開始して、接着性組成物、たとえばアクリル系接着剤として有用となりうるポリマーを生成する。有機ボラン開始剤は、以下の一般式:
Figure 2005514489
によって表すことができ、
式中、R1は1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基である。R2およびR3は、同種でも異種でもよく、独立に1〜約10個の炭素原子を有するアルキル基、およびアリール基から選択される。好ましくは、R1、R2、およびR3は独立に、1〜約5個の炭素原子を有するアルキル基から選択される。したがって、R1、R2、およびR3は全て異なる場合があり、あるいはR1、R2、およびR3の中の1つ以上が同種である場合もある。R1、R2、およびR3と、これらが結合しているホウ素原子(B)とが1つになって開始剤が形成される。具体的な有機ボラン開始剤としては、たとえば、トリメチルボラン、トリエチルボラン、トリ−n−プロピルボラン、トリイソプロピルボラン、トリ−n−ブチルボラン、トリイソブチルボラン、およびトリ−sec−ブチルボランが挙げられる。
好ましくは、有機ボラン開始剤は、錯化剤と錯形成し、これは次の一般式:
Figure 2005514489
で表すことができ、式中、R1、R2、およびR3は前述の通りであり、Cxは錯化剤である。
錯化剤
有用な錯化剤(Cx)としては、たとえば、アミン、アミジン、水酸化物、および/またはアルコキシドが挙げられる。錯体中のホウ素原子の錯化剤(Cx)に対する比率は「v」で表され、好ましくは錯化剤およびホウ素原子が効果的な比率となるように選択される。錯体中のホウ素原子の錯化剤に対する比率は好ましくは約1:1である。ホウ素原子の錯化剤に対する比率が1:1を超えると、遊離の有機ボランが生じる場合があり、この物質は自然発火性になりやすい。
アミン錯化剤
アミン錯化剤(Cx)は、少なくとも1つのアミン基を有する種々の材料、たとえば異なるアミンの混合物などによって提供することができる。アミン錯化剤はポリアミン(すなわち、2個以上のアミン基、たとえば2〜4個のアミン基を有する材料)であってもよい。
一実施態様では、アミン錯化剤は、構造:
Figure 2005514489
によって表されるような第1級または第2級のモノアミンであってもよく、式中、R4およびR5は独立に、水素、および有機基からなる群より選択され、好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アミン基がアリール構造と直接結合していないアルキルアリール基、およびポリオキシアルキレン基から選択される。あるいは、R4およびR5と、これらが結合する窒素原子とが結合して、4〜7員の複素環を形成してもよい。これらのアミンの特定の例としては、アンモニア、エチルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ベンジルアミン、モルホリン、ピペリジン、ピロリジン、およびポリオキシアルキレンモノアミン(たとえば、ハンツマン・ケミカル・カンパニー(Huntsman Chemical Company)のジェファーミン(JEFFAMINE)、たとえばM715およびM2005)が挙げられる。
別の実施態様では、アミンは、構造:
5HN−R6−NHR5
で表されるようなポリアミンであってよく、式中、R5は前出の定義の通りであり、R6は有機基、好ましくは二価のアルキレン基、アリーレン基、またはアルキルアリーレン基である。これらの物質の中で好ましいものは、分岐または線状であり一般構造
Figure 2005514489
を有することができるアルカンジアミンであり、式中、xは1以上、より好ましくは約2から12の整数であり、各R7は独立に水素またはアルキル基である。アルカンジアミンの特に好ましい例としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,12−ドデカンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、およびこれらの材料の異性体が挙げられる。アルカンジアミンが好ましいが、トリエチレンテトラアミンおよびジエチレントリアミンなどの他のアルキルポリアミンを使用してもよい。
有用なポリアミンは、ポリオキシアルキレンポリアミンによって得ることもできる。本発明の錯体の形成に好適なポリオキシアルキレンポリアミンは、以下の構造:
2NR8(R9O)w−(R10O)x−(R9O)y−R8NH2
(すなわち、ポリオキシアルキレンジアミン)、または
[H2NR8−(R9O)wz−R11
から選択することができる。R8、R9、およびR10は1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基であり、同種の場合もあるし、異種の場合もある。好ましくは、R8は、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、またはイソブチレンなどの2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基である。好ましくは、R9およびR10はエチレン、n−プロピレン、またはイソプロピレンなどの2または3個の炭素原子を有するアルキレン基である。R11は、ポリオキシアルキレンポリアミンの調製に使用されたポリオールの残基(すなわち、ヒドロキシル基が除去された場合に残存する有機構造)である。R11は、分岐または線状であってよく、置換されていても未置換であってもよい(ただし、置換基はオキシアルキル化反応を妨害すべきではない)。
wの値は≧1であり、より好ましくは約1〜150であり、最も好ましくは約1〜20である。xおよびyの値はどちらも≧0である。zの値は>2であり、より好ましくは3または4(それぞれポリオキシアルキレントリアミンおよびテトラアミンが得られるように)である。w、x、y、およびzの値は、結果として得られる錯体が室温で液体(ここでは「室温」とは約20〜25℃の温度を意味する)となるように選択されると好ましく、これによって錯体の取り扱いおよび混合が簡単になる。通常、ポリオキシアルキレンポリアミン自体は液体である。ポリオキシアルキレンポリアミンの場合、約5,000未満の分子量を使用してよいが、約1,000以下の分子量がより好ましく、約140〜1,000の分子量が最も好ましい。
特に好ましいポリオキシアルキレンポリアミンの例としては、ポリエチレンオキシドジアミン、ポリプロピレンオキシドジアミン、ポリプロピレンオキシドトリアミン、ジエチエングリコールジプロピルアミン、トリエチレングリコールジプロピルアミン、ポリテトラメチレンオキシドジアミン、ポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)ジアミン、およびポリ(エチレンオキシド−コ−プロピレンオキシド)トリアミンが挙げられる。
好適な市販のポリオキシアルキレンポリアミンの例としては、ハンツマン・ケミカル・カンパニー(Huntsman Chemical Company)の種々のジェファーミン(JEFFAMINE)、たとえばD、ED、およびEDRシリーズのジアミン(たとえば、D−400、D−2000、D−5000、ED−600、ED−900、ED−2001、およびEDR−148)、Tシリーズのトリアミン(たとえば、T−403)、ならびにディクシー・ケミカル・カンパニー(Dixie Chemical Company)のDCA−221が挙げられる。
米国特許第5,616,796号明細書(ポーシャス(Pocius)ら)に報告されているように、ポリアミンは2つの末端第1級アミンを有する材料(すなわち、2つの末端基が第1級アミンである)と、第1級アミンに対して反応性である少なくとも2つの基を含有する1種類以上の材料との縮合反応生成物も含んでよい。
水酸化物/アルコキシド錯化剤
水酸化物および/またはアルコキシド錯化剤(Cx)は、たとえば国際公開第01/32716号パンフレット(モレン(Moren))に報告されている。好ましい水酸化物および/またはアルコキシド錯化剤は、式:
(-)O−R15n(m+)
で表すことができ、式中、
15は独立に、水素または有機基(たとえば、アルキル基またはアルキレン基)から選択され、
(m+)は、対陽イオン(たとえば、ナトリウム、カリウム、テトラアルキルアンモニウム、またはそれらの組み合わせ)を表し、
nは0を超える整数であり、
