JP2005353774A - プレスフィット用基板及びその生産方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プレスフィット端子と基板側のスルーホールとの接続信頼性を向上させること。
【解決手段】プレスフィット用基板1は、外層基板11により内層基板10を挟んで構成され、かつ、プレスフィット端子4を圧入するために外層基板11と内層基板10とを貫通するプレスフィット用スルーホール20を備える。そして、外層基板11に設けられる外層スルーホール11hの直径D1よりも、内層基板10に設けられる内層スルーホール10hの直径D2を大きくするとともに、外層スルーホール11hと内層スルーホール10hとの間に基板段部20dを備える。
【選択図】 図4−1
【解決手段】プレスフィット用基板1は、外層基板11により内層基板10を挟んで構成され、かつ、プレスフィット端子4を圧入するために外層基板11と内層基板10とを貫通するプレスフィット用スルーホール20を備える。そして、外層基板11に設けられる外層スルーホール11hの直径D1よりも、内層基板10に設けられる内層スルーホール10hの直径D2を大きくするとともに、外層スルーホール11hと内層スルーホール10hとの間に基板段部20dを備える。
【選択図】 図4−1
Description
本発明は、配線基板に関し、さらに詳しくは、基板に形成されるスルーホールにプレスフィット端子を圧入可能なプレスフィット用基板に関する。
近年、電気回路や電子回路においては脱鉛化が進んでおり、半田からは鉛の使用量を削減するとともに、半田自体の使用量もできるだけ低減させる要請がある。かかる要請に対応して、いわゆるプレスフィット端子と呼ばれる端子を電気、電子回路用基板のスルーホールに圧入し、電気的導通を確保するとともに、電気、電子回路用基板上に回路構成部品を固定する技術が普及しつつある。このようなプレスフィット端子を使用可能な電気、電子回路用基板に関する技術としては、例えば特許文献1や特許文献2に開示されたものが知られている。
しかし、特許文献1、2に開示された技術では、基板側のスルーホールとプレスフィット端子との接触が不十分であり、接続信頼性には改善の余地がある。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、プレスフィット端子と基板側のスルーホールとの接続信頼性を向上させることができるプレスフィット用基板及びその生産方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るプレスフィット用基板は、プレスフィット端子を圧入するスルーホールを備える基板であって、スルーホール開口部の直径を前記スルーホール内部の直径よりも小さくするとともに、前記スルーホール開口部と前記スルーホール内部との間に段部を設けることを特徴とする。
次の本発明に係るプレスフィット用基板は、プレスフィット端子を圧入するスルーホールを備える基板であって、前記基板の両面に開口する両方のスルーホール開口部の直径を、前記スルーホール内部の直径よりも小さくするとともに、両方の前記スルーホール開口部と前記スルーホール内部との間に段部を設けることを特徴とする。
次の本発明に係るプレスフィット用基板は、外層基板により内層基板を挟んで構成され、かつ、プレスフィット端子を圧入するために前記外層基板と前記内層基板とを貫通するスルーホールを備える多層基板であって、前記外層基板に設けられる外層スルーホールの直径よりも、前記内層基板に設けられる内層スルーホールの直径を大きくするとともに、前記外層スルーホールと前記内層スルーホールとの間に段部を設けることを特徴とする。
次の本発明に係るプレスフィット用基板は、前記プレスフィット用基板において、前記段部が形成される部分は、前記プレスフィット端子の直径が変化する部分の外形形状に近似させた形状であることを特徴とする。
次の本発明に係るプレスフィット用基板の生産方法は、内層基板に内層スルーホールを穿孔する工程と、前記内層基板の表面に外層基板を貼り付ける工程と、前記外層基板であって前記内層スルーホールが存在する位置に、前記内層スルーホールの直径よりも小さい直径の外層スルーホールを穿孔する工程と、を含むことを特徴とする。
以上説明したように、この発明に係るプレスフィット用基板及びその生産方法では、プレスフィット端子と基板側のスルーホールとの接続信頼性を向上させることができる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下の実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、本発明は、電子部品や端子その他の回路構成部品を搭載する基板全般に対して広く適用することができる。
