JP2005507361A - フルオロカーボンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

HFと、更なるフッ素化に比較的耐性のある少なくとも1つの化合物、通常はHCFCとの混合物を含む中間生成物流を生じさせるタイプの改良されたHFC製造方法が開示される。その改良法は、好ましくは液:液の相分離を使用して前記未反応性化合物を前記生成物流から分離することを伴い、その未反応性化合物のフッ素化反応への再利用を実質的に回避するものである。分離された未反応性化合物はHFを実質的に有さない。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、フルオロカーボンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイドロフルオロカーボン類(HFC)、すなわち、実質的に炭素、水素及びフッ素のみを有し、塩素を有しない化合物、特にペンタフルオロカーボンは、冷蔵システムにおいて、発泡剤として及び他の用途において、環境的に不利なクロロフルオロカーボン類(CFC)に代ってますます使用されるようになっている。さらに、商業的に入手可能なHFCについても、できる限りハイドロクロロフルオロカーボン類(HCFC)すなわち実質的に炭素、水素、フッ素、及び塩素のみを有する化合物を含まないことが商業上全般に望ましいことである。このことの優先性は、大部分において、CFC(HCFCはより軽度であるが)が地球のオゾン層に有害であるという広く知られた懸念から生じている。結果的に、塩素原子をほとんど含まないハロカーボンを使用しようという世界的な取り組みが存在する。事実、幾つかの現行の取り決めは、HFC製品について不純物として全量で0.5重量%を超えないCFCを含むことを要求し、これらの取り決めは、将来においてより制限的になるであろう。したがって、一定の商業用HFCは、できる限り低い濃度のCFC及びHCFCを有することが重要である。
【0003】
この点において、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)は、オゾン減少可能性が無いハイドロフルオロカーボンであると考えられ、発泡体、冷蔵及び他の系においてクロロフルオロカーボンについての代替品とみなされている。ハイドロフルオロカーボンの製造は、溶剤、発泡剤、冷媒、洗浄剤、エアゾール放射剤、熱伝達媒体、誘電体、消火剤組成物、及びパワーサイクル作動用液体としての使用に環境的に望ましい製造物を提供するための興味ある主題となっている。
【0004】
フッ化水素を様々なハイドロクロロカーボン(HCC)化合物と反応させることによりHFCを製造することは当該技術分野において知られている。当該技術分野において良く知られているように、このタイプの反応は、例えば、本発明の譲受人に譲り渡されたもので、参照によって本明細書に取り込まれる米国特許第5,763,706号−Tungらに開示されているように、HFC−245faの製造にしばしば使用される。このタイプの反応に伴うプロセスにおいて、未反応のフッ化水素、他の未反応の開始剤、中間HCFC生成物、及び所望のHFCを含有する反応生成物が生じるのが一般的である。そのようなプロセスでは、その反応生成物から、望ましくない副生成物及び未反応開始剤、特にHFを分離する必要性が存在する。
【0005】
一定のHFCの製造において、その反応生成物は、通例的な蒸留法を流体中に含まれるHFとHFCとを分離するのに使用することができるというものである。しかし、一定の他のHFCは、HFに非常に近く且つ/又はHFとの共沸混合物を形成する沸点を有し、これらHFCを含有する反応生成物は、一般的には、通例的蒸留法を使用して望ましくない成分から効果的且つ完全に分離されることはできない。
【0006】
腐食的スクラビング(caustic scrubbing)法は、HFC及び/又はHCFCがHFとの共沸混合物を形成する場合でさえ、HFをHFC及びHCFCから分離すために効果的であることが知られている。しかしながら、そのような腐食的スクラビング法は、その生成物流から分離されたHFがフッ素化反応に容易に再利用可能であるので不都合である。この失われたHFは、所望のHFCを製造するコストを上昇させることにつながる。したがって、反応工程に再利用される未反応HFの量が比較的高いプロセスを提供することが一般的に望ましい。