mは0を超える整数である。
アミジン錯化剤
好ましいアミジン錯化剤(Cx)は、国際公開第01/32717号パンフレット(モレン(Moren))に報告されている。好ましいアミジン錯化剤は、式:
Figure 2005514489
で表すことができ、式中、
16は、水素または有機基であり、好ましくは水素、あるいはアルキル基またはアルキレン基であり、
17およびR18は独立に、一価の有機基、または環状構造の一部であり、
w、x、およびyは整数を含み、好ましくはwは1であり、xは約3以下である。
特に好ましいアミジン錯化剤としては、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン、2−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾリン、および4−(N,N−ジメチルアミノ)−ピリジンからなる群より選択されるアミジン錯化剤が含まれる。
有機ボラン錯体は、公知の技術を使用して容易に調製することができる。典型的には、錯化剤を有機ボランと不活性雰囲気(たとえば、酸素が100ppm未満の環境になるまで窒素を流し込んだグローブボックス)中で撹拌しながら混合される。有機ボランは、均圧にした滴下漏斗から、カップリング剤があらかじめ秤量されたフラスコに加えることができる。発熱が観察されることが多いので、混合物の冷却が推奨される。有機ボランの添加を緩やかに行うことによって、発熱を制御することができる。成分の蒸気圧が高い場合、約70℃未満〜80℃に維持することが望ましい。材料が十分に混合されてから、錯体を室温まで冷却する。特殊な保存条件は必要としないが、冷暗所で封をした容器中に錯体を保存することが好ましい。錯体の結晶体は、油浴を使用して窒素環境の外部で加熱(たとえば、約55℃まで)して錯体を液化して、保存瓶への移し替えを容易にすることができ、この保存瓶には窒素を流し込むことができる。
有機ボランは、有効量で使用され、この量は、アクリル系モノマーの重合によって、所望の最終用途のために十分高い分子量のアクリル系ポリマーが容易に得られるのに十分多い量である。有機ボラン量が少なすぎると、重合が不完全となる場合があるし、接着剤の場合では得られる組成物の接着性が不十分となることがある。一方、有機ボラン量が多すぎると、重合の進行が急速すぎて、得られる組成物の効率的な混合および使用ができなくなることがある。
多量の有機ボランは、本発明の接着性組成物によって得られる接着性を弱める可能性がある。有用な重合速度は、組成物を基材に適用する方法にある程度依存する。したがって、より速い重合速度は、手動の適用装置で組成物を適用したり、組成物を手で混合したりする場合ではなく、高速で自動化された工業用接着剤適用装置を使用することによって実現されうる。
これらの要因の範囲内で、有機ボランの有効量は、好ましくは約0.003〜1.5重量%のホウ素、より好ましくは約0.008〜0.5重量%のホウ素、最も好ましくは約0.01〜0.3重量%のホウ素が得られる量である。組成物中のホウ素の重量%は、フィラー、非反応性希釈剤、およびその他の非反応性材料を含まない組成物の全重量を基準としている。したがって、重合性モノマー、ビニル芳香族化合物、および有機増粘剤(たとえば、ポリ(メタクリル酸メチル)またはコア−シェル型ポリマー)が存在する場合はこれらも含まれるが、引き抜き可能な水素原子または不飽和が存在しない成分は含まれない。組成物中のホウ素の重量%は、次式:
Figure 2005514489
により計算することができる。
有機ボランは、1種類の希釈剤または2種類以上の異なる希釈剤の混合物によって(たとえば、溶解または希釈されることによって)媒介されると非常に好都合である。希釈剤は、錯化剤に対して反応性となるべきではなく、有機ボランの増量剤として機能する。
金属塩
本発明の接着性組成物は、接着性組成物の硬化動力学を調整して長い接着性組成物可使時間および速い強度増加速度の好適なバランスを提供する少なくとも1種類の金属塩を含む。好適な金属塩は、次の一般式:
[Ma+n][X-ma/m
を有し、
式中、Mは、2つの化学的に利用可能な酸化状態を有し正電荷aを有する金属陽イオンであり、aは1〜6の範囲の整数であり、
Xは電荷−mを有する対イオンであり、mは1〜3の範囲の整数であり、
Lは共有結合しているリガンドであり、
nは0〜10の範囲の整数であり、金属陽イオンと共有結合しているリガンドの数を表している。
好適な金属陽イオン(M)は少なくとも2つの化学的に利用可能な酸化状態を有する。用語「化学的に利用可能な酸化状態」は当業者にはよく知られている。種々の元素の化学的に利用可能な酸化状態は、たとえば、N.N.グリーンウッド(Greenwood)およびA.(Earnshaw)による「元素の化学」(Chemistry of the Elements)、ペルガモン・プレス(Pergamon Press)、1984年、24〜37ページに見ることができる。好ましい金属陽イオンは、電荷の差1のみ離れた少なくとも2つの化学的に利用可能な酸化状態を有する。金属陽イオンは、そのより低い酸化状態またはより高い酸化状態に含まれうる。好適な金属陽イオンの例としては、たとえば、少なくとも2つの化学的に利用可能な酸化状態を有する遷移金属陽イオン(ランタニドおよびアクチニドの金属陽イオンを含む)が挙げられる。
好ましい金属陽イオンとしては、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、アンチモン、白金、およびセリウムが挙げられる。より好ましい金属陽イオンとしては、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ルテニウム、パラジウム、およびアンチモンの陽イオンが挙げられる。最も好ましい金属陽イオンとしては、低コスト、高活性、および良好な加水分解安定性のため、マンガン、鉄、コバルト、および銅の金属陽イオンが挙げられる。特に最も好ましい陽イオンは銅および鉄である。
本発明で有用な金属塩は、電荷−m(ここでmは約1〜3の範囲である)を有する少なくとも1つの対イオン(X)を含む。好適な対イオンの例としては、ハロゲン化物、ホウ酸塩、スルホン酸塩、およびカルボン酸塩が挙げられる。好ましい対イオンとしては、塩化物、臭化物、テトラフルオロホウ酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ナフテン酸塩、および2−エチルヘキサン酸塩が挙げられる。
さらに、金属陽イオンは、金属に共有結合しているn個のリガンド分子(L)によって束縛されうる。リガンド数nは0〜10の範囲である。これらのリガンドとしては、水、アンモニア、およびアミンなどの配位化合物リガンド、ならびにカルボニル(一酸化炭素)、イソニトリル類、ホスフィン類、ホスフィット類、アルシン類、ニトロシル(酸化窒素)、ならびにエチレンおよびその他のアルケンなどのπ電子供与性リガンドが挙げられる。
好適な金属塩の例としては、臭化銅(II)、塩化銅(II)、2−エチルヘキサン酸銅(II)、臭化鉄(III)、臭化バナジウム(III)、臭化クロム(III)、臭化ルテニウム(III)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、ナフテン酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化鉄(II)、臭化マンガン(II)、臭化コバルト(II)、臭化ニッケル(II)、臭化アンチモン(III)、および臭化パラジウム(II)が挙げられる。
金属塩は有効量で存在すべきであり、すなわち硬化の動力学には影響を与えるが、接着性組成物の最終的性質には悪影響を与えない量で存在すべきである。金属塩の一般的な有効量は、接着性組成物を基準にして最大約40,000ppmであり、より好ましくは約60ppm〜約20,000ppm、最も好ましくは約100ppm〜約4,000ppmである。金属塩は好ましくは重合性組成物に対して溶解性である、あるいは使用中の接着性組成物に対して少なくとも部分的に溶解する。
本発明の好ましい接着性組成物は、本明細書で後述する可使時間試験方法によって定義される可使時間が約5分以上であり、より好ましくは約10分以上であり、最も好ましくは約20分以上である。
脱錯化剤
