本発明は、光ディスク装置、特に装着された光ディスクの種類を判別して再生する際の処理に関する。
従来より、CD(Conpact Disc)とDVD(Digital Versatile Disc)の双方の光ディスクを再生可能な光ディスク装置が知られている。一般に、従来の光ディスク装置は、CD用のレーザ光とDVD用のレーザ光を出力できる2波長光ピックアップを備えており、光ディスク装着時などの起動時に、まず始めに装着された光ディスクの種類を2つのレーザ光を用いて判別し、光ディスクのデータ面に対するフォーカスサーチを行った後、データの再生を開始している。すなわち、光ディスクがCDであるかDVDであるかを判別する判別処理を行った後、データの再生を開始している。
以下、従来の光ディスク装置による再生処理について、図1を参照して説明する。図1は、従来の光ディスク判別処理におけるフォーカスサーチ電圧の変化を示すものである。
光ディスクが装着されると、まずCD用のレーザが発光され、図1に示すようなフォーカスサーチ電圧に基づいて光ピックアップ内の対物レンズの上昇が開始され、フォーカス方向にフォーカスサーチが行われる。このサーチ電圧は、傾斜状に上昇する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、一定電圧まで上昇した後、同様の傾斜角で下降する。このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら上昇及び下降させることにより、フォーカスを上下に移動させている。また、このとき、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させている。
そして、このようにフォーカスを上昇及び下降させている期間に、光ディスクからの反射光に基づいて反射和信号(AS信号)、RFエンベロープ信号(変調度)及びフォーカスエラー(FE)信号を検出し、変調度が所定値以上であるか否か、フォーカスエラー(FE)信号の振幅が所定値以上であるか否かなどによって、装着された光ディスクがCDであるか否かを判別している。
対物レンズがサーチ開始時の元の位置まで下降し、フォーカスが下限位置まで戻り、CD用レーザ光によるフォーカスサーチが終了すると、次に、DVD用のレーザを発光させる。そして、図1に示すように、CD用レーザ光によるフォーカスサーチの場合と同様のフォーカスサーチ電圧に基づいてフォーカスサーチが行われる。
そして、再びフォーカスを上昇及び下降させている期間に、光ディスクからの反射光に基づいて反射和信号(AS信号)、RFエンベロープ信号(変調度)及びフォーカスエラー(FE)信号を検出し、変調度が所定値以上であるか否か、フォーカスエラー(FE)信号の振幅が所定値以上であるか否かなどによって、装着された光ディスクがDVDであるか否かを判別している。
この光ディスク判別処理によって装着された光ディスクの種類が判別されると、判別結果に基づいて対応するレーザ光を発光する。その後、フォーカスサーボやトラッキングサーボなどがオンとされ、光ディスクのデータ面に記録されているデータの再生が開始される。
なお、従来の光ディスク装置では、挿入された光ディスクの種類がCDであるかDVDであるかの判別に加え、さらに詳細な種別であるCD−ROM、CD−R、DVD−ROM、DVD−RAMなどを判別するものもある(例えば、特許文献1)。
上述したように、従来の光ディスク装置では、光ディスクが装着されてからフォーカスサーボなどがオンとされるまでに、光ディスク判別処理においてフォーカスの上昇が2回、下降が2回行われているので、結果として、実際にデータの再生が開始されるまでに数秒を要することとなる。よって、光ディスク判別処理に要する時間を短縮し、フォーカスサーボなどがオンとされるまでに要する時間の短縮が望まれている。
また、図2には、CDとDVDの断面図を示しているが、図2(A)に示すように、CDのデータ面(信号面)は、レーザ光が照射される表面側から最も遠い位置に存在していることに対して、図2(B)に示すように、DVDのデータ面(信号面)は、光ディスクの厚みの中央の位置に存在している。そのため、CD用レーザ光によるCDのジャストフォーカス位置は、DVD用レーザ光によるDVDのジャストフォーカス位置よりも上昇した位置であり、CD用レーザ光の場合はフォーカス下限位置近傍が、DVD用レーザ光の場合はフォーカス上限位置近傍が、光ディスク判別に不要なフォーカス位置と言える。それにもかかわらず、従来の光ディスク装置では、図1に示すように、フォーカスが2回とも同じ下限位置から上昇を開始し、2回とも同じ上限位置まで上昇しているため、光ディスク判別処理に時間を要し、やはりデータの再生が開始されるまでに時間を要することとなる。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、光ディスク判別処理に要する時間を短縮することができ、光ディスクが装着されてからフォーカスサーボなどがオンとされるまでの時間を従来よりも短縮できる光ディスク装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、異なる種類の光ディスクに記録されているデータを再生可能な光ディスク装置において、前記光ディスクに第1の光ディスクを再生する場合に用いる第1のレーザ光または第2の光ディスクを再生する場合に用いる第2のレーザ光を照射し、前記第1または第2のレーザ光の前記光ディスクからの反射光に応じた電気信号を生成する光ピックアップと、前記光ピックアップによって生成された電気信号に基づいて所定の信号を生成する信号処理手段と、前記光ピックアップによって前記第1のレーザ光を照射し、フォーカスを光ディスク厚さ方向に上昇及び下降させてフォーカスサーチを行い、前記光ピックアップによって前記第2のレーザ光を照射し、フォーカスを光ディスク厚さ方向に上昇及び下降させてフォーカスサーチを行うフォーカスサーチ手段と、前記フォーカスサーチ手段によってフォーカスサーチを行っている期間に前記信号処理手段によって生成された所定の信号を測定し、測定結果に基づいて前記光ディスクの種類を判別する判別手段とを有し、前記フォーカスサーチ手段は、前記光ディスク厚さ方向における、前記第1のレーザ光によるフォーカスサーチのときのサーチ範囲と前記第2のレーザ光によるフォーカスサーチのときのサーチ範囲を異ならせたことを特徴とする光ディスク装置である。
