JP2005501160A - デポ機能を有する表面フィルム、その製造および使用 - Google Patents

デポ機能を有する表面フィルム、その製造および使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、水、多孔性粒子ポリマーまたは2以上のこのようなポリマーの混合物、および1000以下の分子量を有する少なくとも1つの水溶性または水分散性の親水性化合物または2以上のこれらからなる混合物を、少なくとも含有する組成物に関する。

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、水、多孔性粒子ポリマーまたは2以上のこのようなポリマーの混合物、および1000以下の分子量を有する少なくとも1つの水溶性または水分散性の親水性化合物または2以上のこれらからなる混合物を、少なくとも含有する組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭または工場環境では、幅広い種類の汚れが、物品の表面、および部屋の壁、天井または床、およびさらに自動車や屋外設置型物品、例えば自動車、建設機械、信号機、庭用備品等の上に生じる。前述の表面からのこれらの汚れの洗浄はしばしば時間を要し、困難である。先行技術は、この作業を容易にするために提案され、永久的に対応する表面上に付着し、表面を容易に洗浄することを意図とする種々の表面コーティングを含む。この中には例えば、シリコンコーティングがある。しかし、これらのコーティングの不都合は、これらが一般に実際のユーザによって塗布され、さらに、このコーティングが表面の疎水化に関係するので、特にグリースでの汚れに関してはむしろ逆効果であることである。
【0003】
特開平2000−265163号公報は、親水化された表面を備えた物品を開示し、その外側表面は、界面活性剤または親水性物質を、塗布固定される物質と組み合わせて含有し、塗布固定される物質は水中でゆっくりとした剥離を受ける。しかし、この明細書で記載されている物品は、水蒸気凝縮に関して記載の有効な効果を発揮するために、微細粗面構造を有する必要がある。さらに、この明細書で記載されているコーティングは、水に関する接触角が40°であることからも認識されるように、わずかしか親水化表面を与えることができない。
【0004】
従って、先行技術から公知の溶液は種々の不都合を有し、これらのことが先行技術で記載する技術を施すことを困難にしている。例えば、先行技術が記載するコーティングを備えた物品は、コーティングから理想的な効果を得るために、まず、物品に粗面を与える複雑な処理を必要とする。しかし、これは原則的に、このタイプの保護コーティングを、ユーザが望むすべての物品に、ユーザが塗布することを妨げている。従って、ユーザは常に、粗面用前処理された特定の製品に縛られる。さらに、先行技術に記載されるようなコーティングを使用した場合でさえ、得られた表面はわずかに親水化されるに過ぎず、さらに、例えば、風呂場またはシャワー室で、またはしばしば水しぶきに曝される同様の部屋で生じる汚れに対して、好ましい効果に関して十分な保護を提供しない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の有する目的は、従って、先行技術から公知の前述の不都合を有さない組成物およびその調製方法を提供することである。本発明の有する特別の目的は、ユーザによって単純な方法でいずれの所望の表面および物品にも塗布することができ、かつこれらの上で効果的である組成物を提供することである。本発明の有する別の目的は、表面上で実質的に透明なフィルムの形態で存在し、表面の外観を変更しないかまたはほとんど変更しない組成物を提供することである。本発明の有する別の目的は、半永久的に表面に接着し、その効果を著しく損なうことなく1以上の汚れサイクルに耐える組成物を提供することである。
【0006】
前述の目的は以下の本文内に記載するような組成物によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、水、多孔性粒子ポリマーまたは2以上のこのようなポリマーの混合物、および1000以下の分子量を有する少なくとも1つの水溶性または水分散性の親水性化合物または2以上のこれらからなる混合物を少なくとも含有する組成物であって、ポリマーの粒子サイズ中央値は1nm〜50μmであり、ポリマーの水溶性は40℃以下の温度で5〜8のpH、特に約5.5〜約7で2g/l以下である組成物を提供する。
【0008】
本発明の目的では、「ポリマー」とは、分子量が1000以上であり、かつポリマー骨格が少なくとも1回繰り返す少なくとも1つの構造ユニットを有する化合物である。
【0009】
本発明の目的では、「多孔性」という用語は、ポリマー粒子が、粒子の環境に関して封じられかつ、ポリマーの環境中に存在する物質またはポリマー粒子の内部に存在する物質が通り抜けることができないシェルを有さない状態を意味する。本発明の目的では、「多孔性」と呼ばれるポリマー粒子は原則的に多孔性条件になければならないが、先の定義の意味ではポリマー粒子が「多孔性」と呼ばれうる環境に少なくとも1つが存在していればよい。本発明の好ましい実施態様の目的では、「多孔性」ポリマーは水性環境中で、即ち、水を含む環境中で孔を有する。例えば、ポリマーは、適当な、好ましくは水性環境中で膨張するなら、ポリマー粒子内部が膨張工程の後アクセス可能になるので、このポリマーは発明的意味において「多孔性」と呼ばれる。
【0010】
本発明の目的では、「粒子」という用語は、発明の組成物中に存在するポリマーの状態を示す。「粒子」ポリマーは、ここでは水性環境中にばらばらに分散したまたはコロイド状に分散した個々の粒子の形態で存在するポリマーのことである。ポリマーが粒子凝集物として存在するか、選択された溶媒中でその一次粒子の形態で存在するかはここでは重要ではない。「一次粒子」とは、ここでは単にポリマーを解体することによって別々にして、個々のポリマー分子をえることができる粒子を意味する。逆に、「凝集物」とは、互いにある程度の緩みをもって付着した一次粒子であり、これらは適当な手段、例えば、超音波処理等によって一次粒子へと粉砕しうる。
【0011】
本発明の目的では、粒子ポリマーは少なくとも顕微鏡レベルで固体であり、これは個々のポリマー粒子が流動できないことを意味する。しかし、これは、このようなポリマー粒子の堆積、例えば、ポリマーフィルム中で生じうる堆積が、しばしば室温でわずかに流動性を有しうる可能性を除外するものではない。
【0012】
本発明の目的では、「粒子ポリマー」は約100μm以下、例えば、50μm以下、30μm以下、または10μm以下の直径を有する。
【0013】
本発明の好ましい実施態様の目的では、本発明により使用されてもよいポリマー粒子の少なくとも約95%は、約30μm以下、例えば、約10μm以下、または3μm以下の直径を有する。ここで述べる直径とは、粒子直径に対して測定され、粒子直径の同定用の従来の方法によって得られうる値を言う。例えば好適な測定方法は、ふるい法、レーザー走査、電子顕微鏡、または沈降分離法である。凝集物を形成する2以上のポリマー粒子の付着物はこの定義では許される。この場合に決定的要因は、凝集物中に含まれる個々の粒子の粒子サイズである。本願の目的では、「粒子直径中央値」は、通常d50またはx50呼ばれる値であり、粒子の50%が前述の粒子直径中央値より大きい直径を有し、粒子の50%が前述の粒子直径中央値より小さい直径を有する。
【0014】
本発明の目的では、好適なポリマーは原則的に、水溶性が40℃以下の温度で5〜8のpH、特に約5.5〜約7で2g/l以下であるいずれかの多孔性粒子ポリマーである。
【0015】
発明の組成物は、好ましくは、水溶性が40℃以下の温度で5〜7のpHで約0.5または約1g/l以下である多孔性粒子ポリマーを含有する。
【0016】
ここで例えば、本発明の目的のために使用してもよいポリマーは、その基本的化学構造の結果として水溶性でありうるが、架橋によって溶媒和させないようにしてもよい。本発明の目的では、原則的に水溶性であるが、例えば前述の範囲内のpHでは不溶性であるポリマーを用いることも同様に可能である。
【0017】
従って、例えば、本発明の目的で使用されてもよいポリマーは、前述の条件に合う天然または合成ポリマーを含有する。
【0018】
好適なポリマーの例は、水性環境中でヒドロゲルを形成するものである。特にここで好適なポリマーは、架橋、例えば、共有結合性架橋またはイオン相互作用による架橋を有するものである。
【0019】
好適な天然ポリマーの例は、多糖類、例えば、アルギネート、グアー、キサンタン、カラギーナン、セルロースエーテル、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース、スターチ誘導体またはたんぱく質である。前述の条件を前述の天然ポリマーの水溶性に適用する。前述の天然ポリマーがその水溶性の基準に合わない場合には、例えば好適な誘導体化を介して、特に好適な架橋剤による架橋を介して、適切な水溶性に調節してもよい。
【0020】
好適な合成ポリマーの例は、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ビニルポリマー、例えば、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、およびさらに2以上の前記タイプのポリマーからなるコポリマーである。
【0021】
好適な架橋剤の例は、ホルムアルデヒド、エピクロロヒドリン、グリオキサール、リンオキシクロライド、ホルムアルデヒドと尿素の縮合体、チオ尿素、グアニジン、メラミン、ジメチロール尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジエポキシド、ジイミン、ジアジリジン、ジシクロプロパン、ジラクトン、ジラクタム、ジイソシアネート、ジアセタール、ジケテン、ジアルデヒド、ジカルボン酸、二酸塩化物、無水物、ジ(オルト)エステル、ジハライド、ジビニル化合物、ジビニルスルホン、またはジアルキルスルホン、または2以上のこれらからなる混合物がある。
【0022】
例えば、本発明による好適な多孔性ポリマー粒子は、酸の基を有する少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーに基づく少なくとも1つのポリマーを含む。使用されるモノマーの酸の基のいくつかまたはすべては中和されていてもよい。
【0023】
酸の基を有する好適なモノエチレン性不飽和モノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、α−クロロアクリル酸、α−シアノアクリル酸、β−メチルアクリル酸(クロトン酸)、α−フェニルアクリル酸、β−アクリルオキシプロピオン酸、ソルビン酸、α−クロロソルビン酸、2’−メチルイソクロトン酸、けい皮酸、p−クロロけい皮酸、βステアリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、グルタコン酸、アコニチン酸、マレイン酸、フマル酸、トリカルボキシエチレン、およびマレイン酸無水物、前述の酸の、好ましくはアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシ−またはアミノ−含有エステル、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、およびメタクリル酸の類似誘導体であり、特に好適な化合物は、アクリル酸およびメタクリル酸である。
【0024】
本発明の目的のために、発明の組成物中での使用に好適なポリマー粒子は、酸の基を有するモノエチレン性不飽和モノマーだけでなく、酸の基を有するモノエチレン性不飽和モノマー以外のコモノマーに基づいていてもよい。例えば、好適なコモノマーは、エチレン性不飽和スルホン酸モノマー、エチレン性不飽和ホスホン酸モノマー、またはアクリルアミド、またはこれらの2以上からなる混合物である。
【0025】
