以下、本発明の一実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下に説明する部材、配置等は、本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨に沿って各種改変することができることは勿論である。
図1乃至図21は本発明の一実施形態を示す図で、図1は昇降式座椅子の構成を示す斜視図、図2は昇降式座椅子の構成を示す側面図、図3は昇降式座椅子の構成を示す平面図、図4は昇降式座椅子の構成を示す背面図、図5は支持部の構成を示す側面図、図6は図5のA−A線断面図、図7は支持部の構成を示す背面図、図8は図7のB−B線断面図、図9は昇降座部の構成を示す側面図、図10は昇降座部の構成を示す平面図、図11は昇降座部の構成を示す背面図、図12はアームレストの構成を示す側面図、図13はアームレスト回動機構の構成を示す断面側面図、図14はアームレストが動作する様子を示す説明図、図15はアームレスト回動機構が動作する様子を示す説明図、図16は第一移動部材の構成を示す説明図、図17は第二移動部材の構成を示す説明図、図18は昇降座部に被覆部材が被覆された様子を示す説明図、図19は昇降駆動部の構成を示す側面図、図20は昇降駆動部の構成を示す底面図、図21は昇降式座椅子の電気的構成を示すブロック図である。
はじめに、本発明の一実施形態に係る昇降式座椅子1の機械的構成について説明する。
なお、以下の説明においては、図1に示すように、背部2に対して座部3側を正面側(前側)とし、座部3に対して背部2側を背面側(後側)とする。また、背部2から座部3側を見たときに右側部側を右側とし、背部2から座部3側を見たときに左側部側を左側とする。
本実施形態に係る昇降式座椅子1は、図2乃至図4に示すように、例えば、和室や洋室などの床面100に載置された状態で座椅子として好適に使用されるものであり、支持部10と、可動座部30と、昇降駆動部50を有して構成されている。
支持部10は、可動座部30や昇降駆動部50を支持するものであり、図5乃至図8に示すように、ベースフレーム11と、ガイドシャフト12,13(ガイド部材に相当)と、シャフト支持フレーム14,15と、上フレーム16と、補強シャフト17,18と、モータ固定部材19と、軸受固定部材21と、昇降検出機構22と、モータカバー23を有して構成されている。
ベースフレーム11は、和室や洋室などの床面100に載置され、可動座部30や昇降駆動部50を支持する土台となるものである。本例のベースフレーム11は、昇降式座椅子1を和室や洋室などで使用する際に邪魔にならない大きさで、且つ、可動座部30に使用者が腰掛けた状態でも昇降式座椅子1が前方、後方および側方に転倒しない大きさとされる。
ベースフレーム11には、昇降式座椅子1の前後方向(Y方向)に沿って延びる一対の平行フレーム部11a,11bが設けられており、この平行フレーム部11a,11bは、昇降式座椅子1の左右方向(X方向)に沿って延びる連結フレーム部11c,11d,11eによって互いに連結されている。
ガイドシャフト12,13は、可動座部30を鉛直方向(Z方向)に沿ってガイドするためのものであり、略円柱体により構成されている。左側のガイドシャフト12は、平行フレーム部11aの背面側端部よりも中央寄りの位置に設けられ、床面100に対して略垂直な方向(Z方向)に沿って延出されている。
同様に、右側のガイドシャフト13は、平行フレーム部11bの背面側端部よりも中央寄りの位置に設けられ、床面100に対して略垂直な方向(Z方向)に沿って延出されている。
そして、本例では、上述のように、左側の平行フレーム部11aの背面側端部よりも中央寄りの位置にガイドシャフト12が配置されることにより、平行フレーム部11aに延出フレーム部11fが形成されている。
この延出フレーム部11fは、平行フレーム部11aのガイドシャフト12が配置された位置から床面100に沿って背面側に向けて延出するように形成されている。
同様に、右側の平行フレーム部11bの背面側端部よりも中央寄りの位置にガイドシャフト13が配置されることにより、平行フレーム部11bに延出フレーム部11gが形成されている。
この延出フレーム部11gは、平行フレーム部11bのガイドシャフト13が配置された位置から床面100に沿って背面側に向けて延出するように形成されている。
このように、本例では、ベースフレーム11に延出フレーム部11f,11gが形成されているので、可動座部30に対して背面側に荷重が加わった場合でも、座椅子に対して転倒する方向に作用する力を延出フレーム部11f,11gによって支持することが可能である。従って、座椅子が背面側に転倒することを防止することが可能である。
左側のシャフト支持フレーム14は、延出フレーム部11fに対してガイドシャフト12を支持するためのものであり、側方視略三角形状のリブ14aと、リブ14aの下端に一体に形成された幅広状の取付面14bを有して構成されている。