また、前記フォーカスサーチ手段は、前記第1のレーザ光によるフォーカスサーチのときは、前記第1の光ディスクのジャストフォーカス位置近傍をサーチ範囲とし、前記第2のレーザ光によるフォーカスサーチのときは、前記第1の光ディスクのジャストフォーカス位置とは異なる前記第2の光ディスクのジャストフォーカス位置近傍をサーチ範囲としたことを特徴とするものである。
また、前記第1の光ディスクがCDであり、前記第2の光ディスクがDVDであることを特徴とするものである。
さらに、本発明は、異なる種類の光ディスクに記録されているデータを再生可能な光ディスク装置において、前記光ディスクに第1の光ディスクを再生する場合に用いる第1のレーザ光または第2の光ディスクを再生する場合に用いる第2のレーザ光を照射し、前記第1または第2のレーザ光の前記光ディスクからの反射光に応じた電気信号を生成する光ピックアップと、前記光ピックアップによって生成された電気信号に基づいて所定の信号を生成する信号処理手段と、前記光ピックアップによって前記第1及び第2のレーザ光を照射し、フォーカスを光ディスク厚さ方向に上昇及び下降させてフォーカスサーチを行うフォーカスサーチ手段と、前記フォーカスサーチ手段によってフォーカスサーチを行っている期間に前記信号処理手段によって生成された所定の信号を測定し、測定結果に基づいて前記光ディスクの種類を判別する判別手段とを有し、前記フォーカスサーチ手段は、前記第1のレーザ光を照射している期間に、前記フォーカスを上昇させ、前記第2のレーザを照射している期間に、前記フォーカスを下降させることを特徴とする光ディスク装置である。
また、前記フォーカスサーチ手段は、前記光ディスク厚さ方向における、前記第1のレーザ光によるフォーカスサーチのときのサーチ範囲と前記第2のレーザ光によるフォーカスサーチのときのサーチ範囲を異ならせたことを特徴とするものである。
また、前記フォーカスサーチ手段は、前記第1のレーザ光によるフォーカスサーチのときは、前記第1の光ディスクのジャストフォーカス位置近傍をサーチ範囲とし、前記第2のレーザ光によるフォーカスサーチのときは、前記第1の光ディスクのジャストフォーカス位置とは異なる前記第2の光ディスクのジャストフォーカス位置近傍をサーチ範囲としたことを特徴とするものである。
また、前記第1の光ディスクは、CDあるいはDVDのいずれか一方であり、前記第2の光ディスクは、CDあるいはDVDのいずれか他方であることを特徴とするものである。
本発明によれば、光ディスク判別処理に要する時間を短縮することができ、光ディスクが装着されてからフォーカスサーボなどオンとされるまでの時間を従来よりも短縮することができる。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図3には、本実施形態に係る光ディスク装置の構成ブロック図が示されている。CDやDVDなどの光ディスク10は、スピンドルモータ(SPM)12により回転駆動される。
2波長光ピックアップ(PU)14は、光ディスク10に対向配置され、PU14内のCD用レーザ(780nm)またはDVD用レーザ(650nm)からレーザ光を光ディスク10の表面に照射する。また、PU14内のフォトディテクタにより、その反射光を検出し、反射光の強弱に応じた電気信号を生成して信号処理部16に出力する。
信号処理部16は、PU14からの電気信号に基づいてRF信号、トラッキングエラー(TE)信号およびフォーカスエラー(FE)信号を生成する。RF信号は、データ復調部18によりデータに復調され、エラー訂正処理を行った後、I/F部20およびバスを介してPCなどの外部機器に出力される。
コントローラ22は、光ディスク10上のトラックに対する光スポット位置の光ディスク径方向の変化を示すTE信号の入力を受け、TE信号の変化に基づいて、PU14内にある、対物レンズを光ディスク径方向に移動させるトラッキングアクチュエータを駆動する駆動信号をPU14に供給し、あるいは、PU14を光ディスク径方向に移動させるスレッドモータ(SLM)24を駆動する駆動信号を供給し、オントラック状態とする(トラッキングサーボ)。また、このコントローラ22は、光スポットの光ディスク厚さ方向のフォーカス位置の変化を示すFE信号の入力を受け、FE信号の変化に基づいて、PU14内にある、対物レンズを光ディスク厚さ方向に移動させるフォーカスアクチュエータを駆動する駆動信号をPU14に供給し、オンフォーカス状態とする(フォーカスサーボ)。例えば、4分割フォトディテクタの場合、光ディスク径方向に分割されたディテクタの出力の差分からTE信号が生成され、4分割フォトディテクタの出力の対角和の差分からFE信号が生成される。もちろん、他の方式でも可能である。
なお、他にも、コントローラ22は、SPM12から回転情報を受け、所望の回転数で回転させるための信号を供給する動作なども行う。さらにコントローラ22は、データの再生動作や後述する光ディスク判別処理といった動作を行うように、光ディスク装置全体を制御するもので、信号処理部16、データ復調部18、I/F20をも制御する。
次に、本実施形態の光ディスク装置による光ディスク判別処理を含む再生処理についての例を図面に基づいて説明する。
図4のフローチャート、ならびに図5のフォーカスサーチ電圧の変化を示す図を参照して本実施例を説明する。
