JP2005353287A - 有機el素子及びその製造方法 - Google Patents

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宏育 松浦
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竹元一成
Takashi Inoue
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Abstract

【課題】 基板表面に凸凹部を形成せずに比較的容易に実現可能で、有機EL素子でも狭額縁化を達成する有機EL素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 一方の表面の発光領域4に有機EL構造体を積層形成した方形の有機EL基板21と、この有機EL基板の発光領域を覆う封止板2とを備えており、この有機EL基板と封止板とをシール材3により貼り合わせてなる有機EL素子であって、シール材3を封止板2の全周に亘って塗布する際、その角部における前記シール材の塗布量を、その辺部における塗布量よりも少なく塗布して貼り合わせ、もって、貼り合わせ後のシール材3の幅を、辺部における幅Bよりも角部における幅bのほうが小さく(B<b)する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機EL構造体を積層した有機EL基板上に封止板を取り付け、その内部を封止してなる有機EL素子に係わり、特に、基板上に封止板を取り付ける際にこれらの間の封止を行うシール材を含む有機EL素子の構造、及び、その製造方法に関する。
有機ELを利用した有機EL素子の動作原理は、表示素子内に陽極と陰極とで有機層を挟んだ発光面(有機EL構造体)に電流を流して上記有機層から蛍光又は燐光を発生させてバックライトの白色発光を得る、又は、多数の発光部(ピクセル)を形成し、これら発光部の陽極と陰極を介して有機層に選択的に電流を流し、もって、上記有機層から蛍光又は燐光を発生される事に基づいている。なお、かかる有機EL素子は、上述した動作原理からも明らかなように、有機層の自発光によるものである事から、広い視野角や高いコントラストなどの高い画像表示能力を提供すると共に、薄型化や軽量化を実現することを可能にすると言う大きな利点を持つ。そのため、次世代ディスプレイの有力な候補として注目されている。
なお、現在、かかる有機EL素子は、例えば、カーステレオや携帯電話の背面ディスプレイなど、その表示面積の小さな、比較的簡易的な表示装置から実用化が始まっているが、しかしながら、将来においては、例えば、テレビジョンなどを始めとする大型の表示装置として、また、特にアクティブフルカラー表示装置の市場での拡大が期待されている。
このように、有機EL素子は様々な利点を持つが、その一方、陽極と陰極で有機層を挟んだ有機EL構造体からなるその発光部は、水分と酸素に対して極めて弱いことから、この発光部を大気中に曝した状態での発光は、有機EL素子における輝度の急激な低下や、所謂、ダークスポットの発生を招く。そのため、以下の特許文献1にも開示されるように、発光部である有機EL構造体を形成した基板(即ち、有機EL基板)と封止板とを、シール材を用いて所定の圧力の不活性ガス雰囲気下で貼り合せる事により、有機EL素子内部を不活性ガスで満たし、かつ、外気から遮断する方法が一般的に行われており、かつ、既に知られている。
また、一方では、近年における、例えば、携帯電話に代表される携帯情報機器の拡がりから、特に、その表示素子や発光素子に対する小型・軽量化への要求が高まっている。このような表示素子や発光素子の小型・軽量化に対する具体的な解決手段の一つのとしては、例えば、表示素子や発光素子から構成され、実際に表示や発光に使用される領域である発光領域が、素子の表面全体に占めるの割合を高めることが有効である。なお、かかる手段を「狭額縁化」と呼ぶ。
かかる狭額縁化に関する従来技術としては、例えば、以下の特許文献2によれば、液晶セルにおける基板の貼り合わせ構造であるが、液晶セルを形成する2枚の基板における角部でのシール材の拡がりを制御する技術が既に知られている。即ち、この特許文献によれば、液晶セルを形成する2枚の基板のうち、その一方の面上に、その側辺に沿って凸部を形成し、又は、その角部に凹部(溝部)を形成し、即ち、角部と側辺部の領域に段差を与え、もって、角部の領域においてシール材が表示領域へ向けて拡がることを抑制する。なお、この従来技術では、上記の凸部や凹部の形成を、液晶セルを形成する際に必須となる表示領域を形成するプロセスである、ミクロンオーダーの薄膜パターンを形成する工程を援用することによって、その製造過程における工程数の増加を回避し、もって、製造工程の増大とそれに伴う製造コストの上昇を抑制している。
特開平11−176571号公報
特開2000−193989号公報
このように、上述した従来技術(特に、特許文献1)によれば、外部からの水分や酸素の浸入により、有機EL素子、特に、その発光部である有機EL構造体が表示性能を低下することを避けるため、有機EL基板と封止板とをシール材を用いて封止し、その内部を不活性ガスで満たし、もって、有機EL構造体を外気から遮断することが提案されている。しかしながら、小型・軽量化のための上記狭額縁化については、何等の考慮もされていない。
また、液晶セルにおける狭額縁化のための基板の貼り合わせ構造を提供する従来技術(特に、特許文献2)においても、液晶セルを形成する際に必須となる表示領域の形成プロセスを援用することにより凸部や凹部を形成するものであるが、しかしながら、本発明の対象である有機EL素子では、上記の液晶セルとは異なり、その製造過程においてミクロンオーダーの薄膜を形成する工程を持たないことから、工程数の増加が避けられない。すなわち、薄膜形成工程の援用が困難であることから、更に、基板に薄膜を形成する工程や凹部(溝部)を掘り込むための工程が必要となり、そのため、有機EL素子の製造コストの上昇を招いてしまう。
