JP2005353665A - 気相成長装置およびエピタキシャル気相成長装置用ガス導入口の仕切り部材の傾斜角度設定方法 - Google Patents

気相成長装置およびエピタキシャル気相成長装置用ガス導入口の仕切り部材の傾斜角度設定方法 Download PDF

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正 川島
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Abstract

【課題】
ウェーハ外側の左右のエピ膜厚のアンバランスを解消することによって、エピ膜厚の面内バラツキΔTep1を、一層、低減できるようにする。
【解決手段】
シリコンウェーハ基板1の左右方向(Y軸方向)のエピ膜厚分布に基づいて、シリコンウェーハ基板1の左右両側でエピ膜厚が均等になるように、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度θ、θ+αを求める。
【選択図】 図8

Description

本発明は、シリコン単結晶基板の主表面にシリコン単結晶薄膜を気相成長させるための気相成長装置と、そのエピタキシャル気相成長装置用のガス導入口の仕切り部材の傾斜角度を設定する方法に関するものである。
バイポーラICやMOS−IC等の半導体デバイスは、シリコンウェーハ基板上にエピタキシャル成長層の薄膜を形成する工程を経て製造されたシリコンエピタキシャルウェーハを用意し、このウェーハのエピタキシャル成長層をデバイス層として、トランジスタを作り込むことで作製される。
エピタキシャル成長層の薄膜を形成する際には、N型又はP型の導電型を有するシリコンウェーハ基板を準備する。シリコンウェーハ基板には不純物が添加される。たとえば導電型がP型の場合にはボロン(B)が添加され、導電型がN型の場合にはリン(Ph)又は砒素(As)又はアンチモン(Sb)等の不純物が添加される。
このシリコンウェーハ基板をエピタキシャル成長炉に入れ、炉内温度を高温に保った状態で、キャリアガスとして水素(H2)雰囲気にする。エピタキシャル成長薄膜形成用の原料ガスとして、例えばSiH4 (モノシラン)、SiH2Cl2 (ジクロールシラン)、SiHCl3 (トリクロロシラン)、SiCl4(四塩化シリコン)などが使用される。エピタキシャル成長層の導電型がP型の場合には、ドーピングガスとしてB2H6 (ジボラン)、BCl3 (トリクロロボラン)などのボロン(B)化合物が使用され、エピタキシャル成長層の導電型がN型の場合には、ドーピングガスとしてPH3 (フォスフィン)、AsH3 (アルシン)などが使用される。
つぎに所望の膜厚に達するまで高温に保った炉内で、キャリアガス、原料ガス、ドーパントガスとともに放置することによりエピタキシャル成長層の薄膜をシリコンウェーハ基板上に形成することができる。エピタキシャル成長層の抵抗率は、ドーパントガスの濃度を制御して調整する。
Po−MosFET、IGBTなどのディスクリート系の半導体デバイスは、近年、大口径化、および、微細化、高性能化が進んでおり、高い歩留まりが要求されており、デバイス素子を作り込むエピタキシャルウェーハ主表面のフラットネスに対する要求がますます厳しくなりつつある。フラットネスに影響を及ぼす因子としては、基板の平坦度とエピタキシャル成長層の厚さ(以下、エピ膜厚)分布とがある。
エピ膜厚のシリコンウェーハ基板の面内バラツキは、デバイス層の厚さの面内バラツキを意味することから、トレンチ微細化の傾向にある半導体デバイスの歩留まりに影響を与える。このため近年、エピ膜厚の面内バラツキΔTepiの低減(エピ膜厚の均一性)のレベルは、極めて高度のものが要求されている。
エピタキシャル成長炉には、一般的に、ウェーハを1枚ずつエピタキシャル成長させる枚葉炉と、複数枚のウェーハを一度にエピタキシャル成長させるバッチ炉とがある。バッチ炉の種類には縦型(パンケーキ)、シリンダ型などがある。
しかしバッチ炉では、大口径のウェーハ上のガスの流れを制御しにくくエピ膜厚の面内バラツキΔTepiの低減には限界がある。
そこで構造が簡単でウェーハ上のガスの流れを容易に制御することができる点で枚葉炉が、ディスクリート系半導体デバイス用のエピタキシャル成長炉として主流になりつつある。
例えば図3(a)は枚葉型エピタキシャル気相成長装置を側面からみた断面図で示している。また図1(b)は枚葉型エピタキシャル気相成長装置を上面からみた図である。これら図に示すようにエピタキシャル成長炉(以下適宜チャンバという)4内にはサセプタ6が設けられている。サセプタ6はサセプタサポート7によって支持されており、サセプタサポート7は回転軸8を備えている。回転軸8は駆動源に接続している。駆動源が駆動すると回転軸8が回転し、これに応じてサセプタ6上に載置されたシリコンウェーハ基板1がウェーハ回転数ωで回転する。
サセプタ6はウェーハ保持部材であり、エピタキシャル成長を終える毎にシリコンウェーハ基板1が1枚ずつ載置される。
チャンバ4の外部には加熱用ランプ5が設けられており、加熱用ランプ5が発光することにより輻射熱がチャンバ4を介してシリコンウェーハ基板1に加えられる。これによりシリコンウェーハ基板1は気相成長に適した成長温度に達する。
チャンバ4のガス導入口60からキャリアガス(メインガス)41a、原料ガス41b、ドーピングガス41cからなる成長ガス41がチャンバ4内に供給され、サセプタ6の上面に沿って流される。サセプタ6を通過した成長ガスがチャンバ4のガス排気口70から排気される。
このため原料ガス41bがシリコンウェーハ基板1上で化学反応し、図3(b)に示すようにシリコンウェーハ基板1の表面に同じシリコンのエピタキシャル層の薄膜2が形成され、シリコンエピタキシャルウェーハ1′が作製される。
シリコンウェーハ基板1上には成長ガス41が「2ゾーン4インジェクタ」で供給される。
すなわち図1(b)に示すように、2つのガス供給管81、82が設けられており、各ガス供給管81、82には可変絞り91、92が設けられている。ガス供給管81はガス供給管81a、81bに分岐されており、ガス供給管82はガス供給管82a、82bに分岐されている。