例えば、エチレン性不飽和スルホン酸モノマーは、脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸またはスルホン酸のアクリルまたはメタクリル誘導体である。例えば、脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸は、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、4−ビニルベンジルスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、またはスチレンスルホン酸、またはこれらの2以上からなる混合物である。好適なスルホン酸のアクリルまたはメタクリル誘導体の例は、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルスルホン酸、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。
【0026】
オレフィン性不飽和ホスホン酸モノマーの例は、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、ビニルベンジルホスホン酸、アクリルアミドアルキルホスホン酸、アクリルアミドアルキルジホスホン酸、ホスホノメチル化ビニルアミン、またはホスホン酸の(メタ)アクリル誘導体である。
【0027】
アクリルアミドの例は、アルキル−置換アクリルアミド、またはアクリルアミドのまたはメタクリルアミドのアミノアルキル−置換誘導体、例えば、N−ビニルアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドン、N,N−ジメチルプロピルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、またはジエチルアクリルアミド、または対応するメタクリルアミド誘導体、またはアクリルアミド、またはメタクリルアミド、またはこれらの2以上からなる混合物である。
【0028】
使用してもよい他のコモノマーは、水への溶解度の非常に低いモノマーである。これらのコモノマーは、使用される全モノマーに基づいて、約0.01〜約20重量%、例えば、約0.1〜約15重量%、または約0.5〜約5重量%の範囲であるべきである。これらのモノマーの例は、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、例えば、エチルアクリレートおよびメタクリルアクリレート、ブチルアクリレートおよびブチルメタクリレート、ビニルアセテート、スチレン、またはイソブチレン、またはこれらの2以上からなる混合物である。
【0029】
例示したすべての酸を、本発明により使用してもよい多孔性ポリマー粒子の調製時に、フリーな酸としてまたは塩として重合してもよい。部分的な中和も可能である。完全なまたは部分的中和を、重合後に行ってもよい。モノマーの中和には、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土金属の水酸化物、アンモニア、またはカーボネートまたはビカーボネートまたはこれらの2以上からなる混合物を用いてもよい。これ以外に、中和するために、酸と塩を形成するいずれの他の塩基も、原則的に好適である。異なる塩基を用いた混合物での中和も可能である。
【0030】
種々の重合方法を用いて、前述のモノマーから、本発明の目的のために使用されてもよいポリマー粒子を調製してもよい。例えば、本願では、溶液重合、スプレイ重合、エマルジョン重合、および懸濁重合を記載してもよい。
【0031】
当業者に公知の種々のパラメータを、ポリマーの調製時に変更して、得られるポリマーがその水溶性およびその粒子サイズに関して前述の特性を有するようにしてもよい。従って、例えば、コポリマーのモノマー組成物を調節して、その水溶性が前述の制限内にあるようにしてもよい。好適なモノマーの組み合わせは当業者に公知である。例えば、ポリマー粒子の粒子サイズを、重合パラメータ、例えば、エマルジョン重合処理時の乳化剤の量または乳化剤のタイプまたはスターラー速度を制御することによって調節することも可能である。
【0032】
例えば、本発明により使用されてもよいポリマー粒子の水溶性を制御する別の方法は、架橋である。本発明の目的のために使用されてもよいポリマー粒子は、例えば、化学的架橋剤によって、または熱的架橋または放射線的架橋によって、または2以上の前述の方法によって架橋されてもよく、好ましくは化学的架橋剤によって架橋される。
【0033】
化学的架橋は、当業者に公知の架橋剤によって達成される。ポリマー粒子の調製時に本発明により使用されてもよいこれらの架橋剤の好ましい量は、使用されるモノマーの全重量に基づいて、7重量%以下、好ましくは0.1〜5重量%である。本発明により好適な架橋剤は、ポリアクリル酸またはポリメタクリル酸のエステルであり、これらは例えば、ポリオールまたはエトキシ化ポリオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール、またはポリプロピレングリコールと、アクリル酸またはメタクリル酸との反応によって得られる。
【0034】
使用してもよい他の架橋剤は、ポリオール、アミノアルコール、およびこれらのモノ(メタ)アクリル酸エステル、およびモノアリルエーテルである。他の好適な架橋剤は、ポリオールおよびアミノアルコールのモノアリル化合物のアクリル酸エステルである。
【0035】
好適な架橋剤の例は、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシ)イソシアヌレートトリメタクリレート、ポリカルボン酸のジビニルエステル、ポリカルボン酸のジアリルエステル、トリアリルテレフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ヘキサメチレンビスマレインイミド、トリビニルトリメリテート、ジビニルアジペート、ジアリルスクシネート、エチレングリコールのジビニルエーテル、シクロペンタジエンジアクリレート、トリアリルアミン、テトラアリルアンモニウムハライド、ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル、N,N’−メチレン−ビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、エチレングリコールジメタクリレート、またはトリメチロールプロパントリアクリレート、または前述の化合物の2以上からなる混合物である。特に好適な架橋剤の例は、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、またはトリアリルアミン、または前述の化合物の2以上からなる混合物である。
【0036】
本発明により使用されてもよいポリマー粒子は、例えば、後で架橋されてもよい。「後架橋剤」と呼ばれうるこれらの化合物の例は、有機カーボネート、ポリ4級アミン、多価金属化合物、および未処理のポリマー粒子のカルボキシ基と反応しうる少なくとも2つの官能基を有する化合物である。これらは特に、ポリオールおよびアミノアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパンペンタエリスリトール、ポリビニルアルコールおよび対応するソルビトール化合物、ポリグリシジルエーテル化合物、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、およびポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリアクリジン化合物、例えば、2,2−ビスヒドロキシメチルブタントリス[3−(1−アクリジニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサメチレンジエチレン尿素、およびジフェニルメタンビスー4,4’−N,N’−ジエチレン尿素、ハロエポキシ化合物、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラ−エチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、およびポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、例えば、トルイレン2,4−ジイソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネート、水酸化亜鉛、カルシウムハロゲン化物、アルミニウムハロゲン化物、鉄ハロゲン化物、チタンハロゲン化物、およびジルコニウムハロゲン化物、アルキレンカーボネート、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オンおよび4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、多価金属化合物、例えば、塩、ポリ4級アミン、例えば、ジメチルアミンとエピクロロヒドリンの縮合体、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドのホモ−およびコポリマー、およびジエチルアリルアミノ(メタ)アクリレートメチルクロライドアンモニウム塩のホモ−およびコポリマーである。例えば、これらの中で特に好適な化合物は、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリビニルアルコール、ソルビトール、アルキレンカーボネート、例えば、1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキセパン−2−オン、ポリ−1,3−ジオキソラン−2−オン、またはエチレングリコールジグリシジルエーテル、またはこれらの2以上のからなる混合物である。
【0037】
本発明により使用されてもよいポリマー粒子の調製時に使用される後架橋剤の量は、未処理のポリマー粒子に基づいて、約0.01〜約30重量%、または約0.1〜約20重量%、または約0.5〜約10重量%である。
【0038】
本発明により使用されてもよいポリマー粒子を調製する別の方法では、粒子は、溶液からポリマーを沈殿させる際に自然に形成される。従って、例えば、4級アンモニウム基を有する好適なアクリル酸のコポリマーは市販入手可能であり、オイドラギット(Eudragit)RSまたはオイドラギットRL(製造元:ローム(Rohm GmbH、ダルムシュタッド、ドイツ)は適当なポリマー粒子を調製するために好適である。
【0039】
最後に、適当なアクリル酸のコポリマーを、有機、水混和性溶媒中に、親水性物質の存在する中で溶解させ、次に、沈殿に十分な量の水(例えば、少なくとも2倍の量の水)へと、導入する。特に好適な有機の、水混和性溶媒は、アセトン、イソプロパノール、またはエタノールである。この処理は、直径が約50〜約500nmであるポリマー粒子を提供する。適当な処理は、例えば、R.ボドメイヤー(Bodmeyer)ら、J.マイクロエンカプスレーション(Microencapsulation)、1991、第8巻、No.2、161〜170に記載され、その引例の記載を参照してここに特に挿入し、引用文献の記載は、本願の記載の一部と見なす。
【0040】
ポリウレタンも同様に、発明の組成物の目的のためのポリマー粒子としての使用に好適である。例えば、本発明により使用してもよい粒子性ポリウレタンは、
a) ポリイソシアネートと、
b1) 分子量が500以上のポリオール、または
b2) 分子量が500以下のポリオール、またはb1)およびb2)の混合物と、
c) イソシアネートに対して反応性のある少なくとも1つの基を有し、塩基の添加または酸の添加を介してイオン化可能な少なくとも1つの基を有する適当な化合物との反応によって得られうる。
【0041】
ポリウレタン化学物質中で通常使用されるポリイソシアネートを、成分a)として用いて、発明のポリウレタンを調製してもよい。
【0042】
