JP2005349780A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】予備吐出にかかる動作や時間の短縮を行い、ミストの影響を一層少なくすることができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】キャップ1を搭載したスライド部材3をキャリッジ6の移動によってカム面13a、13bに沿って追従移動させることによりキャップを記録手段5に当接させてキャッピングする回復機構部104を設け、スライド部材がカム面の最高部に位置するキャッピング位置と記録手段が記録媒体に画像を形成する記録領域との間に、記録手段からキャップ内にインクを吐出する第1の予備吐出位置と、記録手段とキャップとの距離が第1の予備吐出位置より小さい第2の予備吐出位置を設ける。
【選択図】 図3

Description

本発明は、記録手段から記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関する。
記録手段としての記録ヘッドから記録用紙等の記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置においては、微細な吐出口からインクを吐出して記録を行うことから、吐出口近傍におけるインクの蒸発によるインクの増粘や固着、あるいは吐出口内のインク中の気泡発生などに起因する吐出不良が発生することがある。また、吐出口面を拭掃するワイピング動作や吐出口からインクを吸引する吸引動作によって、吐出口内に別色のインクが混入して記録画像にインク混色の弊害が発生することもある。そのため、上記吸引動作の後、あるいは記録動作中や記録待機中において、吐出口からインク受けに向けてインクを吐出する予備吐出を行い、インクと共に気泡や混色インク等を排出させることにより、吐出口内に新しいインクを注入したり、吐出不良や混色の発生を防ぐことが行われている。
インクジェット記録装置においては、通常、記録手段のインク吐出性能を回復維持するための回復機構部(メンテナンス部)が設けられている。記録媒体の搬送方向と交差する方向に往復移動するキャリッジに搭載された記録手段を用いて該記録媒体に記録を行うインクジェット記録装置の回復機構部として、キャリッジの移動を利用してキャップを搭載したスライド部材を記録装置本体に設けられたスライダカム部に沿って追従移動させることにより、キャップを記録手段に密着させてキャッピングを行うように構成されたものが知られている。このような構成の回復機構部は、キャッピングするための独自の駆動源を必要とせず、使用部品が少なく構成が簡易であり、低価格の記録装置を実現できるという利点がある。
すなわち、上記構成の回復機構部を備えたインクジェット記録装置においては、キャリッジが記録領域から回復機構部へと進入すると、キャリッジ側面部がスライド部材の突き当て部と当接することでキャリッジの進入方向へスライド部材が追従移動する。このとき、前記スライド部材は、記録装置本体に設けられたスライダカム部に沿って摺動移動することで、キャリッジと共に移動しながら上昇する。そして、スライド部材が前記スライダカム部の最上部に到達すると、該スライド部材に搭載されたキャップが記録手段の吐出口面に密着し、吐出口がキャッピングされる。
キャリッジが移動方向を反転させて記録領域へ向けて移動を開始すると、前記スライド部材は前記スライダカム部に沿って下降を始め、キャップが記録手段の吐出口面から離れ始める。スライド部材がスライダカム部の最下部の停止位置にくると、キャリッジがスライド部材の突き当て部から離間し、該キャリッジは前記スライド部材の停止位置を待機位置として待機状態に入る。そして、キャリッジがこの待機位置にあるときに、キャリッジの待機中の予備吐出、記録動作中の予備吐出、給紙動作中の予備吐出、吐出口面をワイピングした後の予備吐出など、必要な予備吐出が実行される。
特開2000−135794号公報
上記構成の回復機構部にあっては、記録手段の吐出口内のクリーニング(インクのリフレッシュ)を行うために必要な予備吐出の実行を、前記スライダカム部の最下部のキャリッジ待機位置で行っている。そのため、記録動作中に予備吐出を実行する際には、記録領域に最も近いことから動作時間を短縮することができ、また、キャリッジがスライド部材と当接しないことから、騒音の低減とキャリッジ負荷の軽減が可能になるという利点がある。
しかしながら、キャリッジに搭載された記録手段の吐出口面とスライダカム部の最下部に位置するスライド部材との間には、該スライダカム部の他の位置と比較して高さ方向の距離が大きいため、吐出されたがキャップ内(キャップ吸収体)へ滴下されなかったインクが霧状態(ミスト)になり、記録装置内に浮遊する。浮遊するインクは記録装置内の搬送機構の構成部品や給排紙機構のトレイなどに付着し、記録媒体へ転写されて汚損の原因になることがある。また、霧状になったインクは記録装置外へ散布されることもあり、記録装置を載せる机や周辺機器にインクが付着する可能性もある。