【0007】
腐食的スクラビングについての必要性を回避しつつ共沸混合性HFCを未反応HFから分離することに使用されてきた技法は、当該技術分野において圧力スイング蒸留法(pressure swing distillation)として知られている。本発明の譲受人に譲渡されたもので、参照によって本明細書中に組み込まれる米国特許第5,918,419号−Phamらを参照されたい。圧力スイング蒸留法において、共沸混合性HFCの未反応HFからの分離に伴う一定の他のプロセスにあるように、大きなパーセンテージの未反応HFを含有する流体が生成されてフッ素化反応に再利用される。しかし、この再利用流は、HFのほかに1つ又はそれを超えるHCFCをも頻繁に含む。そのような多くのプロセスに関しては、生成されるHCFCを反応工程において速やかに更にフッ素化し、そうして、これら材料を再利用流中に含ませることが一般に許容される。
【0008】
しかしながら、出願人は、そのような製造技法の他のクラスにおいて、そのプロセスは反応工程において速やかに更にフッ素化されず且つHFとの共沸混合物をも形成する1つ又はそれを超えるHCFCを含む流体を生成するものであること認識するに至った。さらに出願人は、このクラスのプロセスが、先行技術によって操作される場合、周期ベースで系から一掃されることが必要とされるその系中の不反応HCFCの常なる増的構築により特徴づけられていることを認識した。そのような除去操作は、HFC製造プロセスをその除去操作の間に正しくは停止しなければならないことを含む多くの理由から不利である。
【0009】
出願人は、HFC−245faを未反応HFから分離するのに圧力スイング蒸留法を使用するものを含め、HFC−245faを製造するために現在使用されている多くのプロセスがその反応生成物中に相対的に未反応な共沸混合性HCFCを有するというこの問題に苦しめられていることを認識するに至った。出願人は、以下詳細に説明する通り、このタイプのプロセスにおける上記欠点を克服するプロセスを見出した。
【発明の開示】
【発明の要旨】
【0010】
出願人は、実質的な改良が、それらHFC製造方法であって、所望のHFC化合物を実質的に含まずHFと更なるフッ素化に相対的に耐性である少なくとも1つの化合物(通常はHCFC)の混合物を含む生成物流を生じさせる方法において達成できることを見出した。ここで使用されるような“更なるフッ素化に相対的に耐性である”という用語は、所望のハイドロフルオロカーボンを形成するのに使用される反応条件下で、その化合物が主たる反応体の反応速度よりも実質的に低い(例えば20%低い)速度で更にフッ素化されるということを意味する。そのような化合物は、時として本明細書では“未反応性”化合物とも称される。一定の好ましい態様によると、その未反応性化合物は、所望のハイドロフルオロカーボンを形成するのに使用される反応条件下で、主要反応体の反応速度よりも少なくとも約40%低く、より好ましくは60%低い速度でフッ素化される。
【0011】
出願人は、このタイプのプロセスが未反応性化合物を生成物流から分離してその未反応性化合物のフッ素化反応への再利用を実質的に回避させることによって劇的に改善可能であることを見出した。本発明の一定の態様によると、それらプロセスは、未反応HF及び相対的未反応性HCFCだけでなく、所望のHFCを形成するプロセスに使用される反応条件下で容易に更にフッ素化される少なくとも1つのHCFCを含む生成物流を作り出す。ここで使用される用語としての“容易に更にフッ素化される”とみなされる化合物とは、その未反応性化合物よりも実質的に大きい、好ましくは少なくとも約20%大きい速度でフッ素化される化合物である。そのような化合物は、時として本明細書では“反応性”化合物とも称される。一定の好ましい態様によると、その反応性化合物は、所望のフルオロカーボンを形成するのに使用される反応条件下で、主要反応体の反応速度よりも実質的に小さくない、好ましくは約20%減に至らない、さらに好ましくは約10%減に至らない速度でフッ素化される。そのような態様において、それらプロセスは、好ましくは更に、前記未反応性HCFCを前記反応性HCFCから分離して、その反応性HCFCの少なくとも大部分を再利用することを含んでなる。
