JP2005500482A - ポリマー積層金属構造から成るシール - Google Patents

Abstract

本発明の封止デバイスは、ポリマー物質を金属基板にデポジットして複合構造を形成し、この複合構造を封止デバイスの形に成形するという方法で製造される。こうして形成された封止デバイスは、金属基板から形成されたケーシング部材と、封止表面に対して載置されるための、ケーシング部材の表面に沿って配設されたポリマー物質から形成される封止エレメントを含む。本発明の封止デバイスは、いろいろな異なるタイプのシールに、例えば、リップ・シール、Ｌ字型シール、Ｕカップ・シール、などに成形することができ、それを活性化させても活性化させなくてもよい。本発明にしたがって、このようにプレ成形された複合構造を用いて製造される封止シールは、単一成型工程でシールを形成することができ、個々のシール部材を製作し形成し、その後で別々に形成されたシール部材を組み合わせたり又は接合したりする必要がない。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、積層構造から形成される封止デバイスに関し、詳しくはポリマー積層金属板構造から形成される封止デバイス、例えばシール・リング及びそれを形成する方法に関する。
【背景技術】
【０００２】
封止デバイス、例えばシール・リング、は、対向する面の間を封止するものとして当業者には周知である。このような封止デバイスを用いて、互いに静止している封止表面の間、及び／又は、互いに動く封止表面の間、例えば静止表面と動いている表面の間又は２つの動いている表面の間、を封止することができる。動的な封止の応用の一例としては、静止しているハウジングの表面と動いている回転又は往復運動する表面の間に配置されるシール・リングがある。
【０００３】
このような封止デバイスは、個々の封止用途に応じて異なる形態で構成できる。例えば、シール・リングはシール・ボディーから突出するように設計された１つ以上のリップ要素を含むリップ・シールの形態で構成したり、又はシール・リング内に配置された活性化部材によって押しつけられて動く封止表面に接触する１つ以上の封止エレメントを含む活性化（energized）シールの形態で構成したりできる。このようなシール・リングはオイル又はノン・オイルの封止用途に、又は何らかの気体又は流体の封止用途に使用できる。
【０００４】
リップ・シールは当業者には周知であり、非柔軟性の金属シール部材と比較的柔軟に変形できる、例えばポリマーの、シール部材を含むように構成できる。金属シール部材は、普通、所定のシール・グランド（gland）に嵌合しかつ非金属シール部材の取付基板となるように構成されたケーシングの形を取る。具体的に言うと、金属シール部材は、リング状のケーシングの形で、取り付けられるリップを形成する非金属シール部材に所定量の圧縮又は張力を生ずるように設計されている。場合によっては、このリング状ケーシングは、非金属シール・リップ部材を保持し所望の張力又は圧縮荷重を生ずるように組み合わせて取り付けられるいくつかの異なる非柔軟性の金属シール部材から形成される。
【０００５】
活性化（energized）シールも当業者には周知であり、個々のシール用途に応じて金属又は非金属材料から形成されるシール・ボディーと、シール・ボディー内に配置されてシール・ボディーの一部を動く封止表面に圧接させる活性化部材を含むように構成することができる。ある応用例では、活性化シールは、比較的柔軟な又は柔軟に形を変えるポリマー材料から形成される円環状のシール・ボディーと、Ｕ字型のシール・ボディーを画定するチャンネル内に配置された活性化部材を含む。特定の封止用途によるが、このようなＵ字型のシールを用いて、半径方向の封止表面を、例えば半径方向に整列した動く封止表面とシール・ボディーの内側又は外側直径表面の間に、又は軸方向の封止表面を、例えば軸方向に整列した動く封止表面とシール・ボディーの内側又は外側直径表面の間に、設けることができる。
【０００６】
このような公知のリップ・シール及び活性化シールは、異なるシール部材を形成する工程、例えば金属シール部材及び／又はポリマー・シール部材を形成する工程、と、それらの異なるシール部材をいっしょにして取り付ける工程を含む多工程プロセスによって形成される。例えば、当業者に公知のリップ・シールは、最初に機械加工及び／又は鋳造によって金属ケーシング（単一の金属エレメントであれ複数の金属エレメントであれ）を形成し、次に機械加工及び／又は鋳造によってポリマー・リップ部材を別に形成することによって製造される。金属部材とポリマー部材が別々に形成されたら、それらが通常の化学的及び／又は機械的取付方法にいっしょにして取り付けられる。このようにシール部材を別々に形成してそれらを組み合わせるという製造方法は時間がかかり多くの労力を必要とし、それが生産速度に影響し、生産コストも高くなる。
【０００７】
したがって、単純化された構造の封止デバイスであって、１つ以上の製造工程を省いて生産速度を高め、製造に要する労力及び／又は材料コストを軽減するような仕方で製造することが可能／容易な封止デバイスが必要とされている。また、そのような封止デバイスは、従来のシールに比べて封止性能を低下させることなくこの高い製造効率を達成できることが望まれる。さらにまた、そのような封止デバイスが、既存の封止ハウジング内に後付けで使用でき、封止ハウジングを何も改造せずに又は最小限の改造によって通常の封止デバイスと取り替えることができることが望ましい。
【発明の開示】
【０００８】
本発明の原理によって、封止デバイスはポリマー積層金属基板から成る予備成形された複合構造を成形（shape molding）して製造される。この封止デバイスは個々の封止用途に応じて異なる形に構成することができるが、一般に、硬いケーシング部材（構造の金属基板部分で形成される）と、それに取り付けられた比較的柔軟に形を変える封止エレメント（ポリマー物質によって形成される）とを備える。あるいはまた、本発明の封止デバイスは、金属基板が弾性部材であって柔軟に変形する封止エレメントに所望の荷重の力を及ぼすという形態で複合構造から構成することもできる。
【０００９】
このような積層又は複合構造から構成される封止デバイスは、シール・リングを製作する場合従来のやり方で製作される封止デバイスに比べて、（１）個々の封止部材を別々に製作し形成し（すなわち、ケーシング部材と封止エレメントを別に製作し形成し）、（２）その後、別々に作られた封止部材を結合又は組み立てるという必要がなくなるという製造上の利点がある。そして、本発明によれば、封止デバイスは２つの封止部材を同時に成形するという単純なプロセスで製造することができ、それによって労働コストの節約、材料コストの節約、と製造の生産効率の向上が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
本発明のこれらの及びその他の特徴と利点は、明細書、特許請求の範囲、及び図面を参照して理解が深まるにつれて明らかになるであろう。
【００１１】
本発明の封止デバイスは、比較的硬い、例えば金属の部材と、柔軟な、例えば非金属の部材とを有するシールリング又は線状シールの形態をとることができ、ポリマー材料が成形前に積層された基板から製造される。このようなポリマー積層基板構造を用いることによって、単一工程の成形によって比較的硬い部材と比較的柔軟な非金属部材の両方を備えたシールを形成することが可能になり、比較的硬い部材と柔軟な部材を別々に生成する工程、及びその後で別々に作られた２つの部材を一緒にして取り付ける工程が不要になり、その結果、製造に要する時間及び関連する労働コストが軽減される。
【００１２】