まず、コントローラ22は、光ディスク10が装着されたか否かを判定し、光ディスク10が装着されたと判定するまで待機する(S101)。光ディスク10が装着されたと判定された場合、SPM12を駆動し、光ディスク10を回転させるとともに、まず、PU14のCD用レーザを発光(オン)させる(S102)。次に、対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10に近づける位置にUP(上昇)させて、CD用レーザのフォーカスサーチ開始位置に位置付ける(S103)。このCD用レーザのフォーカスサーチ開始位置は、予め設定された所定のオフセット電圧をフォーカスアクチュエータに印加することで位置付けることができる。また、この所定のオフセット電圧は、フォーカス位置がCDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも多少低い位置となるように、対物レンズを位置付ける値が設定される。より詳しくは、面振れの大きいCDは、CDの回転周期内においてジャストフォーカス位置が大きく変位することになる。したがって、CD用レーザのフォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、面振れによるジャストフォーカス位置の下限位置よりも多少低い位置となるように設定される。例として、面振れによるジャストフォーカス位置の下限位置が、正規のジャストフォーカス位置より0.3mmほど低くなる場合は、フォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど低い位置となるように設定される。
そして、対物レンズをCD用レーザのフォーカスサーチ開始位置に位置付けた後、図5に示すようなフォーカスサーチ電圧に基づいてフォーカスアクチュエータを駆動し、対物レンズをUP(上昇)させる(S104)。このサーチ電圧は、傾斜状に上昇する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら上昇させることにより、フォーカスを上昇させている。また、このとき、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させてもよい。
そして、このようにフォーカスを上昇させている期間に、FE信号の変化を測定する(S105)。対物レンズを光ディスク厚さ方向に対し上昇させ、フォーカスを上昇させると、FE信号にはいわゆるS字波形といわれる波形が現れる。フォーカスを上昇させている期間に、このS字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)を測定する。この測定結果は、光ディスク10の種類を判別する判別材料となるので、この振幅値の測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S106)。
その後、図5に示すとおりフォーカスサーチ電圧が所定の上限値に達すると、対物レンズの上昇を停止させ、今度は対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10から遠ざける位置にDOWN(下降)させるようにフォーカスアクチュエータを駆動し、フォーカスを下降させる(S107)。このときのサーチ電圧は、ステップS104でのフォーカス上昇時の傾斜角と同様の傾斜角で下降するように設定される。また、このサーチ電圧は、ステップS104での上昇時と同様に、傾斜状に下降する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら下降させることにより、フォーカスを下降させている。なお、このときも、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させてもよい。さらに、図5に示すCD用レーザのフォーカスサーチ電圧の所定の上限値は、フォーカス位置が面振れによるジャストフォーカス位置の上限位置よりも多少高い位置となるように、対物レンズを位置付ける値が設定される。例として、面振れによるジャストフォーカス位置の上限位置が、正規のジャストフォーカス位置より0.3mmほど高くなる場合は、フォーカスサーチの上限位置におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど高い位置となるように設定される。
そして、このようにフォーカスを下降させている期間に、FE信号の変化を再び測定する(S108)。対物レンズを光ディスク厚さ方向に対し下降させ、フォーカスを下降させる場合にも、FE信号にはS字波形が現れる。フォーカスを下降させている期間に、このS字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)を測定する。ステップS105での測定結果と同様に、この測定結果も、光ディスク10の種類を判別する判別材料となるので、この振幅値の測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S109)。
その後、図5に示すとおりフォーカスサーチ電圧が、上述の所定のオフセット電圧に達すると、対物レンズの下降を停止させ、CD用レーザを消灯(オフ)させる(S110)。CD用レーザがオフとなり、CD用レーザのフォーカスサーチが終了すると、次に、DVD用レーザを発光(ON)させる(S111)。そして、対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10から遠ざける位置にDOWN(下降)させて、DVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置に位置付ける(S112)。このDVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置は、DVD用レーザのフォーカスサーチのために予め設定された所定の対物レンズ下限位置としてもよいし、対物レンズの最大可動範囲における最下限位置としてもよい。前者の場合は、DVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、DVDの面振れによるジャストフォーカス位置の下限位置よりも多少低い位置となるように設定される。例として、フォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど低い位置となるように設定される。
そして、対物レンズをDVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置に位置付けた後、図5に示すようなフォーカスサーチ電圧に基づいてフォーカスアクチュエータを駆動し、対物レンズをUP(上昇)させる(S113)。CD用レーザの場合と同様に、このサーチ電圧は、傾斜状に上昇する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら上昇させることにより、フォーカスを上昇させている。また、このとき、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させてもよい。