【0012】
本発明の特定の態様は、
a.塩素化プロパン、及び塩素化プロペン及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物をHFと反応させて、少なくとも未反応HF、所望のC3−HFC、未反応性C3−HCFC、及び反応性C3−HCFCを含む反応生成物を生じさせること;及び
b.前記反応生成物を、(i)前記反応生成物中の所望C3−HFCの大部分を含む少なくとも1つの生成物流と、(ii)未反応HF、未反応性C3−HCFC、及び反応性C3−HCFCを含む少なくとも1つの中間生成物流とに分離すること;
c.前記中間生成物流から前記未反応性C3−HCFCを分離して、前記未反応性C3−HCFCのフッ素化反応への再利用を実質的に回避すること;及び
d.場合により、前記中間生成物流中の未反応HF及び反応性C3−HCFCを更に精製し及び/又はフッ素化反応へ再利用すること;
を含んでなる、C3−HFCの製造方法を伴う。
【0013】
本明細書に使用されている“C3−HFC”及び“C3−HCFC”という用語は、それぞれ3つの炭素原子を有するHFC類及びHCFC類を意味する。本発明のこの態様は、C3−HFCがHFC−245faであり、反応性C3−HCFCがHCFC−244fa(1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン)を含み、且つ未反応性C3−HCFCがHCFC−1223xd(1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)を含む場合において大きな利点がある。そのような態様によると、その中間生成物流から未反応性C3−HCFCを分離する工程は、以下詳細に記載する通り、好ましくは液体:液体の相分離を含んでなる。
【0014】
また、本発明は、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(“HFC−365”)を含む、C4−HFC類の製造における使用に適合可能性があると考えられる。
発明の詳細な記載
本発明の1つの側面は、HFを1つ又はそれを超えるHFC前駆体と反応させて所望のHFCを含む反応生成物流を生じさせる工程を含むHFCの改良された製造方法に関する。図1は、そのような方法を概略ブロック図で表し、ここで、図1中の供給流10により示される1つ又はそれを超えるHFC前駆体は供給流20により示される新たなHFと一緒に反応工程100に導入され、供給流30により示される反応生成物流を生じる。本発明による反応工程の詳細は本明細書の範囲内で大きく変化し得るものであり、よって、現在知られているか又はその後に開発されるであろうすべてのフッ素化工程の詳細は、その反応生成物が未反応HF及び未反応性化合物、特に好ましくはHFとの共沸混合物を形成する未反応性化合物を含む限り、本発明における使用に適合すると考えられる。
【0015】
所望のHFCがC3−HFC、C4−HFC及びC5−HFCである好ましい態様によると、その反応工程は、HFが、場合によるが好ましくは、フッ素化触媒の存在下でnが3,4又は5であるCn−HCC、Cn−HCFC及びこれらの組み合わせからなる群より選択されるHFC前駆体と反応するフッ素化工程を含んでなることが一般的に好ましい。一定の態様において、HFC前駆体は、フッ素化又は塩素化したプロパン類及びプロペン類、及びこれらの混合物からなる群より選択されることが好ましい。使用され得る塩素化プロパン類の例には、1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(HCFC−244fa);1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(HCC−240fa);トリクロロジフルオロプロパン(HCFC−242fa);1,1−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロパン;及び1,3−ジクロロ−1,3,3−トリフルオロプロパンが含まれ、それらの最後の2つは、各々ときにして本明細書の中でHCFC−243と称される。使用し得る塩素化プロペン類の例には、1,1,3,3−テトラクロロプロペン(HCC−1230za)、及び1,3,3,3−テトラクロロプロペン(HCC−1230zd)が含まれる。使用し得るフッ素化プロペン類の例には、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC−1234ze)及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFC−1233zd)が含まれる。
