JP2005508832A - 間隔を開けてアルギニン部分を含むトランスポーター - Google Patents

間隔を開けてアルギニン部分を含むトランスポーター Download PDF

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Abstract

本明細書中は、生物学的膜を横切り、かつ動物の上皮組織または内皮組織を横切ってそれら組織に入る、生物学的に活性な化合物の輸送を増加させる、組成物および方法を提供する。この組成物は、生物学的に活性な因子および輸送部分を含む。この輸送部分は、(ZYZ)Z、(ZY)Z、(ZYY)Zおよび(ZYYY)Zからなる群より選択される構造を含む。添字「Z」は、L−アルギニンまたはD−アルギニンであり、そして添字「Y」は、アミジノ部分またはグアニジノ部分を含まないアミノ酸である。添字「n」は、2〜10の整数である。この輸送を増加させるための方法は、前出の組成物を投与する工程を包含する。

Description

(関連出願の相互参照)
本願は、2001年2月16日出願の米国仮出願番号60/269,627号(この開示は、本明細書で参考として援用される)の利益を主張する。本発明は、国立衛生研究所によって与えられたCA31841、CA31845、CA65237の契約下で、米国政府の援助によりなされた。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
(発明の背景)
生きている生物には、多数の天然の障壁が存在する。この障壁は、敏感な生化学的経路からの有害な刺激(例えば、毒性化学物質)を排除するための機構として、時間をかけて発達してきた可能性が高い。細胞膜、上皮組織および内皮組織は、これらの障壁の例である。
不運にも、細胞膜のような障壁は、特定の有害化合物を忌避することによるのではなく、特定の物理的特徴を有する化学化合物を排除することによって機能する。このことは、障壁に包まれた生体ポリマーを標的化する薬物の発見の分野において問題となり得る。例えば、細胞膜は、高度に荷電した化合物(例えば、ポリヌクレオチド)と特に相互作用可能である。高度に荷電した化合物(例えば、オリゴヌクレオチド)を生物に投与する場合、その医療的有用性は、その細胞内標的へ効率的にアクセスできないことによって、妨害される。
研究者らは、生物の障壁を越える化学化合物の輸送を増強するための技術の開発を試みてきた。例えば、Ryserらは、細胞膜を越える種々の分子の輸送を増大させるための、高分子量リジンポリマーの使用を議論している。Ryser,H.J.P.、PCT公開番号WO79/00515(1979)を参照のこと。Frankelらは、HIV tatタンパク質への選択した分子の結合体化を報告し、これは、分子の細胞取り込みを増大させた。Frankelら、PCT公開番号WO91/09958(1991)を参照のこと。Barsoumは、細胞膜輸送を増強する際のHIV tat配列RKKRRQRRRの使用を議論している。Barsoumら、PCT公開番号WO94/04686(1994)を参照のこと。Brugidouらは、培養されたニューロンによる、Antennapediaホメオドメイン由来の16アミノ酸のペプチド−コレステロール結合体の迅速な内在化を報告する。Brugidou,J.ら、Biochem.Biophys.Res.Comm.214(2):685−693(1995)を参照のこと。
いくつかの方法は、上皮組織を越える化合物の輸送を増強するためにも提案されてきた。例えば、化学的増強因子(Burnette,R.R.、Developmental Issues and Research Initiatives;Hadgraft J.編、Marcel Dekker:1989、247−288頁)およびイオン泳動は、薬物の経皮輸送について使用されてきた。これらの試みは、経皮投与のための1ダース未満の薬物を生成した。
さらに最近、方法および組成物が、生物学的膜を越えて薬物および高分子を輸送するために記載されており、ここで、この薬物または高分子は、6〜25個のサブユニットからなる輸送ポリマー(そのうち少なくとも50%は、グアニジノ側鎖またはアミジノ側鎖を含む)に共有結合される。この輸送ポリマーは、好ましくは、全てD−アルギニンサブユニット、すべてL−アルギニンサブユニットまたはD−アルギニンサブユニットとL−アルギニンサブユニットとの混合物からなる、ポリアルギニンペプチド化合物である(PCT/US/10571、WO/52614、1998年11月26日公開を参照のこと)。
上記にもかかわらず、生物学的障壁を越える化合物の輸送を増強するための新規組成物および方法についての必要性が存在する。本発明は、この必要性および他の必要性を満たす。
(発明の要旨)
本発明は、生物学的障壁を越える、そして動物の上皮組織もしくは内皮組織を越えるかまたはこれら組織への、生物学的に活性な化合物の輸送を増強するための組成物および方法を提供する。この組成物は、生物学的に活性な薬剤および輸送部分を含み、これらは、結合または任意の連結基のいずれかにより、共有結合される。輸送部分としては、(ZYZ)Z、(ZY)Z、(ZYY)Zおよび(ZYYY)Zからなる群より選択される構造が挙げられる。サブユニット「Z」は、L−アルギニンまたはD−アルギニンであり、そしてサブユニット「Y」は、アミジノ部分もグアニジノ部分も含まないアミノ酸である。下付文字「n」は、2〜10の範囲の整数である。輸送を増強するための方法は、上記組成物を投与する工程を包含する。
(発明の詳細な説明)
(A.略語および定義)
以下の略語が本明細書中で使用される:abu:γ−アミノ酪酸;aca:ε−アミノカプロン酸;Fl:蛍光;Fmoc、フルオレニルメトキシカルボニル。一文字または三文字の略語を、許容できる慣例に従って、本明細書中で多数のアミノ酸について使用する。アミノ酸についての一文字略語の小文字は、D−異性体を示すことが意図され、そしてまた、従来の使用に従う。
用語「アルキル」は、15個までの炭素原子のアルキル炭素鎖の、非置換または置換の、線状、分枝、環状または組み合わせをいう。線状アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチルおよびn−オクチルが挙げられる。分枝アルキル基としては、例えば、イソ−プロピル、sec−プロピル、イソ−ブチル、tert−ブチルおよびネオペンチルが挙げられる。環状アルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。アルキル基の組み合わせはまた、本発明の定義および本発明の範囲内である(例えば、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロブチルプロピルなど)。アルキル基はまた、1以上の置換基、好ましくは0〜3個の置換基で置換され得る。このような置換基の非限定的な例としては、NH、SH、NO、ONO、F、Cl、Br、I、OH、COH、COCH、CN、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールおよびヘテロアリールが挙げられる。
用語「アリール」は、非置換または置換の芳香族炭素環式基をいう。アリール基は、単環または複数の縮合した環の化合物のいすれかである。例えば、フェニル基は、単環のアリール基である。複数の縮合した環を有するアリール基は、ナフチル基によって例示される。アリール基は、1以上の置換基、好ましくは0〜3個の置換基で置換され得る。このような置換基の非限定的な例としては、NH,SH、NO、ONO、F、Cl、Br、I、OH、COH、COCH、CN、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールおよびヘテロアリールが挙げられる。
用語「ヘテロアリール」は、1以上のヘテロ原子(例えば、O、S、N)が、炭素原子または炭素原子の対が保持する位置を占める、アリール基をいう。適切なヘテロアリール基の例としては、ピリジン、チオフェン、オキサゾール、ベンズイミダゾール、ピロール、フラン、キノリン、キナゾリンなどが挙げられる。
「上皮組織」は、体の表面、空間および空洞の表面領域を覆う基本的な組織をいう。上皮組織は、主に上皮細胞から構成され、この上皮細胞は、互いに結合し、そして細胞によって代表的に生成される細胞外マトリックス(基底膜)上に存在する。上皮組織としては、細胞の形状に基づいて、3つの一般的な型(鱗状上皮、立方体様上皮および円柱状上皮)が挙げられる。鱗状上皮(これは、肺および血管を裏打ちする)は、平らな細胞からなる。立方体様上皮は、腎臓細管を裏打ちし、そして立方体形状の細胞からなるが、一方、円柱状上皮は、消化管を裏打ちし、そして円柱状の外観を有する。上皮組織はまた、組織中の細胞層の数に基づいて分類され得る。例えば、単純な上皮組織は、単層の細胞からなり、各々の細胞は、基底膜上に存在する。「層状化」上皮組織は、互いに堆積したいくつかの細胞からなり;全ての細胞が基底膜に接触するわけではない。「偽層状化」上皮組織は、全てが基底膜に接触するが、核が種々のレベルにあるので、層状化したように見える細胞を有する。
用語「経上皮」送達または投与は、体の表面または組織(例えば、インタクトな皮膚または粘膜)の1以上の層を介した透過、および/またはこれらの層への透過による、局所投与による、薬剤の送達または投与をいう。従って、この用語は、経皮投与(例えば、経皮的吸収であり、皮内を含む)および経粘膜投与の両方を含むことが意図される。送達は、組織のより深い層へのものであり得、例えば、そして/または血流への送達であり得る。
「輸送増強」は、生物学的障壁を越える生物学的に活性な化合物の送達の量および/または速度の増加をいう。この用語はまた、生物学的に活性な化合物または薬剤の組織分布、局在および放出の変更を含むことを意味する。輸送増強の量は、輸送部分に結合していない化合物または薬剤の送達を、輸送部分に結合した化合物または薬剤の送達と比較することによって決定される。
「生物学的障壁」は、意図した標的部位への生物学的に活性な化合物の送達に対する生理学的な障壁をいう。例えば、これには、生物学的な膜、上皮組織および内皮組織が挙げられる。
「生物学的な膜」は、細胞外空間から、細胞または細胞群を分離する脂質含有障壁をいう。
「生物学的に活性な化合物」は、治療的化合物または診断薬剤、ならびに研究および開発設定におけるリード化合物をいう。なおさらに、この用語は、種々のプローブ(例えば、オリゴヌクレオチド単独または造影剤に結合したオリゴヌクレオチド)を含むことを意味する。
用語「治療的化合物」は、限定でなく、哺乳動物種の利益のために使用され得る任意の化合物をいう。多数のこのような薬剤は、細胞による取り込みの際に、細胞の構造、機能または組成を明らかに変化させる。明らかな変化には、1以上のmRNAの増加または減少した発現、1以上のタンパク質の増加または減少した発現、タンパク質または他の細胞成分のリン酸化、酵素の阻害または活性化、結合対のメンバー間の結合の阻害または活性化、増加した代謝物の合成速度、増加または減少した細胞増殖などが挙げられる。他の薬剤は、細胞に侵入しなくても、組織中に存在する場合、治療効果を発揮する。