そして、このようにフォーカスを上昇させている期間に、同様にFE信号の変化を測定する(S114)。フォーカスを上昇させている期間に、このS字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)を測定する。この振幅値の測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S115)。
その後、図5に示すとおりフォーカスサーチ電圧が、CD用レーザによるフォーカスサーチの際の上限値よりも低い所定の上限値に達すると、対物レンズの上昇を停止させ、今度は対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10から遠ざける位置にDOWN(下降)させるようにフォーカスアクチュエータを駆動し、フォーカスを下降させる(S116)。このDVD用レーザによるフォーカスサーチ電圧の所定の上限値は、フォーカス位置がCDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも低く、かつDVDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも高い位置となるように設定された値である。言い換えるならば、フォーカス位置がDVDの面振れによるジャストフォーカス位置の上限位置よりも多少高い位置となるように、対物レンズを位置付ける値である。例として、DVD用レーザのフォーカスサーチの上限位置におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど高い位置となるように設定される。また、フォーカス下降時のサーチ電圧は、ステップS113でのフォーカス上昇時の傾斜角と同様の傾斜角で下降するように設定される。このサーチ電圧は、ステップS113での上昇時と同様に、傾斜状に下降する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら下降させることにより、フォーカスを下降させている。なお、このときも、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させてもよい。
そして、このようにフォーカスを下降させている期間に、FE信号の変化を再び測定する(S117)。フォーカスを下降させている期間に、S字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)を測定する。ステップS114での測定結果と同様に、この振幅値の測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S118)。
その後、図5に示すとおりフォーカスサーチ電圧が、上述のDVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置と同じ電圧に達すると、対物レンズの下降を停止させ、DVD用レーザを消灯(オフ)させる(S119)。DVD用レーザがオフとなり、DVD用レーザのフォーカスサーチも終了すると、記憶させたCD用レーザ光を照射したことによるFE信号の振幅値(FE信号振幅(CD))と記憶させたDVD用レーザ光を照射したことによるFE信号の振幅値(FE信号振幅(DVD))を用いて、光ディスク10の種類を判別する(S120)。具体的には、光ディスク10がCDの場合、FE信号振幅(CD)はFE信号振幅(DVD)よりも大きく、光ディスク10がDVDの場合、FE信号振幅(DVD)はFE信号振幅(CD)よりも大きい。そのため、FE信号振幅(CD)の大きさとFE信号振幅(DVD)の大きさを比較して、FE信号振幅(CD)のほうが大きければCDと判別し、FE信号振幅(DVD)のほうが大きければDVDと判別する。なお、FE信号振幅(CD)の大きさとFE信号振幅(DVD)の大きさを所定の閾値と比較して、FE信号振幅(CD)のほうが所定の閾値よりも大きければCDと判別し、FE信号振幅(DVD)のほうが所定の閾値よりも大きければDVDと判別するようにしてもよい。
ステップS120で装着された光ディスク10の種類が判別されると、判別結果に基づいて光ディスク10の種類に対応するレーザを再び発光(ON)させる(S121)。その後、フォーカスサーボやトラッキングサーボなどがオンとされ、光ディスク10のデータ面に記録されているデータの再生が開始される(S122)。
以上説明したように、本実施例を適用した光ディスク装置によれば、CD用レーザによるフォーカスサーチの際、図5に示すようにフォーカスサーチ開始位置を、フォーカス位置がCDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも少しだけ低い位置とし、フォーカスサーチ終了位置もこの開始位置と同じジャストフォーカス位置よりも少しだけ低い位置としている。これにより、CD用レーザによる光ディスク判別に不要なフォーカス下限位置近傍のフォーカスサーチを省略するため、対物レンズを上昇および下降させて行うフォーカスサーチに要する時間を短縮することができる。さらに、DVD用レーザによるフォーカスサーチの際は、図5に示すようにフォーカスサーチ上限位置を、フォーカス位置がCDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも低く、かつDVDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも高い位置としている。これにより、DVD用レーザによる光ディスク判別に不要なフォーカス上限位置近傍のフォーカスサーチを省略するため、対物レンズを上昇および下降させて行うフォーカスサーチに要する時間を短縮することができる。
