JP2005508174A - 角膜および眼窩内異常の修復のための脂肪組織由来間質細胞ならびにその使用 - Google Patents
角膜および眼窩内異常の修復のための脂肪組織由来間質細胞ならびにその使用 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【0001】
本願は、2001年11月9日に出願された米国第60/347,605号への優先権を請求する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、眼球内ストローマ細胞の少なくとも一つの特性を発現するように誘導された単離された脂肪組織由来間質細胞を提供する。分化したもしくは未分化の脂肪由来間質細胞での眼の角膜および眼窩内異常の修復の方法もまた提供する。
【背景技術】
【0003】
眼は、多数の組織タイプからなる複雑な器官である。外部から内部へと3種の異なる被膜が眼を構成している:強膜および角膜、脈絡膜、ならびに網膜。これら3種の被膜内には屈折性媒質:房水、水晶体、および硝子体液がある。ストローマ細胞は、眼の各層の不可欠な成分であり、そして隣接する上皮、内皮、神経、および炎症細胞と重要な調節関係を共有する。多数の症状が眼およびその機能に影響を与える。例えば、角膜の疾患には、いわゆる原発性および二次性疾患が包含される(非特許文献1)。眼の原発性疾患には:無虹彩もしくは虹彩の欠如;紅斑角皮症もしくは皮膚の発赤および角質増殖;ならびに多発性内分泌不全症を伴う角膜炎が包含されるが、これらに限定されるものではない。眼の二次性疾患には:化学的損傷;温熱性損傷;コンタクトレンズ角膜症;反復的輪部手術、および輪部から角膜に灰色の帯が発生する変性症状である帯状角膜症が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0004】
これらの疾患の多くは、角膜と結膜との間に位置する、輪部の基底層に存在する、角膜の自己再生する幹細胞に関係している(非特許文献1)。輪部不全症もしくは幹細胞機能障害は、視力低下、光恐怖症、炎症、浮腫、およびまぶたを制御する筋肉の痙攣が包含される症状をもたらす。ある場合には、個別的限局性化学火傷の場合におけるように、角膜の罹病領域への健康な輪部組織の移植によりこれを直すことができる。角膜幹細胞とそれらの下にあるストローマとの間の相互作用は、正常な機能にとって重要であることが様々な証拠により示される。
【0005】
これら2種の隣接する細胞タイプは、特異的な自己分泌および傍分泌経路を示す。これらの経路は、トランスフォーミング増殖因子β1およびβ2(TGFβ)、インシュリン様増殖因子(IGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、ならびに角化細胞増殖因子(KGF)が包含されるがこれらに限定されるものではない、ストローマ細胞により放出されるサイトカインにより媒介される。これらの各々の受容体は、角膜上皮細胞により合成される。同様に、角膜上皮細胞は、TGFβ1およびβ2、IGF、bFGF、ならびに血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を合成する。VEGF受容体を除いて、ストローマ細胞はこれらのサイトカインの全てならびに血小板由来増殖因子(PDGF)および上皮細胞増殖因子(EGF)の受容体を発現する(非特許文献1)。
【0006】
角膜は、レンズおよび網膜上に光を屈折させることにより正常視力の維持において重要な役割を果たす。これは、組織のより深い層を感染から防御するために角膜上皮細胞の絶え間ない自己再生を必要とする(非特許文献2)。光学的角膜屈折矯正手術もしくはレーザー原位置角膜曲率形成術のような外科的処置は、角膜の一部の除去を伴う。これらの処置は、近視もしくは近眼の形態を処置するために行われる(非特許文献3)。
【0007】
これらの処置の後の修復は、上皮の層化が付随するストローマ収縮を必要とする(非特許文献4)。治癒プロセスの間に、多くの患者は、動物モデルにおいてアルファ平滑筋アクチン(α−SMA)を発現する筋繊維芽細胞性細胞の出現を特徴とする、術後の前部「ストローマ混濁」(postoperative anterior ‘stromal haze’)を経験する(非特許文献5)。これらの筋繊維芽細胞性細胞は、TGFβにより培養において誘導され、そして抗TGFβ抗体によりインビボ(in vivo)において阻止される(非特許文献6;非特許文献7)。同様に、上皮細胞と隣接するストローマとの間の直接的相互作用は、筋繊維芽細胞のストローマ分化を誘導することができる証拠がある。これは、羊膜の存在によりさらに影響される(非特許文献8)。動物モデルにおける「ストローマ混濁」の程度は、光学的角膜屈折矯正手術中の角膜ストローマへの損傷の深さに対応する(非特許文献9)。患者において、角膜混濁の程度は、上皮細胞除去の技術(機械的もしくはレーザーに基づく)に関係なく同じである(非特許文献10)。
【0008】
角膜および眼球の異常および損傷を処置しそして修復するために様々な生体材料が用いられている。角膜細胞外マトリックスは、コラーゲンおよびグリコサミノグリカンに富んでいる(非特許文献11)。グリコサミノグリカン、ヒアルロナンは、ストローマおよび内皮層の評価により判断した場合に、ラットおよびウサギモデルにおいて角膜上皮創傷治癒を高めることが見出されている(非特許文献12;非特許文献13)。Tseng等は、様々な眼球疾患の処置における羊膜の使用を開発している(特許文献1)。羊膜は、「ストローマ」側および「基底膜」側で、分極している。ストローマ側は、IV型コラーゲン、ラミニンおよびヘパリン硫酸プロテオグリカンの基底膜分布を有してコラーゲンIおよびIIIならびにフィブロネクチンを含有する。羊膜の基底膜側は上皮細胞増殖を支え、一方、ストローマ側はコラーゲンと同様の方法で繊維芽細胞の増殖を支える。羊膜はヒト胎盤から単離し、低温保存し、そして次に眼球内疾患の外科的修復に使用する。
【0009】
羊膜の作用機序は、いまだに明らかでない。しかしながら、培養における羊膜の存在は、繊維芽細胞によるTGFβ(非特許文献14)ならびに上皮細胞によるインターロイキン1αおよびインターロイキン1β(非特許文献15)の発現を抑制するインビトロ(in vitro)証拠がある。
【0010】
羊膜は、幅広い角膜および眼球の異常を処置するために成功裡に用いられている。例えば、深部角膜および強膜潰瘍は、ストローマ層、基底膜を埋めるためのそして創傷カバーとしての多層の羊膜の使用により処置されている(非特許文献16)。羊膜は、免疫性疾患であるHIV−1角膜炎におけるストローマ炎症および潰瘍形成を減らすことが見出された(非特許文献17)。重度の神経栄養性角膜潰瘍もまた、羊膜で処置されている(非特許文献18)。羊膜は角膜および結膜表面を回復させ、そして急性の化学的もしくは温熱性火傷に起因する輪部ストローマ炎症を減少した(非特許文献19)。羊膜は、部分輪部幹細胞欠損症にかかっている患者において輪部自家移植もしくは同種移植に代わるものとして用いられた(非特許文献20)。羊膜はまた、強膜に結合して、結膜から角膜に広がる膜の翼状褶曲である翼状片の外科的処置においても用いられている(非特許文献21)。羊膜は、首尾よく結膜に代わるものとして遅発性緑内障濾過床漏出(filtering bed leak)を処置するために(非特許文献22;非特許文献23)ならびに帯状角膜症、サルコイドーシス、慢性ぶどう膜炎および他の原因に続発する角膜基底膜におけるカルシウムの沈着の外科的処置に用いる場合に安定な角膜上皮の回復を高めそして眼痛を減らすために用いられた(非特許文献24)。
【0011】
羊膜材料の調達と関連する問題のために、研究者等は、眼球もしくは角膜異常の修復用のストローマ材料の代わりの供給源を探索している。
【0012】
Cancedda et alへの特許文献2は、角膜異常の処置のために後の移植に用いるすでに分化した眼球上皮細胞をインビトロにおいて培養する方法を開示する。上皮細胞の供給源は、健康な眼からの自己生検材料である。従って、患者はドナーおよびレシピエントの両方として働く。
【0013】
van der Kooy et alへの特許文献3は、網膜の疾患を患っている個体に移植する網膜色素上皮細胞にインビトロにおいて分化させる哺乳類の網膜から単離された幹細胞を開示する。網膜幹細胞の供給源は、胚のもしくは初期の出生後の組織である。
【0014】
Wille,Jr.への特許文献4は、表皮、角膜、歯肉および尿管組織を包含する様々なタイプの組織学的に完全なヒト上皮のインビトロ形成のための培地および方法を開示する。得られる上皮は、単離された動物上皮細胞もしくは上皮組織から単離された基底幹細胞からインビトロにおいて培養される。
【0015】
Ogawa et alへの特許文献5は、角膜増殖を刺激するために罹病角膜組織に適用することができる幹細胞因子を含んでなる組成物を開示する。該発明者等は、角膜幹細胞が移動および増殖するように刺激されると仮定する。
【0016】
Advanced Tissue Sciences,Inc.への特許文献6は、間質細胞および間質細胞により架橋される間質腔を有する生体適合性の非生体材料からなる3次元の管状フレームワークに結合しそしてそれを実質的に包む間質細胞により生来分泌される結合組織タンパク質を含んでなる、インビトロにおいて製造された管状生体間質組織を開示する。
【0017】
角膜異常を包含する眼球の修復に役立つ細胞、材料および方法を提供することは本発明の目的である。
【特許文献1】
米国特許第6,152,142号明細書
【特許文献2】
EP 93830229.6明細書
【特許文献3】
米国特許第6,117,675号明細書
【特許文献4】
米国特許第5,912,178号明細書
【特許文献5】
米国特許第5,942,487号明細書
【特許文献6】
米国特許第5,863,531号明細書
【非特許文献1】
Kruse & Volcker,1997,Curr.Opin.Opthalmol.8(4):46−54
【非特許文献2】
Lu et al 2001,Exp Biol Med 226(7):653−64
【非特許文献3】
Wilson et al 2001,Arch Ophthalmol:119(6):889−96
【非特許文献4】
Taliana et al 2001,Invest Ophthalmol Vis Sci;42(1)81−9
【非特許文献5】
Nakamura et al 2001,Br J Ophthalmol;85(2):209−13