ガス導入口60は、内側の2つのガス導入口61、62と、外側の2つのガス導入口63、64とから構成されている。ここでガス導入口63を外側の左のガス導入口といい、ガス導入口64を外側の右のガス導入口という。ガス導入口61とガス導入口62は仕切り板65によって仕切られており、ガス導入口61とガス導入口63は仕切り板66によって仕切られており、ガス導入口62とガス導入口64は仕切り板67によって仕切られている。
ガス供給管81a、81bは内側のガス導入口61、62にそれぞれ連通しており、ガス供給管82a、82bは外側のガス導入口63、64にそれぞれ連通している。
成長ガス41は、ガス供給管81、ガス供給管81a、81bを介して、内側のガス導入口61、62の入口61a、62aにそれぞれ供給される。ガス導入口61、62を通過した成長ガス41はガス導入口61、62の出口61b、62bから排出されて、シリコンウェーハ基板1上に供給される。内側のガス導入口61、62を通過する成長ガス41の流量は、可変絞り91の開口面積INを調整することで制御される。
また成長ガス41は、ガス供給管82、ガス供給管82a、82bを介して、外側のガス導入口63、64の入口63a、64aにそれぞれ供給される。ガス導入口63、64を通過した成長ガス41はガス導入口63、64の出口63b、64bから排出されて、シリコンウェーハ基板1上あるいはサセプタ6上に供給される。外側のガス導入口63、64を通過する成長ガス41の流量は、可変絞り92の開口面積OUTを調整することで制御される。
ここでエピ膜厚の面内分布を調整するパラメータは、成長ガス41中のキャリアガス41a(たとえばH2)の流量、原料ガス(例えばSiHCl3)、ウェーハ回転数ω、2ゾーン4インジェクタ比率(内側の可変絞り91の開口面積INと外側の可変絞り92の開口面積OUTとの比率)である。
図4(a)は、横軸に、シリコンウェーハ基板1の中心からの距離をとり、縦軸に、ウェーハ面内のエピ膜厚Tepiをとったグラフを示している。エピ膜厚Tepi は、ウェーハ中心の膜厚に対する差分値で表している。
シリコンウェーハ基板1は、図4(b)に示すように、ウェーハの図中左右の直径方向をX軸(ガス流れ方向)と定義し、上下の直径方向をY軸(流れ断面方向;ウェーハの左右方向)と定義する。本明細書では、流れ断面方向を、シリコンウェーハ基板1の左右方向と定義する。成長ガス41は、図中の右方向から左方向へと、つまりX軸にほぼ平行に流れるものとする。
図4(a)のグラフでは、シリコンウェーハ基板1のY軸方向(流れ断面方向;ウェーハ左右方向)のエピ膜厚Tepiの分布を示している。図4(a)のグラフの横軸の左方向、右方向が、それぞれ図4(b)のY軸のマイナス(−)方向
、プラス(+)方向に対応している。なお、図4(a)は、シリコンウェーハ基板1の回転を停止させた状態で成長ガス41を流した場合の実験結果を示している。
既存の枚葉型エピタキシャル気相成長装置の構造では、ガス流量はガス導入口60若しくはその延長線上において局所的に高くなりやすく、ガス流れ方向(X軸方向)に対して直交する向き(流れ断面方向;ウェーハ左右方向)にガス流量のムラが生じやすい。このため、図4(a)からわかるように、エピ膜厚Tepiの分布は、図中E、Fで示すように、シリコンウェーハ基板1の外周部(ウェーハ外側の左右)で落ち込む分布を呈する。
上述した3つのパラメータを調整するだけでは、このようなエピ膜厚Tepiのウェーハ外周部左右での落ち込みE、Fを抑制することができなかった。このためエピ膜厚の面内バラツキΔTepiの低減(エピ膜厚の均一性)には限界があり、上述したフラットネスに対する高度な要求を満足することができなかった。
ここで、下記特許文献1には、エピ膜厚分布のウェーハ外周部左右での落ち込みE、Fを抑制すべく、図1(b)の外側左のガス導入口63、外側右のガス導入口64それぞれに、ウェーハ1の内側に同じ傾斜角度だけ傾けた仕切り板を左右対称に設けるという発明が記載されている。
特開2003−86524号公報
しかし、図1(b)に示すように、既存の枚葉型エピタキシャル気相成長装置にあっては、外側のガス導入口63、64を通過するガス流量は、外側の可変絞り92の開口面積OUTに応じて変化するのみである。そして、外側の可変絞り92の開口面積OUTを調整することだけでは、外側のガス導入口63、64を通過するトータルのガス流量を、制御できるのみであり、外側左のガス導入口63を通過するガス流量と、外側右のガス導入口64を通過するガス流量とを個別に独立して制御することができない構造となっている。
このため、外側の左右のガス導入口63、64それぞれでガス流量の不均一が生じ、図4(a)に示すようにウェーハ外側の左右でエピ膜厚のアンバランスが生じるという問題が生じる。図4(a)に示すように、シリコンウェーハ基板1の外側左のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量(Eで示す)よりも、シリコンウェーハ基板1の外側右のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量(Fで示す)の方が大きいというアンバランスが生じているのがわかる。
ここで上記特許文献1に記載された発明を適用としたとすると、外側左右のガス導入口63、64それぞれ設けられた仕切り板の傾斜角度は、一律に、左右で同一角度に設定されているため、図4(a)に示すウェーハの外側の左右のエピ膜厚のアンバランスを解消することは、できなかった。
本発明は、こうした実状に鑑みてなされたものであり、ウェーハ外側の左右のエピ膜厚のアンバランスを解消することによって、エピ膜厚の面内バラツキΔTep1を、一層、低減できるようにすることを、解決課題とするものである。
課題を解決するための手段および効果
第1発明は、