用語「診断剤」は、画像診断剤および造影剤の両方をいう。以下は診断剤の非限定的な例である:放射標識物質(例えば、99mTcグルコヘプトネート;磁気共鳴映像法において使用される物質(例えば、ガドリニウムをドープしたキレート化剤(例えば、Gd−DTPA));キレート化剤に結合する金属(例えば、Eu、Lu、Pr、Gd、Tc99m、Ga67、In111、Y90、Cu67およびCo57);ならびにタンパク質(例えば、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、およびルシフェラーゼ)。他の診断剤として、分子センサが挙げられる。
用語「高分子」は、大きな分子(1000ダルトンを越えるMW)をいい、生物学的起源または合成起源のペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、およびポリヌクレオチドにより例示されるがこれらに限定されない。
「有機低分子」は、1000ダルトン以下の分子量(MW)を有する炭素含有因子をいう。
用語「ペプチド」は、ペプチド結合により連結されたD−アミノ酸またはL−アミノ酸あるいはD−アミノ酸およびL−アミノ酸の混合物の一本鎖で構成される化合物をいう。一般的に、ペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸残基を含み、約50アミノ酸長未満である。D−アミノ酸は、本明細書中で、小文字の一文字アミノ酸記号で表され(例えば、D−アルギニンはr)、L−アミノ酸は、大文字の一文字アミノ酸記号で表される(例えば、L−アルギニンはR)。ホモポリマーペプチドは、一文字アミノ酸記号の後にそのペプチドにおけるそのアミノ酸の連続存在数をつけて表される(例えば、R7は、L−アルギニン残基からなるヘプタマーを表す)。
用語「タンパク質」は、ペプチド結合により連結された直線状に配置されたアミノ酸で構成されるが、ペプチドとは対照的に、十分に規定されたコンホメーションを有する化合物をいう。ペプチドとは対照的に、タンパク質は、一般的に、50以上のアミノ酸の鎖からなる。
「ポリペプチド」は、少なくとも2つのアミノ酸残基の、1つ以上のペプチド結合を含むオリゴマーをいう。「ポリペプチド」は、そのポリペプチドが十分に規定されたコンホメーションを有するか否かに関わらず、ペプチドおよびタンパク質を包含する。
用語「半減期」は、一般的に、化合物の半分の量が破壊、分解、または消滅するのに必要とされる時間をいう。自己犠牲リンカーの文脈では、「半減期」は、このようなリンカーを含む輸送部分−生物学的に活性な化合物の結合体の半分の量が分子間切断を受けるのに必要とされる時間をいう。
(B.総論)
本発明は、アルギニン残基が、このアルギニン間に適切な空間を提供するポリペプチドの一部分である場合、薬物および他の薬剤の生体膜を通じた増強された輸送を提供するという驚くべき発見に関する。このことは、例えば、以前に記載された、グアニジノ部分が輸送ポリマーの実質的に全てのサブユニットに存在するアルギニンのポリマーと対照的である。従って、本発明の輸送オリゴマーは、1群の実施形態において、アルギニン残基が存在するが、多くとも2つのアルギニン残基が隣接するよう他のアミノ酸によって隔てられているポリペプチドとしてみなされ得る。さらに、残りのアミノ酸残基は、可溶性を増強し、そして輸送オリゴマーのコンホメーションの自由度を妨げない側鎖を提供するよう選択され得る。あるいは、残りのアミノ酸のうちの1つは、リンカー基または目的の治療剤(例えば、セリンヒドロキシル基、リジンアミノ基、またはシステインチオール)のいずれかに対する結合のための部位を提供し得る。
(C.輸送部分−生物学的に活性な化合物の結合体)
上記のように、本発明は、生体膜および動物上皮組織または内皮組織を通じた生物学的に活性な化合物の輸送ならびに動物上皮組織または内皮組織への生物学的に活性な化合物の輸送を増強する組成物および方法を提供する。この組成物は、式R−L−Rにより表される。式中、Rは、生物学的に活性な化合物(すなわち、治療化合物、診断剤、リード化合物、またはプローブ)であり、Rは、輸送部分であり、そして「L」は任意の連結部分である。
輸送部分は、以下の式のアミノ酸オリゴマーである:(ZYZ)Z、(ZY)Z、(ZYY)Z、および(ZYYY)Z。式中の「Z」は、D−アルギニンまたはL−アルギニンである。「Y」は、グアニジル部分もアミジニル部分も含まないアミノ酸である。下付き文字「n」は、2〜25の範囲の整数である。
上記の輸送部分の式において、文字「Y」は、天然または非天然のアミノ酸を表す。アミノ酸は、本質的に、アミノ基(NHまたはNH−アルキル)およびカルボキシル基(COH)を有し(輸送部分への組込みの前に)、そしてグアニジル部分もアミジニル部分も含まない任意の化合物であり得る。このような化合物の例として、D−アラニンおよびL−アラニン、D−システインおよびL−システイン、D−アスパラギン酸およびL−アスパラギン酸、D−グルタミン酸およびL−グルタミン酸、D−フェニルアラニンおよびL−フェニルアラニン、グリシン、D−ヒスチジンおよびL−ヒスチジン、D−イソロイシンおよびL−イソロイシン、D−リジンおよびL−リジン、D−ロイシンおよびL−ロイシン、D−メチオニンおよびL−メチオニン、D−アスパラギンおよびL−アスパラギン、D−プロリンおよびL−プロリン、D−グルタミンおよびL−グルタミン、D−セリンおよびL−セリン、D−スレオニンおよびL−スレオニン、D−バリンおよびL−バリン、D−トリプトファンおよびL−トリプトファン、D−ヒドロキシプロリンおよびL−ヒドロキシプロリン、D−チロシンおよびL−チロシン、サルコシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、ならびにε−アミノカプロン酸が挙げられる。上記式の各々において、各Yは、輸送部分に存在する任意の他のYから独立しているが、いくつかの実施形態においては、全てのY基は同一であり得る。
1群の好ましい実施形態において、輸送部分は、式(ZYZ)Zを有する。式中、各「Y」は、好ましくは、独立して、グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、およびε−アミノカプロン酸から選択され、「Z」は、好ましくはL−アルギニンであり、そしてnは、好ましくは2〜5の範囲の整数である。より好ましくは、各「Y」は、グリシンまたはε−アミノカプロン酸であり、nは3である。この群の実施形態において、グリシンの使用は、輸送部分がポリペプチド生物学的因子に直接融合または共有結合されており、その結果、組成物全体が組換え方法により調製され得るような組成物に好ましい。輸送部分が例えば、固相法を用いて構築される実施形態について、ε−アミノカプロン酸が好ましい。
別の群の好ましい実施形態において、輸送部分は、式(ZY)Zを有する。式中、各「Y」は、好ましくは、独立して、グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、およびε−アミノカプロン酸から選択され、「Z」は、好ましくはL−アルギニンであり、そしてnは、好ましくは4〜10の範囲の整数である。より好ましくは、各「Y」はグリシンまたはε−アミノカプロン酸であり、nは6である。上記群の特定の実施形態において、グリシンの使用は、輸送部分がポリペプチド生物学的因子に直接融合または共有結合されており、その結果、組成物全体が組換え方法により調製され得るような組成物に好ましい。輸送部分の溶液相または固相構築については、ε−アミノカプロン酸が好ましい。
さらに別の群の好ましい実施形態において、輸送部分は、式(ZYY)Zを有する。式中、各「Y」は、好ましくは、独立して、グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、およびε−アミノカプロン酸から選択され、「Z」は、好ましくはL−アルギニンであり、そしてnは、好ましくは4〜10の範囲の整数である。より好ましくは、各「Y」はグリシンまたはε−アミノカプロン酸であり、nは6である。
なお別の群の好ましい実施形態において、輸送部分は、式(ZYYY)Zを有する。式中、各「Y」は、好ましくは、独立して、グリシン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、およびε−アミノカプロン酸から選択され、「Z」は、好ましくはL−アルギニンであり、そしてnは、好ましくは4〜10の範囲の整数である。より好ましくは、各「Y」はグリシンであり、nは6である。
他の実施形態において、Y基の各々は、輸送部分の特定の所望の特性を増強するよう選択される。例えば、より疎水性特性を有する輸送部分が所望される場合、各Yは、代表的に、疎水性アミノ酸として一緒にグループ分けされる天然に存在するアミノ酸(例えば、フェニルアラニン、フェニルグリシン、バリン、ロイシン、イソロイシン)から選択され得る。同様に、より親水性特性を有する輸送部分は、Y基のいくつかまたは全てが親水性アミノ酸(例えば、リジン、セリン、スレオニン、グルタミン酸など)である場合に調製され得る。
当業者は、この輸送部分がより大きなポリペプチド中のポリペプチドフラグメントであり得ることを認識している。例えば、輸送部分は、この部分に隣接するさらなるアミノ酸をさらに有する式(ZYY)Zの輸送部分であり得る(例えば、X(ZYY)Z−X、式中、下付き文字mおよびpは、0〜約10の整数を表し、各Xは、独立して、天然または非天然のアミノ酸である)。
従って、輸送部分は、カルボキシ末端およびアミノ末端を有するという意味で特定のペプチド特性を有するペプチドとしてみなされ得る。末端の1つは、生物学的に活性な化合物(R)に共有結合されているか、あるいは連結部分−活性化合物の結合体(例えば、R−L)の一部分である連結部分(L)に共有結合されているかのいずれかである。輸送部分が生物学的に活性な化合物に直接共有結合されている実施形態について、結合点は、好ましくは、カルボキシ末端である。輸送部分が連結部分に共有結合されている場合、結合点は、好ましくは、アミノ末端である。さらに他の実施形態において、生物学的に活性な化合物は、連結部分を介して輸送部分に取り付けられ得、連結部分は、その順でアミノ酸側鎖官能基(例えば、セリン残基のヒドロキシル基、リジン残基のアミノ基、グルタミン酸残基のカルボン酸基など)に取り付けられる。