【非特許文献6】
Jester et al 1997,Cornea;16(2):177−87
【非特許文献7】
Jester et al 1999,Prog Retin Eye Res;18(3):311−56
【非特許文献8】
Choi & Tseng 2001,Cornea;20(2):197−204
【非特許文献9】
Moller−Pedersen et al 1998,Cornea;17(6):627−39
【非特許文献10】
Lee et al 2001,Ophthalmology;108(1):112−20
【非特許文献11】
Robert et al 2001,Pathol Biol(Paris);49(4):353−63
【非特許文献12】
Nakamura et al 1997,Exp Eye Res;64(6):1043−50
【非特許文献13】
Chung et al 1999,Ophthalmic Res;31(6):432−9
【非特許文献14】
Lee et al 2000,Curr Eye Res;20(4):325−334
【非特許文献15】
Solomon et al 2001,Br J Ophthalmol;85(4):444−449
【非特許文献16】
Hanada et al 2001,Am J Opthalmol;131(3):324−31
【非特許文献17】
Heiligenhaus et al 2001,Invest Ophthalmol Vis Sci;42(9):1969−1974
【非特許文献18】
Chen et al 2000,Br J Ophthalmol;84(8):826−833
【非特許文献19】
Meller et al 2000,Ophthalmology;107(5):980−989
【非特許文献20】
Anderson et al 2001,Br J Ophthalmol;85(5):567−575
【非特許文献21】
Solomon et al 2001,Ophthalmology:108(3):449−460
【非特許文献22】
Budenz et al 2000,Am J Ophthalmol;130(5):580−588
【非特許文献23】
Barton et al 2001,Invest Ophthalmol Vis Sci;42(8):1762−1768
【非特許文献24】
Anderson et al 2001,Cornea;20(4):354−361
【発明の開示】
【0018】
[発明の要約]
本発明は、眼球内もしくは眼球ストローマ細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を保有するように分化されている脂肪由来の間質細胞もしくは幹細胞を提供する。この細胞は、眼の変性疾患もしくは他の疾患の治療処置に用いることができる。
【0019】
本発明はまた、任意の病因の眼球内もしくは眼球異常を処置するための脂肪組織由来間質細胞の使用および培養の方法および組成物も提供する。
【0020】
本発明の別の態様として、眼球内もしくは眼球ストローマ細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現するための皮下、乳房、性腺、大網もしくは任意の他の脂肪組織部位から得られる間質細胞の一貫した定性的および定量的誘導の方法および組成物を提供する。
【0021】
本発明の別の態様として、単離された脂肪組織由来細胞は、眼球内ストローマ細胞の少なくとも一つの特性を発現する細胞に分化するように誘導され、これは単離された脂肪組織由来間質細胞を眼球誘導物質と接触させる工程を含んでなる。この物質は化学的に特定される細胞培養培地中にあり、そして少なくとも一つの眼球細胞マーカーを発現するように単離された脂肪組織由来間質細胞を誘導するのに十分な濃度の増殖因子、サイトカイン、化学物質、および/もしくはホルモンが包含される。
【0022】
本発明の別の態様として、脂肪組織由来間質細胞は、細胞表現型を改変しそして任意の眼球内異常の回復および修復を促進する経路を誘導することができるタンパク質を発現するように遺伝子操作される。これは、所望の核酸が細胞に導入されるように適当な条件下で導入遺伝子を含む核酸を含んでなる遺伝子導入ベクターに細胞をさらすことにより成し遂げられる。あるいはまた、細胞を裸の核酸で処理し、そしてそれを取り込ませる。
【0023】
本発明はさらに、所望の眼球細胞の特性を発現するように誘導されている脂肪由来間質細胞を投与することを含むホストにおける変性眼球症状を処置する方法を提供する。本発明の明確な利点は、脂肪組織由来間質細胞をホストから直接単離することができ(自家移植)、もしくは別のホストにより提供できる(同種移植)ことである。
【0024】
本発明の別の態様として、脂肪組織由来間質細胞は、眼球内ストローマ潰瘍形成の部位を外科的に修復するために用いる天然もしくは合成の生体適合性材料を含んでなる3次元マトリックス中もしくは上でそれらの未分化のもしくは分化した状態で培養する。
【0025】
本発明の別の態様として、脂肪組織由来間質細胞は、胞漏出(bleb leakage)を補正することにより成功した緑内障手術を推進するために細胞の自家および同種移植に分化させずに直接用いる。この態様として、脂肪由来間質細胞は、好ましくは所望の位置において、眼に投与し、そして(i)適切なサイトカインおよび他の生物学的因子の共投与、または(ii)ホストにおいてすでに存在するかもしくは誘導されるインビボ因子のいずれかによって分化させる。
【0026】
本発明のさらに別の態様として、脂肪組織由来間質細胞は、とりわけ、光学的角膜屈折矯正手術/治療的角膜切除術により誘発される角膜混濁、翼状片の「むき出しの強膜(bare sclera)」除去中の修復、帯状角膜症の外科的処置、結膜もしくは角膜表面からの腫瘍、損傷、もしくは瘢痕組織の外科的除去が包含されるがこれらに限定されるものではないヒト症状の処置のための細胞の自家および同種移植に用いる。
【0027】
本発明のさらに別の態様として、脂肪組織由来間質細胞は、罹病した眼に羊膜組織と組み合わせて移植する。
【0028】
本発明の別の態様として、脂肪組織由来間質細胞は、罹病した眼への移植の前に脂肪芽細胞系統の細胞に分化させる。
【0029】
本発明のさらに別の態様として、脂肪組織由来間質細胞は、脂肪芽細胞系統の細胞に分化させ、そして罹病した眼に羊膜組織と一緒に移植する。
【0030】
本発明の細胞は、細胞の均質な集団としてまたは他の細胞が眼球様細胞の増殖もしくは分化を支える物質を分泌する細胞集団の一部として用いる。
【0031】
本発明はまた、患者から脂肪組織を単離する手段および脂肪組織の残りから幹細胞を分離する手段を含む脂肪組織から幹細胞もしくは間質細胞を単離するキットも意図する。該キットはまた、幹細胞を分化させる培地も含み、ここで、該培地は、細胞が眼球細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現するようにするか、もしくは一般に眼球原性である(ocularogenic)。
【0032】
本発明はさらに、本発明の脂肪由来細胞から組織を設計する組成物および方法を包含する。そのような組成物は、組織を分化および増幅させるために生物学的に適合する格子構造(lattice structure)と組み合わせて脂肪由来細胞を含む。従って、そのようにして、眼球様組織もしくは全器官が製造される。生物学的に適合する格子は脂肪由来自体であることができ、そして任意のヒトタンパク質、プロテオグリカン、糖タンパク質、ヒアルロニン、フィブロネクチン分子、ホルモン、サイトカインおよび増殖因子を含む。該格子はまた、グリコール酸、乳酸、フマル酸プロピル、カプロラクトン、ヒアルロナン、ヒアルロン酸もしくはその組み合わせよりなる群から選択されるモノマーのポリマーも含むことができ、またはそれらから製造することもできる。あるいはまた、ポリマー材料は、タンパク質、多糖、ポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、合成ポリマーもしくはその組み合わせであることができる。ポリマー材料はまた、細胞を中に分散したポリマー懸濁液を架橋することにより形成されるヒドロゲルであることもできる。
【0033】
本発明の他の目的および特徴は、下記の開示および添付の請求項からさらに十分に明らかになる。
[発明の詳細な記述]
本発明は、眼球由来の細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現するように誘導された脂肪由来の間質細胞もしくは幹細胞である。より好ましくは、該細胞は、角膜上皮細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を保有する。あるいはまた、該細胞は、眼球ストローマ細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を保有する。本発明の方法により生成される細胞は、動物疾患、好ましくはヒト疾患の処置、組織修復もしくは改善、および眼球、好ましくは角膜上皮の変性疾患の補正のための研究、移植、および細胞治療製品の開発用の成熟眼球細胞の遺伝子型もしくは表現型特性を有する部分的にもしくは完全に分化した、または未分化の機能性細胞の供給源を提供する。そのような細胞の製造および使用方法もまた包含する。
I.定義
「結膜」は、まぶたの内側を覆いそして強膜の露出表面を被覆する膜をさす。
【0034】
「角膜」は、眼球線維膜の前部を形成する透明な構造をさす。それは5層、特に:1)結膜とつながる前部角膜上皮;2)前境界板(ボーマン膜);3)固有質、もしくはストローマ層;4)後境界板(デスメ膜);および5)前房の内皮細胞もしくは角皮からなる。
【0035】
「網膜」は、硝子体を取り囲みそして視神経と後方でつながる、眼球の3層の最も内側の部分をさす。それは、脈絡膜上にある視部、毛様体上にある毛様体部、および虹彩後面上にある虹彩部に分けられる。大まかに、網膜は外側の色素上皮層(色素部)および内側の透明な層(transparent layer)(神経部)からなり、これらは一緒に視部を構成する。眼の視覚部分は、内側から外側に:1)内境界膜;2)神経線維層;3)神経節細胞層;4)内網状層;5)内顆粒層;6外網状層;7)外顆粒層;8)外境界膜;および9)杆錐状体層と命名される9層からなる。
【0036】