リブ14aの垂直辺14cは、ガイドシャフト12の長手方向中央部から下端部に至る部分に一体的に固定されており、取付面14bは、平行フレーム部11aの延出フレーム部11fに固定されている。
同様に、右側のシャフト支持フレーム15は、延出フレーム部11gに対してガイドシャフト13を支持するためのものであり、側方視略三角形状のリブ15aと、リブ15aの下端に一体に形成された幅広状の取付面15bを有して構成されている。
リブ15aの垂直辺15cは、ガイドシャフト13の長手方向中央部から下端部に至る部分に一体的に固定されており、取付面15bは、平行フレーム部11bの延出フレーム部11gに固定されている。
このように、本例では、延出フレーム部11f,11gに対してガイドシャフト12,13を支持するシャフト支持フレーム14,15が設けられているので、可動座部30に対して背面側に荷重が加わった場合でも、ガイドシャフト12,13が背面側に傾斜すること(後傾すること)を防止することが可能である。従って、可動座部30の重心が背面側に移動することを防止することが可能である。
上フレーム16は、昇降式座椅子1の左右方向(X方向)に沿って延出されており、本例の上フレーム16には、ガイドシャフト12,13の上端部がそれぞれ固定されている。
補強シャフト17,18は、上フレーム16およびベースフレーム11にガイドシャフト12,13を固定することによって構成された正面視四角状の枠体の強度を向上させるためのものであり、ガイドシャフト12とガイドシャフト13との間に配置されている。
本例の補強シャフト17,18は、ベースフレーム11から上フレーム16に向けて延出された略円柱体により構成されており、補強シャフト17,18の一端は、連結フレーム部11dにそれぞれ固定され、補強シャフト17,18の他端は、上フレーム16にそれぞれ固定されている。
モータ固定部材19は、後述する昇降駆動部50に設けられたモータ51を固定するためのものであり、ベースフレーム11の上側で連結フレーム部11dと連結フレーム部11eとを繋ぐように構成されている。
軸受固定部材21は、後述する昇降駆動部50に設けられた軸受部材55,56を固定するためのものであり、上フレーム16の下面中央部に設けられている。
昇降検出機構22は、可動座部30の昇降位置を検出するためのものであり、上昇端検出スイッチ22aと下降端検出スイッチ22bを有して構成されている。
上昇端検出スイッチ22aおよび下降端検出スイッチ22bは、取付ブラケット22cを介して右側のシャフト支持フレーム15に固定されている。
そして、本例では、可動座部30が最も上昇した状態となったときに、上昇端検出スイッチ22aが可動座部30に設けられた当接片48と当接し、可動座部30が最も降下した状態となったときに、下降端検出スイッチ22bが可動座部30に設けられた当接片48と当接するようになっている。
なお、本例では、昇降検出機構22にリミットスイッチからなる上昇端検出スイッチ22aおよび下降端検出スイッチ22bが設けられていたが、これらリミットスイッチの代わりに、後述する昇降駆動部50のモータ51等にロータリーエンコーダを設けて昇降位置の検出を行っても良い。
モータカバー23は、後述する昇降駆動部50に設けられたモータ51を保護するためのものであり、モータ固定部材19よりも背面側に固定されている。本例のモータカバー23は、ベースフレーム11の略垂直方向に延出する背面カバー部23aと、背面カバー部23aの端部から略水平方向に延出する上面カバー部23bとを有して構成されている。
可動座部30は、支持部10に対して略鉛直方向(Z方向)に沿って可動するものであり、図9乃至図18に示すように、座面フレーム31(座面部材に相当)、挟み込み検出機構32、背面フレーム33(座面部材に相当)、アームレスト34,35、アームレスト回動機構36,37、サイドフレーム41,42、被覆部材49等を有して構成されている。
座面フレーム31は、ベースフレーム11と略平行な枠体により構成されており、ベースフレーム11と対峙するように配置されている。座面フレーム31の裏面には、挟み込み検出機構32が設けられている。
挟み込み検出機構32は、可動座部30が下降する際に可動座部30と支持部10との間に異物が挟み込まれたことを検出するためのものであり、挟み込み検出スイッチ32a,32b,32c,32d、ベースプレート32e、挟み込み検出プレート32f等を有して構成されている。
挟み込み検出スイッチ32a,32b,32c,32dは、ベースプレート32eの裏面の四隅に設けられており、ベースプレート32eの裏面側に設けられた挟み込み検出プレート32fと接触することによってスイッチオンとなるように構成されている。
挟み込み検出プレート32fは、可動座部30における挟み込み検出を高精度に行うことができるように、座面フレーム31の裏側の広域を覆うことができる大きさで構成されている。
