JPH11191A - 遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミン - Google Patents

遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミン

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JPH11191A
JPH11191A JP10124714A JP12471498A JPH11191A JP H11191 A JPH11191 A JP H11191A JP 10124714 A JP10124714 A JP 10124714A JP 12471498 A JP12471498 A JP 12471498A JP H11191 A JPH11191 A JP H11191A
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serum albumin
human serum
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JP10124714A
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English (en)
Inventor
Akinori Washimi
昭典 鷲見
Wataru Otani
渡 大谷
Kazuya Takeshima
一哉 竹島
Kaeko Kamiide
佳永子 上出
Munehiro Noda
宗宏 野田
Takao Omura
孝男 大村
Kazumasa Yokoyama
和正 横山
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Welfide Corp
Original Assignee
Welfide Corp
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 ヒト血清アルブミン以外の産生宿主に由
来する夾雑物を実質的に含まないことを特徴とする、遺
伝子操作により得られるヒト血清アルブミン。 【効果】 本発明によれば、原料中のある種の着色成
分、あるいは微生物が分泌する物質が夾雑し、これらが
ヒト血清アルブミンと結合することによって起こる着色
が充分に抑えられ、夾雑成分が充分に除去された、実質
的に夾雑成分を含まない高純度のヒト血清アルブミンを
提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は遺伝子操作により得られ
るヒト血清アルブミンに関する。
【0002】
【従来の技術】アルブミン、特にヒト血清アルブミン
(以下、「HSA」ともいう。)は血漿の主要な蛋白構
成成分である。この蛋白は肝臓中で作られ、主に血流中
で正常な浸透圧を維持する責を負う。また種々の血清分
子のキャリアーとしての機能を持っている。HSAは種
々の臨床上の状況において投与される。例えば、ショッ
クや熱傷患者では血液量を元に戻し、それにより外傷に
関連するいくつかの症状を改善させるために、通常はH
SAの頻回投与を必要とする。低蛋白血症や胎児性赤芽
球症に罹っている患者にもHSAによる治療を必要とす
ることがある。従って、HSAを投与する基本的な治療
上の意義は、外科手術、ショック、火傷、浮腫を起こす
低蛋白血症におけるがごとく、血管からの液体の損失が
ある様な状態を治療する点に存する。
【0003】現在、HSAは、主として採取した血液の
分画からの産物として製造されている。この製造法の欠
点は不経済であることと、血液の供給が困難であるとい
うことである。また、血液は肝炎ウイルスのように好ま
しくない物質を含んでいることがある。従って、HSA
の代替の原料を開発することが有益となろう。
【0004】ところで、組換DNA技術の出現によっ
て、多種多様の有用なポリペプチドの微生物による生産
が可能となり、多くの哺乳動物ポリペプチド類が既に種
々の微生物により生産されている。HSAについても、
遺伝子操作の技術により大量生産し、それを高度精製す
る技術が確立されつつある。
【0005】ところが、遺伝子操作においては、宿主で
ある微生物を培養する際、さらにはHSAを精製する際
に、原料中のある種の着色成分あるいは微生物が分泌す