「トランスフォーミング増殖因子β」(TGFβ)は、23アミノ酸(aa)のシグナル配列、256aaのプロ領域および112aaの成熟セグメントからなる55kDa、391aaのプレプロタンパク質である。分泌の前に、プロ領域はフューリン様プロテアーゼでRxxR部位で切断される。これは、グリコシル化されていない25kDaのジスルフィド結合した成熟ダイマーをもたらし、これは前に結合していたそのジスルフィド結合したプロ領域と非共有結合的に会合して「潜伏複合体(latent complex)」を形成する。この複合体は分泌される。活性化は、転写因子のSmadファミリーにより媒介される細胞内シグナルカスケードを開始するようにおそらくは膜貫通型セリン/トレオニンキナーゼによって様々な条件下で細胞外で起こる。
【0037】
FGF−2としても知られている「塩基性繊維芽細胞増殖因子」(bFGF)は、細胞内および細胞外活性の両方を示す18kDaのグリコシル化されていないポリペプチドである。bFGFは、モノマーとして分泌される。分泌の後、bFGFは細胞表面ヘパリン硫酸(HS)もしくはマトリックスグリコサミノグリカンのいずれか上で封鎖される。bFGFはモノマーとして分泌されるが、細胞表面HSは、非共有結合の側面を接した(side−to−side)立体配置でモノマーbFGFを二量化するようであり、それは次に二量化しそしてFGF受容体を活性化することができる。
【0038】
「血小板由来増殖因子」(PDGF)は、AおよびBと称する2種の遺伝学的に異なるが構造的に関連するポリペプチド鎖の30kDaのホモもしくはヘテロダイマーの組み合わせである。それは、最初に血清における血小板由来繊維芽細胞マイトジェンとして同定された。その後の研究により、多数の細胞タイプがPDGFを分泌することおよび該サイトカインが中胚葉系統(筋肉、骨、結合組織)の細胞のマイトジェンであることが示されている。
【0039】
「血管内皮細胞増殖因子」(VEGF)は、最初に内皮細胞の増殖および生存因子として同定された。それは内皮細胞増殖を誘導し、そして血管新生および脈間形成を調節する。VEGFは、45kDaのホモダイマーとして分泌されるヘパリン結合性糖タンパク質である。多数の細胞タイプ(しかし、通常は内皮細胞自体ではない)がVEGFを分泌する。
【0040】
分散因子としても知られている「肝細胞増殖因子」(HGF)は、有糸分裂誘発、移動、浸潤および形態形成を促進する多機能性サイトカインである。HGFに依存するシグナル伝達は、凝集および細胞接着を促進することによりインテグリン機能を調節する。HGF/SFにより誘導される効果は、リガンド結合の後、METチロシンキナーゼ受容体のシグナル伝達によって起こる。
【0041】
「角化細胞増殖因子」(KGF)もしくはFGF−7は、上皮に比較的限られている標的を有する28kDaの一本鎖の分泌糖タンパク質である。該分子は、31aaのシグナル配列および163aaの成熟セグメントを含有する194aaの前駆体として合成される。成熟増殖因子は、分子の別個の領域によってヘパリンおよびその受容体(KGFR)に結合する。FGF−7を発現する成人細胞には、繊維芽細胞、T細胞、平滑筋細胞、および卵巣莢膜細胞が包含される。胚において、KGFは間充組織の全体にわたって発生の多くの段階で存在する。
【0042】
「インシュリン様増殖因子」(IGF)、IGF−IおよびIGF−II、は、インシュリンに対する50%の構造相同性を共有する。IGFは、細胞増殖の有糸分裂促進因子ならびに細胞のアポトーシス経路の抑制因子として作用する。成長ホルモン(GH)の制御下で、肝臓はIGF生産の主要な部位である。IGF−Iレベルはまた、栄養および発生段階によっても影響される。IGFの自己分泌および傍分泌組織生産は、増殖調節に利用可能なIGFのレベルに寄与する。
【0043】
「発生表現型」は、分化のプロセスを通して特定の物理的表現型を獲得する細胞の潜在能力である。
【0044】
「ホルモン」は、細胞により分泌されそして接触することで同じもしくは他の細胞における表現型変化を引き起こす任意の物質である。
【0045】
「遺伝子型」は、分化経路と関連する遺伝子の少なくとも一つのメッセンジャーRNA転写産物の発現である。
【0046】
「トランスジェニック」という用語は、細胞内に外因性遺伝物質を含む細胞、培養物もしくは組織が包含されるがこれらに限定されるものではない任意の動物もしくはその任意の一部を表すために用いる。本発明の細胞は、それらにDNAを加えることができ、そして次にこれらの細胞を移植にまたはホルモン、細胞もしくは組織のインビトロ生産に用いることができる。
【0047】
「導入遺伝子」は、その細胞から発生する細胞、細胞系、組織もしくは生物体のゲノムの一部になる(すなわち、安定に組み込まれるかもしくは安定な染色体外要素として)細胞に手法により挿入されるDNAの任意の断片を意味する。そのような導入遺伝子は、異種遺伝子が導入される細胞もしくは生物体にとって部分的にもしくは完全に異種もしくは異質である遺伝子を包含することができ、または生物体の内因性遺伝子に相同な遺伝子に相当することができる。定義内に包含されるのは、DNAに転写されそして次にゲノムに組み込まれるRNA配列の提供により作製される導入遺伝子である。「トランスジェニック」という用語にはさらに、インビトロ操作によりもしくは任意のトランスジェニック技術によりゲノムが改変されている細胞、細胞系、細胞培養物もしくは組織が包含されるがこれらに限定されるものではない任意の生物体もしくはその一部が包含される。
II.脂肪由来の幹細胞もしくは間質細胞
脂肪由来幹細胞もしくは「脂肪由来間質細胞」は、脂肪組織に由来する細胞をさす。「脂肪」は、任意の脂肪組織を意味する。脂肪組織は、皮下、大綱/内臓、乳房、性腺、もしくは他の脂肪組織部位から得られる褐色もしくは白色脂肪組織であることができる。好ましくは、脂肪は皮下白色脂肪組織である。そのような細胞は、初代細胞培養物もしくは不死化細胞系を含んでなることができる。脂肪組織は、脂肪組織を有する任意の生物体からであることができる。好ましくは、脂肪組織は哺乳類のものであり、最も好ましくは脂肪組織はヒトのものである。脂肪組織の都合の良い供給源は脂肪吸引手術からであり、しかしながら、脂肪組織の供給源もしくは脂肪組織の単離の方法は、本発明にとって重要ではない。
【0048】
成人ヒト髄外脂肪組織由来間質細胞は、患者に対する最小の危険もしくは不快感で日常的に採取することができる間質幹細胞供給源である。病理学的証拠は、脂肪由来間質細胞が多数の系統経路に沿って分化できることを示唆する。脂肪組織は容易に入手しやすく、そして多くの個体において豊富である。肥満症は、50%を超える成人がその身長に基づく推奨BMIを上回る、米国における伝染病的な規模の症状である。
【0049】
脂肪細胞は補充可能な細胞集団であることが十分に立証されている。脂肪吸引もしくは他の方法による外科的除去の後でさえ、時間とともに個体における脂肪細胞の発生を認めることは一般的である。これは、自己再生することができる間質幹細胞を脂肪組織が含有することを示唆する。
【0050】
脂肪組織は、組織工学用途に多数の実用的利点を与える。第一に、それは豊富である。第二に、患者に対する最小の危険で採取方法を利用しやすい。第三に、補充可能である。間質細胞は、骨髄の有核細胞集団の0.01%未満に相当するが、脂肪組織のグラム当たり8.6x104までの間質細胞がある(Sen et al 2001,Journal of Cellular Biochemistry 81:312−319)。2〜4週にわたるエクスビボ(ex vivo)増幅は、0.5キログラムの脂肪組織から5億までの間質細胞をもたらす。これらの細胞は、即座に用いるかまたは将来の自己もしくは同種用途のために低温保存することができる。
【0051】
脂肪由来間質細胞はまた、多数の接着および表面タンパク質も発現する。これらには、CD9;CD29(インテグリンベータ1);CD44(ヒアルロン酸受容体);CD49d、e(インテグリンアルファ4、5);CD54(ICAM1);CD55(崩壊促進因子);CD105(エンドグリン);CD106(VCAM−1);CD166(ALCAM)およびHLA−ABC(クラス1組織適合性抗原)のような細胞表面マーカー;ならびにインターロイキン6、7、8、11;マクロファージコロニー刺激因子;GMコロニー刺激因子;顆粒球コロニー刺激因子;白血病抑制因子;幹細胞因子および骨形成タンパク質のようなサイトカインが包含される。これらのタンパク質の多くは、造血支持機能を果たす潜在能力を有し、そしてこれらの全ては骨髄間質細胞により共通して共有される。
【0052】
ヒト脂肪組織由来細胞の単離、増幅および分化の方法は報告されている。例えば、Burris et al 1999,Mol Endocrinol 13:410−7;Erickson et al 2002,Biochem Biophys Res Commun.2002 Jan 18;290(2)763−9;Gronthos et al 2001,Journal of Cellular Physiology,189:54−63;Halvorsen et al 2001,Metabolism 50:407−413;Halvorsen et al 2001,Tissue Eng.7(6):729−41;Harp et al 2001,Biochem Biophys Res Commun 281:907−912;Saladin et al 1999,Cell Growth & Diff 10:43−48;Sen et al 2001,Journal of Cellular Biochemistry 81:312−319;Zhou et al 1999,Biotechnol.Techniques 13:513−517を参照。脂肪組織由来間質細胞は、刻んだヒト脂肪組織からコラゲナーゼ消化および分画遠心分離により得られる[Halvorsen et al 2001,Metabolism 50:407−413;Hauner et al 1989,J Clin Invest 84:1663−1670;Rodbell et al 1966,J Biol Chem 241:130−139]。ヒト脂肪組織由来間質細胞は、脂肪細胞、軟骨細胞、および骨芽細胞系統経路に沿って分化できることが示されている[Erickson et al 2002,Biochem Biophys Res Commun.2002 Jan 18;290(2):763−9;Gronthos et al 2001,Journal of Cellular Physiology,189:54−63;Halvorsen et al 2001,Metabolism 50:407−413;Halvorsen et al 2001,Tissue Eng.2001 Dec;7(6):729−41;Harp et al 2001,Biochem Biophys Res Commun 281:907−912;Saladin et al 1999,Cell Growth & Diff 10:43−48;Sen et al 2001,Journal of Cellular Biochemistry 81:312−319;Zhou et al 1999,Biotechnol.Techniques 13:513−517;Zuk et al 2001,Tissue Eng.7:211−228]。
