JP2005350620A - 回収ポリエステルの分解物質を用いるポリエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリエステルの製造方法の提供。
【解決手段】(ア)回収ポリエステルをRu触媒の存在下に水素化分解して1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールを得る工程、(イ)回収ポリエステルをアルコールの存在下に解重合反応してテレフタル酸ジエステルを得る工程、並びに、(ウ)前記(ア)工程で得られた1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールと、前記(イ)工程で得られたテレフタル酸ジエステルとを縮重合反応させる工程、からなるポリエステルの製造方法。
【効果】ポリエステルの分解反応により得られた化合物を使用することによって、新たなポリエステルを得ることができるので、資源を有効に利用することができる。
【選択図】なし。
【解決手段】(ア)回収ポリエステルをRu触媒の存在下に水素化分解して1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールを得る工程、(イ)回収ポリエステルをアルコールの存在下に解重合反応してテレフタル酸ジエステルを得る工程、並びに、(ウ)前記(ア)工程で得られた1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールと、前記(イ)工程で得られたテレフタル酸ジエステルとを縮重合反応させる工程、からなるポリエステルの製造方法。
【効果】ポリエステルの分解反応により得られた化合物を使用することによって、新たなポリエステルを得ることができるので、資源を有効に利用することができる。
【選択図】なし。
Description
本発明は、回収ポリエステルの有効な利用法に関し、回収ポリエステルから新たにポリエステルを製造する方法に関する。特に、回収ポリエチレンテレフタレートの分解生成物を原料として用いて、新たなポリエステルを製造する方法に関する。
産業または家庭からの廃棄物には多量の樹脂が含まれているが、これらの多くは再利用することが望まれている。これらの樹脂は、本来貴重な化学原料となり得るものであり、これらの樹脂を処理して有効に利用することができる技術の開発が切望され、種々検討されている(特許文献1)。
一方、現在、透明度の高いプラスチック容器の材質としてポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等が用いられている。しかし、成形方法は両者で異なり、ポリ塩化ビニルの場合は、ポリエチレン等と同じように押出しブロー成形で容器成形を行うが、ポリエチレンテレフタレートの場合は一旦射出成形でプリフォームを成形し,そのあと延伸ブローを行う射出2軸延伸ブロー成形で容器成形を行うのが通常である。これはポリエチレンテレフタレートを押出しブロー成形しようとすると、ドローダウンが大きい上,結晶化が起こり、均一な透明容器を得ることが難しいからである。この欠点を克服するための検討がなされており、例えばポリエステルを構成するジカルボン酸成分の主成分がテレフタル酸であり,ジオール成分の5から40モル%がパラキシリレングリコールであることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法が示されている(特許文献2)。
一方、現在、透明度の高いプラスチック容器の材質としてポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等が用いられている。しかし、成形方法は両者で異なり、ポリ塩化ビニルの場合は、ポリエチレン等と同じように押出しブロー成形で容器成形を行うが、ポリエチレンテレフタレートの場合は一旦射出成形でプリフォームを成形し,そのあと延伸ブローを行う射出2軸延伸ブロー成形で容器成形を行うのが通常である。これはポリエチレンテレフタレートを押出しブロー成形しようとすると、ドローダウンが大きい上,結晶化が起こり、均一な透明容器を得ることが難しいからである。この欠点を克服するための検討がなされており、例えばポリエステルを構成するジカルボン酸成分の主成分がテレフタル酸であり,ジオール成分の5から40モル%がパラキシリレングリコールであることを特徴とするポリエステル樹脂の製造方法が示されている(特許文献2)。