本発明の原理に従って製造される封止デバイスは、いろいろな形、例えばリング状シール、線状シール、などに構成することができる。例えば、シール・リングの形に構成される本発明の封止デバイスは、比較的柔軟性のない部材（シール・グランドとの静止係合面として用いられる）と比較的柔軟なポリマー部材（動的な封止表面を有する表面との係合面として用いられる）との両方を含む、リップ・シール、活性化シール、その他の周知のタイプのシールとして構成できる。したがって、本発明の具体的なシールとしての実施の形態を以下で説明するが、本発明によるシールとその製造方法は以下で具体的に説明するものと異なる形態でも構成できることは言うまでもない。
【００１３】
図１は、機械加工及び／又は成形（モールド）プロセスによって独立に形成され、その後いっしょに組み立てられる４つの独立なシール・エレメントから成るリップ・シール１０を示す。具体的に言うと、リップ・シール１０は、金属などの構造的に硬い材料から形成され、外側表面がシール・グランド内で静止封止表面に位置する形態を有する円環状の外側ケース１２を備える。この例では、外側ケース１２は軸方向に延在する表面１４、半径方向に延在する表面１６、及び軸方向に延在する表面１４の終端を画定する内側に突出したリップ１８を含む。一般に、残る３つのリップ・シール・エレメントはこの外側ケース１２内で半径方向に延在する表面１６と突出しているリップ１８の間に位置している。
【００１４】
図１において半径方向に延在する表面１６から離れるように右から左へ移動すると、リップ・シールは、金属、ポリマー、及び／又はエラストマー材料、例えばニトリル・エラストマー、から形成される円環ガスケット２０を含む。ガスケット２０は、その軸方向表面の１つに沿って外側ケース１２と、他方の軸方向表面に沿って封止エレメント２２との間に挟まれている。封止エレメント２２は、環状形態を有し、外側ケースの軸方向に延在する表面１４から半径方向内側に延在する。この例のリップ・シールの実施形態では、封止エレメント２２は、外側ケースの半径方向に延在する表面１６から離れる方向に外側へ９０度の屈曲部を有するように構成され、それがシールのリップ部分２４を形成している。封止エレメントは柔軟に変形する材料、例えばポリマー材料、から形成されることが好ましく、それが動的なシャフト表面に対して漏れのないシールとなる。
【００１５】
最後に、内側ケース２６が外側ケースの内部にあって封止エレメント２４と外側ケースの突出するリップ１８の間に挟まれている。内側ケースは、外側ケースの軸方向に延在する表面１４の一部に突き当たっている軸方向に延在する表面２８と、封止エレメント２４の軸方向表面に突き当たっている半径方向内側へ延在する表面３０を含む。内側ケース、外側ケース、及びガスケットは全体で、封止エレメントをリップ・シール内部に保持するように構成されている。さらに、内側ケース及び外側ケースは、リップ・シールをシール・グランド内に設置して使用するときに、動的なシャフト表面と封止的に係合するように封止エレメントに所望の圧縮荷重を加えてそれを維持するように構成される。
【００１６】
すぐ上で述べたように、このような従来技術によるリップ・シールは、個々に製造してその後いっしょにして組立なければならないいくつかの個別エレメントを含む。さらに、リップ・シールがその機能を十分に果たすためには、個別のエレメントを全て所定の製造許容誤差の範囲内で製造して適切に組立てたり組み合わせたりしなければならない。エレメントの寸法又は構成が不適切であったり、及び／又は、エレメントの組立が不適切であったりすると、リップ・シールが漏れのないシールにならなかったり、シールの使用寿命が短くなったりする。
【００１７】
図２は、ただ２つのエレメントから作られるという点で、上で説明した図１に示されたものと異なる別のタイプの従来技術によるリップ・シール３２を示している。この例の封止エレメントは、参照によって本明細書に取り込まれる米国特許第5,198,053号で開示されている。この例では、リップ・シールは、構造的に硬い材料、例えば金属、から形成され、半径方向に延在する表面３６と軸方向に延在する表面３８を有する環状ケース３４を含む。上記のリップ・シールのように、ケース３４はシール・グランドの静止表面に対して配置されるような形状の外側表面を有する。
【００１８】
封止エレメント４０は柔軟な材料、例えばポリマー及び／又は弾性材料で形成され、ケースの軸方向に延在する表面３８に沿って配置される。封止エレメント４０は、軸方向にある距離だけケースを超えて延在し、動的なシャフト表面と封止的に接触するように構成されたリップ４２を含む。封止エレメント４０とケースの間に適当な接着剤を挟み、それを用いて封止エレメントをケースに取り付ける。
【００１９】
この例の従来技術によるリップ・シール３２は、最初に金属ケースを形成するプロセスによって製造され、既知のシール・グランドに取り付けることができるようなケース形態を実現し、リップ・シールをシール・グランドに取り付けたときに封止エレメントに所望の荷重力を加えて動的なシャフト表面との接触が得られるようにする。封止エレメントは、この金属ケースとは別に、通常の成形プロセスによって製造することができる。ケースと封止エレメントを製造した後、封止エレメントは接着手段によって予め形成されたケースに取り付けられる。この従来技術によるリップ・シールは、組立を完成するのに必要なエレメントの数は図１のリップ・シールほど多くはないが、このリップ・シールを作る製造プロセスも、やはり、ケースと封止エレメントを機械加工及び／又は成形プロセスによって個別に作り、その後、個々のシール部材をいっしょにして組み立てるという多工程プロセスを必要とする。
【００２０】
シール・リングの製作に関連した製造及び組立の工程の数を減らすために、本発明のシール・リングはポリマー積層金属構造物から形成される。図３Ａは、本発明の原理によるシール・リングの製作に用いるのに適した積層構造の一例であって、比較的硬い基板５０上に所望の厚さのポリマー層４８が配置された積層構造４６を示す。ポリマー層４８は、特定の封止用途に応じて入手できるいくつかの異なるポリマーから形成することができ、完成したシール・リングの実施の形態ではポリマー層が封止エレメントの役目をする。
【００２１】
積層構造を形成するために使用できるポリマー材料の種類としては、例えば、比較的硬い基板表面に接着させることができる任意のタイプの有機ポリマーが含まれる。有機ポリマーの例としては次のものがあげられるが、それだけに限定されない：ポリエチレン；ニトリル・エラストマー；フッ素化ポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレン（ＰＴＦＥ）、フッ化エチレンープロピレン（ＦＥＰ）、パーフルオロアルコキシフルオロカーボン樹脂（ＰＦＡ）、ポリ塩化トリフルオロエチレン（ＰＣＴＦＥ）、エチレン−クロロトリフルオロエチレン・コポリマー（ＥＣＴＦＥ）、エチレン−テトラフルオロエチレン・コポリマー（ＥＴＦＥ）、ポリフッ化ビニリデン（ＰＶＤＦ）、ポリフッ化ビニル（ＰＶＦ）；アセタール；ポリカーボネート；ポリイミド；ポリエーテルイミド；ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）；ポリスルフォン（例えば、ポリエーテル・スルフォン）；ポリアミド（ナイロン）；ポリフェニレンスルフィド；ポリウレタン；ポリエステル；ポリフェニレンオキシド；及びそれらの混合物（例えば、コポリマー）及びアロイ。ポリマー層を形成するのに用いることができるその他の物質は、米国特許第5,573,846号；4,632,947号；及び5,971,617号に開示されており、これらは参照によって本明細書に取り込まれる。本例の実施の形態では、ポリマー層４８はＰＴＦＥから形成される。
【００２２】