言い換えるならば、本実施例を適用した光ディスク装置によれば、CD用レーザによるフォーカスサーチの際、CDの面振れによるジャストフォーカス位置の変位量を考慮した範囲である、CDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置近傍のみをサーチし、DVD用レーザによるフォーカスサーチの際も、DVDの面振れによるジャストフォーカス位置の変位量を考慮した範囲である、DVDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置近傍のみをサーチする。これにより、対物レンズを上昇および下降させて行うフォーカスサーチに要する時間を短縮することができる。その結果、光ディスク判別に要する時間を短縮することができ、光ディスクが装着されてからフォーカスサーボなどがオンとされるまでの時間を従来よりも短縮することができる。
本実施形態の光ディスク装置による光ディスク判別処理を含む再生処理についての他の例を図面に基づいて説明する。なお、図6のフローチャート、ならびに図7のフォーカスサーチ電圧の変化を示す図を参照して本実施例を説明する。
まず、コントローラ22は、光ディスク10が装着されたか否かを判定し、光ディスク10が装着されたと判定するまで待機する(S201)。光ディスク10が装着されたと判定された場合、SPM12を駆動し、光ディスク10を回転させるとともに、まず、PU14のCD用レーザを発光(オン)させる(S202)。次に、対物レンズを、フォーカスサーチ開始位置に位置付ける(S203)。このフォーカスサーチ開始位置は、フォーカスサーチのために予め設定された所定の対物レンズ下限位置としてもよいし、対物レンズの最大可動範囲における最下限位置としてもよい。
そして、対物レンズをフォーカスサーチ開始位置に位置付けた後、図7に示すようなフォーカスサーチ電圧に基づいてフォーカスアクチュエータを駆動し、対物レンズをUP(上昇)させる(S204)。このサーチ電圧は、傾斜状に上昇する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら上昇させることにより、フォーカスを上昇させている。また、このとき、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させてもよい。
そして、このようにフォーカスを上昇させている期間に、FE信号の変化を測定する(S205)。対物レンズを光ディスク厚さ方向に対し上昇させ、フォーカスを上昇させている期間に、FE信号のS字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)を測定する。この測定結果は、光ディスク10の種類を判別する判別材料となるので、この振幅値の測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S206)。
その後、図7に示すとおりフォーカスサーチ電圧が所定の上限値に達すると、対物レンズの上昇を停止させ、CD用レーザを消灯(オフ)させる(S207)。CD用レーザがオフとなり、CD用レーザのフォーカスサーチが終了すると、次に、DVD用レーザを発光(ON)させる(S208)。そして、今度は対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10から遠ざける位置にDOWN(下降)させるようにフォーカスアクチュエータを駆動し、フォーカスを下降させる(S209)。このときのサーチ電圧は、ステップS204でのフォーカス上昇時の傾斜角と同様の傾斜角で下降するように設定される。また、このサーチ電圧は、ステップS204での上昇時と同様に、傾斜状に下降する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら下降させることにより、フォーカスを下降させている。なお、このときも、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させてもよい。
そして、このようにフォーカスを下降させている期間に、FE信号の変化を再び測定する(S210)。対物レンズを光ディスク厚さ方向に対し下降させ、フォーカスを下降させる場合にも、FE信号にはS字波形が現れる。フォーカスを下降させている期間に、このS字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)を測定する。ステップS206での測定結果と同様に、この測定結果も、光ディスク10の種類を判別する判別材料となるので、この振幅値の測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S211)。
その後、図7に示すとおりフォーカスサーチ電圧が、上述のフォーカスサーチ開始位置と同じ電圧に達すると、対物レンズの下降を停止させ、DVD用レーザを消灯(オフ)させる(S212)。DVD用レーザがオフとなり、DVD用レーザのフォーカスサーチも終了すると、記憶させたCD用レーザ光を照射したことによるFE信号の振幅値(FE信号振幅(CD))と記憶させたDVD用レーザ光を照射したことによるFE信号の振幅値(FE信号振幅(DVD))を用いて、光ディスク10の種類を判別する(S213)。具体的には、光ディスク10がCDの場合、FE信号振幅(CD)はFE信号振幅(DVD)よりも大きく、光ディスク10がDVDの場合、FE信号振幅(DVD)はFE信号振幅(CD)よりも大きい。そのため、FE信号振幅(CD)の大きさとFE信号振幅(DVD)の大きさを比較して、FE信号振幅(CD)のほうが大きければCDと判別し、FE信号振幅(DVD)のほうが大きければDVDと判別する。なお、FE信号振幅(CD)の大きさとFE信号振幅(DVD)の大きさを所定の閾値と比較して、FE信号振幅(CD)のほうが所定の閾値よりも大きければCDと判別し、FE信号振幅(DVD)のほうが所定の閾値よりも大きければDVDと判別するようにしてもよい。
ステップS213で装着された光ディスク10の種類が判別されると、判別結果に基づいて光ディスク10の種類に対応するレーザを再び発光(ON)させる(S214)。その後、フォーカスサーボやトラッキングサーボなどがオンとされ、光ディスク10のデータ面に記録されているデータの再生が開始される(S215)。
