JP2005348745A - 遺伝子操作に由来するヒト血清アルブミンの精製方法 - Google Patents
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Abstract
【効果】 培養液を酵母菌体を含んだまま加熱することで簡単かつ有効にプロテアーゼを不活化できることが判明し、rHSA精製工程に吸着流動床システム(ストリームラインSP)の適用が可能となった。本発明は精製工程の短縮および収量アップ、品質向上に寄与するrHSA精製方法として極めて有用。本発明によれば、産生宿主関連成分あるいはその他の夾雑成分を含まず、着色も充分抑えられた遺伝子操作由来のHSAが提供できる。
【選択図】図6
Description
遺伝子操作により得られるHSA(本発明において、遺伝子操作由来HSAという。なお以下、rHSAと略称する。)の精製について、従来の血漿由来のHSAに関する精製方法をそのまま適用することは不適切である。というのも、除去すべき夾雑成分が血漿由来のHSAとは全く異なっているからである。例えば、遺伝子操作由来のHSAに特有の着色物質、宿主細胞に由来する蛋白質、多糖類もしくはその他の夾雑成分などである。特に宿主細胞に由来する成分は、ヒトなどの生体にとって異物であるため抗原性の問題からこれらの成分を十分除去する必要がある。
このため、培養処理により産生されたrHSAを宿主細胞に由来する成分および培養成分等から、十分な精度をもって単離・精製する方法が各種研究されている。例えば、従来行われている方法としてrHSAを含有する酵母培養液を、圧搾→限外濾過膜処理→加熱処理→限外濾過膜処理に供した後、陽イオン交換体、疎水性クロマト、陰イオン交換体のカラムクロマトグラフィー処理等の工程に供する方法(特許文献1、非特許文献1)が挙げられる。また、上記従来法の後で、さらにキレート樹脂処理またはホウ酸・塩処理の工程に供する方法も報告されている(特許文献2、3)。
今までこのような吸着流動床技術がrHSAの精製、特に酵母培養液からrHSAを回収・精製するために応用された例はなく、実際にこの方法がrHSA精製の合理化、収量アップを図るのに有用であるか等についてはまったく知られていない。しかし、rHSAについてもこの方法ないしはこれに準ずる方法が適用できれば、従来行われている数工程からなる精製処理を簡略化することができるものと考えられる。
また、本発明は該精製方法において、rHSA産生宿主の培養液の加熱処理温度が50〜100℃、時間が1分〜10時間であることを特徴とする精製方法、加熱処理液と前記吸着体粒子との接触が、pH3〜5の液性、および電気伝導度0.1〜50mSの雰囲気にて行われることを特徴とするrHSAの精製方法、また前記吸着体粒子が強陽イオン交換基を有するものであることを特徴とするrHSAの精製方法である。
また、本発明は、遺伝子操作由来のヒト血清アルブミンを含有し、当該アルブミン25%溶液(rHSA濃度として250mg/ml)の場合にA350 /A280 が0.015以下であることを特徴とするヒト血清アルブミン含有組成物である。
さらに、本発明は、遺伝子操作により得られるHSA産生宿主の培養液をrHSAと産生宿主を含んだまま加熱処理し、該加熱処理液を流動床中に浮遊する吸着体粒子に接触させ、その吸着画分を回収することを特徴とするrHSAの製造方法を提供する。当該製造方法は、より詳細には、遺伝子操作により得られるHSA産生宿主の培養液をrHSAと産生宿主を含んだまま加熱処理し、該加熱処理液を吸着体粒子が浮遊する流動床に上方送液して該吸着体粒子に接触させた後、送液方向を切替えて緩衝液を下方送液することにより吸着体粒子に吸着させたrHSAを溶出、回収することを特徴とするrHSAの製造方法である。
また、本発明は該製造方法において、rHSA産生宿主の培養液の加熱処理温度が50〜100℃、時間が1分〜10時間であることを特徴とする製造方法、加熱処理液と前記吸着体粒子との接触が、pH3〜5の液性、および電気伝導度0.1〜50mSの雰囲気にて行われることを特徴とするrHSAの製造方法、また前記吸着体粒子が強陽イオン交換基を有するものであることを特徴とするrHSAの製造方法である。
また、本発明は、上記本発明の製造方法において流動床から回収されたrHSA含有画分を、好ましくは還元剤の存在下で加熱処理した後、疎水性クロマト処理、陰イオン交換体処理、キレート樹脂処理、ホウ酸・塩処理及び限外濾過膜処理からなる群から選択される少なくとも1つの精製処理に付すことを特徴とするrHSAの製造方法である。
さらに本発明の精製方法によれば、菌体の培養から精製に至る遺伝子操作によるHSAの製造工程全てを閉鎖系の1ライン上で行うことが可能となり、rHSA製造の自動化が図れるとともにrHSAを医薬品として調製する場合に必須である衛生管理が容易に行われるという利点がある。