特に、ジイソシアネートX(NCO)を記載すべきであり、ここでXは、4〜12個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、6〜15個の炭素原子を有する脂環族または芳香族炭化水素、または7〜15個の炭素原子を有するアラリファティック炭化水素基である。これらのジイソシアネートの例は、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(IPDI)、2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパン、トリメチルヘキサンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、p−キシリレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタンの異性体、例えば、トランス−トランス異性体、シス−シス異性体、およびシス−トランス異性体、およびさらにこれらの化合物からなる混合物である。
【0043】
これらのイソシアネートの特に重要な混合物は、ジイソシアナトトルエンとジイソシアナトジフェニルメタンのそれぞれの構造異性体の混合物であり、特に好適な混合物は、約80mol%の2,4−ジイソシアナトトルエンと約20mol%の2,6−ジイソシアナトトルエンからなる。ここで好ましくは、芳香族ジイソシアネートを脂肪族ジイソシアネートと混合してもよい。
【0044】
適度の分岐または架橋を有するポリウレタンを調製するために、例えば、3−および/または4官能性イソシアネートを使用してもよい。例えば、これらのイソシアネートを、2官能イソシアネートを互いに反応させ、イソシアネート基のいくつかをアロファネート基、ビウレット基またはイソシアヌレート基を与えるように誘導することによって得てもよい。
【0045】
市販入手可能な化合物の例は、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートまたはビウレットである。
【0046】
好適なより高官能性のポリイソシアネートの他の例は、ウレタン基を有し、例えば過剰の2,4−および/または2,6−ジイソシアナトトルエン、IPDI、またはテトラメチレンジイソシアネートと低分子量のポリヒドロキシ化合物、例えば、トリメチロールプロパンとの反応によって得られうるポリイソシアネートである。
【0047】
用いられる成分b1)は、例えば、モル質量が500g/mol以上、例えば、約500〜5000g/mol、または約1000〜約3000g/molである比較的高分子量のポリオールを含有する。
【0048】
成分b1)の好適なポリオールの例は、ウルマンズ・エンチクロペディエ・デア・テクニシェン・ヘミー(Ullmanns Enzyklopadie der technischen Chemie)[Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry]第4編、第19巻、62〜65頁に開示されているポリエステルポリオールである。例えば、二価アルコールと多塩基性、好ましくは二塩基性ポリカルボン酸との反応によって得られうるポリエステルポリオールを使用してもよい。ポリカルボン酸(成分b1.1))は、脂肪族、脂環族、アラリファティック、芳香族または複素環でもよく、ここで好ましくは、例えば、ハロゲン原子による置換を有し、および/または不飽和である。記載してもよいこれらの例は、スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラフタル酸、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸無水物、グルタル酸無水物、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、および/または二量性脂肪酸である。成分b1)の合成は、前述のポリカルボン酸を個々に単独の酸成分として使用してもよく、これらを互いに混合中で使用してもよい。一般式HOOC−(CH−COOHのカルボン酸(ここで、yは1〜20の数、好ましくは2〜20の数である)、例えば、コハク酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸およびセバシン酸が好ましい。できれば、フリーのポリカルボン酸を使用する代わりに、対応するポリカルボン酸無水物または低級アルコールの対応するポリカルボン酸エステル−またはこれらの混合物を、成分b1.1)として、適当なポリエステルポリオールを調製するために使用してもよい。
【0049】
成分b1)の合成のために、ポリカルボン酸成分との反応用に成分b1.2)として使用してもよい多価アルコールの例は、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、1,4−ブチンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、例えば、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、メチルペンタンジオール、およびジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール、およびポリブチレングリコールである。ネオペンチルグリコールおよび一般式HO−(CH−OHのアルコール(ここで、xは1〜20の数、好ましくは2〜20の数である)が好ましい。これらの例は、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、および1,12−ドデカンジオールである。
【0050】
成分b1)として使用してもよい他の成分は、ポリカーボネートジオール、例えば、ホスゲンと、ポリエステルポリオール用の合成成分として記載した過剰の低分子量アルコールb1.2)との反応によって得られうるものである。
【0051】
成分b1)として好適な他の化合物は、ラクトンに基づくポリエステルジオールであり、これはラクトンのホモ−またはコポリマー、好ましくは好適な二官能性出発分子へのラクトンの付加反応から得られ、末端にヒドロキシ基を有する生成物である。好ましくは、一般式HO−(CH−COOHの化合物(ここで、zは1〜20の数、好ましくは2〜20の数である)から誘導するラクトンを用いる。例は、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、またはメチル−ε−カプロラクトン、またはこれらの2以上のいずれかの混合物である。好適な出発成分の例は、ポリエステルポリオール用の成分b1.2)として前述した低分子量二価アルコールである。ε−カプロラクトンの対応するポリマーが特に好ましい。低分子量ポリエステルポリオールまたはポリエーテルジオールを、ラクトンポリマーを調製するための出発物質として使用することもできる。ラクトンポリマーの代わりに、ラクトンに相当するヒドロキシカルボン酸の対応する化学的に等価の重縮合体を用いてもよい。
【0052】
また、ポリエーテルジオールを、成分b1)として使用してもよい。これらは特に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン、スチレンオキサイド、またはエピクロロヒドリンの、例えば、BFの存在中での単重合を介して、または好ましくは、混合物中でのまたは連続的なこれらの化合物の、反応性水素原子を有する出発成分、例えば、水またはアルコール、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパンへの付加反応を介して得られうる。
【0053】
ポリウレタンの調製に、少なくとも約150、好ましくは少なくとも約200の分子量を有するポリエチレンユニットを有する好適なポリエーテルを用いる場合には、少なくとも実質的に自然に水中に分散可能であり、いずれの他の親水性構造ユニットの使用も要さないポリウレタン粒子を調製することができる。
【0054】
ポリエステルポリオールを調製するために、またポリエーテルポリオールを調製するために、官能性が約2であるアルコールを成分b1.3)として副次的な量で使用してもよい。これらの化合物の特別の例は、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、糖、例えば、グルコース、またはオリゴマー化ポリオール、例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、またはペンタエリスリトールの二量性または三量性エーテルである。好ましくは、ポリオールのヒドロキシ基はアルキレンオキサイドとの反応を介してエーテル化されてもよい。前述の化合物も同様に、ポリエーテルポリオールの合成用の出発成分として好適である。
【0055】
成分b1)として同様に好適な他の化合物は、ポリヒドロキシオレフィン、例えば、2つの末端ヒドロキシ基を有するもの、例えば、α,ω−ジヒドロキシポリブタジエン、α,ω−ジヒドロキシポリメタクリレート、またはα,ω−ジヒドロキシポリアクリレートである。
【0056】
また、成分b1)として使用することができる前述のポリオールは、いずれかの所望の割合で混合物として使用してもよい。
【0057】
ポリオールb1)とともに、500g/mol以下、好ましくは62〜499g/mol、特に好ましくは62〜200g/molのモル質量を有する低分子量のジ−またはポリオール、好ましくはジオールを、ポリオールb2)として用いてもよい。
【0058】
成分b2)として、特に成分b1.2)と呼ばれる単鎖アルカンジオールを用い、ネオペンチルグリコールおよび2〜12個の炭素原子を有する未分岐のジオール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、または1,6−ヘキサンジオールが好ましい。また、好ましくは架橋部位を生じるために、成分b2)は、副次的な量のより高官能性のアルコール、例えば、成分b1.3)として記載したものを含有してもよい。
【0059】
また、発明の目的のためには、発明のポリウレタンの合成用として記載された成分b1)およびb2)をb1)およびb2)の混合物として使用してもよい。
【0060】
ポリウレタンの水分散性を達成するために、親水性化するノニオン性またはアニオン性ユニット、またはアニオン性基への変換が可能な構造ユニットを、通常ポリウレタンに導入する。
【0061】
本発明の目的のでは、「アニオン性基への変換が可能な構造ユニット」とは、単純な化学的反応、例えば、塩基の添加によってイオン形態へ変換されうる構造ユニットを意味する。これらの例は、酸の基である。
【0062】
本発明の目的では、「水中に実質的に自然に分散可能なポリウレタン」は、非常に少量の分散剤の添加を通じて、またはいずれのこのような添加も行わずに水中に粒子の形態で分散可能なポリウレタンを表す。このタイプのポリウレタン粒子を発明の範囲内で使用する場合には、必要な分散剤、例えば界面活性剤の添加量は、分散体の固形分の重量に基づいて、特に分散体中のポリマー粒子の重量に基づいて、多くても約5重量%、好ましくは3重量%以下、特に好ましくは1重量%以下である。
【0063】
成分a)およびb1)、および/またはb2)とともに、イソシアネートに対して反応性のある少なくとも1つの基を有しかつ、酸の添加を通じてイオン化可能な少なくとも1つの基またはこのタイプの反応を通じて予めイオン化された少なくとも1つの基を有する化合物を、本発明により使用してもよいポリウレタン粒子の調製時に、成分c)として導入してもよい。記載しないかぎり、以後の文中では「アニオン性基」という表現は、塩基の添加を通じてイオン化される基、およびフリーな酸の両方に対して同じ意味で使用される。
【0064】
成分a)、b1)、b2)およびc)の全量に基づくアニオン性基を有する成分の割合は、ポリウレタン粒子の調製に使用される限り、アニオン性基のモル量が、使用される成分の全重量に基づいて、0〜1000mmol/kg、例えば0〜600mmol/kg、または0〜500mmol/kgになるように、一般に調節される。
【0065】
成分c)としてポリウレタン中に導入される化合物は、特に、アニオン性基を担持する化合物、例えば、スルホネート基、カルボキシレート基、およびホスホネート基を担持する化合物である。例えば、アニオン性基は、フリーな酸の形態で、またはその他のそのアルカリ金属塩またはアンモニア塩の形態で導入され、特に好適なカウンターイオンはカチオン性基、例えば、アンモニア基、特にプロトン化された4級アミノ基または4級アンモニア基である。