本例の挟み込み検出プレート32fは、スプリング部材32gによってベースプレート32eの鉛直下方に向けて付勢されている。そして、挟み込みの無い正常状態においては、挟み込み検出プレート32fと挟み込み検出スイッチ32a,32b,32c,32dとが離間されるようになっている。
なお、後述する昇降駆動部50のモータ51に流れるモータ駆動電流の増減を検出し、このモータ駆動電流が増加したことに基づいて可動座部30において異物の挟み込みを検出しても良い。
また、モータ51にロータリーエンコーダを設け、このロータリーエンコーダからの回転パルス信号の周期が遅くなったことに基づいて可動座部30において異物の挟み込みを検出しても良い。
背面フレーム33は、座面フレーム31の背面側に設けられ、アームレスト支持フレーム部33a,33bと、背面フレーム部33cを有して構成されている。
アームレスト支持フレーム部33a,33bは、アームレスト回動機構36,37をそれぞれ支持するためのものであり、背面フレーム部33cの両端部に一体に形成されている。
アームレスト支持フレーム部33aには、昇降式座椅子1の前後方向(Y方向)に沿って延びる外側支持片33fおよび内側支持片33hが形成されており、アームレスト支持フレーム部33bには、昇降式座椅子1の前後方向(Y方向)に沿って延びる外側支持片33gおよび内側支持片33iが形成されている。
外側支持片33f,33gは、可動座部30の横方向外側にそれぞれ形成され、座面フレーム31の側部にそれぞれ固定されている。内側支持片33h,33iは、外側支持片33f,33gよりも横方向内側にそれぞれ形成され、背面フレーム部33cに一体に形成されている。
外側支持片33fと内側支持片33hとは、連結部33jによって連結されており、外側支持片33gと内側支持片33iとは、連結部33kによって連結されている。
外側支持片33fには、昇降式座椅子1の横方向に貫通する支持孔33lが形成されており、内側支持片33hには、支持孔33lと同軸上に支持孔33nが貫通されている。これら支持孔33l,33nには、アームレスト回動機構36の回動軸部材36dが回転自在に挿入されている。
同様に、外側支持片33gには、昇降式座椅子1の横方向に貫通する支持孔33mが形成されており、内側支持片33iには、支持孔33mと同軸上に支持孔33oが貫通されている。これら支持孔33m,33oには、アームレスト回動機構37の回動軸部材37dが回転自在に挿入されている。
このように、本例では、アームレスト34,35を支持するアームレスト支持フレーム部33a,33bが座面フレーム31と背面フレーム部33cとに連結されているので、アームレスト34,35に対して横方向外側に荷重が加わった場合でも、アームレスト支持フレーム部33a,33bを座面フレーム31と背面フレーム部33cによって固定支持することができる。これにより、アームレスト34,35が横方向外側に拡がることを防止することが可能である。
従って、可動座部30の重心が昇降式座椅子1の横方向外側に移動することを防止できるので、昇降式座椅子1が横転することを防止することが可能である。
背面フレーム部33cは、可動座部30に背もたれを形成するための骨組みとなるものであり、座面フレーム31に対して略垂直に形成されている。
このように、背面フレーム部33cが座面フレーム31に対して略垂直に形成されていると、背面フレーム部33cの背面側への張り出しを小さくすることができるので、昇降式座椅子1の前後方向(Y方向)の大きさを小型化することが可能である。
背面フレーム部33cの背面側には、ナット取付部33dが形成されており、このナット取付部33dには、後述する昇降駆動部50のボールネジ57と螺合するナット33eが設けられている。
アームレスト34,35は、使用者の肘置きとなるものである。アームレスト34は、アームレストフレーム34aおよびアームレストカバー34bを有して構成されており、アームレスト35は、アームレストフレーム35aおよびアームレストカバー35bを有して構成されている。
アームレストフレーム34aには、このアームレストフレーム34aの全体を覆うようにアームレストカバー35bが被せられており、アームレストフレーム35aには、このアームレストフレーム35aの全体を覆うようにアームレストカバー35bが被せられている。
右側のアームレストフレーム35aの先端部内側には、可動座部30を昇降させるための昇降スイッチ38が設けられている。
右側のアームレストフレーム35aを被覆するアームレストカバー35bには、図1に示すように、昇降スイッチ38に対応する位置に開口部49dが形成されており、昇降スイッチ38は、開口部49dを介して操作することができるようになっている。
また、本例では、昇降スイッチ38がアームレストフレーム35aの先端部内側に設けられているので、これにより、誤操作等も防止することができる。
アームレストフレーム34aの一端側には、図12,図13に示すように、昇降式座椅子1の横方向に沿って第一係合孔34cが形成されており、この第一係合孔34cには、アームレスト回動機構36の回動軸部材36dが係合されている。