次に、生物学的に活性な化合物(R)に転ずると、本発明は、本質的に任意の治療剤または診断剤への広範な適用を見出す。治療化合物の例として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:局所止痒薬(例えば、コルチコステロイド、カルシポトリエン、およびアントラリン);光化学療法剤(例えば、ソラレン);ポルフィリンおよび拡張ポルフィリン(enlarged phorphyrin);日焼け止め化合物(例えば、p−アミノ安息香酸エステル、桂皮酸塩、サリチル酸塩、ベンゾフェノン、アントラニル酸塩、およびアボベンゾン);鎮痛剤および局所麻酔薬(例えば、リドカイン、ノボカイン、プロカイン、テトラカイン、ベンゾカイン、コカイン、およびオピエート);生物学的薬剤(例えば、ミノキシジル、角質溶解剤);崩壊剤(例えば、ポドフィリン、ヒドロキノン、マソプロコール(masoprocol)、コルチシン、および金);胃腸薬(例えば、シクロスポリン、FK506、Hヒスタミンインヒビター(例えば、シメチジンおよびラニチジン)、ATPaseプロトン−カリウムインヒビター(例えば、ランソプラゾールおよびオメプラズル));抗生物質(例えば、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、トリメトプリム、およびスルファメチルオキサゾール);抗新生物剤(例えば、シスプラチン、メトトレキセート、タキソール、フルオロウラシル、メルカプトプリン、ドノルビシン(donorubicin)、およびブレオマイシン);抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、クロモリン、およびネドクロミル);免疫抑制薬(例えば、シクロスポリンおよびFK506);肺組織に作用する薬物(例えば、β−アゴニスト、肥満細胞安定化剤、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤、血管作用剤、鎮痛薬、およびホルモン);CNS剤(例えば、抗アポトーシス剤、神経伝達物質、モルヒネ、オピエート、および5−ヒドロキシ−トリプタミンレセプターアンタゴニスト);低分子(例えば、L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン(L−DOPA;タキサン(例えば、パクリタキセル));タンパク質(例えば、アルグルセラーゼ、α−L−イズロニダーゼ、α−N−アセチルグルコサミダーゼ、リパーゼ、アデノシンデアミナーゼ、およびトリオースホスフェートイソメラーゼ);細胞内シグナルを媒介するタンパク質により使用されるリン酸化部位を有するペプチド(例えば、プロテインキナーゼC、RAF−1、P21 Ras、NF−κB、およびC−JUN);膜レセプターの細胞質テイル(例えば、IL−4レセプター、CD28、CTLA−4、V7、MHCクラスI抗原、およびMHCクラスII抗原);DNAおよびRNAから形成されるオリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチド;オリゴヌクレオチドアナログ(例えば、ホスホネート(例えば、メチルホスホネート)、ホスホラミデート(N3’またはN5’)、チオホスフェート、非荷電モルホリノベースのポリマーおよびタンパク質核酸(PNA));ならびに多糖および多糖アナログ。
診断剤として、画像診断剤および造影剤の両方が挙げられる。以下は、診断剤の非限定的な例である:放射標識物質(例えば、99mTcグルコヘプトネート;磁気共鳴映像法において使用される物質(例えば、ガドリニウムをドープしたキレート化剤(例えば、Gd−DTPA));キレート化剤に結合する金属(例えば、Eu、Lu、Pr、Gd、Tc99m、Ga67、In111、Y90、Cu67およびCo57);ならびにタンパク質(例えば、β−ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質、およびルシフェラーゼ。さらに他の有用な薬剤として、例えば、フルオレセインのような色素が挙げられる。
特定の実施形態において、移送部分は、連結部分(L)を介して、生物学的に活性な化合物に結合される。このような連結部分は、2つの末端を有し、1つは、この移送部分に共有結合し、そして1つは、この生物学的に活性な化合物に共有結合する。これらの末端は、各々、容易な結合点として働く官能基を含む。このような基の例としては、カルボン酸、カルボン酸誘導体、アルコール、アミンおよびチオールが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、HOCCHCHOHは、一端にカルボン酸を有し、そして他方にアルコールを有する、連結部分である。移送部分を生物学的に活性な化合物に結合させる際のその使用を代表する1つの式は、以下の通りである:R−OCCHCHO−R
連結部分は、好ましくは、インビボで切断される。この場合、「切断される」とは、連結部分の末端の、生物学的に活性な薬剤からの分離をいう。この分離は、共有結合の解離を介してもたらされる。例えば、連結部分のカルボン酸末端が生物学的に活性な薬剤のアルコール官能基に結合している場合(すなわち、エステル結合)、切断によって、カルボン酸(連結部分の末端)および遊離した活性薬剤が形成される。
1つの実施形態において、連結部分は、加水分解を介して切断される。このような加水分解切断は、代表的に、pH依存性である。例えば、酸によって媒介される加水分解は、pH7.4よりpH6.0において、より速い速度で起こる。
別の実施形態において、連結部分は、自己犠牲(self−immolation)を介して切断される。移送部分−生物学的に活性な化合物結合体の、このような連結部分は、生物学的に活性な化合物から遠位の求核剤(例えば、酸素、窒素および硫黄)ならびに生物学的に活性な化合物に近位の切断可能な基(例えば、エステル、カーボネート、カルバメートおよびチオカルバメート)を含む。切断可能な基に対する求核剤の分子内攻撃によって、共有結合が切断され、これによって、生物学的に活性な化合物から連結部分が解放される。
自己犠牲連結部分(例えば、生物学的に活性な薬剤−L−移送部分結合体)を含む結合体の例は、構造1、2および3によって代表される:
Figure 2005508832
ここで:Rは,生物学的に活性な化合物であり;Xは、生物学的に活性な化合物の官能基と、連結部分の末端官能基との間に形成される連結であり;Yは、移送部分の官能基および連結部分の官能基から形成される連結であり;Aは、NまたはCHであり;Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;Rは、移送部分であり;Rは、S、O、NRまたはCRであり;Rは、H、OH、SHまたはNHRであり;Rは、水素、アルキル、アリール、アシルまたはアリルであり;RおよびRは、独立して、水素またはアルキルであり;kおよびmは、独立して、1または2であり;そしてnは、1〜10の範囲の整数である。X連結およびY連結の非限定的な例は(いずれかの配向で)、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−S−S−、−C(S)O−、−C(S)NH−、−NHC(O)NH−、−SONH−、−SONH−、ホスフェート、ホスホネートおよびホスフィネートである。当業者は、生物学的薬剤がヒドロキシ官能基を有する場合、Xは、好ましくは、−OC(O)−または−OC(O)NH−であることを理解する。同様に、連結基が移送部分のアミノ末端に結合する場合、Yは、好ましくは、−C(O)NH−、−NHC(O)NH−、−SONH−、−SONH−または−OC(O)NH−などである。上に提供される基の各々において、NHは、簡潔なために示されるが、連結(XおよびY)の各々は、置換された連結(例えば、N−アルキルまたはN−アシル)を同様に含み得る。
構造1によって示される連結基にまず注目すると、一例および好ましい実施形態が、式1aに対して示される:
Figure 2005508832
ここで、波線は、移送部分および生物学的に活性な化合物への結合点を示す。この連結基を含む結合体の調製は、実施例4(図9)に示されている。この実施例および図9において、シクロスポリンAが、クロロ酢酸無水物で処理されて、クロロ酢酸エステル9i(図9における番号付け)を形成し、これが次いで、ベンジルアミドと合わされて、N−ベンジルグリシン結合体9iiを形成する。Boc保護されたジグリシン無水物との、このグリシン結合体の縮合は、酸9iiiを与え、これは、より反応性のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル9ivに転換され、次いで、移送部分のアミノ末端と合わされて、アミド結合を形成する。当業者は、このN−ベンジル基が、他の基(例えば、アルキル、アリール、アリルなど)で置換され得ること、またはメチレン基が、例えば、エチレン、プロピレンなどで置換され得ることを理解する。好ましくは、このメチレン基は、1aに示されるように維持されて、連結がインビボで切断されることを可能にする適切な立体配向または空間配向を提供する(図9Bを参照のこと)。
従って、構造1について、以下の置換基が好ましい:AはNであり;Rはベンジルであり;k、mおよびnは1であり;Xは−OC(O)−であり、そしてYは−C(O)NH−である。
構造2の連結は、式2aによって例示される:
Figure 2005508832
ここで、上記のように、波線は、移送部分および生物学的に活性な薬剤の各々への結合点を示す。式2aの連結基を有する結合体の調製は、実施例5〜7に示される。実施例5(図10のスキームを参照のこと)において、アシクロビルが、α−クロロ酢酸無水物でアシル化されて、α−クロロ酢酸エステル10iを形成する。10iと、N−末端システイン残基を有するD−アルギニンのヘプタマーとの反応は、チオエーテル生成物10iiを提供する。あるいは、アシクロビルは、アシクロビルα−クロロ酢酸エステルと、C末端システイン残基を有するD−アルギニンのヘプタマーとの間に形成される類似の連結を使用して、移送部分のC末端に結合され得る(実施例5bを参照のこと)。この例において、システイン残基は、C末端アミドとして、r移送部分に提供され、そしてこの連結は、以下の形態を有する:
Figure 2005508832
従って、好ましい実施形態の1つの群において、この結合体は、Xが−OC(O)−であり;Yが−C(O)NH−であり;RがSであり;RがNHRであり;そして下付き文字kおよびmがそれぞれ1である、式2によって表される。好ましい実施形態の別の群において、この結合体は、Xが−OC(O)−であり;Yが−NHC(O)−であり;RがSであり;RがCONHであり;そして下付き文字kおよびmがそれぞれ1である、式2によって表される。特に好ましい結合体は、Rが水素、メチル、アリル、ブチルまたはフェニルである、結合体である。
式3によって示される結合体によって表される連結基は、一般に、ヘテロ二官能性の型のもの(例えば、ε−アミノカプロン酸、セリン、ホモセリン、γ−アミノ酪酸など)であるが、適切に保護されたジカルボン酸またはジアミンもまた、特定の生物学的薬剤と共に有用である。
構造3について、以下の置換基が好ましい:Rは、NHRであり、ここでRは、水素、メチル、アリル、ブチルまたはフェニルである;kは、2であり;Xは、−C(O)O−であり;そしてYは、−C(O)NH−である。
自己犠牲リンカーは、代表的に、水中37℃で、約7.4のpHにおいて、約10分と約24時間との間の半減期で、分子内切断を起こす。好ましくは、この切断半減期は、水中37℃で、約7.4のpHにおいて、約20分と約4時間との間である。より好ましくは、この切断半減期は、水中37℃で、約7.4のpHにおいて、約30分と約2時間との間である。