【0066】
潜在的にアニオン性の親水性基は、特に、単純な中和反応または加水分解反応を通じて、前述のアニオン性の親水性基へと変換されうるもの、例えば、カルボン酸基または無水物基である。
【0067】
アニオン性基を有する使用されるモノマーは、通常、脂肪族、脂環族、アラリファティック、または芳香族カルボン酸およびスルホン酸を含有し、これらは少なくとも1つのアルコール性ヒドロキシ基を担持する。特に、ヒドロキシアルカンカルボン酸が好ましく、米国特許出願第3,412,054号公報に記載されているような3〜10個の炭素原子を有するものも、特に好ましい。
【0068】
好ましくは、ジヒドロキシスルホン酸およびジヒドロキシホスホン酸も、成分c)として好適である。
【0069】
ポリウレタン鎖への導入の前、または好ましくはその後に、中和のために、本発明により使用されてもよいポリウレタン粒子中に存在する酸の基を、好ましくは、塩基中和剤によって中和する。好適な塩基中和剤は、一般に例えば、アルカリ金属、例えばLi、Na、またはKまたはアルカリ土金属、例えば、Ca、Mg、Ba、またはSrであるが、本発明の目的のためには好ましくない。より適性を有し、本発明の目的のために好ましい化合物は、酸の基を中和するための反応を可能にするすべての前述の金属の塩、特に炭酸塩、炭酸水素塩、または特に好ましくは水酸化物、LiOH、NaOH、KOH、またはCa(OH)である。
【0070】
中和に好適な、本発明の目的のために特に好ましい他の化合物は、有機窒素含有塩基、例えば、アンモニアおよびアミン、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン、またはこれらの混合物である。窒素含有有機塩基による中和は、有機相中でまたは水相中で生じてもよい。
【0071】
発明により使用されてもよいポリウレタン粒子が、塩基の添加を通じてアニオン性基に変換しうるイオン化可能な基を含有する場合には、添加される中和剤の量は、十分な割合のイオン化可能な基を中和するような量、一般には約0.1〜100%である。中和が生じる範囲は、一般に、少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、特に好ましくは少なくとも50%である。しかし、発明のポリウレタン中に存在するイオン化可能な基の中和の範囲は、少なくとも75%、または例えば、実質的に全部、即ち約100%であってもよい。
【0072】
ポリウレタン粒子は、すべての出発化合物の同時反応を通じて調製されていてもよい。しかし、多くの場合、段階的にポリウレタン粒子を調製するのが有効である。例えば、イソシアネート基を含有するプレポリマーを成分A)およびB)から調製し、次にこれを、好ましくは、成分C)とさらに反応させる。
【0073】
成分a)〜c)の反応はまた、触媒の存在中で行われてもよい。3級アミン、例えば、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(=DABCO)、ジメチル−ベンジルアミン、ビスジメチルアミノエチルエーテル、およびビスメチルアミノメチルフェノールが特に好適である。特に好適な化合物は、1−メチルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、1−アリルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,2,4,5−テトラメチルイミダゾール、1−(3−アミノプロピル)−イミダゾール、ピリミダゾール、4−ジメチルアミノピリジン、4−ピロリジノピリジン、4−モルホリノピリジン、4−メチルピリジンである。
【0074】
有機スズ化合物を触媒として用いることも可能である。これらは、スズと有機の基も含有する化合物であり、特に1以上のSn−C結合を含有する化合物である。幅広い意味での有機スズ化合物の例は、塩、例えばスズオクトエートおよびスズステアレートである。狭い意味でのスズ化合物には、特に一般式RS3〜11の4価のスズ化合物があり、ここで、nは0〜2の数であり、Rはアルキル基またはアリール基またはその両方であり、最終的にXは酸素群、硫黄群または窒素群またはこれらの2以上の混合物である。Rが、少なくとも4個の炭素原子、特に少なくとも8個の炭素原子を含有するのが有効である。上限は一般に12個の炭素原子である。
【0075】
Xは好ましくは、酸素群、即ち、有機スズの酸化物、水酸化物、カルボキシレート、または無機酸のエステルである。しかし、Xは、硫黄群、即ち、有機スズ硫化物、チオレート、またはチオ酸エステルでもよい。Sn−S群の中で、チオグリコール酸エステル、例えば、以下の基:−S−CH−CH−CO−O−(CH)−CH、または−S−CH−CH−CO−O−CH−CH(C)−CH−CH−CH−CHを有する化合物が特に好適である。
【0076】
このタイプの化合物は、別の選択の法則に従う:発明の好ましい実施態様では、有機スズ化合物の分子量は250以上、特に600以上である傾向にある。
【0077】
化合物の別の好ましい種類はジアルキルスズ(IV)カルボキシレート(X=O−CO−R’)で表される。カルボン酸は、2、好ましくは少なくとも10、特に14〜32個の炭素原子を有する。また、ジカルボン酸を用いることもできる。好適な酸の例は、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、フェニル酢酸、安息香酸、酢酸、プロピオン酸であり、特に、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、およびステアリン酸である。例えば、特に好適な化合物は、ジブチルスズジアセテートおよびジブチルスズジラウレート、およびさらにジオクチルスズジアセテートおよびジオクチルスズジラウレートである。
【0078】
本発明の目的のためには、スズ酸化物およびスズ硫化物も好適であり、スズチオレートも同様である。特別の化合物は:ビス(トリブチルスズ)オキサイド、ジブチルスズジドデシルチオレート、ジオクチルスズジオクチルチオレート、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、オクチルスズトリス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、ジオクチルスズビス(チオ(エチレングリコール)2−エチルヘキソエート)、ジブチルスズビス(チオ(エチレングリコール)ラウレート)、ジブチルスズスルフィド、ジオクチルスズスルフィド、ビス(トリブチルスズ)スルフィド、ジブチルスズビス(2−エチルヘキシルチオグリコレート)、ジオクチルスズビス(チオ(エチレングリコール)2−エチルヘキソエート)、トリオクチルスズチオ(エチレングリコール)2−エチルヘキソエート、およびジオクチルスズビス(2−エチルヘキシルチオレートアセテート)、ビス(S,S−メトキシカルボニルエチル)スズビス(2−エチルヘキシルチオレートアセテート)、ビス(S,S−アセチルエチル)スズビス(2−エチルヘキシルチオレートアセテート)、スズ(II)オクチルチオレート、およびスズ(II)チオ(エチレングリコール)2−エチルヘキソエートである。
【0079】
ジブチルスズジエタノレート、ジヘキシルスズジヘキサノレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジエチルアセチルアセテート、ビス(ブチルジクロロスズ)オキサイド、ビス(ジブチルクロロスズ)スルフィド、スズ(II)フェノレート、スズ(II)アセチルアセトネート、およびさらに他のβ−ジカルボニル化合物、例えば、アセチルアセトン、ジベンゾイルメタン、ベンゾイルアセトン、エチルアセトアセテート、n−プロピルエチルアセトアセテート、エチルジフェニルエチルアセトアセテート、およびジヒドロアセト酢酸を記載してもよい。
【0080】
好ましくは、触媒をポリオールに添加する。その量は、その活性および反応条件に依存する。ポリオールに基づいて、0.001〜0.5重量%の範囲が好ましい。
【0081】
しかし、触媒なしで、取り扱うことは好ましい。溶媒も、有効に取り除かれる。本願の目的では、「溶媒」は、沸点が大気圧(1bar)で200℃以下である不活性な有機の液体物質である。
【0082】
好ましくは、反応は、ポリオール中のOH基のポリイソシアネート中のNCO基に対する割合が、約1.0〜約2.0、特に約1.05〜1.8、例えば約1.1〜1.7、または約1.3〜1.6であるように行われる。
【0083】
イオンを形成する構造要素を導入する方法は、OH−末端ポリウレタンオリゴマーとジカルボン酸無水物との反応である。これらは、ビスアシル基の間に全部で2〜44個の炭素原子、好ましくは2〜12個の炭素原子を有する例えば、アルキレン群、アルケニレン群、またはアリーレン群を含んでもよい。例えば、好適な化合物は、コハク酸無水物、グルタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタレート無水物およびその異性体、フタル酸無水物、トリメリト酸無水物、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、およびその異性体、ジグリコール酸無水物、マレイン酸無水物、ジメチルマレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物、であり、好ましくは、そのアルケニル基が2以上、特に5以上、特に好ましくは7以上の炭素原子を有するものである。n−オクチルコハク酸無水物、n−ドデシルコハク酸無水物、テトラプロペニルコハク酸無水物、n−ヘキサデセニルコハク酸無水物、およびn−オクタデセニルコハク酸無水物を特に記載してもよい。アルケニル基は線形または分岐構造を有してもよい。異なる炭素原子数を有するアルケニル基の混合物がさらに生じてもよい。2以上の無水物の混合物も可能であるが、環状無水物が好ましい。
【0084】
しかし、モル過剰のイソシアネートを用いることもでき、従って、NCO−末端のオリゴマーを与える。
【0085】
NCO基は一般に最終生成物では望ましくないが、これらを例えば、疎水性またはイオン性構造要素を導入するために使用してもよい。
【0086】
例えば、疎水性構造要素は、NCO末端オリゴマーと、2〜22個の炭素原子、特に6以上、10以上、または16以上の炭素原子を有するモノオールまたは単官能アミンとの反応を通じて存在してもよい。1つのOH基を有し、例えば3600のOH等量を有するポリエチレン−ブチレン(クラトン(Kraton)L 1203)、およびさらに1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、1−ウンデカノール、10−ウンデセン−1−オール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、1−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、1−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、9−シス−オクタデセン−1−オール、9−トランス−オクタデセン−1−オール、9−シス−オクタデセン−1,12−ジオール、アル−シス−9,12−オクタデカジエン−1−オール、アル−シス−9,12,15−オクタデカトリエン−1−オール、1−ノナデカノール、1−エイコサノール、9−シス−エイコセン−1−オール、5,8,11,14−エイコサテトラエン−1−オール、1−ヘネイコサノール、1−ドコサノール、13−シス−ドコセン−1−オール、13−トランス−ドコセン−1−オールを特に記載してもよい。対応する脂肪アミンも、構造要素を疎水化することができる。
【0087】
最後に、イオンを形成する構造を導入する別の方法は、NCO末端オリゴマーと、アルキレン群、アルケニレン群、またはアリーレン群を有するヒドロキシカルボン酸またはアミノカルボン酸との反応であり、ジカルボン酸無水物との場合もある。記載してもよい例は:グリコール酸、乳酸、カプロン酸、およびマンデル酸およびさらにアミノカプロン酸、アミノドデカン酸、グリシン、アラニン、およびフェニルアラニンである。