る物質が夾雑してくるため、これがHSAと結合するこ
とによりHSAそのものが着色してしまうものと思われ
る。しかもこれらの夾雑物質は、従来の血漿由来HSA
の精製方法では充分に除去することはできず、該夾雑物
質を含まぬ遺伝子操作由来のHSAは得られていないの
が現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、遺伝子操作により得られるHSAに関し、宿主
由来の夾雑成分を実質的に含まず、かつ着色が充分に抑
えられたHSAを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記事情
に鑑みて鋭意研究を進めた結果、遺伝子操作により得ら
れるHSAを得るに際して、当該HSAの精製工程にお
いて、特に好ましくはその最後に当該HSAをキレート
樹脂で処理することにより着色物質がキレート樹脂に吸
着され、HSAの着色を減少できるとともに、夾雑成分
が充分に除去された高純度のHSAを提供できることを
見出し、本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明は以下のとおりである。 (1)ヒト血清アルブミン以外の産生宿主に由来する夾
雑物を実質的に含まないことを特徴とする遺伝子操作に
より得られるヒト血清アルブミン。 (2)ヒト血清アルブミン以外の産生宿主に由来する夾
雑物の量が、実質的に抗原性を有さない量であることを
特徴とする遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミ
ン。
【0009】上記特徴を有するHSAは、遺伝子操作に
より得られるHSAについて、その精製工程において、
特に好ましくはその最後に、キレート樹脂、好ましくは
ポリオール基、ポリアミン基またはチオ尿素基から選ば
れたキレート能を有する交換基をリガンドとして有する
キレート樹脂で処理することにより得ることができる。
【0010】本発明は、遺伝子操作によって得られるH
SAに関わるものであり、当該HSAは遺伝子操作を経
てHSAを発現する宿主(例えば、大腸菌、酵母、枯草
菌、麹等の菌体、動物細胞等)を培養し、分泌発現(菌
体外発現)により産生される。
【0011】(1)遺伝子操作による得られるHSA 本発明において用いられる遺伝子操作により調製された
HSA産生性宿主は、遺伝子操作を経て調製されたもの
であれば特に限定されず、既に公知文献記載のものの
他、今後開発されるものであっても適宜利用することが
できる。具体的には、遺伝子操作を経てHSA産生性と
された菌(例えば、大腸菌、酵母、枯草菌等)、動物細
胞等が挙げられる。特に、本発明においては、宿主とし
て、酵母、就中サッカロマイセス属〔例えば、サッカロ
マイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)
〕、もしくはピキア属〔例えば、ピキア・パストリス
(Pichiapastoris)〕が使用されることが好ましい。ま
た、栄養要求性株や抗生物質感受性株が使用できる。さ
らにまた、サッカロマイセス・セレビシエAH22株
(a,his 4, leu 2, can 1) 、ピキア・パストリスGT
S115株 (his 4)等が好適に用いられる。
【0012】これらのHSA産生性宿主の調製方法およ
びその培養によるHSAの生産方法、培養物からのHS
Aの分離採取方法はすべて公知ならびにそれに準じた手
法を採用することによって実施される。例えば、HSA
産生性宿主(またはHSA産生株)の調製方法として
は、例えば通常のヒト血清アルブミン遺伝子を用いる方
法(特開昭58−56684、同58−90515、同
58−150517号公報)、新規なヒト血清アルブミ
ン遺伝子を用いる方法(特開昭62−29985、特開
平1−98486号公報)、合成シグナル配列を用いる
方法(特開平1−240191号公報)、血清アルブミ
ンシグナル配列を用いる方法(特開平2−167095
号公報)、組換えプラスミドを染色体上に組込む方法
(特開平3−72889号公報)、宿主同士を融合させ
る方法(特開平3−53877号公報)、メタノール含
有培地中で変異を起こさせる方法、変異型AOX2 プロ
モーターを用いる方法(特願平3−63598、同3−
63599号)、枯草菌によるHSAの発現(特開昭6
2−25133号公報)、酵母によるHSAの発現(特