構造1を有する結合体について、R置換基を変化させることによって、切断半減期を調節し得る。増加した大きさまたは減少した大きさのRを使用することによって、それぞれ、より長い半減期またはより短い半減期を有する結合体を得ることができる。構造1におけるRは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、アリル、ベンジルまたはフェニルである。
自己犠牲リンカーに塩基性基または酸性基が存在する場合、しばしば、結合体溶液のpHに従って、切断半減期を調整し得る。例えば、構造1の骨格アミン基は、酸性pH(例えば、pH5.5)でプロトン化される。このアミンは、プロトン化される場合に分子内切断を誘導する求核剤として働き得ない。しかし、この結合体を、生理学的pH(7.4)で培地に導入する際に、このアミンはかなりの時間、脱プロトン化される。これに対応して、切断半減期が減少する。
1つの実施形態において、自己犠牲リンカーの切断は、以下の2工程で起こる:連結部分の一部の切断を生じる、求核性基の分子内反応;および連結部分の残りの部分の脱離。この切断の第1工程は、律速であり、そしてpH感受性および半減期について精密に調整され得る。
構造4は、移送部分−生物学的に活性な化合物結合体に組み込まれる、2工程の自己犠牲部分の例である:
Figure 2005508832
ここで:Rは,生物学的に活性な化合物であり;Xは、生物学的に活性な化合物の官能基と、連結部分の官能基との間の連結を表し;Arは、置換または非置換のアリール基であり、ここで、メチレン置換基およびフェノール性酸素原子は、互いに対してオルトまたはパラのいずれかであり;Rは、移送部分であり;Rは、S、O、NRまたはCRであり;Rは、H、OH、SHまたはNHRであり;Rは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;RおよびRは、独立して、水素またはアルキルであり;そしてkおよびmは、独立して、1または2のいずれかである。
式4の結合体を生成するために適切な連結基の例は、以下である:
Figure 2005508832
式4aの連結基を含む結合体の構築は、実施例8(図14もまた参照のこと)に提供されている。この実施例(および図)において、2,4−ジメチル−4−ヒドロキシメチルフェノール(14i)のα−クロロ酢酸エステルが、ジクロロヘキシルカルボジイミド(DCC)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を使用して、レチン酸(14ii)とカップリングされて、中間体14iiiを提供する。14iiiと、アルギニンヘプタマー移送部分のN末端に存在するシステイン残基との引き続くカップリングは、標的結合体14ivを提供する。
好ましくは、式4の結合体において使用される連結基は、Arが置換または非置換のフェニレン基であり;RがSであり;RがNHRであり、ここでRは、水素、メチル、アリル、ブチル、アセチルまたはフェニルである;kおよびmは、1であり;Xは、−C(O)O−であり;そしてYは、−C(O)O−または−C(O)NH−である、連結基である。より好ましくは、Rは、水素またはアセチルである。
上記連結基は、アルギニンヘプタマーを含む結合体を参照して記載されたが、当業者は、この技術が、本発明の「間隔を空けた」アルギン移送部分を有する結合体に容易に適合されることを理解する。
本発明において使用するためのなお他の有用な連結基は、同時係属中のPCT出願に記載されている。例えば、PCT出願US98/10571(公開番号WO9852614)およびUS00/23440(公開番号WO01/13957)を参照のこと。これらは、類似の組成物(例えば、生物学的に活性な薬剤および移送オリゴマーの結合体)のための連結基を記載する。そこに記載される連結技術は、類似の様式で、本発明の組成物において使用され得る。
従って、実施形態の1つの群において、連結部分は、生物学的に活性な化合物の遠位に、第1の切断可能な基、および生物学的に活性な化合物の近位に第2の切断可能な基を備える。第1の切断可能な基の切断は、第2の切断可能な基と分子内で反応し得る求核剤を与え、これによって、生物学的に活性な化合物からこの連結部分を切断する。第1の基が切断される方法の例としては、光照射および酵素媒介性加水分解が挙げられる。この方法論は、PCT出願US98/10571(公開番号WO9852614)に議論された、種々の関連する低分子結合体に対して説明されている。
1つのアプローチにおいて、結合体は、PCT出願US00/23440(公開番号WO01/13957)の図5Aに例示されるようなジスルフィド結合を含み(PCT出願US98/10571(公開番号WO9852614)もまた参照のこと)、この結合体は、リンカーとして役立つN−アセチル−保護システイン基によって、細胞傷害性薬剤(6−メルカプトプリン)に連結される輸送ポリマー(transport polymer)Tを含む、結合体(I)を示す。従って、細胞傷害性薬剤は、6−メルカプト基に結合されたジスルフィドによって付着され、そしてこの輸送ポリマーは、アミド結合を介して、システインカルボニル部分に結合される。還元によるジスルフィド結合の切断またはジスルフィドの交換は、遊離の細胞傷害性薬剤の放出を生じる。ジスルフィド含有結合体を合成するための方法は、PCT出願US98/10571の実施例9Aに提供されている。そこに記載されている生成物は、N−アセチル−Cys−Ala−Alaリンカーによって6−メルカプトプリンに連結されるArg残基のヘプタマーを含み、ここで、このAla残基が、ジスルフィドをチオールに対してよりアクセス可能にするためのさらなるスペーサー、および細胞内での分解のための還元剤として含まれる。この実施例におけるリンカーはまた、細胞内で酵素学的に分解され得る、アミド結合の使用を例示する。
別のアプローチにおいて、結合体は、電磁放射線への曝露により切断される光分解性リンカーを含む。この方法論の適用は、PCT出願US00/23440(公開番号WO01/13957)の図5Bにおいて関連するシステムを提供し、これには、meta−ニトロベンゾエート連結部分を介して、6−メルカプトプリンに連結される輸送ポリマーTを含む結合体(II)が示されている。ポリマーTは、ベンゾエートカルボニル基へのアミド連結によって、ニトロベンゾエートに連結され、そして細胞傷害性薬剤は、6−メルカプト基を介してp−メチレン基に結合されている。この化合物を、NaOCH/メタノールの存在下で、6−メルカプトプリンをp−ブロモメチル−m−ニトロベンゾエートとともに加熱することにより反応させ、続いてベンゾエートカルボン酸を輸送ポリマー(例えば、ポリマーに付着したγ−アミノ酪酸リンカーのアミノ基)に連結することによって形成し得る(例えば、PCT出願US98/10571の実施例9Bもまた参照のこと)。この結合体の光照射は、メルカプトメチル部分のオルト位にあるニトロ基による、6−メルカプトプリンの放出を生じる。このアプローチは、特に、薬物活性を身体の選択された領域に局在化する、当該分野で公知である光治療方法において有用性を見出す。
好ましい実施形態の1つの群において、切断可能なリンカーは、以下のアプローチによって例示されるように、このオリゴマーを生物学的に活性な薬剤から切断するために協働し得る、第1の切断可能な基および第2の切断可能な基を含む。これは、この薬剤に対して遠位にある第1の切断可能な基、およびこの薬剤に対して近位にある第2の切断可能な基を含み、この第1の切断可能な基の切断から、この第2の切断可能な基を分解するために分子内で反応し得る求核部分を含むリンカー−薬剤結合体が得られ、これにより、リンカーおよびオリゴマーから薬剤を放出する。
係属中の共同出願人のPCT出願US00/23440(公開番号WO01/13957)をさらに参照すると、この図5Cでは、抗癌剤(5−フルオロウラシル(5FU))に連結された輸送ポリマーTを含む、結合体(III)が示されている。この図において、連結が、改変されたリジン残基によって提供される。この輸送ポリマーが、α−アミノ基に連結され、そして5−フルオロウラシルが、α−カルボニルを介して連結される。このリジンε−アミノ基が、o−ヒドロキシメチルニトロベンゼンのカルバメートエステルに改変され、これは、この結合体中に第1の感光性切断基を含む。光照射により、効率的な求核試薬である遊離α−アミノ基を与えるためにもまた迅速に分解するカルバメートを残した状態で、結合体からニトロベンゼン部分を分解する。ε−アミノ基と5−フルオロウラシル基に連結したアミドとの分子内反応は、5−フルオロウラシル基の放出を伴う環化を導く。
本発明において有用なさらに他のリンカーは、PCT出願US00/23440(出願番号WO01/13957)において提供されている。特に、US00/23440の図5Dは、抗癌剤(パクリタキセル)の2’−酸素に連結された送達を増強する輸送体Tを含む、結合体(IV)を例示する。この連結は、以下を含む連結部分によって提供される:(i)送達を増強する輸送体に付着された窒素原子、(ii)窒素原子へのパラ位に配置されたリン酸モノマー、および(iii)窒素原子のメタ位のカルボキシメチル基(カルボキシレートエステル連結によって、パクリタキセルの2’−酸素に連結されている)。結合体からのリン酸基の酵素学的な切断は、遊離フェノールのヒドロキシル基を提供する。次いで、この求核基は、カルボキシレートエステルと分子内で反応し、その生物学的な標的に完全に結合し得る。PCT出願US98/10571の実施例9Cは、このタイプの結合体を調製するための合成プロトコールを記載している。
さらに別の適切な連結が、PCT出願US00/23440(公開番号WO01/13957)の図5Eに例示されている。そこに提供されているアプローチにおいて、送達を増強する輸送体は、生物学的な活性剤(例えば、パクリタキセル)に、アミノアルキルカルボン酸によって連結される。好ましくは、このリンカーアミノ基は、3〜5個の原子鎖(n=3〜5)、好ましくは、3または4個のいずれかの原子鎖によってリンカーカルボキシル炭素に連結され、これは、好ましくは、メチレン炭素として提供される。図5Eを参照すると、このリンカーアミノ基は、アミド連結によって、送達を増強する輸送体に結合され、そしてエステル連結によってパクリタキセル部分に結合される。アミド連結の酵素学的な切断により、送達を増強する輸送体を放出し、そして遊離の求核アミノ基を生成する。次いで、この遊離アミノ基は、エステル基と分子内で反応して、パクリタキセルからリンカーを放出し得る。
別のアプローチにおいて、この結合体は、あるpHで不安定であるが、別のpHでは安定であるリンカーを含む。例えば、PCT出願US00/23440の図6(公開番号WO01/13957)は、生理学的なpHで切断されるが、酸性のpHにおいて安定であるリンカーを有する結合体を合成する方法を例示する。好ましくは、このリンカーは、約6.6〜約7.6のpHの水中で切断される。好ましくは、このリンカーは、約4.5〜約6.5のpHの水中で安定である。