ポリマー物質の他に、ポリマー層は、機械的強度、潤滑性、熱及び／又は電気伝導性、耐摩耗性、又は外観、例えば色、などいくつかの所望のシール性能や性質を持たせるために１つ以上の充填剤及び／又は顔料を含むことができる。例えば、ポリマー材料は、封止エレメントが低摩擦／耐摩耗性の表面を有することが望ましい場合、黒鉛などの潤滑剤を含むことができる。充填剤の例としては、黒鉛、炭素、酸化アルミニウム、セラミック物質、ガラス、ブロンズ、二硫化モリブデン、炭化ケイ素、芳香族ポリエステル、フッ素化ポリマー、及びそれらの混合物、があげられるが、それだけに限定されない。ポリマー材料相を形成するのに用いられる充填剤及び／又は顔料の比率は、選択されるポリマー物質のタイプ及び個々の封止用途のタイプによって異なることは言うまでもない。
【００２３】
ポリマー材料層４８は、基板５０との間に挟まれる適当な接着剤（bonding agent）５２を用いて基板５０に接着される。接着剤は、基板及びポリマー層表面と容易に馴染んでそれらの接着を助ける。適当な接着剤としては、ＰＦＡ、ＭＦＡ、ＥＴＦＥ、ＦＥＰ、ＰＣＴＦＥ、ＰＶＤＦなどのフッ素化ポリマー、エポキシ、ポリイミド接着剤などの硬化性接着剤、ＥＶＡやポリエーテル／ポリアミド・コポリマー（Ｐｅｂｏｘ）などの低温ホットメルト、があげられる。適当な接着剤の例は、米国特許第5,573,846号及び5,971,617号に開示されている。ある実施の形態の例では、ポリマー物質がＰＴＦＥであり、適当な接着剤は、ＰＦＡやＥＴＦＥなどいくつかの熱可塑性プラスチックフィルム物質のいずれであってもよい。
【００２４】
基板５０は、封止用途で要求される特定の性質に応じていくつかの異なる材料の１つから形成することができる。基板物質の例としては、鋼、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、通常の引き抜き品質等級の板鋼、真鍮その他の合金、があげられる。基板は、また、プラスチック、セラミック、又はガラス及び／又は炭素ファイバーを用いた複合材料から形成することもできる。基板表面は処理しないままであっても、亜鉛めっき、クロム又はリン酸化処理、陽極処理、機械的なサンドブラスティング又はエッチング、及び／又は化学的な酸洗い、などによって処理してもよい。適当な基板物質の例は、米国特許第5,573,846号及び5,971,617号に開示されている。基板は、平坦で、例えば板の形であっても、非平面的で、例えば曲面又は管状の形態であってもよい。
【００２５】
ある実施の形態の例では、ポリマー積層構造は、製品名Norglideの下でSaint Gobain Corporation から入手できるＰＴＦＥ積層金属板という形態である。望む場合、ポリマー積層構造は、例えば基板表面をその後の取り扱いのさいに基板表面が損傷するのを防ぐために、基板５０の露出した表面にかぶせられる別の（オプションの）カバー層５４を含むことができる。カバー層５４は上で開示されているタイプの接着剤から選ばれた接着剤５２を用いて基板に接着される。
【００２６】
さらに、ポリマー積層構造は米国特許第5,971,617号に開示されているような特定の表面処理を施されたポリマー積層構造によって構成することもできる。図３Ｂは、このような積層構造５５の実施の形態の例を示しており、ポリマー物質層４８は、上向きに延びている一定の表面形態の突起構造５７を有するように構成される。この特定の実施の形態では、突起構造は形が六角形である。しかし、ポリマー物質層の具体的な形態は、個々の封止デバイスの構成及び個々の封止用途に応じて異なることは言うまでもない。
【００２７】
積層構造は、接着剤及びポリマー層を適当なスプレー、浸漬、その他のコート方法によって基板に適用して作られる。積層構造を作る方法は米国特許第5,573,846号、及び5,971,617号に開示されている。積層構造のポリマー層の厚さは個々の封止用途及びポリマー物質の選択によって異なる。
【００２８】
ある実施の形態の例では、標準的な封止用途で、ポリマー層の厚さは0.1 mmから2 mmの範囲にある。さらに、基板は、層の厚さが選ばれた個々の材料及び封止用途によって異なる。例えば、基板の層は、シール・グランド内部にシールを取り付ける役目をするシールの外側ケーシングとして、及び封止エレメントに所望の圧縮又は荷重力を加える手段として用いられるので、基板の厚さを決める時にはこの両方の機能を考慮に入れなければならない。ある実施の形態の例では、基板が金属板の形のとき、基板の厚さは0.05 mmから2 mmまでの範囲にある。
【００２９】
図４は、本発明の原理にしたがって、リップ・シール５６の形で構成されたシール・リングを示す。リップ・シール５６は、図３で説明したようにポリマー積層構造から構成されたシール・ボディーを含む。リップ・シール・ボディーは、金属基板５８と、基板の少なくとも一部に接着された封止ポリマー・コンパウンド６０の低摩擦層を含む。封止ポリマー・コンパウンド６０は、封止表面に弾力的に接触してそこに漏れのないシールを提供する。封止表面は、封止ポリマー・コンパウンド６０に対して静止していても動いていてもよい。
【００３０】
金属基板５８はシール・グランドへの取付を容易にし、また動くシャフト面などの封止表面に取り付けられたときに封止ポリマー・コンパウンド６０に所望の圧縮又は荷重力を加えるように構成された硬いケーシングの形である。この特定の実施の形態では、ケーシング５８は、軸方向に延在する表面６２を含み、それはアールがついた部分を経てほぼ９０度方向を変えて半径方向に延在する表面６４に移行する。これはリップ・シールの形態のほんの一例であり、他のリップ・シール形態も本発明の範囲内にあることは言うまでもない。
【００３１】
封止ポリマー・コンパウンド６０は、動くシャフト表面と係合するように取り付けられたときに漏れのないシールを生ずるように構成された封止エレメントの形になる。封止エレメントは、軸方向及び半径方向に延在する表面６２と６４に沿ってケーシングに接着され、内向きに突出している部分６６を含み、それはケーシングの内径６８を超えて延在し封止リップ７０で終端する。
【００３２】
このリップ・シールの重要な特徴は、それがシールを形成する前に既に２層構造になった積層構造から作られるということである。すなわち、このような積層構造を使用することによって、シール部材を別々に形成してその後で別々のシール部材をいっしょにして組み立てるという必要なくリップ・シールを形成することが可能になる。本発明のリップ・シールは、単に予め組み合わされたポリマー層と基板を含む積層構造を用意し、その予め組み合わされた積層構造を成形し、切断して所望のシール形態にすることで製造される。このようにして積層構造からシールを製造できることで、従来の方法によって従来の材料からシールを作る場合に比べてシールの生産速度が増大し労働コストが軽減されるという形で製造効率が高められる。
【００３３】
このような積層構造から形成されるリップ・シールは、型打ち抜き、ダイ成形、圧縮エンボシング、固体又は流体ハイドロフォーミング、化学的エッチング、コヒーレント光レーザー切断、又は流体ジェット切断を含む、又は含まない加工方法によって製造できる。これらの方法を用いて、又は用いずに、接着された平坦な材料ストック及び／又は予備成形されたブランク（blank）から最終製品が形成される。
【００３４】
図４に示されたリップ・シールをシール・リングの形態について記述してきたが、同じ一般的な断面形態を有する線状シールを構成することもできる。ここで用いる場合、線状シールという用語は、互いに同心的でない２つの隣接する封止部材の間で用いられる封止デバイスを意味するものとする。線状シールの応用の一例は、航空機のドア用のものであり、ドアと航空機の胴体の間を漏れのないように封止するためにこのシールが用いられる。
【００３５】