すなわち、本発明はrHSA精製において、工程の短縮および収量アップのみならず、品質向上にも寄与する方法として極めて有用である。
また、本発明によれば、遺伝子操作により得られ、かつ産生宿主関連成分あるいはその他の夾雑成分を含まず、着色も充分抑えられた、医薬品として有用なrHSAを提供することができる。
本発明において用いられる遺伝子操作により調製されるrHSA産生宿主は、遺伝子操作を経て調製されたものであれば特に限定されず、既に公知文献記載のものの他、今後開発されるものであっても適宜利用することができる。具体的には、遺伝子操作を経てrHSA産生性とされた菌(例えば、大腸菌、酵母、枯草菌等)、動物細胞などが例示される。特に、宿主として酵母、就中サッカロマイセス属〔例えば、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)〕、もしくはピキア属〔例えば、ピキア・パストリス(Pichia pastoris) 〕を用いることが好ましい。また、栄養要求性株や抗生物質感受性株を用いてもよい。さらに好適には、サッカロマイセス・セレビシエAH22株(a, his 4, leu 2, can 1)、ピキア・パストリスGTS115株(his 4) が用いられる。
(i) 加熱処理
本発明のrHSA精製方法において、加熱処理は、前述の培養工程で得られるrHSA産生宿主の培養液を遠心分離や限外濾過等の分離処理に付すことなく、宿主菌体を含んだまま直接加熱することを特徴とする。すなわち、加熱処理は本発明精製方法の第一番目に行なわれる。
加熱条件としては、通常50〜100℃で1分〜10時間程度、好ましくは60〜80℃で20分〜3時間程度、より好ましくは68℃で30分間程度である。また、本処理は安定化剤の存在下に行うことが好ましい。安定化剤としては、アセチルトリプトファン,炭素数6〜18の有機カルボン酸またはその塩等が例示される。両者の安定化剤は併用してもよい。アセチルトリプトファンの添加量としては溶液終濃度1〜100mM程度が例示される。炭素数6〜18の有機カルボン酸としてはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸などが例示される。好ましくは10mMのカプリル酸である。その塩としてはアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩,カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩等)が例示される。炭素数6〜18の有機カルボン酸またはその塩の添加量としては、1〜100mM程度が例示される。
また、加熱処理時にチオール系化合物(例えば、メルカプトエタノール、システイン、還元型グルタチオン等)を1〜100mM程度、好ましくは5〜30mM、さらにアミノグアニジンを10〜1000mM添加することにより、加熱で生じる着色を抑制することができる(特開平3−103188号公報)という効果が得られる。
(i)で得られる加熱処理液は、つぎに流動床中に浮遊する吸着体粒子処理に付されるが、その前に、加熱処理液と吸着体粒子との接触が電気伝導度0.1〜50mS,好ましくは0.5〜35mS,より好ましくは5〜15mSの雰囲気で行われるように加熱処理液を希釈することが好ましい。後述の実験例3で示されるように、加熱処理液の希釈倍数を上げ、加熱処理液と吸着体粒子との接触雰囲気中の電気伝導度が低くなるに伴い、吸着体粒子へのrHSAの結合量は増加し、該電気伝導度が8〜12mS付近である場合にほぼ最高に達する。希釈溶媒は、加熱処理液中のrHSAの構造上の機能を低下させない限り特に限定されず、吸着体粒子への吸着条件を考慮して適宜選択することができる。50mM程度もしくはそれ以下の濃度の酢酸緩衝液、または蒸留水が例示される。簡便性等の点から好ましくは蒸留水である。ついで、該溶液の液性を吸着体粒子への吸着条件である酸性、通常pH3〜5、好ましくはpH4〜4.8程度、より好ましくはpH4.5程度に調整する。調整に使用される酸性溶液は、特に制限されないが、好ましくは酢酸が挙げられる。
次に、希釈、pH調整された加熱処理液を吸着体粒子に接触させる。
用いられる吸着体粒子としては、陽イオン交換基を有する担体(陽イオン吸着体)が挙げられ、具体的にはスルホ基型、カルボキシル基型等の吸着体粒子が例示される。スルホ基型としては、スルホ−アガロース〔商品名:ストリームラインSP,S−セファロース(共にファルマシア社製)〕、スルホ−セルロース〔商品名:S−セルロファイン(チッソ社製)〕、スルホプロピル−アガロース〔商品名:SP−セファロース(ファルマシア社製),SP−セルスル−ビッグビーズ(ステロジーン社製)〕、スルホプロピル−デキストラン〔商品名:SP−セファデックス(ファルマシア社製)〕、スルホプロピル−ポリビニル〔商品名:SP−トヨパール(東ソー社製)〕等が例示される。また、カルボキシル基型としては、カルボキシメチル−アガロース〔商品名:CMセルスル−ビッグビーズ(ステロジーン社製)〕,カルボキシメチル−デキストラン〔商品名:CM−セファデックス(ファルマシア社製)〕,カルボキシメチル−セルロース〔商品名:CM−セルロファイン(チッソ社製)〕等が例示される。好ましくは、スルホ基型の強陽イオン吸着体粒子であり、より好ましくは、ストリームラインSP(ファルマシア社製)である。