開昭60−41487、同63−39576、同63−
74493号公報)、ピキア酵母によるHSAの発現
(特開平2−104290号公報)等が例示される。
【0013】このうち、メタノール含有培地中で変異を
起こさせる方法は具体的には以下のように行う。すなわ
ち、まず適当な宿主、好ましくはピキア酵母、具体的に
はGTS115株(NRRL寄託番号Y−15851)
のAOX1 遺伝子領域に常法によりAOX1 プロモータ
ー支配下にHSAが発現する転写ユニットを有するプラ
スミドを導入して形質転換体を得る(特開平2−104
290号公報を参照)。この形質転換体はメタノール培
地中での増殖能は弱い。そこで、この形質転換体をメタ
ノール含有培地中で培養して変異を起こさせ、生育可能
な菌株のみを回収する。この際、メタノール濃度として
は、0.0001〜5%程度が例示される。培地は人工
培地、天然培地のいずれでもよい。培養条件としては1
5〜40℃、1〜1000時間程度が例示される。
【0014】また、HSA産生性宿主の培養方法(すな
わちHSAの産生方法)としては、上記の各公報に記載
された方法の他に、フェッドバッチ培養により、高濃度
のグルコースを適度に少量づつ供給し、産生菌体に対す
る高濃度基質阻害を避けて高濃度の菌体と産生物を得る
方法(特願平1−219561号)、培地中に脂肪酸を
添加してHSAの産生を増強する方法(特願平3−81
719号)等が例示される。さらにHSAの分離採取方
法としては、上記の各公報に記載された方法の他に加熱
処理によるプロテアーゼの不活化(特開平3−1031
88号公報)、陰イオン交換体、疎水性担体および活性
炭からなる群より選ばれた少なくとも一を用いてHSA
と着色成分を分離することによる着色抑制方法(特開平
4−54198号公報)等が例示される。
【0015】形質転換宿主の培養に用いられる培地は、
通常この分野で既知の培地に炭素数10〜26の脂肪酸
またはその塩を添加したものが使用され、培養条件は一
般的な常法に準じて実施される。培地は合成培地、天然
培地のいずれでもよく、液体培地が好ましい。例えば、
合成培地としては、一般に炭素源として各種糖類、窒素
源として尿素、アンモニウム塩、硝酸塩など、微量栄養
素として各種ビタミン、ヌクレオチドなどの他、無機塩
としてMg、Ca、Fe、Na、K、Mn、Co、Cu
などが例示される。YNB液体培地〔0.7%イースト
ナイトロジエンのベース(Difco 社製)、2%グルコー
ス〕などが挙げられる。また天然培地としては、YPD
液体培地〔1%イーストエキストラクト(Difco 社
製)、2%バクトペプトン(Difco 社製)、2%グルコ
ース〕が例示される。培地のpHは中性または弱塩基
性、弱酸性でよい。またメタノール資化性宿主の場合
は、メタノール含有培地を用いることができる。この場
合メタノール濃度は0.01〜5%程度である。
【0016】培養温度は、15〜43℃(酵母は20〜
30℃、細菌は20〜37℃)が好ましい。培養時間は
1〜1000時間程度であり、培養は静置または振盪、
攪拌、通気下に回分培養法や半回分培養法あるいは連続
培養法により実施される。なお、当該培養に先立って前
培養を行うことが好ましい。この際の培地としては、例
えばYNB液体培地やYPD液体培地が使用される。前
培養の培養条件は次の通りである。すなわち、培養時間
は10〜100時間、温度は酵母では30℃、細菌では
37℃程度が好ましい。
【0017】かくして培養終了後、HSAは培養濾液ま
たは菌体、細胞からそれぞれ公知の分離手段により採取
される。
【0018】(2)HSAの精製 本発明のHSAの精製工程としては、各種分画法、吸着
クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ
ー、ゲル濾過、密度勾配遠心分離法、透析等の公知の方
法が採用される。当該精製工程としては、例えば以下の
〜を含む工程が好適に挙げられる。 ヒト血清アルブミンの産生宿主の培養上清を分画分
子量10万〜50万、及び1000〜5万の限外濾過膜
を用いて処理する。 50〜70℃で30分〜5時間加熱処理する。 pH3〜5で酸処理する。 分画分子量10万〜50万の限外濾過膜を用いて処
理する。 pH3〜5、塩濃度0.01〜0.2Mの条件下で
陽イオン交換体に接触させた後にpH8〜10、塩濃度