また、アームレストフレーム34aの第一係合孔34cの近傍には、昇降式座椅子1の横方向に沿って第二係合孔34dが形成されており、この第二係合孔34dには、アームレスト回動機構36の係止部材36cが係合されている。
なお、右側のアームレストフレーム35aについては、左側のアームレストフレーム34aと線対称の関係にあり、その詳細な説明は省略する。
アームレスト回動機構36は、予め定められた回動範囲内においてアームレスト34,35を回動自在に支持するためのものであり、図13に示すように、外筒部36a、回動規制部材36b、係止部材36c、回動軸部材36dを有して構成されている。
外筒部36aは、アームレスト支持フレーム部33aに形成された外側支持片33fの外側面に固設されている。外筒部36aには、内部空間36eが形成されており、この内部空間36eには、回動規制部材36bが挿入配置されている。
回動規制部材36bは、アームレストフレーム34aの回動に伴う係止部材36cの移動を規制するためのものであり、第一係止部36fと第二係止部36gを有する断面略C字状に構成されている。
係止部材36cの一端は、アームレスト支持フレーム部33aの第二係合孔34dに係合され、第二係合孔34dから昇降式座椅子1の横方向に沿って突出した係止部材36cの突出部分は、回動規制部材36bの第一係止部36fと第二係止部36gとの間に形成された扇状空間部36hに挿入配置されている。
回動軸部材36dの一端は、アームレスト支持フレーム部33aの第一係合孔34cに係合され、第一係合孔34cから突出した回動軸部材36dの突出部分は、外筒部36aを介してアームレスト支持フレーム部33aの外側支持片33fおよび内側支持片33hに回動自在に支持されている。
このように、本例では、回動軸部材36dの一端がアームレストフレーム34aに固定され、回動軸部材36dの他端がアームレスト支持フレーム部33aに回動自在に支持されることにより、アームレスト34が回動自在となっている。
そして、係止部材36cが回動規制部材36bの第一係止部36fに形成された状態では、アームレスト34が床面100と略水平となり、図14,図15に示すように、係止部材36cが回動規制部材36bの第二係止部36gに係止された状態では、アームレスト34が床面100に対して略垂直となるように構成されている。
このように、アームレスト34,35はアームレスト支持フレーム部33a,33bにそれぞれ回動自在に設けられているので、例えば、可動座部30に着座したり可動座部30から立ち上がったりするときにアームレスト34,35が邪魔にならないようにアームレスト34,35を移動させることが可能である。
なお、右側のアームレスト回動機構37については、左側のアームレスト回動機構36と線対称の関係にあり、その構成は同様であるので詳細な説明を省略する。
サイドフレーム41,42は、支持部10に対して可動座部30を昇降自在に支持するためのものであり、背面フレーム部33cの背面両端部にそれぞれ一体に固定されている。
サイドフレーム41の長手方向における略中央位置には、第一移動部材43が設けられており、サイドフレーム41の下側には、第二移動部材45が設けられている。
同様に、サイドフレーム42の長手方向における略中央位置には、第一移動部材44が設けられており、サイドフレーム41の下側には、第二移動部材46が設けられている。
第一移動部材43,44および第二移動部材45,46は、ガイドシャフト12,13に昇降可能に支持されており、これによって、可動座部30が床面100に対して略垂直な方向に沿って昇降されるようになっている。
このように、本例では、可動座部30が床面100に対して略垂直な方向に沿って昇降されるように構成されているので、可動座部30を上昇させても、可動座部30の重心を支持部10の一定位置に維持することが可能である。従って、従来のように、可動座部30が上昇するに従って可動座部30の重心が背面側に移動することを防止することが可能である。
第一移動部材43は、図16に示すように、上側ガイドローラ43a,43bとシャフト43c,43dを有して構成されており、第一移動部材44は、上側ガイドローラ44a,44bとシャフト44c,44dを有して構成されている。
上側ガイドローラ43a,43bは、ガイドシャフト12を挟持するように対向配置されており、それぞれシャフト43c,43dによって回転自在に支持されている。
同様に、上側ガイドローラ44a,44bは、ガイドシャフト13を挟持するように対向配置されており、それぞれシャフト44c,44dによって回転自在に支持されている。
上側ガイドローラ43a,43bには、ガイドシャフト12の曲面に沿うように曲面部43e,43fがそれぞれ形成されており、本例では、この曲面部43e,43fがガイドシャフト12に接した状態で上側ガイドローラ43a,43bがガイドシャフト12上を転動するようになっている。