また用いられる吸着体粒子の粒子径としては、通常30〜1100μm、好ましくは100〜300μmが例示される。
吸着体粒子は、予めかかる接触条件で平衡化しておくことが好ましい。具体的には、50mMの塩化ナトリウムを含有する50mMの酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化しておくことが好ましい。
すなわち、まず前述の吸着体粒子を適当なカラムに充填し沈降させた後、当該カラム下部出口から上方向に平衡化緩衝液を送液し、吸着体粒子を浮遊させる。この際、カラム内では、カラム下から上昇する緩衝液の流速と重力により沈降する吸着体粒子が互いの力を打ち消しあって、吸着体粒子による均一な浮遊平衡状態が形成される(これを流動床という)。ついで、かかる流動床が形成されたカラム内に、上記(i) 、(ii)処理した菌体を含む培養粗液をカラム下部出口から上方送液により添加する。この際、目的のrHSAは吸着体粒子と結合し、一方、宿主菌体や培養液に由来する微粒子および夾雑物は流動床の吸着体粒子を素通りしカラム上部出口から排出除去され、またゆるく結合した夾雑成分も、引き続いて上方送液される洗浄緩衝液で洗い流される。好ましくは、吸着流動床技術に従って行われる〔Journal of Chromatography, 597 (1992), 129-145〕。
上記の吸着体粒子の平衡化、吸着体粒子を含む流動床への試料の注入、吸着体粒子への接触および流動床からの溶出等の操作は、ストリームラインカラム(吸着体:ストリームラインSP、ファルマシア社製)を備したストリームラインシステム(ファルマシア社製)を用いることにより、より簡便に効率よく、かつ再現性よく行うことができる。
処理温度としては通常50〜100℃、好ましくは60〜80℃程度、より好ましくは60℃が例示される。処理時間としては通常10分間〜10時間、、好ましくは30分間〜5時間程度、より好ましくは1時間が例示される。
疎水性クロマト処理は、常法に従って行うことができる。疎水性クロマト用担体としては、炭素数4〜18のアルキル基(ブチル基型、オクチル基型、オクチルデシル基型等)、フェニル基を有する不溶性担体が例示される。好適にはフェニル基型が挙げられ、具体的にはフェニル−セルロース(商品名:フェニルセルロファイン、チッソ社製)が例示される。本工程では、rHSAを担体非吸着画分に回収することができる。接触条件としてはpH6〜8程度、好ましくはpH6.5〜7程度、塩濃度0.01〜0.5M程度、好ましくは0.05〜0.2M程度が挙げられる。
陰イオン交換体処理もまた、常法に従って行うことができる。陰イオン交換体としては、陰イオン交換基を有する不溶性担体であればいずれも使用することができる。陰イオン交換基としては、ジエチルアミノエチル(DEAE)基型、四級アミノエチル(QAE)基型等が例示される。好ましくはDEAE基型であり、具体的には、DEAE−アガロース(商品名:DEAE−セファロース、ファルマシア社製)、DEAE−デキストラン(商品名:DEAE−セファデックス、ファルマシア社製)、DEAE−ポリビニル(商品名:DEAE−トヨパール、東ソー社製)等が例示される。本工程では、rHSAを非吸着画分に回収することができる。接触条件としては、pH6〜8程度、好ましくはpH6.5〜7程度、塩濃度0.01〜0.1M程度が挙げられる。
この陰イオン交換体処理により着色成分や微量存在する夾雑物等が除去される。
疎水性クロマト処理後および/または陰イオン交換体処理後、回収されたrHSA含有画分は限外濾過処理に付されることが好ましい。当該限外濾過処理により、発熱性物質(パイロジェン)を除去することができる。限外濾過処理は、分画分子量100〜300Kの限外濾過膜が好適に使用される。具体的には、ペリコンカセット膜100K(ミリポア社製)が例示される。
キレート樹脂処理は、特に遺伝子操作によって得られるHSAに特有の着色物質の除去に効果がある。当該処理は、前述の精製工程において、特に好ましくは疎水性クロマト処理−限外濾過膜処理−陰イオン交換体処理−限外濾過膜処理の後の工程に組み込まれ、特定のリガンド部を有するキレート樹脂とrHSAとを接触させることにより行われ、パス画分にrHSAが取得される。キレート樹脂の担体部分は疎水性を有する担体であることが好ましく、例えばスチレンとジビニルベンゼンの共重合体、アクリル酸とメタクリル酸の共重合体等が例示される。一方、リガンド部は、N−メチルグルカミン基等のポリオール基、イミノ基、アミノ基、エチレンイミノ基等を分子内に複数個有するポリアミン基(この中にはポリエチレンポリアミン等のポリアルキレンポリアミン基も含まれる)、及びチオ尿素基が挙げられる。簡便には、担体部分がいずれもスチレンとジビニルベンゼンの共重合体であるDIAION CRB02(リガンド部:N−メチルグルカミン基、三菱化成社製)、LEWATIT TP214 (リガンド部:─NHCSNH2 :バイエル社製)、アンバライトCG4000などの市販品が用いられる。