そこで、本発明は、上述した従来技術における課題に鑑みて成されたものであり、具体的には、基板表面での薄膜による凸部の形成や凹部の掘り込みなどの工程を伴わずに、比較的容易に実現が可能であり、もって、有機EL素子においても上記の狭額縁化を達成し得る有機EL素子及びその製造方法を提供することをその目的とする。
上記本発明の目的を達成するため、本発明によれば、まず、一方の表面の表示領域において有機EL構造体を積層して形成した方形の有機EL基板と、前記有機EL基板の外形とほぼ同一形状を有し、前記有機EL基板における有機EL構造体の積層面を覆う封止板とを備え、前記有機EL基板と前記封止板とをシール材により貼り合わせてなる有機EL素子であって、前記シール材は、前記有機EL基板と前記封止板との間に、その全周に亘って設けられており、前記有機EL素子を構成する前記有機EL基板と前記封止板の対向面は、それぞれ、その全周において等しい高さであり、かつ、前記シール材の幅が、前記有機EL基板及び前記封止板により構成された有機EL素子の表示面方向において、前記有機EL素子の辺部における幅よりも、前記有機EL素子の角部における幅のほうが小さくなっている有機EL素子が提供される。
なお、本発明では、前記に記載した有機EL素子において、前記有機EL素子の辺部における前記シール材の幅とは、当該辺に対して直行する線上での幅であり、かつ、前記有機EL素子の角部における前記シール材の幅とは、前記有機EL素子の角から延びる対角線上での幅であり、あるいは、前記有機EL素子の表示面方向において、前記シール材の前記有機EL素子の辺部での内端の位置が、当該素子の角部での内端の位置よりも後退しており、あるいは、前記有機EL素子の面方向にいて、前記シール材の前記有機EL素子の辺部での外端の位置が、当該素子の角部での外端の位置よりも後退している。
更に、本発明によれば、やはり、上記の目的を達成するため、一方の表面の表示領域において有機EL構造体を積層して形成した方形の有機EL基板と、前記有機EL基板の外形とほぼ同一形状を有し、前記有機EL基板における有機EL構造体の積層面を覆う封止板とを備え、前記有機EL基板と前記封止板とをシール材により貼り合わせてなる有機EL素子の製造方法であって、前記シール材を前記有機EL基板又は前記封止板の全周に亘って塗布する際、その角部における前記シール材の塗布量を、前記有機EL素子の辺部における塗布量よりも少なく塗布し、その後、前記有機EL基板と前記封止板とを前記塗布したシール材により貼り合わせる有機EL素子の製造方法が提供されている。
なお、本発明では、前記に記載した有機EL素子の製造方法において、前記シール材を前記有機EL基板又は前記封止板の全周に亘って塗布する際の角部における前記シール材の塗布量を、前記シール材の不連続部の形成により、又は、前記シール材の塗布幅を減少することにより、前記有機EL素子の辺部における塗布量よりも少なく塗布することが好ましい。そして、本発明では、前記の有機EL素子の製造方法において、前記シール材の塗布を、ディスペンサーにより、又は、スクリーン印刷により行うことが好適である。
以上のように、上記の本発明により提供される有機EL素子の構成、更には、その製造方法によれば、基板表面での薄膜による凸部の形成や凹部の掘り込みなどの工程を伴わずに比較的容易に実現が可能であり、もって、有機EL素子においても上記の狭額縁化を達成し得る有機EL素子及びその製造方法を提供することを可能とする。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。まず、添付の図2により、本発明の一実施の形態になる有機EL素子について説明する。図2は、本発明になる有機EL素子の一例について、その断面により示した図である。この図からも明らかなように、本発明になる有機EL素子は、基本的に、有機EL基板21と封止板2とを、シール材3を介して貼り合せた構造を取る。
上記有機EL基板21は、以下にその詳細を説明する発光部(即ち、電極層や有機層を含む有機EL構造体)をその一方の面上に備えている。なお、この発光部を形成する基板21の材料としては、例えば、ガラス、セラミック、金属、樹脂等が挙げられるが、透湿性が低く、かつ、封止板2との間で、例えば、その熱膨張係数等の物性値が互いに近い物質であることが望ましい。すなわち、この発光部では、ストリップ状に、互いに直交して配置された陽極電極22と陰極電極26との間に、有機層25が形成されている。なお、この有機層25は、後にも詳細に説明するが、一般的に、多層構造を採用しており、その一例として、例えば、陽極22側から、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層を、順次、積層した構成が挙げられる。なお、一般に、有機EL素子では、有機EL基板の面上に複数(多数)の発光部(ピクセル)を形成するが、その場合には、一般的に、各発光部を分離するため、所謂、バンクを形成することが行われており、図中における符号23は、このバンクを示している。また、図中の符号24は、上記有機EL基板21上に形成された外部電極を示している。
一方、上記有機EL基板21の表面上に形成された発光部を覆うように取り付けられる封止板2には、やはり、ガラス、セラミック、金属、樹脂等の基板が用いられる。なお、ここに示す例では、後に、その詳細を説明するシール材3と有機EL基板21との界面、又は、シール材3と上記封止板2との界面から浸透してくる極微量な水分や酸素から、内部に封入した有機層25を保護する目的で、水分や酸素の吸着剤をその内部に充填する構造を採用している。具体的には、図にも示すように、上記封止板2の有機EL基板21との対向面に凹部を形成し、この凹部内に上記吸着剤の層27を取り付け、即ち、吸着剤を充填する箇所として用いる。即ち、有機EL基板21と封止板2との間に、シール材3により封止を行っても、このシール材3からの発ガスや、その接着面から浸透してくる極微量の水分が発光部に悪影響を及ぼす可能性があるため、上述したように、封止板2には、その一部に、吸着剤を充填するのが一般的である。しかしながら、本発明はかかる構造にのみ限定されるものではなく、例えば、この封止板2に、上記の凹部を形成することなく、代わりに、顔料分散レジスト膜をフォトリソグラフィでパターニングして液晶表示装置で使用されるカラーフィルターに相当する層を形成し、あるいは、有機EL基板からの青色の光を緑色や赤色に変換するための、所謂、色変換層を形成しても良い。