以上説明したように、本実施例を適用した光ディスク装置によれば、フォーカスサーチの際、図7に示すようにフォーカスを上昇させている期間にCD用レーザを発光(ON)し、フォーカスが最大上昇位置に達した時点で、CD用レーザを消灯(オフ)し、フォーカスを下降させている期間にDVD用レーザを発光(ON)している。すなわち、光ディスク判別のためのフォーカスサーチが、従来の装置では、フォーカスの上昇が2回、下降が2回行われていたが、本実施例を適用した光ディスク装置では、フォーカスの上昇と下降ともに1回のみで終了することができる。これにより、フォーカスサーチに要する時間を短縮することができる。その結果、光ディスク判別に要する時間を短縮することができ、光ディスクが装着されてからフォーカスサーボなどがオンとされるまでの時間を従来よりもおよそ半分の時間まで短縮することができる。
なお、本実施例において、フォーカスサーチの際、フォーカスサーチ電圧を図8に示すように変化させることも好適である。この場合、CD用レーザのフォーカスサーチ開始位置が、対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10に近づける位置にUP(上昇)させて位置付けられる。このCD用レーザのフォーカスサーチ開始位置は、予め設定された所定のオフセット電圧をフォーカスアクチュエータに印加することで位置付けることができる。また、この所定のオフセット電圧は、フォーカス位置がCDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも多少低い位置となるように、対物レンズを位置付ける値が設定される。より詳しくは、CD用レーザのフォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、CDの面振れによるジャストフォーカス位置の下限位置よりも多少低い位置となるように設定される。例として、フォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど低い位置となるように設定される。これにより、CD用レーザのフォーカスサーチの際、CD用レーザによる光ディスク判別に不要なフォーカス下限位置近傍のフォーカスサーチを省略するため、対物レンズを上昇させて行うフォーカスサーチに要する時間をさらに短縮することができる。
また、CD用レーザによるフォーカスが最大上昇位置に達した時点で、CD用レーザを消灯(オフ)し、その最大上昇位置からDVD用レーザを発光(ON)させ、フォーカスを下降させるのではなく、図8に示すとおり最大上昇位置に達した時点で、CD用レーザを消灯(オフ)させるとともに、対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10から遠ざける位置にDOWN(下降)させる。この場合、DVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置が、対物レンズを強制的に、DOWN(下降)させて位置付けられる。そして、このDVD用レーザによるフォーカスサーチ開始位置に位置付けられた後、DVD用レーザを発光(ON)しフォーカスを下降させる。このDVD用レーザによるフォーカスサーチ開始位置は、フォーカス位置がCDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも低く、かつDVDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも高い位置となるように設定される。より詳しくは、フォーカス位置がDVDの面振れによるジャストフォーカス位置の上限位置よりも多少高い位置となるように、対物レンズを位置付けた位置である。例として、DVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置(上限位置)におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど高い位置となるように設定される。これにより、DVD用レーザによるフォーカスサーチの際、DVD用レーザによる光ディスク判別に不要なフォーカス上限位置近傍のフォーカスサーチを省略するため、対物レンズを下降させて行うフォーカスサーチに要する時間をさらに短縮することができる。
また、本実施例においては、フォーカスを上昇させている期間にCD用レーザを発光(ON)させ、フォーカスを下降させている期間にDVD用レーザを発光(ON)させているが、フォーカスを上昇させている期間にDVD用レーザを発光(ON)させ、フォーカスを下降させている期間にCD用レーザを発光(ON)させることもできる。
本実施形態の光ディスク装置による光ディスク判別処理を含む再生処理についてのさらに他の例を図面に基づいて説明する。なお、図9のフローチャート、ならびに図10のフォーカスサーチ電圧の変化を示す図を参照して本実施例を説明する。
まず、コントローラ22は、光ディスク10が装着されたか否かを判定し、光ディスク10が装着されたと判定するまで待機する(S301)。光ディスク10が装着されたと判定された場合、SPM12を駆動し、光ディスク10を回転させるとともに、まず、PU14のDVD用レーザを発光(オン)させる(S302)。次に、対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10から遠ざける位置にDOWN(下降)させて、DVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置に位置付ける(S303)。このDVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置は、DVD用レーザのフォーカスサーチのために予め設定された所定の対物レンズ下限位置としてもよいし、対物レンズの最大可動範囲における最下限位置としてもよい。前者の場合は、DVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、DVDの面振れによるジャストフォーカス位置の下限位置よりも多少低い位置となるように設定される。例として、フォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど低い位置となるように設定される。