pH条件 :酸性、中性またはアルカリ性(pH3〜9、好ましくはpH4〜7)
時 間 :1時間以上、好ましくは6時間以上
イオン強度:50mmho以下、好ましくは1〜10mmho
混合比 :HSA250mgに対して樹脂0.1〜100g、好ましくは1〜10g(湿重量)
さらに、前述の処理により得られたrHSA含有溶液をホウ酸またはその塩(本発明において、ホウ酸・塩ともいう。)で処理することによって、宿主由来の抗原性を有する夾雑物質、フェノール硫酸法により検出可能な非抗原性の遊離の夾雑物質を除去することができる。
用いられるホウ酸としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが例示される。またその塩として、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カリウム塩等)などが例示される。好ましくは、四ホウ酸カルシウムを用いる。ホウ酸またはその塩の添加量は、終濃度で0.01〜1M程度、好ましくは0.05〜0.2M程度である。処理pHは8〜11程度、好ましくはpH9〜10程度が例示される。また処理時間は1〜100時間程度、好ましくは5〜50時間程度が例示される。処理時のrHSA含有溶液の電導度は低いほうがよく、具体的には1mS以下が例示される。さらに、rHSA含有溶液中のrHSA濃度は、高いほうがよく、具体的にはrHSA5%以上、好ましくは15〜25%程度が例示される。
高度精製により得られるrHSAは、分子量約67000,等電点4.9の単一物質である。単量体のみからなり、二量体あるいは重合体、分解物(分子量約43000)を実質的に含まない。また、産生宿主に由来する抗原性を有する夾雑成分、多糖類も実質的に含まない。着色度は、rHSA濃度として250mg/mlの溶液(25%溶液)に調製した場合で、A350 /A280 が0.015以下、好ましくは0.013以下、就中0.01〜0.015程度である。なお、公知の精製方法(例えば、前述の<1>〜<5>の方法等)をさらに適宜組み合わせて用いることにより、さらに着色度が抑制された、即ちA350 /A280 の値が低いrHSAを得ることができる。
遺伝子操作に由来するHSA(含有組成物)で、着色度が、rHSA25%溶液の場合でA350 /A280 が0.015以下であるというものは、本発明により初めて提供される。
本発明の方法で得られるrHSAは公知の手法(例えば、限外濾過、安定化剤の添加、除菌濾過、分注、凍結乾燥等)により製剤化することができる。こうして調製されるrHSA製剤は、血清アルブミン製剤として従来の血漿由来HSA製剤と同様に、また同様の用量、用法で、臨床上用いることができる。また、医薬品の安定化剤あるいは担体、運搬体としても利用することができる。
なお、本発明でいうrHSA含有組成物の意味は、本発明のrHSAが高純度であるが100%純品ではなく、rHSA以外の物質が微量でも混在する状態を示す。
スモールスケールでのストリームラインSPによるrHSAの精製
(1)培養液の加熱処理
rHSA産生酵母菌ピキアパストリスの取得およびその培養については、特開平5−317079号公報の第8欄第18行〜第11欄第19行、欧州公開特許655503号に記載される方法に従って行った。
得られた培養液(含酵母菌体)約2.8リットルをそのまま68℃、30分の加熱処理に付した。加熱処理は10mMカプリル酸ナトリウム存在下で行った。なお、この際の培養液の液性はpH6であった。該加熱処理液を急速に約15℃に冷却し、蒸留水で約2倍容量になるように希釈した後(総容量5.5リットル)、酢酸水溶液を用いてpH4.5に調整した。
50mM塩化ナトリウムを含む50mM酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化したストリームラインSPカラム(C50、5×100cm:ゲル量300ml、ファルマシア社製)に、(1)の加熱処理で得られた酵母菌体を含む培養液5.5リットル(電気伝導度〜10mS)を上方送液することにより添加した(攪拌しながら流速100cm/hで添加)。次にカラムを、平衡化に用いた緩衝液と同じ緩衝液(カラム容量の2.5倍量)を上昇法で送液することにより洗浄し(条件:流速100cm/hで1時間、続いて流速300cm/hで30分)、ついで送液方向を逆転させて、溶出溶液〔300mM塩化ナトリウムを含む100mMリン酸緩衝液(pH9)を送液(流速:50cm/h)して、rHSAを含有する画分を得た。