本発明の課題は、回収ポリエステル、例えば回収ポリエチレンテレフタレートを原料として、分解反応によって得られた化合物を用いて新たにポリエステルを合成することを課題とする。回収ポリエステルを分解し、回収ポリエステルを構成する化合物を使用し、新たにポリエステルを製造することができれば、経済的にも原材料費を大幅に減ずることができ、さらに限られた資源を有効に利用することができる。ポリエステルを分解して得られた化合物を原料として用いて新たにポリエステルを製造する方法を記載した公知文献はない。
本発明者は、上記の事情に鑑み鋭意検討を行った結果、回収ポリエステル、例えば回収ポリアルキレンテレフタレートを分解して得られた化合物を原料として用いて新たにポリエステルを製造し、本発明を完成させるに至った。本発明は、回収ポリエステルの水素化分解反応で得られたアルコール類、及び回収ポリエステルのアルコールによる解重合反応で得られたモノマーエステル類を原料として用いて新たにポリエステルを製造する方法に関する。合成したポリエステルは、押出しブロー成形に適し、且つ、透明性、耐熱性、機械的強度等の特性も保持されている。
すなわち本発明の要旨は、(ア)回収ポリエステルをRu触媒の存在下に水素化分解して1,4−ベンゼンジメタノール(パラキシリレングリコール)及びアルキレングリコールを得る工程、(イ)回収ポリエステルをアルコールの存在下に解重合反応してテレフタル酸ジエステルを得る工程、並びに、(ウ)前記(ア)工程で得られた1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールと、前記(イ)工程で得られたテレフタル酸ジエステルとを縮重合反応させる工程、からなるポリエステルの製造方法である。
本発明は、回収ポリエステルの分解反応生成物を原料として用いて新たなポリエステルを製造する方法を提供する。本発明の方法によれば、回収ポリエステルの分解反応において得られた化合物を使用することによって、性質の異なるポリエステルを得ることができるので、限られた資源を有効に利用することができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明における回収ポリエステルとは、特に回収ポリアルキレンテレフタレートであり、一般式[1]で示される。
−[COC6H4COO−R−O]n− [1]
(Rは炭素数1から12のアルキレン鎖を示す。)
ポリエステルでは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートが対象となる。すなわち、ポリアルキレンテレフタレートのジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、グリコール成分はエチレングリコール、ブチレングリコールなどである。これらの中でも、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好適である。上記のポリエステルの形状は特に問わないが、ペレット状及び又はフレーク状であるほうが好ましい。また粉状に細かく粉砕する必要はないが粉砕されたものでもかまわない。本発明におけるポリエステルの水素化とは、ポリマー中のエステル基のアルコール基への還元を伴う解重合反応であり、一般式[2]で示される反応により1段階で解重合及び水素化反応させ、脂肪族ジオール及びベンゼンジメタノールとなす反応である。
(−[COC6H4COO−R−O]n−)→n(C6H4(CH2OH)2+ HO−R−OH) [2]
(Rは炭素数1から12のアルキレン鎖を示す。)
本発明における回収ポリエステルとは、特に回収ポリアルキレンテレフタレートであり、一般式[1]で示される。
−[COC6H4COO−R−O]n− [1]
(Rは炭素数1から12のアルキレン鎖を示す。)
ポリエステルでは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレートが対象となる。すなわち、ポリアルキレンテレフタレートのジカルボン酸成分はテレフタル酸であり、グリコール成分はエチレングリコール、ブチレングリコールなどである。これらの中でも、特にポリエチレンテレフタレート(PET)が好適である。上記のポリエステルの形状は特に問わないが、ペレット状及び又はフレーク状であるほうが好ましい。また粉状に細かく粉砕する必要はないが粉砕されたものでもかまわない。本発明におけるポリエステルの水素化とは、ポリマー中のエステル基のアルコール基への還元を伴う解重合反応であり、一般式[2]で示される反応により1段階で解重合及び水素化反応させ、脂肪族ジオール及びベンゼンジメタノールとなす反応である。
(−[COC6H4COO−R−O]n−)→n(C6H4(CH2OH)2+ HO−R−OH) [2]
(Rは炭素数1から12のアルキレン鎖を示す。)
