JP2005353303A - 燃料電池および燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池および燃料電池システムにおいて、未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による発電能力の低下を防止する。
【解決手段】燃料電池システムは、酸化ガスと燃料ガスとの電池反応によって電力を生成する燃料電池100と、窒素が混入した燃料ガスが流通する燃料ガス流路(例えば、燃料オフガス流路173)と、その燃料ガス流路に配置されると共に、燃料ガスから混入した窒素のみを選択的に捕捉する窒素捕捉手段(例えば、窒素吸着室510)とを備える。この結果、燃料ガスから混入窒素のみを選択的に除去することができ、未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による発電能力の低下を防止することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池および燃料電池システムに関し、特にアノード電極における窒素による発電能力低下の防止技術に関する。
燃料電池は、アノード電極に供給される水素ガス等の燃料ガスとカソード電極に供給される空気等の酸化ガスとの電池反応により電力を生成する。一方、カソードに供給される酸化ガス中の窒素がカソード電極側から電解質膜を透過してアノード電極側へと浸み出してくる。また、電池反応の進行に伴って、水素が消費されるので、燃料ガス中に含まれる窒素の濃度が相対的に上昇する。これらの窒素は、燃料ガスのアノード電極への供給を阻害するので電池反応が円滑に行われなくなり、燃料電池の発電能力の低下を招くおそれがある。
このため、所定のタイミングで、燃料電池中の燃料ガスを、窒素と共に排出し、新たな燃料ガスと入れ替えることが行われている。(例えば、特許文献1)
特開2003−77506 特開H9−312167 特開H4−206160 特開2001−87647
しかしながら、上記技術に係る燃料電池システムでは、窒素と共に未反応水素を含む燃料ガスまで排出されるため、燃料ガスの利用効率が低下するという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、燃料電池および燃料電池システムにおいて、未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による発電能力の低下を防止することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、燃料電池システムを提供する。本発明の第1の態様に係る燃料電池システムは、酸化ガスと燃料ガスとの電池反応によって電力を生成する燃料電池と、前記燃料電池に供給される燃料ガスが流通する燃料ガス流路と、前記燃料電池から排出される燃料オフガスが流通する燃料オフガス流路と、前記燃料オフガス流路に配置されると共に、前記燃料ガスに混入した窒素を前記燃料ガスから選択的に捕捉する窒素捕捉手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第1の態様に係る燃料電池システムによれば、燃料電池の下流にある燃料オフガス流路に窒素を含んだ燃料オフガスが滞留するが、燃料オフガス流路に窒素捕捉手段を備えることによって、効率良く、燃料ガス中に混入した窒素を選択的に捕捉し、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
本発明の第2の態様は、燃料電池システムを提供する。本発明の第2の態様に係る燃料電池システムは、酸化ガスと燃料ガスとの電池反応によって電力を生成する燃料電池と、前記燃料電池から排出される燃料オフガスを循環させて、前記燃料電池に前記燃料ガスとして再び供給する燃料ガス循環流路と、前記燃料ガス循環流路に配置されると共に、前記燃料ガスに混入した窒素を前記燃料ガスから選択的に捕捉する窒素捕捉手段とを備えることを特徴とする。燃料ガスを循環させる燃料電池システムでは、循環する燃料ガス中の窒素濃度が発電に伴い上昇していく。燃料ガスが循環する流路に窒素捕捉手段を備えることによって、循環する燃料ガス中に混入した窒素を選択的に捕捉し、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
上述の態様に係る燃料電池システムにおいて、前記混入した窒素のみを選択的に吸着する窒素吸着材料であっても良い。また、前記窒素吸着材料は、窒素固定能を有する錯体であっても良い。かかる場合には、窒素吸着材料によって燃料ガス中に混入した窒素を選択的に吸着し、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。また、前記窒素吸着材料は、窒素固定能を有する錯体であっても良い。
上述の態様に係る燃料電池システムは、さらに、前記窒素吸着材料を冷却する冷却手段を備え、前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料であっても良い。窒素吸着材料は、温度が低いほど高い吸着性能を示す材料であり、冷却により窒素吸着材料の吸着性能を向上させることができる。
上述の態様に係る燃料電池システムは、さらに、前記窒素吸着材料が吸着した窒素を放出させる窒素放出手段を備えても良い。一旦吸着した窒素を放出することにより、繰り返し窒素を吸着することができる。かかる場合に、前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料であり、前記窒素放出手段は、窒素吸着材料を加熱する加熱手段であっても良く、前記窒素吸着材料は、接触する気体における窒素分圧が高いほど吸着可能な窒素量が増大し、接触する気体における窒素分圧が低いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料であり、前記窒素放出手段は、窒素吸着材料と接触する気体における窒素分圧を減圧する減圧手段であっても良い。加熱手段、または、減圧手段は、窒素放出手段として機能するため、一旦吸着した窒素を放出することにより、繰り返し窒素を吸着することができる。
上述の態様に係る燃料電池システムは、さらに、前記窒素吸着材料を冷却および加熱可能な温度調節手段を備え、前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料であっても良い。かかる場合には、冷却による窒素吸着材料の吸着性能の向上と、加熱による吸着窒素の放出を、温度調節手段によって実現することができる。
上述の態様に係る燃料電池システムにおいて、前記窒素捕捉手段は、窒素固定能を有する生物を利用して、前記混入した窒素を固定する第一の窒素固定手段であっても良い。かかる場合には、燃料ガス中に混入した窒素を窒素化合物として、選択的に固定することができ、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
本発明の第3の態様は、燃料電池を提供する。本発明の第3の態様に係る燃料電池は、窒素を含む酸化ガスが供給されるカソード電極と、燃料ガスが供給されるアノード電極と、一方の面に前記カソード電極が配置されると共に他方の面に前記アノード電極が配置された電解質膜と、前記カソード電極側から前記アノード電極側へと前記電解質膜を透過した窒素または透過している窒素が存在する位置に配置されると共に、前記窒素のみを選択的に捕捉する窒素捕捉手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る燃料電池によれば、燃料電池内において、カソード電極側からアノード電極側へと電解質膜を透過した窒素または透過している窒素を選択的に捕捉することができる。この結果、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