図５Ａから５Ｃまでは、本発明の原理にしたがってポリマー積層構造から構成されたリップ・シールの別の実施の形態を示す。図５Ａは、シール・グランド又は溝７３内に取付けられたリップ・シール７２を示しており、これは内向きに配置された硬いケーシング部材７４の形の金属基板を有するシール・ボディーと、ケーシング部材とシール・グランド７３の間に挟まれてソフト保持の封止インターフェースとなる封止エレメント７６の形の外向きに配置された封止ポリマー・コンパウンドの低摩擦層とを含む。このリップ・シール実施形態では、ケーシング部材７４は、封止エレメント７６に対して内側を補強し、シール・グランド７３の表面及び動的な封止表面７８へ封止エレメントを付勢するように設計されている。図４に示されている上述のリップ・シール実施形態と同様に、このリップ・シールの封止エレメントも硬いケーシング部材７４から外側へ突出した封止リップ８０を含み、これによって動的な封止表面７８に対して漏れのない柔軟なシールが得られる。
【００３６】
図５Ｂは、シール・グランド又は溝８４内に取付けられたリップ・シール８２を示しており、これは外向きに配置された硬いケーシング部材８６の形の金属基板を有するシール・ボディーと、封止エレメント８８の形の内向きに配置された封止ポリマー・コンパウンドの低摩擦層とを含む。この特定のリップ・シール実施形態では、ケーシング部材８６がシール・グランド８４と封止表面８８の間に挟まれて金属保持の封止インターフェースとなる。このリップ・シール実施形態では、ケーシング部材８６が封止エレメント８８に対して外側を補強し動的な封止表面９０へ封止エレメントを付勢するように設計されている。上述のリップ・シール実施形態と同様に、このリップ・シール８２の封止エレメントも硬いケーシング部材８６から外側へ突出した封止リップ９２を含み、これによって動的な封止表面９０に対して漏れのない柔軟なシールが得られる。
【００３７】
図５Ｃは、シール・グランド又は溝９６内に取付けられたリップ・シール９４を示しており、図５Ｂのリップ・シールと同様に、これは外向きに配置された硬いケーシング部材９６の形の金属基板を有するシール・ボディーと、封止エレメント９８の形の内向きに配置された封止ポリマー・コンパウンドの低摩擦層とを含む。本発明のこの実施形態によるリップ・シールも、封止エレメント９８の設計を除いて図５Ｂに示された上述のものと同様である。具体的に言うと、封止エレメントは、ケーシング部材９６から外側へ一部が突出し、それは動的な封止表面１０８に対する封止性能を向上させるために設けられたいくつかの望ましい表面特徴を含んでいる。
【００３８】
例えば、リップ封止エレメント９８は、エンボスその他の処理をされて、封止エレメント表面に沿って半径方向に繰り返す間隙を持って配向した又はそれ以上の峰や溝１０２を有する外側表面１００を有することができる。そのような態様の例では、外側表面１００はそれに沿って設けた複数のネジ山１０２を有する形状であり、封止上流背面からのすべての漏出流体を流体力学的リップネジ山として作用するシャフト表面に沿って動かすように設計されている。この所望の表面形態は冷間成形された流体力学的エンボス加工その他の公知の表面処理方法で提供することができる。
【００３９】
図５Ａから５Ｃまでに示された上述の各リップ・シールは、図４に示されたリップ・シールについて上述したと同じ仕方で、すなわち、ポリマー積層金属板ストック材料から、製造される。
【００４０】
さらに、リップ・シールは、封止リップ１０６を動的な封止表面１０８との封止的な接触に向けてさらに付勢するために、封止リップ１０６に隣接する位置に荷重手段１０６をもつ封止エレメント９８を有するように構成することができる。ある実施の形態の例では、リップ・シールは、封止リップ１０２がリップに対して直角方向に外側へ突出して荷重手段をそこに保持するように構成された突起部（ridge）１１０をもつように構成される。この実施形態の例では、荷重手段１０４は荷重ばねの形、例えば金属ガーター荷重ばね、であり、それが封止エレメントの内側表面のまわりに半径方向に延在し、突起部１１０との係合によってそこに保持される。上述のように、荷重ばねは、封止エレメントの封止リップ部分を動的な封止表面へ付勢して漏れのないシールをそれとの間に確保するのを助ける。
【００４１】
図６は、本発明のある実施の形態の例による封止デバイス１０９であって、積層金属板ストック材料の金属基板部分１１０がばね座金（スプリングワッシャー）の形に構成されたものを示す。この特定の例は、連続構造を有するように、すなわち、ばねを形成する個々の基板部材が互いに取り付けられた形で構成されているが、本発明の範囲内で、個々の封止デバイス形態及び／又は封止用途によって基板はいろいろな異なる仕方で（独立な又は連続／一体化した基板部材を含んで）構成できることは言うまでもない。
【００４２】
金属基板から形成される荷重手段を含む本発明の封止デバイスは、いくつかの異なる仕方で形成できる。例えば、金属基板は、レーザーやその他のタイプの切断又はパターン形成方法によって所望の荷重手段の形態に構成することができる。次にこうして形成された荷重手段をポリマー材料で積層し、さらに積層構造を成形して、所望の形態の封止デバイスにする。あるいはまた、金属基板は、ポリマー積層構造を形成した後エッチングや他の同等な方法で、所望の荷重ばねの形態に構成することもできる。こうして形成されたポリマー積層構造をさらに成形して所望の封止デバイス形態にする。
【００４３】
図７は、本発明の原理にしたがって、シール外側直径及び内側直径対向形態の両方で用いられるリング・シールの形に構成されたＬ字状の封止デバイス実施形態１１２を示す。このようなＬ字状のシール・リング実施形態は、内側直径封止表面（すなわち、円筒形のボア）又は外側直径封止表面（円柱シャフト）と円柱表面の軸に対して直角な同心表面の間をシールするために用いられる。
【００４４】
Ｌ字状のシール・リング１１４は、それぞれがＬ字状の形態を有しそれぞれのシール・グランド１１６内に配置される。シール・リング１１４は、両方共、上述したポリマー積層金属構造から、すなわち、ある好ましい実施の形態では金属板ストックから形成され、硬い金属ケーシング１１８を有するシール・ボディーとそれに積層された封止エレメント１２０を含む。前と同様に、硬い金属ケーシング１１８は、シール・リングに必要な形を与え、封止エレメントを反対方向に配向した動的な表面（図示せず）に誘導するように構成されている。このようなＬ字状のシール・リングは、本発明のリップ・シール実施形態について上述したと同じ仕方で、すなわち、適当な成形方法によって製造される。さらに、本発明のＬ字状シールをシール・リングの形態について記述してきたが、本発明のＬ字状シールは２つの非円筒表面の間をシールする線状のものであってもよいことは言うまでもない。
【００４５】
図８Ａと８Ｂは、本発明の原理に従って製造される軸方向Ｕカップ封止デバイスの実施の形態を示しており、これは普通、平行な平坦表面の間をシールするのに用いられる。具体的に言うと、図８Ａは、内側に向いた軸方向シール・グランド１２４に配置されたＵカップ・シール・リング１２２を示している。このＵカップ・シール・リングは、上述のポリマー積層金属構造から、すなわち、ある好ましい実施の形態では金属板ストックから、“Ｕ”の形に構成され、内側に配置された硬い金属ケーシング１２６を有するシール・ボディーと、このケーシングに積層されシール・グランド１２４とケーシングの間にあるポリマー封止エレメント１２８を含む。シール・リング１２２は、シール・グランド１２４内で第１の軸方向に向いた表面１３０が隣接するシール・グランドの表面に当接し第２の軸方向に向いた表面１３２が動的な封止表面１３４に当接するように配置される。金属ケーシング１２４は、シール・リングに必要な形を与え、封止エレメント１２８の軸方向に向いた表面をそれぞれグランド表面及び動的な封止表面へ誘導するように構成されている。