また、上記にその構成の一例を説明した有機EL素子は、一般に、有機層25からの発光を基板21側に取り出すボトムエミッション方式と呼ばれるものと、そして、有機層からの発光を封止板2側に取り出すトップエミッション方式と呼ばれるものとに分類できる。そして、上記図2には、その一例として、ボトムエミッション方式の有機EL素子の断面構造を示したが、しかしながら、本発明は、上記有機層からの発光の取り出し方向には限定されることなく、上記したトップエミッション方式の有機EL素子にも適用することも可能であり、更には、基板の両側に光を取り出す方式の有機EL素子に適用することも可能である。また、ここでは図示しないが、本発明は、上記発光部である有機EL構造体として、陽極電極と陰極電極との間に平板状に有機層を形成し、所謂、液晶素子などのバックライトとして使用される白色EL(照明として使う有機EL素子)にも適用することが出来る。
また、上記有機EL素子は、一般に、その発光部の駆動方式により、パッシブ方式とアクティブ方式との、2つの種類に分類することができる。即ち、パッシブ方式で駆動する有機EL素子では、有機層25を挟む上記陽極電極22と陰極電極26とを短冊(ストリップ)状にパターンニングして形成したマトリックスを有しており、このマトリックスの中から選択された陽極と陰極との間に電圧を印加することにより、その印加時間だけ、当該陽極と陰極とが交差する領域にある有機層を発光させる。他方、アクティブ方式で駆動する有機EL素子は、その発光部毎にスイッチング素子を備えており、このスイッチング素子は、一般的に、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)により形成されており、更に、そのチャネルを形成する層には、アモルファスシリコン膜やポリシリコン膜が用いられる。なお、上記の図2では、パッシブ方式の有機EL素子をその一例として示したが、しかしながら本発明は、その適用範囲を限定するものではなく、上記のパッシブ方式の有機EL素子に代え、アクティブ方式で駆動する有機EL素子にも適用することが出来ることは明らかであろう。
更に、上記の有機EL素子では、その発光部に使用する有機層25の材料としては、低分子材料や高分子材料が使用される。本発明は、この有機層の材料を限定するものではなく、例えば、これら双方を混成した有機EL素子であってもよい。より具体的には、上記正孔注入層には、陽極と正孔輸送層の注入障壁を下げるため、適当なイオン化ポテンシャルを有する材料を用いることが望ましい。また、この正孔注入層は、更に、下地層の表面凹凸を埋める役割を果たすものであることが望ましい。具体的には、銅フタロシアニン、スターバーストアミン化合物、ポリアニリン、ポリチオフェン、酸化バナジウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の材料が挙げられるが、しかしながら、これらに限定されるものではない。
また、上記の正孔輸送層は、正孔を輸送し、発光層へ注入する役割を有する。そのため、正孔移動度が高く、化学的に安定であり、イオン化ポテンシャルと電子親和力が小さく、また、ガラス転移温度が高い材料で形成されることが望ましい。具体的には、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]−4,4’ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)、4,4’,4’’−トリ(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、1,3,5−トリス[N−(4−ジフェニルアミノフェニル)フェニルアミノ]ベンゼン(p−DPA−TDAB)などが望ましい。もちろん、本発明は、これらの材料に限られるわけではなく、例えば、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
加えて、上記の発光層となる有機層25は、注入された正孔、電子が再結合し、材料固有の波長で発光する層である。なお、この発光層の発光構造としては、ホスト材料自体が発光する場合と、ホストに微量添加したドーパント材料が発光する場合とがある。具体的に、ホスト材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体(DPVBi)、骨格にベンゼン環を有するシロール誘導体(2PSP)、トリフェニルアミン構造を両端に有するオキサジアゾール誘導体(EM2)、トリフェニルアミン構造を両端に有するオリゴチオフェン誘導体(BMA−3T)、ペリレン誘導体(tBu−PTC)、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリ(9,9−ジアルキルフルオレン)などが望ましい。もちろん、これらの材料に限られるわけではなく、例えば、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。更に、具体的なドーパント材料としては、キナクリドン、クマリン6、ナイルレッド、ルブレン、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(パラ−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)、ジカルバゾール誘導体が望ましいが、もちろん、これらの材料に限られるわけではなく、例えば、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