同様に、上側ガイドローラ44a,44bには、ガイドシャフト13の曲面に沿うように曲面部44e,44fがそれぞれ形成されており、本例では、この曲面部44e,44fがガイドシャフト13に接した状態で上側ガイドローラ43a,43bがガイドシャフト13上を転動するようになっている。
第二移動部材45は、図17に示すように、下側ガイドローラ45a,45bとシャフト45c,45dを有して構成されており、第二移動部材46は、下側ガイドローラ46a,46bとシャフト46c,46dを有して構成されている。
下側ガイドローラ45a,45bは、ガイドシャフト12を挟持するように対向配置されており、それぞれシャフト45c,45dによって回転自在に支持されている。
同様に、下側ガイドローラ46a,46bは、ガイドシャフト13を挟持するように対向配置されており、それぞれシャフト46c,46dによって回転自在に支持されている。
下側ガイドローラ45aには、ガイドシャフト12の曲面に沿うように曲面部45eが形成されており、本例では、この曲面部43eがガイドシャフト12に接した状態で下側ガイドローラ43aがガイドシャフト12上を転動するようになっている。
同様に、下側ガイドローラ46aには、ガイドシャフト13の曲面に沿うように曲面部46eが形成されており、本例では、この曲面部46eがガイドシャフト13に接した状態で下側ガイドローラ46aがガイドシャフト13上を転動するようになっている。
昇降式座椅子1の背面側に設けられた下側ガイドローラ45bは、回転軸方向の略中央部において分離された構成となっており、この分離された部位によってガイドシャフト12との接触面を減少させる抵抗低減部45fを形成している。
このように、昇降式座椅子1の背面側に設けられた下側ガイドローラ45bに抵抗低減部45fが形成されていると、ガイドシャフト12に取り付け誤差や曲げ等が生じることによってガイドシャフト12がガイドローラ45bに押し付けられても、抵抗低減部45fによってガイドシャフト12と下側ガイドローラ45bとの間に作用する抵抗力の増大を防止することができる。
同様に、昇降式座椅子1の背面側に設けられた下側ガイドローラ46bは、回転軸方向の略中央部において分離された構成となっており、この分離された部位によってガイドシャフト13との接触面を減少させる抵抗低減部46fを形成している。
このように、昇降式座椅子1の背面側に設けられた下側ガイドローラ46bに抵抗低減部46fが形成されていると、ガイドシャフト13に取り付け誤差や曲げ等が生じることによってガイドシャフト13が下側ガイドローラ46bに押し付けられても、抵抗低減部46fによってガイドシャフト13と下側ガイドローラ46bとの間に作用する抵抗力の増大を防止することができる。
また、可動座部30に対して背面側に荷重が加わったことによってガイドシャフト12,13が背面側に押され、これによってガイドシャフト12,13が下側ガイドローラ45b,46bに押し付けられても、抵抗低減部45f,46fはガイドシャフト12,13の背面側に配置された下側ガイドローラ45b,46bに形成されているので、抵抗低減部45f,46fによってガイドシャフト12,13と下側ガイドローラ45b,46bとの間に作用する抵抗力の増大を確実に防止することが可能である。従って、可動座部30をより円滑に昇降させることが可能である。
さらに、上側ガイドローラ43a,44bおよび下側ガイドローラ45a,46aがガイドシャフト12,13の正面側に配置されているので、可動座部30に対して背面側に荷重が加わった場合でも、上側ガイドローラ43a,44bおよび下側ガイドローラ45a,46aによってガイドシャフト12,13を確実に支持することができる。
そして、右側のサイドフレーム42の第二移動部材46には、当接片48が設けられている。この当接片48は、上述のように、可動座部30の位置検出を行うためのものであり、上昇端検出スイッチ22aおよび下降端検出スイッチ22bと当接する位置に配置されている。
被覆部材49は、図18に示すように、座面フレーム31、背面フレーム33、サイドフレーム41,42を覆うクッション材49aと、これらクッション材49aを被覆する表皮材49bにより構成されている。
被覆部材49の正面側の部分(背当部)には、鉛直方向(Z方向)に対して背面側へ傾斜する傾斜面49cが形成されている。本例では、被覆部材49に形成された傾斜面49cに使用者がもたれ掛かることにより、使用者が楽な姿勢をとることができるようになっている。
なお、本実施形態に係る表皮材49bは、支持部10、可動座部30、昇降駆動部50のすべてを一体に覆うことができるように構成されている(すなわち、外付けの装置としない構成となっている)。このように構成すると、昇降式座椅子1に一体感を持たせることができるので、昇降式座椅子1の外観意匠性も良好となる。
昇降駆動部50は、支持部10に対して可動座部30を鉛直方向(Z方向)に沿って昇降させるためのものであり、図19,図20に示すように、モータ51と、モータプーリ52と、プーリ53と、ベルト54と、軸受部材55,56と、ボールネジ57を有して構成されている。