【0088】
成分a)、b)およびc)の使用量は、所望の数平均分子量、所望のイオン性基の数、および所望の架橋度の関数である。
【0089】
本発明により使用してもよいポリウレタン粒子は、有機溶媒の存在中で、または融解中で調製されうる。使用される溶媒は、一般に液体の脂肪族ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはメチルイソブチルケトン、脂肪族モノカルボン酸のエステル、例えば、メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、またはイソブチルアセテート、芳香族炭化水素、例えば、トルエンまたはキシローレン、または窒素−含有極性非プロトン性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、またはN−メチルピロリドン(NMP)である。記載の溶媒は単独で用いても、混合物で用いてもよい。一般に、アセトンまたはメチルエチルケトン、またはアセトンとメチルエチルケトンからなる混合物を用いるのが好ましい。
【0090】
例えば、溶液中で調製されるこのタイプのポリマーから、本発明により使用してもよいポリウレタン粒子を調製する1つの方法では、ポリマー溶液を水中に導入する。導入は、好ましくは、激しく撹拌しながら行うべきである。ポリマーを水混和性溶媒中で調製した場合には、ポリマー中の親水性基の割合を適当に選択することで、その粒子サイズが前述の制限内にある粒子沈殿物を与えうる。ポリマーの調製に水と混和性のない溶媒を用いた場合には、水と混和性のない溶媒中に溶解したポリマーを水中に乳化するという方法が可能であり、ここでエマルジョンの液滴サイズを撹拌条件、乳化剤のタイプおよび乳化剤の量を介して調節して、ポリマー粒子に求められる粒子サイズに実質的に対応させてもよい。次に溶媒を例えば、真空中で除去する。
【0091】
この方法は、発明の仕様に従った多孔性粒子ポリマーを与えうる。従って、前述の処理に好適なポリマータイプ、例えば、本願の範囲内で記載したものを用いれば、製造されたポリマー粒子を本発明により使用してもよい。しかし、本発明の目的では、記載した処理から得られたポリマー粒子を、調製処理の後に、即ち、ポリマー粒子の粒子サイズが、粒子サイズについて発明により規定した制限内であれば、溶媒除去の前に、架橋することもできる。これは、1つ官能基を有する、または2以上の官能基からなる混合物を有する適当なポリマーの使用を必要とし、好適な架橋剤によってイオン結合、共有結合、または配位結合経路によって架橋されうる。
【0092】
本発明の好ましい実施態様の目的のためには、例えば、水不溶性ポリマー、例えば、エチルセルロース、ポリビニルアセテート、またはセルロースアセテートブチレート、またはポリビニルピロリドンとポリビニルアセテートの水−不溶性コポリマーを、親水性化合物、好ましくは界面活性剤とともに、ここでは水と混和性のない溶媒中に溶解する。ここでは、水より揮発性の高い水と混和性のない溶媒を用いるのが好ましい。限界ミセル形成濃度(CMC)以下の濃度でイオン性界面活性剤を添加した水を、次に、この溶液に、撹拌しながら導入する。水の滴状添加時に、O/Wエマルジョンを生成する。水の滴状添加が完了したら、例えば、次にポリマーを有機相内で架橋し、または溶媒を次に真空中で除去する。これは、粒子サイズが撹拌条件および水中に存在する界面活性剤の量およびそのタイプを介して制御可能な分散体を与える。
【0093】
本発明の調製の目的のために使用されうる粒子ポリマーの粒子サイズ中央値は好ましくは、約10nm〜50μmである。粒子サイズ中央値は特に、約20nm〜約40μm、例えば、約50nm〜約20μm、または約100nm〜約10μmである。特に好適なポリマー粒子はさらに、粒子サイズ中央値が約30nm〜約5μm、約50nm〜約3μm、または約100nm〜約1μmであるものである。
【0094】
本発明の目的のためには、使用されてもよいポリマー粒子は、40℃以下の温度で5〜8のpHで2g/l以下の水溶性を有する。しかし、水溶性は、好ましくは、より低い、例えば、1g/l以下、または0.5g/l以下、特に、0.1g/l以下である。本発明の特に好ましい実施態様の目的のためには、本発明により使用されてもよいポリマー粒子は、前述の条件下で水に不溶性である。
【0095】
本発明の目的のために使用されてもよいポリマー粒子は、自然に水中に分散可能でありうる。本発明の目的では、「自然に分散可能」という表現は、本発明により使用されてもよいポリマー粒子が、さらなる分散剤なしに、例えば、水溶液中へのさらなる界面活性剤なしに、少なくとも1時間水中に安定に分散することができることを意味する。しかし、本発明の目的では、分散剤、例えば、界面活性剤の助けのみで水中に分散可能なポリマー粒子を用いることもできる。
【0096】
発明の組成物は、本願の範囲内にある前述のようなポリマー粒子、または2以上のこのようなポリマー粒子からなる混合物だけでなく、約1000以下の分子量を有する少なくとも1つの親水性物質を含有する。
【0097】
本願の目的では、ここでは「親水性物質」という表現は、前述の条件下で水中に溶解可能な、または少なくとも自然に一定期間分散可能なすべての化合物を包含する。本発明の目的のためには、「親水性物質」は、水中に分散させた後に少なくとも5分間、好ましくは少なくとも10分間分離しない分散体を形成すれば十分である。本発明の好ましい実施態様の目的では、本発明の目的のために使用されてもよい「親水性物質」は界面活性剤、即ち両親媒性化合物である。
【0098】
本発明の目的のためには、すべての界面活性剤は原則的に親水性物質として好適である。
【0099】
例えば、アニオン性、ノニオン性、双性イオン性、またはカチオン性界面活性剤の群からの表面活性物質を、発明の組成物に用いてもよい。
【0100】
例えば、使用してもよいアニオン性界面活性剤は、スルホネートおよびスルフェートタイプのものである。ここでは使用してもよいスルホネートタイプの界面活性剤は、好ましくは、C9〜13−アルキルベンゼンスルホネート、オレフィン−スルホネート、即ち、アルケン−およびヒドロキシアルカンスルホネートからなる、およびさらにジスルホネートからなる混合物、例えば、気体の三酸化硫黄を用いたスルホン化と、次のスルホン化生成物のアルカリまたは酸の加水分解を介した、末端または内部に二重結合を有するC12〜18モノオレフィンから得られたものである。他の好適な化合物は、例えば、スルホ塩素化またはスルホ酸化と、これに次ぐ加水分解または中和を介して、C12〜18アルカンから得られるアルカンスルホネートである。他の好適な化合物は、2−スルホ置換脂肪酸のエステル(エステルスルホネート)、例えば、水素化ココナッツ脂肪酸、水素化ヤシのみの仁の脂肪酸、または水素化獣脂脂肪酸の2−スルホン化メチルエステルである。
【0101】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、脂肪酸の硫酸化グリセロールエステルである。脂肪酸のグリセロールエステルは、モノ−、ジ−、およびトリエステル、およびさらにこれらの混合物であり、1〜3モルの脂肪酸を用いたモノグリセロールのエステル化を介する調製処理時に、または0.3〜2モルのグリセロールを用いたトリグリセリドのエステル交換時に得られる。ここで好ましい脂肪酸の硫酸化グリセロールエステルは、6〜22個の炭素原子を有する飽和脂肪酸、例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、またはベヘン酸の硫酸化生成物である。
【0102】
好ましいアルキル(アルケニル)スルフェートは、C12〜C18脂肪アルコールの硫黄の半エステルのアルカリ金属塩、特に同エステル、例えば、ココナッツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、またはステアリルアルコールから、またはC10〜C20オキソアルコールから誘導されるもののナトリウム塩であり、これらの鎖長さの第2アルコールの半エステルも好ましい。石油化学的方法によって調製される合成直鎖アルキル基を含有する前述の鎖長さのアルキル(アルケニル)スルフェートも好ましく、ここでこの化合物は、脂肪の化学物質から誘導された原料に基づく好適な化合物と類似の劣化特性を有する。洗浄の観点から、C12〜C16アルキルスルフェートおよびC12〜C15アルカリスルフェートが好ましく、C14〜C15アルキルスルフェートも同様である。例えば、2,3−アルキルスルフェートも好適なアニオン性界面活性剤であり、これは米国特許第3,234,258号公報または米国特許第5,075,041号公報明細書でのように調製してもよく、商品名DANでシェル石油社から市販入手可能な製品である。
【0103】
他の好適な化合物は、1〜6molのエチレンオキサイドでエトキシ化された直鎖または分岐C7〜21アルコール、例えば、平均3.5molのエチレンオキサイドを有する2−メチル−分岐C9〜11アルコール、または1〜4のEOを有するC12〜18脂肪アルコールの硫化モノエステルである。これらは、強い泡立ち傾向があるので、洗浄組成物中で比較的少量でしか、例えば、1〜5重量%の量でしか使用されない。
【0104】
他の好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル化スルホコハク酸の塩であり、これらは、スルホスクシネートまたはスルホコハク酸エステル、およびスルホコハク酸とアルコールとの、好ましくは脂肪アルコールとの、特にエトキシ化脂肪アルコールとのモノエステルおよび/またはジエステルとも呼ばれる。好ましいスルホスクシネートは、C8〜18脂肪アルコール基、またはこれらからなる混合物を含有する。特に好ましいスルホスクシネートは、それ自身がノニオン性界面活性剤である(以下の記載参照)エトキシ化脂肪アルコールから誘導された脂肪アルコール基を含有する。その脂肪アルコール基が狭い同族体分布を有するエトキシ化脂肪アルコールから誘導されるスルホスクシネートが特に好ましい。好ましくは、8〜18個の炭素原子をアルキル(アルケニル)鎖中に有するアルキル(アルケニル)コハク酸またはその塩を同様に使用することができる。
【0105】
特に使用してもよい他のアニオン性界面活性剤は石鹸である。好適な化合物は、飽和脂肪酸石鹸、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、水素化エルカ酸、ベヘン酸の塩、特に天然脂肪酸、例えば、ココナッツ脂肪酸、ヤシのみの仁の脂肪酸、または獣脂脂肪酸から誘導される石鹸混合物である。
【0106】
石鹸を含むアニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩、カリウム塩、またはアンモニウム塩、または有機塩基、例えばモノ−、ジ−またはトリエタノールアミンの溶解性の塩のような他のものの形態で存在してもよい。好ましくは、アニオン性界面活性剤は、そのナトリウム塩またはカリウム塩の形態で、特にナトリウム塩の形態で存在する。本発明の別の実施態様では、界面活性剤はそのマグネシウム塩の形態で使用される。
【0107】
特に好適なアニオン性界面活性剤の例は、アンモニウムポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホネート、ナトリウムポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホネート、カリウム石鹸、ナトリウム石鹸、ナトリウムジオクチルスルホスクシネート、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、ナトリウムアルキルスルフェート、ナトリウムアルキルエーテルスルフェート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフェート、ナトリウムポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフェート、トリエタノールアミンアルキルスルフェート、トリエタノールアミンポリオキシエチレンアルキルエーテルスルフェート、2−エチルヘキシルアルキルスルフェートのナトリウム塩、ナトリウムアシルメチルタウレート、ナトリウムラウロイルメチルタウレート、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、ジナトリウムラウリルスルホスクシネート、エトキシ化ジナトリウムラウリルスルホスクシネート、ポリカルボン酸、オレイルサルコシン、アミドエーテルスルフェート、ラウロイルサルコシネート、またはスルホ置換脂肪酸のエステルのナトリウム塩、または2以上のこれらからなる混合物である。