図1は、実施例1に係るプレスフィット用基板の断面図である。実施例1に係るプレスフィット用基板は、プレスフィット端子を圧入するスルーホール開口部の直径を前記スルーホール内部の直径よりも大きくするとともに、前記スルーホール開口部と前記スルーホール内部との間に段部を形成する点に特徴がある。次に、実施例1に係るプレスフィット用基板について、詳細に説明する。なお、次の説明では、回路が4層のプレスフィット用基板を例とするが、これにより回路の層数が限定されるものではない。
実施例1に係るプレスフィット用基板1には、半導体素子、抵抗、コンデンサあるいは端子その他の回路構成部品2が実装される。このプレスフィット用基板1は、内層基板10の両面に外層基板11を貼り付けた、いわゆる多層基板である。そして、外層基板11の表面と、外層基板11と内層基板10との間には、銅やアルミニウム等の導体で形成される回路3が設けられる。プレスフィット用基板1には、プレスフィット端子を圧入するスルーホール(以下プレスフィット用スルーホール)20と、通常の端子が挿入される通常端子用スルーホールTHとが穿孔されている。
図2−1は、実施例1に係るプレスフィット用基板に設けられるプレスフィット用スルーホールの拡大図である。図2−2は、等価直径の説明図である。実施例1に係るプレスフィット用スルーホール20は、スルーホール開口部20o(外層スルーホール11h)の直径D1が、スルーホール内部20i(内層スルーホール10h)の直径D2よりも小さく形成される。これにより、スルーホール開口部20oとスルーホール内部20i(内層スルーホール10h)との間には段部(以下基板段部という)20dが形成される。なお、スルーホールが円形でない場合は、等価直径Deを用いる。図2−2に示すように、等価直径Deは4A/lで表すことができる。ここで、Aは断面積であり、lは周長である。図2−2に示す円では、等価直径De=4×π×(D/2)2/(π×D)=Dである。図2−2に示す矩形では、等価直径De=4×L1×L2/(2×L1+2×L2)=2×L1×L2/(L1+L2)である。
図3−1、図3−2は、プレスフィット端子の一例を示す説明図である。図4−1は、実施例1のプレスフィット用スルーホールにプレスフィット端子を圧入する前の状態を示す断面図である。図4−2は、実施例1のプレスフィット用スルーホールにプレスフィット端子を圧入した状態を示す断面図である。図3に示すように、プレスフィット端子4は、端子軸部4bと、端子軸部4bの一部に形成される当接部4bpとで構成される。
当接部4bpの直径d1は、端子軸部4bの直径d2よりも大きく形成される。これによって、当接部4bpは端子軸部4bから張り出すように形成されて、当接部4bpと端子軸部4bとの間には、端子段部4dが形成される。当接部4bpは、プレスフィット用スルーホール20のスルーホール内面20ip(10hip)と当接して、回路3と導通をとる。なお、実施例1に適用できるプレスフィット端子はこの形式に限られるものではない。
当接部4bpの直径d1は、スルーホール内部20i(内層スルーホール内部10hi)の直径D2よりも大きく形成される。また、端子軸部4bの当接部4bpには、貫通孔4bhが穿孔してある。この貫通孔4bhが端子軸部4bの直径方向に変形することにより、当接部4bpは、端子軸部4bの直径方向へ弾性変形できるように構成されている。ここで、d1>D2>D1>d2の関係がある。
プレスフィット端子4をプレスフィット用スルーホール20へ圧入するときには、当接部4bpが端子軸部4bの直径方向内側へ弾性変形して、スルーホール開口部20oを通過する。当接部4bpがスルーホール開口部20oを通過すると、当接部4bpは、スルーホール内部20iでスルーホール内面20ipに向かって広がる。これにより、当接部4bpが、プレスフィット用スルーホール20のスルーホール内面20ipに形成される、回路3の一部を構成する導体と当接して、回路3と導通をとる。同時に、プレスフィット用スルーホール20に形成される基板段部20dと、プレスフィット端子4の端子段部4dとが接して、回路3と導通をとる。