なお、溶出するrHSA含有画分の検出は280nmにおける吸光度を測定することによって行った。
得られたrHSA含有画分に対して、10mMシステイン,5mMカプリル酸ナトリウム,100mMアミノグアニジン塩酸,pH7.5の共存下に60℃、1時間の加熱処理を行った。
(3)で加熱処理したrHSA溶液を、0.15M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸緩衝液、pH6.8で平衡化したフェニルセルロファインを充填したカラム(5×25cm,ゲル量500ml:チッソ社製)に添加した。この条件ではrHSAはフェニルセルロファインに吸着することなくカラムを通過した。カラムを通過したrHSA含有溶液を分画分子量3万の限外濾過膜(ミリポア社製)を用いて液量を約0.2リットルまで濃縮するとともに、rHSA含有溶液を50mMリン酸緩衝液、pH6.8に交換した。
疎水性クロマト処理後、濃縮および緩衝液交換を行ったrHSA含有溶液を50mMリン酸緩衝液、pH6.8で平衡化したDEAE−セファロースFFを充填したカラム(5×25cm,ゲル量500ml:ミリポア社製)に添加した。この条件ではrHSAはDEAE−セファロースFFに吸着することなくカラムを通過した。カラムを通過したrHSAは、分画分子量3万の限外濾過膜(ミリポア社製)を用いて液量を約0.2リットルに濃縮するとともに、rHSA含有溶液を蒸留水に交換した。
約7%濃度の精製rHSA0.2リットルに酢酸を添加してpHを4.5とし、50mM酢酸ナトリウム緩衝液,pH4.5で平衡化したDIAION CRB02を充填したカラム(5×2.5cm,ゲル量500ml:三菱化成製)に添加後、一夜循環した。この条件ではrHSAは当該ゲルに吸着することなくカラムを通過した。
rHSA濃度を2.5%に調製し、溶液を電気伝導度1mS以下とした。四ホウ酸ナトリウムを終濃度が100mMになるように添加し、ついで塩化カルシウムを終濃度が100mMになるように添加し、pHを9.5に維持した。10時間程度放置した後に沈澱を除去し、上清を回収して濃縮脱塩した。次いで分画分子量約3万の限外濾過膜(ミリポア社製)を用いて濃縮および緩衝液交換を行った。必要に応じて、安定化剤(カプリル酸ナトリウム,アセチルトリプトファン)を添加した後、0.22μmフィルター(ミリポア社製)を用いて除菌濾過することにより、rHSAを注射剤として使用することができる。
rHSA培養液中には強力なプロテアーゼが存在し、rHSAを低分子化することが知られているが、表1に示すように特に酸性下pH4の条件で低分子化が著しく速い。
A:コントロール
B:68℃、30分間、pH6.0
C:68℃、30分間、pH6.8
D:68℃、30分間、pH7.5
E:68℃、30分間、pH8.2
F:60℃、2時間、pH6.0
G:60℃、2時間、pH6.8
H:60℃、2時間、pH7.5
I:60℃、2時間、pH8.2
J:60℃、2時間、pH6.8、10mM システイン
K:60℃、2時間、pH7.5、10mM システイン
L:室温(25℃)、2時間、pH6.0
M:室温(25℃)、2時間、pH8.2
酢酸で種々のpH(4.5〜4.9)に調整した培養液(rHSA 55.6mg)に各pHの酢酸緩衝液(50mM)で平衡化したストリームラインSPゲル(1ml)を添加し、室温で1時間混合攪拌した後、各平衡化緩衝液で洗浄して未吸着画分のrHSA残存量(%)を測定した。その結果、pHを下げるに伴い結合量は増加し、pH4.5付近で最高に達した(表2)。
加熱処理を終えた培養液〔電気伝導度 約20mS(25℃)、rHSA 47.1mg)を蒸留水で種々の倍数に希釈した後、酢酸でpHを4.5に調整し、同pHの50mM塩化ナトリウムを含有する50mM酢酸緩衝液で平衡化したストリームラインSPゲルを1ml添加した。そして室温で1時間混合後、平衡化緩衝液で洗浄し、0.3M塩化ナトリウム含有0.1Mリン酸緩衝液(pH9)でrHSAを溶出した。その結果、希釈倍数を上げ、溶液中の電気伝導度を低下させるに伴いrHSAの吸着粒子への結合量は増加し、加熱処理液と吸着体粒子との接触雰囲気中(ゲル混合液中)の電気伝導度8〜12mS付近で最高に達した(図2)。
培養液を蒸留水で2倍希釈した後、酢酸でpHを4.5に調整し同pHの50mM塩化ナトリウム含有50mM酢酸緩衝液で平衡化したストリームラインSPゲルを一定量添加し、室温で1時間混合攪拌した。次いで、ゲルを平衡化緩衝液で洗浄後、0.3M塩化ナトリウム含有0.1Mリン酸緩衝液(pH9)を用いてrHSAを溶出し、得られた画分溶液(pH8)中のrHSAの室温での安定性を調べた。その結果、培養液を予め加熱処理(68℃、30分間)したものでは、3日後でも全く変化が見られなかったのに対して、未処理培養液由来のrHSAは約50%にまで減少・分解していた(表3)。