【0016】
ペンタ又はヘキサフルオロカーボン類の製造を伴う態様に関し、その反応工程は、好ましくは、米国特許第5,763,706号−Tungら(本明細書中に参照によって組み込まれる)において開示され言及されている1つ又はそれを超える反応工程、条件及び手段を含んでなる。そのような反応条件下において、反応生成物流は、概して、HCl;未反応HF、所望のHFC、つまりHFC−245fa;HCFC−244fa;及び1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFC−1223xd)を含んでなるであろう。
【0017】
反応生成物流30は、分離工程200において処理されて、所望の比率で所望の純度の所望のHFCを含有する少なくとも1つの生成物流40と、所望のHFCを実質的に有さず、未反応HF及びHFから分離することが難しい少なくとも1つの未反応性化合物(例えば、そのような未反応生成物はHFとの共沸混合物を形成する場合に生じるように)を含有する少なくとも1つの中間生成物流50とを生じさせる。一定の態様によると、その中間生成物流50は、その未反応生成物から分離することが難しい少なくとも1つの反応性化合物をも含む。例えば、一定の態様では、反応性化合物がHFとの共沸混合物を形成し、そのHF/反応性化合物共沸混合物の沸点は、HF/未反応性化合物共沸混合物の沸点の約10℃以内にある。生成物流50は、その反応工程において生成される他の重い沸騰性有機化合物をも含み得る。本明細書において使用される“中間生成物流”という用語は、本発明に従って更なる処理が必要とされる生成物流を意味する。
【0018】
本発明に従う分離工程200の詳細は本明細書の範囲内で大きく変化し得るものであり、従って、現在知られているか又は今後開発され得るすべての分離工程は、それら工程が生成物流50について上で言及した特性を有する中間生成物流を生成する限り、本発明における使用に適合すると考えられる。一般的に、好ましい分離工程200は、HCl、好ましくは実質的に無水のHClを反応生成物流30から除去する工程を含む。1つ又はそれを超える蒸留カラムを、無水HClを流体30から除去するのに使用することができる。このHCl除去工程からの前記流体は、図1中の点線41により表されるようにそのプロセスから概ね除去される。次いで、残留成分は更に分離されて、所望のHFCを含有する生成物流40、及び中間生成物流50を生成し、それは、好ましくは、例えば米国特許第5,918,481号(参照によって本明細書中に取り込まれる)に記載されるような圧力スイング蒸留のような慣例的工程を使用し、又は例えば米国特許第5,895,636号(参照によって本明細書中に取り込まれる)に記載されるような硫酸抽出により、又は例えば米国特許第5,948,381号(参照によって本明細書中に取り込まれる)に記載されるようなフッ化金属塩抽出により、又はウォータースクラビングにより、又はこれらの若しくは他の周知な分離工程のいずれか2つ以上の組み合わせにより行われる。
【0019】
上述の通り、ペンタ又はヘキサフルオロプロパン類の製造を伴う態様に関し、好ましい反応工程100は、未反応HF、及び所望の生成物(HFC−245faのようなもの)に加えてHCFC−244fa及びHCFC−1223xdを含んでなる反応生成物流30を生成する。HCFC−244faの通常の沸点は、HCFC−1223xdよりも十分に低く、これら2つの成分は、2成分混合物において簡易な蒸留法を使用して互いを容易に分離できる。より詳しくは、HCFC−244faの通常の沸点とHCFC−1223xdのそれとは16℃離れており、それぞれ35℃と51℃である。しかしながら、出願人は、HCFC−244faとHCFC−1223xdのいずれもがHFとの共沸混合物を形成し、その反応生成物においてこれら成分の各々をHFから分離することが困難になるばかりか、HCFC−1223xd/HF共沸混合物及びHCFC−244fa/HFについてのそれら沸点は16℃にも満たない隔たりにあるということを認識するに至った。結果として、HCFC−244fa/HF共沸混合物のHCFC−1223xd/HF共沸混合物からの分離は、分離工程200において容易に達成することができず、従って、好ましくは反応工程へ再利用するための未反応HFを含有する流体50がこれら2つのHCFCを含有するであろう。