これにより、プレスフィット端子4と回路3との接触面積が大きくなるので、両者の接続信頼性が向上する。また、基板段部20dと端子段部4dとが係合することにより、プレスフィット用基板1の基板面に直行する方向に対する前記プレスフィット端子4のずれが抑制される。これにより、プレスフィット端子4の脱落が抑制されるので、プレスフィット端子4と回路3との接続信頼性が向上する。
さらに、プレスフィット端子4の当接部4bpが、スルーホール内面20ipに向かって広がることにより、プレスフィット用スルーホール20が形成される部分の外層あるいは内層基板には応力が発生する。実施例1に係るプレスフィット用基板1では、プレスフィット端子4と回路3との接触面積が大きくなるので、前記応力を緩和できる。プレスフィット端子4の熱膨張によってもプレスフィット用スルーホール20が形成される部分の基板には応力が発生するが、この応力も同様に緩和できる。このような応力緩和作用によって、プレスフィット用基板1の寿命を延ばすことができる。
プレスフィット端子4と回路3との接続信頼性を向上させるためには、プレスフィット端子4と回路3とを、より確実に接触させることが好ましい。このためには、プレスフィット用スルーホール20に段部が形成される部分、すなわち基板段部20dの形状は、プレスフィット端子4の直径が変化する部分、すなわち端子段部4dの外形形状に近似させる。すなわち、すなわち基板段部20dの形状を、端子段部4dの外形形状に沿った形状とする。このようにすれば、プレスフィット端子をプレスフィット用スルーホール20へ圧入したときに、端子段部4dと基板段部20dとの形状差を小さくできるので、両者をより確実に接触させることができる。
特に、プレスフィット用基板1が自動車やトラック等の車両に搭載される場合には、路面からの振動や、頻繁に繰り返す加減速の影響を受ける。実施例1に係るプレスフィット用基板1では、プレスフィット端子4と回路3との接続信頼性が向上するので、このような環境下における使用に対して、好適である。
なお、上記例では、プレスフィット端子4をプレスフィット用スルーホール20へ圧入するのみで、プレスフィット端子4と回路3との導通をとる場合であるが、さらに両者を半田付けしてもよい。この場合には、半田付けの際におけるプレスフィット端子4とプレスフィット用基板1との位置決めが容易になるという効果が得られる。
次に、実施例1に係るプレスフィット用基板の生産方法について説明する。図5−1〜図5−8は、実施例1に係る、プレスフィット用基板の生産方法の工程を示す説明図である。図6は、実施例1に係る、プレスフィット用基板の生産方法の製造手順を示すフローチャートである。両図を用いて、実施例1に係る、プレスフィット用基板の生産方法を説明する。
まず、図5−1に示すように、内層基板10を用意する。この内層基板は、両面に銅箔が張り付けられている両面板である。次に、図5−2に示すように、この内層基板10に内層スルーホール10hや、層間導通部を形成するための貫通孔IBを穿孔する(ステップS101)。そして、図5−3に示すように、穿孔した内層基板10にメッキ付けして(ステップS102)、層間導通部5を形成する。このメッキ付けには、例えば電解銅メッキを用いることができる。この例では、内層スルーホール10hの内面にもメッキ付けして層間導通部5を形成する場合を説明するが、プレスフィット用基板の仕様に応じて、内層スルーホール10hの内面に層間導通部5を形成しないようにしてもよい。
内層基板10に対するメッキ付けが完了したら、図5−4に示すように、内層基板10のメッキ層に回路3を形成する(ステップS103)。これは、メッキ層上に回路パターンをレジストによりマスキングして、不要部分をエッチングすることにより実現できる。内層基板10のメッキ層に回路3を形成したら、図5−5に示すように、外層基板11を内層基板10の表面上(回路3上)に貼り付けて積層する(ステップS104)。
次に、図5−6に示すように、外層基板11であって、内層スルーホール10hが存在する位置に、外層スルーホール11hを穿孔する(ステップS105)。このとき、外層スルーホール11hの直径D1は、内層スルーホール10hの直径(内径)D2よりも小さくする。これにより、外層スルーホール11hと内層スルーホール10hとの間、すなわち、スルーホール開口部20oとスルーホール内部20iとの間に、基板段部20dを設けることができる。このように、外層基板と内層基板とを備える多層基板の場合には、内層スルーホール10hの直径よりも小さい直径の外層スルーホール11hを穿孔することにより、容易に基板段部20dを設けることができる。