モータ51は、支持部10に設けられたモータ固定部材19に固定されており、モータ51の出力軸51aには、モータプーリ52が設けられている。プーリ53は、ボールネジ57の一端に設けられており、モータプーリ52とプーリ53とには、ベルト54が巻き掛けられている。
ボールネジ57のプーリ53よりも上側の部分は、軸受部材55により回転自在に支持されており、ボールネジ57の上端部は、軸受部材56によって回転自在に支持されている。軸受部材55は、モータ固定部材19に固定されており、軸受部材56は、軸受固定部材21に固定されている。
ボールネジ57には、可動座部30に設けられたナット33eが螺合されており、本例では、ボールネジ57が回転すると、ボールネジ57の回転方向に応じて、可動座部30が鉛直方向に沿って上下動する構成となっている。
次に、図21を参照しながら、本発明の一実施形態に係る昇降式座椅子1の電気的構成について説明する。
本例の昇降式座椅子1には、種々の検出信号を出力する検出スイッチとして、昇降スイッチ38、挟み込み検出スイッチ32a,32b,32c,32d、上昇端検出スイッチ22a、下降端検出スイッチ22bが備えられている。
昇降スイッチ38、挟み込み検出スイッチ32a,32b,32c,32d、上昇端検出スイッチ22a、下降端検出スイッチ22bは、制御部70の入力側端子に配線接続されており、制御部70の出力側端子には、モータ51が接続されている。
制御部70は、マイコン等を備えた電気回路により構成されており、昇降スイッチ38、挟み込み検出スイッチ32a,32b,32c,32d、上昇端検出スイッチ22a、下降端検出スイッチ22bから出力された検出信号に応じて所定の処理を行い、モータ51を制御するように構成されている。
なお、昇降式座椅子1の電源としては、例えば、家庭用電源(AC100V)でも良く、また、不図示の充電式蓄電池等であっても良い。また、昇降式座椅子1の外装部に電源ランプや起動ランプ等を備えても良く、起動や停止を報知するスピーカ等を備えても良い。
次に、上記構成からなる昇降式座椅子1の動作について説明する。
昇降スイッチ38を「上昇」に操作すると、上昇操作信号が制御部70に出力され、制御部70からモータに所定の電力が供給される。これにより、モータ51が所定の方向に回転し、この回転力がモータプーリ52、ベルト54、プーリを介してボールネジ57に伝達される。
ボールネジ57が所定の方向に回転すると、ボールネジ57の回転力がナット33eの直進運動に変換され、ナット33eと共に可動座部30が略鉛直方向(Z方向)に沿って上昇する。
可動座部30が最上位置に移動し、当接片48が上昇端検出スイッチ22aに当接すると、上昇端検出スイッチ22aから制御部70に上昇検出信号が出力される。
制御部70は、上昇端検出スイッチ22aから出力された上昇検出信号を検出すると、モータ51への電力の供給を停止する。これにより、モータ51が停止し、可動座部30が最上位置にて停止した状態となる。
従って、これから着座する場合には、使用者は無理な体勢を強いられることなく、容易に可動座部30に腰掛けることが可能である。また、可動座部30に使用者が腰掛けた状態で可動座部30を最上位置に上昇させた場合には、使用者は容易に立ち上がることが可能である。
ここで、可動座部30を上昇させても、可動座部30の重心を支持部10の一定位置に維持することができるので、従来のように、可動座部30が上昇するに従って可動座部30の重心が背面側に移動することを防止することができ、座椅子が背面側に転倒することを防止することが可能である。
なお、可動座部30が最上位置に移動する手前で、昇降スイッチ38を「停止」に操作することにより、使用者の要求に応じた任意の高さに調節することが可能である。
一方、昇降スイッチ38を「下降」に操作すると、下降操作信号が制御部70に出力され、制御部70からモータに所定の電力が供給される。このときモータ51に印加される電圧の極性は、昇降スイッチ38を「上昇」にした場合と反対となる。
そして、制御部70から所定の電力がモータ51に供給されると、モータ51が可動座部30を上昇させた時と反対方向に回転し、ボールネジ57も、可動座部30を上昇させた時と反対方向に回転する。
これにより、ボールネジ57の回転に伴ってナット33eと共に可動座部30が略鉛直方向(Z方向)に沿って降下し、やがて可動座部30が最下位置に移動する。そして、当接片48が下降端検出スイッチ22bに当接すると、下降端検出スイッチ22bから制御部70に下降検出信号が出力される。
制御部70は、下降端検出スイッチ22bから出力された下降検出信号を検出すると、モータ51への電力の供給を停止する。これにより、モータ51が停止し、可動座部30が最下位置にて停止した状態となる。
なお、可動座部30が最下位置に移動する手前で、昇降スイッチ38を「停止」に操作することにより、使用者の要求に応じた任意の高さに調節することが可能である。