そして、対物レンズをDVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置に位置付けた後、図10に示すようなフォーカスサーチ電圧に基づいてフォーカスアクチュエータを駆動し、予め設定された所定の電圧まで対物レンズをUP(上昇)させる(S304)。このサーチ電圧は、傾斜状に上昇する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら上昇させることにより、フォーカスを上昇させている。また、このとき、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させてもよい。なお、この予め設定された所定の電圧は、フォーカス位置がCDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも低く、かつDVDにレーザ光を照射した場合のジャストフォーカス位置よりも高い位置(所定位置)となるように設定された値である。言い換えるならば、フォーカス位置がDVDの面振れによるジャストフォーカス位置の上限位置よりも多少高い位置となるように、対物レンズを位置付ける値である。例として、DVD用レーザのフォーカスサーチの上限位置におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど高い位置となるように設定される。
そして、このようにフォーカスサーチ電圧を予め設定された所定の電圧まで上昇させ、フォーカスを所定位置まで上昇させている期間に、FE信号の変化を測定する(S305)。このとき、装着された光ディスク10がDVDの場合は、対物レンズを光ディスク厚さ方向に対し上昇させ、フォーカスを所定位置まで上昇させると、FE信号にはS字波形が現れる。しかしながら、装着された光ディスク10がCDの場合は、フォーカスを上昇させている期間に、このS字波形が現れにくい。したがって、S字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)あるいはS字波形の出現の有無を測定する。この測定結果は、光ディスク10の種類を判別する判別材料となるので、この測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S306)。
その後、図10に示すとおりフォーカスサーチ電圧が所定の電圧に達すると、対物レンズの上昇を停止させ、DVD用レーザを消灯(オフ)させる(S307)。DVD用レーザがオフとなり、DVD用レーザのフォーカスの上昇が終了すると、次に、CD用レーザを発光(ON)させる(S308)。そして、対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10から遠ざける位置にDOWN(下降)させて、CD用レーザのフォーカスサーチ開始位置に位置付ける(S309)。このCD用レーザのフォーカスサーチ開始位置は、フォーカス位置が、CDの面振れによるジャストフォーカス位置の下限位置よりも多少低い位置となるように設定される。例として、フォーカスサーチ開始位置におけるフォーカス位置が、正規のジャストフォーカス位置よりも0.4mmほど低い位置となるように設定される。そして、図10に示すとおりフォーカスサーチ電圧に基づいてフォーカスアクチュエータを駆動し、予め設定された所定の上限値までフォーカスサーチ電圧を上昇させ、対物レンズを引き続きUP(上昇)させる(S310)。
そして、このようにフォーカスを上昇させている期間に、FE信号の変化を測定する(S311)。このとき、装着された光ディスク10がCDの場合は、対物レンズを光ディスク厚さ方向に対し上昇させ、フォーカスを上限位置まで上昇させると、FE信号にはS字波形が現れる。しかしながら、装着された光ディスク10がDVDの場合は、このS字波形が現れにくい。したがって、S字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)あるいはS字波形の出現の有無を測定する。この測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S312)。
その後、図10に示すとおりフォーカスサーチ電圧が所定の上限値に達すると、対物レンズの上昇を停止させ、今度は対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10から遠ざける位置にDOWN(下降)させるようにフォーカスアクチュエータを駆動し、フォーカスを下降させる(S313)。このとき、ステップS309で設定したCD用レーザのフォーカスサーチ開始位置と同じ位置まで対物レンズを下降させ、フォーカスを下降させる。このときのサーチ電圧は、ステップS310でのフォーカス上昇時の傾斜角と同様の傾斜角で下降するように設定される。また、このサーチ電圧は、ステップS310での上昇時と同様に、傾斜状に下降する信号に一定周期で微小振動する信号が重畳された信号であり、このサーチ電圧に基づいて対物レンズを微小に上下に振動させながら下降させることにより、フォーカスを下降させている。なお、このときも、対物レンズはトラッキング方向にも微小に振動させてもよい。
そして、このようにフォーカスサーチ電圧をCD用レーザのフォーカスサーチ開始位置と同じ電圧まで下降させ、フォーカスを下降させている期間に、FE信号の変化を測定する(S314)。このとき、装着された光ディスク10がCDの場合は、FE信号にはS字波形が現れる。しかしながら、装着された光ディスク10がDVDの場合は、フォーカスを下降させている期間に、このS字波形が現れにくい。したがって、S字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)あるいはS字波形の出現の有無を測定する。この測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S315)。