0.2〜0.5Mの条件下で溶出する。 pH6〜8、塩濃度0.01〜0.5Mの条件下で
疎水性クロマト用担体に接触させて、非吸着画分を回収
する、そして pH6〜8、塩濃度0.01〜0.1Mの条件下で
陰イオン交換体に接触させて、非吸着画分を回収する。 また、前記工程の代わりに、pH6〜8、塩濃度1〜
3Mの条件下で疎水性クロマト用担体に接触させた後
に、pH6〜8、塩濃度0.01〜0.5Mの条件下で
溶出する工程、または前記工程の代わりに、pH6〜
8、塩濃度0.001〜0.05Mの条件下で陰イオン
交換体に接触させた後に、pH6〜8、塩濃度0.05
〜1Mの条件下で溶出する工程、さらには前記工程と
の間、との間、またはの後で、pH3〜5、塩
濃度0.5〜3Mの条件下で塩析処理し、沈澱画分を回
収する工程をさらに含むものであってもよい。
【0019】(3)HSAの脱色 本発明のHSAの脱色工程は、上記精製工程において、
特に好ましくはその最後に組み込まれ、特定のリガンド
部を有するキレート樹脂とHSAを接触することにより
行われる。キレート樹脂の担体部分は疎水性を有する担
体であることが好ましく、例えばスチレンとジビニルベ
ンゼンの共重合体、アクリル酸とメタクリル酸の共重合
体等が挙げられる。一方、リガンド部は、N−メチルグ
ルカミン基等のポリオール基、イミノ基、アミノ基、エ
チレンイミノ基等を分子内に複数個有するポリアミン基
(この中にはポリエチレンポリアミン等のポリアルキレ
ンポリアミン基も含まれる)、およびチオ尿素基が挙げ
られる。上記担体部分とリガンド部を有するキレート樹
脂の市販品としては、担体部分がいずれもスチレンとジ
ビニルベンゼンの共重合体であるDIAION CRB02(リガン
ド部;N−メチルグルカミン基、三菱化成製)、DIAION
CR20 (リガンド部;−NH(CH 2 CH2 NH) n H、三菱
化成製)、LEWATIT TP(リガンド部;−NHCSN
2 、バイエル製)、アンバライトCG4000等が好
適に使用される。
【0020】当該キレート樹脂による処理条件は、好適
には次の通りである。 pH条件:酸性または中性(3〜9、好ましくは4〜
7) 時間:少なくとも1時間以上、好ましくは6時間以上 イオン強度:50mmho以下、好ましくは1〜10m
mho 混合比:HSA250mgに対して樹脂0.1〜100
g、好ましくは1〜10g(湿重量)
【0021】上記の工程(〜および塩析処理、さら
にキレート樹脂処理を含む)を経て得られうるHSAの
着色度は、HSA25%溶液の場合でA500nm /A
280nm が0.001〜0.005程度である。キレート
樹脂処理によりHSAの着色度は1/2〜1/10に低
減される。特に吸収波長500nm付近、すなわち赤色
系の着色度が1/3〜1/10に低減される。
【0022】(4)製剤化 本発明のHSAは公知の手法(限外濾過、安定化剤の添
加、除菌濾過、分注、凍結乾燥等)により製剤化するこ
とができる。こうして調製されたHSA製剤は注射剤と
して血漿由来HSA製剤と同様に臨床上用いることがで
きる。また、医薬品の安定化剤あるいは担体、運搬体と
しても利用可能である。
【0023】(5)本発明の遺伝子操作由来のHSAの
性状 本発明のHSAは、分子量約6万7千、等電点4.6〜
5.0の単一物質である。当該HSAは、単量体のみか
らなり、二量体、重合体または分解物を実質的に含まな
い。具体的には、二量体、重合体および分解物の全含有
量は0.01%以下程度である。また本発明のHSA
は、産生宿主に由来する夾雑成分(例えば、HSA以外
の蛋白質、多糖成分等)を実質的に含まず、該夾雑物と
の含量比から算出されるHSAの純度は99.9999
99%以上、好ましくは99.9999999%以上で
ある。具体的には、HSA25%溶液の場合で、蛋白質
成分が1ng/ml以下、好ましくは0.1ng/ml
以下が例示される。また、同じく多糖成分が10ng/
ml以下、好ましくは1ng/ml以下が例示される。
尚、本発明でいうHSAの純度とは、産生宿主に由来す
る夾雑成分との含量比から算出されるHSAの純度を意
味する。着色度はHSA25%溶液の場合でA350 /A
280 が0.01〜0.05、A 450 /A280 が0.00
1〜0.02、A500 /A280 が0.001〜0.00
5程度が例示される。また、HSAに結合している脂肪
酸量がHSA1分子当たり1分子以下、好ましくは0.