エピタキシャル成長用のガスをガス導入口を介して半導体ウェーハ基板上に流すことによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造するために用いられる気相成長装置において、
前記ガス導入口は、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の内側に流す内側のガス導入口と、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の左右外側に流す外側の左右のガス導入口とに、仕切られており、
更に、前記外側の左右のガス導入口それぞれには、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の内側に向かわせる仕切り部材であって、半導体ウェーハ基板の左右両側でエピタキシャル成長膜の膜厚が均等になる角度に傾斜させた仕切り部材が設けられていること
を特徴とする。
第2発明は、第1発明において、
前記外側の左右の仕切り部材の傾斜角度は、
ガス導入口の入口の最も外側の点から半導体ウェーハ基板の外周に引いた接線に応じた角度を基準角度とし、
半導体ウェーハ基板の左右両側でエピタキシャル成長膜の膜厚分布が均等になるように前記基準角度が補正された角度であること
を特徴とする。
第3発明は、第1発明または第2発明において、
前記外側の左右の仕切り部材の傾斜角度は、異なる角度であること
を特徴とする。
第4発明は、
エピタキシャル成長用のガスをガス導入口を介して半導体ウェーハ基板上に流すことによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造するために用いられるガス導入口の仕切り部材の傾斜角度設定方法であって、
前記ガス導入口は、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の内側に流す内側のガス導入口と、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の左右外側に流す外側の左右のガス導入口とに、仕切られたものであって、
前記外側の左右のガス導入口それぞれに、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の内側に向かわせる仕切り部材の傾斜角度は、
エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板上に流して、半導体ウェーハ基板の左右方向のエピタキシャル成長膜の膜厚分布を計測する工程と、
前記計測された半導体ウェーハ基板の左右方向のエピタキシャル成長膜の膜厚分布に基づいて、半導体ウェーハ基板の左右両側でエピタキシャル成長膜の膜厚が均等になるように、前記外側の左右の仕切り部材の傾斜角度をそれぞれ求める工程とを
経て、設定されること
を特徴とする。
本発明を図面に即して説明すれば、図4(a)に示すように、まず、外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない条件(傾斜角度は0)で、成長ガス41を、シリコンウェーハ基板1上に流して、シリコンウェーハ基板1の左右方向のエピタキシャル成長膜の膜厚分布を計測する。
図4(a)に例示するエピ膜厚Tepiの分布は、図中E、Fで示すように、シリコンウェーハ基板1の外周部(ウェーハ外側の左右)で落ち込む分布を呈するとともに、ウェーハ外側の左右でエピ膜厚のアンバランスを呈している。
そこで、つぎに、図4(a)中E、Fで示す、シリコンウェーハ基板1の外周部(ウェーハ外側の左右)でのエピ膜厚の落ち込みを抑制し、これをウェーハ中心でのエピ膜厚と同様となるように持ち上げるべく、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度の基準角度を求める。
すなわち、図8に示すように、外側左右のガス導入口63、64の入口63a、64aの最も外側の点O、O′からシリコンウェーハ基板1の外周に引いた接線B、B′に応じた角度θを基準角度(口径φ150mmの場合、θ=15゜)とする。
つぎに、図4(a)に示すシリコンウェーハ基板1の左右方向(Y軸方向)のエピ膜厚分布に基づいて、シリコンウェーハ基板1の左右両側でエピ膜厚が均等になるように、外側左右の仕切り板68L、68Rの基準傾斜角度θを補正する。すなわち同図4(a)に示すように、シリコンウェーハ基板1の外側左のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量(Eで示す)よりも、シリコンウェーハ基板1の外側右のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量(Fで示す)の方が大きいというアンバランスが生じているため、外側右の仕切り板68Rの基準傾斜角度θをθ+α(=18゜;α=3゜)に補正して、外側右の仕切り板68Rをウェーハ1の内側により多く傾けて、ウェーハ右のエピ膜厚分布がウェーハ左のエピ膜厚分布と同等に持ち上がるようにする。
以上のようにして、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度を設定することによって、たとえば図5、図6、図7に示すように、ウェーハ外周部でのエピ膜厚の落ち込みが抑制され、ウェーハ外周部でのエピ膜厚が持ち上がるとともに、ウェーハ左右のエピ膜厚のアンバランスが改善される。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、実施形態では、半導体エピタキシャルウェーハとして、シリコンエピタキシャルウェーハを想定する。
図3(a)は、枚葉型エピタキシャル気相成長装置を側面からみた断面図で示している。また図1(a)は実施形態の枚葉型エピタキシャル気相成長装置を上面からみた図である。これら図に示すようにエピタキシャル気相成長炉(以下適宜チャンバという)4内にはサセプタ6が設けられている。サセプタ6はサセプタサポート7によって支持されており、サセプタサポート7は回転軸8を備えている。回転軸8は駆動源に接続している。駆動源が駆動すると回転軸8が回転し、これに応じてサセプタ6上に載置されたシリコンウェーハ基板1がウェーハ回転数ωで回転する。