錯形成した有機ボラン開始剤が本発明の接着性組成物の有機ボラン開始剤として使用される場合、接着性組成物は脱錯化剤をさらに含む。用語「脱錯化剤」は、本明細書で使用される場合、開始剤(たとえば、有機ボラン)を錯化剤から遊離させることができる化合物を意味し、それによって接着性組成物の重合性モノマーの反応開始が可能となる。脱錯化剤は「活性化剤」または「遊離剤」とも呼ばれ、これらの用語は本明細書において同義で使用される場合がある。
有機ボランがアミンと錯形成する場合、好適な脱錯化剤はアミン反応性化合物である。アミン反応性化合物は、アミンと反応することによって有機ボランを遊離させ、それによってアミンとの化学結合から有機ボランを解離させる。異なる材料の組み合わせなどの種々の材料をアミン反応性化合物を得るために使用することができる。望ましいアミン反応性化合物は、室温以下でアミンと反応生成物を容易に生成することができ、それによって周囲条件で容易に使用でき硬化させることができる接着剤などの組成物を得ることができる材料である。有用なアミン反応性化合物の一般的な種類としては、酸、無水物、アルデヒド、およびβ−ケトン化合物が挙げられる。イソシアネート、酸塩化物、塩化スルホニルなど、たとえばイソホロンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、および塩化メタクリロイルも使用してよい。
アミン基と塩を形成することによって有機ボランを遊離させることが可能なあらゆる酸を使用することができる。有用な酸としては、ルイス酸(たとえば、SnCl4、TiCl4など)、およびブレンステッド酸(たとえば、カルボン酸、HCl、H2SO4、H3PO4、ホスホン酸、ホスフィン酸、ケイ酸など)が挙げられる。有用なカルボン酸としては、一般式R20−COOHを有するカルボン酸が挙げられ、式中、R20は、水素、1〜8個、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、または6〜10個、好ましくは6〜8個の炭素原子を有するアリール基が挙げられる。これらのアルキル基は、直鎖を含んでもよいし、分岐していてもよい。アルキル基は飽和していても不飽和であってもよい。アリール基は、アルキル部分、アルコキシ部分、またはハロゲン部分などの置換基を含んでもよい。この種類の代表的な酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸、安息香酸、およびp−メトキシ安息香酸が挙げられる。
においがより少ない重合性組成物を得ることが望まれる場合は、炭素原子数のより多いアルケニル基が推奨される。この場合、R20は、少なくとも9個の炭素原子、より好ましくは少なくとも約11個の炭素原子、最も好ましくは少なくとも約15個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖、飽和または不飽和のアルケニル基であってよい。
アミン反応性化合物として有用な他のカルボン酸としては、ジカルボン酸およびカルボン酸エステルが挙げられる。このような化合物は次の一般構造:
Figure 2005514489
で表すことができる。
21は、水素、一価の有機基(好ましくは約18個以下の原子、より好ましくは約8個以下の原子を有する)、または多価の有機基(好ましくは約30個以下の原子、より好ましくは約10個以下の原子を有する)である。R22は多価有機基(好ましくは約8個以下の原子、より好ましくは約4個以下の原子を有する)である。R23は水素、または多価の有機基(好ましくは約18個以下の原子、より好ましくは約8個以下の原子を有する)。整数値「m」は0、1、または2であり、整数値「n」は1以上、好ましくは1〜4、より好ましくは1または2である。
より好ましくはmは0であり、この場合、次の一般構造:
Figure 2005514489
で表されるカルボン酸が得られ、式中、R21、R22、およびnは前出の定義の通りである。
21、R22、およびR23に関連して言及される「有機基」は、脂肪族基(飽和または不飽和、および線状または分岐であってよい)、環状脂肪族基、芳香族基、あるいは酸素、窒素、または硫黄を含有する複素環基であってよい。R21が水素であり、mが0であり、そしてnが1である場合、結果として得られる化合物はジカルボン酸であり、その有用な例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸が挙げられる。R21が脂肪族基であり、nが1であり、そしてmが0である場合、結果として得られる化合物はカルボン酸エステルであり、その有用な例としては、1,2−エチレンビスマレエート、1,2−プロピレンビスマレエート、2,2’−ジエチレングリコールビスマレエート、2,2’−ジプロピレングリコールビスマレエート、およびトリメチロールプロパントリマレエートが挙げられる。
アミン反応性化合物としては少なくとも1つの無水物基を有する材料も好ましく、このような材料は好ましくは以下の構造:
Figure 2005514489
または
Figure 2005514489
のうちの1つを有する。
24およびR25は、独立に脂肪族(飽和であっても不飽和であってもよい直鎖および分岐鎖配列を含む)、脂環式、または芳香族であってよい有機基である。好ましい脂肪族基は1〜17個の炭素原子を含み、より好ましくは2〜9個の炭素原子を含む。好ましい芳香族基としては、1〜4個の炭素原子を有する脂肪族基で置換されてもよいベンゼンが挙げられる。
26は、無水物基と環状構造を形成してたとえば5員環または6員環となる二価の有機基である。R26は、脂肪族基、脂環式基、または芳香族基で置換されてもよく、好ましくは1〜12個、より好ましくは1〜4個の炭素原子を含む脂肪族基で置換されてもよい。R26は、すべてのヘテロ原子は無水物官能基と隣接しないのであれば、酸素や窒素などのヘテロ原子を含有してもよい。R26は、脂環式または芳香族の縮合環構造の一部であってもよく、そのいずれの場合も任意に脂肪族基で置換されてもよい。無水物官能性アミン反応性化合物中にフリーラジカル重合性基が存在すると、その化合物はアクリル系モノマーとの重合が可能となりうる。
アミン反応性化合物として有用なアルデヒドは式:
27−(CHO)x
を有し、式中、R27は一価の有機基あり、たとえば1〜10個の炭素原子(好ましくは1〜4個)を有するアルキル基、または6〜10個の炭素原子(好ましくは6〜8個)を有するアリール基であり、xは1または2(好ましくは1)である。この式において、アルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、ハロゲン、ヒドロキシ、およびアルコキシなどの置換基を含有してもよい。アリール基は、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキル、およびニトロなどの置換基を含有してもよい。好ましいR27基はアリールである。この種類の化合物の例としては、ベンズアルデヒド、o−、m−、およびp−ニトロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、p−トリルアルデヒド、および3−メトキシ−4ヒドロキシベンズアルデヒドが挙げられる。アセタールなどのブロックされたアルデヒドも本発明で使用してよい。
β−ケトン化合物脱錯化剤は、たとえば、本明細書と同日に出願された米国特許出願第---------号明細書(代理人整理番号第57383US002号、「β−ケトン化合物を含む開始剤系およびそれを使用して製造される接着性組成物」(Initiator Systems Comprising β−Ketone Compounds and Bonding compositions Made Therewith)(モレン(Moren)))に報告されている。β−ケトン化合物脱錯化剤は、式(1)または式(2):
Figure 2005514489
で表される構造を有し、
式(I)中、
28は水素または有機基であり、
29は有機基であり、
2は−O2C−、−(CO)−、−HN(CO)−、および−NR30(CO)−からなる群より選択される電子吸引基であり、R30は有機基であり、
31は価数nを有する有機基であり、
nは0を超える整数であり、
そして式(2)中、
28およびR29は上記定義の通りであり、
1はNC−およびH2N(CO)−からなる群より選択される電子吸引基である。