前述の実験例1〜4で検討した結果を踏まえて、加熱→吸着体粒子処理工程の至適化フローを設定した(図3)。
図3の工程フローに従い、ストリームラインSP(5×100cm、ゲル量300ml)カラムを用い、酵母菌体を含んだ培養液(2.8リットル)からのrHSAの精製を試みた。一方で酵母菌体を含んだ培養液(2.7リットル)を加熱処理しないで同様に吸着体粒子処理を行い、rHSAを精製した。
その結果、培養液からの総回収率は、(非加熱→吸着体粒子)処理が50%であるのに対して本発明の(加熱→吸着体粒子)処理では約85%と高く、得られるrHSAの着色度も、(非加熱→吸着体粒子)処理が A350/A280で0.048であるのに対して本発明の(加熱→吸着体粒子)処理では0.0345と低かった(表4)。尚、図4で(加熱→吸着体粒子)処理のストリームラインSP溶出液のゲル濾過HPLCプロファイルと(非加熱→吸着体粒子)処理のストリームラインSP溶出液のゲル濾過HPLCプロファイルとを比較した。後者にrHSAの著しい分解・低分子化がみられた。
次に、表4で得られた(加熱→吸着体粒子)処理でのストリームラインSPカラムのrHSA溶出画分を出発原料として、実施例1(4)および(5)に記載する疎水性クロマト処理および陰イオン交換体処理を行い着色度(A350/A280)の評価を行った。その際、ストリームラインSP溶出画分をシステイン存在下(終濃度10mM)で加熱処理したものと加熱処理しないものとの2通りで検討した。その結果、システイン加熱の有無にかかわらず同等のrHSA回収率が得られたが、着色度において顕著な差が見られ、陰イオン交換体処理の段階において、システイン加熱処理しないほうは、0.0184であるのに対し、システイン加熱処理由来のものは0.0128と有意な低値を示した(表5)。
図5に従来精製法での工程別着色度(A350/A280)の推移とストリームラインSP工程を組み入れた場合の陰イオン交換体処理濃縮工程段階までの工程別着色度(A350/A280)の推移との比較した。ストリームラインSPを組み入れその直後にシステイン加熱処理を施した本発明の精製法の場合、疎水性クロマト処理をする段階で既に従来法と比べ、大きな差が生じ、陰イオン交換体処理後の着色度は0.0128と極めて低い値を示した。図6に、従来法の後さらにキレート樹脂処理した検体(曲線1)と、ストリームラインSPを組み入れその直後にシステイン加熱処理を施した本発明の精製法による陰イオン交換体処理後およびキレート樹脂処理後の検体(曲線2、3)との吸収スペクトルによる比較を示す。その結果、本発明方法により精製したrHSAの吸収スペクトルは、陰イオン交換体処理の段階で既に従来法の後さらにキレート樹脂処理したサンプルの吸収スペクトルより可視(350nm-700nm)全域に渡り顕著に低いパターンを示し、同キレート樹脂処理後の段階ではその差はより大きくなった。
図7に、本発明方法により得られるrHSAの各工程サンプルのゲル濾過法による高速液体クロマトグラフィー(GPC−HPLC)分析結果を示す(rHSA培養液:rHSA培養液の上清、ストリームラインSP溶出画分:実施例1と同様の工程においてストリームラインSP溶出画分、ストリームラインSP未吸着画分:実施例1と同様の工程においてストリームラインSP未吸着画分、DEAE後精製画分:実施例1と同様の工程において陰イオン交換体(DEAE)処理後のもの)。その結果、培養液中のrHSA以外の高分子や低分子物質の大半は酵母菌体と共に効率よくストリームラインSP未吸着画分に洗い流され、アルブミンが特異的に溶出画分に回収されていることが明らかとなった。また、この画分を出発原料とし、更に精製の進んだ陰イオン交換体(DEAE)処理後の検体のHPLCのパターンはアルブミン(HSAモノマー)のシャープな単一ピークのみを示し、従来精製法によるDEAE工程後のサンプルに比して、同一もしくはそれ以上の精製度を示した。
アルブミン非産生酵母の培養液を本法と同様の方法で精製したものをウサギに免疫し、得られた抗血清を用いて精製アルブミン溶液中に存在する酵母由来夾雑成分の検出を行った。測定は酵素免疫測定法(EIA法)で行った。サンプルはアルブミン濃度として250mg/mlに調製したものを用いて測定した。
その結果、実施例1と同様の工程においてホウ酸・塩処理後の精製アルブミンでは、0.1ng/mlの検出限界において、酵母由来の抗原性を有する夾雑成分は検出されなかった。
(1)分子量
分子量の測定は、前述のHPLCゲル濾過法によった。本発明の実施例1と同様の工程において、ホウ酸・塩処理後の精製rHSAの分子量は、約67,000であり、血漿由来のHSAと同程度であった。
(2)等電点
等電点は、ポリアクリルアミドゲルを用い、Allenらの方法〔J. Chromatog., 146, 1 (1978)〕に準じて測定した。本発明の精製rHSAの等電点は約4.9であり、血漿由来のHSAと同程度であった。