サセプタ6はウェーハ保持部材であり、エピタキシャル成長を終える毎にシリコンウェーハ基板1が1枚ずつ載置される。
チャンバ4の外部には加熱用ランプ5が設けられており、加熱用ランプ5が発光することにより輻射熱がチャンバ4を介してシリコンウェーハ基板1に加えられる。これによりシリコンウェーハ基板1は気相成長に適した成長温度に達する。
チャンバ4のガス導入口60からキャリアガス(メインガス)41a、原料ガス41b、ドーピングガス41cからなる成長ガス41がチャンバ4内に供給され、サセプタ6の上面に沿って流される。サセプタ6を通過した成長ガス41がチャンバ4のガス排気口70から排気される。
サセプタ6の周囲にはヒートリング50が配置されている。ヒートリング50はサセプタ6の外周と接触しない程度の隙間をもってチャンバ4を上部と下部とに分離している。このためサセプタ6の上側を流れる成長ガス41が、サセプタ6の下側に不必要に流れ込むことを防止することができる。また加熱用ランプ5により、サセプタ6の周囲にあるヒートリング50が加熱されるため、サセプタ6の外周部において温度が不均一になることが防止される。
エピタキシャル成長層の薄膜2を形成する際には、N型又はP型の導電型を有するシリコンウェーハ基板1を準備する。シリコンウェーハ基板1には不純物が添加される。たとえば導電型がP型の場合にはボロン(B)が添加され、導電型がN型の場合にはリン(Ph)又は砒素(As)又はアンチモン(Sb)等の不純物が添加される。
このシリコンウェーハ基板1をエピタキシャル成長炉4に入れ、炉内温度を高温に保った状態で、キャリアガス41aとして水素(H2)雰囲気にする。
つぎに所望の膜厚に達するまで高温に保った炉4内で、キャリアガス41a、原料ガス、ドーパントガス41cとともに放置することによりエピタキシャル成長層の薄膜2をシリコンウェーハ基板1上に形成することができる。エピタキシャル成長層2の抵抗率は、ドーパントガス41cの濃度を制御して調整する。
エピタキシャル成長薄膜形成用の原料ガス41bとして、例えばSiH4 (モノシラン)、SiH2Cl2 (ジクロールシラン)、SiHCl3 (トリクロロシラン)、SiCl4(四塩化シリコン)などが使用される。エピタキシャル成長層2の導電型がP型の場合には、ドーピングガス41cとしてB2H6 (ジボラン)、BCl3 (トリクロロボラン)などのボロン(B)化合物が使用され、エピタキシャル成長層2の導電型がN型の場合には、ドーピングガス41cとしてPH3 (フォスフィン)、AsH3(アルシン)などが使用される。
原料ガス41bがシリコンウェーハ基板1上で化学反応し、図3(b)に示すようにシリコンウェーハ基板1の表面に同じシリコンのエピタキシャル層の薄膜2が形成され、シリコンエピタキシャルウェーハ1′が作製される。
シリコンウェーハ基板1上には成長ガス41が「2ゾーン4インジェクタ」で供給される。
すなわち図1(a)に示すように、2つのガス供給管81、82が設けられており、各ガス供給管81、82には可変絞り91、92が設けられている。ガス供給管81はガス供給管81a、81bに分岐されており、ガス供給管82はガス供給管82a、82bに分岐されている。
ガス導入口60は、内側の2つのガス導入口61、62と、外側の2つの左右のガス導入口63、64とから構成されている。
ガス導入口61とガス導入口62は仕切り板65によって仕切られており、ガス導入口61と外側左のガス導入口63は仕切り板66によって仕切られており、ガス導入口62と外側右のガス導入口64は仕切り板67によって仕切られている。なおガス導入口60は、成長ガス41を整流することを目的として、また成長ガス41をチャンバ4内の金属に不必要に接触させないことを目的として、設けられている。
ガス供給管81a、81bは内側のガス導入口61、62にそれぞれ連通しており、ガス供給管82a、82bは外側の左右のガス導入口63、64にそれぞれ連通している。
成長ガス41は、ガス供給管81、ガス供給管81a、81bを介して、内側のガス導入口61、62の入口61a、62aにそれぞれ供給される。ガス導入口61、62を通過した成長ガス41はガス導入口61、62の出口61b、62bから排出されて、シリコンウェーハ基板1上に供給される。内側のガス導入口61、62を通過する成長ガス41の流量は、可変絞り91の開口面積INを調整することで制御される。
また成長ガス41は、ガス供給管82、ガス供給管82a、82bを介して、外側の左右のガス導入口63、64の入口63a、64aにそれぞれ供給される。外側の左右のガス導入口63、64を通過した成長ガス41は外側の左右のガス導入口63、64の出口63b、64bから導入されて、シリコンウェーハ基板1上あるいはサセプタ6上に供給される。外側の左右のガス導入口63、64を通過する成長ガス41の流量は、可変絞り92の開口面積OUTを調整することで制御される。
本実施形態では、後述する図2に、その詳細を示すように、外側の左右のガス導入口63、64それぞれに、仕切り板68L、68Rを設けて、ガス導入口60から導入されるエピタキシャル成長用ガス41のうち、シリコンウェーハ基板1の外側に向かうガスを、シリコンウェーハ基板1の内側に向かわせるとともに、後述するようにウェーハ外側左右でのエピ膜厚のアンバランスを抑制している。
中央の仕切り板65は、シリコンウェーハ基板1のX軸(ガス流れ方向)と平行に、ウェーハ中心と一致させて配置されている。他の各仕切り板66、67は、中央の仕切り板65と平行に配置されている。
図2(a)、(b)に示すように、外側左ガス導入口63には、仕切り板65(X軸;ガス流れ方向)を基準として、口径φ150mmの場合、15゜だけシリコンウェーハ基板1の内側に傾斜させた外側左の仕切り板68Lが設けられている。また、外側右ガス導入口64には、仕切り板65(X軸;ガス流れ方向)を基準として18゜(外側左仕切り板68Lの角度15゜+α;α=3゜)だけシリコンウェーハ基板1の内側に傾斜させた外側右の仕切り板68Rが設けられている。