さらに、上記の電子輸送層とは、電子を輸送し、発光層へ注入する役割を有することから、電子移動度が高い材料で形成することが望ましい。具体的には、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、亜鉛ベンゾチアゾール錯体が望ましい。もちろん、本発明は、これらの材料に限られるわけではなく、例えば、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
また、上記の電子注入層とは、陰極から電子輸送層への電子注入効率を向上させるために用いられる。より具体的には、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの材料が望ましい。もちろん、これらの材料に限られるわけではなく、例えば、これらの材料を2種以上併用しても差し支えない。
上記の陰極電極26は、電子の注入効率を高めるため、その仕事関数の小さな導電膜で形成することが望ましい。具体的には、マグネシウム・銀合金、アルミニウム・リチウム合金、アルミニウム・カルシウム合金、アルミニウム・マグネシウム合金,金属カルシウムが挙げられるが、しかし、これらの材料にのみ限定されるわけではない。また、前述の電子注入層を設けた場合、陰極の条件として、上記の低仕事関数の材料を用いる必要がなくなる。そのため、一般的な金属材料を用いることが可能となる。具体的には、アルミニウム、インジウム、モリブテン、ニッケル等の金属、又は、これら金属を用いた合金や、ポリシリコン、アモルファスシリコンが望ましい。
ところで、上記の電極構造において、光を取り出す(表示)側に形成する電極としては、可視光に対して高い透過率を持つ材料を使用する事が望ましい。かかる材料としては、例えば、ITO(Indium-Tin Oxide)や、類似の透明導電性酸化物であるインジウム亜鉛酸化物(InZnO)や、非晶質の酸化インジウム−酸化亜鉛(In−ZnO)、導電性ポリアニリンなどが挙げられる。また、これら電極材料の表面は、その平坦度が高いほど望ましく、具体的には、その表面粗さ(Ra)が2nm〜3nm以下であることが好ましい。また、表面抵抗は10Ω/sq前後である事が望ましい。加えて、上記バンクの材料としては、SiOやSiNなどの無機物、又は、ポリイミドやポリベンゾオキサゾール、アクリルなどの有機物が挙げられるが、しかしながら、これらに限るものではなく、例えば、その電気的な絶縁性が高く、吸湿性が少なく、かつ、膜からの脱ガスが少ないものであれば良い。
また、上記の吸着材27としては、例えば、酸化カルシウムや酸化バリウムなどの化学吸着型と、ゼオライトやシリカゲルのような物理吸着型のものがある。なお、化学吸着型は、一旦吸着した水分子は、通常の使用環境では脱離せず、そのため、強い吸着能力を発揮するが、他方、初期の吸着量を保持するのが困難である。これに対し、物理吸着型の吸着材は、封止板等に吸着材を充填する直前に、加熱によって、初期の吸着量を常に同じに保つことが容易である。そのため、これら化学吸着型の吸着材と物理吸着型の吸着材とは、その用途によって、又は有機EL素子に求められる特性によって、適宜、使い分ければ良い。
続いて、上記にその構成要件の詳細を説明した有機EL素子における封止構造、即ち、上記有機EL基板21と封止板2とを、シール材3を介して貼り合せた構造について、以下に詳細に説明する。
上述した構成になる有機EL素子において、上記した狭額縁化を達成するためには、まず、周辺部に配置されるシール材による封止領域を狭める必要がある。なお、この封止領域とは、特に、本発明の関わる有機EL素子においては、その基本的な構成部分である有機EL基板21と封止板2との貼り合わせに必要なシール材3を形成するための領域を指す。そして、上記有機EL基板21と封止板2との貼り合わせの際、このシール材3が、特に、その角部において、所定の領域からはみ出して発光部である有機層25の有機材料を汚染する事を防ぐことが重要であり、このことが、有機EL素子における狭額縁化のための必須の条件となる。
また、上記封止領域の幅の下限は、必要な貼り合わせ強度が得られる範囲で最も細いシール材3の幅で決まる。そのため、狭額縁化の本質は、封止領域の幅をシール材の幅に近づける事にある。
一般に、有機EL素子はその外形が長方形であり、その四方に角部を有する。従って、上記有機EL基板21と封止板2とを貼り合せるシール材3も、素子の外周辺に沿って、表示領域となる有機層の外周部に塗布する手法が採用される。ところで、かかる場合、一般的に、液晶表示装置において広く採用されているように、ディスペンサーで一定の吐出量を保ちながら、そのニードルを移動しながら、シール材3を長方形状に、かつ、閉ループ状に、表示領域の外周部にシール材を塗布する手法が考えられる。しかしながら、このような周知のシール構造を採用した場合、本発明者等による種々の実験によれば、以下のような問題点が指摘された。
すなわち、上記した周知のシール構造を採用した場合、添付の図7(a)及び(b)にも示すように、有機EL基板21と封止板2とを貼り合せると同時に、長方形状に、かつ、閉ループ状に外周部に塗布したシール材3が、特に、その角部において、その幅が拡がる現象が生じる。なお、図7(a)は、この時の有機EL素子全体の正面図であり、図7(b)は、その一つの角部(破線部D)を拡大して示す図である。なお、この図において、符号4は、上記有機層25により形成された発光領域を示している。また、図7(b)における符号11及び12により示された破線は、上記有機EL基板21と封止板2とを貼り合せた後のシール材3の拡張する領域(外端と内端)を、また、同図中に符号13、14により示される実線は、貼り合わせ前の状態におけるシール材3の領域(外端と内端)を、それぞれ、示している。
