JP2005506235A - 緊急制動時における運転者を支援するための制動装置の制御方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法であって、車両(10)は、緊急制動手順を活性化するために、特に制動状態を表すデータを利用する、制動装置(12)の電子制御装置(58)を有し、電子制御装置(58)は、緊急制動手順を活性化するために、各制動状態を緊急制動の始動度に結び付ける、2次のファジー関係である制御則を使用し、緊急制動の始動度の値は、n個の計算ステップの間に、緊急制動の始動度が、n個の増大または等しいゼロでない値をとり、n番目の値が1に等しいときに緊急制動手順を活性化するように、0と1の間を線形に変化することを特徴とする、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法を提供する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動装置の制御方法に関する。
本発明は、特に、緊急制動時における運転者を支援するための車両の制動装置の制御方法であって、
上記車両は、上記車両の車輪に作用するブレーキと、上記運転者による上記ブレーキの操作装置と、上記操作装置に対する上記運転者の操作に応じて、所定の増幅のルールに従って、制動時における制動力の強さを増幅する制動補助装置と、制動時における上記車輪のブロッキングを防止するためのブレーキ制御手段、すなわちアンチブロッキング装置と、制動の強さを増幅する上記増幅のルールを変更する手段とを有し、
制動の強さを増幅する上記増幅のルールを変更する手段は、センサによって供給される、特に代表的には:
−上記運転者によって上記ブレーキの上記操作装置に加えられる力の強さと;
−制動の強さと制動の強さの時間的な変化とによって定義される制動状態と;
−上記車両の縦方向の瞬間的な移動速度と;
のデータを利用する、上記制動装置を制御する電子制御装置を有し、
上記データは、上記電子制御装置が、上記車両に最大限の減速をもたらすために、上記アンチブロッキング装置が始動するまで、制動の力の強さを増強させるように、上記増幅のルールを変更する緊急制動手順の活性化を指令するように、緊急制動状態を検出することを特に可能にする、
緊急制動時における運転者を支援するための車両の制動装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
何年も前から、制動装置がアンチブロッキング装置を有する車両が存在している。アンチブロッキング装置は、車輪がブロックされることなく車両に最大限の減速度を得させることを可能にし、過激な制動時に車両の軌跡のコントロールの維持を可能にする。
従って、アンチブロッキング装置は、運転者に、運転者が緊急状態と判断する際に、ブレーキペダルに加える圧力を調整する配慮をすることなく、従ってその車両をできるだけ早く減速することのみに専心して、ブレーキペダルに極めて大きな圧力を加えることを可能にする。
【0003】
しかしながら、調査によれば、運転者は、ブレーキペダルを充分に踏み込まないか、緊急状態に直面して躊躇するか、あるいはこれらの2つの理由で、しばしばアンチブロッキング装置を有する制動装置の能力を最大限には利用しないということが示されている。
この問題を解決するために、例えば車両の速度及び運転者から要求される制動の強さ等に関する情報を供給する複数のセンサに基づいて、車両と運転者の挙動を常時監視して、緊急制動の状態を検出し、車両にその最大能力まで制動がかかるのに充分な制動圧力を加えることを可能にする、緊急制動支援装置が提案されている。
【0004】
このようにして実現される緊急制動は、車輪が常にブロッキングの限界にあるように制動力を維持することからなる。
【0005】
緊急制動の不活性化は、運転者がブレーキペダルを緩めた時、または車両の速度が3km/h以下である時に行なわれる。
【0006】
緊急状態を検出するためのプロトコールは、車両のパラメータを利用し、これらをマッピングと照合する。このマッピングは、始動度が0である通常の制動ゾーンと、始動度が1の値をとる緊急制動のゾーンとの、2つのゾーンを画定する。
この緊急制動支援装置は、これらの2つのゾーンの境界の通過(0から1への移行)があると、直ちに活性化される。従って、制御則は、2進型である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の緊急制動支援装置においては、2進の特性のために、このマッピングは、個々のの運転者に特有の挙動に適応することはできず、従って妥協したものになる。
このことは、熟練した運転者に対しては、不適当な時期に緊急制動手順の始動を発生させるという問題を、また躊躇する運転者に対しては、緊急の場合であっても、緊急制動手順が始動しないという問題をもたらす。
【0008】
さらに、緊急制動支援装置は、緊急制動手順の不活性化の際に、制動を調整することができない。
このため、一旦緊急制動手順が活性化されると、進行中の制動に不活性化が発生する場合を別にして、運転者はもはやその制動を支配することはできない。
緊急制動支援装置の不活性化の原理によって、運転者が緊急状態がないか、あるいは緊急状態である理由がないと考える場合には、ブレーキペダルを完全に緩める必要性が導かれる。
従って、緊急制動支援装置は、運転者の緊急制動を不活性化するという意志を認識することはできない。緊急制動支援装置は、車両が停止させられた、またはブレーキペダルから足が上げられた情報のみを認識する。
このことは、不適当な時期の緊急制動の活性化についてますます有害であり、例えば、緊急でないのに押しつけられた制動に対して、熟練した運転者は、その意志(減速を小さくする)に反して動作する装置に我慢できない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題点を解決することを目的とする。
【0010】
この目的のために、本発明は、上記の「技術分野」に記載した、緊急制動時における運転者を支援するための車両の制動装置の制御方法において、
緊急制動手順を活性化するために、電子制御装置は、制動状態を、緊急制動の始動度に結び付ける、2次のファジー関係である制御則を使用し、
上記緊急制動の始動度の値は、0と1の間を線形に変化し、n個の計算ステップの間に、上記緊急制動の始動度が、n個の増大するかまたは等しい、ゼロでない値をとり、n番目の値が1に等しいときに、上記緊急制動手順を活性化するように、次の値:
−上記ファジー関係の外側にあるときには値0;
−上記ファジー関係の中核部にあるときには値1;および、
−上記ファジー関係のファジー領域にあるときには、0と1の間に含まれる値; をとる、
ことを特徴とする、緊急制動時における運転者を支援するための車両の制動装置の制御方法を提供する。
【0011】
本発明のその他の特徴によれば:
−上記nは3に等しく;
−上記電子制御装置は、上記運転者によって要求される加速度の強さと、ブレーキの操作装置に加えられる力の強さとに応じて、上記運転者の挙動のタイプを表し、制動を躊躇する運転者に対応する低い値と、制動を確実に行う運転者に対応する高い値との間に含まれる、短期の診断の値を決めるために、短期の診断を実行し、上記電子制御装置は、上記短期の診断の値に応じて、上記短期の診断の値がより大であるときには、緊急制動始動のファジー領域により到達しにくく、上記短期の診断の値がより小であるときには、緊急制動始動のファジー領域により到達し易いように、上記緊急制動手順を活性化する上記制御則の上記ファジー関係を変更し;
−上記制御則は、それぞれ上記短期の診断の高い値のために理想的な制御則と、上記短期の診断の低い値のために理想的な制御則とに対応する、少なくとも2つのファジー関係、すなわち基準の関係を含み、決定された上記短期の診断の値について上記制御則によって使用される上記ファジー関係は、上記基準の関係の線形内挿によって計算され;
−上記制御則は、上記高い値と上記低い値との中間の上記短期の診断の値のために理想的な制御則に対応する、中間の基準の関係を含み;
−上記基準の関係は、一連の実験から出発して、所定の車両について確立され;
−上記短期の診断は、上記車両の移動中に、定められた頻度で、継続的に実行され;
−上記電子制御装置は、上記短期の診断の値から出発して、上記短期の診断の値の増大に追随するが、それ自身はよりゆっくりと減少する、中期の診断の値を計算し、上記電子制御装置は、上記中期の診断の値を、運転者の挙動を表す値として使用し;
−上記中期の診断の値は:
・もし、瞬間tにおける上記短期の診断の値が、瞬間t−1における上記中期の診断の値よりも大または等しいなら、瞬間tにおける上記中期の診断の値は、上記瞬間tにおける上記短期の診断の値に等しく;
・もし、上記瞬間tにおける上記短期の診断の値が、上記瞬間t−1における上記中期の診断の値よりも小さいなら、上記瞬間tにおける上記中期の診断の値は、上記瞬間t−1における上記中期の診断の値から、減分だけ減らされた値に等しい;
として計算され;
−上記短期の診断の値は、低い値0.3と高い値0.7との間に含まれ;
−上記電子制御装置は、以下の条件:
・上記車両の速度が、所定の最低速度よりも低い;
・上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、i個の計算ステップの間に与えられた中間の力よりも小さく、その値は減少するかゼロで、i番目の値は与えられた最小の力よりも小さい;
・上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、i個の計算ステップの間、進行中の上記緊急制動手順の活性化の間に測定された力の強さの最大値の与えられたパーセンテージよりも小さく、その値は減少するかゼロである;