図2(a)はガス導入口60を上面からみた断面図で示し、図2(b)は、ガス導入口60を入口側からみた図で示している。
外側左の仕切り板68Lは、外側左のガス導入口63の入口63aの最も外側の点Oに接続して設けられている。以下、外側左右の仕切り板68L、68Rの「傾斜角度」は、X軸(ガス流れ方向)を基準とした角度で示し、シリコンウェーハ基板1の内側に向かう向きをプラス方向として表すものとする。
他方の外側右のガス導入口64の外側右の仕切り板68Rについても、同様に入口64aの最も外側の点O′に接続されて設けられている。
図2(c)は、外側左右の仕切り板68L、68Rを設けた場合の成長ガス41が流れる領域を概念的に示した図である。
外側左右の仕切り板68L、68Rが存在しない従来の場合(この場合は外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合と同じである)には、外側左のガス導入口63(あるいはガス導入口64)を通過した成長ガス41は、シリコンウェーハ基板1の外側の領域(i)、シリコンウェーハ基板1の外側およびシリコンウェーハ基板1の外周部の領域(ii)を流れる。
これに対して傾斜角度15゜の外側左仕切り板68Lを設けた場合には、外側左のガス導入口63を通過した成長ガス41は、シリコンウェーハ基板1の外側およびシリコンウェーハ基板1の外周部の領域(ii)を流れる。
外側右の仕切り板68Rを設けた場合のガスの流れ方も同様である。
図1(a)、(b)は、外側左右仕切り板68L、68Rの有無による成長ガス41の流れの向きを比較して、矢印にて概念的に示している。
すなわち図1(b)に示すように、外側の左右のガス導入口63、64に外側左右の仕切り板68L、68Rが存在しない従来の場合には、外側左右のガス導入口63、64を通過した成長ガス41は、シリコンウェーハ基板1の外側あるいはシリコンウェーハ基板1の外周部を通過するガスの流れが形成される。このためウェーハ上におけるシリコン(原料ガス41b;SiHCl3 など)の利用効率が低くなる。
これに対して、図1(a)に示すように、外側のガス導入口63(あるいはガス導入口64)に仕切り板68を設けた場合は、ガス導入口63(ガス導入口64)を通過した成長ガス41は、シリコンウェーハ基板1の内側に向かうガスの流れを形成して、シリコンウェーハ基板1の外側を通過することなくシリコンウェーハ基板1上を通過する。このためウェーハ上におけるシリコン(原料ガス41b;SiHCl3 など)の利用効率が飛躍的に向上する。
本実施形態では、成長ガス41中のキャリアガス(メインガス)41a(たとえばH2)の流量、ウェーハ回転数ω、2ゾーン4インジェクタ比率(内側の可変絞り91の開口面積INと外側の可変絞り92の開口面積OUTとの比率)に加えて、上述した外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度をパラメータとして、エピ膜厚の面内分布が調整される。
つぎに、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度の設定方法について説明する。
まず、外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない条件(傾斜角度は0)で、成長ガス41を、シリコンウェーハ基板1上に流して、図4(a)に示すように、シリコンウェーハ基板1の左右方向のエピタキシャル成長膜の膜厚分布を計測する。
図4(a)は、前述したように、横軸に、シリコンウェーハ基板1の中心からの距離をとり、縦軸に、ウェーハ面内のエピ膜厚Tepiをとったグラフである。エピ膜厚Tepi は、ウェーハ中心の膜厚に対する差分値で表している。
図4(a)のグラフでは、シリコンウェーハ基板1のY軸方向(流れ断面方向;ウェーハ左右方向)のエピ膜厚Tepiの分布を示している。図4(a)のグラフの横軸の左方向、右方向が、それぞれ図4(b)のY軸のマイナス(−)方向
、プラス(+)方向に対応している。
図4(a)の膜厚分布は、シリコンウェーハ基板1の回転を停止させた状態で成長ガス41を流すという条件で得られる。すなわち、ウェーハを回転させて得られるエピ膜厚分布(実際のエピタキシャル成長層2の膜厚分布)は、ウェーハ回転停止時のウェーハ左右方向(Y軸方向)のエピ膜厚分布と、ウェーハ回転停止時のガス流れ方向(X軸方向)のエピ膜厚分布とを合成したものとして得られ、ウェーハを回転させて得られる実際のエピ膜厚分布の傾向は、ウェーハ回転停止時のウェーハ左右方向(Y軸方向)のエピ膜厚分布に大きく依存する。したがって、図4(a)に示す、ウェーハ回転停止時のウェーハ左右方向(Y軸方向)のエピ膜厚分布が得られば、それによってウェーハを回転させて得られる実際のエピ膜厚分布の傾向を容易に把握することができる。
図4(a)に例示するエピ膜厚Tepiの分布は、図中E、Fで示すように、シリコンウェーハ基板1の外周部(ウェーハ外側の左右)で落ち込む分布を呈するとともに、ウェーハ外側の左右でエピ膜厚のアンバランスを呈している。つまり、シリコンウェーハ基板1の外側左のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量(Eで示す)よりも、シリコンウェーハ基板1の外側右のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量(Fで示す)の方が大きいというアンバランスが生じているのがわかる。
そこで、つぎに、図4(a)中E、Fで示す、シリコンウェーハ基板1の外周部(ウェーハ外側の左右)でのエピ膜厚の落ち込みを抑制し、これをウェーハ中心でのエピ膜厚と同様となるように持ち上げるべく、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度の基準角度を求める。
図8は、口径がφ150mmのシリコンウェーハ基板1を配置したときの最適な基準傾斜角度θを示している。