本発明の第3の態様に係る燃料電池において、前記窒素捕捉手段は、前記電解質膜の内部、前記電解質膜の前記アノード電極側表面、前記アノード電極の内部、前記アノード電極の表面、の少なくともいずれかに配置されても良く、また、前記アノード電極は、前記電解質膜に接して配置された触媒層と、前記触媒層に接して配置された拡散層とを有し、前記窒素捕捉手段は、前記触媒層の内部、前記触媒層の表面、前記拡散層の内部、前記拡散層の表面、の少なくともいずれかに配置されても良い。
かかる場合には、カソード電極側からアノード電極側へと電解質膜を透過した窒素または透過している窒素を燃料ガスの流路に入る前に捕捉することができる。この結果、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できると共に、燃料ガス流路において窒素捕捉手段等の窒素対策を廃止または簡略化することができる。
本発明の第3の態様に係る燃料電池は、さらに、前記燃料ガスを外部から前記燃料電池の内部に導入する燃料ガス導入口と、前記燃料ガスを前記燃料電池の内部から外部に排出する燃料ガス排出口と、前記燃料ガス導入口から前記燃料ガス排出口に至る燃料電池の内部の流路であって、前記アノード電極への前記燃料ガスの供給と前記アノード電極からの燃料ガスの排出を行う燃料ガス流路とを備え、前記窒素捕捉手段は、前記燃料電池の内部の燃料ガス流路の少なくとも一部に配置されていても良い。かかる場合には、燃料電池の内部の燃料ガス流路において燃料ガスに混入した窒素を選択的に捕捉し、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
本発明の第3の態様に係る燃料電池は、さらに、前記アノード電極と接して配置されるアノードセパレータであって、前記アノード電極との間に前記燃料電池の内部の燃料ガス流路を形成する燃料ガス流路形成部を有するアノードセパレータを備え、前記窒素捕捉手段は、前記燃料ガス流路形成部の少なくとも一部に配置されていても良い。かかる場合には、アノードセパレータに形成された燃料ガス流路において燃料ガスに混入した窒素を選択的に捕捉し、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
本発明の第3の態様に係る燃料電池において、前記窒素捕捉手段は、前記窒素捕捉手段は、前記燃料電池の内部の燃料ガス流路または前記燃料ガス流路形成部のうち下流領域に配置されていても良い。燃料電池内の内部を流れる燃料ガス流路のうち下流領域ほど窒素が滞留しやすいため、下流領域に窒素捕捉手段を設けることで、効率良く、窒素を捕捉し、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
本発明の第3の態様に係る燃料電池は、本発明の第1および第2の態様に係る燃料電池システムと同様にして窒素捕捉手段として種々の態様を用いることができる。すなわち、窒素捕捉手段は、上述した窒素吸着材料または第一の窒素固定手段であっても良く、窒素吸着材料である場合には、冷却手段、窒素放出手段、温度調整手段を備えても良い。かかる場合には、本発明の第一の態様に係る燃料電池システムについて説明したものと同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第2の態様に係る燃料電池において、前記アノードセパレータは、さらに、窒素を吸収可能な媒体が流れる窒素吸収媒体流路を形成する窒素吸収媒体流路形成部を有し、前記窒素捕捉手段は、窒素のみを選択的に透過し、燃料ガスを透過しない窒素透過手段であり、前記窒素透過手段は、前記燃料ガス流路と前記窒素吸収媒体流路とを接続するように配置されていても良い。かかる場合には、燃料ガス流路を流れる燃料ガスのうち混入した窒素のみが窒素透過手段を透過して窒素吸収媒体流路を流れる窒素吸収媒体に吸収される。この結果、継続的に燃料ガスに混入した窒素を選択的に除去し、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、継続的に窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
以下、本発明に係る燃料電池および燃料電池システムについて、図面を参照しつつ、実施例に基づいて説明する。
A.第1実施例
・燃料電池システムの構成:
図1は、第1実施例に係る燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。この燃料電池システムは、例えば、車両に搭載されており、車両を駆動するモータ用の電源として使用される。
図1に示すように、燃料電池システムは、燃料電池100と、燃料電池100に燃料ガスを供給する燃料ガス供給部200と、燃料電池100に酸化ガスを供給する酸化ガス供給部300と、燃料ガス中に混入した窒素を捕捉し、選択的に除去する窒素捕捉部500と、各部の動作を制御する制御ユニット600とを備えている。
燃料電池100は、比較的小型で発電効率に優れる固体高分子型燃料電池であり、電池反応に用いられる燃料ガスが供給される内部燃料ガス流路53と、酸化ガスが供給される内部酸化ガス流路52を有している。燃料電池100は、膜−電極アッセンブリ(以下、MEA(Membrane−Electrode Assembly)ともいう。)を導電性のセパレータによって挟んで形成される単電池(セル)を複数積層したものである。詳しい構成は周知であるので、その説明を省略する。
燃料ガス供給部200は、燃料ガス流路172を介して燃料ガス(本実施例では、水素)を燃料電池100に供給する。燃料ガス供給部200は、水素タンク210と、減圧器220と、流量制御バルブ230を備えている。
水素タンク210は、水素ガスを比較的高い圧力で貯蔵する。減圧器220は、水素タンクから供給された水素ガスを所定の圧力に減圧する。流量制御弁230は、燃料電池100で消費された量の水素が燃料電池100に供給されるように燃料ガス流路172を流れる燃料ガス量を調節する。
窒素捕捉部500は、燃料オフガス流路173上に配置されている。窒素捕捉部500には、燃料オフガス流路173を介して、燃料電池100から排出された燃料オフガスが流入する。窒素捕捉部500は、窒素吸着室510と、2つのon/offバルブ520、522とを備えている。尚、燃料電池100は循環型であっても良く、この場合は、n/offバルブ522を三方弁とし、on/offバルブ520から窒素吸着室510に供給された燃料オフガスのうち、水素リッチなガスを燃料ガス流路172に戻す構成となる。
窒素吸着室510には、窒素吸着材料が充填されている。窒素吸着材料は、気体の透過を許容する多孔体であって、透過する気体中から窒素分子を選択的に吸着する性質を有する材料である。窒素吸着材には、例えば、細孔を有する結晶構造を持つシリカ(SiO2)−アルミナ(Al2O3)系化合物であるゼオライトを用いることができる。具体的には、リチウムイオンでイオン交換されたX型ゼオライトや、カルシウムイオンでイオン交換されたA型またはX型ゼオライト等が、窒素吸着材料として知られている。これらの窒素吸着材料は、粒子状、粉末状、ペレット状などの形状で、窒素吸着室510に充填されており、燃料ガス中の窒素を吸着するために、燃料ガスとの間に充分な接触面積が確保できるようにされている。窒素吸着室510には、窒素吸着材料を加熱する加熱器511が備えられている。加熱器511には、例えば、車載バッテリー等の電源部512により動作するヒーターを用いることができる。
on/offバルブ520は、窒素吸着室510の上流側の燃料オフガス流路173に配置され、on/offバルブ522は、窒素吸着室510の下流側の燃料オフガス流路173に配置されている。on/offバルブ520、522は、制御ユニット600の制御により燃料オフガス流路173の開閉状態を切り換える。燃料オフガス流路173の下流端は、大気と連通している。