の少なくとも1つが満たされたときに、上記緊急制動手順の不活性化を指令し;
−上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、i個の計算ステップの間、進行中の上記緊急制動手順の活性化の間に測定された力の強さの最大値の与えられたパーセンテージよりも小さく、その値は減少するかゼロであるときには、上記電子制御装置は、上記緊急制動手順の漸進的な不活性化を指令し;
−上記電子制御装置は、上記緊急制動手順の活性化後、限時時間を監視し、以下の条件:
・上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、所定の弱い強さの力よりも低い;
・上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、j個の計算ステップの間、所定の中央の力よりも低く、その値は減少するかゼロである;
の1つが満たされたら、上記電子制御装置は、上記緊急制動手順の急激な不活性化のみを指令し;
−上記制動補助装置は、上記ブレーキの上記操作装置と上記ブレーキの作動装置との間に設けられた倍力装置を有し、上記倍力装置は、2つのチャンバーの境界を定め、上記ブレーキの上記作動装置に作用する、軸方向に滑動するピストンを備えたシリンダを有し、上記制動装置は、それぞれ制動の強さを表すデータと、制動の強さの時間的変化を表すデータとに対応する、上記ピストンの移動距離と、上記ピストンの速度を測定するセンサを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のその他の特徴及び利点は、理解のために添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによって明らかとなるであろう。これらの図において:
−図1は、本発明による方法を実施するための制動装置を備えた車両を示す略図である。
−図2は、休止位置におけるブレーキの倍力装置を示す軸方向略断面図である。
−図3は、作動位置におけるブレーキの倍力装置を示す図2に類似の図である。
−図4は、「穏やかな」運転者の場合における、本発明による緊急制動手順の活性化の制御則を示すグラフである。
−図5は、「スポーティな」運転者の場合における、本発明による緊急制動手順の活性化の制御則を示す図4に類似のグラフである。
−図6は、本発明による緊急制動手順の不活性化の原則を示す流れ図である。
【0013】
図1に、本発明による方法を実施するための制動装置12を備えた車両10を示す。
制動装置12は、制御用の油圧回路18の内部の圧力に応じて車両10の各車輪16に作用するブレーキ14を含んでなる。
運転者は、例えばブレーキペダル(操作装置)20によってブレーキ14を制御する。操作装置20は、油圧回路18の中の圧力を変化させる、マスタシリンダ(作動装置)22に作用する。
制動補助装置24が、ブレーキペダル20とマスタシリンダ22との間に設けられる。
制動補助装置24は、所定の増幅の規則に従って、ブレーキペダル20への運転者の押力に応じて制動力の強さを増幅する。
従って、制動補助装置24は、ブレーキペダル20へ加えられる運転者の弱い力に代えて、油圧回路18の中の大きな圧力を得ることを可能にする。
【0014】
図2、3に、負圧によって動作する、マスターバク(mastervac)型の空圧式の倍力装置26を含んでなる制動補助装置24の1例の概略を示す。
【0015】
ブレーキペダル20とマスタシリンダ22との間に挿入される倍力装置26は、軸方向に滑動する可動のピストン34によって2つのチャンバー30、32に分割された、大口径の制御用のシリンダ28を含んでなる。
【0016】
以下の記述においては、制御用のシリンダ28の軸A−Aに沿った、図2、3における左から右への方向に相当する、後から前への軸方向の向きを用いる。
【0017】
シリンダ28と同心の螺旋型の圧縮バネ36が、休止状態にあるピストン34を、その移動行程の後方の軸方向の端で支持する。
ピストン34は、前後に伸び、その前方端部の横方向の面40が、マスタシリンダ22のスラスト軸42の後方軸端部に対向して軸方向に支持された、中央の管状体38を有する。
後部のチャンバー30は、管状体38の中央の後部オリフィス44を通して大気圧を受ける外部と、また管状体38の中央の前部オリフィス46を通して負圧を受ける前部のチャンバー32と通じている。
前部のチャンバー32は、逆止弁(図示しない)を備えた負圧導管48を通して負圧源と通じている。
負圧は、例えば、真空ポンプまたは減速段階におけるガソリンエンジンの吸気管の中を支配する負圧によって供給される。
ブレーキペダル20によって軸方向の変位を操作される制御軸50は、ピストン34の管状体38の中を軸方向に滑動し、制御弁52を有している。
制御弁52は、後部オリフィスを塞ぐことができる後部の弁54と、前部オリフィスを塞ぐことができる前部の弁56とを有し、2つの弁54、56は互いに連結されている。
【0018】
図2に示す休止位置においては、ブレーキペダル20は作動されておらず、2つのチャンバー30、32は、前部オリフィス46を通して連通しており、従ってそれらは大気圧よりも低い同じ圧力を受けており、後部の弁54は、後部オリフィス44を塞いでいる。
【0019】
図3に示す作動位置においては、運転者は、ブレーキペダル20を踏み込み、ブレーキペダル20は、制御軸50を前方へ変位させる。
制御軸50の前方への変位は、制御弁52を動かし、後部の弁54の開口と前部の弁56の閉鎖を引き起こす。
従って、大気圧の空気が、後部の弁54を通って後部のチャンバー30へ浸入する。
この時、2つのチャンバー30、32は、同じ圧力を受けない。ピストン34の両面間の圧力差は、ピストン34の前方への軸方向の変位をもたらす。
ピストン34の管状体38は、移動しながらスラスト軸42を軸方向に押し付け、スラスト軸42は、所定の制動油圧力を生じるようにマスタシリンダ22に作用する。
スラスト軸42に作用する押力の強さは、ピストン34の両面間の圧力差に依存する。
圧力差が大である程、押力は強く、倍力装置26の作用は大きくなる。
運転者によってブレーキペダル20へ加えられた力に比例して、ピストン34の両面間の圧力差の割合を決めるのは、制御弁52である。
運転者によって加えられた力に応じた、倍力装置26による制動力の強さの増幅は、略線形である所定の増幅のルールに従う。
【0020】
また車両は、制動装置12を制御する電子制御装置58を有する。
電子制御装置58は、車輪16のアンチブロッキングの機能を特に実現することを可能にする。
このために、電子制御装置58は、センサ60によって検知した制動中の各車輪の速度Vrを例えば分析し、次いで、車輪16のブロッキングを防止するように、各車輪16へ加えられる制動の油圧を指示する。
【0021】
また電子制御装置58は、車両10に最大限の減速をもたらす目的で、緊急制動手順SFUを起動するように、緊急制動状態を検出することを可能である。
緊急制動手順SFUが起動されたときには、電子制御装置58は、アンチブロッキング装置が始動するまで、制動力の強さを増加させるように増幅のルールを変更することによって、制動補助装置24を制御する。このことは、車両10の最大限の減速を得ることを可能にする。
増幅のルールを変更するために、電子制御装置58は、ブレーキペダル20を用いて制御軸50に加えられる運転者の力とは独立に後部の弁54が開口するように、例えば倍力装置26の制御弁52を操作する。このことは、2つのチャンバー30、32の間の圧力差、従って制動の強さを増加させる。
【0022】
電子制御装置58は、他のセンサから発生された情報を受ける。
加速度センサ62は、運転者によって要求された加速度Accの強さについての情報を電子制御装置58に与える。
要求された加速度の強さを表す加速度Accのデータは、用いられるエンジンの様式に関係する。
【0023】
そのセンサとしては、安価で、車両10への装着が簡単な加速度センサ62を選ぶと有利である。
シリンダの中へのガスの吸気弁を有する燃焼エンジンを備えた車両10については、吸気弁の開度を計測する加速度センサ62を選ぶことが望ましい。
【0024】
また、車両10は、車両10の縦方向の移動の速度Vvを計測する速度センサ64を有する。
速度センサ64は、どの瞬間に緊急制動手順SFUを不活性化するかを決定するために、電子制御装置58に必要である。
【0025】
ブレーキ14の操作装置20は、電子制御装置58に、倍力装置26の制御軸50に運転者によって加えられた力Fの値についての情報を知らせるセンサ(図示しない)を有する。この力Fの値は、運転者によって要求される制動の強さを表している。
【0026】
ブレーキペダル20の移動距離は、一般に、運転者によって要求される制動の強さを表さない。
実際、従来の制動装置12においては、ブレーキペダル20と倍力装置26の制御軸50は恒久的に連結されており、このことは、電子制御装置58が制動力の所定の増幅を指令すると、倍力装置26もブレーキペダル20に作用を及ぼし、ブレーキペダル20はその分沈み込むことを意味する。
従って、ブレーキペダル20の移動距離のデータは、運転者の意志によるブレーキペダル20への作用と、倍力装置26のブレーキペダル20への「無意識」の作用とを区別しない。
制御軸50に加えられた力Fは、運転者によって実際にブレーキペダル20へ加えられる力を表す。
例えば電子制御のブレーキ14の操作装置20の場合にあり得るように、もしブレーキペダル20が倍力装置26から切り離されていれば、ブレーキペダル20の移動距離のデータは、制動についての運転者の意志表すことができる。
【0027】
制動補助装置24は、電子制御装置58に倍力装置26のピストン34の移動距離Cpについての情報を知らせるセンサ(図示しない)を有する。