【００４６】
図８Ｂは、外側に向いた軸方向シール・グランド１３８に配置されたＵカップ・シール・リング１３６を示している。図８ａに示されたシール・リング実施形態と同様に、このＵカップ・シール・リングも、上述のポリマー積層金属構造から、すなわち、ある好ましい実施の形態では金属板ストックから、“Ｕ”の形に構成され、内側に配置された硬い金属ケーシング１４０を有するシール・ボディーと、シール・グランド１３８とケーシングの間にありこのケーシングに積層されたポリマー封止エレメント１４２を含む。シール・リング１３６は、シール・グランド内で第１の軸方向に向いた表面１４４が隣接するシール・グランドの表面に当接し第２の軸方向に向いた表面１４６が動的な封止表面１４８に当接するように配置される。金属ケーシング１４０は、シール・リングに必要な形を与え、封止エレメント１４２の軸方向に向いた表面をそれぞれグランド表面及び動的な封止表面へ誘導するように構成される。
【００４７】
ある実施の形態の例では、図８Ａ及び８Ｂのシール・リングは円筒状部材の軸方向端部内に位置するシール・グランド内に、隣接して位置するピストン部材の軸方向端面に対して所望のシールが得られるように配置される。あるいはまた、シール・リングは、ピストン部材の軸方向端部内に位置するシール・グランド内に、隣接して位置する円筒状部材の軸方向端面に対して所望のシールが得られるように配置される。
【００４８】
図９Ａは、面部材１５４と１５６によって形成される半径方向分割シール・グランド内に配置された本発明のラジアルＵカップ・シール・リング１５０を示す。本発明のラジアルＵカップ・シール・リングは普通、２つの異なる同心的に並んだ表面の間の空所をシールするのに用いられる。このＵカップ・シール・リングは、上述のポリマー積層金属構造から、すなわち、ある好ましい実施の形態では金属板ストックから、“Ｕ”の形に構成され、内側に配置された硬い金属ケーシング１５８を有するシール・ボディーと、このケーシングに積層されシール・グランド１５２とケーシングの間にあるポリマー封止エレメント１６０を含む。シール・リング１５０は、第１の半径方向に向いた表面１６２が隣接するシール・グランドの表面に当接し第２の半径方向に向いた表面１６４が動的な封止表面１６６に当接するようにシール・グランド内に配置される。金属ケーシング１５８は、シール・リングに必要な形を与え、封止エレメント１６０の半径方向に向いた表面をそれぞれグランド表面及び動的な封止表面へ誘導するように構成される。
【００４９】
ある実施形態の例では、図９Ａのシール・リングは円筒状部材の内径に沿って位置するシール・グランド内に、同心的に位置するピストン部材の表面に対して所望のシールが得られるように配置される。あるいはまた、シール・リングがピストン部材の外側直径に沿って位置するシール・グランド内に、同心的に位置する円筒状部材の表面に対して所望のシールが得られるように配置される。
【００５０】
図９Ｂは、本発明のＵカップ・シール・リング１６７を示しており、これは図８Ａ、８Ｂ、及び９Ａに示された上述のものと多少似ているが、１つ以上の軸方向に向いた端部を含み、それが半径方向外側へ配置されて封止リップ１６９を形成するという点で異なる。この封止リップは個々の封止用途に応じてシール・リングの内側直径及び／又は外側直径上に位置させることができる。
【００５１】
図８Ａ、８Ｂ及び９に示した上述のＵカップ・シール・リングの各実施形態は、本発明のリップ・シール実施形態について上で述べたと同じ仕方で、すなわち、適当な成形方法によって、製造される。ある実施の形態の例では、このようなＵカップ・シールが積層構造から、例えば金属板ストックから、押し抜き（パンチング）、又は固体−流体ハイドロフォーミング、又は他の成形方法によって形成される。このプロセスは、サーマル・エンハンスメント（thermal enhancement）、化学的エッチング、コヒーレント光レーザー切断、又は流体ジェット切断を用いて行っても、用いなくてもよい。
【００５２】
説明され図示された本発明の他の封止デバイスと同様、Ｕカップ・シールも円形の封止表面以外の間のシールを与える線状形態を有するように構成することができる。
【００５３】
図１０は、上で説明して図４に示したものと同様なリップ・シール１７０の形のシール・リングを示す。リップ・シール１７０は、上述した図３に示したようなポリマー積層構造から構成されたシール・ボディーを含む。リップ・シール・ボディーは金属基板１７２と、基板の少なくとも一部に接着された封止ポリマー・コンパウンド１７４の低摩擦層を含む。封止ポリマー・コンパウンド１７４は封止表面に弾力的に接触して、そこに漏れのないシールを与える。封止表面は封止ポリマー・コンパウンド１７４に対して静止していても動いていてもよい。
【００５４】
金属基板１７２は、シール・グランドへの取付を容易にすると同時に、動くシャフト表面などの封止表面に取り付けられたときに封止ポリマー・コンパウンド１７４に所望の圧縮又は荷重力を加えるように構成された硬いケーシングの形をしている。封止ポリマー・コンパウンド１７４は、動くシャフト表面に係合したときに漏れのないシールを与えるように構成された封止エレメントの形をしている。封止エレメントは軸方向及び半径方向に延在する表面１７６と１７８に沿ってケーシングに接着され、内側に突出する部分１８０を含み、これはケーシング内径１８２を超えて延在し、封止リップ１８４で終端する。
【００５５】
この特定の実施形態では、ケーシング１７２内側直径端部１８２が、封止エレメントに対して所望の付勢力を加えるために設けられた軸方向の曲がり又は“キック”を有するように構成される。この曲がりは、封止エレメントを軸方向前方に付勢することを助けるものであり、それはシールの封止性能を高めるために望ましい。この曲がりは、成形プロセスで与えることができる。
【００５６】
図１１は、本発明の原理にしたがって、２つの積層構造を接合して、図３で示され上で述べたように構成されるシール・リング１８６を示す。この特定のシール・リング実施形態では、リップ・シール・ボディーは、互いに嵌合するように構成され、互いの外側直径端部１９２で接合された２つの金属基板１８８と１９０を含む。金属基板は通常の金属接合方法出、例えばスポット溶接又は接着剤結合によって、接合させることができる。シール・リングは、二重封止ポリマー・コンパウンド１９２と１９４を、それぞれの金属基板１８８と１９０に接着された封止エレメントという形で含む。金属基板は、シール・リングに所望の形を与えてシール・グランドへの取付を容易にすると共に、封止ポリマー・コンパウンド１９２と１９４が動的なシャフト表面などの封止表面に取り付けられたときにそれに所望の圧縮又は荷重力を加えるように構成される。
【００５７】
この特定の実施形態では、封止エレメント１９２がシール・リングの外側直径を形成していた。ポリマー・コンパウンドを用いてシール・リングの外側直径を形成することは、シール・リングとの適切な嵌合を確保するために比較的柔軟なシール・リング表面が必要であるいくつかの用途では望ましいかもしれない。この実施形態の例では、封止エレメントは、それぞれの金属基板から軸方向に反対の向きに突出している。各封止エレメントは、軸方向外側に突出する部分１９６と１９８を含み、それらは各々それぞれの金属基板の内側直径２００と２０２を超えて延在する。各封止エレメントは封止リップ２０４と２０６を含み、それらはそれぞれの突出部分の終端を画定している。
【００５８】
二重封止エレメントを含むシール・リングは、主（primary）シールの他に、望ましくない破片を主シールから遠ざけてシールの有効使用寿命を延ばすように使用するためにワイパー・シールを必要とする用途で望ましいかもしれない。二重封止エレメントを含むシール・リングは、上で述べたと同じ仕方で、同じ材料から、単一成形工程で作られる。しかし、形成された２つのシール・リングをいっしょに組み合わせるという付加的な工程が必要である。