酸化ガス供給部300は、酸化ガスポンプ310を備えており、酸化ガス流路182を介して酸素を含む酸化ガス(例えば、空気)を燃料電池100に供給する。燃料電池100から排出された酸化オフガスは、酸化オフガス流路183を通って、大気中に放出される。
制御ユニット600は、周知のマイクロコンピュータであり、中央演算処理装置(CPU)、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)等を備える。制御ユニット600は、バルブ類(220、230、520、522)や、酸化ガスポンプ310、電源部512等を適切に制御して、燃料電池100を運転する。
燃料電池100の発電電力は、インバータ等の負荷部410に出力され、車両走行用のモータの駆動等に用いられる。
・燃料電池システムの動作:
本実施例に係る燃料電池システムの動作について、窒素捕捉部500の動作を中心に説明する。図2は、窒素捕捉部500の動作の概略を示す説明図である。図2において、窒素吸着室510は、気体領域GAと固体領域(窒素吸着材料)SAとに分けて示されている。実際には、多孔質体である窒素吸着材料の骨格部分が固体領域SAに、孔部分が気体領域SAに相当し、2つの領域に明確に分かれているわけではないが、説明の便宜のために2つの領域に分けて図示した。
窒素吸着材料の燃料電池100は、制御ユニット600の制御により、燃料ガス供給部200から燃料ガスが内部燃料ガス流路53に供給され、酸化ガス供給部300から酸化ガスが内部酸化ガス流路52に供給されると、電池反応を生じ電力を電気負荷400に出力する。燃料電池運転中には、内部酸化ガス流路52内の酸化ガス中に含まれる窒素が、濃度勾配によりカソード電極側から電解質膜を透過してアノード電極側に侵入してくる。侵入してきた窒素は、内部燃料ガス流路53内の燃料ガスに混入する(以下、このような窒素を混入窒素という。)。
燃料電池100は、通常on/offバルブ522を閉状態とし、on/offバルブ520を開状態として運転(発電)される(以下、デッドエンド運転ともいう。)。燃料ガス供給部200は、燃料電池100内の燃料ガス圧を一定に保つように制御され、燃料電池100で消費された水素量分だけ燃料ガスを燃料電池100に供給する。したがって、燃料電池100の内部燃料ガス流路53には、消費された水素量分だけ、燃料ガスの流れFが生じる。この流れによって、燃料ガス中の混入窒素は、内部燃料ガス流路53の下流領域DAに集められる(図2(a)参照)。
一方、窒素吸着室510室や燃料オフガス流路173では、水素の消費は無いので、燃料ガスのマクロ的な流れは生じない。しかし、内部燃料ガス流路53の下流領域DAの窒素濃度が高くなると、下流領域DA内の燃料ガスと、窒素吸着室510内の気体領域GA内の燃料ガスとの間に濃度勾配が生じる。この濃度勾配に起因する拡散によって、窒素は下流領域DAから窒素吸着室510へ移動してくる。そして、窒素吸着室510に移動してきた窒素は、ただちに窒素吸着材料SAに吸着されるので、常に窒素吸着室510内の気体領域GAにおける窒素濃度は低い状態に保たれる。この結果、下流領域DAと気体領域GA間における窒素の濃度勾配は高く維持され、窒素は次々と拡散により窒素吸着室510へと移動してくる(図2(b)参照)。すなわち、効率良く、燃料電池100内の燃料ガス中から混入窒素を除去することができる。
窒素吸着材料SAが飽和状態に達し、窒素をこれ以上吸着できない状態になると、気体領域GAにおける窒素濃度が上昇する(図2(c)参照)。この結果、下流領域DAと気体領域GA間における窒素の濃度勾配は小さくなり、窒素の拡散速度が低下してしまう。こうなると、窒素を効率良く、燃料電池100から除去することができなくなるので、制御ユニット600は、窒素吸着材料SAが吸着した窒素を放出して、窒素吸着材料SAの吸着能を再生する処理(以下、吸着能再生処理ともいう。)を実行する。
具体的には、制御ユニット600は、水素濃度センサ518により検出した水素濃度CH2が基準水素濃度CH2_ref1より低くなった時に、on/offバルブ520を閉状態とし、on/offバルブ522を開状態とする。制御ユニット600は、続いて、加熱器511を動作させて、窒素吸着材料SAを加熱する(図2(d)参照)。この結果、窒素吸着材料は、吸着していた窒素を気体領域GAに放出し、放出された窒素は、燃料オフガス流路173を通って大気中に排出される。on/offバルブ520を閉状態にするのは、放出された窒素が燃料電池100側に逆流するのを防止するためである。
制御ユニット600は、十分に窒素が放出されたタイミングで(例えば、予め経験的に定められた所定の加熱時間経過後に)、加熱器511の動作を終了して、on/offバルブ522を閉状態にすると共に、on/offバルブ520を開状態として、図2(a)で説明した通常の状態に戻る。窒素吸着材料の吸着能は、窒素吸着材料の温度が下がってくると、自然に回復する。
ここで、図3を参照して、窒素吸着材料の窒素の吸着−解放特性について説明する。図3は、窒素吸着能を持つゼオライトにおける固体(ゼオライト)−気体間の吸着平衡(成分分配)を示すグラフである。横軸は、窒素分圧を示し、縦軸は、対応する窒素分圧を持つ気体と平衡状態にあるゼオライトの窒素吸着量を示す。図3に示すように、窒素吸着材料の吸着平衡は、温度が高い程、気体側に移動する。すなわち、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する。これを利用して、矢印Aで示す加熱操作によって窒素吸着剤の吸着能を再生する方式を熱再生方式(TSA)という。実施例における窒素捕捉部500では、熱再生方式を使用している。
以上説明した第1実施例に係る燃料電池システムによれば、燃料電池100の下流の燃料オフガス流路173に、窒素捕捉手段として窒素吸着室510を備えるので、燃料ガス中に混入した窒素を、燃料ガスから選択的に除去することができる。この結果、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池100の発電能力の低下を防止することができる。
また、窒素吸着室510には、窒素を放出するための加熱器511が備えられ、吸着した窒素を放出して窒素吸着材料の吸着能を再生する機能を備える。この結果、繰り返し窒素を吸着可能となり、継続的に燃料電池100の発電能力の低下を防止できる。また、この吸着能再生処理は、on/offバルブ520を閉状態にして実行されるので、放出した窒素が逆流が燃料電池100に逆流せず、燃料電池100が運転中であっても実行することができる。
・窒素捕捉手段500の他の態様:
図4〜図7を参照して窒素捕捉手段500の他の態様について説明する。
図4に示すように、第1実施例における加熱器511に代えて減圧ポンプ540を備えても良い。この場合には、吸着能再生処理は、on/offバルブ520を閉状態、on/offバルブ522を開状態として、減圧ポンプ540を駆動することによって実行される。この結果、窒素吸着室510内の気体が掃引され、窒素吸着室510内が減圧されると(窒素分圧が低下すると)、窒素吸着材料は、吸着していた窒素を放出する。放出された窒素は、燃料オフガス流路173を通って大気中に排出される。
図3に示すように、窒素吸着材料の吸着平衡は、窒素分圧が低い程、気体側に移動する。すなわち、接触する気体における窒素分圧が高いほど吸着可能な窒素量が増大し、接触する気体における窒素分圧が低いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する。これを利用して、図4に示す態様は、図3の矢印Bで示す減圧操作によって窒素吸着剤の吸着能を再生している(圧力差再生方式(PSA)という。)。この場合にも、熱再生方式を用いる第1実施例と同様の作用効果を実現できる。なお、減圧ポンプ540と酸化ガスポンプ310とを同じポンプで実現する構成としても良い。