外層スルーホール11hを穿孔したら(ステップS105)、図5−7に示すように、外層基板11にメッキ付けする(ステップS106)。そして、図5−8に示すように、外層基板11のメッキ層に回路3を形成する(ステップS107)。なお、内層スルーホール10hの内面に層間導通部5を設けない場合には、この工程において、内層スルーホール10hの内面をエッチングして、前記内面の導体を除去する。上記工程により、実施例1に係るプレスフィット用基板1を製造することができる。
図7−1〜図7−5は、実施例1に係る、プレスフィット用基板の他の生産方法の工程を示す説明図である。まず、図7−1に示すように、両面に導体(銅箔)が設けられた基板材12a及び片面に導体(銅箔)が設けられた基板材12bに、プレスフィット用スルーホール20のスルーホール開口部20oとなる貫通孔20aを穿孔する。次に、図7−2に示すように、基板材12aの内部回路を形成する側3ipから、貫通孔20aの直径よりも大きい直径のざぐり穴20bを形成する。また、基板材12bの導体形成側とは反対側から、貫通孔20aの直径よりも大きい直径のざぐり穴20bを形成する。これにより、貫通孔20aとざぐり穴20bとの間に段部を形成することができる。この段部が基板段部20dとなる。
次に、図7−3に示すように、基板材12aの一方の導体側へ、内部回路3iを形成する。そして、図7−4に示すように、基板段部20dを形成した2枚の基板材12a、12bを、ざぐり穴20bを形成した側で貼りあわせる。これにより、内部に基板段部20dを備えるプレスフィット用スルーホール20を形成することができる。その後、メッキ付け、回路形成を経て、実施例1に係るプレスフィット用基板1'が完成する(図7−5)。この生産方法では、回路が3層のプレスフィット用基板も製造することができる。
以上、実施例1に係るプレスフィット用基板によれば、スルーホール開口部の直径を前記スルーホール内部の直径よりも小さくするとともに、スルーホール開口部とスルーホール内部との間に段部を設ける。これにより、段部の部分でプレスフィット端子との接触面積を大きくできるので、スルーホールとプレスフィット端子との接続信頼性が向上する。また、プレスフィット端子を圧入すると、前記段部とプレスフィット端子の段部とが係合するので、基板面に垂直方向に対するずれを抑制することもできる。これにより、スルーホールとプレスフィット端子との接続信頼性がさらに向上する。また、このような構成によって、車両のように、振動や加減速の極めて多い環境下においても、スルーホールとプレスフィット端子との接続信頼性を確保できる。
実施例2は、上記実施例1と略同一の構成であるが、プレスフィット用基板が両面基板である点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様なのでその説明を省略するとともに、同一の構成要素には同一の符号を付する。次に、実施例2に係るプレスフィット用基板の具体的な構成について説明する。
図8−1は、実施例2に係るプレスフィット用基板の断面図である。図8−2は、実施例2に係るプレスフィット用基板にプレスフィット端子を圧入した状態を示す断面図である。このプレスフィット用基板1aは、基板材13の両面のみに回路が形成される、いわゆる両面基板である。なお、実施例2は、基板材13の片面のみに回路が形成される、いわゆる片面基板に対しても適用できる。
図8−1に示すように、このプレスフィット用基板1aは、プレスフィット用スルーホール21が形成されている。プレスフィット用スルーホール21のスルーホール開口部21oの直径D1は、スルーホール内部21iの直径D2よりも小さく形成される。これにより、スルーホール開口部21oとスルーホール内部21iとの間には、段部(以下基板段部という)21dが形成される。図8−2に示すように、プレスフィット端子4がプレスフィット用スルーホール21に圧入されると、当接部4bpがスルーホール内面21ipと当接し、回路3と導通する。同時に、基板段部21dと、プレスフィット端子4の端子段部4dとが接して、回路3と導通する。これによる作用、効果は実施例1と同様なので、説明を省略する。
次に、実施例2に係る、プレスフィット用基板の生産方法を説明する。図9−1〜図9−4は、実施例2に係る、プレスフィット用基板の生産方法の工程を示す説明図である。まず、図9−1に示すように、表面に導体(銅箔)が設けられた基板材13に、プレスフィット用スルーホール21となる貫通孔21aを穿孔する。