【0053】
ヒト脂肪組織由来成人間質細胞は、患者に対する最小の危険もしくは不快感で日常的に採取することができる成人幹細胞供給源である。これらはエクスビボで増幅し、独特の系統経路に沿って分化させ、遺伝子操作し、そして自家もしくは同種移植のいずれかとして個体に再導入することができる。
【0054】
University of PittsburghおよびThe Regents of the University of CaliforniaへのWO 00/53795ならびにUniversity of Pittsburghに譲渡された米国特許出願第2002/0076400号は、脂肪由来幹細胞ならびに脂肪細胞および赤血球および結合組織幹細胞のクローン集団を実質的に含まない格子を開示する。該細胞は、インビボおよびインビトロの両方において、分化した組織および構造を生成せしめるために単独でもしくは生物学的に適合する組成物内で用いることができる。さらに、該細胞は、ホルモンを生産するためにそして他の細胞集団の増殖および増幅を支えるならし培養培地を提供するために増幅しそして培養することができる。別の態様として、これらの公開は、脂肪組織からの細胞外マトリックス物質を含む、細胞が実質的にない脂肪由来の格子を開示する。該格子は、インビボであろうとインビトロであろうと、原基または成熟組織もしくは構造への細胞の増殖および分化を促進するために基質として用いることができる。いずれの公開も、眼球内ストローマ細胞の少なくとも一つの表現型もしくは遺伝子型特性を発現するように誘導されている脂肪組織由来間質細胞を開示していない。
【0055】
Artecel Sciencesに譲渡された米国特許第6,391,297号は、骨を修復しそして骨疾患を処置するためにインビボにおいて用いることができる骨芽細胞の少なくとも一つの特性を示すように分化されている単離されたヒト脂肪組織由来間質細胞の組成物を開示する。この脂肪由来の骨芽細胞様細胞は、場合により遺伝子操作するかもしくはマトリックスと組み合わせることができる。
【0056】
BioHoldings Internationalに譲渡された米国特許第6,426,222号は、グルココルチコイドを含有しなければならない液体栄養培地において脂肪組織細胞をインキュベーションすることによりヒト髄外脂肪組織から骨芽細胞分化を誘導する方法を開示する。
【0057】
発明者としてHalvorsen et alを記載するWO 00/44882および米国特許第6,153,432号は、単離された初代脂肪細胞において認められるものと同様の生化学的、遺伝的および生理的特性を有する脂肪細胞への脂肪組織から単離されたヒト前駆脂肪細胞の分化のための方法および組成物を開示する。
【0058】
Artecel SciencesへのWO 01/62901および公開された米国特許出願第2001/0033834号は、ニューロン細胞、大グリア細胞、造血前駆細胞もしくは肝細胞の少なくとも一つの表現型特性を発現するように誘導されている単離された脂肪組織由来間質細胞を開示する。さらに、脂肪細胞表現型マーカーの欠如があるように脱分化されている単離された脂肪組織由来間質細胞もまた開示される。
【0059】
Artecel Sciencesに譲渡された米国特許第6,429,013号は、軟骨細胞の少なくとも一つの特性を発現するように誘導されている単離された脂肪組織由来間質細胞に関する組成物を開示する。これらの細胞を分化させる方法もまた開示される。
【0060】
Peterson et alへの米国特許第6,200,606号は、骨もしくは軟骨を生成する潜在能力を有する前駆細胞を末梢血、骨髄および脂肪組織を包含する様々な造血および非造血組織から単離できることを開示する。
【0061】
本発明の方法に有用な脂肪組織由来間質細胞は、University of Pittsburgh et al.へのWO 00/53795に記述されているような当業者に既知である様々な方法により単離される。好ましい方法として、脂肪組織は哺乳類被験体、好ましくはヒト被験体から単離される。脂肪組織の好ましい供給源は大綱脂肪である。ヒトにおいて、脂肪は典型的に脂肪吸引により単離される。本発明の細胞がヒト被験体に移植される場合、脂肪組織は、自家移植を図るために同じ被験体から単離されることが好ましい。あるいはまた、移植される細胞は同種のものである。
【0062】
限定されない例として、脂肪組織由来間質細胞を単離する一つの方法として、脂肪組織を25°〜50℃の間、好ましくは33°〜40℃の間の温度で、最も好ましくは37℃で、10分〜3時間の間、好ましくは30分〜1時間の間、最も好ましくは45分の期間にわたって、0.01〜0.5%の間、好ましくは0.04〜0.2%、最も好ましくは0.1%の濃度のコラゲナーゼ、0.01〜0.5%の間、好ましくは0.04〜0.4%、最も好ましくは0.2%の濃度のトリプシンで処理する。細胞を20ミクロン〜800ミクロンの間、より好ましくは40〜400ミクロンの間、最も好ましくは70ミクロンのナイロンもしくはチーズクロスメッシュフィルターに通す。次に、細胞を培地中で直接またはフィコールもしくはパーコールもしくは他の粒子勾配上で分画遠心分離に供する。細胞は、4°〜50℃の間、好ましくは20°〜40℃の間の温度で、最も好ましくは25℃で、1分〜1時間の間、より好ましくは2〜15分、最も好ましくは5分の期間にわたって、100〜3000Xgの間、より好ましくは200〜1500Xgの速度で、最も好ましくは500Xgで遠心分離することができる。
【0063】
脂肪由来間質細胞を単離するさらに別の方法として、Katz et alへの米国5,786,207に記述されているような機械的系を用いる。自動装置に脂肪組織サンプルを導入し、それを洗浄相および解離相(ここで、組織は、得られる細胞懸濁液が遠心分離の用意ができている容器に集められるように攪拌され、回転される)に供する系を用いる。そのようにして、所望の細胞の細胞完全性を保ちながら、脂肪由来細胞を組織サンプルから単離する。
III.眼球細胞の少なくとも一つの特性を示す脂肪由来間質細胞の誘導
本発明は、眼球細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現する細胞を形成するように誘導する脂肪由来間質細胞の処理を包含する。脂肪由来間質細胞の分化を誘導する方法の限定されない例には:1)細胞培地の使用;2)支持細胞の使用;3)患者の組織への未分化の細胞の直接移植;および4)細胞工学技術が包含される。
【0064】
A)細胞培地誘導
本発明は操作のいかなる理論によっても拘束されずに、2次元もしくは3次元の微小環境における、血清、胚抽出物、羊膜組織/羊水、精製されたもしくは組換えの増殖因子、サイトカイン、ホルモン、および/もしくは化学物質の組み合わせを含有する培地での脂肪由来間質細胞の処理は所望の分化を誘導すると考えられる。
【0065】
さらに特に、本発明は、単離された脂肪由来成人幹細胞を約1,000〜約500,000細胞/cm2の密度が包含されるがこれに限定されるものではない所望の密度で平板培養すること;増殖因子、ホルモン、サイトカイン、血清因子、核ホルモン受容体リガンド、もしくは任意の他の特定の化学物質よりなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含んでなる化学的に特定される培養培地において細胞をインキュベーションすることを含んでなる、眼球細胞の遺伝子型もしくは表現型特性を有する細胞に脂肪由来細胞を分化させる方法を提供する。
【0066】
本発明のさらに別の態様として、本発明の分化した細胞を角膜上皮形成の証拠が認められるまで培養物において増やす。次に、上皮を含有する培地を角膜上皮機能を示すマーカーの存在に関して当業者に既知である標準的な生化学分析技術により分析する。次に、角膜上皮の層を組織生成もしくは再生目的のためにホスト組織に移植する。
【0067】
本発明の方法に有用な基本培地には、培地199、CMRL 1415、CMRL 1969、CMRL 1066、NCTC 135、MB 75261、MAB 8713、DM 145、ウィリアムG、ニューマン・タイテル、ヒグチ、MCDB 301、MCDB 202、MCDB 501、MCDB 401、MCDB 411、MDBC153を包含する、多数の他のものの中で、NeurobasalTM(ウシ胎仔血清もしくは塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)を補足するかもしくは補足しない)、N2、B27、最小必須培地イーグル、ADC−1、LPM(ウシ血清アルブミンを含まない)、F10(HAM)、F12(HAM)、DCCM1、DCCM2、RPMI1640、BGJ培地(フィットン・ジャクソン改変を有するおよび有さない)、基本培地イーグル(BME−アール塩ベースを添加する)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM−血清なし)、ヤマネ、IMEM−20、グラスゴー改変イーグル培地(GMEM)、リーボビッツL−15倍地、マッコイ5A培地、培地M199(M199E−アール塩ベースを有する)、培地M199(M199H−ハンクス塩ベースを有する)、最小必須培地イーグル(MEM−E−アール塩ベースを有する)、最小必須培地イーグル(MEM−H−ハンクス塩ベースを有する)および最小必須培地イーグル(MEM−NAA−非必須アミノ酸を有する)が包含されるが、これらに限定されるものではない。本発明における使用に好ましい培地は、DMEMである。これらおよび他の有用な培地は、とりわけ、GIBCO,Grand Island,N.Y.,USAおよびBiologial Industries,Bet HaEmek,Israelから入手可能である。多数のこれらの培地は、William B.JakobyおよびIra H.Pastanにより編集され、Academic Press,Incにより出版された、Methods in Enzymology,Volume LVIII,“Cell Culture”,pp.62−72に要約されている。