図5に示すように、第1実施例における加熱器511に代えてペルチェ素子513を備えても良い。ペルチェ素子513は、N型半導体NSとP型半導体PSとを交互に金属片IPおよびOPで接合した構成を有している。そして、一端に位置するN型半導体NSと他端に位置するP型半導体PS間に電圧を印加する電源部512が備えられている。
そして、金属片IP側の面は、電気絶縁性および熱伝導性に優れた板材(図示しない。)等を介して窒素吸着材料または窒素吸着室と接触するように配置される。一方、金属片OP側の面は、電気絶縁性および熱伝導性に優れた板材(図示しない。)等を介して大気に開放されている。
電源部512によりN型半導体NS側から直流電流を流すと、ペルチェ効果により、金属片IP側の面で吸熱が起こると共に金属片OP側の面で放熱が起こる。これによって、窒素吸着材料を冷却することができる。逆に、P型半導体PS側から直流電流を流すと、ペルチェ効果により、金属片IP側の面で放熱が起こると共に金属片OP側の面で吸熱が起こる。これによって、窒素吸着剤を加熱することができる。言い換えれば、ペルチェ素子513は、制御ユニット600の制御により電圧印加方向を切り替えることによって、窒素吸着部の加熱手段と冷却手段を兼ねる温度調節手段として機能する。
図5に示す態様によれば、ペルチェ素子513を加熱手段として用いることによって、第1実施例と同様の作用効果を実現することができる。さらに、ペルチェ素子513を冷却手段として用いることによって、燃料電池100の発電による発熱等の影響によらず、窒素吸着材料を低温に保ち、窒素吸着能の向上および安定した窒素吸着能の確保が可能となる。また、加熱により窒素を放出した窒素吸着材料を強制的に冷却することで、窒素吸着材料を窒素放出状態から窒素吸着状態へと速やかに切換えることができる。この結果、燃料ガス中の混入窒素のより効果的な除去が可能となる。
図6に示す態様は、窒素吸着室510を熱交換器構造とすることによって、温度調節手段としている。図6に示すように、本態様では、窒素吸着室510に充填された窒素吸着材料内に熱交換部514が形成されている。熱交換部514は、例えば、扁平な複数の流路として形成され、窒素吸着材料の層と交互に積層された多層構造とすることができる。もちろん、他のどのような熱交換器構造を用いても良い。熱交換部514の一端は、熱媒または冷媒を熱交換部514に供給する媒体供給路515と連通し、他端は熱交換部514から熱媒または冷媒を供給する媒体排出路516と連通している。媒体供給路515を介して、熱交換部514に熱媒が供給されると、窒素吸着材料と熱媒との熱交換によって窒素吸着材料が加熱される。一方、媒体供給路515を介して、熱交換部514に冷媒が供給されると、窒素吸着材料と冷媒との熱交換によって窒素吸着材料が冷却される。
熱媒としては、例えば、燃料電池にて加熱された燃料ガス、燃料電池から排出された冷却水、もしくは水素ガスと空気の混合ガスを水素燃焼触媒と接触させて燃焼させた燃料ガスを用いることができる。また、熱交換部514の内壁に水素燃焼触媒を担持しておき、熱交換部514内で水素−空気混合ガスの燃焼を起こさせても良い。冷媒としては、例えば、常温のエア、燃料電池100の冷却水を用いることができる。
図6に示す態様によれば、図5に示す態様と同様の作用効果を実現することができる。
図7に示すように、第1実施例における窒素吸着室510に代えて、窒素固定生物室550を備えても良い。ここで、窒素固定生物とは、窒素ガスを還元してアンモニア(NH3)を作る生物反応により窒素を固定する能力(以下、窒素固定能という。)を有する生物をいうものとする。図7に示す例では、窒素固定生物として、根粒菌(Rhizobium)を用いている。根粒菌は、宿主551に感染して、宿主551の根に根粒552を形成する。宿主551は、所定のマメ科植物(例えば、大豆やクローバー)である。根粒552には、根粒菌がぎっしり詰まっている。
図7に示すように、宿主551のうち、根粒を有する根の部分が窒素固定生物室550内に配置され、燃料ガス中の混入窒素と接触するようにされている。一方、宿主551のうち、光合成を行う部分(例えば、葉)は、窒素固定生物室550の外に配置されている。宿主551には、光が照射され、光合成によって有機物を合成し、生命活動を維持することができるように構成されている。根粒菌は、根粒552において、宿主551から供給される有機物をエネルギー源として、混入窒素をアンモニアに変換して固定する。
図7に示す態様によれば、窒素固定能を有する生物によって窒素を固定するので、第1実施例と同様に、燃料ガス中の混入窒素を選択的に除去できる。なお、宿主551の死滅等によって、窒素固定能が失われた場合には、窒素固定生物室550の交換等によって、窒素固定能を回復することができる。この際、副産物として、窒素化合物が得られる。窒素化合物は、例えば、肥料として利用することができる。
本態様において、根粒菌以外の他の窒素固定生物、例えば、土壌細菌群およびその生息している土壌や固定化微生物等を用いても良い。用いる窒素固定生物が生命活動を維持でき、窒素固定能を発揮できる環境に窒素固定生物室550を構成すれば良い。他の窒素固定生物としては、例えば、下記のものがある。
a)単生(非共生)窒素固定生物
i)バクテリア
・好気性菌:Azotobactar, Beijerinckia, Azosprillum
・通性嫌気性菌:Klebsiella pneumoniae, Bacillus polymyxa
・絶対嫌気性菌:Clostridium acetobutylium, Deslufovibrio
・光合成細菌:Chromatium, Rhodospirillum
ii)らん藻
・ヘテロシストを持つ繊維状らん藻:Anabaena, Nostoc, Calothrix
・ヘテロシストを持つ繊維状らん藻:Tricodesmium, Plectonema
・単細胞らん藻:Gloeocapsa等
b)共生窒素固定生物
i)非マメ科植物
・被子植物とFlankiaの根粒:ハンノキ、木麻黄、グミ等
・裸子植物の根粒:マキとバクテリア、マキと糸状菌、ソテツとラン属等
・葉粒:PsychotriaKlebsiella
・らん藻の共生:糸状菌とらん藻(地衣)、AzollaAnabaena
・根圏(Rhizosphere)でのゆるい共生:Digitaria decumbensAzopirillum lipoferum
ii)バクテリア間の共生:光合成細菌と好気性菌
なお、このような生化学的反応を利用した窒素固定としては、微生物等の細胞自体を用いる他、窒素固定系の反応に係る酵素(ニトロゲナーゼ等)を溶液もしくは固定化酵素剤として利用することもできる。
図示は省略するが、第1実施例における窒素吸着室510に代えて、窒素固定錯体が充填された窒素固定錯体室を備えても良い。所定の錯体は、窒素分子と反応して、窒素が配位結合した窒素錯体を生成することによって、窒素を固定することが知られている。例えば、ペンタアンミンルテニウム錯体の水溶液は、以下のイオン反応により、常温、常圧の条件下で窒素を固定する。
[Ru(NH3)5(aq)]2+ + N2 → [Ru(NH3)5(N2)]2+
この他にも、CoH(N2)(PPh3)3、trans-[Mo(N2)2(PPh2CH2CH2PPh2)2]、Li6[Ni(C6H5)6N2(Et2O)2]等の窒素錯体として窒素を固定する反応が知られている。
具体的には、例えば、カーボン等によって作製された多孔質体、ハニカム構造体、カーボンフェルト、などに上述した錯体を溶かした溶媒(水、有機溶媒等)を含浸させたものを充填した容器を、窒素固定錯体室として使用することができる。