次に、基板段部21dを形成するため、貫通孔21aの内面を切削できる切削工具6を用いて、図9−2に示すように、貫通孔21aの開口部の直径よりも内部の直径の方が大きくなるように加工する。これにより、プレスフィット用スルーホール21に、基板段部21dを形成することができる。次に、図9−3に示すように、穿孔した基板材13にメッキ付けして、層間導通部5を形成し、図9−4に示すように、基板材13のメッキ層に回路3を形成する。これにより、実施例2に係るプレスフィット用基板1aを製造することができる。
図10−1〜図10−4は、実施例2に係る、プレスフィット用基板の他の生産方法の工程を示す説明図である。まず、図10−1に示すように、片面に導体(銅箔)が設けられた基板材14に、プレスフィット用スルーホール22のスルーホール開口部22oとなる貫通孔22aを穿孔する。次に、図10−2に示すように、基板材14の導体形成側とは反対側から、貫通孔22aの直径よりも大きい直径のざぐり穴22bを形成する。これにより、貫通孔22aとざぐり穴22bとの間に段部を形成することができる。この段部が基板段部22dとなる。
図10−3に示すように、基板段部22dを形成した2枚の基板材14を、ざぐり穴22b側で貼りあわせる。これにより、内部に基板段部22dを備えるプレスフィット用スルーホール22を形成することができる。その後、メッキ付け、回路形成を経て、実施例2に係るプレスフィット用基板1a'が完成する(図10−4)。この生産方法では、上記貫通孔21a(図9−1参照)の内面を切削加工する工程が不要になるので、プレスフィット用スルーホール22の直径が小さい場合でも、比較的容易に実施例2に係るプレスフィット用基板1aを製造することができる。
(変形例1)
図11は、実施例2の第1変形例に係るプレスフィット用基板の他の例を示す断面図である。このプレスフィット用基板1bは、プレスフィット用スルーホール23のスルーホール内部23iよりも、スルーホール開口部23oのメッキ層の厚さを大きくしている。これにより、プレスフィット用スルーホール23の内部に基板段部23dを形成することができる。図12−1〜図12−5は、実施例2の第1変形例に係るプレスフィット用基板の生産方法を示す説明図である。
図11は、実施例2の第1変形例に係るプレスフィット用基板の他の例を示す断面図である。このプレスフィット用基板1bは、プレスフィット用スルーホール23のスルーホール内部23iよりも、スルーホール開口部23oのメッキ層の厚さを大きくしている。これにより、プレスフィット用スルーホール23の内部に基板段部23dを形成することができる。図12−1〜図12−5は、実施例2の第1変形例に係るプレスフィット用基板の生産方法を示す説明図である。
まず、図12−1に示すように、基板材14に、プレスフィット用スルーホール23となる貫通孔23aを穿孔する。次に、図12−2に示すように、基板材14及び貫通孔23a内にメッキをしてから、スルーホール内部23iとなる部分、すなわち、プレスフィット端子4の当接部4bpが当接する部分を、マスキング材7によりマスキングする。その後、図12−3、図12−4に示すように、所定の厚さになるまで貫通孔23a内にメッキを繰り返す。メッキ層が所定の厚さになったら、マスキング材7を取り除く。これにより、貫通孔23の両開口部には、メッキ層によってスルーホール開口部23oが形成される(図12−5)。また、貫通孔23の内部には、スルーホール内部23iが形成される。このように、上記手順によって、スルーホール開口部23oとスルーホール内部23iとを備えるプレスフィット用スルーホール23が形成される。そして、実施例2の第1変形例に係るプレスフィット用基板1bが完成する。
(変形例2)
図13は、実施例2の第2変形例に係るプレスフィット用基板を示す断面図である。このプレスフィット用基板1cは、基板材15に設けられるプレスフィット用スルーホール24の片側のみに、基板段部24dが形成されている。そして、図13に示すように、プレスフィット端子4をスルーホール開口部24oから圧入した後、圧入方向とは反対方向の力がプレスフィット端子4に作用するように、回路構成部品2をプレスフィット用基板1c上に固定する。このようにすれば、端子段部4dが基板段部24dに当接する力が付勢されるので、両者の接触が確実になる。また、プレスフィット端子4の脱落も抑制できる。なお、この変形例においては、ゴムや樹脂等の弾性体8を回路構成部品2とプレスフィット用基板1cとの間に介在させて、圧入方向とは反対方向の力をプレスフィット端子4へ付勢する。