好ましいβ−ケトン化合物脱錯化剤は、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸t−ブチル、アセト酢酸2−メタクリロイルオキシエチル、ジエチレングリコールビス(アセトアセテート)、ポリカプロラクトントリス(アセトアセテート)、プロピレングリコールビス(アセトアセテート)、ポリ(スチレン−コ−アリルアセトアセテート)、N,N−ジメチルアセトアセトアミド、N−メチルアセトアセトアミド、アセトアセトアニリド、エチレンビス(アセトアセトアミド)、プロピレングリコールビス(アセトアセトアミド)、アセトアセトアミド、およびアセトアセトニトリルからなる群より選択される。
脱錯化剤は有効量(すなわち、錯化剤から開始剤を遊離させて重合を重合を促進するために有効な量であるが、重合した最終組成物の所望の性質には実質的に悪影響を与えない量)で使用される。当業者には理解できるように、脱錯化剤が多すぎると、重合の進行が速くなりすぎることがあり、接着剤の場合には、結果として得られる材料の低エネルギー表面に対する接着性が不十分となることがある。しかし、使用される脱錯化剤量が少なすぎると、重合速度が遅くなりすぎる場合があり、結果として得られるポリマーはある用途で十分な分子量にならない場合がある。脱錯化剤量を減少させると、反応が速すぎる場合に重合速度を低下させるのに有用となりうる。したがって、これらの要因の範囲内では、脱錯化剤中のアミン反応性基、アミジン反応性基、水酸化物反応性基、またはアルコキシド反応性基の、錯化剤中のアミン基、アミジン基、水酸化物基、またはアルコキシド基に対する比率が0.5:1.0〜10.0:1.0の範囲となる量で通常は脱錯化剤が使用される。よりよい性能のためには、好ましくは脱錯化剤中のアミン反応性基、アミジン反応性基、水酸化物反応性基、またはアルコキシド反応性基の、錯化剤中のアミン基、アミジン基、水酸化物基、またはアルコキシド基に対する比率は0.5:1.0〜4.0:1.0の範囲であり、好ましくは約1.0:1.0である。
重合性モノマー
本発明の接着性組成物は少なくとも1種類の重合性モノマーを含む。大まかに述べると、本発明の接着性組成物中の重合性モノマーは、フリーラジカル重合可能な少なくとも1種類のエチレン系不飽和モノマーを含む。多くの種類のエチレン不飽和含有化合物を本発明の接着性組成物に使用することができる。好ましくは、本発明の組成物は、少なくとも1種類の(メタ)アクリル系モノマーを含み、最も好ましくは少なくとも1種類のメタアクリル系モノマーを含む。本明細書で使用される場合、用語「(メタ)アクリレート」および「(メタ)アクリル系」、ならびにそれらの複数形は、指定の化合物のアクリレート種およびメタクリレート種の両方を含むことを意味する。たとえば、用語「(メタ)アクリル酸エチル」は、アクリル酸エチルおよびメタクリル酸エチルを含むことを意味する。特に好ましいものは(メタ)アクリル酸誘導体であり、たとえばエステルおよび/または(メタ)アクリルアミドなどの誘導体である。好適なものは、たとえば、一価アルコール、特に1〜12個の炭素原子を有するアルカノールの(メタ)アクリル酸エステル、たとえば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル;ヘテロ原子をさらに含む一価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、たとえば(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルおよび(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル;多価アルコール、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ペンタプロピレングリコール、およびポリプロピレングリコールの(メタ)アクリル酸エステル;エトキシル化またはプロポキシル化ジフェニロールプロパン、およびヒドロキシ末端ポリウレタンである。多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルは、以降オリゴマー(メタ)アクリレートと称する。
酢酸ビニル、ハロゲン化ビニル、たとえば塩化ビニル、フッ化ビニル、および臭化ビニルなどの重合性モノマーも基本的に好適である。しかし、一般にこれらの化合物は、重合性組成物中で副次的な量でのみ使用される。
さらなる好適な重合性モノマーは、(メタ)アクリルアミド類、たとえばN,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−t−ブチルアクリルアミド、N−(アクリロイル)モルホリン、およびN−(アクリロイル)ピペリジンである。
一般に、分子中に1つまたは2つのオレフィン系二重結合、好ましくは1つのオレフィン系二重結合を有するモノマーが重要である。より高次の不飽和成分のさらに使用することは排除されないが、それらの成分が可使時間および/または物理的性能に悪影響を与える可能性について留意する必要がある。
添加剤
本発明の接着性組成物は、任意選択の添加剤をさらに含んでもよい。特に有用な添加剤の1つは増粘剤であり、たとえば中程度(すなわち、約40,000)の分子量のポリブチルメタクリレートであり、これは重合性モノマーの全重量を基準にして約50重量%までの量で一般に混入することができる。増粘剤は、容易に適用される粘稠シロップ状の稠性まで、得られる接着性組成物の粘度を増加させるために使用することができる。
別の特に有用な添加剤は、エラストマー材料である。これらの材料は、それを使用して得られる接着性組成物の破壊靭性を向上させることができ、このことはたとえば、強固で高い降伏強度の材料(たとえば、可撓性ポリマー基材などの他の材料ほどエネルギーを力学的に吸収しない金属基材)と接着する場合に好都合となりうる。一般にこのような添加剤は、接着性組成物の全重量を基準にして約50%までの量で混入することができる。
コア−シェル型ポリマーを、接着性組成物の塗布および流動特性を調節するために加えることもできる。このような性質の向上は、接着性組成物をシリンジ型適用装置から供給した場合の望ましくない「糸」の残留、あるいは垂直面に適用した後の垂れまたは落下の傾向が軽減されることによって表面化しうる。したがって、接着性組成物の全重量に対して約20重量%を超えるコア−シェル型ポリマー添加剤を使用すると、改良された垂れ−落下抵抗性の実現のために望ましい場合がある。コア−シェル型ポリマーは、それを使用して得られる接着性組成物の破壊靭性も向上させることができ、このことはたとえば、強固で高い降伏強度の材料(たとえば、可撓性ポリマー基材などの他の材料ほどエネルギーを力学的に吸収しない金属基材)と接着する場合に好都合となりうる。
反応性希釈剤も本発明の接着性組成物に加えてよい。好適な反応性希釈剤としては、米国特許第6,252,023号明細書(モレン(Moren))に報告されているような1,4−ジオキソ−2−ブテン官能性化合物、および米国特許第5,935,711号明細書(ポーシャス(Pocius)ら)に報告されているようなアジリジン官能性化合物が挙げられる。
国際公開第01/68783号パンフレット(モレン(Moren)に報告される種類のビニル芳香族化合物も、本発明の接着性組成物に混入してよい。
たとえば、貯蔵中の重合性モノマーの劣化を防止または軽減するためにヒドロキノンモノメチルエーテルおよびトリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩などの少量の阻害剤を重合性組成物に使用してもよい。阻害剤は、重合速度、およびそれを使用して得られるポリマーの最終的性質に実質的に影響しない量で加えることができる。したがって、一般に阻害剤は、重合性組成物中の重合性モノマーの全重量を基準にして約100〜10,000ppmの量で有用となる。
その他の使用可能な添加剤としては、非反応性の着色剤、フィラー(たとえば、カーボンブラック、中空ガラス/セラミックビーズ、シリカ、二酸化チタン、中実ガラス/セラミック球、導電性および/または熱伝導性粒子、帯電防止化合物、およびチョーク)などが挙げられる。種々の任意選択の添加剤は、あらゆる量で使用されるが、一般には重合過程、およびこれらの添加剤を使用して得られるポリマーの所望の性質に顕著な悪影響を与えない量で使用される。