【0068】
角膜上皮細胞を培養するのに好ましい培地は当該技術分野において既知であり、そしてWille,Jr.への米国特許第5,912,175号に記述されている培地が包含される。一般に、本発明の方法に有用な培地は、少なくとも1%〜約30%、好ましくは少なくとも約5%〜15%、最も好ましくは約10%の濃度でウシもしくは他の種由来の胎児血清を含有する。ニワトリもしくは他の種由来の胚抽出物は、約1%〜30%、好ましくは少なくとも約5%〜15%、最も好ましくは約10%の濃度で存在する。
【0069】
本発明に有用な増殖因子、サイトカイン、ホルモンおよび他の特定の因子には、ピコグラム/ml〜ミリグラム/mlレベルの間の濃度の成長ホルモン、エリスロポエチン、トロンボポエチン、インターロイキン3、インターロイキン6、インターロイキン7、マクロファージコロニー刺激因子、c−kitリガンド/幹細胞因子、オステオプロテゲリンリガンド、インシュリン、インシュリン様増殖因子、上皮細胞増殖因子、繊維芽細胞増殖因子、神経成長因子、毛様体神経栄養因子、血小板由来増殖因子、および骨形成タンパク質が包含されるが、これらに限定されるものではない。例えばそのような濃度で、本発明の方法に有用な増殖因子、サイトカインおよびホルモンは、コロニー形成単位(CFU)アッセイにおいて血液細胞(リンパ系、赤血球系、骨髄系もしくは血小板系統)の形成を100%まで誘導することができる。(Moore et al.(1973)J.Natl.Cancer Inst.50:603−623;Lee et al.(1989)J.Immunol.142:3875−3883;Medina et al.(2993)J.Exp.Med.178:1507−1515)。
【0070】
さらに、培養培地に追加の成分を添加できることが認識される。そのような成分には、抗生物質、アルブミン、アミノ酸、および細胞の培養用に当該技術分野に既知である他の成分が包含される。さらに、分化プロセスを増強するために成分を加えることができる。化学物質は、ステロイド、レチノイド、および脂肪由来間質細胞の分化を陽性コントロールに対して少なくとも25〜50%誘導する他の化学的化合物もしくは因子を意味する。
【0071】
上記の細胞培地条件は、眼球細胞の単一タイプの少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現する細胞をもたらすと認識される。特定の細胞タイプは、当業者に既知である任意の手段により分離される。特に有用であるのは、分化した細胞により発現される遺伝子型もしくは表現型特性を利用する手段である。以下に記載するような所望の細胞の表現型マーカーは当業者に周知であり、そして文献に豊富に公開されている。追加の表現型マーカーは引き続き開示されるか、もしくは過度の実験なしに同定することができる。脂肪由来成人幹細胞が分化した状態に誘導されていることを確かめるためにこれらのマーカーのいずれかを用いる。
【0072】
系統特異的表現型特性には、細胞表面タンパク質、細胞骨格タンパク質、細胞形態、および/もしくは分泌産物が包含されるが、これらに限定されるものではない。例えば、分化した角膜上皮細胞は、トランスフォーミング増殖因子β1およびβ2(TGFβ)、インシュリン様増殖因子(IGF)、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、ならびに角化細胞増殖因子(KGF)の受容体を合成する(Kruse & Volcker,1997,Curr.Opin.Opthalmol.8(4):46−54)。当業者は、既知の熱量測定、蛍光、免疫化学、ポリメラーゼ連鎖反応、化学もしくは放射化学方法により系統特異的マーカーの有無が容易に確認されることを認識する。
【0073】
別の態様として、本発明は、眼球細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現するようにそのような分化が可能な培養培地内で誘導することができる脱分化した単離された脂肪由来成人幹細胞を提供する。脱分化した脂肪由来成人幹細胞は、成熟脂肪細胞マーカーの欠如により同定される。
【0074】
B)脂肪由来間質細胞の分化を促進する支持細胞の使用
本発明の別の態様として、脂肪由来間質細胞の分化を促進するために支持細胞を用いる。従って、本発明の脂肪由来細胞を単離し、そして細胞の集団内で培養し、最も好ましくは、該集団は特定の集団である。細胞の集団は異種であり、そして本発明の細胞に因子を供給する支持細胞を含む。支持細胞には、所望の細胞の分化、増殖および維持を促進する他の細胞タイプが包含される。限定されない例として、角膜上皮細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現する脂肪由来間質細胞が所望される場合、最初に脂肪由来間質細胞を上記の手段のいずれかによって単離し、そして他の眼球もしくは非眼球支持細胞の存在下で培養して増やす。別の態様として、支持細胞は、培養した角膜組織から採取されるこれらの細胞タイプの初代培養物から得られる。さらに別の態様として、支持細胞は不死化細胞系から得られる。ある態様として、支持細胞は自家的に得られる。他の態様として、支持細胞は同種的に得られる。
【0075】
所望の細胞の分化を支えるために用いる細胞は、支持細胞であるように遺伝子操作できることもまた、本発明によって意図される。該細胞は、以下に記述するかもしくは当業者に既知である任意の方法により外因性遺伝子を発現するようにもしくは内因性遺伝子の発現を抑制するように遺伝子操作される。本発明の細胞を遺伝子操作する一つの方法は、核酸が細胞内で発現される形で核酸が細胞のゲノムに組み込まれるように裸の核酸フラグメント(すなわち、DNAもしくはRNA)に細胞をさらすことを含む。あるいはまた、本発明の細胞を、導入遺伝子が細胞内で発現されるのに適切な条件下で核酸が細胞に導入されるように、導入遺伝子を含む核酸を含んでなる遺伝子導入ベクターにさらす。
【0076】
C)移植
別の態様として、本発明は、自家および同種移植に有用な脂肪由来間質細胞および眼球細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現する分化した細胞を提供する。好ましくは、被験体は哺乳類であり、より好ましくは、被験体はヒトである。
【0077】
従って、さらに別の態様として、本発明は:
a)脂肪組織由来間質細胞を単離すること;
b)細胞の分化に適切な培地において該細胞を平板培養し、インキュベーションすること;
c)分化した細胞を被験体に導入すること
を含んでなる、被験体に眼球細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現することができる分化した細胞を提供する方法を開示する。
【0078】
本発明の別の態様として:
a)脂肪組織由来間質細胞を単離すること;
b)未分化の細胞を被験体に導入すること
を含んでなる、被験体に未分化の脂肪由来間質細胞を提供する方法を開示する。
【0079】
未分化の脂肪由来間質細胞を被験体に導入する場合、一つの特定の態様として、それらを罹病した眼に直接導入することが本発明において意図される。本発明のさらに別の態様として、未分化の脂肪由来間質細胞は、間質細胞のインビボ分化に適当な環境を提供する本明細書に記述するような支持細胞もしくは培地もしくは分化因子のいずれかと一緒に導入する。例えば、これらの支持細胞は、一つの特定の態様として、羊膜細胞である。別の態様として、支持細胞は、培養した角膜組織から採取されるこれらの細胞タイプの初代培養物から得られる。さらに別の態様として、支持細胞は不死化細胞系から得られる。ある態様として、支持細胞は自家的に得られる。他の態様として、支持細胞は同種的に得られる。
【0080】
別の態様として、脱分化した脂肪由来細胞は、組織修復、再生、再建もしくは増強が包含されるがこれらに限定されるものではない治療用途に製薬学的に許容しうる担体と組み合わせて提供される。脂肪由来細胞は、脱分化した成人幹細胞が次に脂肪組織由来細胞以外の細胞の遺伝子型もしくは表現型特性を発現するように誘導されるように細胞を脱分化させるために米国特許第6,153,432号(引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている方法により培養することができる。脱分化した脂肪由来細胞は、所望のタンパク質もしくはペプチドの生産のための非内因性遺伝子配列を含むように改変することができる。脱分化した脂肪由来細胞は、代わりの態様として、所望の治療目的のために2次元もしくは3次元マトリックスにおいてホストに投与することができる。一つの態様として、脱分化した細胞は、患者の自己細胞から自家的に得られる。あるいはまた、脱分化した細胞は、同種的に得られる。
【0081】
D)本発明の脂肪由来細胞の遺伝子操作
幹細胞およびそれらの子孫は遺伝子治療の重要な標的であり、ここで、挿入される遺伝子は、幹細胞が移植される個体の健康を促進する。
【0082】
さらに別の態様として、眼球細胞の少なくとも一つの遺伝子型もしくは表現型特性を発現する脂肪組織由来細胞は、外因性遺伝子を発現するようにもしくは内因性遺伝子の発現を抑制するように遺伝子操作される。本発明は、そのような細胞および集団を遺伝子操作する方法を提供する。本発明の細胞を遺伝子操作する一つの方法は、核酸が細胞内で発現されるように核酸が細胞のゲノムに組み込まれるように裸の核酸フラグメント(すなわち、DNAもしくはRNA)に細胞をさらすことを含む。
【0083】
あるいはまた、本発明の細胞を、導入遺伝子が細胞内で発現されるのに適切な条件下で核酸が細胞に導入されるように、導入遺伝子を含む核酸を含んでなる遺伝子導入ベクターにさらす。導入遺伝子は、適当なプロモーターに操作可能に連結されたコーディングポリヌクレオチドを含む、発現カセットであることができる。コーディングポリヌクレオチドはタンパク質をコードすることができ、またはそれは生物学的に活性のRNA(例えば、アンチセンスRNAもしくはリボザイム)をコードすることができる。従って、例えば、コーディングポリヌクレオチドは、毒素に対する耐性を与える遺伝子、ホルモン、サイトカイン、細胞表面結合型細胞内シグナル伝達部分(例えば、細胞接着分子、受容体など)、増殖または内因性ホルモン、ペプチドもしくは他の因子の分泌を促進する因子、あるいは任意の他の細胞生成物をコードすることができる。既定の導入遺伝子を送達するために遺伝子導入技術を用いることが所望される場合、その配列は既知である。