本発明において(ア)工程とは、回収ポリエステルをRu触媒の存在下に水素化分解して1、4−ベンゼンジメタノール(パラキシリレングリコール)及びアルキレングリコールを得る反応工程である。水素化反応に使用する触媒とは、ポリエステルをアルコールに還元するのに有効な機能を有するルテニウム錯体触媒である。好ましくは、ルテニウム(III)アセチルアセトナトと1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン(Triphos)を混合させて得られた化合物を用いる。この化合物はルテニウム(III)アセチルアセトナトとTriphosとをTHF等の有機溶媒中水素加圧下で反応させて得られた黄色固体である。この金属錯体は式[3]で表されるルテニウム錯体である。
これに対して、あらかじめ金属錯体を製造せずに、ルテニウム(III)アセチルアセトナトと1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン(Triphos)をそれぞれ反応系中に加えて、触媒として用いることもできる。触媒の使用量は、出発物質であるポリエステル100重量部に対して1.0から5.0重量部あれば充分である。多すぎると触媒費用が高くなるばかりで合理的ではない。
本発明において、水素化分解反応を行う際の反応温度は、80から200℃の範囲が好適であるが、100から150℃の範囲がさらに好適であり実用的である。また、本反応における水素分圧は3から15MPaが好適であるが、5から10MPaがさらに好適で実用的である。
本発明において、水素化分解反応を行う際の溶媒分圧および水素分圧の上限は反応面での規制はないが、必要以上に高圧になると特殊な耐圧設備が必要となって経済的ではなく、反応系の全圧が15MPa以下となるようにすることが実用的である。反応系内の圧力は、基本的には、上記水素圧力に加えて、溶媒及び生成物の蒸気圧の合計となる。また反応時間は1時間から24時間程度で十分に高い原料転化率を得ることができる。
本発明において、水素化分解反応を行う際、反応を迅速に完結させるためには系内を十分に混合することが好ましく、反応原料以外の反応溶媒を使用する。ポリエステルの水素化分解反応の反応溶媒として好ましく用いられるのはフッ素原子を含んだ炭化水素であり、特に好ましくは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2−オール(HFIP)である。
さらに、反応活性をあげるために反応溶媒に添加物として塩基を加えてもよい。塩基であれば有機塩基、無機塩基のいずれからも広範に選択することができる。塩基の使用量は、出発物質であるポリエステル100重量部に対して5〜20重量部が好ましい。塩基は存在しなくても反応は進行するが、添加することによって反応効率が上がり反応時間を短くできる場合が多い。反応活性をあげる添加物としては、好ましくは有機塩基であり、特に好ましくはトリエチルアミンである。反応溶媒として、HFIPなどのフッ素原子を含んだ炭化水素にトリエチルアミンなどの有機塩基を加えた混合溶媒を使用することが特に好ましい。
溶媒の量は、通常、反応原料となるポリエステル1重量部に対して、3から45重量部、好ましくは5から30重量部が望ましい。溶媒量が3重量部を下回ると、原料のポリエステルや生成物であるアルコール類の溶解量が制限されるため、反応が低いレベルで律速され効率的に問題となる。一方、30重量部を上回った場合は、単に余剰となるだけで生産性の面で不利となる。
原料ポリエステルと反応溶媒を混合する手段に特に制限はないが、振とう機や攪拌機などの往復動作や回転動作をするものによる強制的混合手段を用いることが好ましい。
原料ポリエステルと反応溶媒を混合する手段に特に制限はないが、振とう機や攪拌機などの往復動作や回転動作をするものによる強制的混合手段を用いることが好ましい。
水素化分解反応より得られる反応生成物は、アルキレングリコール及び1,4−ベンゼンジメタノールで構成される。その他、反応液中には反応溶媒であるHFIP、トリエチルアミンなどの塩基、ルテニウム錯体触媒が存在している。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)の水素化分解反応で得られる生成物は、エチレングリコール及び1,4−ベンゼンジメタノールで構成される。原料がポリブチレンテレフタレート(PBT)である場合は、生成物はブチレングリコール、1,4−ベンゼンジメタノールで構成される。その他、原料がPETG(テレフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとを共重合させたポリエステル)である場合は、生成物は1,4−ベンゼンジメタノール、エチレングリコールで構成される。