図13は、実施例2の第2変形例に係るプレスフィット用基板を示す断面図である。このプレスフィット用基板1cは、基板材15に設けられるプレスフィット用スルーホール24の片側のみに、基板段部24dが形成されている。そして、図13に示すように、プレスフィット端子4をスルーホール開口部24oから圧入した後、圧入方向とは反対方向の力がプレスフィット端子4に作用するように、回路構成部品2をプレスフィット用基板1c上に固定する。このようにすれば、端子段部4dが基板段部24dに当接する力が付勢されるので、両者の接触が確実になる。また、プレスフィット端子4の脱落も抑制できる。なお、この変形例においては、ゴムや樹脂等の弾性体8を回路構成部品2とプレスフィット用基板1cとの間に介在させて、圧入方向とは反対方向の力をプレスフィット端子4へ付勢する。
以上、実施例2に係るプレスフィット用基板によれば、いわゆる両面基板や片面基板に対しても、実施例1に係るプレスフィット基板と同様な構成とすることができる。これにより、スルーホール開口部の直径を前記スルーホール内部の直径よりも小さくするとともに、スルーホール開口部とスルーホール内部との間に段部を設ける。これにより、段部の部分でプレスフィット端子との接触面積を大きくできるので、スルーホールとプレスフィット端子との接続信頼性が向上する。また、プレスフィット端子を圧入すると、前記段部とプレスフィット端子の段部とが係合するので、基板面に垂直方向に対するずれを抑制することもできる。これにより、スルーホールとプレスフィット端子との接続信頼性がさらに向上する。
以上のように、本発明に係るプレスフィット用基板及びその生産方法は、プレスフィット端子を用いる回路基板に有用であり、特に、プレスフィット端子と基板側のスルーホールとの接続信頼性を向上させることに適している。
1、1'、1a、1b、1c プレスフィット用基板
4 プレスフィット端子
4bh 貫通孔
4bp 当接部
4d 端子段部
10 内層基板
10h 内層スルーホール
10hi 内層スルーホール内部
11 外層基板
11h 外層スルーホール
20、21、22、23、24 プレスフィット用スルーホール
20i、21i、23i スルーホール内部
20ip、21ip スルーホール内面
20o、21o、22o、23o、24o スルーホール開口部
20d、21d、22d、23d、24d 基板段部
4 プレスフィット端子
4bh 貫通孔
4bp 当接部
4d 端子段部
10 内層基板
10h 内層スルーホール
10hi 内層スルーホール内部
11 外層基板
11h 外層スルーホール
20、21、22、23、24 プレスフィット用スルーホール
20i、21i、23i スルーホール内部
20ip、21ip スルーホール内面
20o、21o、22o、23o、24o スルーホール開口部
20d、21d、22d、23d、24d 基板段部
Claims (5)
- プレスフィット端子を圧入するスルーホールを備える基板であって、
スルーホール開口部の直径を前記スルーホール内部の直径よりも小さくするとともに、前記スルーホール開口部と前記スルーホール内部との間に段部を設けることを特徴とするプレスフィット用基板。 - プレスフィット端子を圧入するスルーホールを備える基板であって、
前記基板の両面に開口する両方のスルーホール開口部の直径を、前記スルーホール内部の直径よりも小さくするとともに、両方の前記スルーホール開口部と前記スルーホール内部との間に段部を設けることを特徴とするプレスフィット用基板。 - 外層基板により内層基板を挟んで構成され、かつ、プレスフィット端子を圧入するために前記外層基板と前記内層基板とを貫通するスルーホールを備える多層基板であって、
前記外層基板に設けられる外層スルーホールの直径よりも、前記内層基板に設けられる内層スルーホールの直径を大きくするとともに、前記外層スルーホールと前記内層スルーホールとの間に段部を設けることを特徴とするプレスフィット用基板。 - 前記段部が形成される部分は、前記プレスフィット端子の直径が変化する部分の外形形状に近似させた形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレスフィット用基板。
- 内層基板に内層スルーホールを穿孔する工程と、
前記内層基板の表面に外層基板を貼り付ける工程と、
前記外層基板であって前記スルーホールが存在する位置に、前記内層スルーホールの直径よりも小さい直径の外層スルーホールを穿孔する工程と、
を含むことを特徴とするプレスフィット用基板の生産方法。
Priority Applications (1)
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