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、予備吐出にかかる動作や時間の短縮を行い、ミストの影響を一層少なくすることができるインクジェット記録装置を提供することである。
本発明は、上記目的を達成するため、往復移動するキャリッジに搭載された記録手段から記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、前記キャリッジの移動によってキャップを搭載したスライド部材をカムに沿って追従移動させることで、前記キャップにより記録手段の吐出口をキャッピングする回復機構部を備え、前記カム上の前記スライド部材のキャッピング位置と記録手段が記録媒体に画像を形成する記録領域との間に、記録手段から前記キャップ内にインクを吐出する第1の予備吐出位置と、記録手段と前記キャップとの距離が前記第1の予備吐出位置より小さい第2の予備吐出位置とを設けることを特徴とする。
本発明によれば、予備吐出の量や予備吐出実行のタイミング及び頻度を考慮して、記録手段とキャップとの高さ方向の距離並びにキャリッジ移動方向における記録領域からキャリッジまでの距離を適正化された予備吐出位置を選択することができ、予備吐出に要する時間を短縮するとともに、インクミストの影響を軽減することができるインクジェット記録装置が提供される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応部分を示すものである。図1は本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の模式的斜視図である。図1において、図示のインクジェット記録装置には、記録用紙等の記録媒体を装置本体内へ供給するための給紙部101と、装置本体内(記録部等)を通して記録媒体を紙送りするための搬送部102と、画像情報に基づいて記録媒体に画像を記録していく記録機構部(キャリッジ部)103と、記録機構部103によって形成される画像品位を維持回復するための回復機構部(メンテナンス部)104が設けられている。
給紙部101に積載された記録媒体は、給紙モータにより駆動される給紙ローラによって1枚ずつ分離されて、搬送部102へ送り込まれる。搬送部102へ送り込まれた記録媒体は、搬送モータによって駆動される搬送ローラ121及び該搬送ローラに押圧されて従動回転するピンチローラ122のニップ部による摩擦搬送力によって記録部を通して搬送され、その間に記録機構部103によって画像を記録される。記録された記録媒体は、搬送ローラ121と連動して駆動される排紙ローラ123及び該排紙ローラと協働する拍車によって装置本体外へ排出される。
記録機構部103は、装置本体内部で主走査方向に往復移動可能に案内支持されたキャリッジ6と該キャリッジに搭載された記録手段(記録ヘッド)5などによって構成されている。すなわち、記録手段5を搭載したキャリッジ6は装置本体に平行に設置されたガイドシャフト125及びガイドレール126に沿って往復移動可能に案内支持されている。キャリッジ6は、キャリッジモータ70(図2)の駆動力をキャリッジベルト124を介して伝達されることで、ガイドシャフト125に沿って往復移動させられる。なお、ガイドシャフト125と平行に、キャリッジ6の移動及び位置を検出するためのエンコードストリップ127が配設されている。そこで、キャリッジ6の移動に同期して記録手段5を画像情報に基づいて駆動することで1ライン分の記録(主走査)を行い、次いでLFモータ69で搬送ローラ121を所定量だけ駆動することにより記録媒体を所定ピッチだけ搬送(副走査)し、次のラインの記録を行う。以下、これを繰り返すことにより記録媒体全体の記録が行われる。
回復機構部104は、記録手段5の目詰まり等を解消することで記録品位を良好な状態に維持回復するためのものであり、吐出口からインクを吸引又は吐出させるためのポンプ手段、吐出口を覆うためのキャップ手段、並びに吐出口面を拭き取り清掃するためのワイピング手段などにより構成されている。本実施形態における記録手段5は、電気熱変換体により印加される熱エネルギーによってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりインクを吐出させ、記録を行うものである。電気熱変換体は、吐出口列を形成する複数の吐出口のそれぞれに対応して配設されており、記録情報に応じて対応する電気熱変換体にパルス電圧を印加することによって対応する吐出口からインクが吐出される。