1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールは、水素化分解反応が終了した後に生成した均一液体を蒸留操作、濾過操作、抽出操作を適切に組み合わせることによって分離、生成できる。
すなわち、反応液を蒸留し反応溶媒を留出分離する反応溶媒回収工程、反応溶媒回収工程後の蒸留残留物に有機溶媒を加え濾過してルテニウム錯体触媒を有機溶媒に抽出する触媒抽出工程、触媒抽出工程後の有機溶媒相を水洗する水洗工程、水洗工程後の有機溶媒相を蒸留して有機溶媒を留去分離する抽出溶媒回収工程、抽出溶媒回収工程の蒸留残留物からルテニウム錯体触媒を回収する触媒回収工程、水洗工程後の水相から水を留去する濃縮工程、濃縮工程後の残留物を蒸留して脂肪族ジオールを留出分離する脂肪族ジオール回収工程、並びに、前記触媒抽出工程後の濾別固体及び前記脂肪族ジオール回収工程の蒸留残留物からベンゼンジメタノールを回収するベンゼンジメタノール回収工程からなるプロセスにより、1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールは、分離、生成できる。
本発明において、(イ)工程とは、回収ポリエステルをアルコールの存在下に解重合反応してテレフタル酸ジエステルを得る反応工程である。(イ)工程において、回収ポリエステルをアルコールにより解重合してテレフタル酸ジエステル類を得る際の方法は、特に限定しないが、公知の方法、例えば、必要に応じて解重合用触媒存在下、ポリエステルを、液体状態のアルコールと反応させる、気体状態のアルコールと反応させる、或いは超臨界状態のアルコールと反応させる等の方法を用いることができる。回収ポリエステルを解重合する際の好ましいアルコールとしては、エタノール及びメタノールが挙げられ、メタノールを用いた場合にはテレフタル酸ジメチルが得られる。
これらの方法のうち、短時間で効率的にポリエステルを解重合し得る、超臨界状態のアルコールを用いて解重合反応を行う方法が好ましく用いられる。ポリエステルを解重合する様式としては、回分式、半回分式、連続流通式のいずれの方法をも用いることができる。連続流通式の場合、上昇流方式、下降流方式、水平流方式のいずれの方式をも用いることができる。
本発明において、ポリエステルをアルコールで解重合する反応を迅速に完結するために、系内を十分に混合することは好ましい様態である。混合する手段としては、特に限定しないが、例えば、隔壁、静止混合機などの充填物による静的混合手段、及び/又は攪拌機、ミキサー、往復動作や回転動作を行う挿入物による強制的混合手段を単独もしくは複数個を組み合わせて用いることができる。また、微粉砕したポリエステルをアルコールに分散させたスラリーとして反応器に供するのも好ましい様態である。
テレフタル酸ジエステルは、得られたモノマー混合物を蒸留操作することによって分離、生成できる。
テレフタル酸ジエステルは、得られたモノマー混合物を蒸留操作することによって分離、生成できる。
本発明において、(ウ)工程とは、前記(ア)工程で得られた1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールと、前記(イ)工程で得られたテレフタル酸ジエステルとを縮重合反応させる反応工程である。(ウ)工程において、(ア)工程及び(イ)工程で製造したモノマーを用いて本発明のポリエステルを合成する方法については、直接重縮合法、エステル交換法等、一般のポリエステルを合成する方法であればいかなる方法を用いてもよい。ポリエステルを合成する原料としては、テレフタル酸エステルが挙げられるが、特にテレフタル酸ジメチルが好適である。本発明のポリエステルは、フェノール/テトラクロロエタン(重量比6/4)の混合溶媒中、25℃で測定した極限粘度が0.5g/dl以上であることが好ましい。極限粘度が0.5g/dl未満であると、ポリエステル材料としての力学的特性の低下を招き好ましくない。
本発明において、製造するポリエステルを構成するジオール成分は1,4−ベンゼンジメタノール及びエチレングリコールである。ジオール成分の5から40モル%が1,4−ベンゼンジメタノールであることが好ましい。1,4−ベンゼンジメタノールの導入量が5モル%未満であれば、改質効果が小さい。即ち、ドローダウンが大きくて押し出しブロー成形が難しくなる。その他のジオール成分としてはトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、プロピレングリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環式グリコール、o−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等の芳香族グリコールの単独または2種以上の混合物が挙げられる。