【００５９】
図１２は、金属基板２１０の１つが軸方向に向いた曲がり又は“キック”を有する内側直径端部２１２を有することを除いて上で述べ図１１に示されたものと同様なシール・リング２０８を示す。この曲がりは、封止エレメントを軸方向前方に付勢するのを助けるために所望の付勢力を封止エレメント２１４に加えるために設けられるものであり、シールの封止性能を高めるために望ましい。この曲がりは成形のプロセスで与えることができる。
【００６０】
図１３は、本発明の原理にしたがって、上で述べ図３に示されたような接合された２つのポリマー積層構造から構成されるシール・リング２１６を示す。この特定のシール・リング実施形態は、上で述べ図１１に示されたものと同様であるが、部分金属基板２１８と封止エレメント２２０の対を含むという点が、すなわち、金属基板とそれぞれの封止エレメントが同じ長さでないという点だけが異なっている。この実施の形態では、金属基板２１８は金属基板２２２を追従する軸方向に突出する部分を含まないので、金属基板２１８と２２２は一部の長さに沿って接合されているだけである。したがって、金属基板２２２がシール・グランドなどに嵌合するシール・リングの外側直径を画定する。さらに、この実施の形態では、封止エレメント２２０も、封止エレメント２２４のような軸方向に突出した部分を含まない。
【００６１】
金属基板２１８と２２２どうしは、通常の方法、例えば溶接又は接着結合、によって一緒に取り付けられ、隣接して位置する半径方向に突出する部分２２６と２２８に沿って一緒に取り付けられる。ある実施形態の例では、金属基板どうしは溶接され、溶接区域へのアクセスは封止エレメント２２０を通って配置された開口によって与えられる。
【００６２】
図１１に示されたリング・シール実施形態と同様に、封止エレメントは軸方向でそれぞれの金属基板から反対方向へ突出している。各封止エレメントは軸方向外側へ突出する部分２３２と２３４を含み、どちらもそれぞれの金属基板内側直径２３６と２３８を超えて延在している。各封止エレメントは封止リップ２０４と２０６を含み、それらがそれぞれの突出部分の終端を画定する。
【００６３】
図１４は、本発明の原理にしたがって、上で述べ図３に示したような接合された２つのポリマー積層構造から構成されるシール・リング２４４を示す。この特定のシール・リング実施形態は、上で述べ図１３に示したものと同様であるが、金属基板２４６が内側直径端部２４８を含み、それが封止エレメント２５０に所望の付勢力を加えるように設けられた軸方向に向いた曲がり又は“キック”を有するように構成されているという点だけが異なっている。この曲がりは、封止エレメント２５０を軸方向前方に付勢することを助けるものであり、それはシールの封止性能を高めるために望ましい。この曲がりは成形のプロセスで与えることができる。
【００６４】
図１５は、本発明の原理にしたがって、上で述べ図３に示したような接合された２つのポリマー積層構造から構成されるシール・リング２５２を示す。この特定のシール・リング実施形態では、リップ・シール・ボディーは、２つの金属基板２５４と２５６，及び封止エレメントを形成するそれぞれの封止ポリマー・コンパウンド２５８と２６０を含む。図１１に示されたシール・リング実施形態と異なり、この実施形態のシール・リングは金属基板同士が接合されず、また外側直径がポリマー・コンパウンドによって形成されていない。むしろ、金属基板２５４と２５６は封止エレメント２５８で隔てられており、シール・リングの外側直径は金属基板２５４によって形成される。
【００６５】
シール・リング２５２を構成する２つの金属基板とポリマー・コンパウンドの対は、溶接又は接着ではなく、機械的なインターロックによって接合される。この例では、２つの対は、通常の圧延と縁曲げ（crimping）という方法によって接合される。具体的に言うと、金属基板２５６は、金属基板２５４と封止エレメント２５８の対の軸方向及び半径方向の寸法内に嵌合するサイズ及び形に作られる。金属基板２５６とその封止エレメント２６０は、金属基板２５４の外側直径端部２６２を半径方向内側へ曲げて封止エレメント２５８に突き当たる位置にロックされ、封止エレメント２５８の端部２６４が金属基板２５６の端部２６６へ付勢される。この付勢力が、２つの対の間の機械的ロックを形成するように働く。
【００６６】
図１１のシール・リング実施形態と同様に、金属基板はシール・リングに所望の形を与えて、シール・グランドへの取付けを容易にすると共に、動的なシャフト表面などの封止表面に取り付けられたときに封止コンパウンド２６８と２７０に対して所望の圧縮又は荷重力を加えるように構成される。封止エレメントはそれぞれの金属基板から軸方向反対の向きに突出している。封止エレメントはそれぞれの金属基板から軸方向外側に突出する部分を含み、それらは各々金属基板の内側直径端部２７２と２７４を超えて延在し、さらにそれぞれの突出部分の終端を画定する封止リップ２７６と２７８を含む。
【００６７】
この実施の形態によって構成される二重封止エレメントを含むシール・リングは、上で述べたと同じ仕方で同じ材料から、すなわち、単一成形工程によって、作られる。しかし、形成された２つのシール・リングを１つに組み合わせる付加的工程が必要である。
【００６８】
図１６は、本発明の原理にしたがって、上で述べ図３に示したような接合された２つのポリマー積層構造から構成されるシール・リング２８０を示す。この特定のシール・リング実施形態は、上で述べ図１５に示したものと同様であるが、金属基板２８２が、封止エレメント２８６に所望の付勢力を加えるために設けられた軸方向に向いた曲がり又は“キック”を有するように構成された内側直径端部２８４を含む点だけが異なっている。この曲がりは、封止エレメント２８６を軸方向前方に付勢することを助けるものであり、それはシールの封止性能を高めるために望ましい。この曲がりは成形のプロセスで与えることができる。
【００６９】
図１７は、本発明の原理にしたがって、上で述べ図３に示したような接合された２つのポリマー積層構造から構成されるシール・リング２８８を示す。この特定のシール・リング実施形態では、リップ・シール・ボディーは、２つの金属基板２９０と２９２，及び封止エレメントを形成するそれぞれの封止ポリマー・コンパウンド２９４と２９６を含む。図１１に示されたシール・リング実施形態と異なり、この実施形態のシール・リングも金属基板同士が接合されず、また外側直径がポリマー・コンパウンドによって形成されていない。むしろ、シール・リングの外側直径は金属基板２９０によって形成され、２つの封止エレメント２９４と２９６は接合されて２つの金属基板の間にある。
【００７０】
上で述べ図１５で示したシール・リング実施形態と同様、シール・リング２８８を構成する金属基板とポリマー・コンパウンドの２つの対は、溶接又は接着ではなく、機械的なインターロックによって接合される。この例では、２つの対は、通常の圧延（rolling）と縁曲げ（crimping）という方法によって接合される。具体的に言うと、金属基板２９２は、金属基板２９０と封止エレメント２９４の対の軸方向及び半径方向の寸法内に嵌合するサイズ及び形に作られる。金属基板２９２とその封止エレメント２９６は、金属基板２９０の外側直径端部２９８を半径方向内側へ曲げて封止エレメント２９０に突き当たる位置にロックされ、封止エレメント２９４の端部３００が金属基板２９６の端部３０２へ付勢される。この付勢力が、２つの対の間の機械的ロックを形成するように働く。
【００７１】