また、燃料ガスと窒素ガスとの比重の違いを利用して、例えば、遠心分離法を用いて、燃料ガスに混入した窒素を分離しても良い。具体的な図示は省略するが、例えば、比重分離室を回転運動させることによって、室内の気体に遠心力を加え、燃料ガスに混入した窒素を分離することができる。
本態様によっても、第1実施例同様に、窒素固定能を有する錯体を利用して窒素を固定するので、第1実施例と同様に、燃料ガス中の混入窒素を選択的に除去できる。
B.第2実施例:
図8は、第2実施例に係る燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。
第2実施例に係る燃料電池システムにおいて、燃料電池100の内部燃料ガス流路53の一端には、燃料オフガス流路173に代えて、還流流路174が接続されている。そして、還流流路174上には、循環ポンプ240が配置されている。循環ポンプ240は、還流流路174内の燃料オフガスを、燃料ガスとして燃料ガス流路172内に戻す機能を有している。これにより、燃料ガスは、還流流路174と燃料ガス流路172により構成される環状の流路(以下、燃料ガス循環流路という。)を循環する。なお、還流流路174を水素タンク210に接続する構成として、燃料オフガスを水素タンク210に戻すことによって燃料ガスを循環させても良い。
窒素捕捉部500は、燃料ガス循環流路上に配置されている。図8では、循環ポンプ240より上流側の還流流路174上に配置されているが、燃料ガス循環流路上であればどこでも良く、例えば、燃料ガス流路172上であっても良い。窒素吸着室510には、第1実施例と異なり、独立した窒素排出路177が接続されている。窒素排出路177上には、on/offバルブ526が配置されており、窒素排出路177の開閉状態を切換え可能になっている。
他の構成については、図1を参照して説明した第1実施例に係る燃料電池システムと共通であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
第2実施例に係る燃料電池システムの動作について、窒素捕捉部500の動作を中心に簡単に説明する。本実施例に係る燃料電池システムは、通常はon/offバルブ520、522を開状態とし、on/offバルブ526を閉状態として運転される。本実施例に係る燃料電池システムは、燃料ガス供給部200から供給された燃料ガスを前述した燃料ガス循環流路に循環させ、燃料電池100における電池反応によって消費された水素分だけ、随時燃料ガス供給部200から燃料ガス循環流路に燃料ガスを随時補充して運転される(以下、循環系運転ともいう。)。運転中に、燃料ガス中に混入した窒素は、燃料ガスと共に燃料ガス循環流路を循環し、窒素吸着室510を通過する際に窒素吸着材料に吸着されることによって、燃料ガスから選択的に除去される。
窒素吸着材料が飽和状態に達し、窒素をこれ以上吸着できない状態になると、制御ユニット600は、窒素吸着材料の吸着能再生処理を実行する。具体的には、制御ユニット600は、循環ポンプ240を停止すると共に、on/offバルブ520、522を閉状態にして、窒素吸着室510と燃料循環流路とを遮断する。そして、制御ユニット600は、on/offバルブ526を開状態とし、加熱器511を作動させて窒素吸着剤を加熱する。これによって、吸着されていた窒素が窒素吸着材料から放出され、窒素排出路177を通って大気に排出される。窒素が吸着・放出される原理は、第1実施例と同様である。なお、この吸着能再生処理は、燃料電池100の運転を一時停止して実行しても良く、運転中に実行しても良い。運転中に実行する場合は、燃料電池100は、一時的に燃料ガスの循環が停止した状態(第1実施例と同様の閉状態)で運転されることになる。
第2実施例に係る燃料電池システムによれば、燃料ガス循環流路に窒素捕捉手段として窒素吸着室510を備えるので、第1実施例と同様に、燃料ガス中に混入した窒素を、燃料ガスから選択的に除去することができる。この結果、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池100の発電能力の低下を防止することができる。
また、第1実施例と同様に、窒素吸着室510には、窒素を放出するための加熱器511が備えられ、吸着した窒素を放出して窒素吸着材料の吸着能を再生する機能を備える。この結果、窒素を繰り返し吸着することが可能となり、継続的に燃料電池100の発電能力の低下を防止できる。
第2実施例に係る燃料電池システムにおける窒素捕捉部500には、第1実施例と同様に種々の態様を用いることができる。すなわち、第1実施例において図4〜図7を参照して説明した他の態様を、循環系運転に対応するように適宜変更を加えて適用することができる。例えば、加熱器511に代えて、窒素排出路177上に減圧ポンプを備えることにより、圧力差再生方式で吸着能再生処理を行う構成としても良い(図4参照)。また、加熱器511に代えて、ペルチェ素子(図5参照)や熱交換構造(図6参照)等の温度調整手段を備えても良い。もちろん、窒素固定生物や、錯体を利用して窒素を固定する手段を窒素捕捉部500に適用しても良い(図7参照)。かかる場合には、第1実施例において説明した他の態様と同様の作用効果を得ることができる。
C.第3実施例
・燃料電池の構成:
図9〜図12を参照して、第3実施例に係る燃料電池について説明する。図9は、本実施例に係る燃料電池の外観の概略構成を示す説明図である。図10は、本実施例に係る燃料電池の一部を縦方向に(例えば、図11の波線B−Bにて)切断した縦断面の概略構成を示す説明図である。図11は、本実施例に係る燃料電池を構成するアノードセパレータの膜−電極アッセンブリとの対向面(以下、電極対向面という。)の概略構成を示す説明図である。図12は本実施例に係る燃料電池を構成するアノードセパレータの冷却流路が形成されている面(以下、冷却流路面という。)の概略構成を示す説明図である。本実施例に係る燃料電池は、第1実施例および第2実施例に係る燃料電池システムに使用する燃料電池100同様、固体高分子型燃料電池である。
本実施例に係る燃料電池は、複数の単セル20と、エンドプレート30と、テンションプレート31を備えている。複数の単セル20は、2枚のエンドプレート30によって挟まれ、テンションプレート31がボルト32によって各エンドプレート30に結合されることによって、スタック状の燃料電池を形成する。本実施例に係る燃料電池は、外部の燃料ガス供給手段(例えば、水素タンク)から、燃料ガスを燃料電池の内部に導入する燃料ガス導入口35と、燃料電池内から燃料ガスを外部に排出する燃料ガス排出口36を備えている。また、本実施例に係る燃料電池は、外部の酸化ガス供給手段(例えば、酸化ガスポンプ)から、酸化ガスを燃料電池の内部に導入する酸化ガス導入口37と、燃料電池内から酸化ガスを外部に排出する酸化ガス排出口38を備えている。さらに、図示は省略するが、本実施例に係る燃料電池は、外部の冷却媒体供給手段(例えば、ラジエータ)から、冷却媒体を燃料電池の内部に導入する冷却媒体導入口と、燃料電池内から酸化ガスを外部に排出する冷却媒体排出口を備えている。
単セル20は、膜−電極アッセンブリ21(以下、MEA21ともいう。)、カソードセパレータ22、アノードセパレータ23とによって構成されている。単セル20は、カソードセパレータ22とアノードセパレータ23とが接するようにして複数個積層される。
MEA21は、図10に示すように、イオン交換膜からなる電解質膜211と、電解質膜211の一方の面に配置されたカソード電極212と、電解質膜211の他方の面に配置されたアノード電極213とを備えている。