本発明の接着性組成物は、プライマー処理などの複雑な表面予備処理技術を使用せずに接着することが従来非常に困難であった低表面エネルギープラスチックまたはポリマー基材の接着接合に特に有用である。低表面エネルギー基材とは、表面エネルギーが45mJ/m2未満、より典型的には40mJ/m2未満または35mJ/m2未満である材料を意味する。このような材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、および表面エネルギーが20mJ/m2未満であるポリテトラフルオロエチレン(テフロン(TEFLON))などのフッ素化ポリマーが挙げられる(「表面エネルギー」という表現は、他所における「臨界ぬれ張力」と同義的に使用されることが多い)。本発明の組成物と実用的に接着することができる幾分高い表面エネルギーの他のポリマーとしては、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、およびポリ塩化ビニルが挙げられる。
本発明の接着性組成物は、2液型配合物として容易に提供することができる。アクリル系モノマーは、このような材料を扱う場合に通常実施されるように混合される。本発明の接着性組成物は、接着性組成物を基材に適用する前に一部が混合される2液型配合物として提供されることが好ましい。このような方法では、接着性組成物の硬化(すなわち重合)が望まれるまで、重合性モノマーを有機ボラン開始剤と分離することができる。したがって、2液型接着性組成物の第1液または「A液」は、有機ボラン開始剤(好ましくは錯形成した有機ボラン開始剤)を含み、任意選択の添加剤、たとえば反応性希釈剤または可塑剤をさらに含んでもよい。2液型接着性組成物の第2液または「B液」は、少なくとも1種類の重合性モノマーを含み、A液中の有機ボラン開始剤が錯形成される(たとえば、有機ボランアミン錯体)場合には脱錯化剤をさらに含む。B液は、任意選択の添加剤、たとえば、微小球またはコア−シェル型ポリマーをさらに含んでもよい。本発明の接着性組成物では、金属塩はA液、B液、またはA液およびB液の両方に含まれる。
商業的および工業的環境で最も容易に使用される本発明のような2液型接着性組成物の場合、2種類の液が混合される比率は、簡便な整数となるべきである。これによって、従来の市販の供給装置を使用した接着剤の適用が容易になる。このような供給装置は米国特許第4,538,920号明細書および第5,082,147号明細書に見られ、コンプロテック(ConProTec,Inc.)(ニューハンプシャー州セーレム(Salem NH))より商品名「ミックスパック」(MIXPAC」として市販されており、二重シリンジ型適用装置として説明される場合もある。
典型的には、これらの供給装置は、並んで配置された1組の管状容器を使用し、接着剤の2液の一方の液をそれぞれの管が受け入れるように意図されている。各管で1つずつの2つのプランジャーは同時に移動し(たとえば、手動によるか、または手で作動させる歯止め機構によって)、管の内容物が共通の細長い混合室に送り込まれ、この混合室は2液の混合を促進するためのスタティックミキサーを備えていてもよい。混合された接着性組成物は、混合室から基材上に供給される。管が空になると、新しい管と取り替えることができ、適用工程が続けられる。
接着性組成物の2つの液が混合される比率は、管の直径によって調節される(各プランジャーは一定の直径の管の内部に受け入れられる寸法を有し、プランジャーは同じ速度で管内に移動していく)。1つの供給装置が、種々の異なる2液型接着性組成物の使用を意図している場合が多く、プランジャーは、好都合な混合比で接着性組成物の2つの液を供給するような寸法を有する。ある一般的な混合比は1:1、1:2、1:4、および1:10である。
接着性組成物の2つの液が、端数の混合比(たとえば3.5:100)で混合される場合は、おそらく最終使用者は接着剤の2つの液を手で秤量することになる。したがって、最良の商業的および工業的有用性のため、ならびに現在利用可能な供給装置の使用を容易にするためには、接着性組成物の2つの液は、1:10以下、より好ましくは1:4、1:3、1:2、または1:1などの一般的な整数混合比で混合可能となるべきである。
本発明の接着性組成物は、2液型接着剤用の従来の市販の供給装置での使用に適している。接着剤組成物の2液の混合比を最も商業的に重要な整数値(たとえば、1:10、1:4、1:3、1:2、または1:1)に調整するために、ビニル芳香族化合物に対する有機ボランの溶解性を好都合に使用することができる。
2つの液が混合された後、接着性組成物は、接着性組成物の可使時間以下の時間以内に使用されることが好ましい。接着性組成物は一方または両方の基材に適用され、次に圧力を加えて基材を互いに接合されて、ボンドラインから過剰の組成物が押し出される。これは、空気中に露出しており硬化が進行しすぎる可能性のある接着性組成物を除去するという利点も有する。一般に、接着は、組成物が基材に適用された後に短時間で行うべきであり、好ましくは接着性組成物の可使時間以内の時間で行うべきである。典型的な接着層の暑さは約0.1〜0.3mmであるが、間隙の充填が必要とされる場合には1.0mmを超えることもある。接着工程は室温で容易に実施することができ、重合度を向上させるために約40℃未満の温度に維持することが望ましい。全強度は、通常は周囲条件下で24時間未満に達成される。希望するなら、高温における後硬化を使用してもよい。
以下の非限定的な実施例を参照すれば、本発明をより十分に理解できるであろう。
これらの実施例は単に説明を目的としており、添付の請求項の範囲の限定を意味するものではない。実施例および本明細書の残りの部分におけるすべての部、%値、比率などは、他に明記しない限りは重量を基準としている。
実施例で使用されている種々の商品名および略語は、以下の略語表により定義される。
Figure 2005514489
接着試験方法
重なり剪断接着強度試験方法
各接着性組成物を未処理の2.5cm×10cm×0.3cm(1インチ×4インチ×0.125インチ)試験パネル上に直接適用し、重なり合う領域が1.3cm×2.5cm(0.5インチ×1インチ)となるように第1の試験パネル上の接着性組成物に向けて、未処理の第2の試験パネルを直ちに配置した。重なり合った領域にクランプを取り付けた。試験パネルは高密度ポリエチレン(HDPE)(ミネソタ州ミネアポリスのミネソタ・プラスチックス(Minnesota Plastics;Minneapolis,MN))およびポリプロピレン(PP)(ミネソタ州ミネアポリスのキャディラック・プラスチックス(Cadillac Plastics;Minneapolis,MN))であった。少量の接着性組成物が重なり合った領域から押し出されたが、そのまま放置した。
接着部分は、22℃で少なくとも48時間硬化させた。次に、クランプを取り外し、重なり合った接着部分について、引張試験機を使用しクロスヘッド速度1.27cm/分(0.5インチ/分)で剪断力(OLS)を試験した。重なり剪断値はポンド/平方インチの単位で記録し、メガパスカル(MPa)に変換した。重なり剪断値は、3回繰り返した試験の平均値を表している。
可使時間試験方法
この試験は、接合形成前に接着剤が空気に暴露した時間の関数として、重なり剪断接着強度を測定する。上記の重なり剪断接着強度試験方法に従ったが、ただし、未処理の第2の試験パネルを接着剤が適用された第1の試験パネルに直接押しつけるのではなく、各接着性組成物を未処理の試験パネル上に直接適用し、得られた組立体を実施例に記載される開放時間のあいだ静置し、続いて未処理の第2の試験パネルを、第1の試験パネル上の空気に曝露した接着性組成物に向けて配置して、重なり合う領域を形成させた。1)基材が接合部の破壊を起こさないか、2)接合部の破壊が接着剤の100%凝集破壊であり、前述の重なり剪断接着強度試験方法に従って測定された重なり剪断値の少なくとも95%である重なり剪断値が得られるか、のいずれかが得られる最大開放時間を接着剤の可使時間(「WL」とも記載する)と定義する。重なり剪断値は2回繰り返した試験の平均値を表している。
重なり剪断接着強度増加速度試験方法
この試験は、硬化時間の関数として、部分的に硬化した接着性組成物の重なり剪断接着強度を測定する。上記の重なり剪断接着強度試験方法に従ったが、ただし接着部分は22℃で少なくとも48時間硬化させるのではなく、実施例で指定される時間22℃で接着部分を硬化させた。次にクランプを取り外し、重なり合った接着部分の剪断力を試験した。重なり剪断強度が50psi(0.34MPa)に到達する時間をグラフより求め、「T50」として記録する。重なり剪断値は2回繰り返した試験の平均値を表している。