すなわち、図8に示すように、外側左右のガス導入口63、64の入口63a、64aの最も外側の点O、O′からシリコンウェーハ基板1の外周に引いた接線B、B′に応じた角度θを基準角度とする。
このように、外側左右のガス導入口63、64の入口63a、64aの最も外側の点O、O′からシリコンウェーハ基板1の外周に引いた接線OB、O′B′が、X軸に平行な線分OA、O′A′に対してなす角度θを、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度の基準角度に設定することによって、最も効率よくシリコンをウェーハ上に供給することができ、エピ膜厚分布上でのウェーハ外周部での落ち込みを最も効率よく抑制することができる。
なお、口径φ125mmのシリコンウェーハ基板1の場合には、外側左右の仕切り板68L、68Rの基準傾斜角度θは19゜となる。また、口径φ200mmのシリコンウェーハ基板1の場合には、外側左右の仕切り板68L、68Rの基準傾斜角度θは9゜となる。
以上のようにシリコンウェーハ基板1の口径が大きくなるほど、外側左右の仕切り板68L、68Rの基準傾斜角度θを小さくすることが望ましい。
つぎに、図4(a)に示すシリコンウェーハ基板1の左右方向(Y軸方向)のエピ膜厚分布に基づいて、シリコンウェーハ基板1の左右両側でエピ膜厚が均等になるように、外側左右の仕切り板68L、68Rの基準傾斜角度θを補正する。
同図4(a)に示すように、シリコンウェーハ基板1の外側左のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量(Eで示す)よりも、シリコンウェーハ基板1の外側右のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量(Fで示す)の方が大きいというアンバランスが生じているため、口径φ150mmの場合、外側右の仕切り板68Rの基準傾斜角度θをθ+α(=18゜;α=3゜)に補正して、外側右の仕切り板68Rをウェーハ1の内側により多く傾けて、ウェーハ右のエピ膜厚分布がウェーハ左のエピ膜厚分布と同等に持ち上がるようにする。
なお、図4(a)と異なり、シリコンウェーハ基板1の外側右のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量よりも、シリコンウェーハ基板1の外側左のエピ膜厚のウェーハ中心に対する落ち込み量の方が大きくなっている場合には、逆に、外側左の仕切り板68Lの基準傾斜角度θをθ+αに補正すればよい。
図5、図6、図7は、口径φ150mmの場合において、成長ガス41のうちキャリアガス(メインガス)41aの流速を変化させたときのエピ膜厚分布を、図4(a)のグラフと同様なグラフで示している。図5は、ガス流速が10Slm、図6は、ガス流速が20Slm、図7は、ガス流速が30Slmの各条件で得られたエピ膜厚分布を示している。図5、図6、図7は、図4(a)と同様に、ウェーハ回転を停止させた条件で得られたウェーハ左右方向(Y軸方向)のエピ膜厚分布であり、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合(外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない場合)と、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度をそれぞれ15゜、18゜に設定した場合とを比較して示している。
これら図5、図6、図7からわかるように、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合(外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない場合)には、エピ膜厚Tepiの分布は、シリコンウェーハ基板1の外周部で落ち込む分布を呈するが、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度を15゜、18゜に設定することによって、上述したウェーハ外周部でのエピ膜厚の落ち込みが抑制され、ウェーハ外周部でのエピ膜厚が持ち上がっているとともに、ウェーハ左右のエピ膜厚のアンバランスが改善されているのがわかる。
さらに、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合には、キャリアガス(メインガス)41aの流速が大きくなるほど、ウェーハ外周部でのエピ膜厚の落ち込みが大きくなるが、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度を15゜、18゜に設定することで、ガス流速の大きさ如何によらず、落ち込みが抑制されウェーハ外周部でのエピ膜厚が持ち上がり、ウェーハ左右のエピ膜厚のアンバランスも改善されていることがわかる。
さらに、図11は、口径φ150mmの場合において、従来技術と比較した
ときのエピ膜厚分布を、図4(a)のグラフと同様なグラフで示している。図11は、図4(a)と同様に、ウェーハ回転を停止させた条件で得られたウェーハ左右方向(Y軸方向)のエピ膜厚分布であり、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合(外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない場合)を基準膜厚分布とし、この基準膜厚分布との対比において、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度をそれぞれ15゜、15゜に設定した場合(左右対称の仕切り板の場合)の膜厚分布と、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度をそれぞれ15゜、18゜に設定した場合(左右非対称の仕切り板の場合)の膜厚分布とを比較して示している。