アノードセパレータ23は、例えば、カーボン、金属、導電性樹脂といった導電性材料を用いて、緻密に形成されている。アノードセパレータ23は、電極対向面23aと冷却流路面23bとを備えている。アノードセパレータ23の電極対向面23aには、図10および図11に示すように、組み付け時にアノード電極213との間に内部燃料ガス流路53を形成する燃料ガス流路形成部235が形成されている。燃料ガス流路形成部235は、上流で燃料ガス供給マニホールド232aと連通し、下流で燃料ガス排気マニホールド232bと連通している。燃料ガス供給マニホールド232aは、前述の燃料ガス導入口35と連通しており、燃料ガス排気マニホールド232bは、前述の燃料ガス排出口36と連通している。すなわち、燃料ガス供給マニホールド232aと、内部燃料ガス流路53と、燃料ガス排気マニホールド232bとによって、燃料ガス導入口35から燃料ガス排出口36に至る燃料電池の内部の燃料ガス流路が構成される。この内部の燃料ガス流路によって、アノード電極213への燃料ガスの供給およびアノード電極213からの燃料ガスの排出が行われる。燃料ガスとしては、例えば、純度の高い水素ガスを用いることができる。
そして、アノードセパレータ23のうち、燃料ガス流路形成部235周りは、窒素捕捉部70により構成されている。窒素捕捉部70は、アノードセパレータ23成形後に、該当箇所の表面に窒素吸着材料をコーティングすることによって作製される。あるいは、窒素捕捉部70は、例えば、アノードセパレータ23がカーボン製である場合には、アノードセパレータ23成型時に、窒素吸着材料の顆粒状物や微細繊維を混合したカーボン粉末を用いて燃料ガス流路形成部235部周りを成形することによっても作製可能である。窒素吸着材料には、例えば、ゼオライト等、第1実施例と同様の材料を用いることができる。
アノードセパレータ23の冷却流路面23bには、図10および図12に示すように、組み付け時にカソードセパレータ22との間に内部冷却流路50を形成する冷却流路形成部236が形成されている。内部冷却流路50は、上流で冷却媒体供給マニホールド233aと連通し、下流で冷却媒体排出マニホールド233bと連通している。冷却媒体供給マニホールド223aは、前述した冷却媒体導入口と連通し、冷却媒体排出マニホールド223bは、前述した冷却媒体排出口と連通している。内部冷却流路50に流される冷却媒体には、例えば、空気、水、エチレングリコール等の不凍液を用いることができる。
カソードセパレータ22の構成は、窒素捕捉部70が設定されていない点を除いて、アノードセパレータ23と同様であるので、詳しい説明を省略し簡単に説明する。図10に示すように、カソードセパレータ22の電極対向面22aには、内部酸化ガス流路52を形成する酸化ガス流路形成部225が形成され、冷却流路面22bには、アノードセパレータ23との間に内部冷却流路50を形成する冷却流路形成部226が形成されている。酸化ガスは、前述した酸化ガス導入口37から冷却媒体供給マニホールド、内部酸化ガス流路52を通って、カソード電極312に供給され、その後、冷却媒体排出マニホールドを通って、前述した酸化ガス排出口38から外部に排出される。酸化ガスとしては、例えば、空気を用いることができる。
・燃料電池の動作:
酸化ガスがカソード電極212に供給され、燃料ガスがアノード電極213に供給されると、燃料電池は電池反応により電力を生成する。この電池反応中に酸化ガス中の窒素がカソード電極212側から電解質膜211を透過してアノード電極213側へと浸み出してくる。この結果、燃料ガスには窒素が混入する。燃料ガス中に混入した窒素(混入窒素)は、内部燃料ガス流路53において、窒素捕捉部70に吸着される。
混入窒素が窒素捕捉部70に次々と吸着され、窒素捕捉部70が飽和状態になると、窒素捕捉部70は、窒素をこれ以上吸着することができなくなる。本実施例に係る燃料電池は、燃料電池の停止中に窒素捕捉部70の吸着能再生処理を施される。
吸着能再生処理は、例えば、前述した第1実施例における吸着能再生処理と同様に、加熱手段または減圧手段を備えることによって実行される。具体的には、アノードセパレータ23にのヒーターを備え、ヒーターによって窒素捕捉部70を加熱しても良く、内部燃料ガス流路53に残留する燃料ガスに酸素を少量混合して、残留燃料ガスを燃焼させることによって窒素捕捉部70を加熱しても良い。また、燃料ガス導入口35を閉じ、酸化ガスの供給用ポンプを利用して、内部燃料ガス流路53内の気体を燃料ガス排出口36から掃引することによって、内部燃料ガス流路53内を減圧しても良い。
なお、冷却流路50を流れる冷却媒体は、燃料電池を冷却する機能とともに、窒素捕捉部70(窒素吸着材料)を冷却する冷却手段としての機能も果たしている。燃料電池の運転時において、冷却媒体によって冷却されることで、窒素捕捉部70(窒素吸着材料)は、窒素吸着能の向上および安定した窒素吸着能の確保が可能となる。もちろん、冷却媒体以外に窒素捕捉部70を冷却する手段を他に設けても良い。例えば、第1の実施例において説明したペルチェ素子等をセパレータに配置して、窒素吸着時のための冷却手段と窒素放出時のための加熱手段を兼ねた温度調節手段として用いても良い。
以上説明した第3実施例に係る燃料電池によれば、窒素捕捉部70に吸着させることによって、燃料ガス中の混入窒素を燃料ガスから選択的に除去することができる。この結果、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止することができる。
また、窒素捕捉部70の吸着能再生処理を施されることによって、窒素捕捉部70は、継続的に窒素を吸着することができる。この結果、継続的に燃料電池の発電能力の低下を防止できる。
・窒素捕捉部70の他の態様:
図13〜図15を参照して窒素捕捉部70の他の態様について説明する。
図13に示すように、窒素捕捉部70は、様々な位置に配置されることができる。例えば、記号70aで示すように、内部酸化ガス流路52の下流領域のみに配置されても良い。また、記号70bで示すように、下流側における内部酸化ガス流路52の集合部に配置されても良く、燃料ガス排気マニホールド232b周りに配置されても良い。燃料電池が、第1実施例のようにデッドエンド運転に用いられる場合には、内部酸化ガス流路52の下流側に窒素が滞留しやすいので、これらの位置に窒素捕捉部70を配置することによって、混入窒素を効率良く吸着できる。
また、燃料電池が第2実施例のように循環系運転に用いられる場合には、混入窒素を含む燃料ガスが循環するので、窒素捕捉部70は、燃料ガス導入口35から燃料ガス排出口36に至る燃料電池の内部の燃料ガス流路のどこに配置されても良い。例えば、記号70dで示すように、燃料ガス供給マニホールド232a周りに配置されても良く、記号70eで示すように、上流側における内部酸化ガス流路52の集合部に配置されても良い。
図14に示すように、窒素捕捉部70は、MEA21を構成する電解質膜211またはアノード電極213に備えられても良い。図14および図15は、窒素捕捉部70が備えられたMEA21を示す説明図である。図14および図15では、本態様にかかるMEA21のうち、図10中において記号AAで示されている部分のみを示し、カソード電極212の図示は省略している。アノード電極213は、触媒層213aと、拡散層213bとから構成されている。触媒層213aには、例えば、白金(Pt)または白金を含む合金を用いることができ、拡散層213bには、カーボン繊維を織成したカーボンクロスやカーボンペーパーを用いることができる。
具体的には、図14(a)〜(c)で示すように、窒素捕捉部70は、電解質膜211、アノード側の触媒層213a、アノード側の拡散層213bのいずれかに埋設されても良い。窒素捕捉部70の埋設は、例えば、電解質膜211、触媒層213a、拡散層213bの成型時に、ゼオライト等の窒素吸着材料の顆粒状物や微細繊維を母材に混合することによって行われる。