(D.輸送体分子および組成物の合成)
本発明の輸送体は、種々の従来の合成方法を使用して構築され得る。例えば、アミノ酸オリゴマーは、好ましくは、ペプチド合成器(例えば、Applied Biosystems Model 433)を使用して、合成により生成されるか、または当該分野で周知の方法を使用して組換えにより合成され得る。組換え合成は、輸送体部分に付着された生物学的に活性な化合物が、ペプチドまたはタンパク質である場合に、一般に使用される。
他の実施形態において、輸送体オリゴマーは、ペプチドを調製するために、当該分野で広範に記載されそして使用される、固相ペプチド合成を使用して調製され得る。この輸送体オリゴマーはまた、当該分野で周知である、液相合成法を使用して調製され得る。M.BodanszkyおよびA.Bodanszky,The Practice of Peptide Synthesis,第2版,Springer−Verlag,New York,NY(1994)を参照のこと。
(E.本発明の使用)
本発明の輸送体部分−生物学的に活性な化合物の結合体は、治療的適用、予防的適用、および診断的適用における使用を見出す。この結合体は、生物学的膜を容易に通過し、皮膚または他の上皮組織(例えば、胃腸、肺など)の1以上の層を通っておよび/またはそれらの層に移動し、そして内皮組織(例えば、血液脳関門)を横断する。輸送体化合物が、このような膜または組織を通過して、それらの効果を及ぼさなければならない場合、この特徴は、結合体を有用にする。
本発明の結合体および方法は、ヒトおよび獣医学的治療の分野において特定の有用性を有する。一般に、投与された投薬量は、ピコモル〜マイクロモルの濃度の治療学的組成物をエフェクター部位に送達するのに有効である。適切な投薬量および濃度は、因子(例えば、治療学的組成物または薬物)、送達が意図される部位、および投薬経路(これらの全ては、当該分野で周知の方法に従って、経験的に送達され得る)に依存する。さらなるガイダンスは、当該分野で公知であるように、投薬量を評価するために、実験動物モデルを使用する研究から得られ得る。
必要な場合に適切な薬学的な賦形剤を含む、本発明の結合体の投与は、任意の一般に認められた投与形態を介して実施され得る。従って、例えば、静脈内、局所的、皮下的、経皮的、筋肉内、経口的、関節内、非経口的、腹膜内、経鼻的、経眼的、舌下的、または吸入により投与される。従って、投与の適切な部位としては、皮膚、気管支、胃腸、肛門、膣、眼および耳が挙げられるが、これらに限定されない。この処方物は、以下の形態:固体、半固体、凍結乾燥した粉末、または液体投与形態(例えば、錠剤、ピル、カプセル、粉末、溶液、懸濁物、乳濁液、坐薬、停滞浣腸、クリーム、軟膏、ローション、エアロゾルなど)、好ましくは、正確な投薬量の単純な投与に適切な、単位投薬形態で摂取される。
代表的に、この組成物は、従来の薬学的キャリアまたは賦形剤を含み、そしてさらに、他の医学的薬剤、キャリア、アジュバントなどを含み得る。好ましくは、この組成物は、は本発明の約5重量%〜約75重量%の化合物(単数または複数)であり、残りは、適切な薬学的賦形剤からなる。適切な賦形剤は、特定の組成物および当該分野で周知の方法(例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCE,第18版、Mack Publishing Co.,Easton,PA(1990))による投与経路に合わせて改変され得る。
経口投与のために、このような賦形剤としては、以下の薬学的等級が挙げられる:マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム(sodium saccharine)、タルカム、セルロース、グルコース、ゼラチン、スクロース、炭酸マグネシウムなど。この組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放処方物などの形態で摂取され得る。
いくつかの実施形態において、この薬学的組成物は、ピル、錠剤またはカプセルの形態で摂取され、従って、この組成物は、生物学的に活性な結合体と共に、以下のいずれかを含み得る:希釈剤(例えば、ラクトース、スクロース、リン酸ジカルシウムなど);崩壊剤(例えば、デンプンまたはその誘導体);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムなど);および結合剤(例えば、デンプン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、セルロースおよびそれらの誘導体)。
この処方物の活性な化合物は、ポリエチレングリコール(PEG)キャリア(例えば、PEG1000[96%]およびPEG4000[4%])中に配置される、例えば、本発明の約0.5重量%〜約50重量%の化合物含む坐薬に処方され得る。
液体組成物は、結合体(約0.5%〜約20%)、およびキャリア(例えば、生理食塩水(例えば、0.9%w/vの塩化ナトリウム)、水性デキストロース、グリセロール、エタノールなど)中の任意の薬学的アジュバンドを溶解または分散して、水溶液または懸濁液(例えば、静脈内投与のため)を形成するように調製される。この活性化合物はまた、停滞浣腸に処方され得る。
所望の場合、投与される組成物はまた、少量の非毒性補助物質(例えば、湿潤剤または乳濁剤)、pH緩衝剤(例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、またはオレイン酸トリエタノールアミン)を含み得る。
局所投与のために、この組成物が、任意の適切な形態(例えば、ローションまたは経皮パッチ)で投与される。吸入による送達のために、この組成物は、乾燥粉末(例えば、吸入治療)または液体形態として噴霧器を介して送達され得る。
このような投薬形態を調製するための方法は、公知であるか、または当業者にとって明らかである(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,上述、および同様の出版物)。投与される組成物は、任意の場合において、本発明の教示に従って投与される場合、処置される状態の緩和のために、一定量のプロドラックおよび/または活性化合物を薬学的に有効量で含む。
一般に、本発明の結合剤は、治療的に有効な量(すなわち、有効な処置のために十分な投薬量)で投与され、これは、処置される個体および状態に依存して変化する。代表的に、治療学的に有効な1日の用量は、1日に体重1kgあたり0.1mg〜100mgの薬剤である。ほとんどの状態は、1日に体重1kgあたり約1mgと約30mgとの間の、または1日に70kgのヒトに対して約70mgと2100mgとの間の全投薬量の投与に対応する。
(F.本発明を使用する送達方法)
本発明の送達増強輸送部分は、皮膚を横切る生物学的に活性な化合物の送達を可能にするかまたは向上させる。驚くべきことに、輸送部分は、角質層を横切って薬剤を送達し得る。この角質層は、以前は、薬物送達に対してほとんど非浸透性の障壁であった。角質層(皮膚の最外層)は、死んだケラチン充填皮膚のいくつかの層から構成され、これらの細胞は、コレステロールおよび脂肪酸から構成される「接着剤」によって一緒に密接に結合される。一旦、薬剤が本発明の輸送体によって角質層を通って送達されると、薬剤は、生存可能な表皮に入り得る。この生存可能な表皮は、顆粒層、淡明層、および胚芽層から構成され、これらは、角質層とともに、表皮を構成する。本発明のいくつかの実施形態における送達は、表皮を通って、真皮(乳頭真皮および網状真皮のうちの一方または両方を含む)へである。
皮膚の1つ以上の層の浸透を得るための能力は、抗菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗増殖剤、免疫抑制剤、ビタミン、鎮痛薬、ホルモンなどのような化合物の効力を非常に増強し得る。多くのこのような化合物が、当業者に公知である(例えば、HardmanおよびLimbird,Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw−Hill,New York,1996を参照のこと)。
いくつかの実施形態において、生物学的に活性な化合物は、上皮組織に存在する血管に送達され、従って、この薬剤を全身に送達するための手段を提供する。送達は、小胞内または小胞間のいずれか、あるいはその両方であり得る。皮膚の前処置は、結合体の送達のために必要とされない。
本発明の送達増強輸送部分はまた、胃腸投与によって結合体化薬物の送達のために有用である。胃腸投与は、全身活性薬物のため、および胃腸上皮において作用する薬物のための両方に使用され得る。
本発明の送達増強輸送部分はまた、気道を通る薬物の投与を増強するために使用され得る。気道(鼻粘膜、下咽頭、大気道構造および小気道構造を含む)は、薬物吸収のための大粘膜表面を提供する。本発明の送達増強輸送部分によって提供される上皮組織の1つ以上の層へのおよびこれらの層を横切る結合薬剤の増強した浸透は、気道送達が他の送達方法に対して有する利点の増幅をもたらす。例えば、低用量の薬剤が、しばしば、所望の効果を得るために必要とされ、局所治療効果がより迅速に生じ得、そして薬剤の全身の治療血液レベルが、迅速に得られる。薬理学的活性の迅速な発生は、気道投与により生じ得る。さらに、気道投与は、一般的に、比較的副作用が少ない。
送達増強輸送部分はまた、血液脳関門を横切って生物学的に活性な化合物を送達するために有用である。薬剤はまた、虚血を処置するため(例えば、抗アポトーシス薬物を使用する)、ならびに精神分裂病、パーキンソン病、疼痛のような種々の状態を処置するための神経伝達物質および他の薬剤(例えば、モルヒネ、アヘン)を送達するために有用である。5−ヒドロキシトリプタミンレセプターアンタゴニストは、片頭痛および不安のような状態を処置するために有用である。
(G.実施例)
(実施例1)
この実施例は、種々のペプチド(天然アミノ酸または非天然アミノ酸である結合連結基を有するペプチドを含む)の合成を示す。
ペプチドは、固相技術および市販のFmocアミノ酸、樹脂、および試薬(PE Biosytems、Foster City CA、およびBachem Torrence、CA)をApplied Biosystems 433 ペプチド合成機を使用して合成された。Fmocアミノカプロン酸およびFmocアミノ酪酸を、NovaBiochem(San Diego、CA)から購入した。Fastmoc環(cycle)を、結合剤として、HBTU/HOBtの代わりにO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)とともに使用した。ペプチドを、96%トリフルオロ酢酸、2%トリイソプロピルシラン、および2%フェノールを12時間使用して、樹脂から切断した。ペプチド中の複数のアルギニンからPbf保護基を完全に除くために、より長い反応時間が必要であった。続いて、ペプチドを樹脂から濾過し、ジエチルエーテルを使用して沈殿させ、C−18逆相カラム(Alltech Altima、Chicago、IL)を使用して精製し、そしてエレクトロスプレーまたはマトリックス支援レーザー脱離質量分光法(Perceptive Biosystems、Boston、MA)のいずれかを使用して特徴付けた。