1分子以下が例示される。
【0024】
【実施例】本発明をより詳細に説明するために、実施例
を挙げるが、本発明はこれらによって何ら限定されるも
のではない。
【0025】参考例1 HSA産生宿主の培養 (1) 使用菌株:Pichia pastoris GCP101株 特開平2−104290号公報に述べられている方法に
より、ピキアパストリス(Pichia pastoris)GTS11
5(his4)のAOX1遺伝子領域に、AOX1プロ
モーター支配下にHSAが発現する転写ユニットを持つ
プラスミドpPGP1のNotIで切断した断片を置換
して、PC4130が得られている。この株はAOX1
遺伝子が存在しないためにメタノールを炭素源とする培
地での増殖能が低くなっている(Mut−株)。
【0026】PC4130をYPD培地(1%イースト
エキストラクト、2%バクトペプトン、2%グルコー
ス)3mlに植菌し、24時間後に初期OD540 =0.1
となるようにYPD培地50mlに植菌した。3日間30
℃で培養後に初期OD540 =0.1となるようにYPD
培地50mlに植菌した。さらに3日毎に同様の継代を繰
り返した。継代毎に菌体を107 cells/plate になるよ
うに滅菌水で希釈して2%MeOH−YNBw/oa.
a.プレート(0.7%イーストナイトロジエンベース
ウイズアウトアミノアシッド、2%メタノール、1.5
%寒天末に塗布し、30℃5日間培養してコロニーの有
無を判断した。その結果、12日間継代後に塗布した2
%MeOH−YNBw/oa.a.プレートから20個
のコロニーが生じた。このプレートではMut−株はほ
とんど生育できず、Mut+株は生育できる。すなわ
ち、このプレートではコロニーが生じるということはメ
タノールの資化性が上昇し、Mut+に変換した株が得
られたことを示している。生じたコロニーの内の1つを
適当に滅菌水で希釈して2%MeOH−YNBw/o
a.a.プレートに拡げシングルコロニーに単離した。
その1つをGCP101と名付けた。
【0027】(2) 菌株の培養 (前々培養)グリセロール凍結ストック菌株1mlを20
0mlのYPD培地(表1)を含むバッフル付1,000
ml容三角フラスコに植菌、30℃にて24時間振盪培養
した。
【0028】
【表1】
【0029】(前培養)YPD培地5Lを含む10L容
ジャーファーメンターに前々培養液を植菌し、24時間
通気攪拌培養した。培養温度は30℃、通気量は5L/
分とした。また、前培養においてはpHの制御は実施し
なかった。
【0030】(本培養)バッチ培養用培地(表2)25
0Lに前培養液を植菌し、1,200L容ファーメンタ
ーを用いて通気攪拌培養した。槽内圧は0.5kg/c
m2 、最大通気量を800N−L/min として溶存酸素濃
度が飽和溶存酸素濃度の50%〜30%程度を保持する
ように、攪拌速度を制御しながら回分培養を開始した。
回分培養において培地中のグリセロールが消費された時
点よりフィード培地(表3)の添加を開始した。このフ
ィード培地の添加にはコンピュータを使用し、培地中に
メタノールが蓄積しないように制御しながら高密度培養
を実施した。pHは28%アンモニア水を添加すること
により、pH5.85に定値制御した。消泡は消泡剤
(Adecanol、旭電化工業製) を回分培養開始時に0.3
0ml/L添加しておき、その後は必要に応じて少量添加
することで実施した。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】参考例2 参考例1のGCP101株から単離したAOX2プロモ
ーター [変異型。天然型AOX2プロモーター(TEAST,
5, 167-177 (1988)またはMol. Cell, Biol.,9, 1316-1
323 (1989))中、開始コドン上流の255番目の塩基が
TからCに変異したもの] を用いてHSA発現用プラス
ミドpMM042を構築し、ピキアパストリス(Pichia
pastoris) GTS115株に導入し、形質転換体UHG
42−3株を得た(特願平3−63599号)。参考例
1に準じてこのUHG42−3株を培養し、HSAを産
生させた。