【0020】
下の表1は、幾らかの圧力でのこれら2つの共沸混合物の沸点を示す。244fa/HF共沸混合物の組成は、約34.7wt%HFである。1223xd/HFは不均質な共沸混合物である。244fa/HFは均質な共沸混合物である。
【0021】
【表1】
Figure 2005507361
【0022】
上の表1から分かる通り、それら温度差は圧力と共に減少し、反応生成物中のHFの存在に起因して、HCFC−244fa/HF及びHCFC−1223xd/HF共沸混合物のそれら沸点は、HFが存在しない場合よりもかなり近い。
【0023】
本発明の好ましい態様は、HFを流体50から除去して、反応生成物30中に存在する大部分の、好ましくは少なくともほぼ主要な割合のHFを含んでなる1又はそれを超える再利用流60を生成するための分離工程300を含む。分離工程300は、好ましくは、HCFC−1223xdを流体50から除去して、反応生成物30中に存在する大部分の、好ましくは少なくともほぼ主要な割合のHCFC−1223xdを含んでなる1又はそれを超える流体70を生成することを更に含んでなる。流体70は、反応100に再利用されずに、更なる処理、売却及び/又は処分に出されるであろう。
【0024】
本発明の分離工程300の好ましい態様は図2に示されている。この態様によると、流体50は、1つ又はそれを超える蒸留塔を含んでなる蒸留操作のような分離工程310に導入され、ここでHFの共沸混合物はあらゆる他の有機成分と一緒に、好ましくは蒸気流51内に取り出されて、コンデンサーユニット320へ送られる。他の有機化合物との共沸混合物でないHFは、好ましくは再沸騰器350を通過した後に底流60Aとして取り出され、再沸騰器350ではその流体の少なくとも一部が蒸気状態まで加熱されて分離工程310に再導入される。流体60Aは、好ましくは反応工程100に再利用される。
【0025】
コンデンサー320からの出流52は2つの液相を含んでなる。流体52は分離ドラム330のような相分離工程に導入され、それは流体52を有機相52Aと無機相52Bとに分離可能にするのに十分な容量と形状を有するように設計されている。その無機相はそのドラムから流体53として取り出され、好ましくは還流として蒸留工程310に戻される。有機相52Aは、流体54として取り出され、好ましくは、1つ又はそれを超える蒸留塔を含んでなる蒸留操作のような分離工程340内へ導入される。流体54中に含まれる重い方の有機成分は、好ましくは、底流70として、その流体の少なくとも一部分を蒸気状態まで加熱して分離工程340内へ再導入する再沸騰器360を通過した後に取り出される。流体70は、好ましくは、流体50に含まれる未反応性化合物を含有し、反応工程に再利用されずに、上で示したように更に処理される。
【0026】
流体50に含まれる軽い方の有機化合物は、好ましくは流体54中に含まれる反応性化合物を含み、好ましくはコンデンサーユニット370へ送られる蒸気流55にして取り出される。コンデンサーユニット370からの冷却流の一部は、還流61として分離器340内へ導入され、その残りの流体が反応工程に再利用流60Bとして移送される。
【0027】