ピストンの移動距離Cpは、スラスト軸42からマスタシリンダ22へ実際に伝達される軸方向の変位を表すので、制動の強さを表す値である。
電子制御装置58は、ピストンの移動距離Cpの複数の測定値から、ピストン34のの軸方向の移動速度、すなわちピストンの速度Vpを決定する。
ピストンの速度Vpは、制動の強さの時間的な変化を表す。
所定の瞬間のピストンの移動距離Cpとピストンの速度Vpから構成されるデータの対は、制動状態Epを定義する。
ピストンの移動距離Cpに基づくセンサは、安価であるから、ブレーキペダル20の移動距離のセンサよりも望ましい。
更に、ピストンの移動距離Cpに基づくセンサは、ブレーキペダル20は回転運動するのに対し、ピストン34は平行運動し、ピストンの移動距離Cpは、ブレーキペダル20における機械的な遊び、特に摩耗に起因する遊びを含まないので、より現実的で、より信頼性が高い。
【0028】
本発明の教訓によれば、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUを活性化するために、制御則を使用する。この制御則は、各ブレーキの状態Efを緊急制動の始動度Dfに結び付ける、2次のファジー関係である。
図4に、緊急制動手順SFUを活性化するための制御則の1例を示す。
図4において、横座標にピストンの移動距離Cpをミリメータで、縦座標にピストンの速度Vpをミリメータ/秒で示す。
【0029】
緊急制動の始動度Dfの値は、0と1の間を線形に変化する。
図の点Aのように、ファジー関係の外側にあるときには、緊急制動の始動度Dfは0の値をとる。
ファジー関係の外側の範囲は、下の曲線C1によって画定され、図4のC1上とその下側の領域から成る。
緊急制動の始動度Dfが0であるときには、電子制御装置58は緊急制動手順SFUを活性化しない。
図の点Cのように、ファジー関係の中核部にあるときには、緊急制動の始動度Dfは1の値をとる。
ファジー関係の中核部は、上の曲線C2によって画定され、図4のC2上とその上の領域から成る。
図の点Bのように、ファジー関係のファジー領域にあるときには、緊急制動の始動度Dfは0と1の間に含まれる値をとる。
ファジー関係のファジー領域は、曲線C1と曲線C2の間に含まれる領域である。
【0030】
電子制御装置58は、n個の計算ステップ中に、緊急制動の始動度Dfが、n個の増大するかまたは等しい、ゼロでない値をとり、n番目の値が1に等しい値をとるときには、緊急制動手順SFUを活性化を指令する。
電子制御装置58は、300Hzの計算頻度と、3に等しい計算ステップの数nを使用すると有利である。
従って、緊急制動手順SFUが活性化されるためには、引き続いて与えられた3個の緊急制動の始動度Df1、Df2、Df3については、第1の緊急制動の始動度Df1は0以上で、第2の緊急制動の始動度Df2は第1の緊急制動の始動度Df1以上かそれに等しく、第3の緊急制動の始動度Df3は1に等しくならなければならない。
第1の緊急制動の始動度Df1と第2の緊急制動の始動度Df2は、確認の点である。
確認の点を使用することによって、ピストン34の速度の信頼性の低いピークで緊急制動手順SFUが始動することを避けることが可能になる。
【0031】
実際には、緊急制動手順SFUの不適当な時期での始動を避けること、すなわち、緊急制動を実行する運転者の意志を確認することと、緊急制動手順SFUが実際に始動する前に運転者の意志を確認するために長時間を消費しないこととの間に、妥協を見出す必要がある。
実験によって、3計算ステップ、すなわち緊急制動を決定するための引き続く3つのブレーキの状態Efの確認が最適であることが確認された。
採用した確認の手順は、適切な緊急制動手順SFUの活性化の極めて僅かな遅延しかもたらさなかった。
確認の手順は2計算ステップ、すなわち、選択した300Hzの動作頻度では約6〜7msecを要する。
【0032】
望ましくは、運転者によって採用される運転スタイルに緊急制動手順SFUの活性化のルールを適応させるために、電子制御装置58は、例えば10Hzの所定の頻度で、運転者の挙動を定める、短期の診断Dctと中期の診断Dmtを実行する。
電子制御装置58は、短期の診断Dctを実行するために、運転者の加速についての意志と、運転者の制動についての意志を表すデータAcc、Fをメモリに入力し、解釈する。
運転者の加速についての意志を表すデータは、例えば、1分間の期間についての吸気弁の開度の値Accである。
運転者の制動についての意志を表すデータは、例えば、2分間の期間についての倍力装置26の制御軸50に加えられた力Fの値である。
電子制御装置58は、これらのデータAcc、Fから出発して、制動についての運転者の挙動のイメージである短期の診断Dctの値を計算する。
この短期の診断Dctの値は、例えば躊躇する挙動の運転者についての0.3の低い値と、優れた挙動の運転者についての0.7の高い値との間に含まれる。
制動についての運転者の挙動のスタイルの推定は、緊急制動手順SFUの活性化の制御則のファジーな領域の変更を可能にする。
このようにして、「穏やかな」運転スタイルを有する運転者については、診断の値は小さくなり、制御則のファジーな領域の到達は容易になる。
このような制御則が、例えば図4に示されている。
「スポーティな」運転スタイルを有する運転者については、診断の値は高められ、制御則のファジーな領域へは、より到達し難くなる。
このような制御則が、図5に示されている。
図5から、曲線C1のピストンの速度Vpの値は、図4の曲線C1の値よりも全体に高められていることが分かる。
従って、「スポーティな」運転者にとっては、0以上の緊急制動の始動度Dfを得ることはより難しい。
更に、曲線C1、C2は、制御則が「穏やかな」運転者に対応するか「スポーティな」運転者に対応するかに応じて、異なる形状を有する。
【0033】
短期の診断Dctは連続して実行されるので、電子制御装置58は、走行中に運転者の運転スタイルに起こりえる変更を考慮に入れる。
【0034】
それぞれが、短期の診断Dctの低い値(0.3)に対する理想的な制御則と、短期の診断Dctの中間の値(0.5)に対する理想的な制御則と、短期の診断Dctの高い値(0.7)に対する理想的な制御則の1つに対応する、3つのファジー関係が基準として有利に役に立つ。
0.3〜0.7の間に含まれる所定の短期の診断Dctの値に対する制御則によって使用されるファジー関係は、基準のファジー関係の線形内挿によって計算される。
【0035】
基準のファジー関係は、例えば、運転の挙動の異なるスタイルを代表する所定の数の運転者によって、所定の車両に対して実行される挙動の試験からなる、一連の実験から出発して確立される。
【0036】
望ましくは、電子制御装置58は、短期の診断Dctの値を直接は使用しないで、複数の短期の診断Dctの値から計算される、中期の診断Dmtの値を使用する。
【0037】
中期の診断Dmtの値は、短期の診断Dctの値の増大に追随するが、それ自身はよりゆっくりと減少する。
【0038】
中期の診断Dmtの値は、以下のようにして計算される。
もし、瞬間tにおける短期の診断Dctの値が、瞬間t−1における中期の診断Dmtの値よりも大であるかまたはそれに等しいなら、瞬間tにおける中期の診断Dmtの値は、瞬間tにおける短期の診断Dctの値に等しい。
もし、瞬間tにおける短期の診断Dctの値が、瞬間t−1における中期の診断Dmtの値よりも小さいなら、瞬間tにおける中期の診断Dmtの値は、瞬間t−1における中期の診断Dmtの値から、例えば0.001の減分だけ減らされた値である。
減分0.001によって、10Hzの頻度で実行されている計算は、中期の診断Dmtの値が0.1だけ減少されるのに100秒を要する。
【0039】
電子制御装置58が緊急制動手順SFUを活性化した後、もし車両10が緊急制動状態のままであれば、緊急制動手順SFUは活性状態のままに留まる必要がある。
【0040】
躊躇するタイプの運転者の場合には、運転者は十分に強く制動をかける傾向を有し、このことが緊急制動手順SFUの活性化を始動し、次いで運転者はほとんど直ちに前方へ押しつける力を改めて緩める。
この場合、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUを過度に速く不活性化する必要はなく、換言すれば、電子制御装置58は、ブレーキペダル20へ加えられた力の緩みを、緊急制動状態の終わりのサインとして解釈する必要はない。
これに反し、安全上の理由のために、ブレーキペダル20が緩められると直ちに緊急制動手順SFUは不活性化される必要がある。
このため、電子制御装置58は、次ぎのようにして緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
図6に示す流れ図は、緊急制動手順SFUの不活性化の原則を示す。
緊急制動手順SFUの活性化後、電子制御装置58は、ここでは0.5秒に定められた限時時間Tpを監視する。
限時時間Tp内にある場合には、電子制御装置58は、次の2つの場合に緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
第1の場合には、もし倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が、ブレーキペダル20の急激な緩めに略相当する例えば30Nである所定の弱い強さの力Ff1よりも低いなら、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
第2の場合には、もし倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が、例えば100Nである所定の中央の力Fmeよりも低く、j個の計算ステップの間、その値は減少するかゼロなら、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