蛍光アナログを、樹脂に依然として結合させながら、フルオレセインイソチオシアネート(Aldrich Milwaukee、WI)をペプチドのアミノ末端に結合することによって合成した。
表1は、細胞取り込みのために調製されそして評価されるそれらの蛍光結合剤としての多くの輸送部分を提供する。
Figure 2005508832
Figure 2005508832
(実施例2)
本実施例は、本発明の結合体を評価するために使用され得る細胞取り込みアッセイを説明する。
蛍光標識ペプチドを、PBS(pH7.2)中に溶解し、そしてそれらの濃度を、490nm(ε=67,000)でフルオレセインの吸収によって決定した。ヒトT細胞株、Jurkat(DMEM中10%ウシ胎仔血清中で増殖される)を、全ての細胞取り込み実験について使用した。種々の量のペプチドを、マイクロタイタープレートのウェル中の合計200λ中の3×10個の細胞に添加し、そして種々の時間(3〜5分の範囲)でインキュベートした。細胞を回転させ、冷PBSで3回洗浄し、37℃で5分間、0.05%トリプシン/0.53mM EDTA(Gibco、Grand Island、NY)とともにインキュベートし、PBSを用いて洗浄し、そして0.1%ヨウ化プロピジウムを含むPBS中で再懸濁させた。細胞を、共焦点顕微鏡または蛍光フローサイトメトリー(FACScan、Becton Dickinson、Milpitas、CA)のいずれかを使用して分析した。ヨウ化プロピジウムで染色した細胞を、分析から排除した。提示されたデータは、収集された5000個の細胞についての平均蛍光シグナルである。ペプチドの細胞取り込みを妨げるために、ペプチドへの暴露の前に、25分間、アジ化ナトリウム(1.0%)を用いて処理した。細胞内染色は、未処理細胞で観測されるシグナルから、アジ化ナトリウムで処理された細胞で見られるシグナルを減算することによって計算された。
(実施例3)
本実施例は、実施例2の細胞取り込みアッセイでアルギニン間隔(spacing)の結果を提供する。
(3A−R7ホモポリマーと単一アミノ酸間隔(側鎖無し)との比較)
結合体を含む一連のアルギニンを、実施例1に記載されるように調製し、そして実施例2に記載のように評価した。7アルギニン残基の間の間隔は、グリシン(配列番号 を参照のこと)、γ−アミノ酪酸(配列番号 を参照のこと)、およびε−アミノカプロン酸(配列番号 を参照のこと)によって提供された。図1は、フルオレセインにつながれた(tethered)場合、「間隔の空いた」アルギニン輸送部分についての細胞取り込みの結果を示す。この図から理解され得るように、細胞取り込みは、一般的に、間隔が増加する場合に、増加する(ε−アミノカプロン酸>γ−アミノ酪酸>グリシン)。
(3B−R7ホモポリマーと天然に存在する単一アミノ酸間隔との比較)
結合体を含む一連のアルギニンを、実施例1に記載されるように調製し、そして実施例2に記載のように評価した。7つのアルギニン残基間の間隔は、天然に存在する(遺伝子コードされた)アミノ酸によって提供された(配列番号 を参照のこと)。図2は、フルオレセインにつながれた場合の、これらの「間隔の空いた」アルギニン輸送部分についての細胞取り込みの結果を示す。この図から示され得るように、細胞取り込みの増加は、(「間隔」を有さないホモポリマーR7と比較して)アミノ酸(アラニン、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、トレオニンおよびバリン)を含むこれらの組成物について見出された。減少したかまたは匹敵する取り込みは、アスパラギン酸、グルタミン酸、およびチロシンを含むこれらの組成物で見られた。理論により束縛されることを意図しないが、カルボン酸残基(AspおよびGlu)およびTyrのフェノール性ヒドロキシ基が、正に荷電したアルギニン残基をキャンセルし得るか、または配位し、そして細胞中への増強した浸透を提供するために利用可能である正に荷電したアルギニンの数の減少を導くと考えられる。図3および4は、これらの結果が本質的に濃度から独立していることを示す、異なる濃度での同じ一般的な結果を示す。低濃度の6.25μMにおいて、Fl−aca−R7−CONHの取り込みは、間隔の空いたアルギニン輸送部分と比較して減少し始める。
(3C−(R−aca)R輸送部分の比較)
xが、4、5または6である、一連のFl−aca−(R−aca)R組成物を実施例1に記載のように調製し、そして実施例2に記載のように、細胞取り込みについて評価した。結果を図5に示す。ここで、取り込みの増加は、全体のアルギニン含有量が増加した場合に、見出された(x=6>x=5>x=4)。
(3D−(RX)RとD−アルギニンのホモポリマー(r13およびr19)との比較)
xがaca、glyまたはglyglyである、一連のFl−aca−(R−X)R組成物を実施例1に記載されるように調製し、実施例2に記載されるように細胞取り込みについて評価した。D−アルギニンのホモポリマー(Fl−aca−r19−CONHおよびFl−aca−r13−CONH)との比較を行い、そして結果を図6に示す。ホモポリマー、r13およびr19を、それぞれ、(RG)Rおよび(RGG)Rに相当する長さであるとして選択した。驚くべきことに、ホモポリマーは、正に荷電したアルギニン基の数の増加にもかかわらず、細胞に入る際に有意により効果的でなかった。
(3E−間隔基(aca)の数および位置の評価)
アルギニンホモポリマー部分内にaca挿入物を有する全ての一連のFl−aca−R7オリゴマーを、実施例1に記載されるように調製した。60個のペプチド配列を図7に示す。細胞取り込みについての各組成物の評価を、実施例2に記載されるように実行した。図8は、細胞取り込みの結果を示し、一般に、挿入物の数が多いほど、より多くの取り込みを導くことを示す。
(実施例4)
この実施例は、pH感受性連結基を使用する、輸送部分へのシクロスポリンの結合を例示する(図9Aおよび9Bを参照のこと)。
この実施例では、無水クロロ酢酸を使用してシクロスポリンをそのα−クロロ酢酸エステルに変換して9iを得る(図9を参照のこと)。次いで、このエステル9iを、ベンジルアミンで処理して9iiを得る。このアミンとBoc保護イミノ二酢酸無水物との反応により、酸9iiiを得、次いでこれを、N−ヒドロキシスクシンイミドを用いて活性化エステル(9iv)に変換する。L−アルギニンヘプタマーとの9ivのカップリングにより、BOC保護結合体9vを得、これを、確立された方法に従ってBOC保護基を除去することにより結合体9viに変換し得る。
例えば、グリシン、ε−アミノカプロン酸、またはγ−アミノ酪酸により分離されたアルギニン基を有する輸送部分は、オリゴアルギニン輸送基を示す以下の実施例においてアルギニンヘプタマーの代わりに使用され得る。
(実施例5)
この実施例は、輸送部分に対するアシクロビルの結合を例示する。
(a.rCONHに対するアシクロビルの結合)
この実施例は、連結基:
Figure 2005508832
を介するrCONHに対するアシクロビルの結合を例示する。
i)アシクロビルα−クロロエステルの調製
Figure 2005508832
アシクロビル(100mg、0.44mmol)、ジメチルアミノピリジン(5.4mg、0.044mmol)および無水クロロ酢酸(226mg、1.32mmol)のジメチルホルムアミド(9mL)溶液を、室温で18時間攪拌した。ジメチルホルムアミドをエバポレーションにより除去した。粗生成物を逆相HPLC(22mm×250mm C18カラム、0.1%トリフルオロ酢酸を含む5〜25% CHCN/HO勾配、214および254nm UV検出)により精製し、そして凍結乾燥した。生成物を、白色粉末(62mg,47%)として得た。
Figure 2005508832
ii)HN−C−r7−CONHに対するアシクロビルα−クロロエステルの結合
Figure 2005508832
アシクロビルα−クロロエステル(7mg,0.024mmol)、HN−C−r7−CONH(50mg,0.024mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(6.4μL,0.036mmol)のジメチルホルムアミド(1mL)溶液を18時間攪拌した。ジメチルホルムアミドをエバポレーションにより除去した。粗生成物を逆相HPLC(22mm×250mm C18カラム、0.1%トリフルオロ酢酸を含む5〜25% CHCN/HO勾配、214および254nmUV検出)により精製し、そして凍結乾燥した。所望の生成物を白色粉末(24mg,69%)として得た。TOF−MS(m/z):494.6[(M+H)/3]、371.0[(M+H)/4]。
1.5モル当量よりも10モル当量のジイソプロピルエチルアミンを使用することによって収率は増加され得る。生成物を、再び白色粉末として得た(79%)。TOF−MS(m/z):508.7[(M+H)/3],381.5[(M+H)/4]、305.5[(M+H)/5]。
b.r−Cys−CONHのビオチン含有誘導体に対するアシクロビルの結合
Figure 2005508832
反応を、上記の実施例に与えられる合成技術を使用して、上記で例示したとおりに行った。
i)ビオチン−アミノカプロン酸−r5−Cys(アシクロビル)−CONHを、白色粉末として得た(36%)。TOF−MS(m/z):868.2{(M+2TFA)/2]、811.2[(M+1TFA)/2]、754.1[(M+1TFA)/3]、503.0[(M+H)/3]、377.4[(M+H)/4]。
同様にして、
ii)ビオチン−アミノカプロン酸−r7−C(アシクロビル)−CONHを白色粉末として得た(33%)。TOF−MS(m/z):722.1[(M+3TFA)/3]、684.6[(M+2TFA)/3]、607.1[(M+H)/3]、455.5[(M+H)/4]、364.8[(M+H)/5]、304.3[(M+H)/6]。
(実施例6)
この実施例は、輸送部分に対するヒドロコルチゾンの結合を例示する。
a.ヒドロコルチゾンのrCONHに対する結合
i)ヒドロコルチゾンα−クロロエステルの調製
Figure 2005508832
ヒドロコルチゾン(500mg,1.38mmol)、スカンジウムトリフレート(408mg,0.83mmol)および無水クロロ酢酸(708mg,4.14mmol)の乾燥THF溶液に、ジメチルアミノピリジン(506mg,4.14mmol)を添加した。ジメチルアミノピリジンを加えるとこの溶液は明黄色になった。30分後、溶媒を留去し、そして粗製物質を酢酸エチル(100mL)に溶解した。酢酸エチル層を1.0N HClおよびブラインで洗浄した。有機相を集めて、乾燥し(NaSO)そしてエバポレートして生成物を白色固体として得た(533mg,88%)。
Figure 2005508832
(アセチル化に関する参考文献−Zhao,H.;Pendri,A.;Greenwald,R.B.J.Org.Chem.1998,63,7559−7562.)