(3)着色度
着色度は、精製rHSAをアルブミン濃度として250mg/mlに調製したものを用いて、その280nm、350nmでの吸光度を測定し、A350 /A280 を算出して求めた。本発明の精製度rHSAの着色度は、A350 /A280 で約0.012であり、極めて低かった。
上記実験例1〜8および実験例10において、rHSAの量的な評価(回収率を含む)は、rHSA含有溶液をゲル濾過用HPLCに付すことにより行った。溶出条件は、詳細には、下記の条件によって行った。
rHSAを含有する溶液をあらかじめ、0.1%のNaN3 、0.3%NaCl含有50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)で平衡化しておいたTSK−ゲル G3000SWXLカラム(0.78×30cm:東ソー社製)に付して、同平衡化緩衝液を溶離液として用い、流速1ml/minでrHSAを分離し、280nmおよび350nmにおける吸光度を測定することにより定量した。
ラージスケールでのストリームラインSPによる精製
実施例1の(1)の方法に従って得られたrHSA産生酵母菌ピキアパストリス培養液(含酵母菌体)1000Lを、実施例1の(1)の条件(10mMカプリル酸ナトリウム存在下、培養液の液性pH6で、68℃、30分間)でそのまま加熱処理した。該加熱処理液を約25℃に冷却し、蒸留水で約2倍容量になるように希釈した後(総容量約2000L)酢酸(99.7%)を用いてpH4.5に調整した。次いで、50mM塩化ナトリウムを含む50mM酢酸緩衝液(pH4.5)で平衡化したストリームラインSPカラム(C1000、100cm×110cm:ゲル量150L、ファルマシア社製)に、上記加熱処理で得られた酵母菌体を含む培養液2000Lをカラム下部から上方送液するこにより添加した(流速100〜250cm/h)。なお、培養液はカラムへの添加が終了するまで菌体が沈降しない程度に攪拌を続けた。次に、カラムを平衡化緩衝液と同じ緩衝液(カラム容量の約5倍量)を上昇法により送液することにより洗浄し(流速100〜500cm/h)、次いで送液方向を逆転させ、カラム上部から溶出液(300mM塩化ナトリウムを含む100mMリン酸緩衝液、pH9)を送液して(流速50〜100cm/h)、rHSA含有画分を得た。なお、溶出するrHSA含有画分の検出は280nmによる吸光度を測定することにより行った。また、得られたrHSA含有画分に対して、10mMシステイン、10mMカプリル酸ナトリウム、rHSAの4倍モル量のオレイン酸ナトリウム、100mMアミノグアニジン塩酸の共存下、pH7.5で60℃、1時間の加熱処理を実施し、rHSAの着色度低減化および二量体から単量体への変換促進を行った。
1トン規模の培養液を68℃、30分間加熱処理し、該加熱処理液を蒸留水で約2倍容量に希釈、pH4.5に調整した後、ストリームラインSP(C1000)カラムによる吸着体粒子処理に付した。rHSAを含有する溶出液を0.8μmフィルターで濾過し、さらに分画分子量約3万の限外濾過膜に通して濃縮した後、システイン加熱処理を行い精製した。4ロットの成績(表6に示す)を平均すると、培養液から加熱処理までの回収率は98.6%、加熱後からストリームラインを経てシステイン加熱処理までの回収率は88.4%で、総回収率は87.1%と良好であった。この値はC50カラムを用いたスモールスケールでの実験結果とよく一致し、ラージスケールでの再現性が確認された。
B 68℃、30分間、pH6.0
C 68℃、30分間、pH6.8
D 68℃、30分間、pH7.5
E 68℃、30分間、pH8.2
F 60℃、2時間、pH6.0
G 60℃、2時間、pH6.8
H 60℃、2時間、pH7.5
I 60℃、2時間、pH8.2
J 60℃、2時間、pH6.8、10mM システイン
K 60℃、2時間、pH7.5、10mM システイン
L 室温(25℃)、2時間、pH6.0
M 室温(25℃)、2時間、pH8.2
1 従来法(圧搾→膜→加熱→膜→陽イオン交換体→疎水クロマト→陰イオン交換体処理)による精製の後、さらにキレート樹脂処理後のrHSA
2 実施例1と同様の工程において、陰イオン交換体(DEAE)処理後のrHSA
3 実施例1と同様の工程において、キレート樹脂処理後のrHSA
Claims (17)
- 遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミンの産生宿主を含有する培養液を加熱処理し、該加熱処理液を流動床中に浮遊する吸着体粒子に接触させ、その吸着画分を回収することを特徴とする遺伝子操作由来ヒト血清アルブミンの精製方法。
- 遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミンの産生宿主を含有する培養液を加熱処理し、該加熱処理液を吸着体粒子が浮遊する流動床に上方送液することにより該吸着体粒子に接触させた後、送液方向を切替えて緩衝液を下方送液することによりその吸着画分を溶出、回収することを特徴とする遺伝子操作由来ヒト血清アルブミンの精製方法。