【0108】
本発明の目的のために好ましい組成物は、各場合の全組成物に基づいて、1〜70重量%、好ましくは2〜60重量%、および特に3〜50重量%の1以上のアニオン性界面活性剤を含有するものである。
【0109】
本発明の好ましい実施態様の目的のためには、発明の組成物は、親水性化合物として、少なくとも1つのノニオン性界面活性剤を含有する。使用されるノニオン性界面活性剤は、好ましくは、8〜18個の炭素原子を有する、好ましくはアルコキシ化、例えば、エトキシ化された特に第1アルコールであって、アルコール1mol当たり平均1〜12molのエチレンオキサイド(EO)を有する第1アルコールであり、ここでアルコール基は線形でも、好ましくは2箇所でメチル−分岐していてもよく、または線形の基とメチル−分岐基(例えば通常オキソアルコール基中に存在するもの)の混合物を含有してもよい。しかし、12〜18個の炭素原子を有する天然のアルコールから誘導された、例えば、ココナッツアルコールから、ヤシのみアルコールから、獣脂脂肪アルコールから、またはオレイルアルコールから誘導された線形の基を有し、かつアルコール1mol当たり平均2〜8のEOを有するアルコールエトキシレートが特に好ましい。好ましいエトキシ化アルコールには、例えば、2〜4のEOを有するC12〜14アルコール、2〜7のEOを有するC9〜11アルコール、2〜8のEOを有するC13〜15アルコール、2〜7のEOを有するC12〜18アルコール、およびこれらからなる混合物、およびさらに2〜4のEOを有するC12〜14アルコールと2〜5のEOを有するC12〜18アルコールからなる混合物がある。記載したエトキシ化の程度は、所定の生成物のための統計的平均値であり、これらは全数でも分数でもよい。好ましいアルコールエトキシレートは同族体の狭い分布(狭い範囲のエトキシレート、NRE)を有する。また、これらのノニオン性界面活性剤に加えて、12以上のEOを有する脂肪アルコールを使用してもよい。これらの例は、14EO、25EO、30EO、または40EOを有する獣脂脂肪アルコールである。
【0110】
本発明の目的のために、同様に好適な他のノニオン性界面活性剤は、前述のアルコールの、特に好ましくは8〜18個の炭素原子を有し、かつアルコール1mol当たり平均して全部で1〜12molのエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(EO/PO)を有する前述の第1アルコールのEO/PO付加体であり、ここでアルコール基は線形でも、好ましくは2箇所でメチル−分岐していてもよく、または線形の基とメチル−分岐基(例えば通常オキソアルコール基中に存在するもの)の混合物を含有してもよい。しかし、12〜18個の炭素原子を有する天然のアルコールから誘導された、例えば、ココナッツアルコールから、ヤシのみアルコールから、獣脂脂肪アルコールから、またはオレイルアルコールから誘導された線形の基を有し、かつアルコール1mol当たり平均2〜8のEO/POを有するアルコールEO/PO付加体が特に好ましい。好ましいエトキシ化アルコールには、例えば、2〜4のEO/POを有するC12〜14アルコール、2〜7のEO/POを有するC9〜11アルコール、2〜8のEO/POを有するC13〜15アルコール、2〜7のEO/POを有するC12〜18アルコール、およびこれらからなる混合物、およびさらに2〜4のEO/POを有するC12〜14アルコールと2〜5のEO/POを有するC12〜18アルコールからなる混合物がある。記載したアルコキシ化の程度は、所定の生成物のための統計的平均値であり、これらは全数でも分数でもよい。好ましいアルコールEO/POエトキシレートは同族体の狭い分布を有する。また、これらのノニオン性界面活性剤に加えて、12以上のEO/POを有する脂肪アルコールを使用してもよい。EOユニットおよびPOユニットはポリマー中にランダム分布で存在してもよく、ブロックとして存在してもよい。EOユニットのPOユニットに対する割合は約10:1〜約1:10である。
【0111】
本発明の目的では、前述のEOまたはEO/PO付加体は、実質的な範囲まで、いずれの所望の末端基、例えばOH末端基を有してもよい。しかし、発明は、末端基のキャップされたポリアルキレングリコールとして公知の化合物をノニオン性界面活性剤として用いることも考慮している。これらのポリアルキレングリコールの場合には、OH末端基は、線形または分岐アルキル基によってキャップされる。これらの末端基のキャップされたポリアルキレングリコールの例は、ポリエチレングリコールジ−C1〜10−アルキルエーテルまたはポリプロピレングリコールジ−C1〜10−アルキルエーテルである。
【0112】
使用に好ましく、単独のノニオン性界面活性剤として使用されるか他のノニオン性界面活性剤と組み合わせて使用される別の種類のノニオン性界面活性剤は、好ましくは、1〜4個の炭素原子をアルキル鎖中に有する、アルコキシ化、好ましくは、エトキシ化、またはエトキシ化およびプロポキシ化された脂肪酸のアルキルエステルであって、特に脂肪酸のメチルエステル、例えば、日本特許出願第58/217598号公報に記載されているもの、または好ましくは国際特許出願第WO−A−90/13533号公報に記載されている方法によって調製されたものである。
【0113】
有効に使用されうる別の種類のノニオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド(APGs)である。使用してもよいアルキルポリグリコシドは一般式RO(G)に従い、ここでRは8〜22、好ましくは、12〜18個の炭素原子を有する、線形または分岐の、特に2つ位置にメチル−分岐のある、飽和または不飽和脂肪族基であり、Gは5または6個の炭素原子を有するグリコースユニットを表す記号であり、好ましくはグルコースである。グリコース化の程度zは1.0〜4.0、好ましくは1.0〜2.0、および特に1.1〜1.4である。
【0114】
好ましくは、線形アルキルポリグルコシド、即ち、ポリグリコシル基がグルコース基であり、アルキル基がn−アルキル基であるアルキルポリグリコシドを用いる。
【0115】
また、アミンオキサイドタイプのノニオン性界面活性剤、例えば、N−ココアルキル−N,N−ジメチルアミンオキサイドおよびN−タロウアルキル−N,N−ジヒドロキシエチルアミンオキサイドおよび脂肪酸のアルカノールアミドが好適であってもよい。これらのノニオン性界面活性剤の量は、好ましくは、エトキシ化脂肪アルコールの量より少なく、特にその半分以下である。
【0116】
他の好適な界面活性剤は、式(I)のポリヒドロキシ−置換脂肪アミンである、
【化1】
Figure 2005501160
(ここで、RCOは6〜22個の炭素原子を有する脂肪族アシル基であり、Rは水素、または1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基であり、[Z]は3〜10個の炭素原子と3〜10個のヒドロキシ基を有する線形または分岐ポリヒドロキシアルキルである)。ポリヒドロキシ−置換脂肪アミドは、通常、糖をアンモニアで、アルキルアミンで、またはアルカノールアミンで還元する還元的アミノ化と、これに次いでの脂肪酸での、脂肪酸のアルキルエステルでの、または脂肪酸の塩化物でのアシル化を介して得られうる公知の物質である。
【0117】
また、ポリヒドロキシ−置換脂肪アミドの群には、式(II)の化合物がある、
【化2】
Figure 2005501160
(ここで、Rは7〜12個の炭素原子を有する線形または分岐アルキルまたはアルケニル基であり、Rは2〜8個の炭素原子を有する線形、分岐または環状アルキル基またはアリール基であり、Rは1〜8個の炭素原子を有する線形、分岐または環状アルキル基またはアリール基またはオキシアルキル基であり、C1〜4アルキルまたはフェニル基が好ましく、[Z]は、そのアルキル鎖が少なくとも2つのヒドロキシ基で置換された線形ポリヒドロキシアルキル基、またはこれらの基のアルコキシ化、好ましくはエトキシ化またはプロポキシ化誘導体である)。
【0118】
[Z]は、好ましくは、還元した糖、例えばグルコース、フルクトース、マルト−ス、ラクトース、ガラクトース、マンノースまたはキシロースの還元的アミノ化を介して得られる。N−アルコキシ−またはN−アリールオキシ−置換化合物を次に、例えば、国際特許出願第WO−A−95/07331号公報の教示に従って、触媒としてアルコキシドの存在中で、脂肪酸のメチルエステルとの反応を介して、所望のポリヒドロキシ置換脂肪アミンへと変移させてもよい。
【0119】
本発明の目的のためには、各場合の全組成物に基づいて、1〜70重量%、好ましくは2〜60重量%、および特に3〜50重量%の1以上のノニオン性界面活性剤を含有する組成物が好ましい。
【0120】
本発明の目的のためには、発明の組成物はまた、親水性化合物としてカチオン性または両性界面活性剤を含有してもよい。カチオン性界面活性剤の例は、約8〜約24個の炭素原子を有する第1級、第2級、第3級脂肪アミンと、酢酸、硫酸、塩酸、またはリン酸との塩、第4級アルキル−およびアルキルベンゼンアンモニウム塩、特にそのアルキル基が約6〜約24個の炭素原子を有するもの、特にハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩またはアセテートまたはこれらの2以上からなる混合物、アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩、またはアルキルオキサゾリジニウム塩、特に特にそのアルキル鎖が約18個以下の炭素原子を有するもの、例えば、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩またはアセテートまたはこれらの2以上からなる混合物である。カチオン性界面活性剤として好適な他の化合物は、エステルクウォーツ(quats)として公知のものである。
【0121】
両性界面活性剤の例は、長鎖置換アミノ酸、例えば、N−アルキルジ(アミノエチル)グリシンまたはN−アルキル−2−アミノ−プロピオン酸塩、ベタイン、例えば、C8〜18アシル基を有するN−(3−アシルアミドプロピル)−N,N−ジメチルアンモニウム塩、またはアルキルイミダゾリウムベタインである。
【0122】
本発明の好ましい実施態様の目的では、発明の組成物の構成要素として使用される親水性化合物は、水溶液中で、本願の範囲内にある前述したような粒子多孔性ポリマーと分布平衡にあるものを含有する。本発明の目的では、「分布平衡」とは、親水性化合物が、水溶液または水分散体中にある程度までは存在し、ある程度まではポリマー粒子の内部に存在しまたはポリマー粒子の表面上に付着している状態のことである。
【0123】
本発明の好ましい実施態様の目的のためには、水溶液または水分散体中の先に規定したような親水性化合物または2以上の親水性化合物からなる混合物と、ポリマー粒子の上にまたは内部に、または2以上のポリマー粒子からなる混合物の上にまたは内部に付着した親水性化合物または2以上の親水性化合物からなる混合物との間の分布平衡は、親水性化合物の重量基づいて、約1:100〜約100:1である。本発明の目的のためには、ここでは、発明の組成物中に存在する親水性化合物の1つが所定の制限内の分布平衡にあれば十分である。
【0124】
本発明の目的のためには、前述の意味において、約1:1〜約1:80、または約1:2〜約1:60の分布平衡にある親水性化合物とポリマー粒子とからなる組み合わせを用いることが好ましい。