上で説明し図示した他のシール・リング実施形態と同様に、金属基板はシール・リングに所望の形を与えて、シール・グランドへの取付けを容易にすると共に、動的なシャフト表面などの封止表面に取り付けられたときに封止コンパウンド２９４と２９６に対して所望の圧縮又は荷重力を加えるように構成される。封止エレメントはそれぞれの金属基板から軸方向反対の向きに突出する。各封止エレメントは軸方向外側へ突出する部分を含み、それらは各々金属基板の内側直径端部３０４と３０６を超えて延在し、さらにそれぞれの突出部分の終端を画定する封止リップ３０８と３１０を含む。この実施の形態によって構成される二重封止エレメントを含むシール・リングは、上で述べたと同じ仕方で同じ材料から、すなわち、単一成形工程によって、作られる。しかし、形成された２つのシール・リングを１つに組み合わせる付加的工程が必要である。
【００７２】
図１８は、本発明の原理にしたがって、上で説明し図３に示したような接合された２つのポリマー積層構造から構成されるシール・リング３１２を示す。図１１に示された実施形態と同様に、このリング・シール実施形態でも、シール・ボディーは、互いに適合するように構成され、互いの外側直径端部３１８で接合された２つの金属基板３１４と３１６を含む。金属基板３１４と３１６は通常の金属接合方法出、例えばスポット溶接又は接着剤結合によって、接合させることができる。シール・リングは、二重封止ポリマー・コンパウンド３２０と３２２を、それぞれの金属基板１８８と１９０に接着された封止エレメントという形で含む。金属基板は、シール・リングに所望の形を与えてシール・グランドへの取付を容易にすると共に、封止ポリマー・コンパウンド３２０と３２２が動的なシャフト表面などの封止表面に取り付けられたときにそれに所望の圧縮又は荷重力を加えるように構成される。
【００７３】
このリング・シールは図１１に示されたものと同様であるが、封止エレメント３２０と３２２の両方が突出する部分３２４と３２６を含み、それらが軸方向で反対向きではなく同じ向きになっていることだけが異なる。さらに、金属基板３１４と３１６は異なるサイズの、すなわち、異なる長さの、内側直径端部３２８と３３０を有するように構成されている。具体的には、金属基板３１４は、半径方向内側へ金属基板内側直径端部３３０よりも大きな距離突出した内側直径端部３２８を有するように構成される。これは、封止エレメント３２０に対する所望の付勢力を加え、それによって封止エレメントの突出部分３２４が封止表面に接触して配置されたときの半径方向外側への曲がりをコントロールするために行われる。本発明の他の二重封止エレメント・リング・シール実施形態と同様に、各封止エレメントはそれぞれの突出部分の終端を画定する封止リップ３３２と３３４を含む。
【００７４】
図１９は、上で説明し図１０に示したものと同様なリップ・シール３３６の形のシール・リングを示す。この実施形態のシール・リングは、封止エレメントを形成する封止ポリマー・コンパウンド３３８を含み、これは複数のねじ溝が、例えば図５Ｃに示したように配置された形態の封止表面３４２を有する突出部分３４０を含む。具体的には、封止表面３４２はシールから漏れ出す流体にポンプ作用を及ぼすねじ溝付表面を有するように設計される。このねじ溝付表面は、封止エレメントの封止表面３４２と隣接する封止表面、例えば回転シャフトの表面、の間にある流体を上流側の流体の源へ流すような向きになっており、シールからの流体の漏れを抑えるように働く。
【００７５】
上で説明し図示した各シール・リング実施形態において、シール・ボディー金属ケーシングは必要な基本的シール・リング形態を与え、所望の漏れのないシールが得られるように、封止エレメントに所望の付勢力を加えるように構成される。所望の付勢力を得るために、ケーシング部材を形成する金属基板を特別な形態にすることが必要になるかもしれない。例えば、付勢力がある程度の弾力性を有することが望ましい場合、基板を管状の構造にしてそのような弾力性を与えることが望ましいかもしれない。あるいはまた、板ストックの基板を用いる場合、金属ケーシングを形成する積層構造の金属基板の特定部分をエッチングその他によって除去して、ばね状の弾力性を与えることが、例えば図６に示したばね座金のような性質を持たせることが、望ましいかもしれない。このような基板の改変は、ポリマー材料との積層の前でも後でも行うことができる。しかし、金属基板を改変する仕方は、最終的には、個別の封止デバイス実施形態及び封止デバイスの用途によって決まる。
【００７６】
本発明の原理にしたがって構成されるシール・リングのその他の改変や変型は当業者には明らかであろう。本発明は、添付された特許請求の範囲内で、上で具体的に説明されたと異なる仕方でも実施できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【００７７】
【図１】従来のリップ・シールを形成するある従来技術による多重ピース封止アセンブリを説明する断面側面図である。
【図２】従来のリップ・シールを形成する別の従来技術による多重ピース封止アセンブリを説明する断面側面図である。
【図３Ａ】本発明の原理によって構成されるシール・リングを形成するために用いられるポリマー積層構造シート・ストックを示す概略断面側面図である。
【図３Ｂ】本発明の原理によって構成されるシール・リングを形成するために用いられるポリマー積層構造シート・ストックを示す透視図である。
【図４】本発明の原理によってポリマー積層構造から構成されたリップ・シールの形のシール・リングを示す断面側面図である。
【図５Ａ−５Ｃ】本発明の原理によってポリマー積層構造から構成され取付られたリップ・シールの異なる実施の形態を示す断面側面図である。
【図６】所望の弾力性を与えるように構成された金属基板を含むポリマー積層構造から形成された本発明の封止デバイスの平面図である。
【図７】本発明の原理によってポリマー積層構造から構成され取り付けられたＬ字状シールを示す断面側面図である。
【図８Ａ．８Ｂ】本発明の原理によってポリマー積層構造から構成され、軸方向封止用途で軸方向シール・グランド（gland）に設置されたＵカップ・シールを示す断面側面図である。
【図９Ａ】本発明の原理によってポリマー積層構造から構成され、半径方向封止用途で半径方向シール・グランドに設置されたＵカップ・シールを示す断面側面図である。
【図９Ｂ】本発明の原理によってポリマー積層構造から構成され、リップ・シール形態を有するＵカップ・シールを示す断面側面図である。
【図１０】ポリマー積層構造から形成され、柔軟に変形する単一の封止エレメントに所望の力を加えるように構成された単一の硬い基板を含む、本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１１】ポリマー積層構造から形成され、二重の接合された硬い基板と二重封止エレメントを含む、本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１２】ポリマー積層構造から形成され、二重の接合された硬い基板と二重封止エレメントを含み、硬い基板の端の１つが封止エレメントに対して所望の力を加えるように構成された本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１３】ポリマー積層構造から形成され、二重封止エレメントと接合された全長及び部分硬い基板を含む、本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１４】ポリマー積層構造から形成され、二重封止エレメントと接合された全長及び部分硬い基板を含み、硬い基板の端の１つが封止エレメントに所望の力を加えるように構成された本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１５】ポリマー積層構造から形成され、二重封止エレメントと別の硬い基板を含む、本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１６】ポリマー積層構造から形成され、二重封止エレメントと別の硬い基板を含み、硬い基板の端の１つが封止エレメントに所望の力を加えるように構成された本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１７】ポリマー積層構造から形成され、二重の接合された封止エレメントを含む、本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１８】ポリマー積層構造から形成され、二重封止エレメントと接合された硬い基板を含み、封止エレメントが同じような方位にある、本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。