上記の図からも明らかなように、上記有機EL基板21と封止板2とを貼り合わせる際、その角部においては、その間に挟持されたシール材3が押し潰されて、その幅が拡張される。その原因としては、上記図7(b)において、上記有機EL基板21と封止板2とを貼り合わせる際、その一方(本例では、封止板2)の面上に塗布したシール材3が、図のx軸方向とy軸方向に、それぞれに押し拡げられ、そのため、特に、その交点となる角部において互いに干渉し合い、それに伴い、余剰となったシール材3が角部の外と内に向かって拡がってしまうことに在る。特に、従来のように、ディスペンサーで一定の吐出量を保ちながら、そのニードルを閉ループ状に駆動しながらシール材3を塗布した場合には、その角部では、x軸方向における塗布量とy軸方向における塗布量とが重なってしまう。そのため、辺部分におけるシール材3の塗布量よりも多くなり易く、貼り合わせた後において、上記シール材3が、その角部において、その幅が拡がってしまうものと推測された。
そのため、上記した従来技術を用いて狭額縁化を行うと、図7(b)に示すように、封止板2を有機EL基板21の表面上に貼り合せて押圧すると、封止領域の幅Aと、貼り合わせ前のシール材の幅Cとの差が縮まり(図7(b)のシール材幅Bを参照)、特に、その角部では、シール材3が有機EL素子の基板端部から外側へ向かう拡がり、及び、発光領域4へ向かう拡がりが発生する。これらのシール材の拡がりの中でも、特に、角部でのシール材3の有機EL素子の基板21の端部から外部への拡がりは、複数の有機EL素子を形成した大型の基板から切断して個々の有機EL素子を作製する際には、切断不良を招くこととなる。もちろん、切断を行わずに、基板を貼り合わせて有機EL素子を1個ずつ製作する場合でも、やはり、かかるシール材3のはみ出しは、作製された有機EL素子の外形寸法の不良を招く要因ともなり、好ましくない。
一方、上記シール材3の発光領域4側への拡がりは、上述したように、有機EL素子の発光部の有機材料を汚染し、その発光特性を劣化させることともなる。そのため、上記の従来技術を適用する場合には、上記封止領域幅Aを、角部でのシール材3の過度に拡がった幅に合わせる必要があり、そのため、狭額縁化が困難である。すなわち、特に、上記の図7(b)からも明らかなように、シール材3により貼り合わせる上記有機EL基板21と封止板1とが、その全周において、互いに対向する面の高さが等しい場合(即ち、貼合わせ面に凹凸部を形成しない場合)には、上述したように、シール材3が角部において内外に向かって拡がってしまうことから、狭額縁化が困難であった。他方、上述したように、上記特許文献2により知られるように、シール材3により貼り合わせる有機EL基板21と封止板1の互いに対向する面に、特に、その角部に凸部(薄膜パターン)を形成し、又は、凹部(溝部)を掘り込むのは、本発明が関わる有機EL素子では、製造工程数の増加が避けられないことから、好ましくない。
そこで、上述した従来技術における問題点に鑑みてなされた本発明の有機EL素子及びその製造方法における解決手段、即ち、上記有機EL素子の有機EL基板21に封止板2を貼り合せる際の狭額縁化について、以下に詳細に説明する。
まず、上記図2により既にその構成の詳細を示した有機EL素子の断面図を用いて、本発明の実施の形態になる有機EL素子における有機EL基板21の作製工程について説明する。まず、その一方の表面に発光部を形成するための基板、即ち、上記有機EL基板21に、例えば、スパッタ法やCVD法、又は、真空蒸着法等の成膜プロセスと、フォトリソグラフィ法による微細加工法、更には、イオン注入法などを組み合わせた一般的な半導体製造プロセスを用いて、陽極電極22、バンク23、更には、外部端子24を形成する。なお、この外部端子24の役割は、上記有機EL素子内に形成される発光部(ピクセル)を、素子外部の電源や半導体素子に接続することである。特に、多数の発光部を有する有機EL素子を作製する場合には、上記陽極電極22とバンク23とを、フォトリソグラフィ法によって、個々の発光部毎に分離し、画素として形成する。また、有機EL素子の駆動方法に合わせて、即ち、上述したアクティブ方式の駆動方法を採用する有機EL素子を作成する場合には、TFT等を用いて必要な回路を同時に形成しても良い。
次に、上記有機層25の成膜を行う。この有機層25の成膜には、例えば、真空蒸着法、インクジェット法、スピンコート法などの湿式成膜法を利用することが出来る。又は、真空蒸着法と湿式成膜法の両者を利用しても良い。なお、上記有機EL基板21上の必要な箇所に有機層を形成するため、上記真空蒸着法ではメタルマスク等のマスクを使用し、又は、上記湿式成膜法ではインクジェット装置やスクリーン印刷機等による塗り分けを行うのが一般的である。なお、湿式成膜法では有機材料を溶媒に溶かしてインク化する。そのため、必要な箇所に塗布した後にホットプレートやオーブン等で焼成を行い、膜中に残留している溶媒を除去する。有機層が多層の場合は、これらの手法を繰り返し積層する。有機層の形成後、陰極26を真空蒸着法やスパッタ法、CVD法などで形成する。
続いて、上記有機EL基板1と封止缶2との貼り合わせを行うが、本発明の有機EL素子では、上述した技術課題である狭額縁化を達成するため、シール材3の形状、特に、貼合わせ前の工程におけるシール材3の塗布形状に工夫があるため、以下に、添付の図面を参照しながら、その実施例の詳細について説明する。なお、以下に示す実施例では、有機EL基板21と封止板2は、上述した材料と工程により作製された物を用いている。また、上記封止領域幅Aとシール材の幅Bの設計値を、それぞれ、A=0.7mm、B=0.6mmとして、封止を行った。また、以下に詳述する実施例におけるシール材3としては、紫外光照射により第一次の硬化を行い、次いで、70゜Cの加熱によって第二次硬化(本硬化)を行う、所謂、紫外線熱硬化性エポキシ樹脂を用いた。
なお、上記シール材3による有機EL基板1と封止缶2との貼り合わせの際、その中に直径10μm程度の球状ガラスビーズを分散させて使用した。このように、シール材3中に球状のガラスビーズやファイバーを細かく裁断した物などを分散させることによれば、有機EL基板21と封止板2とを貼り合せた時、ガラスビーズやファイバーの径によって、これらの間のギャップを規定することが出来る。即ち、シール材3によって封止される有機EL基板21と封止板2との間のギャップがこのガラスビーズやファイバーにより決まるため、シール材が押圧により潰されて拡がる幅を、所望の設計値に収めることが可能となる。