剥離接着強度試験方法
各接着性組成物を、未処理の厚さ0.8mm(30ミル)の高密度ポリエチレン(HDPE)フィルム(ミネソタ州ミネアポリスのキャディラック・プラスチックス(Cadillac Plastics;Minneapolis,MN)より入手可能)上に直接適用した。第2の未処理HDPEフィルムを接着性組成物に押し付け、1.2kg(2.7ポンド)のおもりを乗せたガラス板を使用して接触を維持した。第1のフィルムに十分な接着性組成物が適用されて、最小接着の幅2.5cm(1インチ)×長さ5cm(2インチ)の最小接着寸法が得られた。
接着された被着体を22℃で24時間硬化させた。試料の覆いを外して、さらに22℃で少なくとも24時間硬化させた後、幅1インチ(2.54cm)に細断し、続いて引張試験機を使用しクロスヘッド速度を10.2cm/min(4インチ/分)に設定してT型剥離モードで接着強度を試験した。試料の2つの重なり合う自由端は引張試験機のジョーで固定し、一方の自由端は上部ジョーで固定し、一方の自由端は下部ジョーで固定した。次に、少なくとも2.5cm(1インチ)の接着剤が露出するか、または被着体の破壊が起こるかするまでジョーを引き離した。接着剤が最初に露出して後の試験中の幅当たりの平均の力を、剥離強度としてポンド/インチ幅の単位で記録し、これをニュートン/cm(N/cm)に変換した。
β−ケトン官能性オリゴマーおよびポリマーの合成
合成例S1−ポリ(スチレン−コ−アリルアセトアセテート)の合成
ARCAL SAA100(57.80g、0.20当量のOH)およびアセト酢酸t−ブチル(31.60g、0.20モル)を混合し、200℃の終点まで加熱した。t−ブチルアルコールを蒸留して回収した(14.35g、理論の97%)。ポリ(スチレン−コ−アリルアセトアセテート)生成物を冷却すると、透明で硬質のガラス状物質になった。この付加体を以降は「p(Sty−AAcAc)」と呼ぶ。
合成例S2
ARCAL SAA100の代わりにジエチレングリコール(10.60g、0.20当量のOH)を使用したことを除けば、合成例S1を繰り返した。t−ブチルアルコールの回収は理論の95%を超えた。得られたアセトアセテート官能性オリゴマーを冷却すると、中程度の粘度の液体になった。この付加体を以降は「DEGAcAc2」と呼ぶ。
α−メチルスチレン官能性オリゴマーの合成
合成例S3
TMI(120.60g、0.60モル)およびジェファーミンD2000(600.00g、0.60当量のアミン)を混合して、外部温度制御なしに反応させた。室温で終夜静置した後、赤外分光法を行うと、2265cm-1のイソシアネート帯域の消失より、完全に反応していることが分かった。このα−メチルスチレン官能性オリゴマー生成物を以降は「AMSPU2400」と呼ぶ。
メタクリレート末端ポリウレタンの合成
合成例S4
2,4−トリレンジイソシアネート末端ポリプロピレングリコール(493.00g、イソシアネート当量1.00)(アルドリッチ(Aldrich)#43,348−9、公称分子量1000)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(143.14g、1.10モル、アルドリッチ(Aldrich))、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(0.06g、アルドリッチ(Aldrich))、およびジブチルスズジラウレート(0.30g、アルドリッチ(Aldrich))を順次加えて混合し、外部温度制御なしに1時間反応させた後、70℃で4時間加熱した。赤外分光法を行うと、2265cm-1のイソシアネート帯域の消失より、完全に反応していることが分かった。このメタクリレート末端ポリウレタン生成物を以降は「PUMA1250」と呼ぶ。
実施例1〜10および比較例C1
開始剤成分
モル比2:1のトリエチルボラン:1,6−ヘキサンジアミン錯体(32.00g)をAMSPU2400(168.00g)に溶解した。気泡を上昇させて、放出させた。この開始剤成分を以降は「開始剤成分A」と呼び、実施例1〜10および比較例C1のすべてで使用する。
重合性組成物
ブレンデックス360(202.50g)、THFMA(511.50g)、およびAMSPU2400(19.50g)を含有するスラリーを70℃で2時間静置した。得られた不透明な分散液を冷却した後、ペンシルバニア州リーディングのプレミア・ミル・コーポレーション(Premier Mill Corporation;Reading,PA)より入手可能な実験室用分散装置ののこぎり状ブレードで激しく剪断した。Z−ライトW1600(16.50g)を温かい分散液に加え、十分に混合した。このモノマー混合物を以降は「モノマー混合物A」と呼ぶ。
臭化銅(II)(4.00g)をジメチルアクリルアミド(4.00g)と混合したスラリーを加熱して、均一な黒色溶液を得た。この臭化銅(II)溶液を以降は「金属塩溶液A」と呼ぶ。一部の実施例では、第2の臭化銅(II)溶液の「金属塩溶液B」を使用した。金属塩溶液Bは、0.20gの金属塩溶液Aと0.80gのジメチルアクリルアミドとを混合して調製した。
各実施例を作成するために、モノマー混合物AをMAEAcAc、および金属塩溶液Aまたは金属塩溶液Bの一部と混合して、表1に示す重合性組成物を得た。短時間減圧下で撹拌することによって気泡を重合性組成物から除去した。
接着剤
各重合性組成物および開始剤成分Aを、体積比10:1の二重シリンジ適用装置(ミックスパックシステム50(MixPac System 50)、キット番号MP−050−10−09、ニューハンプシャー州セーレムのコンプロテック(ConProTec;Salem,NH)より入手可能)に充填して、より大きなシリンダーには重合性組成物を入れ、より小さなシリンダーには開始剤成分を入れた。これら2種類の液を、長さ10cm(4インチ)の17段階静的混合ノズル(部品番号MX4−0−17−5、コンプロテック(ConProTec))から同時押出することによって混合した。上記に概略を示した試験方法に従って試験片を作製して試験を行い、その結果を表2〜4に示している。表5では、HDPEのOLSが0.34MPaに到達する時間(T50)、可使時間(WL)、およびT50/WL比について実施例1〜10および比較例C1で評価した。
Figure 2005514489
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Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
実施例11〜33および比較例C2
前述の実施例1〜10に示した金属塩溶液の調製の説明に従って、表6に記載されるように異なる金属塩溶液を調製した。すべての金属塩は、マサチューセッツ州ニューベリーポートのストレム・ケミカル・カンパニー(Strem Chemical Company,Newburyport,MA)より市販されている。
Figure 2005514489
金属塩溶液Aの代わりに種々の量の金属塩溶液C〜Tを使用したことを除けば、実施例1〜10および比較例C1と同様にして重合性組成物を調製した。各重合性組成物は、実施例1〜10および比較例C1と同様に開始剤成分Aの反対側に充填した。上記に概略を示した試験方法に従って試験片を作製して試験を行った。試験結果は表8〜10にまとめている。表11では、HDPEのOLSが0.34MPa(50psi)に到達する時間(T50)、可使時間(WL)、およびT50/WL比について実施例11〜33で評価した。
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
金属塩を含有しない比較例C1と比較すると、比較例C2は、可使時間および強度増加速度の両方に対する塩化亜鉛の悪影響が示されている。
実施例34〜37
異なる重合性組成物および開始剤成分を使用したことを除けば、実施例1〜10および比較例C1と同様にして、実施例34〜37を調製し評価した。
2種類の開始剤成分を調製した。
開始剤成分B
ポリ(ブチルメタクリレート−コ−メチルメタクリレート)(アルドリッチ(Aldrich)#47,403−7;分子量150,000)(4.00g)およびマレイン酸ジブチル(6.00g)を混合し加熱して溶液を得た。2:1のモル比のトリエチルボラン:1,6−ヘキサンジアミン錯体(1.90g)を冷却したポリマー溶液に加え、続いて窒素雰囲気下で穏やかに加熱して、均一溶液を得た。気泡を上昇させて、放出させた。この溶液を以降は「開始剤成分B」と呼ぶ。