ジオール成分が1,4−ベンゼンジメタノール(5〜40モル%)及びエチレングリコール、ジカルボン酸成分がテレフタル酸であるポリエステルは、市販されているポリエチレンテレフタレートよりも軟化点が低く、結晶性も小さく、押し出しブロー成形が容易である一方、ガラス転移温度に関してはポリエチレンテレフタレートとほぼ同一であり、耐熱性は保たれている。また、本発明のポリエステルには必要に応じて種々の添加剤、例えば着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤等を配合することができる。本発明の中空容器は、本発明の合成したポリエステルを用い、通常の押し出しブロー成形法により製造することができる。このような中空容器は透明性、耐熱性、機械的強度等に優れているためポリ塩化ビニル容器の代替容器として有用である。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によりその範囲を限定されるものではない。
触媒合成法(ルテニウム錯体触媒の製造)
内部に攪拌子が加えられている外径20mm・内容積20mLのガラス製筒状容器で内張りされた、高圧用圧力計が取り付けられた外径28mm、高さ90mmのSUS製高圧反応容器に、ルテニウム(III)アセチルアセトナト401.7mg、1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン626.3mg、THF3mLを加えた後、反応器を密閉した。反応器内を水素置換し、水素で6.0MPaまで加圧した。金属浴に反応器を入れ回転数200r.p.m.で攪拌機を回転させながら昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が120℃に到達した時、オートクレーブ内の圧力は7.3MPaまで上がった。その後、120℃に保持すると圧力は徐々に減少し、6.8MPaまで低下した。17時間反応させた後、ヒーターを切り反応器を室温まで冷やし、反応を停止させた。室温まで冷却し、その後、落圧、開放した。オレンジ色均一透明液体が得られた。反応液をナスフラスコに移し、溶媒を留去するとオレンジ色固体が得られた。THFとヘキサンを用いて再結晶操作をした。661.2mgの黄色固体が得られた。
触媒合成法(ルテニウム錯体触媒の製造)
内部に攪拌子が加えられている外径20mm・内容積20mLのガラス製筒状容器で内張りされた、高圧用圧力計が取り付けられた外径28mm、高さ90mmのSUS製高圧反応容器に、ルテニウム(III)アセチルアセトナト401.7mg、1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタン626.3mg、THF3mLを加えた後、反応器を密閉した。反応器内を水素置換し、水素で6.0MPaまで加圧した。金属浴に反応器を入れ回転数200r.p.m.で攪拌機を回転させながら昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が120℃に到達した時、オートクレーブ内の圧力は7.3MPaまで上がった。その後、120℃に保持すると圧力は徐々に減少し、6.8MPaまで低下した。17時間反応させた後、ヒーターを切り反応器を室温まで冷やし、反応を停止させた。室温まで冷却し、その後、落圧、開放した。オレンジ色均一透明液体が得られた。反応液をナスフラスコに移し、溶媒を留去するとオレンジ色固体が得られた。THFとヘキサンを用いて再結晶操作をした。661.2mgの黄色固体が得られた。
この得られた固体物の質量分析とNMRによる構造解析を実施した。得られた黄色固体の主成分は、ルテニウム1原子に、1分子の1,1,1−トリス(ジフェニルホスフィノメチル)エタンの2個のリン原子と2分子のアセチルアセトナトの2個の酸素原子が結合した構造を持つ錯体、Ru1C51H53O4P3[3]である同定された。
実施例1
(ア)工程
(ポリエステル水素化分解反応)