図2は図1のインクジェット記録装置の制御手段の概略構成を示すブロック図である。図2において、記録装置の制御手段としての制御基板60は、インターフェース51を介してコンピュータ等のホスト装置50に接続されている。制御基板60にはマイクロプロセッサ等から成る中央演算処理装置(CPU)61が設けられており、このCPU61にはメインバス55を介してROM62、RAM63、ヘッドドライバ64及びモータドライバ65、66、67、68が接続されている。一方、記録装置には、CR(キャリッジ)エンコーダセンサ81、LF(ラインフィード)エンコーダセンサ82、PE(ペーパーエンド)センサ83、PG(回復系)センサ84及びASF(自動給紙)センサ85などの検知手段から成る検出部80が設けられている。
ROM62には長期保存されるプログラムやデータ等の情報が記憶され、RAM63には書き込み可能なデータ等の情報が記憶される。そこで、検出部80の各種のセンサ81〜85からの検知信号がメインバス55から制御基板60に入力されると、制御基板60のCPU61によってROM62及びRAM63内の記憶情報に基づく演算処理が実行され、各種のドライバを介して対応する機構部の動作が実行される。すなわち、ヘッドドライバ64を介して記録手段5が制御されることで記録動作が行われ、モータドライバ65を介してLFモータ(搬送モータ)69が制御されることで記録媒体の搬送が行われる。
また、ガイドシャフト125及びガイドレール126に案内支持されたキャリッジ6の主走査方向の移動停止は、モータドライバ66を介してキャリッジモータ70が制御されることで実行される。さらに、モータドライバ67を介してASFモータ(給紙モータ)71が制御されることで、給紙部101から記録部への記録媒体の給紙動作が行われ、モータドライバ68を介してPGモータ72が制御されることで回復機構部(メンテナンス部)104の各回復手段の回復動作が行われる。
図3は本実施形態に係るインクジェット記録装置の回復機構部104を斜め上方から見た模式的斜視図である。図3において、ゴム状弾性材の成形品から成るキャップ1を搭載(保持)したキャップホルダ2は、スライド部材3に対して4箇所の爪部2b(不図示)により上限位置を抑えられて上下方向に移動可能に取り付けられ、キャップホルダ2とスライド部材3との間に配設されたキャップばね(不図示)により上向きに付勢されることで上下方向の位置決めをされるように装着されている。キャップ1の内部には、通常の場合、多孔質部材等から成るインク吸収性に優れたインク吸収体(キャップ吸収体)が装填されている。キャップ1の底面部には吸引ポンプ(不図示)に接続された吸引口(不図示)が形成され、キャップホルダ2の前記吸引口に対応する部位には吸引用のチューブ(不図示)が接続されており、該チューブの他端は負圧発生手段としての吸引ポンプに接続されている。従って、キャップ1で記録手段(記録ヘッド)5をキャッピングした状態で前記ポンプを駆動することにより、該チューブを通してキャップ1内を負圧状態にし、それによって、記録手段5の吐出口からインクを吸引できるように構成されている。このインク吸引によって、吐出口内のインクをリフレッシュさせてインク吐出性能の回復維持を図ることができる。
キャップホルダ2を保持するスライド部材3は、装置本体のベース部14に対しスライダばね15を介して連結(接続)されている。スライド部材3の前後面の左右の合計4箇所には、側方へ突出した棒状の突出部(スライダ軸部)3bが設けられており、これらの突出部3bは、それぞれ、ベース部14上に設けられたスライダカム部13のカム面(上面)に当接している。このスライダカム部13は、回復機構部104の前面側 に設けられたスライダカム13aと後面側に設けられたスライダカム13bで構成されている。つまり、スライド部材3は、スライダばね15によって各突出部3bを下向きに付勢することで各突出部3bをスライダカム13a、13bのカム面に摺動可能に当接させた状態で、該スライダカム13a、13bに沿ってキャリッジ6の移動方向に移動可能に装着されている。
スライド部材3には、回復機構部(メンテナンス部)104へ進入(移動)してきたキャリッジ6が当接する突き当て部3aが設けられている。つまり、キャリッジ6が回復機構部104へ移動してきて該キャリッジの側面が突き当て部3aに当接すると、該キャリッジ6が該回復機構部104へ進入するのに追従してスライド部材3も同様に移動する。
進入してきたキャリッジ6によってスライド部材3がスライダカム部13に沿って移動させられ、該スライド部材がカム部13の最上部に到達したところでキャリッジ6を停止させることで、キャップ1が記録手段5の吐出口面に密着させられ、吐出口をキャッピングする状態になる。キャリッジ6がさらに進入すると、ベース部14に設けられた突起部とキャップホルダ2の一部が当接することで該キャップホルダ2の記録媒体搬送方向下流側(装置本体前面側)の部位が下降する方向に傾くことになる。このキャップホルダ2の傾きにより、吐出口面を覆っているキャップ1の一部が吐出口面から離間し、キャップ1の内部が強制的に外気に連通される。また、スライド部材3の記録領域側の端部には記録手段5の吐出口面に付着したインクやほこり等を拭き取り除去するためのブレード状のゴム状弾性体から成るワイパー8、9が取り付けられている。