また、シール材3の塗布にはディスペンサー(武蔵エンジニアリング製、ML−606GX)を使用し、塗布位置を制御する為に高精度卓上型3軸同時制御ロボットを使用した。シール材3の塗布量は、使用するニードルの内径、ニードルの移動速度、ニードルと塗布される基板とのギャップ、及び、ニードルから吐出される単位時間当たりのシール材の量等で決まる。なお、上述のシール材の塗布幅Cはニードルの内径と相関が強く、一方、シール材の塗布厚(高さ)はニードルと塗布される基板とのギャップと相関が強く、そのため、シール材3の塗布形状やその幅や厚さを十分制御することが可能である。
なお、上記の有機EL基板21と封止板2との貼り合わせには、美和製作所製の有機EL封止装置を用いて行った。この装置の貼り合わせ室は、水分と酸素を除去するための循環精製装置に接続されており、そのため、作製した有機EL素子の内部を高純度の窒素で満たすことが出来る。また、貼り合わせ時における2枚の基板間の相対速度は0.1mm/secとし、貼り合わせ時に2枚の基板に加わる圧力が100kg・fに到達するまで加圧を行った。加圧後、封止板側から、例えば、メタルハライドランプを利用して6000mJ/cmの紫外線を照射し、シール材の1次硬化(本硬化)を行い貼り合せた。続いて、70℃のオーブン内で加熱し、シール材を2次硬化させ、封止を完成した。
まず、実施例1について、添付の図3を参照してその詳細を説明する。なお、この実施例1では、図3(a)に示す様に、シール材3を、封止板2の有機EL基板21との対向面の周辺部にディスペンサーで塗布するが、その際、角部でのシール材3を不連続に塗布する(即ち、角部には塗布しない)ことにより、実質的に角部でのシール材3の量を減らした。なお、ディスペンサーでシール材3を塗布する場合、ニードルは円柱状であるため、シール材3の端部は、図3(b)に示す拡大断面図(即ち、図3(a)のH−H’断面)に示す様に、その外形が略円弧状に形成される。そこで、シール材3の塗布幅C=0.2mm、貼り合わせ後のシール材3の幅B=0.6mmになるようにディスペンサーのニードルの径や塗布条件を選択し、かつ、上記図3(a)における距離G(即ち、図のシール材3の中心線がx方向及びy方向で交差する点からシール材3の端部までの間の距離)を0.2mmとした。
上記の実施例1における貼り合わせ後の角部におけるシール材3の形状は、図3(a)に実線13及び14で示した形状から、同図に破線11及び12で示す形状となった。すなわち、図からも明らかなように、角部に形成したシール材3の不連続部は、貼り合わせの際の加圧によって押し拡げられ、これにより、互いに不連続部を閉塞して連続となる。また、その際、上記角部でのシール材3を不連続に塗布することにより、実質的に角部でのシール材3の塗布量が減少するため(即ち、上記不連続部の働きにより)、上記図7に示した従来技術で見られるような角部でのシール材3の過度な拡大を抑制することが可能となる。そして、これに伴い、図のx軸方向に平行に塗布されたシール材3とy軸方向に平行に塗布されたシール材3とが互いが交わる箇所、特に、その内側では、シール材3が発光領域4へ向かってはみ出すことを防止することが可能となる。
この実施例1では、上述したように、ディスペンサーで塗布したシール材3は、その不連続部の端部において、上記図3(b)に示したH−H’断面の様に、その外形に丸みを帯びるため、上記有機EL基板21と封止板2との貼り合せた時には、シール材3が互いに交わる箇所でのシール材の塗布量は比較的少なくなっており、そのため、シール材3が発光領域4側にはみ出す量は、ほとんど無視する事が出来る程度である。なお、この実施例1により得られた有機EL素子の角部におけるシール材3の状態は、添付の図1(a)にも示す。
上記により得られた有機EL素子の外部端子に電源回路を接続し、1mA/cmの定電流密度で駆動した結果、初期状態では、ダークスポットの発生がみられない事を確認した。また、その後、0.1mA/cmの定電流密度にて1000時間の連続駆動を行ったが、100μm以上のダークスポットは観測されなかった。即ち、これにより、本発明によって製造される有機EL素子の信頼性を確認することが出来た。
一方、上記角部でのシール材3の不連続量Gが大き過ぎると、上記有機EL基板21と封止板2とを貼り合せた時に不連続箇所が閉塞しないため、シール材の本来の目的である封止を達成することができない。そこで、最適な不連続量=Gとシール材の塗布幅Cとの関係を調べた。具体的には、3種類のニードルを用意し、シール材の塗布幅Cを0.15mm、0.2mm、0.3mmの三段階で変化させた。これら3種類のニードルに対して、それぞれ、塗布されたシール材3により貼り合わされる基板間のギャップ等、その塗布条件を調整し、もって、これら3種類ニードルの全てに関し、貼り合わせ後のシール材3の幅Bが0.6mmになるようにし、実験を行った。また、シール材3の不連続量Gに関しては、0.15mmから0.3mmまで0.05mm間隔で変化させた。
以上に述べた実験の結果を、添付の図4のグラフに示す。即ち、この実験の結果からは、発光領域やパネル端の外側へ向かうシール材3のはみ出しが無く、しかも、不連続部分が確実に閉塞されるための不連続量Gに関しては、以下の式で表されるWに近づく程、良好な結果が得られることが明らかになった。
W=(B−C)/2
次に、本発明になる実施例2について、添付の図5を用いて説明する。なお、この実施例2では、上述したシール材の角部を不連続にするのではなく、シール材の角部におけるシール材の塗布幅Cを細くしたものである。また、ここでも、貼り合わせ前のシール材3の形状を実線13及び14で示すと共に、貼り合わせ後の形状を破線11及び12で示す。