高圧用圧力計が取り付けられた内容積200mLのSUS製高圧反応容器に、ルテニウム錯体[3]300.5mg、HFIP30mL、トリエチルアミン420μLを加えて攪拌した。さらに、平均直径5mmに粉砕したフレーク状ポリエチレンテレフタレート樹脂[廃棄物PET;一般消費者等から廃棄された、ジュース等の飲料用容器に使われたPETボトルを回収して、平均直径5mmのフレーク状に粉砕した試料。金属その他ごみ等の異物を取り除いた後、PETをそのまま粉砕しており、この試料には、PETボトルの蓋(キャップ)、及び商品名などが書かれたPETボトルに巻かれたフィルム(ラベル)なども含まれている。]5.9gを加えた後、反応器を密閉した。反応器内を水素置換し、水素で4.9MPaまで加圧した。金属浴に反応器を入れ回転数200r.p.m.で攪拌機を回転させながら昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が120℃に到達した時、オートクレーブ内の圧力は5.5MPaまで上がった。その後、120℃に保持すると圧力は徐々に減少し、4.0MPaまで低下した。5時間反応させた後、ヒーターを切り反応器を室温まで冷やし、反応を停止させた。その後、落圧、開放して反応液をガスクロマトグラフ分析にかけた。その結果、テレフタル酸の還元生成物である1,4−ベンゼンジメタノール及びエチレングリコールがそれぞれ、原料であるPET樹脂の各モノマー単位に対して、88mol%及び94mol%の収率で得られた。収率は原料のPETのモノマー単位-(OCH2CH2O2CC6H4-4-CO-)を構成するテレフタル酸及びエチレングリコールを1単位として計算した。
(ア)工程
(ポリエステル水素化分解反応)
高圧用圧力計が取り付けられた内容積200mLのSUS製高圧反応容器に、ルテニウム錯体[3]300.5mg、HFIP30mL、トリエチルアミン420μLを加えて攪拌した。さらに、平均直径5mmに粉砕したフレーク状ポリエチレンテレフタレート樹脂[廃棄物PET;一般消費者等から廃棄された、ジュース等の飲料用容器に使われたPETボトルを回収して、平均直径5mmのフレーク状に粉砕した試料。金属その他ごみ等の異物を取り除いた後、PETをそのまま粉砕しており、この試料には、PETボトルの蓋(キャップ)、及び商品名などが書かれたPETボトルに巻かれたフィルム(ラベル)なども含まれている。]5.9gを加えた後、反応器を密閉した。反応器内を水素置換し、水素で4.9MPaまで加圧した。金属浴に反応器を入れ回転数200r.p.m.で攪拌機を回転させながら昇温を開始した。オートクレーブ内の温度が120℃に到達した時、オートクレーブ内の圧力は5.5MPaまで上がった。その後、120℃に保持すると圧力は徐々に減少し、4.0MPaまで低下した。5時間反応させた後、ヒーターを切り反応器を室温まで冷やし、反応を停止させた。その後、落圧、開放して反応液をガスクロマトグラフ分析にかけた。その結果、テレフタル酸の還元生成物である1,4−ベンゼンジメタノール及びエチレングリコールがそれぞれ、原料であるPET樹脂の各モノマー単位に対して、88mol%及び94mol%の収率で得られた。収率は原料のPETのモノマー単位-(OCH2CH2O2CC6H4-4-CO-)を構成するテレフタル酸及びエチレングリコールを1単位として計算した。
前記ルテニウム錯体触媒の存在下にポリエステルを水素化分解してアルコール化合物を生成させた反応液を50mmHg,50℃で減圧蒸留し、反応液からHFIPを分離回収した。減圧蒸留後蒸留塔底から得られた固体物質に酢酸エチル(50mL)を加えた。酢酸エチルに溶解しにくい白色物質(1,4−ベンゼンジメタノール)を濾過操作(濾紙を使用)により分離した。分離して得られた1,4−ベンゼンジメタノールは1.1gであった。濾液に水(50mL)を加え、分液ろうとを用いて抽出処理を行った。酢酸エチル相を取り出し、減圧蒸留により酢酸エチルを留去して、ルテニウム錯体触媒を含む茶色固体物質を得た(730.1mg)。水相を取り出し、水相から水を蒸留除去して、さらに減圧蒸留して、塔頂からエチレングリコール、塔底から1,4−ベンゼンジメタノールを得た。次のポリエステル水素化分解反応に、上記回収した茶色固体物質を触媒として上記回収したHFIPを反応溶媒として再使用した。上記回収した酢酸エチルは触媒抽出用有機溶媒として再使用した。
(分離操作)
上記分離操作と同様の操作を行い、触媒、反応溶媒及び触媒抽出用有機溶媒を回収し、エチレングリコール及び1,4−ベンゼンジメタノールを生成物として得た。上記回収した茶色固体物質を触媒として上記回収したHFIPを反応溶媒として、次のポリエステル水素化分解反応に再使用した。上記回収した酢酸エチルは触媒抽出用有機溶媒として再使用した。
上記分離操作と同様の操作を行い、触媒、反応溶媒及び触媒抽出用有機溶媒を回収し、エチレングリコール及び1,4−ベンゼンジメタノールを生成物として得た。上記回収した茶色固体物質を触媒として上記回収したHFIPを反応溶媒として、次のポリエステル水素化分解反応に再使用した。上記回収した酢酸エチルは触媒抽出用有機溶媒として再使用した。
(イ)工程
(解重合反応)