【0041】
この場合、緊急制動SFUの活性化のための計算ステップの頻度に類似した頻度の、例えば3計算ステップを使用する。
【0042】
従って、第2の場合には、もし、第1のステップで制御軸50に加えられた力の強さF1が100Nより小で、かつ引き続く2ステップでその強さが減少するか変化しないなら、換言すれば、もし第2ステップにおける力の強さF2がF1よりも小さいかF1に等しく、かつ第3ステップにおける力の強さF3がF2よりも小さいかF2に等しければ、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
【0043】
限時時間Tpの間は、緊急制動手順SFUの急激な不活性化モードを用いる。換言すれば、電子制御装置58は、制動補助装置24の増幅のルールの変更を急激に停止する。従って、制動補助装置24は、倍力装置26の制御軸50に加えられた運転者による力のみに依存する所定の増幅のルールに従って、古典的に機能する。
【0044】
限時時間Tpが経過したときには、電子制御装置58は、急激な不活性化モードまたは漸進的な不活性化モードに従って、緊急制動手順SFUを不活性化することができる。
もし車両10の瞬間的な速度Vvが、例えば5km/hの所定の最低速度Vminよりも低いなら、車両10はほとんど停止させられ、制動は終了したと考えられるので、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの急激な不活性化を指令する。
【0045】
逆の場合には、電子制御装置58は、倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が、例えば130Nである与えられた中間の力Fintよりも小さく、i個の計算ステップの間、その値は減少するかゼロで、i番目の値が、例えば100Nである与えられた最小の力Fminよりも小さいかどうかを決定する。
【0046】
この場合、緊急制動SFUの活性化のための計算ステップの頻度に類似した頻度の、例えば3計算ステップを使用する。
従って、もし倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が第1のステップにおいて130N以下で、次いで第2のステップにおける力の強さの値F2がF1よりも小かF1に等しく、次いで第3のステップにおける力の強さの値F3が100Nよりも小であれば、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの急激な不活性化を指令する。
【0047】
逆の場合には、電子制御装置58は、倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が、制御軸50に加えられた力の強さの最大値Fmaxの、例えば40%である与えられたパーセンテージよりも小さく、限時時間Tpの終わり以後からi個の計算ステップの間、その値は減少するかゼロであるかどうかを決定する。
【0048】
この場合、緊急制動SFUの活性化のための計算ステップの頻度に類似した頻度の、例えば3計算ステップを使用する。
従って、もし制御軸に加えられた力の強さF1が第1のステップにおけるFmaxの40%以下で、次いで第2のステップにおける力の強さF2がF1よりも小かF1に等しく、次いで第3のステップにおける力の強さF3がF2よりも小かF2に等しければ、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの漸進的な不活性化を指令する。
【0049】
緊急制動手順SFUを漸進的に不活性化するために、電子制御装置58は、倍力装置26の前部のチャンバー32内の負圧の適当な軽減を指令する。
従って、制動を補助する力の強さは、漸進的に減少し、このことが運転者にその制動の終わりのよりよい調整を可能にし、ブレーキペダル20が運転者の足を叩くことは無くなる。
【0050】
この不活性化は、減速を調整することを望む運転者に、緊急制動手順SFUを不活性化するために、ブレーキペダル20から足を補足的に引き込め、次いでより軽く制動するために、ブレーキペダル20を再度押し付ける必要を無くすこと可能にする。
【0051】
一般に、緊急制動手順SFUの漸進的な不活性化の後では、運転者によってブレーキペダル20に加えられる力は極めて弱くなるので、急激な不活性化が漸進的な不活性化の後に続く。
【0052】
電子制御装置58は、初期値をメモリすることが可能であり、これらの初期値によって、特に交通の状態に起因する停止の際の、車両10の停止のための種々のセンサによって実行される測定を考慮に入れないことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による方法を実施するための制動装置を備えた車両を示す略図である。
【図2】休止位置におけるブレーキの倍力装置を示す軸方向略断面図である。
【図3】作動位置におけるブレーキの倍力装置を示す図2に類似の図である。
【図4】「穏やかな」運転者の場合における、本発明による緊急制動手順の活性化の制御則を示すグラフである。
【図5】「スポーティな」運転者の場合における、本発明による緊急制動手順の活性化の制御則を示す図4に類似のグラフである。
【図6】本発明による緊急制動手順の不活性化の原則を示す流れ図である。
【0001】
本発明は、車両の制動装置の制御方法に関する。
本発明は、特に、緊急制動時における運転者を支援するための車両の制動装置の制御方法であって、
上記車両は、上記車両の車輪に作用するブレーキと、上記運転者による上記ブレーキの操作装置と、上記操作装置に対する上記運転者の操作に応じて、所定の増幅のルールに従って、制動時における制動力の強さを増幅する制動補助装置と、制動時における上記車輪のブロッキングを防止するためのブレーキ制御手段、すなわちアンチブロッキング装置と、制動の強さを増幅する上記増幅のルールを変更する手段とを有し、
制動の強さを増幅する上記増幅のルールを変更する手段は、センサによって供給される、特に代表的には:
−上記運転者によって上記ブレーキの上記操作装置に加えられる力の強さと;
−制動の強さと制動の強さの時間的な変化とによって定義される制動状態と;
−上記車両の縦方向の瞬間的な移動速度と;
のデータを利用する、上記制動装置を制御する電子制御装置を有し、
上記データは、上記電子制御装置が、上記車両に最大限の減速をもたらすために、上記アンチブロッキング装置が始動するまで、制動の力の強さを増強させるように、上記増幅のルールを変更する緊急制動手順の活性化を指令するように、緊急制動状態を検出することを特に可能にする、
緊急制動時における運転者を支援するための車両の制動装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
何年も前から、制動装置がアンチブロッキング装置を有する車両が存在している。アンチブロッキング装置は、車輪がブロックされることなく車両に最大限の減速度を得させることを可能にし、過激な制動時に車両の軌跡のコントロールの維持を可能にする。
従って、アンチブロッキング装置は、運転者に、運転者が緊急状態と判断する際に、ブレーキペダルに加える圧力を調整する配慮をすることなく、従ってその車両をできるだけ早く減速することのみに専心して、ブレーキペダルに極めて大きな圧力を加えることを可能にする。
【0003】
しかしながら、調査によれば、運転者は、ブレーキペダルを充分に踏み込まないか、緊急状態に直面して躊躇するか、あるいはこれらの2つの理由で、しばしばアンチブロッキング装置を有する制動装置の能力を最大限には利用しないということが示されている。
この問題を解決するために、例えば車両の速度及び運転者から要求される制動の強さ等に関する情報を供給する複数のセンサに基づいて、車両と運転者の挙動を常時監視して、緊急制動の状態を検出し、車両にその最大能力まで制動がかかるのに充分な制動圧力を加えることを可能にする、緊急制動支援装置が提案されている。
【0004】
このようにして実現される緊急制動は、車輪が常にブロッキングの限界にあるように制動力を維持することからなる。
【0005】
緊急制動の不活性化は、運転者がブレーキペダルを緩めた時、または車両の速度が3km/h以下である時に行なわれる。
【0006】
緊急状態を検出するためのプロトコールは、車両のパラメータを利用し、これらをマッピングと照合する。このマッピングは、始動度が0である通常の制動ゾーンと、始動度が1の値をとる緊急制動のゾーンとの、2つのゾーンを画定する。
この緊急制動支援装置は、これらの2つのゾーンの境界の通過(0から1への移行)があると、直ちに活性化される。従って、制御則は、2進型である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような従来の緊急制動支援装置においては、2進の特性のために、このマッピングは、個々のの運転者に特有の挙動に適応することはできず、従って妥協したものになる。
このことは、熟練した運転者に対しては、不適当な時期に緊急制動手順の始動を発生させるという問題を、また躊躇する運転者に対しては、緊急の場合であっても、緊急制動手順が始動しないという問題をもたらす。
【0008】
さらに、緊急制動支援装置は、緊急制動手順の不活性化の際に、制動を調整することができない。
このため、一旦緊急制動手順が活性化されると、進行中の制動に不活性化が発生する場合を別にして、運転者はもはやその制動を支配することはできない。
緊急制動支援装置の不活性化の原理によって、運転者が緊急状態がないか、あるいは緊急状態である理由がないと考える場合には、ブレーキペダルを完全に緩める必要性が導かれる。