ペンタ又はヘキサフルオロプロパン類の製造を伴う本発明の態様に関し、流体50は、好ましくは、反応生成物30中に含まれる少なくとも約80重量%のHCFC−244fa及びHCFC−1223xdが、その反応生成物中の未反応HFの少なくとも大部分と一緒に含まれる。非常に好ましい態様によると、流体50は、その反応生成物中にHCFC−244fa重量ベースで少なくとも約90%の量のHCFC−244fa、その反応生成物中にHCFC−1223xd重量ベースで少なくとも約90%の量のHCFC−1223xd、及び、その反応生成物中にHFの重量ベースで少なくとも約90%の量のHFを含んでなるであろう。そのような態様では、かなりの割合の未反応HFで構成される無機成分が分離器310において取り出されて、流体60Aを経て反応室100へ再利用される。流体60Aは、約5重量%未満の未反応成分、特にHCFC−1223xd、そしてより好ましくは約1重量%未満のそのような成分で構成されることが好ましい。同様に、流体60Bも、約5重量%未満の未反応成分、特にHCFC−1223xd、そしてより好ましくは約1重量%未満のそのような成分で構成されることが好ましい。また、有機体流54は、約15重量%未満のHF、より好ましくは約10重量%未満のHFで構成され、そして更に好ましくは本質的にHFが存在しないことが好ましい。分離器340において、HCFC−244faは、HCFC−1223xdから蒸留によって分離され、低い沸点のHCFC−244faが上方流60B中に濃縮される。分離器340は、再利用流60Bが約5重量%未満の未反応成分(HCFC−1223xdのようなもの)、より好ましくは約1重量%未満のそのような成分を含むことが確実となるのに十分に効果的な条件下に操作されることが好ましい。
【0028】
更に、ペンタ又はヘキサフルオロプロパン類の製造を伴う本発明の態様に関し、その分離工程310は、好ましくは、約15〜約200psia、より好ましくは約15〜約100psiaの圧力で操作される。その分離に使用される温度は、使用される圧力、流体50の特定の組成、及び他の要因に依存して変動する。しかし、概して、その分離は、約30℃〜100℃、より好ましくは約50℃〜約70℃の下方温度(例えば、再沸騰入力温度)で、且つ約0℃〜50℃、より好ましくは約20℃〜約30℃の上方温度(例えば、コンデンサー出力温度)で作動することが好ましい。そのコンデンサーは、好ましくは、流体51を有機相から分離するのに効果的な温度まで冷却するように作動する。その濃縮及び相分離工程に使用される温度は、使用される圧力、流体51の特定の組成、及び他の要因に依存して変動するであろう。しかしながら、概して、流体52は約−70℃〜5℃、より好ましくは約−70℃〜約−20℃の温度まで冷却されることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、本発明の1つの態様による一般化したブロック流れ図である。
【図2】図2は、本発明のプロセスによる1つの態様のより詳細な流れ図である。

Claims (26)

  1. 塩素化及び/又はフッ素化ハロカーボンのフッ化水素(HF)との反応によるハイドロフルオロカーボン(“HFC”)化合物の製造方法において、該方法が、未反応HF、未反応性HCFC及び反応性HCFCを含有する中間生成物流を生成するタイプの方法であって、その改良された方法は、前記未反応性HCFCを前記中間生成物流から分離して、前記第2のHCFCの前記フッ素化反応への再利用を実質的に回避することを含んでなる方法。
  2. 前記HFCがペンタフルオロプロパンである、請求項1の方法。
  3. 前記HFCが1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)である、請求項1の方法。
  4. 前記分離工程が、HFリッチな液相をHCFCリッチな液相から分離することを含んでなり、前記HFリッチな液相は、少なくとも前記未反応性HCFC化合物を実質的に有さないものである、請求項1の方法。
  5. 前記HFリッチな液相中のHFの少なくとも大部分を、前記フッ素化反応へ再利用することを含んでなる、請求項4の方法。
  6. 前記HCFCリッチな液相はHFを実質的に有さず、前記HCFCリッチな液相中の前記反応性HCFCの少なくとも大部分が前記フッ素化反応へ再利用される、請求項4の方法。
  7. 前記中間生成物流中の前記第2のHCFCの大部分が、前記HCFCリッチな液相中に含まれる、請求項6の方法。
  8. 前記中間生成物流中の実質的にすべての前記未反応性HCFCが前記HCFCリッチな液相に含まれ、且つ前記HCFCリッチな液相中の前記未反応性HCFCが前記フッ素化反応に実質的に再利用されない、請求項7の方法。
  9. 前記HCFCリッチな液相中の実質的にすべての前記未反応性HCFCが、処分されるか又は更に処理される、請求項8の方法。