その後、図10に示すとおりフォーカスサーチ電圧がCD用レーザのフォーカスサーチ開始位置と同じ電圧に達すると、対物レンズの下降を停止させ、CD用レーザを消灯(オフ)させる(S316)。CD用レーザがオフとなり、CD用レーザのフォーカスの下降が終了すると、次に、DVD用レーザを発光(ON)させる(S317)。そして、対物レンズを、光ディスク厚さ方向に対し光ディスク10に近づける位置にUP(上昇)させて、DVD用レーザのフォーカスDOWN時(下降時)におけるフォーカスサーチ開始位置に位置付ける(S318)。このDVD用レーザのフォーカスDOWN時のサーチ開始位置は、S307で達したフォーカスサーチ電圧と同じ所定の電圧をフォーカスアクチュエータに印加することで位置付けることができる。そして、図10に示すとおりフォーカスサーチ電圧に基づいてフォーカスアクチュエータを駆動し、DVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置と同じである、DVD用レーザのフォーカスサーチのために予め設定された所定の対物レンズ下限位置、あるいは、対物レンズの最大可動範囲における最下限位置までフォーカスサーチ電圧を下降させ、対物レンズを引き続きDOWN(下降)させる(S319)。
そして、フォーカスを下降させている期間に、FE信号の変化を測定する(S320)。このとき、装着された光ディスク10がDVDの場合は、FE信号にはS字波形が現れる。しかしながら、装着された光ディスク10がCDの場合は、このS字波形が現れにくい。したがって、S字波形の振幅(最大値と最小値の電圧差)あるいはS字波形の出現の有無を測定する。この測定結果をコントローラ22内の図示しないRAMなどの記憶部に記憶させる(S321)。
その後、図10に示すとおりフォーカスサーチ電圧が、上述のDVD用レーザのフォーカスサーチ開始位置と同じ電圧に達すると、対物レンズの下降を停止させ、DVD用レーザを消灯(オフ)させる(S322)。DVD用レーザがオフとなると、記憶させたCD用レーザ光を照射したことによるFE信号の振幅値(FE信号振幅(CD))あるいはFE信号の有無(FE信号有無(CD))と記憶させたDVD用レーザ光を照射したことによるFE信号の振幅値(FE信号振幅(DVD))あるいはFE信号の有無(FE信号有無(DVD))を用いて、光ディスク10の種類を判別する(S323)。
ステップS323で装着された光ディスク10の種類が判別されると、判別結果に基づいて光ディスク10の種類に対応するレーザを再び発光(ON)させる(S324)。その後、フォーカスサーボやトラッキングサーボなどがオンとされ、光ディスク10のデータ面に記録されているデータの再生が開始される(S325)。
以上説明したように、本実施例を適用した光ディスク装置によれば、フォーカスサーチの際、図10に示すように、まずDVD用レーザを発光(オン)し、フォーカスを上昇させ、フォーカスが上昇途中の所定位置に達した時点で、DVD用レーザを消灯(オフ)し、CD用レーザを発光(オン)させている。そして、CD用レーザのフォーカスサーチ開始位置からフォーカスを引き続き上昇させ、フォーカスが上限位置まで上昇した後、フォーカスを下降させている。そして、フォーカスがCD用レーザのフォーカスサーチ開始位置と同じ位置に達した時点で、CD用レーザを消灯(オフ)し、DVD用レーザを再び発光(オン)させ、上述の所定位置からフォーカスを引き続き下降させている。すなわち、光ディスク判別のためのフォーカスサーチが、フォーカスの上昇と下降ともに1回のみで終了させたとしても、FE信号のS字波形の振幅あるいはS字波形の出現の有無の測定の機会を、CD用レーザとDVD用レーザともにフォーカス上昇時と下降時で2回得ることができる。これにより、フォーカスサーチに要する時間を短縮することができるとともに、光ディスク10の種類を判別する判別材料の測定を確実に行うことができる。その結果、光ディスク判別に要する時間を短縮することができ、光ディスク10の種類を確実に判別することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変更が可能である。例えば、本実施形態の実施例においては、光ディスク10の種類を判別する判別材料にFE信号のS字波形の振幅あるいはS字波形の出現の有無を用いて光ディスク10の種類を判別するようにした。しかしながら、FE信号のS字波形の振幅あるいはS字波形の出現の有無を用いただけでは、光ディスク10の種類を判別することが難しい場合もある。このことから、実際上、本発明は、FE信号のS字波形の振幅を用いた判別に加えて、光ディスク10からの反射光に基づいて検出された反射和信号(AS信号)、RFエンベロープ信号(変調度)なども判別材料として用いて、光ディスク10の種類を判別するようにする。
具体的には、FE信号のS字波形の振幅を用いた判別に加えて、AS信号が所定値以上であるか否か、変調度が所定値以上であるか否かなどによって、光ディスク10の種類を判別すればよい。ここで、AS信号とは、フォーカスサーチの際に、PU14の4分割フォトディテクタから得られる電気信号の総和であり、信号処理部16により生成される。また、変調度とは、フォーカスサーチの際に、PU14からの電気信号に基づくRF信号のピークレベルとボトムレベルを算出し、その差をピークレベルで除算した値であり、信号処理部16により生成される。
また、本発明は再生のみならず光ディスクへの記録ができる装置であってももちろん適用される。
従来の光ディスク装置による光ディスク判別処理のフォーカスサーチ電圧の変化を示す図である。
CDとDVDの断面を示す図であり、図2(A)は、CDの断面図、図2(B)は、DVDの断面図である。
本発明の実施形態である光ディスク装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態の光ディスク装置による再生処理を説明するフローチャートである。
本実施形態の光ディスク装置による光ディスク判別処理のフォーカスサーチ電圧の変化を示す図である。
本実施形態の光ディスク装置による再生処理を説明する他のフローチャートである。
本実施形態の光ディスク装置による光ディスク判別処理の他のフォーカスサーチ電圧の変化を示す図である。
本実施形態の光ディスク装置による光ディスク判別処理の他のフォーカスサーチ電圧の変化を示す図である。
本実施形態の光ディスク装置による再生処理を説明するさらに他のフローチャートである。
本実施形態の光ディスク装置による光ディスク判別処理のさらに他のフォーカスサーチ電圧の変化を示す図である。
符号の説明
10 光ディスク
12 スピンドルモータ(SPM)
14 2波長光ピックアップ(PU)
16 信号処理部
18 データ復調部
20 I/F
22 コントローラ
24 スレッドモータ(SLM)