高圧用圧力計が取り付けられた内容積200mLのSUS製高圧反応容器に、平均直径5mmに粉砕したフレーク状ポリエチレンテレフタレート樹脂30g、アルコールとしてメタノール25gを加えて、反応器を密閉した。300℃に加熱して、攪拌した。反応終了後、反応器を冷却し,反応を停止させた。反応液を取り出し、蒸留操作を行った。20gのテレフタル酸ジメチル(収率66パーセント)が得られた。
(解重合反応)
高圧用圧力計が取り付けられた内容積200mLのSUS製高圧反応容器に、平均直径5mmに粉砕したフレーク状ポリエチレンテレフタレート樹脂30g、アルコールとしてメタノール25gを加えて、反応器を密閉した。300℃に加熱して、攪拌した。反応終了後、反応器を冷却し,反応を停止させた。反応液を取り出し、蒸留操作を行った。20gのテレフタル酸ジメチル(収率66パーセント)が得られた。
(ウ)工程
(ポリエステル合成)
攪拌翼、窒素導入口、減圧口を備えた反応装置に(イ)工程で得られたテレフタル酸ジメチル52.5ミリモル(10.2g)、(ア)工程で得られたパラキシリレングリコール10.1ミリモル(1.4g)及びエチレングリコール90ミリモル(5.6g)、触媒として酢酸亜鉛0.036ミリモル(6.6mg)と二酸化ゲルマニウム0.073ミリモル(7.7mg)を加えた。窒素気流下で180℃に加熱してエステル交換反応を行い、メタノールを留去する。4時間後にはほぼ理論量のメタノールが留去されるのでその後270℃に昇温し、徐々に減圧し0.1から0.3Torrで5時間重合した後、ポリマーを得た。得られたポリマーを1H−NMRにより分析した結果、ポリエステルを構成するグリコール単位の22%がエチレングリコール単位、78%がパラキシリレングリコール単位のポリテレフタレートであった。
(ポリエステル合成)
攪拌翼、窒素導入口、減圧口を備えた反応装置に(イ)工程で得られたテレフタル酸ジメチル52.5ミリモル(10.2g)、(ア)工程で得られたパラキシリレングリコール10.1ミリモル(1.4g)及びエチレングリコール90ミリモル(5.6g)、触媒として酢酸亜鉛0.036ミリモル(6.6mg)と二酸化ゲルマニウム0.073ミリモル(7.7mg)を加えた。窒素気流下で180℃に加熱してエステル交換反応を行い、メタノールを留去する。4時間後にはほぼ理論量のメタノールが留去されるのでその後270℃に昇温し、徐々に減圧し0.1から0.3Torrで5時間重合した後、ポリマーを得た。得られたポリマーを1H−NMRにより分析した結果、ポリエステルを構成するグリコール単位の22%がエチレングリコール単位、78%がパラキシリレングリコール単位のポリテレフタレートであった。
Claims (1)
- (ア)回収ポリエステルをRu触媒の存在下に水素化分解して1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールを得る工程、(イ)回収ポリエステルをアルコールの存在下に解重合反応してテレフタル酸ジエステルを得る工程、並びに、(ウ)前記(ア)工程で得られた1,4−ベンゼンジメタノール及びアルキレングリコールと、前記(イ)工程で得られたテレフタル酸ジエステルとを縮重合反応させる工程、からなるポリエステルの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2004175372A JP2005350620A (ja) | 2004-06-14 | 2004-06-14 | 回収ポリエステルの分解物質を用いるポリエステルの製造方法 |
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JP (1) | JP2005350620A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021211423A1 (en) * | 2020-04-13 | 2021-10-21 | Northwestern University | Methods for depolymerizing polyesters |
-
2004
- 2004-06-14 JP JP2004175372A patent/JP2005350620A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2021211423A1 (en) * | 2020-04-13 | 2021-10-21 | Northwestern University | Methods for depolymerizing polyesters |
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