従って、緊急制動支援装置は、運転者の緊急制動を不活性化するという意志を認識することはできない。緊急制動支援装置は、車両が停止させられた、またはブレーキペダルから足が上げられた情報のみを認識する。
このことは、不適当な時期の緊急制動の活性化についてますます有害であり、例えば、緊急でないのに押しつけられた制動に対して、熟練した運転者は、その意志(減速を小さくする)に反して動作する装置に我慢できない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題点を解決することを目的とする。
【0010】
この目的のために、本発明は、上記の「技術分野」に記載した、緊急制動時における運転者を支援するための車両の制動装置の制御方法において、
緊急制動手順を活性化するために、電子制御装置は、制動状態を、緊急制動の始動度に結び付ける、2次のファジー関係である制御則を使用し、
上記緊急制動の始動度の値は、0と1の間を線形に変化し、n個の計算ステップの間に、上記緊急制動の始動度が、n個の増大するかまたは等しい、ゼロでない値をとり、n番目の値が1に等しいときに、上記緊急制動手順を活性化するように、次の値:
−上記ファジー関係の外側にあるときには値0;
−上記ファジー関係の中核部にあるときには値1;および、
−上記ファジー関係のファジー領域にあるときには、0と1の間に含まれる値; をとる、
ことを特徴とする、緊急制動時における運転者を支援するための車両の制動装置の制御方法を提供する。
【0011】
本発明のその他の特徴によれば:
−上記nは3に等しく;
−上記電子制御装置は、上記運転者によって要求される加速度の強さと、ブレーキの操作装置に加えられる力の強さとに応じて、上記運転者の挙動のタイプを表し、制動を躊躇する運転者に対応する低い値と、制動を確実に行う運転者に対応する高い値との間に含まれる、短期の診断の値を決めるために、短期の診断を実行し、上記電子制御装置は、上記短期の診断の値に応じて、上記短期の診断の値がより大であるときには、緊急制動始動のファジー領域により到達しにくく、上記短期の診断の値がより小であるときには、緊急制動始動のファジー領域により到達し易いように、上記緊急制動手順を活性化する上記制御則の上記ファジー関係を変更し;
−上記制御則は、それぞれ上記短期の診断の高い値のために理想的な制御則と、上記短期の診断の低い値のために理想的な制御則とに対応する、少なくとも2つのファジー関係、すなわち基準の関係を含み、決定された上記短期の診断の値について上記制御則によって使用される上記ファジー関係は、上記基準の関係の線形内挿によって計算され;
−上記制御則は、上記高い値と上記低い値との中間の上記短期の診断の値のために理想的な制御則に対応する、中間の基準の関係を含み;
−上記基準の関係は、一連の実験から出発して、所定の車両について確立され;
−上記短期の診断は、上記車両の移動中に、定められた頻度で、継続的に実行され;
−上記電子制御装置は、上記短期の診断の値から出発して、上記短期の診断の値の増大に追随するが、それ自身はよりゆっくりと減少する、中期の診断の値を計算し、上記電子制御装置は、上記中期の診断の値を、運転者の挙動を表す値として使用し;
−上記中期の診断の値は:
・もし、瞬間tにおける上記短期の診断の値が、瞬間t−1における上記中期の診断の値よりも大または等しいなら、瞬間tにおける上記中期の診断の値は、上記瞬間tにおける上記短期の診断の値に等しく;
・もし、上記瞬間tにおける上記短期の診断の値が、上記瞬間t−1における上記中期の診断の値よりも小さいなら、上記瞬間tにおける上記中期の診断の値は、上記瞬間t−1における上記中期の診断の値から、減分だけ減らされた値に等しい;
として計算され;
−上記短期の診断の値は、低い値0.3と高い値0.7との間に含まれ;
−上記電子制御装置は、以下の条件:
・上記車両の速度が、所定の最低速度よりも低い;
・上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、i個の計算ステップの間に与えられた中間の力よりも小さく、その値は減少するかゼロで、i番目の値は与えられた最小の力よりも小さい;
・上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、i個の計算ステップの間、進行中の上記緊急制動手順の活性化の間に測定された力の強さの最大値の与えられたパーセンテージよりも小さく、その値は減少するかゼロである;
の少なくとも1つが満たされたときに、上記緊急制動手順の不活性化を指令し;
−上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、i個の計算ステップの間、進行中の上記緊急制動手順の活性化の間に測定された力の強さの最大値の与えられたパーセンテージよりも小さく、その値は減少するかゼロであるときには、上記電子制御装置は、上記緊急制動手順の漸進的な不活性化を指令し;
−上記電子制御装置は、上記緊急制動手順の活性化後、限時時間を監視し、以下の条件:
・上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、所定の弱い強さの力よりも低い;
・上記ブレーキの上記操作装置に加えられる上記力の強さが、j個の計算ステップの間、所定の中央の力よりも低く、その値は減少するかゼロである;
の1つが満たされたら、上記電子制御装置は、上記緊急制動手順の急激な不活性化のみを指令し;
−上記制動補助装置は、上記ブレーキの上記操作装置と上記ブレーキの作動装置との間に設けられた倍力装置を有し、上記倍力装置は、2つのチャンバーの境界を定め、上記ブレーキの上記作動装置に作用する、軸方向に滑動するピストンを備えたシリンダを有し、上記制動装置は、それぞれ制動の強さを表すデータと、制動の強さの時間的変化を表すデータとに対応する、上記ピストンの移動距離と、上記ピストンの速度を測定するセンサを有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のその他の特徴及び利点は、理解のために添付図面を参照して以下の詳細な説明を読むことによって明らかとなるであろう。これらの図において:
−図1は、本発明による方法を実施するための制動装置を備えた車両を示す略図である。
−図2は、休止位置におけるブレーキの倍力装置を示す軸方向略断面図である。
−図3は、作動位置におけるブレーキの倍力装置を示す図2に類似の図である。
−図4は、「穏やかな」運転者の場合における、本発明による緊急制動手順の活性化の制御則を示すグラフである。
−図5は、「スポーティな」運転者の場合における、本発明による緊急制動手順の活性化の制御則を示す図4に類似のグラフである。
−図6は、本発明による緊急制動手順の不活性化の原則を示す流れ図である。
【0013】
図1に、本発明による方法を実施するための制動装置12を備えた車両10を示す。
制動装置12は、制御用の油圧回路18の内部の圧力に応じて車両10の各車輪16に作用するブレーキ14を含んでなる。
運転者は、例えばブレーキペダル(操作装置)20によってブレーキ14を制御する。操作装置20は、油圧回路18の中の圧力を変化させる、マスタシリンダ(作動装置)22に作用する。
制動補助装置24が、ブレーキペダル20とマスタシリンダ22との間に設けられる。
制動補助装置24は、所定の増幅の規則に従って、ブレーキペダル20への運転者の押力に応じて制動力の強さを増幅する。
従って、制動補助装置24は、ブレーキペダル20へ加えられる運転者の弱い力に代えて、油圧回路18の中の大きな圧力を得ることを可能にする。
【0014】
図2、3に、負圧によって動作する、マスターバク(mastervac)型の空圧式の倍力装置26を含んでなる制動補助装置24の1例の概略を示す。
【0015】
ブレーキペダル20とマスタシリンダ22との間に挿入される倍力装置26は、軸方向に滑動する可動のピストン34によって2つのチャンバー30、32に分割された、大口径の制御用のシリンダ28を含んでなる。
【0016】
以下の記述においては、制御用のシリンダ28の軸A−Aに沿った、図2、3における左から右への方向に相当する、後から前への軸方向の向きを用いる。
【0017】
シリンダ28と同心の螺旋型の圧縮バネ36が、休止状態にあるピストン34を、その移動行程の後方の軸方向の端で支持する。
ピストン34は、前後に伸び、その前方端部の横方向の面40が、マスタシリンダ22のスラスト軸42の後方軸端部に対向して軸方向に支持された、中央の管状体38を有する。
後部のチャンバー30は、管状体38の中央の後部オリフィス44を通して大気圧を受ける外部と、また管状体38の中央の前部オリフィス46を通して負圧を受ける前部のチャンバー32と通じている。
前部のチャンバー32は、逆止弁(図示しない)を備えた負圧導管48を通して負圧源と通じている。
負圧は、例えば、真空ポンプまたは減速段階におけるガソリンエンジンの吸気管の中を支配する負圧によって供給される。
ブレーキペダル20によって軸方向の変位を操作される制御軸50は、ピストン34の管状体38の中を軸方向に滑動し、制御弁52を有している。
制御弁52は、後部オリフィスを塞ぐことができる後部の弁54と、前部オリフィスを塞ぐことができる前部の弁56とを有し、2つの弁54、56は互いに連結されている。
【0018】
図2に示す休止位置においては、ブレーキペダル20は作動されておらず、2つのチャンバー30、32は、前部オリフィス46を通して連通しており、従ってそれらは大気圧よりも低い同じ圧力を受けており、後部の弁54は、後部オリフィス44を塞いでいる。
【0019】
図3に示す作動位置においては、運転者は、ブレーキペダル20を踏み込み、ブレーキペダル20は、制御軸50を前方へ変位させる。