例えばキャッピング状態で前記吸引ポンプを駆動して吐出口からインクを吸引する吸引回復動作を行った後に、キャリッジ6をさらに進入させると、負圧状態にあったキャップ1の内部が一気に開放される。このように吐出口が負圧状態から一気に大気圧に戻されると、吐出口内に気泡や他色インクが押し込められる現象が生じる場合や、吐出口近傍に引き出されたインクが吐出口面に多量に付着する現象が生じる場合がある。そこで、これらの現象を解消すべくインクを吐き出すために、本実施形態では上記キャップ開放状態の位置にて予備吐出が実施される。この予備吐出は、吐出口からキャップ内へインクを吐出する動作であり、記録手段の回復処理の1つとして実行されるものである。なお、本発明は、記録領域(キャリッジの記録動作のための移動領域)から上記キャッピング位置までの間における予備吐出の位置に係るものではあるが、上記キャップ強制開放状態における予備吐出とは直接的に関係しないものである。
図4はスライド部材3がスライダカム部13の最下部に停止し、キャリッジ6が該スライド部材の突き当て部3aに当接することなく停止している待機状態を装置本体の前面側から見た模式的正面図であり、図5はキャリッジ6が回復機構部104に進入した後にスライド部材3を追従移動させながら、スライダカム部13の途中(斜面部)で該スライド部材を停止させて予備吐出するときの状態を装置本体の前面側から見た模式的正面図であり、図6はキャリッジ6が回復機構部104に進入した後スライド部材3をスライダカム部13の最上部まで追従移動させて記録手段5をキャッピングした状態を装置本体の前面側から見た模式的正面図である。
次に、図1〜図6を参照して、本発明を適用したインクジェット記録装置の特徴的な構成である予備吐出の制御手段について具体的に説明する。本実施形態では、スライダカム部13において予備吐出を実行する位置を2箇所設け、予備吐出のインク吐出量あるいは実施のタイミングや頻度等に応じて、各位置における予備吐出を選択的に実施できるように構成されている。すなわち、予備吐出位置として、第1の予備吐出位置と第2の予備吐出位置が設けられている。なお、本実施形態では、スライダカム部13はスライド部材3の前後の位置でキャリッジ6の移動方向に平行に形成された2本のスライダカム13a、13bで構成されている。
そこで、前記第1の予備吐出位置は、スライド部材3がスライダカム部13の最下部に当接し、記録手段5とキャップ1との距離が比較的大きく、かつキャリッジ6がスライド部材3の突き当て部3aと当接しない位置に選定されている。また、前記第2の予備吐出位置は、スライド部材3がスライダカム部13の斜面途中に当接した状態でキャリッジ6を停止させることでスライド部材3の位置と姿勢を規制して予備吐出を実行する位置に選定されている。そして、記録手段5とキャップ1との間の高さ方向の距離は、前記第2の予備吐出位置における距離の方が前記第1の予備吐出位置における距離よりも小さくなるように設定されている。
記録手段5からキャップ等のインク受け部に対して記録を目的としないインクを吐出する動作(回復動作の一つ)である予備吐出は、記録手段5の吐出口内に他色インクが混入することで発生する混色や、インクの水分蒸発に起因するインク固着によって発生する吐出不良などを防ぐために、頻繁に行われることがある。例えば、回復機構部104のワイパー8、9による記録手段5のワイピング動作の後、記録装置のパワーオン・オフのとき、記録手段5に対する回復機構部104のキャップ1のキャップオープン・クローズのときなどに行われる予備吐出においては、インク吐出量が多いため、ほとんどの場合、予備吐出の後にキャリッジを待機位置に停止させた状態でキャップ内のインクを吸引する空吸引が行われる。
このようなインク吐出量が多い予備吐出は、図5に示すようにスライド部材3をスライダカム部13(スライダカム13a、13b)のカム面の斜面途中で停止させた第2の予備吐出位置で実行される。この第2の予備吐出位置では、キャップ1(キャップ内のインク吸収体)から記録手段5の吐出口面までの距離は、スライド部材3がスライダカム部13の最下部に当接している第1の予備吐出位置より小さい。そのため、インクミストの発生量が減少し、インクミストの影響は軽減される。
これに対し、記録動作中あるいは記録待機中などにおける予備吐出は、インク吐出量が少なく、決められた時間間隔ごとに実行される。例えば数秒に1回の間隔で予備吐出が割り込み実施されることもあるため、記録動作中の予備吐出の場合は、予備吐出時間によって画像記録の時間が影響を受けることになる。従って、記録動作中の予備吐出においては、動作時間の短縮が優先され、図4に示すように、スライド部材3が記録領域に最も近い位置でスライダカム部13の最下部に当接する第1の予備吐出位置で予備吐出が実行される。