このように、本例の昇降式座椅子1では、可動座部30を任意の高さに昇降させることができるので、使用者の立ち上がり時、もしくは着座時の負担を軽減することができる。
ここで、可動座部30が降下している最中に可動座部30において異物の挟み込みが生じた場合には、挟み込み検出機構32において異物の挟み込みが検出される。すなわち、異物が挟み込み検出プレート32fに接触すると、挟み込み検出プレート32fがスプリング部材32gの不勢力に抗して上昇し、挟み込み検出スイッチ32a〜32dのいずれかをスイッチオンとする。
このようにして、挟み込み検出スイッチ32a〜32dのいずれかがスイッチオンとなると、挟み込み検出スイッチ32a〜32dのいずれかスイッチオンとなったものから制御部70へ挟み込み検出信号が出力される。
制御部70は、挟み込み検出信号を検出すると、可動座部30において異物の挟み込みが生じたものと判断し、モータ51を停止させる。これにより、可動座部30が停止し、可動座部30における異物の挟み込みが防止される。
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、可動座部30を上昇させても、可動座部30の重心を支持部10の一定位置に維持することができるので、従来のように、可動座部30が上昇するに従って可動座部30の重心が背面側に移動することを防止することができる。従って、昇降式座椅子1が背面側に転倒することを防止することが可能である。
また、可動座部30に対して背面側に荷重が加わった場合でも、座椅子に対して転倒する方向に作用する力を延出フレーム11f,11gによって支持することができるので、昇降式座椅子1が背面側に転倒することを確実に防止することが可能である。
さらに、シャフト支持フレーム14,15によってガイドシャフト12,13が背面側に傾斜すること(後傾すること)を防止できるので、可動座部30の上昇に伴って可動座部30の重心が背面側に移動することをより確実に防止することが可能である。
また、背面フレーム33が略鉛直方向(Z方向)に沿って形成されているので、背面フレーム33の背面側への張り出しを小さくすることができ、昇降式座椅子1の前後方向の大きさを小型化することが可能である。
また、背面フレーム33に鉛直方向(Z方向)に対して背面側に傾斜する(後傾する)傾斜面49cが形成されているので、昇降座部30の背部2(背もたれ)の形状を、使用者が楽な姿勢をとっているときの背部および腰部に沿った形状とすることができ、使用者が前傾姿勢等になること無く楽な姿勢で傾斜面にもたれ掛かることが可能である。
さらに、本実施形態によれば、アームレスト34,35を支持するアームレスト支持フレーム部33a,33bが座面フレーム31と背面フレーム部33cとに連結されているので、アームレスト34,35に対して横方向外側に荷重が加わった場合でも、アームレスト支持フレーム部33a,33bを座面フレーム31と背面フレーム部33cによって固定支持することができる。これにより、アームレスト34,35が横方向外側に拡がることを防止することが可能である。
従って、可動座部30の重心が座椅子の横方向外側に移動することを防止できるので、昇降式座椅子1が横転することを防止することが可能である。
また、アームレスト34,35がアームレスト支持フレーム部33a,33bに回動自在に設けられているので、例えば、可動座部30に着座したり可動座部30から立ち上がったりするときにアームレスト34,35が邪魔にならないようにアームレスト34,35を移動させることが可能である。従って、昇降式座椅子1の使い勝手を向上させることが可能である。
さらに、本実施形態によれば、ガイドシャフト12,13に取り付け誤差や曲げ等が生じたことによってガイドシャフト12,13が下側ガイドローラ45b,46bに押し付けられても、抵抗低減部45f,46fによってガイドシャフト12,13と下側ガイドローラ45b,46bとの間に作用する抵抗力の増大を防止することが可能である。
従って、使用者が可動座部30を昇降させようとした場合でも、可動座部30の昇降方向に対して抵抗力が作用することによって可動座部30が昇降されないという不具合を防止でき、可動座部30を円滑に昇降させることが可能である。
また、ガイドシャフト12,13に取り付け誤差や曲げ等が生じたことによってガイドシャフト12,13が下側ガイドローラ45b,46bに押し付けられても、下側ガイドローラ45b,46bには、回転軸方向の略中央部が分離されたことにより形成された抵抗低減部45f,46fが備えられているので、この抵抗低減部45f,46fによってガイドシャフト12,13と下側ガイドローラ45b,46bとの間に作用する抵抗力の増大を確実に防止することができる。従って、可動座部30をより円滑に昇降させることが可能である。