開始剤成分C
ブレンデックス360(18.05g)およびマレイン酸ジブチル(33.51g)を含有するスラリーを70℃で2時間静置した。得られた不透明な分散液を冷却した後、ペンシルバニア州リーディングのプレミア・ミル・コーポレーション(Premier Mill Corporation;Reading,PA)より入手可能な実験室用分散装置ののこぎり状ブレードで激しく剪断した。2:1のモル比のトリエチルボラン:1,6−ヘキサンジアミン錯体(1.90g)とこの分散液の一部(10.00g)とを混合し、窒素雰囲気下で穏やかに加熱して、均一分散液を得た。気泡を上昇させて、放出させた。この分散液を以降は「開始剤成分C」と呼ぶ。
重合性組成物
ブレンデックス360(58.41g)およびTHFMA(161.59g)を含有するスラリーを70℃で2時間静置した。得られた不透明な分散液を冷却した後、ペンシルバニア州リーディングのプレミア・ミル・コーポレーション(Premier Mill Corporation;Reading,PA)より入手可能な実験室用分散装置ののこぎり状ブレードで激しく剪断した。このモノマー混合物を以降は「モノマー混合物B」と呼ぶ。表12に示される成分を使用し、実施例1〜10および比較例C1と同様にして2種類の重合性組成物を調製した。
Figure 2005514489
実施例1〜10および比較例C1に記載される方法を使用して、表13に示されるように重合性組成物AおよびBのそれぞれを、開始剤成分BおよびCのそれぞれの反対側に充填した。上記に概略を示した試験方法に従って試験片を作製して試験を行った。これらの結果を表13〜15にまとめている。表16では、HDPEのOLSが0.34MPaに到達する時間(T50)、可使時間(WL)、およびT50/WL比について実施例34〜37で評価した。
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
実施例38〜44
表17に示される種々の脱錯化剤を使用することを除けば、実施例1〜10および比較例C1と同様にして重合性組成物を調製した。各重合性組成物は、実施例1〜10および比較例C1と同様に開始剤成分Aの反対側に充填した。上記に概略を示した試験方法に従って試験片を作製して試験を行った。結果を表20〜22に示す。表23では、HDPEのOLSが0.34MPaに到達する時間(T50)、可使時間(WL)、およびT50/WL比について実施例38〜44で評価した。
Figure 2005514489
実施例45〜46
重合性組成物
ブレンデックス360(199.50g)、THFMA(476.25g)、およびAMSPU2400(39.00g)を含有するスラリーを70℃で2時間静置した。得られた不透明な分散液を冷却した後、ペンシルバニア州リーディングのプレミア・ミル・コーポレーション(Premier Mill Corporation;Reading,PA)より入手可能な実験室用分散装置ののこぎり状ブレードで激しく剪断した。Z−ライトW1600(35.25g)を温かい分散液に加え、十分に混合した。このモノマー混合物を以降は「モノマー混合物C」と呼ぶ。
表18に示すように異なる脱錯化剤(TMXDI)を使用し、モノマー混合物Aの代わりにモノマー混合物Cを使用したことを除けば、実施例1〜10および比較例C1と同様にして重合性組成物を調製した。各重合性組成物は、実施例1〜10および比較例C1と同様に開始剤成分Aの反対側に充填した。上記に概略を示した試験方法に従って試験片を作製して試験を行った。結果を表20〜22に示す。表23では、HDPEのOLSが0.34MPaに到達する時間(T50)、可使時間(WL)、およびT50/WL比について実施例45〜46で評価した。
Figure 2005514489
実施例47〜58
臭化銅(II)(5.00g)をジメチルアクリルアミド(15.00g)と混合したスラリーを加熱して、均一な黒色溶液を得た。この臭化銅(II)溶液を以降は「金属塩溶液U」と呼ぶ。
無水ヘキサヒドロフタル酸(10.00g)をTHFMA(15.00g)に溶解した。この溶液を使用して実施例47〜58を調製した。
表18に示すように異なる脱錯化剤(無水ヘキサヒドロフタル酸)を使用し、金属塩溶液Aの代わりに金属塩溶液Tを使用したことを除けば、実施例1〜10および比較例C1と同様にして重合性組成物を調製した。各重合性組成物は、実施例1〜10および比較例C1と同様に開始剤成分Aの反対側に充填した。上記に概略を示した試験方法に従って試験片を作製して試験を行った。結果を表20〜22に示す。表23では、HDPEのOLSが0.34MPaに到達する時間(T50)、可使時間(WL)、およびT50/WL比について実施例47〜58で評価した。
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
Figure 2005514489
本明細書で言及される特許、特許文献、および刊行物の全体の開示は、それぞれがここに援用されるように、記載内容全体を本明細書に援用する。本発明の種々の修正および変形は、本発明の範囲および逸脱することなしに、当業者に明らかとなるであろう。本明細書に記載の説明的実施態様および実施例によって本発明が不当に限定されることを意図するものではなく、このような実施例および実施態様は、請求項によってのみ限定されることを意図している本発明の範囲による例としてのみ提示されているものと理解されたい。

Claims (44)

  1. (i)有機ボランと、
    (ii)少なくとも1種類の重合性モノマーと、
    (iii)式(1):
    [Ma+n][X-ma/m
    (1)
    による金属塩とを含み、
    式中、
    Mは2つの化学的に利用可能な酸化状態を有し正電荷aを有する金属陽イオンであり、aは1〜6の範囲の整数であり、
    Xは電荷−mを有する対イオンであり、mは1〜3の範囲の整数であり、
    Lは共有結合しているリガンドであり、
    nは0〜10の範囲の整数であり、前記金属陽イオンと共有結合しているリガンドの数を表している、
    接着性組成物。
  2. Mが、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、アンチモン、白金、およびセリウムからなる群より選択される陽イオンである、請求項1に記載の接着性組成物。
  3. Mが、マンガン、鉄、コバルト、および銅からなる群より選択される陽イオンである、請求項1に記載の接着性組成物。
  4. Mが銅または鉄の陽イオンである、請求項1に記載の接着性組成物。
  5. 前記金属陽イオンMの2つの化学的に利用可能な酸化状態が、1単位の電荷だけ離れている、請求項1に記載の接着性組成物。
  6. Xが、ハロゲン化物、ホウ酸塩、スルホン酸塩、およびカルボン酸塩からなる群より選択される、請求項1に記載の接着性組成物。
  7. Xが、塩化物、臭化物、テトラフルオロホウ酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ナフテン酸塩、および2−エチルヘキサン酸塩からなる群より選択される、請求項1に記載の接着性組成物。
  8. Lが、水、アンモニア、アミン、カルボニル、イソニトリル類、ホスフィン類、ホスフィット類、アルシン類、ニトロシル、エチレン、およびアルケン類からなる群より選択される、請求項1に記載の接着性組成物。
  9. 前記金属塩が、臭化銅(II)、塩化銅(II)、2−エチルヘキサン酸銅(II)、臭化鉄(III)、臭化バナジウム(III)、臭化クロム(III)、臭化ルテニウム(III)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、ナフテン酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化鉄(II)、臭化マンガン(II)、臭化コバルト(II)、臭化ニッケル(II)、臭化アンチモン(III)、および臭化パラジウム(II)からなる群より選択される、請求項1に記載の接着性組成物。
  10. 前記金属塩が、前記接着性組成物を基準にして0ppmを超え約40,000ppm未満の量で存在する、請求項1に記載の接着性組成物。