また、この第1の予備吐出位置は、キャリッジ6の待機位置であり、待機中の予備吐出を行うための位置としても使用される。この第1の予備吐出位置で実行される予備吐出は、実行頻度は高いが、インク吐出量は少ない。また、第1の予備吐出位置は、インクミストによる弊害を防ぐための予備吐出を行うための位置ではあるが、さらに重要なことは、キャリッジ6がスライド部材3の突き当て部3aに当接することで発生する騒音を無くしたり、キャリッジ6に生じる進入負荷を無くすための予備吐出を行うための位置である。
以上のように予備吐出の発数やタイミング等によって、記録手段5とキャップ1(キャップ内インク吸収体)との高さ方向の距離と、キャリッジ6の移動方向における記録領域からの距離と、を考慮して第1及び第2の予備吐出位置を最適化することで、予備吐出動作の短縮化や浮遊インクミストの発生を軽減化することができる。また、第2の予備吐出位置に関しては、スライダカム部13(スライダカム13a、13b)のカム面の途中斜面を利用して位置を決めるので、記録手段5からキャップ1までの高さ方向の距離を微調節することができる。それによって、記録手段5からキャップ1までの距離が短いために生じるインクの跳ね返りに起因するミスト発生を防止することができ、回復機構部104の近傍のインク付着を抑えることもできる。
また、実際に予備吐出を実行する際の予備吐出位置の数は、上述の実施形態のように2箇所に限定されるものではない。予備吐出の発数やタイミング等によっては、2箇所の予備吐出位置を選択するだけでなく、インク吐出量等の使用条件によって予備吐出位置を1箇所のみとする切り替えを行うように制御しても良い。例えば、記録装置本体に着荷時からの各色インクの吐出量をROM62記憶しておき、累積された吐出量の総量がある閾値を越えた場合に予備吐出位置を1箇所のみとするように切り替えても良い。この場合、吐出されたインク量が多量となり記録装置本体内部にインクミストによるインクの付着量が多くなる場合の所定の限界値を閾値とする。そして、この閾値を越えたときに、記録手段5とキャップ1との距離が異なる2箇所の予備吐出位置を、当該距離が小さい方の第2の予備吐出位置の1箇所のみとすることで、インクミストの抑制効果を高めることができる。
さらには、ホスト装置50からインクジェット記録装置に送られてくる着荷時からの画像形成される際の記録媒体の種類、記録媒体の数、記録モードなどを該記録装置のROM62記憶しておき、その閾値によって予備吐出位置を第2の予備吐出位置の1箇所のみに切り替えを行うように制御しても良い。上記のような予備吐出の発数やタイミングなどによって2箇所の予備吐出位置を選択するだけでなく、ホスト装置から記録装置本体に送られてくる着荷時からの各色のインクの吐出量を記憶し、累積された吐出量の総量がある閾値を越えると、予備吐出位置を1箇所のみとする切り替えを行う。吐出されたインク量が多量となり記録装置本体内部にミストによるインクの付着が多くなる適当な数値を閾値とする。この閾値を越えた際、記録手段5とキャップ1との距離が異なる2箇所の予備吐出位置を、距離が小さい第2の予備吐出位置の1箇所のみとするように制御することで、ミストの抑制効果を得る。
同様に、記録装置本体に着荷時からの画像形成される際の記録媒体の種類、数、記録モードを記憶して、その閾値によって予備吐出位置を第2の予備吐出位置の1箇所のみに切り替える。インクを多く滴下する特殊紙への画像形成や高画質モードでの記録を数多く行っている場合、記録装置本体内に散布されるミストの量が多量となることから、第2の予備吐出位置の1箇所のみに予備吐出を行うことで、記録装置内にさらに発生するミストを抑える。
以上の実施形態では、スライド部材3がスライダカム部13の最上部のキャッピング位置と記録手段5によって記録動作が行われる記録領域との間の2箇所に予備吐出位置を設ける場合を例示して説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、3箇所以上に予備吐出位置を設けるように構成しても良い。また、図1〜図6に示す実施形態においては、記録装置本体を正面から見たときの記録領域の右側に回復機構部104を配置したが、これは回復機構部を記録領域の左側に配置する構成としても良い。
なお、単色又は複数色で記録する1個の記録手段を用いるインクジェット記録装置、異なる色のインクで記録する複数の記録手段を用いるカラーインクジェット記録装置、あるいは同一色彩で異なる濃度で記録する複数の記録手段を用いる階調インクジェット記録装置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合にも、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るものである。本発明は、記録手段とインクタンクを一体化した交換可能なインクカートリッジを用いる構成、記録手段とインクタンクを別体にし、その間をインク供給用チューブ等で接続する構成など、記録手段とインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。なお、本発明は、インクジェット記録装置に適用する場合、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いる記録手段で記録する場合にも適用できる。