【0084】
発現カセット内で、コーディングポリペプチドは適当なプロモーターに操作可能に連結される。適当なプロモーターの例には、原核生物プロモーターおよびウイルスプロモーター(例えば、レトロウイルスプロモーター、ヘルペスウイルスプロモーター、サイトメガロウイルスプロモーター)が包含される。他の適当なプロモーターは、エンハンサー、構成的に活性のプロモーター、シグナル特異的プロモーターおよび組織特異的プロモーターのような真核生物プロモーターである。所定の細胞状況における遺伝子発現を導くのに適当な適切なプロモーターを選択することは当業者に周知である。発現カセットは1つより多くのコーディングポリヌクレオチドを含むことができ、そしてそれは所望に応じて他の要素(例えば、ポリA配列、転写調節要素など)を含むことができる。
【0085】
導入遺伝子を含有する発現カセットは、細胞に導入遺伝子を送達するのに適当な遺伝子ベクターに組み込まれるべきである。所望の最終用途により、プラスミド、裸のDNAもしくはウイルスのような任意のそのようなベクターを細胞を遺伝子操作するためにそのように用いることができる。ベクター内に所望の発現カセットを構築する任意の方法を用いることができる。これらの方法は当該技術分野において周知であり、そして直接クローニング、相同的組み換えなどのような方法が包含される。当業者は、ベクターの選択が、細胞にベクターを導入するために用いる方法を主に決定することを理解する。
【0086】
次に、遺伝子操作した細胞を、導入遺伝子がインビボにおいて発現される条件下で様々な方法により生物体に導入することができる。従って、本発明の好ましい態様として、導入遺伝子はTGFβのような増殖因子をコードすることができる。次に、TGFβの導入遺伝子を含有する細胞は、罹病したヒトもしくは他の哺乳類の眼に導入することができる。
【0087】
あるいはまた、外因性の異質のもしくは相同な核酸を当業者に良く知られている様々な他の技術により本発明の細胞に導入する。従って、核酸を電気穿孔、リン酸カルシウム、微量注入、リポフェクション、レトロウイルスもしくは他のウイルスまたは微生物ベクターあるいは当業者に既知である任意の他の手段が包含されるがこれらに限定されるものではない方法により導入する。
【0088】
E)細胞特性化
得られる分化した細胞の「特性化」は、特定の最終的分化状態への間質細胞の系統決定を示す表面および細胞内タンパク質、遺伝子、および/もしくは他のマーカーの同定を意図する。これらの方法には、(a)フローサイトメトリー法の使用を包含する、二次蛍光標識を用いて連結されるタンパク質特異的モノクローナル抗体を用いる免疫蛍光法による細胞表面タンパク質の検出;b)フローサイトメトリー法の使用を包含する、二次蛍光標識を用いて連結されるタンパク質特異的モノクローナル抗体を用いる免疫蛍光法による細胞内タンパク質の検出;(c)ポリメラーゼ連鎖反応、in situハイブリダイゼーション、および/もしくはノーザンブロット分析による細胞遺伝子の検出が包含されるが、これらに限定されるものではない。最終的に分化した細胞は、特定の最終的分化状態への間質細胞の系統決定を示す表面およ細胞内タンパク質、遺伝子、および/もしくは他のマーカーの同定により特性化することができる。これらの方法には、(a)アルカリホスファターゼ、CD44、CD146、インテグリンベータ1もしくはオステオポンチン(Gronthos et al.1994 Blood 84:4164−4173)のような脂肪由来間質細胞表面タンパク質のフローサイトメトリーもしくはin situ免疫染色のような免疫蛍光アッセイによる細胞表面タンパク質の検出;(b)特異的モノクローナル抗体を用いる脂肪組織由来間質細胞のフローサイトメトリーもしくはin situ免疫染色のような免疫蛍光法による細胞内タンパク質の検出;(c)ポリメラーゼ連鎖反応、in situハイブリダイゼーション、および/もしくは他のブロット分析(Gimble et al.1989 Blood 74:303−311を参照)のような方法によるTGFβ1およびβ2、IGF、bFGF、ならびに血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が包含される角膜上皮細胞により生産されるもののような系統選択的mRNAの発現の検出が包含されるが、これらに限定されるものではない。
【0089】
F)治療薬としての本発明の細胞の使用
最も好ましくは、本発明の細胞および集団は、治療薬として用いる。一つの態様として、脂肪由来間質細胞は、好ましくは所望の位置において、眼に投与し、そして(i)適切なサイトカインおよび他の生物学的因子の共投与、または(ii)ホストにおいてすでに存在するかもしくは誘導されるインビボ因子のいずれかによって分化させる。一般に、そのような方法は、埋め込みもしくは移植の前に移植片としてインビトロにおいてまたは直接動物にインビボにおいて、所望の組織もしくは貯蔵所に細胞を導入することを含む。細胞は、一般に組織タイプによって異なる適切な任意の方法により所望の組織に導入する。例えば、細胞を含有する培養培地に移植片を浸すかもしくはそれを移植片に注入することにより細胞を移植片に導入する。あるいはまた、集団を定着させるように組織内の所望の部位上に細胞を接種する。細胞は、当業者に周知である装置、例えば、カテーテル、トロカール、カニューレ、もしくは細胞を接種したステントなどを用いてインビボの部位に導入することができる。
【0090】
本発明の分化したもしくは未分化の脂肪由来間質細胞は、様々な疾患の治療に用途を見出す。該細胞は:無虹彩もしくは虹彩の欠如;紅斑角皮症もしくは皮膚の発赤および角質増殖;多発性内分泌不全症を伴う角膜炎;化学的損傷;温熱性損傷;コンタクトレンズ角膜症;および反復的輪部手術もしくは輪部不全症が包含されるがこれらに限定されるものではない角膜の疾患を処置するために用いる。さらに、本発明の細胞は、両方とも角膜の一部の除去を伴う、光学的角膜屈折矯正手術もしくはレーザー原位置角膜曲率形成術のような外科的処置の後に角膜を再生させるために用いる。これらの処置の回復は、本発明の細胞および方法の使用により予防されるアルフ平滑筋アクチン(α−SMA)を発現する筋繊維芽細胞性細胞の出現を動物モデルにおいて特徴とする、術後の前部「ストローマ混濁」をもたらすことが多い。処置する疾患状態は、自己免疫性機能障害またはウイルスもしくはいくつかの他の感染性因子による感染の結果であることができる。
IV.組織工学
本明細書に記述する細胞は、組織工学において用いることができる。本発明は、本発明の細胞が所望のように増幅および分化するのに十分な条件下でそれらを維持することを含んでなる動物質を生成する方法を提供する。該物質には、例えば眼の一部を包含することができる。そのようなものとして、本明細書に記述する細胞は、下記:Advanced Tissue Sciences,Inc.への米国特許第5,902,741号および第5,863,531号;米国特許第6,139,574号、Vacanti et al.;米国特許第5,759,830号、Vacanti et al.;米国特許第5,741,685号、Vacanti;米国特許第5,736,372号、Vacanti et al.;米国特許第5,804,178号、Vacanti et al.;米国特許第5,770,417号、Vacanti et al.;米国特許第5,770,193号、Vacanti et al.;米国特許第5,709,854号、Griffith−Cima et al.;米国特許第5,516,532号、Atala et al.;米国特許第5,855,610号、Vacanti et al.;米国特許第5,041,138号、Vacanti et al.;米国特許第6,027,744号、Vacanti et al.;米国特許第6,123,727号、Vacanti et al.;米国特許第5,536,656号、Kemp et al.;米国特許第5,144,016号、Skjak−Braek et al.;米国特許第5,944,754号、Vacanti;米国特許第5,723,331号、Tubo et al.;ならびに米国特許第6,143,501号、Sittinger et alに記述する技術が包含されるがこれらに限定されるものではない組織工学の任意の既知の技術と組み合わせて用いる。
【0091】
そのような構造を生成するために、細胞および集団を、それらが器官を形成するように増幅および分裂するのに適当な条件下で維持する。これは、典型的には新しい物質が所望される部位でそれらを動物に導入することにより成し遂げることができる。従って、本発明は動物内で眼の一部の再生を促進することができ、ここで、細胞はそのような組織に移植される。
【0092】
さらに他の態様として、細胞は、インビトロにおいて組織に分化および増幅するように誘導される。そのようなものとして、細胞は、単独でもしくは細胞の混合物において投与することができ、あるいはまた、組織発生を誘導する3次元構造の形成を促進する基質上で培養することができる。従って、例えば、細胞は、細胞外マトリックス物質、合成ポリマー、サイトカイン、増殖因子などを含むもののような、生体適合性の格子上で培養するかもしくはそれに接種することができる。そのような格子は、組織タイプの発生を促進する所望の形状に形作ることができる。
【0093】
従って、本発明は、本発明の細胞および集団ならびに生物学的に適合する格子を含んでなる組成物を提供する。格子は、典型的にはおよそ100μm〜約300μmの間のスペースで、メッシュもしくはスポンジのような繊維を有する、ポリマー材料から形成することができる。そのような構造は、細胞がその上で成長および増殖することができる十分な領域を提供する。望ましくは、格子は時間とともに生体分解性であり、従って、動物質にそれが発生するにつれて吸収される。適当なポリマーもしくはコポリマー格子は、グリコール酸、乳酸、フマル酸プロピル、カプロラクトンなどのようなモノマーを用いて製造する。他の格子は、タンパク質、多糖、ポリヒドロキシ酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスホゼン(polyphosphozene)、もしくは合成ポリマー、特に生体分解性ポリマー、またはその任意の組み合わせを包むことができる。また、格子は、所望に応じて、増殖因子のようなホルモン、サイトカイン、モルフォゲン(例えばレチノイン酸など)、所望の細胞外マトリックス物質(例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲンなど)もしくは他の物質(例えば、DNA、ウイルス、他の細胞タイプなど)を含むことができる。