【0125】
本発明の別の好ましい実施態様の目的のためには、使用される親水性化合物は、そのHLB値が約4〜約25、特に約5〜約22または6〜約18、例えば、約7〜約14であるノニオン性界面活性剤を含有する。
【0126】
先に記載した構成要素、即ち1以上の多孔性、粒子ポリマーおよび1以上の親水性化合物に加えて、発明の組成物はまた、他の添加剤を含有してもよい。
【0127】
例えば、好適な他の添加剤は、1000以上の分子量を有する水溶性化合物を含有する。これらには、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアルキレンオキサイド、例えば、ポリエチレングリコールまたはポリプロピレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリオキサゾリン、ポリビニルアルコール、イソブチレン−マレイン酸無水物コポリマー、ポリアクリルアミド、セルロース誘導体、例えば、ビスコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはカルボキシメチルセルロース、スターチ誘導体、例えば、溶解性スターチまたはカルボキシメチルスターチ、アガロース、またはヒアルロン酸がある。他の添加剤として好適な他の化合物は、セルロースアセテート、セルロースニトレート、セルロースアセテートブチレート、ゼラチン、カードラン、アルギネート、ペクチネート、カラギーナンまたはキトサンである。
【0128】
他の添加剤として好適な他の化合物は、水溶性または水不溶性無機物質、例えば、フィロシリケート、セピオライト、カオリン、シリカゲル、または水ガラスである。
【0129】
本発明の好ましい実施態様の目的のためには、発明の組成物は少なくとも1つの溶媒を含有する。好適な溶媒は、原則的に水、および水と混和性があり約120℃以下、好ましくは約100℃以下の沸点を有するすべての溶媒である。本発明の目的では、特に好適な化合物は、水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはアセトン、またはこれらの2以上からなる混合物である。
【0130】
発明の組成物はさらに、pHを調節する化合物を含有してもよい。pHを調節する好適な化合物は、原則的に、前述の溶媒の1つに溶解可能なすべての緩衝システムまたは塩基または酸である。本発明の目的のために、特に好適な化合物の例は、アルカリ金属水酸化物、例えば、NaOHまたはKOH、カーボネート、シリケート、ホスフェート、リン酸水素、スルフェート、シトレート、ボレート、またはカルボン酸の塩である。
【0131】
本発明の組成物の目的のために、他の添加剤として好適な他の化合物は、可塑剤であり、これらは好適なフィルム形成補助剤でもある。例えば、好適な可塑剤は、フタレート(フタル酸エステル)、例えば、ジオクチルフタレート[DOP;ビス(2−エチルヘキシル)フタレート]、ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)、(主として)線形C6−C11アルコールとのフタレートエステル、例えば、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソブチルフタレート(DIBP)、ジシクロヘキシルフタレート(DCHP)、ジメチルフタレート(DMP)、またはジエチルフタレート(DEP)、ベンジルブチルフタレート(BBP)、ブチルオクチルフタレート、ブチルデシルフタレート、またはジペンチルフタレート、ビス(2−メトキシエチル)フタレート、またはジヘキシルジカプリルフタレート(DCP)、またはこれらの2以上からなる混合物である。
【0132】
他の好適な可塑剤は、(主として)線形C6−C11アルコールとのトリメリテート(トリメリト酸エステル)、例えば、トリス(2−エチルヘキシル)トリメリテート(TOTM)である。
【0133】
他の好適な可塑剤は、環状(脂肪族)ジカルボン酸エステル、例えば、ジオクチルアジペート[DOA;ビス(2−エチルヘキシル)アジペート]またはジイソデシルアジペート(DIDA)である。ジブチルセバケート(DBS)、ジオクチルセバケート[DOS;ビス(2−エチルヘキシル)セバケート]であり、またはアゼライン酸のエステルも好適である。
【0134】
他の好適な可塑剤は、ポリマーの可塑剤、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸およびフタル酸と、ジオール、例えば1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールとから誘導されるポリエステルである。ポリマー状可塑剤としてブタジエン−アクリロニトリルコポリマーを用いてもよい。
【0135】
これら以外の他の可塑剤は、ホスフェート(リン酸エステル)、例えば、トリクレジルホスフェート(TCF)、トリフェニルホスフェート(TPF)、ジフェニルクレジルホスフェート(DPCF)、ジフェニルオクチルホスフェート(DPOF、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート)、またはトリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート(TOF)、トリス(2−ブトキシエチル)ホスフェートである。
【0136】
他の好適な可塑剤は、脂肪酸のエステル、例えば、ブチルオレエートまたはブチルステアレート、アセチル化されたひまし油の脂肪酸のメチルまたはブチルエステル、または脂肪酸のグリコールエステル、例えば、トリエチレングリコールビス(2−エチルブチレート)である。
【0137】
他の好適な可塑剤は、ヒドロキシカルボン酸エステル、例えば、クエン酸エステル、例えば、トリブチルO−アセチルシトレートまたはトリエチルO−アセチルシトレート、または酒石酸エステル、または乳酸エステルである。
【0138】
他の好適な可塑剤は、エポキシ可塑剤、例えば、脂肪酸のエポキシ化誘導体、例えば、トリグリセリドまたはモノエステル、例えば、エポキシステアレートエステルまたはエポキシ化しょうゆ(EPSO)、またはアマニ油(EPLO)である。
【0139】
発明の組成物中に存在してもよい他の添加剤は、UV安定剤、酸化防止剤、香料、染料、防腐剤、錯化剤等である。
【0140】
発明の目的のために添加剤として使用してもよい安定剤または酸化防止剤には、高分子量(M)のヒンダードフェノール、多官能性フェノール、および硫黄−およびリン含有フェノールがある。発明の目的のために添加剤として使用してもよいフェノールの例は、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル)ベンゼン;ペンタエリスリトールテトラキス−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n−オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール);2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン;ジ−n−オクタデシル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル−ホスホネート;2−(n−オクチルチオ)エチル3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート;およびソルビトールヘキサ[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]である。
【0141】
本発明の好ましい実施態様の目的のためには、発明の組成物は少なくとも約10重量%、例えば、少なくとも約20重量%、または少なくとも約50重量%の水を含有する。
【0142】
ここで発明の組成物が存在する形態は、低粘度の水性液体、中−または高粘度の水性液体、ゲルまたはペーストであってもよい。本発明の好ましい実施態様の目的のためには、発明の組成物が存在する形態は、低粘度の水性液体のものである。
【0143】
本発明の好ましい実施態様の目的のためには、発明の組成物中の多孔性粒子ポリマーの含有量は、少なくとも約0.2重量%である。好ましくは、多孔性粒子ポリマーの含有量は、約0.5〜約40重量%、特に約1〜約30重量%、または約2〜約20重量%、例えば約3〜約15重量%、または約5〜約10重量%である。
【0144】
本発明の好ましい実施態様の目的のためには、発明の組成物中の親水性化合物の含有量は、少なくとも約0.2重量%である。好ましくは、親水性化合物の含有量は、約0.5〜40重量%、特に約1〜約30重量%、または約2〜約20重量%、例えば約3〜約15重量%、または約5〜約10重量%である。
【0145】
別の好ましい実施態様の目的のためには、多孔性粒子ポリマーの親水性化合物に対する重量比は約1:10〜約10:1、特に約1:5〜約5:1である。
【0146】
本発明の別の好ましい実施態様の目的のためには、発明の組成物の構成要素および使用されるそれらの量は、発明の組成物の援助によって製造されるフィルムが、製造処理直後に、水に対して40°以下、特に30°以下、20°以下、または10°以下の接触角を有するように選択される。
【0147】
ここでは接触角は、DSA10クラス(Kruss)液滴形状分析装置と関連のソフトウェアを用いて測定される。最後に、10μlの体積の液滴を適当な表面に塗布し、液滴の動きをビデオ記録する(最大7分)。液滴の接触角を時間の関数としてビデオの結果から決定した。
【0148】
例えば、発明の組成物は以下の組成を有する:
1〜30重量%の粒子ポリマー
1〜30重量%の親水性化合物
20〜98重量%の溶媒
0〜20重量%の添加剤。
【0149】
原則的に、発明の組成物を、いずれかの所望方法で、特に組成物中に含まれる化合物の混合を介して調製することができる。例えば、発明の組成物を、まず、多孔性ポリマー粒子を溶媒、例えば水中に分散し、次に組成物の他の構成要素をこの分散体に添加することによって調製してもよい。しかし、組成物のいずれか所望の構成要素の、例えば、親水性化合物の水への分散体または溶液を調製することから始め、次にポリマー粒子を添加し、同時にまたは順に組成物中で考慮される他の化合物を添加することもできる。
【0150】
従って、本発明はまた、発明の組成物を調製する方法を提供し、ここでは、親水性化合物の水溶液と粒子ポリマーの水分散体とを混合し、または水溶性または水分散性親水性化合物を粒子ポリマーの水分散体と混合し、または粒子ポリマーを親水性化合物の水溶液中に分散する。
【0151】
親水性化合物とポリマー粒子との間の予め先に記載した分布平衡に依存して、親水性化合物の一部は、ポリマー粒子上にまたは内部に付着し、一方で親水性化合物の別の部分は水溶液または分散体中に残る。発明の方法の目的のために、好ましくは、前述のようにポリマー粒子を、発明の意味において「多孔性」である条件に変移させることが始めに必要であってもよい。最後に、好ましくは、ポリマー粒子を適当な溶媒、例えば水中で予め膨張させた後に、親水性化合物の添加を行う。しかし、別の可能な方法では、親水性化合物とポリマー粒子を同時に適当な溶媒に導入し、ポリマー粒子の膨張は親水性化合物の存在中で行う。
【0152】
本発明の別の実施態様の目的のためには、発明の組成物は、沈殿反応を介して生成される。最後に、ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物が、水溶性または水分散性親水性化合物または2以上の水溶性または水分散性親水性化合物からなる混合物とともに溶解可能な条件Aを用いて、まず、ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物を含有しかつ水溶性または水分散性親水性化合物または2以上の水溶性または水分散性親水性化合物からなる混合物を含有する溶液を調製する。
【0153】
得られた溶液を次に、ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物が不溶性となる条件Bに曝し、多孔性粒子ポリマーとして沈殿させる。