本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の模式的斜視図である。 図1のインクジェット記録装置の制御手段の概略構成を示すブロック図である。 本実施形態に係るインクジェット記録装置の回復機構部を斜め上方から見た模式的斜視図である。 スライド部材がスライダカム部の最下部に停止し、キャリッジが該スライド部材の突き当て部に当接することなく停止している待機状態を装置本体の前面側から見た模式的正面図である。 キャリッジが回復機構部に進入した後にスライド部材を追従移動させながら、スライダカム部の途中(斜面部)で該スライド部材を停止させて予備吐出するときの状態を装置本体の前面側から見た模式的正面図である。 キャリッジが回復機構部に進入した後スライド部材をスライダカム部の最上部まで追従移動させて記録手段をキャッピングした状態を装置本体の前面側から見た模式的正面図である。
符号の説明
1 キャップ
2 キャップホルダ
2b 爪部
3 スライド部材
3a 突き当て部
3b 突出部(スライダ軸部)
5 記録手段(記録ヘッド)
6 キャリッジ
8 ワイパー
9 ワイパー
13 スライダカム部
13a スライダカム
13b スライダカム
14 ベース部
15 スライダばね
50 ホスト装置
55 メインバス(制御基板)
60 制御手段(制御基板)
61 CPU
62 ROM
63 RAM
64 ヘッドドライバ
69 LFモータ
70 CR(キャリッジ)モータ
71 ASF(給紙)モータ
72 PG(回復)モータ
80 検出部
81 CR(キャリッジ)エンコーダセンサ
82 LF(ラインフィード)エンコーダセンサ
83 PE(ペーパーエンド)センサ
84 PG(回復)センサ
85 ASF(オートシートフィーダ)センサ
101 給紙部
102 搬送部
103 記録機構部(キャリッジ部)
104 回復機構部(メンテナンス部)
121 搬送ローラ
122 ピンチローラ
123 排紙ローラ
124 キャリッジベルト
125 ガイドシャフト
126 ガイドレール
127 エンコードストリップ

Claims (6)

  1. 往復移動するキャリッジに搭載された記録手段から記録媒体へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
    前記キャリッジの移動によってキャップを搭載したスライド部材をカムに沿って追従移動させることで、前記キャップにより記録手段の吐出口をキャッピングする回復機構部を備え、
    前記カム上の前記スライド部材のキャッピング位置と記録手段が記録媒体に画像を形成する記録領域との間に、記録手段から前記キャップ内にインクを吐出する第1の予備吐出位置と、記録手段と前記キャップとの距離が前記第1の予備吐出位置より小さい第2の予備吐出位置とを設けることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記第1の予備吐出位置では前記キャリッジと前記スライド部材が当接しないことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 予備吐出の発数及びタイミングにより予備吐出位置を選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記第1の予備吐出位置より前記記録手段と前記キャップとの距離が小さい予備吐出位置を前記第2の予備吐出位置の他にも設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 記録装置本体に各吐出口のインク吐出量を着荷時から記憶し、累積されたインク吐出量の総量が所定の閾値を越えることで前記第1の予備吐出位置以外の予備吐出位置に切り替えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. ホスト装置から記録装置本体に送られる画像記録時の記録媒体の種類や枚数、記録モードを記憶し、記憶された情報によって前記第1の予備吐出位置以外の予備吐出位置に切り替えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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