  10. 前記反応性及び未反応性HCFCが、各々HFとの共沸混合物を形成する、請求項1の方法。
  11. 前記反応性HCFCが1−クロロ−1,3,3,3−テトラフルオロプロパン(HCFC−244fa)を含んでなる、請求項10の方法。
  12. 前記未反応性HCFCが1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFC−1223xd)を含んでなる、請求項11の方法。
  13. 前記HFCがHFC−245faであり、前記分離工程が、前記中間生成物中流を、前記反応性及び未反応性HCFCを実質的に有さないHFリッチな流体と、HF及び前記反応性及び前記未反応性HCFCを含むHCFCリッチな流体とに分離することを含んでなる、請求項12の方法。
  14. 前記分離工程は、前記中間生成物流を蒸留して、前記HFリッチな流体を含んでなる下方生成物流と、前記HCFCリッチな流体を含んでなるガス状上方流とにすることを含んでなる、請求項13の方法。
  15. 前記ガス状上方流を冷却して、第1の液相と第2の液相とを含む流体を生じさせる、請求項14の方法。
  16. HFの少なくとも大部分が前記第1の液相中に含まれ、且つ前記反応性及び未反応性HCFCの各々の少なくとも大部分が前記第2の液相中に含まれる、請求項15の方法。
  17. 前記冷却した流体を分離器に導入することにより、前記第1の液相を前記第2の液相から分離する工程を更に含んでなる、請求項16の方法。
  18. HFCの製造方法であって、
    a.化合物をフッ化水素(HF)と反応させて、少なくとも未反応HF、該HFC,未反応性化合物、及び反応性化合物を含む反応生成物を生成すること;および
    b.前記反応生成物を(i)前記反応生成物中に含まれるHFCの大部分を含む少なくとも1つの生成物流と;(ii)総じて前記未反応性化合物を実質的に有さない1つ又はそれを超える再利用流とに分離すること;
    を含んでなる方法。
  19. 前記1つ又はそれを超える再利用流が、総じて前記反応性化合物の大部分を含む、請求項18の方法。
  20. HFCの製造方法であって、
    a.化合物をフッ化水素(HF)と反応させて、少なくとも未反応HF、該HFC,及びHFと共沸混合物を形成する未反応性化合物を含む反応生成物を生成すること;および
    b.前記未反応性化合物を前記反応生成物から分離し、且つ前記未反応性化合物を前記再利用工程に実質的に再利用しないこと;
    を含んでなる方法。
  21. 前記分離工程は、前記反応性化合物を前記反応生成物から分離することを更に含んでなり、該方法が、前記分離した反応性化合物を前記反応工程に再利用することを更に含んでなる、請求項20の方法。
  22. C3−HFCの製造方法であって、
    a.塩素化プロパン、塩素化プロペン、フッ素化プロペン、及びそれらの混合物からなる群から選択される化合物を、フッ化水素(HF)と反応させて、少なくとも未反応HF、該C3−HFC、第1の中間体C3−HCFC、及び前記第1の中間体C3−HCFCよりもフッ素化耐性である第2の中間体C3−HCFCを含む反応生成物を生じさせること;および
    b.記反応生成物を(i)前記反応生成物中に含まれるC3−HFCの大部分を含む少なくとも1つの生成物流と;(ii)総じて前記第2のC3−HCFCを実質的に有さない1つ又はそれを超える再利用流とに分離すること;
    を含んでなる方法。
  23. 前記分離工程が圧力スイング蒸留を含んでなる、請求項22の方法。
  24. 前記C3−HFCがHFC−245faであり、前記第1の中間体C3−HCFCがHCFC244faであり、且つ前記第2の中間体C3−HCFCがHCFC−1223xdである、請求項23の方法。
  25. 前記圧力スイング蒸留工程が、未反応HF、HCFC−244faの少なくとも一部、及び前記HCFC−1223xdの少なくとも一部を含んでなる中間生成物流を生じさせることを含んでなる、請求項23の方法。
  26. 前記反応工程が触媒反応工程を含んでなる、請求項22の方法。
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