- 加熱処理の温度が50〜100℃、時間が1分〜10時間であることを特徴とする請求項1または2記載の遺伝子操作由来ヒト血清アルブミンの精製方法。
- 加熱処理液と前記吸着体粒子との接触が、pH3〜5にて行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子操作由来ヒト血清アルブミンの精製方法。
- 加熱処理液と前記吸着体粒子との接触が、電気伝導度0.1〜50mSの雰囲気にて行われることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子操作由来ヒト血清アルブミンの精製方法。
- 前記吸着体粒子が強陽イオン交換基を有する吸着体粒子であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の遺伝子操作由来ヒト血清アルブミンの精製方法。
- 請求項1〜6のいずれかの精製方法で回収されるヒト血清アルブミンを含有する吸着画分を、さらに疎水性クロマト処理、陰イオン交換体処理、キレート樹脂処理、ホウ酸・塩処理および限外濾過膜処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの精製処理に付すことを特徴とする遺伝子操作由来ヒト血清アルブミンの精製方法。
- 請求項1〜6のいずれかの精製方法で回収されるヒト血清アルブミンを含有する吸着画分を、還元剤の存在下で加熱処理した後、さらに疎水性クロマト処理、陰イオン交換体処理、キレート樹脂処理、ホウ酸・塩処理および限外濾過膜処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの精製処理に付すことを特徴とする遺伝子操作由来ヒト血清アルブミンの精製方法。
- 遺伝子操作由来のヒト血清アルブミンを含有し、当該アルブミン25%溶液の場合にA350 /A280 が0.015以下であることを特徴とするヒト血清アルブミン含有組成物。
- 遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミンの産生宿主を含有する培養液を加熱処理し、該加熱処理液を流動床中に浮遊する吸着体粒子に接触させ、その吸着画分を回収することを特徴とする遺伝子操作由来の精製ヒト血清アルブミンの製造方法。
- 遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミンの産生宿主を含有する培養液を加熱処理し、該加熱処理液を吸着体粒子が浮遊する流動床に上方送液することにより該吸着体粒子に接触させた後、送液方向を切替えて緩衝液を下方送液することによりその吸着画分を溶出、回収することを特徴とする遺伝子操作由来の精製ヒト血清アルブミンの製造方法。
- 加熱処理の温度が50〜100℃、時間が1分〜10時間であることを特徴とする請求項10または11記載の遺伝子操作由来の精製ヒト血清アルブミンの製造方法。
- 加熱処理液と前記吸着体粒子との接触が、pH3〜5にて行われることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の遺伝子操作由来の精製ヒト血清アルブミンの製造方法。
- 加熱処理液と前記吸着体粒子との接触が、電気伝導度0.1〜50mSの雰囲気にて行われることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の遺伝子操作由来の精製ヒト血清アルブミンの製造方法。
- 前記吸着体粒子が強陽イオン交換基を有する吸着体粒子であることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載の遺伝子操作由来の精製ヒト血清アルブミンの製造方法。
- 請求項10〜15のいずれかの製造方法で回収されるヒト血清アルブミンを含有する吸着画分を、さらに疎水性クロマト処理、陰イオン交換体処理、キレート樹脂処理、ホウ酸・塩処理および限外濾過膜処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの精製処理に付すことを特徴とする、遺伝子操作由来の精製ヒト血清アルブミンの製造方法。
- 請求項10〜15のいずれかの製造方法で回収されるヒト血清アルブミンを含有する吸着画分を、還元剤の存在下で加熱処理した後、さらに疎水性クロマト処理、陰イオン交換体処理、キレート樹脂処理、ホウ酸・塩処理および限外濾過膜処理からなる群から選ばれる少なくとも1つの精製処理に付すことを特徴とする、遺伝子操作由来の精製ヒト血清アルブミンの製造方法。
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