図11からわかるように、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合(外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない場合)のエピ膜厚Tepiの分布(基準膜厚分布)は、シリコンウェーハ基板1の外周部で落ち込む分布を呈するが、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度を15゜、15゜に設定することによって、上述したウェーハ外周部でのエピ膜厚の落ち込みが抑制され、ウェーハ外周部でのエピ膜厚が持ち上がっているのがわかる。基準膜厚分布は、ウェーハ中心に対して左側よりも右側のエピ膜厚が落ち込む分布を呈するため、左右対称の仕切り板の場合の膜厚分布でも、これと同様にウェーハ中心に対して左側よりも右側のエピ膜厚が落ち込む分布を呈する。
さらに、仕切り板を左右非対称とした場合には、右側の仕切り板68Rを左側の仕切り板68Lよりも大きな角度としているため、仕切り板が左右対称の場合の膜厚分布と比較して、ウェーハ中心に対して右側のエピ膜厚の落ち込みが解消され、右側のエピ膜厚が左側のエピ膜厚と同等に持ち上がり、ウェーハ左右のエピ膜厚がバランスしているのがわかる。
つぎに、上述した「エピ膜厚分布の外周部の持ち上がり(同外周部の落ち込み)」の度合い、「エピ膜厚のウェーハ左右でのバランス(アンバランス)」を定量的に算出して、本実施形態の効果を説明する。
図9は、図7のガス流速が30Slmの場合を例にとり、上記算出の方法を説明する図である。
すなわち、まず、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合(外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない場合)のエピ膜厚分布カーブ上でウェーハ中心の測定点をPとする。そして同エピ膜厚分布カーブ上、ウェーハ右方向(Y軸プラス方向)のウェーハ最外周部つまりウェーハ中心から72mm(エッジカット3mm)離れた距離での測定点をC2とする。線分PC2の傾きは、「外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合(外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない場合)」の「エピ膜厚分布の外周部の持ち上がり(落ち込み)」の度合いを表す。
同様にして傾斜角度15゜(18゜)の場合のエピ膜厚分布カーブから同様の線分PC1を求め、その傾きを算出することで、「外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が15゜、18゜の場合」の「エピ膜厚分布の外周部の持ち上がり(落ち込み)」の度合いを算出することができる。
求めた線分PC2、PC1の傾きが0に近いほど、「エピ膜厚分布の外周部の落ち込み」の度合いが小さく、「エピ膜厚分布の外周部の持ち上がり」の度合いが大きいと評価することができる。このようにして求められた「エピ膜厚分布の外周部の持ち上がり」の度合いを図10(c)に示す。
さらに、同じエピ膜厚分布カーブ上で上記測定点C2に対向する測定点、つまりウェーハ左方向(Y軸マイナス方向)のウェーハ最外周部での測定点をD2とし、差分|D2−C2|を算出する。この差分|D2−C2|は、「外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合(外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない場合)」の「エピ膜厚のウェーハ左右でのバランス(アンバランス)」の度合いを表す。
同様に、同じエピ膜厚分布カーブ上で上記測定点C1に対向する測定点、つまりウェーハ左方向(Y軸マイナス方向)のウェーハ最外周部の測定点をD1とし、差分|D1−C1|を算出する。この差分|D1−C1|は、「外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が15゜、18゜の場合」の「エピ膜厚のウェーハ左右でのバランス(アンバランス)」の度合いを表す。
求めた差分|D2−C2|、|D1−C1|が0に近いほど、「エピ膜厚のウェーハ左右でのバランス」の度合いが大きく、「エピ膜厚のウェーハ左右でのアンバランス」の度合いが小さいと評価することができる。この「エピ膜厚のウェーハ左右でのバランス」の度合いを図10(c)に示す。
同様な計算を、図5のガス流速が10Slmの場合、図6のガス流速が20Slmの場合についても行い、その結果を、それぞれ図10(a)、図10(b)に示した。
図10(a)、(b)、(c)からもわかるように、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合(外側左右の仕切り板68L、68Rを設けない場合)には、エピ膜厚Tepiの分布は、シリコンウェーハ基板1の外周部で落ち込んでいると評価でき、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度を15゜、18゜に設定することによって、上述したウェーハ外周部でのエピ膜厚の落ち込みが抑制され、ウェーハ外周部でのエピ膜厚が持ち上がっているとともに、ウェーハ左右のエピ膜厚のアンバランスが改善されているのが定量的に確かめられた。
さらに、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度が0の場合には、キャリアガス(メインガス)41aの流速が大きくなるほど、ウェーハ外周部でのエピ膜厚の落ち込みが大きくなると評価でき、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度を15゜、18゜に設定することで、ガス流速の大きさ如何によらず、落ち込みが抑制されウェーハ外周部でのエピ膜厚が持ち上がり、ウェーハ左右のエピ膜厚のアンバランスも改善されていることが定量的に確かめられた。