制御軸50の前方への変位は、制御弁52を動かし、後部の弁54の開口と前部の弁56の閉鎖を引き起こす。
従って、大気圧の空気が、後部の弁54を通って後部のチャンバー30へ浸入する。
この時、2つのチャンバー30、32は、同じ圧力を受けない。ピストン34の両面間の圧力差は、ピストン34の前方への軸方向の変位をもたらす。
ピストン34の管状体38は、移動しながらスラスト軸42を軸方向に押し付け、スラスト軸42は、所定の制動油圧力を生じるようにマスタシリンダ22に作用する。
スラスト軸42に作用する押力の強さは、ピストン34の両面間の圧力差に依存する。
圧力差が大である程、押力は強く、倍力装置26の作用は大きくなる。
運転者によってブレーキペダル20へ加えられた力に比例して、ピストン34の両面間の圧力差の割合を決めるのは、制御弁52である。
運転者によって加えられた力に応じた、倍力装置26による制動力の強さの増幅は、略線形である所定の増幅のルールに従う。
【0020】
また車両は、制動装置12を制御する電子制御装置58を有する。
電子制御装置58は、車輪16のアンチブロッキングの機能を特に実現することを可能にする。
このために、電子制御装置58は、センサ60によって検知した制動中の各車輪の速度Vrを例えば分析し、次いで、車輪16のブロッキングを防止するように、各車輪16へ加えられる制動の油圧を指示する。
【0021】
また電子制御装置58は、車両10に最大限の減速をもたらす目的で、緊急制動手順SFUを起動するように、緊急制動状態を検出することを可能である。
緊急制動手順SFUが起動されたときには、電子制御装置58は、アンチブロッキング装置が始動するまで、制動力の強さを増加させるように増幅のルールを変更することによって、制動補助装置24を制御する。このことは、車両10の最大限の減速を得ることを可能にする。
増幅のルールを変更するために、電子制御装置58は、ブレーキペダル20を用いて制御軸50に加えられる運転者の力とは独立に後部の弁54が開口するように、例えば倍力装置26の制御弁52を操作する。このことは、2つのチャンバー30、32の間の圧力差、従って制動の強さを増加させる。
【0022】
電子制御装置58は、他のセンサから発生された情報を受ける。
加速度センサ62は、運転者によって要求された加速度Accの強さについての情報を電子制御装置58に与える。
要求された加速度の強さを表す加速度Accのデータは、用いられるエンジンの様式に関係する。
【0023】
そのセンサとしては、安価で、車両10への装着が簡単な加速度センサ62を選ぶと有利である。
シリンダの中へのガスの吸気弁を有する燃焼エンジンを備えた車両10については、吸気弁の開度を計測する加速度センサ62を選ぶことが望ましい。
【0024】
また、車両10は、車両10の縦方向の移動の速度Vvを計測する速度センサ64を有する。
速度センサ64は、どの瞬間に緊急制動手順SFUを不活性化するかを決定するために、電子制御装置58に必要である。
【0025】
ブレーキ14の操作装置20は、電子制御装置58に、倍力装置26の制御軸50に運転者によって加えられた力Fの値についての情報を知らせるセンサ(図示しない)を有する。この力Fの値は、運転者によって要求される制動の強さを表している。
【0026】
ブレーキペダル20の移動距離は、一般に、運転者によって要求される制動の強さを表さない。
実際、従来の制動装置12においては、ブレーキペダル20と倍力装置26の制御軸50は恒久的に連結されており、このことは、電子制御装置58が制動力の所定の増幅を指令すると、倍力装置26もブレーキペダル20に作用を及ぼし、ブレーキペダル20はその分沈み込むことを意味する。
従って、ブレーキペダル20の移動距離のデータは、運転者の意志によるブレーキペダル20への作用と、倍力装置26のブレーキペダル20への「無意識」の作用とを区別しない。
制御軸50に加えられた力Fは、運転者によって実際にブレーキペダル20へ加えられる力を表す。
例えば電子制御のブレーキ14の操作装置20の場合にあり得るように、もしブレーキペダル20が倍力装置26から切り離されていれば、ブレーキペダル20の移動距離のデータは、制動についての運転者の意志表すことができる。
【0027】
制動補助装置24は、電子制御装置58に倍力装置26のピストン34の移動距離Cpについての情報を知らせるセンサ(図示しない)を有する。
ピストンの移動距離Cpは、スラスト軸42からマスタシリンダ22へ実際に伝達される軸方向の変位を表すので、制動の強さを表す値である。
電子制御装置58は、ピストンの移動距離Cpの複数の測定値から、ピストン34のの軸方向の移動速度、すなわちピストンの速度Vpを決定する。
ピストンの速度Vpは、制動の強さの時間的な変化を表す。
所定の瞬間のピストンの移動距離Cpとピストンの速度Vpから構成されるデータの対は、制動状態Epを定義する。
ピストンの移動距離Cpに基づくセンサは、安価であるから、ブレーキペダル20の移動距離のセンサよりも望ましい。
更に、ピストンの移動距離Cpに基づくセンサは、ブレーキペダル20は回転運動するのに対し、ピストン34は平行運動し、ピストンの移動距離Cpは、ブレーキペダル20における機械的な遊び、特に摩耗に起因する遊びを含まないので、より現実的で、より信頼性が高い。
【0028】
本発明の教訓によれば、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUを活性化するために、制御則を使用する。この制御則は、各ブレーキの状態Efを緊急制動の始動度Dfに結び付ける、2次のファジー関係である。
図4に、緊急制動手順SFUを活性化するための制御則の1例を示す。
図4において、横座標にピストンの移動距離Cpをミリメータで、縦座標にピストンの速度Vpをミリメータ/秒で示す。
【0029】
緊急制動の始動度Dfの値は、0と1の間を線形に変化する。
図の点Aのように、ファジー関係の外側にあるときには、緊急制動の始動度Dfは0の値をとる。
ファジー関係の外側の範囲は、下の曲線C1によって画定され、図4のC1上とその下側の領域から成る。
緊急制動の始動度Dfが0であるときには、電子制御装置58は緊急制動手順SFUを活性化しない。
図の点Cのように、ファジー関係の中核部にあるときには、緊急制動の始動度Dfは1の値をとる。
ファジー関係の中核部は、上の曲線C2によって画定され、図4のC2上とその上の領域から成る。
図の点Bのように、ファジー関係のファジー領域にあるときには、緊急制動の始動度Dfは0と1の間に含まれる値をとる。
ファジー関係のファジー領域は、曲線C1と曲線C2の間に含まれる領域である。
【0030】
電子制御装置58は、n個の計算ステップ中に、緊急制動の始動度Dfが、n個の増大するかまたは等しい、ゼロでない値をとり、n番目の値が1に等しい値をとるときには、緊急制動手順SFUを活性化を指令する。
電子制御装置58は、300Hzの計算頻度と、3に等しい計算ステップの数nを使用すると有利である。
従って、緊急制動手順SFUが活性化されるためには、引き続いて与えられた3個の緊急制動の始動度Df1、Df2、Df3については、第1の緊急制動の始動度Df1は0以上で、第2の緊急制動の始動度Df2は第1の緊急制動の始動度Df1以上かそれに等しく、第3の緊急制動の始動度Df3は1に等しくならなければならない。
第1の緊急制動の始動度Df1と第2の緊急制動の始動度Df2は、確認の点である。
確認の点を使用することによって、ピストン34の速度の信頼性の低いピークで緊急制動手順SFUが始動することを避けることが可能になる。
【0031】
実際には、緊急制動手順SFUの不適当な時期での始動を避けること、すなわち、緊急制動を実行する運転者の意志を確認することと、緊急制動手順SFUが実際に始動する前に運転者の意志を確認するために長時間を消費しないこととの間に、妥協を見出す必要がある。
実験によって、3計算ステップ、すなわち緊急制動を決定するための引き続く3つのブレーキの状態Efの確認が最適であることが確認された。
採用した確認の手順は、適切な緊急制動手順SFUの活性化の極めて僅かな遅延しかもたらさなかった。
確認の手順は2計算ステップ、すなわち、選択した300Hzの動作頻度では約6〜7msecを要する。
【0032】
望ましくは、運転者によって採用される運転スタイルに緊急制動手順SFUの活性化のルールを適応させるために、電子制御装置58は、例えば10Hzの所定の頻度で、運転者の挙動を定める、短期の診断Dctと中期の診断Dmtを実行する。
電子制御装置58は、短期の診断Dctを実行するために、運転者の加速についての意志と、運転者の制動についての意志を表すデータAcc、Fをメモリに入力し、解釈する。
運転者の加速についての意志を表すデータは、例えば、1分間の期間についての吸気弁の開度の値Accである。
運転者の制動についての意志を表すデータは、例えば、2分間の期間についての倍力装置26の制御軸50に加えられた力Fの値である。
電子制御装置58は、これらのデータAcc、Fから出発して、制動についての運転者の挙動のイメージである短期の診断Dctの値を計算する。
この短期の診断Dctの値は、例えば躊躇する挙動の運転者についての0.3の低い値と、優れた挙動の運転者についての0.7の高い値との間に含まれる。
制動についての運転者の挙動のスタイルの推定は、緊急制動手順SFUの活性化の制御則のファジーな領域の変更を可能にする。
このようにして、「穏やかな」運転スタイルを有する運転者については、診断の値は小さくなり、制御則のファジーな領域の到達は容易になる。
このような制御則が、例えば図4に示されている。
「スポーティな」運転スタイルを有する運転者については、診断の値は高められ、制御則のファジーな領域へは、より到達し難くなる。