また、図15(a)〜(c)に示すように、窒素捕捉部70は、電解質膜211のアノード側表面、アノード側の触媒層213aの表面、アノード側の拡散層213bの表面に層状に形成されても良い。窒素捕捉部70の形成は、例えば、該当表面に、窒素吸着材料をコーティングすることによって行われる。
図14または図15に示す他の態様によれば、カソード電極213側から電解質膜212を透過した窒素または透過しようとする窒素を、内部酸化ガス流路52を流れる燃料ガスに混入する前に、吸着することができる。この結果、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止でき、燃料ガス流路上における窒素吸着等の窒素対策を不要化または簡略化できる。
窒素捕捉部70として、窒素吸着材料に代えて、第1実施例において説明した窒素固定生物を用いても良い。具体的には、セパレータの内部燃料ガス流路53に、窒素固定能を有する微生物をエネルギー源となる有機物と共に配置しても良い。また、窒素吸着材同様に、電解質膜211、触媒層213a、拡散層213b等の内部や表面に微生物を配置しても良い。
これらの微生物は、微生物が配置された構成部品(例えば、MEA21、拡散層213b、セパレータ)を交換することにより、窒素吸着能を回復させることができる。また、気体を透過可能な薄膜(フィルムなど)上に微生物を培養して、拡散層213b表面等に配置することにより、薄膜のみを交換可能な構成としても良い。
窒素捕捉部70として、窒素吸着材料に代えて、第1実施例において説明した窒素固定能を有する錯体を用いても良い。具体的には、セパレータの内部燃料ガス流路53部分に、第1実施例において説明した錯体を溶かした溶媒(水、有機溶媒等)を含浸させても良い。また、第1実施例において説明した錯体を溶かした溶媒(水、有機溶媒等)を含浸させたカーボン粒等を電解質膜211、触媒層213a、拡散層213bの内部に埋設したり、表面に層状にコーティングしても良い。
これらの錯体は、窒素を吸着して飽和状態になった場合には、上述の微生物と同様に、配置された構成部品(例えば、MEA21、拡散層213b、セパレータ)を交換すること等により、窒素吸着能を回復させることができる。
D.変形例:
図16は、本変形例に係る燃料電池の一部を縦方向に切断した縦断面の概略構成を示す説明図である。本変形例に係る燃料電池では、第3実施例に係る燃料電池に配置されていた窒素捕捉部70に代えて、窒素透過部80がアノードセパレータ23に配置されている。窒素透過部80は、窒素のみを選択的に透過し、燃料ガス(例えば、水素)を透過しない性質を持つ膜あるいは材料で形成されている。窒素透過部80は、図16にしめすように、内部燃料ガス流路53と内部冷却流路50とを接続するように配置されている。
本変形例に係る燃料電池では、内部冷却流路50を流れる冷却媒体として、窒素溶解性を有する流体が用いられる。窒素溶解性を有する流体としては、例えば、脱気により窒素の溶解度を高めた冷却液(以下、脱気冷却液という。)、あるいは、減圧された空気を用いることができる。
冷却液の脱気は、例えば、燃料電池の冷却に用いられて高温になった冷却液を吸引ポンプで減圧されたラジエーター内で減圧冷却することにより、冷却液の冷却と同時に行うことができる。空気の減圧は、例えば、酸化ガスの供給用ポンプ等を利用して、冷却流路50内の空気を掃引することによって、行うことができる。
本変形例に係る燃料電池によれば、燃料ガス中の混入窒素が、内部酸化ガス流路52側から窒素透過部80を透過して冷却流路50側へ移動する。すなわち、燃料ガス中の混入窒素を選択的に除去できる。また、混入窒素は、窒素透過部80内に蓄積されず、次々と冷却流路50内を流れる冷却媒体に吸収されていくので、継続的に燃料ガス中の混入窒素を除去できる。この結果、前述した実施例同様に、燃料ガス中の未反応水素を無駄に排出することなく、窒素による燃料電池の発電能力の低下を防止することができる。
本変形例では、窒素溶解性を有する流体を冷却媒体として用いることにより、冷却媒体が燃料電池の冷却を機能と窒素を吸収する機能の両方を担っている。これに代えて、窒素吸収用の媒体の流れる流路と、冷却用の媒体が流れる流路をそれぞれ独立して設けても良い。かかる場合は、冷却用の媒体と窒素吸収用の媒体とで異なる流体を用いても良い。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
第1実施例に係る燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。 窒素捕捉部500の動作の概略を示す説明図である。 窒素吸着能を持つゼオライトにおける固体(ゼオライト)−気体間の吸着平衡(成分分配)を示すグラフである。 窒素捕捉部500の他の態様の概略構成を示す第1の説明図である。 窒素捕捉部500の他の態様の概略構成を示す第2の説明図である。 窒素捕捉部500の他の態様の概略構成を示す第3の説明図である。 窒素捕捉部500の他の態様の概略構成を示す第5の説明図である。 第2実施例に係る燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。 第3実施例に係る燃料電池の外観の概略構成を示す説明図である。 第3実施例に係る燃料電池の一部を縦方向に(例えば、図11の波線B−Bにて)切断した縦断面の概略構成を示す説明図である。 第3実施例に係る燃料電池を構成するアノードセパレータの電極対向面の概略構成を示す説明図である。 第3実施例に係る燃料電池を構成するアノードセパレータの冷却流路面の概略構成を示す説明図である。 窒素捕捉部70の他の態様に係る燃料電池のアノードセパレータ23の概略構成を示す説明図である。 窒素捕捉部70の他の態様に係る燃料電池のMEA21の概略構成を示す第1の説明図である。 窒素捕捉部70の他の態様に係る燃料電池のMEA21の概略構成を示す第2の説明図である。 変形例に係る燃料電池の一部を縦方向に切断した縦断面の概略構成を示す説明図である。
符号の説明
20…単セル
21…膜−電極アッセンブリ(MEA)
22…カソードセパレータ
22a…電極対向面
22b…冷却流路面
225…酸化ガス流路形成部
226…冷却流路形成部
23…アノードセパレータ
23a…電極対向面
23b…冷却流路面
231a…酸化ガス供給マニホールド
231b…酸化ガス排気マニホールド
232a…燃料ガス供給マニホールド
232b…燃料ガス排気マニホールド
233a…冷却媒体供給マニホールド
233b…冷却媒体排出マニホールド
235…燃料ガス流路形成部
236…冷却流路形成部
30…エンドプレート
31…テンションプレート
50…冷却流路
52…内部酸化ガス流路
53…内部燃料ガス流路
70…窒素吸着部
80…窒素透過部
100…燃料電池
172…燃料ガス流路
173…燃料オフガス流路
174…還流流路
175、177…窒素排出路
182…酸化ガス流路
183…酸化オフガス流路
200…燃料ガス供給部
210…水素タンク
220…減圧器
230…流量制御バルブ
300…酸化ガス供給部
310…酸化ガスポンプ
510…負荷部
500…窒素捕捉部
510…窒素吸着室
511…加熱器
512…電源部
513…ペルチェ素子
514…熱交換部
515…媒体供給路
516…媒体排出路
518…水素濃度センサ
520、522、526…on/offバルブ
540…減圧ポンプ
550…窒素固定生物室
551…宿主
552…根粒
600…制御ユニット

Claims (25)

  1. 燃料電池システムであって、
    酸化ガスと燃料ガスとの電池反応によって電力を生成する燃料電池と、
    前記燃料電池に供給される燃料ガスが流通する燃料ガス流路と、
    前記燃料電池から排出される燃料オフガスが流通する燃料オフガス流路と、
    前記燃料オフガス流路に配置されると共に、前記燃料ガスに混入した窒素を前記燃料ガスから選択的に捕捉する窒素捕捉手段とを備える燃料電池システム。