【0154】
条件AおよびBに適用される原則は、それらの選択が、AからBへの移行時に、溶解していたポリマーが沈殿して多孔性粒子ポリマーを与え、前述の条件に従って、少なくとも所定の期間、条件B下においた後には、多孔性粒子ポリマーを与えるようなものでなければならないということである。条件の選択はさらに、AからBへの移行時に、そのサイズが前述の要求に対応するポリマー粒子を生成するようなものでなければならない。
【0155】
従って、本発明はまた、発明の組成物を調製する方法を提供し、ここでは、ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物が、水溶性または水分散性親水性化合物または2以上の水溶性または水分散性親水性化合物からなる混合物とともに溶解可能な条件Aの下で、ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物を含有しかつ水溶性または水分散性親水性化合物または2以上の水溶性または水分散性親水性化合物からなる混合物を含有する溶液を調製し、溶液を次に、ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物が溶解性を有さない条件B下に曝し、粒子ポリマーとして沈殿させる。
【0156】
本発明の別の実施態様の目的のためには、発明の組成物は、エマルジョン処理を介して生成される。これでは、水に不溶性のポリマーを、前述のタイプの親水性化合物とともに、水と混和性のない溶媒に溶解し、次にこの溶液を水中に、好ましくは、乳化剤として作用する界面活性剤の存在中で、乳化させる。次に、水と混和性のない溶媒をエマルジョンから、例えば、真空を施すことによって除去する。水と混和性のない溶媒の除去は、ポリマーが粒子ポリマーとして存在する発明の組成物を与える。例えば、粒子サイズはこの処理では、エマルジョン中での液滴のサイズによって調節してもよく、これは乳化剤の特性およびその量および撹拌速度の選択を介して調節してもよい。
【0157】
従って、本発明はまた、発明の組成物を調製する方法を提供し、ここでは、水と混和性のない溶媒における親水性化合物とポリマーの溶液を水に乳化させ、エマルジョンを与え、次に水と混和性のない溶媒をエマルジョンから除去し、故に粒子ポリマーの分散体を与える。
【0158】
従って、AからBへの移行は、ポリマーが溶解可能である条件の変化を含む。発明の処理は、好ましくは、条件Aから条件Bへの変化が以下の変更の少なくとも1つを含むような方法で行われる:
a)pHの変更
b)溶媒の極性の変更
c)温度の変更
d)溶媒の量の変更。
【0159】
例えば、適当な処理の開示は、R.ボドメイヤー(Bodmeyer)ら、J.ミクロネンカプスレーション(Micronencapsulation)、1991、第8巻、No.2、161〜170に与えられ、この文献を参照してここにその表現を挿入し、引用文献の開示は本願の開示の一部と見なす。
【0160】
発明の組成物は、いずれの所望の表面上にフィルムを形成するのにも好適である。
【0161】
従って本発明はまた、発明の組成物から製造されたポリマーフィルムを提供する。
【0162】
本発明の目的では、「ポリマーフィルム」とは、表面上の実質的に連続的な堆積物である。発明のポリマーフィルムは、自己支持型でもよいが、本発明の目的では、「ポリマーフィルム」は一般に自己支持型でなく、表面上に配置された薄膜である。発明のポリマーフィルムの厚さは、約10nm〜約200μm、特に約50nm〜約100μmでもよい。発明のポリマーフィルムは、好ましくは、水に対して40°以下、例えば、30°以下または20°以下の接触角を有する。本発明の好ましい実施態様の目的のためには、発明のポリマーフィルムは水に対して10°以下の接触角を有する。
【0163】
発明のポリマーフィルムは、表面への発明の組成物の単純な塗布によって製造されてもよい。従って、本発明はまた、発明の組成物を表面に塗布し、組成物を薄膜化することによって発明のポリマーフィルムを製造する方法を提供する。
【0164】
好ましくは、発明のポリマーフィルムは、約50重量%以下、例えば、約30重量%以下の水を含有する。
【0165】
発明のポリマーフィルムでは、発明のポリマーフィルムを製造するために使用される組成物中に最初に存在する粒子ポリマーの割合は、少なくとも約20重量%、好ましくは少なくとも約30重量%、または少なくとも約35重量%である。
【0166】
親水性化合物の割合は少なくとも約10重量%、好ましくは少なくとも約20重量%、または少なくとも約30重量%である。
【0167】
発明のポリマーフィルムにおける最初の粒子ポリマーの親水性化合物に対する割合は、好ましくは約1:10〜約10:1、特に約1:5〜約5:1、または約1:3〜約3:1である。
【0168】
以下の実施例を用いて、本発明のさらなる例示を提供する。
【実施例】
【0169】
(実施例1)
5重量%のデヒポン(Dehypon)LS 54(製造元:コグニス(Cognis)ドイツ GmbH)を、10重量%強度のユードラジット(Eudragit)RS(ポリメチルメタクリレート−コ−アンモニオアルキルメタクリレート)のエタノール溶液に添加し、すべての材料が溶解するまず撹拌した。得られた溶液を3倍の量の水に導入し、この際、ポリマーは細かく分散した状態で沈殿した。粒子サイズ中央値は約150nmであった。得られた分散体をガラス板に塗布した。乾燥は透明なフィルムを与えた。湿潤時の水とのフィルムの接触角は10°以下であり、2分間、水流がフィルムを通過した後でさえ一定のままであった。この期間の後でのみ、接触角はゆっくりと増加した。
【0170】
(実施例2)
5重量%のデヒポン(Dehypon)LS 54(製造元:コグニス(Cognis)ドイツ GmbH)を、10重量%強度のユードラジット(Eudragit)RS(ポリメチルメタクリレート−コ−アンモニオアルキルメタクリレート)のエタノール溶液に添加し、すべての材料が溶解するまず撹拌した。得られた溶液を3倍の量の水に導入し、この際、ポリマーは細かく分散した状態で沈殿した。粒子サイズ中央値は約350nmであった。得られた分散体をガラス板に塗布した。乾燥は透明なフィルムを与えた。湿潤時の水とのフィルムの接触角は10°以下であり、2分間、水流がフィルムを通過した後でさえ一定のままであった。この期間の後でのみ、接触角はゆっくりと増加した。
【0171】
(実施例3)
市販入手可能なCDプレフォームをモデル基板として用いて、実施例1の分散体で、スプレイガンからのスプレイ塗布を介して、コートした。層が乾燥した後、ブラシを用いてコートしたプレフォームに、スラリー状のウルトラマリン顔料とカオリンパウダーを塗った。比較の目的のために、未処理のCDプレフォームに、同様に前述のスラリーを塗った。他に機械的作用を施すことなく、次に水流を1分間、コートされたプレフォームと未コートのプレフォームの両方を通過させた。乾燥後、未処理の基板上の汚れはほとんど変化がないのに対して、コートされた基板上の汚れは完璧に除去されることが明らかになった。被膜自身は無傷のままであった。
【0172】
(実施例4)
脱脂した1枚の窓ガラスの半分を実施例1の組成物からなる0.2μmの厚さのフィルムでコートし、残りの半分を未コートのまま残した。次にこの窓ガラス全体に、カーボンブラック、汚れおよび皮脂の0.1%強度の分散体を吹き付けた。ガラスシートのコート側上には、汚れ分散体の均一な湿潤と汚れ分散体の均質な流出が観察された。未コート側上では、ばらばらの湿潤膜があり、液体の孤立領域がガラス表面上に形成された。汚れ分散体が乾燥すると、汚れによって生じた僅かに認識可能なもやがコート側で観察されたのに対して、液滴のふちのはっきりとした形と全体により多量の汚れが未コート側に観察された。
【0173】
(実施例5)
50gのエチルアセテート、0.05gのn−デカン、1gのセルロースアセテートブチレート、および0.5gのデヒポン(Dehypon)LS 24からなる有機溶液を調製し、100gの脱イオン水および0.02gのSDS(テキサポン(Texapon)K 12)からなる水溶液も調製した。有機溶液を最初に充填し、水溶液をゆっくりと徐々に、ウルトラタラックス(UltraTurrax)の作用を用いて(約12000rpm)撹拌しながら、導入した。次に分散処理を約10分間続けた。これは安定で、乳白色のO/Wエマルジョン(導電性の測定によって裏付けられた)を与えた。次にエマルジョンを丸底フラスコに移し、溶媒を僅かに加熱し真空を施すことによって除去した。エチルアセテートの完全な除去は、安定で、乳白色の分散体を与えた。d50粒子サイズは250nmであった。分散体は、ガラス上にフィルムを形成し、均一で、僅かに曇ったフィルムを与えることができた。塗布処理の直後、フィルムは水に対して10°以下接触角を有した。

Claims (12)

  1. 水、多孔性粒子ポリマーまたは2以上のこのようなポリマーの混合物、および1000以下の分子量を有する少なくとも1つの水溶性または水分散性の親水性化合物または2以上のこれらからなる混合物を少なくとも含有する組成物であって、ポリマーの粒子サイズ中央値は1nm〜50μmであり、ポリマーの水溶性は40℃以下の温度で5〜8のpHで2g/l以下である組成物。
  2. 1または複数のポリマーの、1または複数の親水性化合物に対する重量比は、1:10〜10:1である請求項1に記載する組成物。
  3. ポリマー粒子の粒子サイズ中央値が20μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載する組成物。
  4. 組成物が親水性化合物としてノニオン性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載する組成物。
  5. 組成物が少なくとも20重量%の水を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載する組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載する組成物から得られうるポリマーフィルム。
  7. ポリマーフィルムは水に対して40°以下の接触角を有することを特徴とする請求項6に記載するポリマーフィルム。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載する組成物を表面に塗布し薄膜化する請求項6または7に記載するポリマーフィルムを製造する方法。
  9. 親水性化合物の水溶液と粒子ポリマーの水分散体とを混合し、または水溶性または水分散性親水性化合物を粒子ポリマーの水分散体と混合し、または粒子ポリマーを親水性化合物の水溶液中に分散する請求項1から5のいずれかに記載する組成物を調製する方法。
  10. ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物が、水溶性または水分散性親水性化合物または2以上の水溶性または水分散性親水性化合物からなる混合物とともに溶解可能な条件Aの下で、ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物を含有しかつ水溶性または水分散性親水性化合物または2以上の水溶性または水分散性親水性化合物からなる混合物を含有する溶液を調製し、溶液を次に、ポリマーまたは2以上のポリマーからなる混合物が溶解性を有さない条件B下に曝し、粒子ポリマーとして沈殿させる請求項1から5のいずれかに記載する組成物を調製する方法。
  11. 条件Aから条件Bへの変化が以下の変更の少なくとも1つを含む:
    a)pHの変更
    b)溶媒の極性の変更
    c)温度の変更
    d)溶媒の量の変更
    ことを特徴とする請求項10に記載する方法。
  12. 水と混和性のない溶媒における親水性化合物とポリマーの溶液を水に乳化させ、エマルジョンを与え、次に水と混和性のない溶媒をエマルジョンから除去し、故に粒子ポリマーの分散体を与える請求項1から5のいずれかに記載する組成物を調製する方法。
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