このような制御則が、図5に示されている。
図5から、曲線C1のピストンの速度Vpの値は、図4の曲線C1の値よりも全体に高められていることが分かる。
従って、「スポーティな」運転者にとっては、0以上の緊急制動の始動度Dfを得ることはより難しい。
更に、曲線C1、C2は、制御則が「穏やかな」運転者に対応するか「スポーティな」運転者に対応するかに応じて、異なる形状を有する。
【0033】
短期の診断Dctは連続して実行されるので、電子制御装置58は、走行中に運転者の運転スタイルに起こりえる変更を考慮に入れる。
【0034】
それぞれが、短期の診断Dctの低い値(0.3)に対する理想的な制御則と、短期の診断Dctの中間の値(0.5)に対する理想的な制御則と、短期の診断Dctの高い値(0.7)に対する理想的な制御則の1つに対応する、3つのファジー関係が基準として有利に役に立つ。
0.3〜0.7の間に含まれる所定の短期の診断Dctの値に対する制御則によって使用されるファジー関係は、基準のファジー関係の線形内挿によって計算される。
【0035】
基準のファジー関係は、例えば、運転の挙動の異なるスタイルを代表する所定の数の運転者によって、所定の車両に対して実行される挙動の試験からなる、一連の実験から出発して確立される。
【0036】
望ましくは、電子制御装置58は、短期の診断Dctの値を直接は使用しないで、複数の短期の診断Dctの値から計算される、中期の診断Dmtの値を使用する。
【0037】
中期の診断Dmtの値は、短期の診断Dctの値の増大に追随するが、それ自身はよりゆっくりと減少する。
【0038】
中期の診断Dmtの値は、以下のようにして計算される。
もし、瞬間tにおける短期の診断Dctの値が、瞬間t−1における中期の診断Dmtの値よりも大であるかまたはそれに等しいなら、瞬間tにおける中期の診断Dmtの値は、瞬間tにおける短期の診断Dctの値に等しい。
もし、瞬間tにおける短期の診断Dctの値が、瞬間t−1における中期の診断Dmtの値よりも小さいなら、瞬間tにおける中期の診断Dmtの値は、瞬間t−1における中期の診断Dmtの値から、例えば0.001の減分だけ減らされた値である。
減分0.001によって、10Hzの頻度で実行されている計算は、中期の診断Dmtの値が0.1だけ減少されるのに100秒を要する。
【0039】
電子制御装置58が緊急制動手順SFUを活性化した後、もし車両10が緊急制動状態のままであれば、緊急制動手順SFUは活性状態のままに留まる必要がある。
【0040】
躊躇するタイプの運転者の場合には、運転者は十分に強く制動をかける傾向を有し、このことが緊急制動手順SFUの活性化を始動し、次いで運転者はほとんど直ちに前方へ押しつける力を改めて緩める。
この場合、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUを過度に速く不活性化する必要はなく、換言すれば、電子制御装置58は、ブレーキペダル20へ加えられた力の緩みを、緊急制動状態の終わりのサインとして解釈する必要はない。
これに反し、安全上の理由のために、ブレーキペダル20が緩められると直ちに緊急制動手順SFUは不活性化される必要がある。
このため、電子制御装置58は、次ぎのようにして緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
図6に示す流れ図は、緊急制動手順SFUの不活性化の原則を示す。
緊急制動手順SFUの活性化後、電子制御装置58は、ここでは0.5秒に定められた限時時間Tpを監視する。
限時時間Tp内にある場合には、電子制御装置58は、次の2つの場合に緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
第1の場合には、もし倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が、ブレーキペダル20の急激な緩めに略相当する例えば30Nである所定の弱い強さの力Ff1よりも低いなら、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
第2の場合には、もし倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が、例えば100Nである所定の中央の力Fmeよりも低く、j個の計算ステップの間、その値は減少するかゼロなら、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
【0041】
この場合、緊急制動SFUの活性化のための計算ステップの頻度に類似した頻度の、例えば3計算ステップを使用する。
【0042】
従って、第2の場合には、もし、第1のステップで制御軸50に加えられた力の強さF1が100Nより小で、かつ引き続く2ステップでその強さが減少するか変化しないなら、換言すれば、もし第2ステップにおける力の強さF2がF1よりも小さいかF1に等しく、かつ第3ステップにおける力の強さF3がF2よりも小さいかF2に等しければ、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの不活性化を指令する。
【0043】
限時時間Tpの間は、緊急制動手順SFUの急激な不活性化モードを用いる。換言すれば、電子制御装置58は、制動補助装置24の増幅のルールの変更を急激に停止する。従って、制動補助装置24は、倍力装置26の制御軸50に加えられた運転者による力のみに依存する所定の増幅のルールに従って、古典的に機能する。
【0044】
限時時間Tpが経過したときには、電子制御装置58は、急激な不活性化モードまたは漸進的な不活性化モードに従って、緊急制動手順SFUを不活性化することができる。
もし車両10の瞬間的な速度Vvが、例えば5km/hの所定の最低速度Vminよりも低いなら、車両10はほとんど停止させられ、制動は終了したと考えられるので、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの急激な不活性化を指令する。
【0045】
逆の場合には、電子制御装置58は、倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が、例えば130Nである与えられた中間の力Fintよりも小さく、i個の計算ステップの間、その値は減少するかゼロで、i番目の値が、例えば100Nである与えられた最小の力Fminよりも小さいかどうかを決定する。
【0046】
この場合、緊急制動SFUの活性化のための計算ステップの頻度に類似した頻度の、例えば3計算ステップを使用する。
従って、もし倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が第1のステップにおいて130N以下で、次いで第2のステップにおける力の強さの値F2がF1よりも小かF1に等しく、次いで第3のステップにおける力の強さの値F3が100Nよりも小であれば、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの急激な不活性化を指令する。
【0047】
逆の場合には、電子制御装置58は、倍力装置26の制御軸50に加えられた力の強さの値F1が、制御軸50に加えられた力の強さの最大値Fmaxの、例えば40%である与えられたパーセンテージよりも小さく、限時時間Tpの終わり以後からi個の計算ステップの間、その値は減少するかゼロであるかどうかを決定する。
【0048】
この場合、緊急制動SFUの活性化のための計算ステップの頻度に類似した頻度の、例えば3計算ステップを使用する。
従って、もし制御軸に加えられた力の強さF1が第1のステップにおけるFmaxの40%以下で、次いで第2のステップにおける力の強さF2がF1よりも小かF1に等しく、次いで第3のステップにおける力の強さF3がF2よりも小かF2に等しければ、電子制御装置58は、緊急制動手順SFUの漸進的な不活性化を指令する。
【0049】
緊急制動手順SFUを漸進的に不活性化するために、電子制御装置58は、倍力装置26の前部のチャンバー32内の負圧の適当な軽減を指令する。
従って、制動を補助する力の強さは、漸進的に減少し、このことが運転者にその制動の終わりのよりよい調整を可能にし、ブレーキペダル20が運転者の足を叩くことは無くなる。
【0050】
この不活性化は、減速を調整することを望む運転者に、緊急制動手順SFUを不活性化するために、ブレーキペダル20から足を補足的に引き込め、次いでより軽く制動するために、ブレーキペダル20を再度押し付ける必要を無くすこと可能にする。
【0051】
一般に、緊急制動手順SFUの漸進的な不活性化の後では、運転者によってブレーキペダル20に加えられる力は極めて弱くなるので、急激な不活性化が漸進的な不活性化の後に続く。
【0052】
電子制御装置58は、初期値をメモリすることが可能であり、これらの初期値によって、特に交通の状態に起因する停止の際の、車両10の停止のための種々のセンサによって実行される測定を考慮に入れないことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による方法を実施するための制動装置を備えた車両を示す略図である。
【図2】休止位置におけるブレーキの倍力装置を示す軸方向略断面図である。
【図3】作動位置におけるブレーキの倍力装置を示す図2に類似の図である。
【図4】「穏やかな」運転者の場合における、本発明による緊急制動手順の活性化の制御則を示すグラフである。
【図5】「スポーティな」運転者の場合における、本発明による緊急制動手順の活性化の制御則を示す図4に類似のグラフである。
【図6】本発明による緊急制動手順の不活性化の原則を示す流れ図である。
Claims (14)