さらに、可動座部30に対して背面側に荷重が加わったことによってガイドシャフト12,13が背面側に押され、これによってガイドシャフト12,13が下側ガイドローラ45b,46bに押し付けられても、抵抗低減部45f,46fがガイドシャフト12,13の背面側に配置された下側ガイドローラ45b,46bに形成されているので、この抵抗低減部45f,46fによってガイドシャフト12,13と下側ガイドローラ45b,46bとの間に作用する抵抗力の増大を確実に防止することが可能である。従って、可動座部30をより円滑に昇降させることが可能である。
また、本実施形態によれば、可動座部30を下降させているときに可動座部30において異物の挟み込みが生じた場合でも、可動座部30の下降がそのまま継続されることを防止することができるので、モータ51の焼きつき等を防止することが可能である。
なお、上記実施形態では、座面フレーム31に対して背面フレーム部33cが略垂直に形成されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の第一の趣旨は、可動座部30が支持部10に対して鉛直方向に沿って昇降されることである。
従って、可動座部30が支持部10に対して鉛直方向に沿って昇降される構成であれば、背面フレーム部33cが鉛直方向に対して背面側に傾斜する(後傾する)構成であっても良い。
また、上記実施形態では、アームレストフレーム34aがアームレスト回動機構36の回動規制部材36bに規制される範囲内で自在に回動することができる構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、ラチェット機構等によりアームレストフレーム34aが任意の角度にて保持できる構成であっても良い。
また、上記実施形態では、抵抗低減部45f,46fが、昇降式座椅子1の背面側に設けられた下側ガイドローラ45b,46bに設けられていたが、本発明はこれに限定されるものではない。抵抗低減部45f,46fは、昇降式座椅子1の背面側に設けられた上側ガイドローラ43b,43bに設けられていても良い。
また、上記実施形態では、抵抗低減部45f,46fが、下側ガイドローラ45b,46bの回転軸方向の略中央部において分離された構成となっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、下側ガイドローラ45b,46bを軸方向に一体に形成し、抵抗低減部45f,46fを下側ガイドローラ45b,46bの回転軸方向の略中央部において凹状に構成しても良い。
また、上記実施形態では、支持部10にモータ51が備えられボールネジ57が回転する構成であったが、本発明はこれに限定されるものではない。その他にも、可動座部30にモータ51が備えられプーリ・ベルト機構によってナット33eが回転し、ナット33eと共に可動座部30が昇降する構成であっても良い。
上記各実施形態から把握できる請求項以外の技術的思想を以下に記載する。
(1)前記支持部は、床面に対して上側に延出するガイド部材を有して構成され、前記可動座部は、前記ガイド部材の長手方向に離間した第一の位置および第二の位置を相対向する一対のガイドローラにてそれぞれ挟持してなる第一移動部材,第二移動部材を備え、前記第一移動部材又は前記第二移動部材に設けられた一対のガイドローラのうち少なくとも一つには、前記ガイド部材との接触面を減少させるための抵抗低減部が形成されたことを特徴とする請求項1又は請求項6に記載の昇降式座椅子。
(2)前記抵抗低減部は、前記ガイドローラにおける回転軸方向の略中央部が分離されたことにより形成されたことを特徴とする上記1に記載の昇降式座椅子。
(3)前記抵抗低減部は、前記第一移動部材又は前記第二移動部材に設けられた一対のガイドローラのうち、前記ガイド部材の背面側に配置されたガイドローラに形成されたことを特徴とする上記1又は上記2に記載の昇降式座椅子。
(4)前記第一移動部材又は前記第二移動部材に設けられた一対のガイドローラのうち一方は、前記ガイド部材の正面側に配置されたことを特徴とする上記1乃至上記3のいずれか一つに記載の昇降式座椅子。
(5)前記可動座部における異物の挟み込みを検出する挟み込み検出部を有して構成されたことを特徴とする請求項1又は請求項6に記載の昇降式座椅子。
(6)前記挟み込み検出部は、前記座面部材の床面側に設けられた挟み込み検出スイッチと、前記挟み込み検出スイッチと床面との間で前記可動座部の昇降方向に沿って移動自在に配置されてなる挟み込み検出プレートと、を備えたこと特徴とする上記5に記載の昇降式座椅子。
(7)床面に載置される支持部と、該支持部に昇降可能に支持された可動座部と、該可動座部を昇降させる昇降駆動部と、を備えた昇降式座椅子において、
前記可動座部には、前記支持部と、前記可動座部と、前記昇降駆動部とを一体に被覆する被覆部材が設けられたことを特徴とする昇降式座椅子。
(8)床面に載置される支持部と、該支持部に昇降可能に支持された可動座部と、該可動座部を昇降させる昇降駆動部と、を備えた昇降式座椅子において、
前記可動座部には、昇降式座椅子の前後方向に延出し使用者の肘置きとなるアームレストが設けられ、
前記アームレストの先端部内側には、昇降スイッチが設けられたことを特徴とする昇降式座椅子。