【図１９】ポリマー積層構造から形成され、ねじ溝を持つ封止表面を有する１つの封止エレメントを含む、本発明のリップ・シールを示す断面側面図である。

Claims (31)

1. 複合構造を所望の封止デバイスの形態に成形する方法で製造される封止デバイスであって、該複合構造は成形工程の前に硬い非ポリマー基板にポリマー物質が配設されて成り、該封止デバイスは、硬い基板から形成されるケーシング部材とポリマー物質から形成される柔軟な封止エレメントを有するシール・ボディーを備えていることを特徴とする封止デバイス。
2. 該ポリマー物質が複数のうねと谷を備えた高面積区域を有するように構成されていることを特徴とする請求項１に記載の封止デバイス。
3. 該封止エレメントが該ケーシング部材の長さを超えて外側に突出して封止表面に対するシールとなる封止リップを含むことを特徴とする請求項１に記載の封止デバイス。
4. 該封止デバイスが、各々硬い基板とそれぞれのポリマー物質を備えて接合された２つの複合構造から形成されることを特徴とする請求項１に記載の封止デバイス。
5. 各ポリマー物質が別々の封止エレメントを形成していることを特徴とする請求項４に記載の封止デバイス。
6. 該封止エレメントが、流体の漏れを防ぐように構成された接触表面を有する封止表面を備えることを特徴とする請求項１に記載の封止デバイス。
7. 該ケーシング部材が、内側直径ケーシング端部に隣接して該柔軟な封止エレメントに所望の付勢力を加える変形部分を含むことを特徴とする請求項１に記載の封止デバイス。
8. 該ケーシング部材がＬ字型の断面形態を有することを特徴とする請求項１に記載の封止デバイス。
9. 該ケーシング部材がＵ字型の断面形態を有することを特徴とする請求項１に記載の封止デバイス。
10. 次のプロセス、すなわち：
    硬い非ポリマー基板にポリマー物質をデポジットして複合構造を形成する工程；及び
    該複合構造を所望の形に成形する工程；
    によって製造される封止デバイスであって；
    該封止デバイスが：
    硬い基板から形成されるケーシング部材；及び
    動的な封止表面に対して載置されるための、該ケーシング部材の表面に沿って配設されるポリマー物質から形成される封止エレメント；
    を有するシール・ボディーを備えることを特徴とする封止デバイス。
11. 該ケーシング部材が金属リングの形で該封止デバイスの外側直径を画定し、該封止エレメントが該ケーシング部材の半径方向内側に位置し、該封止エレメントが動的な封止表面に対して載置されるためにケーシング部材から離れるように外側に突出する接触表面を含むことを特徴とする請求項１０に記載の封止デバイス。
12. 該ケーシング部材が金属リングの形で該封止デバイスの内側直径を画定し、該封止エレメントが該ケーシング部材の半径方向外側に位置し、該封止エレメントが動的な封止表面に対して載置されるためにケーシング部材から離れるように外側に突出する接触表面を含むことを特徴とする請求項１０に記載の封止デバイス。
13. 該ポリマー物質が複数の形態的な表面特徴によって得られる高面積区域を有することを特徴とする請求項１０に記載の封止デバイス。
14. 該ケーシング部材が封止エレメントに一定の度合いの弾力性を与えるように構成されていることを特徴とする請求項１０に記載の封止デバイス。
15. 該封止デバイスが、各々硬い基板とそれぞれのポリマー物質を含んで接合された２つの複合構造から形成されることを特徴とする請求項１０に記載の封止デバイス。
16. 該２つの複合構造が硬い基板の間で接合されていることを特徴とする請求項１５に記載の封止デバイス。
17. 該２つの複合構造が機械的インターロックで接合され、該硬い基板はポリマー物質の１つによって互いに隔離されていることを特徴とする請求項１５に記載の封止デバイス。
18. それぞれの複合構造ポリマー物質から形成された二重封止エレメントを含み、各封止エレメントがそれぞれの硬い基板から外側へある距離突出し、載置して使用されるときに隣接する動的な封止表面と接触するための封止表面を含むことを特徴とする請求項１５に記載の封止デバイス。
19. 各封止エレメントがそれぞれの硬い基板から外側へ同じ一般的方向に突出していることを特徴とする請求項１８に記載の封止デバイス。
20. 該ケーシング部材が、内側直径ケーシング端部に隣接して、封止エレメントに所望の付勢力を加える変形部分を含むことを特徴とする請求項１０に記載の封止デバイス。
21. 予め成形されたポリマー積層金属構造から封止デバイスを製作する方法であって：
    金属基板上にポリマー物質層を載置しポリマー物質層をそれに化学的に結合させてポリマー積層金属構造を形成する工程；
    該ポリマー積層金属構造を所望の形に成形する工程；及び
    成形された構造を所望の封止デバイスの形態に仕上げる工程；
    を含み、該封止デバイスが：
    該金属基板から形成されたケーシング部材；及び
    載置して使用されるときに隣接する動的な封止表面に対して封止的に載置されるために該ケーシング部材から離れて外側へ突出する接触表面を含む該ポリマー物質から形成された封止エレメント；
    を含むことを特徴とする方法。
22. 該ポリマー積層金属構造が成形前は板状であることを特徴とする請求項２１に記載の方法。
23. 該ポリマー物質が成形前に複数の形態的特徴から成る高面積区域を有するように構成されることを特徴とする請求項２１に記載の方法。
24. 該ケーシング部材がＬ字型形態を有するリングの形であり、該封止エレメント接触表面がケーシング部材から離れて半径方向内側へ延在することを特徴とする請求項２１に記載の方法。
25. 該封止デバイスが２つのポリマー積層金属構造から形成され、さらに２つの成形されたケーシング部材及びそれぞれの封止エレメントを接合する工程を含むことを特徴とする請求項２１に記載の方法。
26. 該接合する工程が２つのケーシング部材を結合する工程を含むことを特徴とする請求項２５に記載の方法。
27. 該接合する工程が少なくとも一方のケーシング部材の一部を他方のケーシング部材の隣接して位置する部分の方へ変形させる工程を含むことを特徴とする請求項２５に記載の方法。
28. 該接合する工程の際に、２つのポリマー積層金属構造が結合されて、２つのケース部材が互いに接触することを特徴とする請求項２５に記載の方法。
29. 該接合する工程の際に、２つのポリマー積層金属構造が結合されて、２つの封止エレメントが互いに接触することを特徴とする請求項２５に記載の方法。
30. 該接合する工程の際に、２つのポリマー積層金属構造が結合されて、２つのケース部材が封止エレメントの１つによって互いに隔離されることを特徴とする請求項２５に記載の方法。
31. 該成形する工程の際に、ケーシング部材が、内側直径ケーシング部材端部に隣接する部分で変形されて封止エレメントに所望の付勢力を加えることを特徴とする請求項２１に記載の方法。

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