ii)R’NH−Cys−r−CONHに対するカップリング
Figure 2005508832
ヒドロコルチゾンα−クロロエステル(31mg,0.071mmol)、HN−C−r7−CONH(150mg,0.071mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(15μL,0.085mmol)のジメチルホルムアミド(1mL)溶液を、18時間攪拌した。ジメチルホルムアミドを留去した。粗生成物を、逆相HPLC(22mm×250mm C−18カラム、0.1%トリフルオロ酢酸を含む5〜30% CHCN/HO勾配、214および254nm UV検出)により精製し、そして凍結乾燥した。所望の生成物を白色粉末として得た(25mg,14%)。TOF−MS(m/z):1037.4[(M+4TFA)/2]、616.1[(M+2TFA)/3]、578.3[(M+1TFA)/3]、540.5[(M+H)/3]、405.7[(M+H)/4],324.5[(M+H)/5]。
1.2モル当量ではなく10モル当量のジイソプロピルエチルアミンを使用することにより、所望の生成物を黄色粉末として得た(収率52%)。TOF−MS(m/z):887.0[(M+1TFA)/2]、830.6[(M+H)/2],553.7[(M+H)/3]、415.5[(M+H)/4]。
b.r−Cys−CONHのビオチン含有誘導体に対するヒドロコルチゾンの結合
Figure 2005508832
上記の実施例に提供される合成技術を使用して、上記で例示されるとおりに反応を行った。
i)ビオチン−アミノカプロン酸−r5−C(ヒドロコルチゾン)−CONH 1.2モル当量ではなく10モル当量のジイソプロピルエチルアミンを使用した。生成物 白色粉末(65%)。TOF−MS(m/z):880.7[(M+1TFA)/2]、548.7[(M+H)/3]。
ii)ビオチン−アミノカプロン酸−r7−C(ヒドロコルチゾン)−CONH 1.2モル当量ではなく10モル当量のジイソプロピルエチルアミンを使用した。生成物 白色粉末(36%)。TOF−MS(m/z):692.3[(M+1TFA)/3]、652.8[(M+H)/3]、520.0[(M+1TFA)/4]、490.0[(M+H)/4]、392.5[(M+H)/5]。
(実施例7)
この実施例は、輸送部分に対するタキソールの結合を例示する。
a.r−CONHに対するタキソールの結合
この実施例は、上記で概説した方法論の、タキソール結合体の調製への適用を例示する(図12を参照のこと)。
i)タキソールα−クロロ酢酸エステルの調製
Figure 2005508832
a)Cl−AcO、DIEA、CHCl、室温、3時間
タキソールを、無水α−クロロ酢酸で処理してC−2’クロロアセチル誘導体12i
実質的に定量的な収率で得た。
ii)タキソール結合体の形成
Figure 2005508832
a)ペプチド、DIEA、DMF、室温
R=H 48%
R=Ac 87%
クロロ酢酸エステルのハロゲン原子を、N末端(L)システインを含有するアルギニンのヘプタマーのチオールで置換した。インビボでのプロテアーゼにより輸送実体の分解を回避するために、D−アルギニンをビルディングユニットとして使用した。結合反応を、ジイソプロピルエチルアミンの存在下でDMF中室温にて行った。最終生成物を、RP−HPLCにより単離し、そして凍結乾燥して白色粉末とした。ネイティブの結合体(R=H)は、そのシステイン一級アミンにおいてそのTFA塩として単離されることに留意することは重要である。このは結合体は、一般的に非常に吸湿性であり、そして水に容易に溶解する。
R=Hである結合体を、C2’エステルカルボニルへのN末端窒素の求核攻撃を介して親薬物を放出するように設計した。この窒素のプロトン付加状態は、この機構において非常に重要である。なぜなら、遊離のアミンのみがこの放出をすることができるからである。さらに、両方の結合体は、共通のα−ヘテロ原子置換されたアセテート部分を共有し、単純なエステル加水分解に対してこれらの結合体を感受性にする。このことは、さらなる放出経路を提供する。
(実施例8)
この実施例は、活性因子を輸送部分に連結する2つの方法を例示する。例示は、ポリ−D−Arg誘導体に連結されたレチノイン酸誘導体について提供されるが、これは、他の生物学的因子と本発明の輸送部分との結合に適用され得る。
a.アルデヒド官能基を有する生物学的因子間の連結
この実施例は、D−アルギニン(HN−r−COH・10TFA)のノナマーと全trans−レチナールまたは13−cis−レチナールのいずれかとの間の結合体の調製を例示する。図13は、反応の模式図を提供する。図13に示されるように、4Åモレキュラーシーブの存在下でMeOH中室温にて4時間いずれかのレチナールをHN−r−COH・10TFAと縮合させることにより、レチナールアルデヒドとアミノ末端基との間にSchiff塩基型結合が形成する。この結合体の精製は、モレキュラーシーブを濾過し、そして減圧下でメタノールを除去することにより達成され得る。
b.r−CONHに対するレチン酸の結合
この実施例は、連結基:
Figure 2005508832
を使用する、レチノイン酸とr−CONHとの間の結合体の調製を例示する。
ここで、この結合体の調製は、図14に概略を示されるスキームに従う。このスキームにおいて、レチノイン酸(14ii)は、最初に4−ヒドロキシメチル−2,6−ジメチルフェノール(14i)のクロロ酢酸エステルと結合されて、14iiiとして示される結合体を与える。ジシクロヘキシルカルボジイミドおよび触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの存在下で塩化メチレン中14iとレチノイン酸を混合することにより、レチノイド誘導体14iiiを52〜57%の収率で得た。ジイソプロピルエチルアミンの存在下でHNCys−rCONH・8TFAと14iiiを縮合(DMF、室温、2時間)させることにより、所望の結合生成物14ivを得る。
本明細書に記載される全ての刊行物および特許出願は、まるで各個々の刊行物または特許出願が、具体的にかつ個別に参考として援用されると示されるかのように、本明細書に参考として援用される。前述の発明は、例示として、かつ理解の明確さのためにいくらか詳細に記載されてきたが、特定の変更および改変が、添付の特許請求の範囲の本質または範囲から逸脱することなく、これらに対してなされ得ることは、本発明の教示を考慮すれば当業者に容易に明らかとなる。
図1は、R7ホモポリマーが輸送オリゴマーである場合と比較した、間隔の開いたアルギニン残基の輸送オリゴマーが使用された場合の蛍光薬剤の細胞取り込みの増大を示す棒グラフである。間隔の増大(グリシン挿入<アミノ酪酸挿入<アミノカプロン酸挿入)と共に、取り込みが増大した。 図2は、R7ホモポリマーが輸送オリゴマーである場合の取り込みと比較した、間隔の開いたアルギニン残基の輸送オリゴマーが使用された場合の蛍光薬剤の細胞取り込みの全体的な増大を示す棒グラフである。この間隔の開いた基は、天然に存在するアミノ酸である。 図3は、種々の輸送組成物の濃度が減少した、図2と同様の棒グラフであり、細胞取り込みの増大が、より低い濃度でも変化しないことを示す。 図4は、図2および3において使用された濃度(6.25マイクロモル濃度)での細胞取り込みを示す棒グラフである。この濃度で、Fl−aca−R7CONHの取り込みは、落ち始めるが、本発明の組成物は、有意な取り込みの利点を維持する。 図5は、下付文字xが、4、5および6の場合の50μMの(Raca)Rシリーズの細胞取り込みの増大を示す棒グラフである。簡潔さのために、各輸送因子中の結合したFl−acaは示さない。 図6は、(RX)R輸送オリゴマー 対 アルギニンのホモポリマー(r19およびr13)の(平均蛍光によって決定される)取り込みを示す棒グラフである。この図において、記号Xは、アミノカプロン酸、gly−glyまたはglyを示す。簡潔さのために、各輸送因子中の結合したFl−acaは示さない。 図7−1は、aca間隔が開いたアルギニンヘプタマーの60個の順列(これらを調製し、そして評価した(結果を図8に示す))を示す。 図7−2は、aca間隔が開いたアルギニンヘプタマーの60個の順列(これらを調製し、そして評価した(結果を図8に示す))を示す。 図7−3は、aca間隔が開いたアルギニンヘプタマーの60個の順列(これらを調製し、そして評価した(結果を図8に示す))を示す。 図8は、r7に対するR aca間隔が開いたアナログの相対的取り込みを示す棒グラフである。 図9は、自己犠牲リンカーを使用する、r7−酸へのシクロスポリンの結合体化を示す(図9Aを参照のこと)。リンカーを切断し、そしてpHの5.5への低下と共にシクロスポリンを放出するための機構は、図9Bに示される。 図10は、N末端システイン基を介した、r7−アミドへのアシクロビルの結合体化を示す。ビオチン含有トランスポーターとの結合体化もまた示される。 図11は、N末端システイン基を介した、r7−アミドへのヒドロコルチゾンの結合体化を示す。ビオチン含有トランスポーターとの結合体化もまた示される。 図12は、N末端システイン基を介した、r7−アミドへのタキソールの結合体化を示す。 図13は、レチナールとr9(間隔を開けるアミノ酸を有さないことが示される)との間に形成される結合体を示す。 図14は、レチノイン酸−r9結合体を調製する際の切断可能なリンカーの使用を示す。

Claims (35)

  1. 生物学的に活性な化合物および輸送部分を含有する組成物であって、ここで、該輸送部分は、(ZYZ)Z、(ZY)Z、(ZYY)Zおよび(ZYYY)Zからなる群より選択される構造を含み、ここで各Zは、L−アルギニンまたはD−アルギニンであり、そして各Yは、独立して、アミジノ部分またはグアニジノ部分を含まないアミノ酸であり、そしてここで、nは、2〜10の整数である、組成物。
  2. 請求項1に記載の組成物であって、ここで、各Yは、独立して、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リジン、ロイシン、メチオニン、アスパラギン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、ヒドロキシプロリン、チロシン、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、サルコシンおよびε−アミノカプロン酸からなる群より選択される、組成物。
  3. 前記輸送部分が、構造(ZYZ)Zを含み、ここで、nが2〜5の範囲の整数である、請求項1に記載の組成物。
  4. 前記輸送部分が、構造(ZY)Zを含み、ここで、nが4〜10の範囲の整数である、請求項1に記載の組成物。
  5. 前記輸送部分が、構造(ZYY)Zを含み、ここで、nが4〜10の範囲の整数である、請求項1に記載の組成物。
  6. 前記輸送部分が、構造(ZYYY)Zを含み、ここで、nが4〜10の範囲の整数である、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記輸送部分が、連結部分によって前記生物学的に活性な化合物に結合して、結合体を形成している、請求項1に記載の組成物。
  8. Yが遺伝子コードアミノ酸である、請求項1に記載の組成物。
  9. Yが遺伝子コードアミノ酸以外のアミン酸である、請求項1に記載の組成物。
  10. 請求項3に記載の組成物であって、ここで各Yは、独立して、グリシン、γ−アミノ酪酸、β−アラニンおよびε−アミノカプロン酸からなる群より選択され、そしてnは、3または4である、組成物。
  11. 請求項4に記載の組成物であって、ここで各Yは、独立して、グリシン、γ−アミノ酪酸、β−アラニンおよびε−アミノカプロン酸からなる群より選択され、そしてnは、6、7または8である、組成物。
  12. 請求項5に記載の組成物であって、ここで各Yは、独立して、グリシン、γ−アミノ酪酸、β−アラニンおよびε−アミノカプロン酸からなる群より選択され、そしてnは、6、7または8である、組成物。
  13. 請求項6に記載の組成物であって、ここで各Yは、独立して、グリシン、γ−アミノ酪酸、β−アラニンおよびε−アミノカプロン酸からなる群より選択され、そしてnは、6、7または8である、組成物。