- 緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法であって、
上記車両(10)は、上記車両(10)の車輪(16)に作用するブレーキ(14)と、上記運転者による上記ブレーキ(14)の操作装置(20)と、上記操作装置(20)に対する上記運転者の操作に応じて、所定の増幅のルールに従って、制動の力の強さを増幅する制動補助装置(24)と、制動時における上記車輪(16)のブロッキングを防止するためのブレーキ制御手段、すなわちアンチブロッキング装置と、制動の強さを増幅する上記増幅のルールを変更する手段とを有し、
制動の強さを増幅する上記増幅のルールを変更する手段は、センサ(64)によって供給される、特に代表的には:
−上記運転者によって上記ブレーキ(14)の上記操作装置(20)に加えられる力の強さ(F)と;
−制動の強さ(Cp)と制動の強さの時間的な変化(Vp)とによって定義される制動状態(Ef)と;
−上記車両(10)の縦方向の瞬間的な移動速度(Vv)と;
のデータを利用する、上記制動装置(12)を制御する電子制御装置(58)を有し、
上記データは、上記電子制御装置(58)が、上記車両(10)に最大限の減速をもたらすために、上記アンチブロッキング装置が始動するまで、制動の力の強さを増強させるように、上記増幅のルールを変更する緊急制動手順(SFU)の活性化を指令するように、緊急制動状態を検出することを特に可能にする、
緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法において、
上記緊急制動手順(SFU)を活性化するために、上記電子制御装置(58)は、各上記制動状態(Ef)を、緊急制動の始動度(Df)に結び付ける、2次のファジー関係である制御則を使用し、
上記緊急制動の始動度(Df)の値は、0と1の間を線形に変化し、n個の計算ステップの間に、上記緊急制動の始動度(Df)が、n個の増大するかまたは等しい、ゼロでない値をとり、n番目の値が1に等しいときに、上記緊急制動手順(SFU)を活性化するように、次の値:
−上記ファジー関係の外側にあるときには値0;
−上記ファジー関係の中核部にあるときには値1;および、
−上記ファジー関係のファジー領域にあるときには、0と1の間に含まれる値; をとる、
ことを特徴とする、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。 - 上記nが3であることを特徴とする、請求項1に記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。
- 上記電子制御装置(58)は、上記運転者によって要求される加速度の強さ(Acc)と、上記ブレーキ(14)の上記操作装置(20)に加えられる上記力の強さ(F)とに応じて、上記運転者の挙動のタイプを表し、制動を躊躇する運転者に対応する低い値と、制動を確実に行う運転者に対応する高い値との間に含まれる、短期の診断(Dct)の値を決めるために、短期の診断を実行し、
上記電子制御装置(58)は、上記短期の診断(Dct)の値に応じて、上記短期の診断(Dct)の値がより大であるときには、緊急制動始動のファジー領域により到達しにくく、上記短期の診断(Dct)の値がより小であるときには、緊急制動始動のファジー領域により到達し易いように、上記緊急制動手順(SFU)を活性化する上記制御則の上記ファジー関係を変更する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。 - 上記制御則は、それぞれ上記短期の診断(Dct)の高い値のために理想的な制御則と、上記短期の診断(Dct)の低い値のために理想的な制御則とに対応する、少なくとも2つのファジー関係、すなわち基準の関係を含み、
決定された上記短期の診断(Dct)の値について上記制御則によって使用される上記ファジー関係は、上記基準の関係の線形内挿によって計算される、
ことを特徴とする請求項3に記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。 - 上記制御則は、上記高い値と上記低い値との中間の上記短期の診断(Dct)の値のために理想的な制御則に対応する、中間の基準の関係を含むことを特徴とする、請求項4に記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。
- 上記基準の関係は、一連の実験から出発して、所定の車両について確立されることを特徴とする、請求項4または5に記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。
- 上記短期の診断(Dct)は、上記車両(10)の移動中に、定められた頻度で、継続的に実行されることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1つに記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。
- 上記電子制御装置(58)は、上記短期の診断(Dct)の値から出発して、上記短期の診断(Dct)の値の増大に追随するが、それ自身はよりゆっくりと減少する、中期の診断(Dmt)の値を計算し、
上記電子制御装置(58)は、上記中期の診断(Dmt)の値を、運転者の挙動を表す値として使用する、
ことを特徴とする請求項3〜7のいずれか1つに記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。 - 上記中期の診断(Dmt)の値は:
もし、瞬間tにおける上記短期の診断(Dct)の値が、瞬間t−1における上記中期の診断(Dmt)の値よりも大または等しいなら、瞬間tにおける上記中期の診断(Dmt)の値は、上記瞬間tにおける上記短期の診断(Dct)の値に等しく;
もし、上記瞬間tにおける上記短期の診断(Dct)の値が、上記瞬間t−1における上記中期の診断(Dmt)の値よりも小さいなら、上記瞬間tにおける上記中期の診断(Dmt)の値は、上記瞬間t−1における上記中期の診断(Dmt)の値から、減分だけ減らされた値に等しい;
として計算されることを特徴とする請求項8に記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。 - 上記短期の診断(Dct)の値は、低い値0.3と高い値0.7との間に含まれることを特徴とする請求項3〜9のいずれか1つに記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。
- 上記電子制御装置(58)は、以下の条件:
−上記車両(10)の速度(Vv)が、所定の最低速度(Vmin)よりも低い;
−上記ブレーキ(14)の上記操作装置(20)に加えられる上記力の強さ(F)が、i個の計算ステップの間に与えられた中間の力(Fint)よりも小さく、その値は減少するかゼロで、i番目の値は与えられた最小の力F(min)よりも小さい;
−上記ブレーキ(14)の上記操作装置(20)に加えられる上記力の強さ(F)が、i個の計算ステップの間、進行中の上記緊急制動手順(SFU)の活性化の間に測定された力の強さの最大値(Fmax)の与えられたパーセンテージよりも小さく、その値は減少するかゼロである;
の少なくとも1つが満たされたときに、上記緊急制動手順(SFU)の不活性化を指令することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。 - 上記ブレーキ(14)の上記操作装置(20)に加えられる上記力の強さ(F)が、i個の計算ステップの間、進行中の上記緊急制動手順(SFU)の活性化の間に測定された力の強さの最大値(Fmax)の与えられたパーセンテージよりも小さく、その値は減少するかゼロであるときには、上記電子制御装置(58)は、上記緊急制動手順(SFU)の漸進的な不活性化を指令することを特徴とする請求項11に記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。
- 上記電子制御装置(58)は、上記緊急制動手順(SFU)の活性化後、限時時間(Tp)を監視し、以下の条件:
−上記ブレーキ(14)の上記操作装置(20)に加えられる上記力の強さ(F)が、所定の弱い強さの力(Ff1)よりも低い;
−上記ブレーキ(14)の上記操作装置(20)に加えられる上記力の強さ(F)が、j個の計算ステップの間、所定の中央の力(Fme)よりも低く、その値は減少するかゼロである;
の1つが満たされたら、上記電子制御装置(58)は、上記緊急制動手順(SFU)の急激な不活性化のみを指令することを特徴とする請求項11または12に記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。 - 上記制動補助装置(24)は、上記ブレーキ(14)の上記操作装置(20)と上記ブレーキ(14)の作動装置(22)との間に設けられた倍力装置(26)を有し、
上記倍力装置(26)は、2つのチャンバー(30、32)の境界を定め、上記ブレーキ(14)の上記作動装置(22)に作用する、軸方向に滑動するピストン(34)を備えたシリンダ(28)を有し、
上記制動装置(12)は、それぞれ制動の強さを表すデータと、制動の強さの時間的変化を表すデータとに対応する、上記ピストン(34)の移動距離(Cp)と、上記ピストン(34)の速度(Vp)を測定するセンサを有する、
ことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1つに記載の、緊急制動時における運転者を支援するための車両(10)の制動装置(12)の制御方法。
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