【0094】
組成物を形成するために、細胞が格子内の格子間スペースに浸透するように細胞を格子に導入する。例えば、細胞を含有する溶液もしくは懸濁液にマトリックスを浸すことができ、または細胞溶液もしくは懸濁液をマトリックスに注入もしくは注射することができる。好ましくは、ポリマーを含みそしてまた本発明の細胞を中に分散した懸濁液の架橋により形成されるヒドロゲルを用いる。この形成方法は、細胞が格子の全体にわたって分散されることを可能にし、細胞での格子のいっそう均一な浸透を促進する。もちろん、組成物はまた、特に格子内での本発明の細胞の誘導を可能にするためにもしくは格子内でのホルモンの生産を促進するために、所望の表現型の成熟細胞もしくはその前駆体を含むこともできる。
【0095】
当業者は、組成物に含めることに適当な格子が任意の適当な供給源から得られ(例えばマトリゲル)、そしてもちろん適当な格子の商業的供給源を包含できることを認識する。別の適当な格子は、脂肪組織の無細胞部分、例えば細胞が実質的にない脂肪組織細胞外マトリックスから得られる。典型的には、そのような脂肪由来の格子は、プロテオグリカン、糖タンパク質、ヒアルロニン、フィブロネクチン、コラーゲンなどのようなタンパク質を含み、これらは全て細胞増殖の優れた基質として働く。さらに、そのような脂肪由来の格子は、ホルモン、サイトカイン、増殖因子などを含むことができる。当業者は、引用することにより本明細書に組み込まれる、University of PittsburghへのWO 00/53795に開示されているもののようなそのような脂肪由来の格子を単離する方法を認識する。
【0096】
本発明の細胞、集団、格子および組成物は、組織工学および再生に用いる。従って、本発明は、開示する本発明の特徴のいずれかを取り入れる移植可能な構造に関する。移植片の正確な性質は、所望の用途によって異なる。移植片は成熟組織を含んでなることができ、または未熟組織もしくは格子を含むことができる。従って、例えば、移植片は、場合により適当なサイズおよび次元の格子内に接種した、分化を受けている本発明の細胞の集団を含んでなることができる。そのような移植片は、患者内の眼球組織の生成もしくは再生を促進するためにホスト内に注入もしくは移植する。
【0097】
脂肪由来の格子は、細胞培養キットの一部として都合よく用いる。従って、本発明は、本発明の脂肪由来の格子および水和剤(例えば、水、生理的に適合する食塩水溶液、調合された細胞培養培地、血清またはその組み合わせもしくは誘導体)、細胞培養基質(例えば、皿、プレート、バイアルなど)、細胞培養培地(液体であろうと粉末形態であろうと)、抗生物質、ホルモンなどのような1種もしくはそれ以上の他の成分を含むキットを提供する。キットは任意のそのような成分を含むことができるが、好ましくは、適切な組み合わせで所望の細胞の培養および増殖を支えるのに必要な全ての成分を含む。所望のキットはまた、記述するような格子に接種する細胞を含むこともできる。
【0098】
あるいはまた、本発明の細胞は、患者への次の移植用の角膜上皮組織を増やすためにインビトロにおいて増幅する、角膜上皮細胞の少なくとも一つの特性を保有する細胞に分化させる。該細胞は、単独でもしくは羊膜組織のような他の組織と組み合わせて移植する。
【0099】
今回、本発明は、以下の実施例によりさらに十分に記述される。しかしながら、本発明は、多数の異なる形態で具体化することができ、そして本明細書に示す態様に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本開示が十分で且つ完全であり、そして当業者に本発明の範囲を十分に伝えるために提供される。
【実施例1】
【0100】
インビトロ誘導方法
脂肪由来幹細胞は、記述されているように(Sen et al.,2001,Journal of Cellular Biochemistry 81:312−319)脂肪吸引廃棄物から単離する。これらの細胞は、以下の培地(しかしこれに限定されるものではない):ウシ胎仔血清(FBS)を補足したもしくは補足しないNeurobasalTM(InVitrogen)、N2、B27(InVitrogen)、もしくは塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)の存在下で培養において存続することができる。また、培地のグルコースレベルの調節も行う。細胞を様々な密度で接種し、そして3〜6日ごとの間隔で供給する。最も好ましくは、約1000〜約500,000細胞/cm2の密度で接種する。
【0101】
培養期間中、眼球ストローマ細胞もしくは角膜上皮細胞と関連する生化学マーカーおよび表現型マーカーの発現の市販されている放射免疫測定法もしくは酵素免疫測定法を用いてならし培地を分析する。免疫組織化学(IHC)分析は、上記の表現型マーカーのいずれか(しかし、これらに限定されるものではない)に対する抗体を用いて行う。
【実施例2】
【0102】
生体適合性膜との脂肪由来細胞の使用
眼球内損傷を修復するための移植用の生体適合性材料との組成物における未分化のもしくは脂肪細胞分化した状態の脂肪組織由来間質細胞の使用方法を提供する。外科患者は、Lee et al(2001,Journal of Cellular Biochemistry 81:312−319)に記述されているようにVISX Star S2エキシマレーザー(VISX,Inc.,Santa Clara,CA)内で生成しそして160mJ/cm2のフルエンスで10Hzで送達する193nmのエキシマ光線を用いる光線療法角膜切除を受ける。標準化した中心6mm直径のレーザー光剥離は、上皮壊死組織切除には45μmの深さ設定そしてストローマ剥離には適切な設定で行う。PRKの後、未分化のもしくは脂肪細胞分化した脂肪組織由来成人幹細胞を生体適合性材料との組成物において剥離領域に導入する。導入の前に、脂肪由来細胞を、羊膜、ブタ腸粘膜下組織、AmpligraftTM、DermagraftTM、もしくは同様の製品が包含されるがこれらに限定されるものではない生体適合性膜の表面上で指向的に培養する。脂肪由来細胞を、Halvorsen et al(2001,Metabolism 50:407−413)に記述されている方法に従って、未分化の繊維芽細胞様細胞として培養するかもしくは脂肪細胞分化を受けるように誘導する。細胞/生体材料複合物を欠損サイズに合うように切断する。脂肪由来細胞表面を角膜の剥離領域に隣接して置く。細胞/生体材料の複合物を、角膜および輪部において断続的もしくは連続的バイト(bite)を用いて10−0ナイロンを使用して所定の位置に縫合し;あらゆる過剰の複合物を切り取る(Anderson et al 2001,Br J Ophthalmol;85(5):567−575)。手術の後、使い捨てバンデージコンタクトレンズを挿入し、そして局所用抗生物質を注入する。患者は、手術後1〜4日間術後評価し、そして適切な期間(1ヶ月まで)にわたって抗生物質処置で維持する。1、3および6ヶ月で行う追跡試験には、視力検査、明白な屈折、細隙灯評価およびインビボ共焦点顕微鏡検査が包含される。
【実施例3】
【0103】
遺伝子治療方法
次に、任意のベクター方法(ウイルスの、トランスフェクションなど)を用いて少なくとも一つの増殖因子もしくは眼球内修復を促進するタンパク質(TGFβブロッキングタンパク質)を発現する細胞に脂肪組織由来間質細胞を転化する方法を記述する。外科患者は、Lee et al(2001,Ophthalmology;108(1):112−20)に記述されているようにVISX Star S2エキシマレーザー(VISX,Inc.,Santa Clara,CA)内で生成しそして160mJ/cm2のフルエンスで10Hzで送達する193nmのエキシマ光線を用いる光線療法角膜切除を受ける。標準化した中心6mm直径のレーザー光剥離は、上皮壊死組織切除には45μmの深さ設定そしてストローマ剥離には適切な設定で行う。PRKの後、未分化のもしくは脂肪細胞分化した脂肪組織由来成人幹細胞を生体適合性材料との組成物において剥離領域に導入する。導入の前に、可溶性II型トランスフォーミング増殖因子ベータ受容体タンパク質を発現する適切な核酸ベクターを細胞にトランスフェクションもしくは形質導入する。このタンパク質は、トランスフォーミング増殖因子ベータサイトカインに結合し、そして細胞レベルでシグナル伝達カスケードを開始するその能力を阻止する(Rowland−Goldsmith et al 2001,Clin Cancer Res.2001,7(9):2931−40)。トランスフォーミング増殖因子ベータは、角膜手術後の回復を妨げそして角膜線維症を促進することが知られている(Jester et al 1997,Cornea;16(2):177−87)。
【0104】
次に、遺伝子操作した細胞を、羊膜、ブタ腸粘膜下組織、AmpligraftTM、DermagraftTM、もしくは同様の製品が包含されるがこれらに限定されるものではない生体適合性膜の表面上で指向的に培養する。該細胞は、Halvorsen et al(2001,Metabolism 50:407−413)に記述されている方法に従って、未分化の繊維芽細胞様細胞として培養するかもしくは脂肪細胞分化を受けるように誘導する。細胞/生体材料複合物を欠損サイズに合うように切断する。細胞表面を角膜の剥離領域に隣接して置く。細胞/生体材料の複合物を、角膜および輪部において断続的もしくは連続的バイトを用いて10−0ナイロンを使用して所定の位置に縫合し;あらゆる過剰の混合物を切り取る(Anderson et al 2001,Br J Ophthalmol;85(5):567−575)。手術の後、使い捨てバンデージコンタクトレンズを挿入し、そして局所用抗生物質を注入する。
【0105】
患者は、手術後1〜4日間術後評価し、そして適切な期間(1ヶ月まで)にわたって抗生物質処置で維持する。1、3および6ヶ月で行う追跡試験には、視力検査、明白な屈折、細隙灯評価およびインビボ共焦点顕微鏡検査が包含される。
【実施例4】
【0106】
単純移植