  14. 請求項7に記載の組成物であって、ここで前記結合体は、以下の構造:
    Figure 2005508832
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な化合物上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Yは、前記輸送部分上の官能基と、RとRとの間の該リンカー上の官能基との間の結合であり;
    Aは、NまたはCHであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    は、該輸送部分であり;
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかであり;そして、
    nは、1〜10の整数である、
    組成物。
  15. 請求項14に記載の組成物であって、ここで、XおよびYの各々が、独立して、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−S−S−、−C(S)O−、−C(S)NH−、−NHC(O)NH−、−SONH−、−SONH−、ホスフェート、ホスホネートおよびホスフィネートからなる群より選択される、組成物。
  16. 請求項14に記載の組成物であって、ここで、XおよびYの各々が、独立して、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−および−NHC(O)NH−からなる群より選択される、組成物。
  17. 請求項7に記載の組成物であって、ここで、前記結合体は、以下の構造:
    Figure 2005508832
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な化合物上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Yは、前記輸送部分上の官能基と、RとRとの間の該リンカー上の官能基との間の結合であり;
    は、該輸送部分であり;
    は、S、O、NRまたはCRであり;
    は、OH、SHまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    およびRは、独立して、水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;そして、
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかである、
    組成物。
  18. 請求項17に記載の組成物であって、ここで、XおよびYの各々が、独立して、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−S−S−、−C(S)O−、−C(S)NH−、−NHC(O)NH−、−SONH−、−SONH−、ホスフェート、ホスホネートおよびホスフィネートからなる群より選択される、組成物。
  19. 請求項17に記載の組成物であって、XおよびYの各々が、独立して、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−および−NHC(O)NH−からなる群より選択される、組成物。
  20. 請求項7に記載の組成物であって、ここで、前記結合体が、以下の構造:
    Figure 2005508832
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な化合物上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Yは、前記輸送部分上の官能基と、RとRとの間の該リンカー上の官能基との間の結合であり;
    は、該輸送部分であり;
    は、H、OH、SHまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;そして、
    kは、1または2である、
    組成物。
  21. 請求項20に記載の組成物であって、ここで、XおよびYの各々が、独立して、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−S−S−、−C(S)O−、−C(S)NH−、−NHC(O)NH−、−SONH−、−SONH−、ホスフェート、ホスホネートおよびホスフィネートからなる群より選択される、組成物。
  22. 請求項20に記載の組成物であって、ここで、XおよびYの各々が、独立して、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−および−NHC(O)NH−からなる群より選択される、組成物。
  23. 請求項7に記載の組成物であって、ここで、前記結合体が、以下の構造:
    Figure 2005508832
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な化合物上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Yは、前記輸送部分上の官能基と、RとRとの間の該リンカー上の官能基との間の結合であり;
    Arは、置換または非置換のアリール基であって、ここで、メチレン置換基および酸素置換基は、互いに、オルト位またはパラ位のいずれかあり;
    は、該輸送部分であり;
    は、S、O、NRまたはCRであり;
    は、H、OH、SH、CONHRまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    およびRは、独立して、水素またはアルキルであり;そして、
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかである、
    組成物。
  24. 請求項23に記載の組成物であって、ここで、XおよびYの各々が、独立して、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−S−S−、−C(S)O−、−C(S)NH−、−NHC(O)NH−、−SONH−、−SONH−、ホスフェート、ホスホネートおよびホスフィネートからなる群より選択される、組成物。
  25. 請求項23に記載の組成物であって、ここで、XおよびYの各々が、独立して、−C(O)O−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−および−NHC(O)NH−からなる群より選択される、組成物。
  26. Aが、Nであり、Rが、ベンジルであり、k、mおよびnが、1であり、そしてXが、−C(O)O−である、請求項12に記載の組成物。
  27. が、Sであり、Rが、NHRであり、Rが、水素、メチル、アリル、ブチルまたはフェニルであり、kおよびmが、1であり、そしてXが、−C(O)O−である、請求項13に記載の組成物。
  28. が、NHRであり、Rが、水素、メチル、アリル、ブチルまたはフェニルであり、kが、2であり、そしてXが、−C(O)O−である、請求項14に記載の組成物。
  29. Arが、非置換アリール基であり、Rが、Sであり、Rが、NHRであり、Rが、水素、メチル、アリル、ブチルまたはフェニルであり、kおよびmが、1であり、そしてXが、−C(O)O−である、請求項15に記載の組成物。
  30. 生物学的膜を横切る生物学的に活性な化合物の輸送を増加させるための方法であって、該方法は、以下の工程;
    生物学的に活性な化合物および輸送部分含有する組成物を投与する工程であって、ここで、該輸送化合物が、(ZYZ)Z、(ZY)Z、(ZYY)Zおよび(ZYYY)Zからなる群より選択される構造を含み、ここで、Zは、L−アルギニンまたはD−アルギニンであり、そしてここで、Yは、アミジノ部分またはグアニジノ部分を含まないアミノ酸であり、そしてここで、nは、2〜10の範囲の整数である、工程を包含し、
    ここで、該生物学的膜を横切る該生物学的に活性な化合物の輸送は、該輸送部分の非存在化での該生物学的に活性な化合物の輸送に対して、増加される、
    方法。
  31. 前記生物学的に活性な化合物が、連結部分によって前記輸送部分に結合して、結合体を形成する、請求項30に記載の方法。
  32. 請求項31に記載の方法であって、前記結合体は、以下の構造:
    Figure 2005508832
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な化合物上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Yは、前記輸送部分上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Aは、NまたはCHであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    は、該輸送部分であり;
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかであり;そして、
    nは、1〜10の整数である、
    方法。
  33. 請求項31に記載の方法であって、前記結合体は、以下の構造:
    Figure 2005508832
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な化合物上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Yは、前記輸送部分上の官能基と、RとRとの間の該リンカー上の官能基との間の結合であり;
    は、該輸送部分であり;
    は、S、O、NRまたはCRであり;
    は、OH、SHまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    およびRは、独立して、水素、アルキルまたはアリールアルキルであり;そして、
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかである、
    方法。
  34. 請求項31に記載の方法であって、前記結合体は、以下の構造:
    Figure 2005508832
    を有し、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な化合物上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Yは、前記輸送部分上の官能基と、RとRとの間の該リンカー上の官能基との間の結合であり;
    は、該輸送部分であり;
    は、H、OH、SHまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;そして、
    kは、1または2である、
    方法。
  35. 請求項31に記載の方法であって、前記結合体は、以下の構造:
    Figure 2005508832
    の結合体であり、ここで:
    は、前記生物学的に活性な化合物であり;
    Xは、該生物学的に活性な化合物上の官能基と、RとRとの間のリンカー上の官能基との間の結合であり;
    Yは、前記輸送部分上の官能基と、RとRとの間の該リンカー上の官能基との間の結合であり;
    Arは、置換または非置換のアリール基であって、ここで、メチレン置換基および酸素置換基は、互いに、オルト位またはパラ位のいずれかあり;
    は、該輸送部分であり;
    は、S、O、NRまたはCRであり;
    は、H、OH、SH、CONHRまたはNHRであり;
    は、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、アシルまたはアリルであり;
    およびRは、独立して、水素またはアルキルであり;そして、
    kおよびmは、独立して、1または2のいずれかである、
    方法。
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