以上のように本実施形態によれば、エピ膜厚の面内バラツキΔTepiを飛躍的に低減でき、エピ膜厚を高レベルに均一にすることができるようになる。このため本実施形態によって製造されたシリコンエピタキシャルウェーハ1′を用いて半導体デバイスを作製すれば、半導体デバイスを高品質で歩留まりよく製造することが可能となる。
また、本実施形態によって製造されたシリコンエピタキシャルウェーハ1′の面内抵抗率Δρを、従来技術によって製造した場合の面内抵抗率と比較すると、5割ほど改善された結果が得られた。
なお、上述した実施形態では、シリコンウェーハ基板1の直径が、口径φ150mmの場合を例にとり、説明したが、本発明の効果は、シリコンウェーハ基板1の直径如何にかかわらず普遍的なものであって、本発明は、シリコンウェーハ基板1の直径を限定的に解釈されるものではない。
なお、また、上述した実施形態では、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度をそれぞれθ、θ+αと異ならせているが、シリコンウェーハ基板1の左右両側でエピ膜厚を均等にすることができるのであれば、外側左右の仕切り板68L、68Rの傾斜角度は同じ角度であってもよい。
本発明はシリコンウェーハ以外のGaAs(ガリウム砒素)などの半導体ウェーハを製造する場合にも適用することができる。
図1(a)は実施形態のガスの流れを示し、図1(b)は従来技術によるガスの流れを示した図である。 図2(a)、(b)、(c)は実施形態のガス導入口に設けられた仕切り板を説明する図である。 図3(a)は実施形態のエピタキシャル気相成長装置の構成を示す図で、図3(b)はシリコンエピタキシャルウェーハの構造を示す図である。 図4(a)はエピタキシャル成長層の面内の膜厚の分布を示すグラフで、図4(b)はシリコンウェーハ基板に対するガスの向きと、X軸、Y軸との位置関係を示した図である。 図5は実施形態のエピタキシャル成長層の面内の膜厚の分布を従来の分布と対比して示すグラフである。 図6は実施形態のエピタキシャル成長層の面内の膜厚の分布を従来の分布と対比して示すグラフである。 図7は実施形態のエピタキシャル成長層の面内の膜厚の分布を従来の分布と対比して示すグラフである。 図8はガス導入口に設けられる仕切り板の傾斜角度の最適値を、シリコンウェーハ基板の口径との対比で示す図である。 図9は実施形態のエピタキシャル成長層の面内の膜厚の分布を従来の分布と対比して示すグラフで、定量的な評価値の算出方法を説明するために用いた図である。 図10(a)、(b)、(c)は、図5、図6、図7に対応させて、実施形態の効果を定量的な評価値をもって表した表である。 図11は実施形態のエピタキシャル成長層の面内の膜厚の分布を従来の分布と対比して示すグラフである。

Claims (4)

  1. エピタキシャル成長用のガスをガス導入口を介して半導体ウェーハ基板上に流すことによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造するために用いられる気相成長装置において、
    前記ガス導入口は、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の内側に流す内側のガス導入口と、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の左右外側に流す外側の左右のガス導入口とに、仕切られており、
    更に、前記外側の左右のガス導入口それぞれには、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の内側に向かわせる仕切り部材であって、半導体ウェーハ基板の左右両側でエピタキシャル成長膜の膜厚が均等になる角度に傾斜させた仕切り部材が設けられていること
    を特徴とする気相成長装置。
  2. 前記外側の左右の仕切り部材の傾斜角度は、
    ガス導入口の入口の最も外側の点から半導体ウェーハ基板の外周に引いた接線に応じた角度を基準角度とし、
    半導体ウェーハ基板の左右両側でエピタキシャル成長膜の膜厚分布が均等になるように前記基準角度が補正された角度であること
    を特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
  3. 前記外側の左右の仕切り部材の傾斜角度は、異なる角度であること
    を特徴とする請求項1または2記載の気相成長装置。
  4. エピタキシャル成長用のガスをガス導入口を介して半導体ウェーハ基板上に流すことによって半導体ウェーハ基板上にエピタキシャル成長膜を形成して、半導体エピタキシャルウェーハを製造するために用いられるガス導入口の仕切り部材の傾斜角度設定方法であって、
    前記ガス導入口は、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の内側に流す内側のガス導入口と、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の左右外側に流す外側の左右のガス導入口とに、仕切られたものであって、
    前記外側の左右のガス導入口それぞれに、エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板の内側に向かわせる仕切り部材の傾斜角度は、
    エピタキシャル成長用ガスを、半導体ウェーハ基板上に流して、半導体ウェーハ基板の左右方向のエピタキシャル成長膜の膜厚分布を計測する工程と、
    前記計測された半導体ウェーハ基板の左右方向のエピタキシャル成長膜の膜厚分布に基づいて、半導体ウェーハ基板の左右両側でエピタキシャル成長膜の膜厚が均等になるように、前記外側の左右の仕切り部材の傾斜角度をそれぞれ求める工程とを
    経て、設定されること
    を特徴とするエピタキシャル気相成長装置用ガス導入口の仕切り部材の傾斜角度設定方法。
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