  11. 前記接着性組成物中に前記金属塩が、前記接着性組成物を基準にして約60ppm〜約20,000ppmの範囲の量で存在する、請求項1に記載の接着性組成物。
  12. 前記接着性組成物中に前記金属塩が、前記接着性組成物を基準にして約100ppm〜約4,000ppmの範囲の量で存在する、請求項1に記載の接着性組成物。
  13. 前記接着性組成物が、前記接着性組成物を基準にして、有機ボランの形態の約0.003〜約1.5重量%のホウ素と、約40,000ppm未満の金属塩とを含む、請求項1に記載の接着性組成物。
  14. 前記有機ボランが錯化剤と錯形成しており、前記接着性組成物が脱錯化剤をさらに含む、請求項1に記載の接着性組成物。
  15. 前記錯化剤が、アミン、アミジン、水酸化物、アルコキシド、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項14に記載の接着性組成物。
  16. 脱錯化剤が、酸、無水物、アルデヒド、β−ケトン化合物、イソシアネート、酸塩化物、塩化スルホニル、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項14に記載の接着性組成物。
  17. 前記少なくとも1種類の重合性モノマーが、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の接着性組成物。
  18. 前記少なくとも1種類の重合性モノマーが、一価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、および多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステルからなる群より選択される、請求項1に記載の接着性組成物。
  19. 反応性希釈剤をさらに含む、請求項1に記載の接着性組成物。
  20. 可使時間試験方法によって定義される前記接着性組成物の可使時間が約5分以上である、請求項1に記載の接着性組成物。
  21. 可使時間試験方法によって定義される前記接着性組成物の可使時間が約10分以上である、請求項1に記載の接着性組成物。
  22. 可使時間試験方法によって定義される前記接着性組成物の可使時間が約20分以上である、請求項1に記載の接着性組成物。
  23. 第1の基材と、請求項1に記載の硬化した接着性組成物の層によってともに接着接合した第2の基材とを含む接着複合体。
  24. 前記第1および第2の基材の少なくとも一方が低表面エネルギーポリマー材料である、請求項23に記載の接着複合体。
  25. 前記第1および第2の基材のそれぞれが独立に低表面エネルギーポリマー材料から選択される、請求項23に記載の接着複合体。
  26. 前記第1および第2の基材の少なくとも一方が、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレンからなる群より選択される、請求項23に記載の接着複合体。
  27. 前記第1および第2の基材のそれぞれが独立に、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリテトラフルオロエチレンからなる群より選択される、請求項26に記載の接着複合体。
  28. (a)有機ボランを含む開始剤成分と、
    (b)少なくとも1種類の重合性モノマー、および
    式(I)
    [Ma+n][X-ma/m
    (1)
    による金属塩を含む重合性組成物とを含み、
    式中、
    Mは、2つの化学的に利用可能な酸化状態を有し正電荷aを有する金属陽イオンであり、aは1〜6の範囲の整数であり、
    Xは電荷−mを有する対イオンであり、mは1〜3の範囲の整数であり、
    Lは共有結合しているリガンドであり、
    nは0〜10の範囲の整数であり、前期金属陽イオンと共有結合しているリガンドの数を表している、
    反応性2液型接着性組成物。
  29. 前記第1液および第2液が約1:10〜約1:1の整数比で混合される、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  30. 前記有機ボランが錯化剤と錯形成しており、前記第2液が脱錯化剤をさらに含む、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  31. Mがバナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、アンチモン、白金、およびセリウムからなる群より選択される陽イオンである、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  32. Mがマンガン、鉄、コバルト、および銅からなる群より選択される陽イオンである、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  33. Mが銅または鉄の陽イオンである、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  34. 前記金属陽イオンMの2つの化学的に利用可能な酸化状態が、1単位の電荷だけ離れている、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  35. Xが、ハロゲン化物、ホウ酸塩、スルホン酸塩、およびカルボン酸塩からなる群より選択される、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  36. Xが、塩化物、臭化物、テトラフルオロホウ酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、ナフテン酸塩、および2−エチルヘキサン酸塩からなる群より選択される、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  37. Lが、水、アンモニア、アミン、カルボニル、イソニトリル類、ホスフィン類、ホスフィット類、アルシン類、ニトロシル、エチレン、およびアルケン類からなる群より選択される、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  38. 前記金属塩が、臭化銅(II)、塩化銅(II)、2−エチルヘキサン酸銅(II)、臭化鉄(III)、臭化バナジウム(III)、臭化クロム(III)、臭化ルテニウム(III)、テトラフルオロホウ酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、ナフテン酸銅(II)、臭化銅(I)、臭化鉄(II)、臭化マンガン(II)、臭化コバルト(II)、臭化ニッケル(II)、臭化アンチモン(III)、および臭化パラジウム(II)からなる群より選択される、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  39. 前記金属塩が、前記接着性組成物を基準にして0ppmを超え約40,000ppm未満の量で存在する、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  40. 前記接着性組成物が、前記接着性組成物を基準にして、有機ボランの形態の約0.003〜約1.5重量%のホウ素と、約40,000ppm未満の金属塩とを含む、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  41. 前記少なくとも1種類の重合性モノマーが、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  42. 可使時間試験方法によって定義される前記接着性組成物の可使時間が約5分以上である、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  43. 可使時間試験方法によって定義される前記接着性組成物の可使時間が約10分以上である、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
  44. 可使時間試験方法によって定義される前記接着性組成物の可使時間が約20分以上である、請求項28に記載の反応性2液型接着性組成物。
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