より具体的には、この実施例2では、シール材3の塗布を行うため、スクリーン印刷法を用いた。その際、スクリーン印刷のためのスクリーン版には、線径(幅)が25μm、乳剤厚を30μmに形成したものを用いた。シール材3は、その粘度調整を行い、印刷性を向上させた物を使用した。すなわち、このスクリーン印刷によれば、乳剤用に設けた開口パターン幅がシール材の塗布幅Cを、乳剤厚がシール材の塗布厚に強い影響を与える。そこで、シール材による封止を行う前に、乳剤厚30μm、その幅を0.1mmから1.0mmまで0.1mm刻みで順次変化させた全長50mmのストライプパターンを持つスクリーン版を使い、予備検討を行い、貼り合わせ後のシール材幅が0.6mmとなるストライプの幅0.2mmを求めた。なお、印刷条件はクリアランス0.7mm、印刷速度20mm/sec、印圧を0.15kgf/cmとした。有機EL基板21と封止板2との貼り合わせは、上記の実施例1と同様に行った。
添付の図5(a)及び(b)には、それぞれ、上記のようにして作製したスクリーン版によって塗布されたシール材3の角部での形状を示す。このように、この実施例2では、上記実施例1の様なシール材の不連続箇所ではなく、角部でのシール材3の線幅を細くして塗布し、その後、封止板2を有機EL基板21と貼り合わせを行った結果を、図5(c)及び(d)に示す。なお、これらの結果は、同時に、上記添付の図1(b)及び(c)にも示す。
なお、上記の実施例2においても、同様に、外部端子に電源回路を接続し、1mA/cmの定電流密度で駆動したが、その初期状態では、やはり、ダークスポットの発生がみられない事を確認した。その後、更に、0.1mA/cmの定電流密度にて、1000時間の連続駆動を行った結果、100μm以上のダークスポットは観測されなかった。これにより、本発明によって製造される、即ち、上述したシール材3によって封止された有機EL素子の信頼性を確認することが出来た。
続いて、本発明の実施例3になる有機EL素子における角部のシール材の構造について、添付の図6を参照して説明する。なお、この実施例3では、シール材3の塗布にディスペンサーを使用すると共に、シール材3としては、上記実施例1と同じ物を使用した。なお、本実施例3では、シール材3を塗布する封止板2の辺部と角部とで、その厚さ(高さ)Hに差を付けるため、ディスペンサーのニードルと封止板2の間のギャップを変える手法を用いている。即ち、ディスペンサーのニードルと基板2との間のギャップを、辺を塗布する際のギャップの約3分の1にする事で、図6(b)に示すように、塗布されるシール材3の厚さ(高さ)Hを変え(減少)、その後、上記封止板2を有機EL基板21との貼り合せた状態におけるシール材3の幅Bが、通常の場合の略半分になることを利用したものである。また、ここでも、貼り合わせ前のシール材3の形状を実線13及び14で示すと共に、貼り合わせ後の形状を破線11及び12で示している。
なお、この図6に示す区間J−J’は、貼り合わせを行う前のシール材3において、ニードルと封止板2との間のギャップを3分の1に変えて塗布を行った箇所を示している。即ち、封止板2の各辺に沿って塗布されるシール材3の中心軸の交点から、それぞれ、略0.5mm程度離れた位置までの区間において、ニードルと封止板2との間のギャップを3分の1に変えてシール材の塗布を行った。その後は、上記実施例1と同様の条件により、有機EL基板21と封止板2とを貼り合わせることにより、図示したようなシール材3の形状となった。なお、本実施例においても、電源回路を接続して、上述したシール材3による得られる有機EL素子の信頼性を確認した。
以上に詳細に述べたように、上記本発明の実施例1、2及び3によれば、上記図1(a)〜(d)に示すように、有機EL素子を構成する有機EL基板21と封止板2との間において、全周に亘って形成されるシール材3は、有機EL素子の面方向におけるその幅が、その一辺における幅B(即ち、素子基板の辺に直行する線上での幅)よりも、その角部における幅b(素子基板の角部における対角線上での幅)のほうが小さくなっている(B>b)。すなわち、かかるシール材3の構成によれば、上記有機EL基板21と封止板2とを貼り合せる際に生じるシール材3のはみ出しを、特に、発光領域4側へのはみ出す量を、ほとんど無視する事が出来る程度にまで低減することが出来る。あるいは、上記図1(a)〜(d)からも明らかなように、有機EL素子の角部では、シール材3の内端(符号12を参照)は、当該素子の辺部よりも後退しており、あるいは、その外端(符号11)も、やはり、当該素子の角部で後退している。このことから、角部に凸部(薄膜パターン)や凹部(溝部)を形成することなく、有機EL基板と封止板とをシール材を用いて封止する際の狭額縁化を、確実に達成することが可能となる。
また、上記した本発明の実施例によれば、上記シール材3を封止板2の表面周囲に塗布し、その後、この封止板2を上記有機EL基板21の表面上に搭載して両者の間を上記シール材3により内部を封止するものとして説明した。しかしながら、本発明になる有機EL素子及びその製造方法は、上記の記述内容に限定されることなく、例えば、上記シール材3を、上記封止板2ではなく、有機EL基板21の表面周囲に塗布し、その後、上記の封止板2を上記有機EL基板21の表面上に搭載して、両者を貼り合わせてその内部を封止してもよい。
なお、上記シール材3の材料としては、例えば、紫外線硬化型材料、熱硬化型材料、紫外線熱硬化型材料などが挙げられる。その中でも、特に、紫外線硬化型材料又は紫外線熱硬化型材料をシール材3として用いた場合には、紫外線の照射時に、上記シール材3に近い部分の有機層にも紫外線が拡散照射されてしまい、そのため、得られる有機EL素子の一部に、輝度劣化(寿命低下)が生じる可能性がある。一方、熱硬化型材料又は紫外線熱硬化型材料を用いた場合、例えば、100度を越える温度で硬化させると、耐熱性の低い有機層に影響を与えてしまい、上記と同様に、その輝度劣化(寿命低下)を生じさせる可能性がある。そのため、紫外線硬化型の材料としては、数秒〜数十秒の紫外線(波長:200nm〜400nm)照射で硬化し、硬化時の収縮率が低く、表面硬化性と共に、深部硬化性にも優れているものが望ましい。