脂肪組織由来間質細胞は、眼球内に単独で移植する。外科患者は、Lee et al(2001,Ophthalmology;108(1):112−20)に記述されているようにVISX Star S2エキシマレーザー(VISX,Inc.,Santa Clara,CA)内で生成しそして160mJ/cm2のフルエンスで10Hzで送達する193nmのエキシマ光線を用いる光線療法角膜切除を受ける。標準化した中心6mm直径のレーザー光剥離は、上皮壊死組織切除には45μmの深さ設定そしてストローマ剥離には適切な設定で行う。PRKの後、未分化のもしくは脂肪細胞分化した脂肪組織由来成人幹細胞を直接注入により剥離領域に導入する。細胞は、単一細胞懸濁液としてもしくは細胞のシートとして導入する。手術の後、使い捨てバンデージコンタクトレンズを挿入し、そして局所用抗生物質を注入する。患者は、手術後1〜4日間術後評価し、そして適切な期間(1ヶ月まで)にわたって抗生物質処置で維持する。1、3および6ヶ月で行う追跡試験には、視力検査、明白な屈折、細隙灯評価およびインビボ共焦点顕微鏡検査が包含される。
【実施例5】
【0107】
ヒト脂肪由来間質細胞のサイトカイン発現プロフィール
複数のドナーからのヒト脂肪由来間質細胞のサイトカイン発現プロフィールを決定した。これらの実験では、飽和密度に達した休止脂肪由来間質細胞培養物をリポ多糖(LPS、100ng/ml)で誘導し、そして1〜24時間の期間の後にならし培地および全RNAを採取した。マウスおよびヒト骨髄由来間質細胞の両方と共通して、脂肪由来間質細胞は、以下のサイトカインmRNA:インターロイキン6、7、8および11(IL−6、−7、−8、−11)、白血病抑制因子(LIF)、マクロファージコロニー刺激因子(M−CMF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CMF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、flt−3リガンド、幹細胞因子、腫瘍壊死因子α(TNFα)ならびに骨形成タンパク質2および4t(BMP−2、−4)を発現した。
【実施例6】
【0108】
ヒト臍帯血前駆細胞の増殖および分化を支えるヒト脂肪由来間質細胞の能力
共培養物におけるヒト臍帯血CD34+造血前駆細胞の増殖および分化を支えるヒト脂肪由来間質細胞の能力を決定した。飽和密度に達した脂肪由来間質細胞の培養物を24ウェルプレートにおいて樹立した(ウェル当たり6x104細胞)。臍帯血(UCB)標本は、ヘタスターチでの処理により混入する赤血球をそしてフィコール密度遠心分離により混入する顆粒球を減少させた。残存するUCB単核細胞は、StemSepTM(StemCells,Vancouver,BC)プロトコルに従って系統減少させ;これは、CD2、CD3、CD14、CD16、CD19、CD24、CD56、CD66b、およびグリコホリンAに対する抗体のカクテルを用いる免疫磁気ネガティブ細胞セレクションに依存する。最後の精製工程において、lin− UCB細胞をCD34抗体で染色し、そしてフローサイトメトリーにより選別する。最終的なCD34+ UCB細胞の10,000個までを飽和密度に達した脂肪由来間質細胞層と個々のウェルにおいて共培養した。培養物を外因性サイトカインなしに12日、3週、もしくは6週の期間にわたって維持した。これらの期間の最後に、個々のウェルをトリプシン/EDTA消化により採取し、そして以下の抗体の組み合わせ(蛍光標識を括弧内に示す):CD45(FITC)、CD34(APC)、およびCD7、CD10もしくはCD38のいずれか(PE)の組み合わせを用いてフローサイトメトリーにより分析した。これらのアッセイの結果を以下に記述する。
【0109】
これらの研究は、12日の脂肪間質支持共培養物におけるUCB造血細胞集団の発現を調べた。外因性サイトカインなしに、脂肪由来間質細胞は、全造血細胞数の5.1倍の増幅を支えた(平均、n=4 間質ドナー、n=2 UCBドナー;範囲2−9.4)。これは、CD34+ UCB細胞集団の2.4倍の増幅に相当した(平均、n=4 間質ドナー、n=2 UCBドナー;範囲1.4−3.3)。CD34+およびCD34―細胞の両方の有意なパーセンテージが、CD7もしくはCD10抗原のいずれかを発現した(図4、平均、n=4 間質ドナー、n=2 UCBドナー)。個々の表現型は、全造血集団の以下のパーセンテージに相当した:初期リンパ球系前駆体、それぞれ、20.2%(CD34+ CD7+)および9.5%(D34+ CD10+);NK/T細胞前駆体(D34− CD7+)、31.4%;ならびにB細胞前駆体(D34− CD10+)、7.7%。
【0110】
さらなる分析により、初期リンパ球系前駆体の有意な増幅があることが示された。CD34+ CD7+集団は、12日の期間にわたって前駆体が4.8±2.2倍増幅された(平均±s.d.、n=4 間質ドナー、n=2 UCBドナー)。同様に、CD34+ CD10+集団は、前駆体が3.5±1.6倍増幅された(平均±s.d.、n=4 間質ドナー、n=2 UCBドナー)。これらの値は、全体でCD34+集団の増幅倍数を上回り、この方法がヒトリンパ球系前駆体を豊富にすることを示唆する。これらの結果は、脂肪由来間質細胞がインビトロにおいて造血前駆細胞の分化を支持できることを示す。
【0111】
本発明の改変および他の態様は、前述の説明および関連する図面において示す教示の利益を有する本発明が関係する当業者に明らかである。従って、本発明は開示する特定の態様に限定されるものではないことならびに改変および他の態様が添付の請求項の範囲内に含まれるものとすることが理解されるべきである。特定の用語が本明細書において用いられるが、それらは一般的なそして説明的な意味でのみ用いられ、限定する目的のためではない。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】ヒト脂肪由来間質細胞のフローサイトメトリー分析である。示すのは、CD9、CD29(ベータ1−インテグリン)、CD44(ヒアルロン酸受容体)、CD49d(アルファ4インテグリン)、CD55(崩壊促進因子)、およびHLA−ABC(クラス1組織適合性抗原)の代表的なフローサイトメトリー分析である。単一のドナーから単離された未分化の間質細胞を、示す抗原に対するモノクローナル抗体(実線、各パネルの右側);アイソタイプモノクローナルコントロール抗体(点線、各パネルの左側)で染色した。代表的なn=5のドナー。棒は、>99%コントロールの蛍光強度を示す。
【図2】12日の共培養物におけるリンパ球系前駆体を示す概略図である。CD34+およびCD34−細胞の両方の有意なパーセンテージが、CD7もしくはCD10抗原のいずれかを発現した(n=4 間質ドナー、n=2 UCBドナー)。個々の表現型は、全造血集団の以下のパーセンテージに相当した:初期リンパ球系前駆体、それぞれ、20.2%(CD34+ CD7+)および9.5%(D34+ CD10+);NK/T細胞前駆体(D34− CD7+)、31.4%;ならびにB細胞前駆体(D34− CD10+)、7.7%。
Claims (28)
- 眼球細胞の少なくとも一つの特性を発現するように誘導された単離された脂肪組織由来間質細胞。
- インビトロにおいて分化された請求項1の眼球細胞。
- インビボにおいて分化された請求項1の眼球細胞。
- 分化の前に、単離された脂肪組織由来間質細胞に外因性遺伝物質が導入されている請求項1の眼球細胞。
- 細胞がヒトのものである請求項1の眼球細胞。
- ホストに移植された請求項1の眼球細胞。
- 外因性遺伝物質が細胞に導入されている請求項1の眼球細胞。
- 細胞が角膜上皮細胞である請求項1〜8のいずれかの眼球細胞。
- 細胞が眼球ストローマ細胞である請求項1〜8のいずれかの眼球細胞。
- 眼球細胞の少なくとも一つの特性を発現するように誘導された単離された脂肪組織由来間質細胞および生体適合性材料を含んでなる組成物。
- 生体適合性材料が羊膜、コラーゲン、ヒドロゲル、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリグリコール酸/ポリ乳酸、ヒアルロン酸塩、もしくはフィブリンよりなる群から選択される請求項10の組成物。
- 生体適合性材料が羊膜である請求項11の組成物。
- 眼球細胞が角膜上皮細胞である請求項10〜12のいずれかの組成物。
- 眼球細胞が眼球ストローマ細胞である請求項10〜12のいずれかの組成物。
- 単離された脂肪組織由来間質細胞をホストにおける眼球内組織部位と接触させる工程を含んでなる、単離された脂肪組織由来間質細胞を少なくとも一つの眼球関連細胞マーカーを展示するように分化させる方法。
- 単離された脂肪組織由来間質細胞が、ホストから得られる請求項15の方法。
- 脂肪組織由来間質細胞が、ホストではないドナーから単離される請求項15の方法。
- 単離された脂肪組織由来間質細胞を眼球誘導物質と接触させることを含んでなる、単離された脂肪組織由来間質細胞を少なくとも一つの眼球細胞マーカーを展示するように分化させる方法。
- 眼球誘導物質が、化学的に特定される細胞培養培地中にある請求項18の方法。
- 眼球細胞マーカーが角膜上皮細胞のマーカーである請求項18の方法。
- 眼球細胞マーカーが眼球ストローマ細胞のマーカーである請求項18の方法。
- i)単離された脂肪組織由来間質細胞を少なくとも一つの眼球細胞マーカーを発現するように誘導すること;および
ii)誘導した細胞をホストに移植すること
を含んでなるホストにおける眼球疾患、変性症状もしくは術後症状を処置する方法。 - 脂肪組織由来間質細胞がホストから単離される請求項22の方法。
- 眼球疾患、変性症状もしくは手術症状が無虹彩、紅斑角皮症、角膜炎、化学的損傷;温熱性損傷;コンタクトレンズ角膜症;反復的輪部手術、輪部不全症(limbal insufficiency)、光学的角膜屈折矯正手術、レーザー原位置角膜曲率形成術、自己免疫性機能障害、またはウイルスもしくは細菌感染である請求項22の方法。
- (i)脂肪組織由来間質細胞を単離すること;および
(ii)該細胞をホストにおける眼球内部位に移植すること
を含んでなるホストにおける眼球疾患、変性症状もしくは術後症状を処置する方法。 - 脂肪組織由来間質細胞がホストから単離される請求項25の方法。
- 眼球疾患、変性症状もしくは手術症状が無虹彩、紅斑角皮症、角膜炎、化学的損傷;温熱性損傷;コンタクトレンズ角膜症;反復的輪部手術、輪部不全症、光学的角膜屈折矯正手術、レーザー原位置角膜曲率形成術、自己免疫性機能障害、またはウイルスもしくは細菌感染である請求項25の方法。
- 脂肪組織由来間質細胞がホストへの移植の前に脱分化される請求項25〜27のいずれかの方法。
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