  2. 燃料電池システムであって、
    酸化ガスと燃料ガスとの電池反応によって電力を生成する燃料電池と、
    前記燃料電池から排出される燃料オフガスを循環させて、前記燃料電池に前記燃料ガスとして再び供給する燃料ガス循環流路と、
    前記燃料ガス循環流路に配置されると共に、前記燃料ガスに混入した窒素を前記燃料ガスから選択的に捕捉する窒素捕捉手段とを備える燃料電池システム。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記窒素捕捉手段は、前記混入した窒素のみを選択的に吸着する窒素吸着材料である燃料電池システム。
  4. 請求項3に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記窒素吸着材料は、窒素固定能を有する錯体である燃料電池システム。
  5. 請求項3に記載の燃料電池システムは、さらに、
    前記窒素吸着材料を冷却する冷却手段を備え、
    前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料である燃料電池システム。
  6. 請求項3または請求項5に記載の燃料電池システムは、さらに、
    前記窒素吸着材料が吸着した窒素を放出させる窒素放出手段を備える燃料電池システム。
  7. 請求項6に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料であり、
    前記窒素放出手段は、窒素吸着材料を加熱する加熱手段である燃料電池システム。
  8. 請求項6に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記窒素吸着材料は、接触する気体における窒素分圧が高いほど吸着可能な窒素量が増大し、接触する気体における窒素分圧が低いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料であり、
    前記窒素放出手段は、窒素吸着材料と接触する気体における窒素分圧を減圧する減圧手段である燃料電池システム。
  9. 請求項3に記載の燃料電池システムは、さらに、
    前記窒素吸着材料を冷却および加熱可能な温度調節手段を備え、
    前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料である燃料電池システム。
  10. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池システムにおいて、
    前記窒素捕捉手段は、窒素固定能を有する生物を利用して、前記混入した窒素を固定する第一の窒素固定手段である燃料電池システム。
  11. 燃料電池であって、
    窒素を含む酸化ガスが供給されるカソード電極と、
    燃料ガスが供給されるアノード電極と、
    一方の面に前記カソード電極が配置されると共に他方の面に前記アノード電極が配置された電解質膜と、
    前記カソード電極側から前記アノード電極側へと前記電解質膜を透過した窒素または透過している窒素が存在する位置に配置されると共に、前記窒素のみを選択的に捕捉する窒素捕捉手段とを備える燃料電池。
  12. 請求項11に記載の燃料電池において、
    前記窒素捕捉手段は、
    前記電解質膜の内部、
    前記電解質膜の前記アノード電極側表面、
    前記アノード電極の内部、
    前記アノード電極の表面、
    の少なくともいずれかに配置されている燃料電池。
  13. 請求項11に記載の燃料電池において、
    前記アノード電極は、前記電解質膜に接して配置された触媒層と、前記触媒層に接して配置された拡散層とを有し、
    前記窒素捕捉手段は、
    前記触媒層の内部、
    前記触媒層の表面、
    前記拡散層の内部、
    前記拡散層の表面、
    の少なくともいずれかに配置されている燃料電池。
  14. 請求項11に記載の燃料電池は、さらに、
    前記燃料ガスを外部から前記燃料電池の内部に導入する燃料ガス導入口と、
    前記燃料ガスを前記燃料電池の内部から外部に排出する燃料ガス排出口と、
    前記燃料ガス導入口から前記燃料ガス排出口に至る燃料電池の内部の流路であって、前記アノード電極への前記燃料ガスの供給と前記アノード電極からの燃料ガスの排出を行う燃料ガス流路とを備え、
    前記窒素捕捉手段は、前記燃料電池の内部の燃料ガス流路の少なくとも一部に配置されている燃料電池。
  15. 請求項14に記載の燃料電池は、さらに、
    前記アノード電極と接して配置されるアノードセパレータであって、前記アノード電極との間に前記燃料電池の内部の燃料ガス流路を形成する燃料ガス流路形成部を有するアノードセパレータを備え、
    前記窒素捕捉手段は、前記燃料ガス流路形成部の少なくとも一部に配置されている燃料電池。
  16. 請求項14または請求項15に記載の燃料電池において、
    前記窒素捕捉手段は、前記燃料電池の内部の燃料ガス流路または前記燃料ガス流路形成部のうち下流領域に配置されている燃料電池。
  17. 請求項11ないし請求項16のいずれかに記載の燃料電池において、
    前記窒素捕捉手段は、前記混入した窒素のみを選択的に吸着する窒素吸着材料である燃料電池。
  18. 請求項17に記載の燃料電池において、
    前記吸着材料は、窒素固定能を有する錯体である燃料電池。
  19. 請求項17に記載の燃料電池は、さらに、
    前記窒素吸着材料を冷却する冷却手段を備え、
    前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料である燃料電池。
  20. 請求項17または請求項19に記載の燃料電池は、さらに、
    前記窒素吸着材料が吸着した窒素を放出させる窒素放出手段を備える燃料電池。
  21. 請求項20に記載の燃料電池において、
    前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料であり、
    前記窒素放出手段は、窒素吸着材料を加熱する加熱手段である燃料電池。
  22. 請求項20に記載の燃料電池において、
    前記窒素吸着材料は、接触する気体における窒素分圧が高いほど吸着可能な窒素量が増大し、接触する気体における窒素分圧が低いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料であり、
    前記窒素放出手段は、窒素吸着材料と接触する気体における窒素分圧を減圧する減圧手段である燃料電池。
  23. 請求項17に記載の燃料電池は、さらに、
    前記窒素吸着材料を冷却および加熱可能な温度調節手段を備え、
    前記窒素吸着材料は、温度が低いほど吸着可能な窒素量が増大し、温度が高いほど吸着可能な窒素量が減少する性質を有する材料である燃料電池。
  24. 請求項11ないし請求項16のいずれかに記載の燃料電池において、
    前記窒素捕捉手段は、窒素固定能を有する生物を利用して、前記混入した窒素を固定する第一の窒素固定手段である燃料電池。
  25. 請求項15に記載の燃料電池において、
    前記アノードセパレータは、さらに、窒素を吸収可能な媒体が流れる窒素吸収媒体流路を形成する窒素吸収媒体流路形成部を有し、
    前記窒素捕捉手段は、窒素のみを選択的に透過し、燃料ガスを透過しない窒素透過手段であり、
    前記窒素透過手段は、前記燃料ガス流路と前記窒素吸収媒体流路とを接続するように配置されている燃料電池。
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