以上に詳細に述べたように、上述した本発明になる有機EL素子によれば、有機EL基板と封止板とを貼り合わせる際、押圧によりシール材が拡張されるにも拘わらず、当該シール材の幅を、特に、その角部において外部にはみ出すことなく、基板の周辺部に設けられた封止領域幅に近づけることができるため、基板全体に占める発光領域の割合を大きくすることが可能となり、もって、狭額縁化を実現可能な有機EL素子を提供することが出来る。なお、このように狭額縁化を可能とすることによれば、上述した表示素子や発光素子の小型・軽量化と共に、更に、1枚の大型の基板から多数の有機EL素子を切り出して多面取りする際、基板を効率よく利用できることともなる。即ち、かかる構成の有機EL素子では、その製造面から見ると、その角部での封止領域からのシール材のはみ出しを抑制することが出来ることから、特に、上述した多面取りの際の切断不良や、シール材のはみ出しによる外形寸法不良を大幅に低減でき、もって、有機EL素子の製造コストを低減することが可能になる。
本発明の種々の実施の形態になる有機EL素子において、特に、基板の角部におけるシール材の具体的な形状を示すための一部拡大図である。 上記本発明になる有機EL素子における内部構造の一例を示す断面図である。 上記本発明の第1の実施例になる有機EL素子の詳細構造を示す基板の角部の一部拡大図とその一部(H−H’)断面図である。 上記図3に示した第1の実施例の有機EL素子において、そのシール材塗布幅Cと角部の不連続量Gとの関係の実験結果を示す図である。 本発明の第2の実施例になる有機EL素子の詳細構造を示す、シール材の塗布形状と、その後の基板角部での形状を示す一部拡大図である。 本発明の第3の実施例になる有機EL素子の詳細構造を示す基板の角部の一部拡大図とその一部(J−J’)断面図である。 従来のシール構造を採用した有機EL素子におけるシール材の状態を示す全体の正面図とその一部拡大図である。
符号の説明
1…有機EL基板、2…封止板、3…シール材、4…発光領域、11…シール材外側端部、12…シール材内側端部、13…貼り合わせ前のシール材外側端部、14…貼り合わせ前のシール材内側端部、21…発光部形成用基板、22…陽極、23…バンク、24…外部端子、25…有機層、26…陰極、27…吸着材

Claims (10)

  1. 一方の表面の表示領域において有機EL構造体を積層して形成した方形の有機EL基板と、前記有機EL基板の外形とほぼ同一形状を有し、前記有機EL基板における有機EL構造体の積層面を覆う封止板とを備え、前記有機EL基板と前記封止板とをシール材により貼り合わせてなる有機EL素子であって、前記シール材は、前記有機EL基板と前記封止板との間に、その全周に亘って設けられており、前記有機EL素子を構成する前記有機EL基板と前記封止板の対向面は、それぞれ、その全周において等しい高さであり、かつ、前記シール材の幅が、前記有機EL基板及び前記封止板により構成された有機EL素子の表示面方向において、前記有機EL素子の辺部における幅よりも、前記有機EL素子の角部における幅のほうが小さくなっていることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記請求項1に記載した有機EL素子において、前記有機EL素子の辺部における前記シール材の幅とは、当該辺に対して直行する線上での幅であり、かつ、前記有機EL素子の角部における前記シール材の幅とは、前記有機EL素子の角から延びる対角線上での幅であることを特徴とする有機EL素子。
  3. 前記請求項1に記載した有機EL素子において、前記有機EL素子の表示面方向において、前記シール材の前記有機EL素子の辺部での内端の位置が、当該素子の角部での内端の位置よりも後退していることを特徴とする有機EL素子。
  4. 前記請求項1に記載した有機EL素子において、前記有機EL素子の面方向において、前記シール材の前記有機EL素子の辺部での外端の位置が、当該素子の角部での外端の位置よりも後退していることを特徴とする有機EL素子。
  5. 一方の表面の表示領域において有機EL構造体を積層して形成した方形の有機EL基板と、前記有機EL基板の外形とほぼ同一形状を有し、前記有機EL基板における有機EL構造体の積層面を覆う封止板とを備え、前記有機EL基板と前記封止板とをシール材により貼り合わせてなる有機EL素子の製造方法であって、前記シール材を前記有機EL基板又は前記封止板の全周に亘って塗布する際、その角部における前記シール材の塗布量を、前記有機EL素子の辺部における塗布量よりも少なく塗布し、その後、前記有機EL基板と前記封止板とを前記塗布したシール材により貼り合わせることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  6. 前記請求項5に記載した有機EL素子の製造方法において、前記シール材を前記有機EL基板又は前記封止板の全周に亘って塗布する際の角部における前記シール材の塗布量を、前記シール材の不連続部の形成により、前記有機EL素子の辺部における塗布量よりも少なく塗布したことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  7. 前記請求項5に記載した有機EL素子の製造方法において、前記シール材を前記有機EL基板又は前記封止板の全周に亘って塗布する際の角部における前記シール材の塗布量を、前記シール材の塗布幅を減少することにより、前記有機EL素子の辺部における塗布量よりも少なく塗布したことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  8. 前記請求項6又は7に記載した有機EL素子の製造方法において、前記シール材の塗布を、ディスペンサーにより行うことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  9. 前記請求項5に記載した有機EL素子の製造方法において、前記シール材の塗布を、スクリーン印刷により行うことを特徴とする有機EL素子の製造方法。
  10. 前記請求項5〜9の何れか一項に記載された有機EL素子の製造方法により製造されたことを特徴とする有機EL素子。
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