【0034】参考例3 HSAの精製 [i] 培養上清の分離〜膜分画(II) 参考例1で得られた培養液約800Lを圧搾することに
より培養上清を分離した。培養上清を分画分子量が30
万の限外濾過膜で処理した。次いで、分画分子量が3万
の限外濾過膜を用いて液量を約80Lに濃縮した〔膜分
画(I)〕。この濃縮液を60℃、3時間の加熱処理
後、急速に約15℃に冷却し、pH4.5に調整し、再
度分画分子量が30万の限外濾過膜を用いて処理した
〔膜分画(II)〕。次いで、分画分子量が3万の限外
濾過膜を用いてアルブミン溶液中の緩衝液を50mM塩
化ナトリウムを含む50mM酢酸緩衝液,pH4.5に
交換した。
【0035】[ii] 陽イオン交換体処理 50mM塩化ナトリウムを含む50mM酢酸緩衝液,p
H4.5で平衡化したS−セファロース充填カラムにア
ルブミンを吸着させ、同緩衝液で十分洗浄したのち、
0.3M塩化ナトリウムを含む0.1Mリン酸緩衝液、
pH9でアルブミンの溶出を行った。
【0036】[iii] 疎水性クロマト処理 S−セファロース充填カラムから溶出されたアルブミン
溶液を0.15M塩化ナトリウムを含む50mMリン酸
緩衝液,pH6.8で平衡化したフェニルセルロファイ
ンを充填したカラムに添加した。この条件でフェニルセ
ルロファインを吸着することなく、カラムを通過した画
分を回収した。カラムを通過したアルブミンは、分画分
子量3万の限外濾過膜を用いて液量を約50Lに濃縮す
るとともに、アルブミン溶液中の緩衝液を50mMリン
酸緩衝液、pH6.8に交換した。
【0037】[iv] 陰イオン交換体処理 疎水クロマト処理後、濃縮及び緩衝液交換を行ったアル
ブミン溶液を50mMリン酸緩衝液,pH6.8で平衡
化したDEAE−セファロースを充填したカラムに添加
した。この条件ではアルブミンはDEAE−セファロー
スに吸着することなく、カラムを通過した。
【0038】[v] HSAの塩析処理 5%濃度のHSAに塩化ナトリウムを添加して最終濃度
1Mとした溶液を、酢酸でpH3.5に調整し、HSA
を沈澱させた。この沈澱を遠心により上清と分離し、不
純物を除去した。
【0039】[vi] 脱色処理 25%濃度の精製HSA1mlにDIAION CRB
02(担体部分はスチレン−ジビニルベンゼン共重合
体、リガンド部分はN−メチルグルカミン基からなるキ
レート樹脂,三菱化成製)1gを加え、pH6.8、イ
オン強度5mmhoの条件下、室温で24時間攪拌し
た。樹脂を蒸留水で洗浄し、非吸着画分をHSAとして
回収した。
【0040】実施例1 本発明の精製HSAの性状 (1) 精製工程のHPLC分析 疎水性クロマト処理までの精製工程を終了したHSAを
HPLCゲル濾過により分析した。ゲル濾過分析は下記
の条件で行った。 カラム:TSK gel G3000SW(東ソー社
製) 展開液:0.1M KH 2 PO4 /0.3M NaCl 緩衝液 検出:波長280nmでの吸光度 精製HSAはHSAモノマーのシングルピークとなっ
た。
【0041】(2) 酵母由来成分分析 アルブミン非産生酵母の培養上清を本法と同様の方法で
粗精製したものをウサギに免疫し、得られた抗血清を用
いて精製HSA中に存在する酵母由来成分の検出を試み
た。測定は酵素免疫測定法(EIA法)で行った。各サ
ンプルについての酵母由来成分の検出結果を示す。サン
プルはアルブミン濃度として250 mg/mlに調整したもの
を用いて測定した。
【0042】
【表4】
【0043】(3) 分子量 分子量測定は前述のHPLCゲル濾過法によった。本発
明の精製HSA中のHSAの分子量は約67000であ
り、血漿由来のHSAと同程度であった。
【0044】(4) 等電点 等電点は薄層ポリアクリルアミドゲルを用い、Allen ら
の方法 [J. Chromatog., 146, 1 (1978)] に準じて測定
した。本発明の精製HSA中のHSAの等電点は約4.
9であり、血漿由来のHSAと同程度であった。
【0045】(5) 着色度 着色度は280nm、350nm、450nm、500
nmでの吸光度を測定し、A350 /A 280、A 450/A
280、A 500/A 280を算出した。本発明の精製HSA
の着色度はA350 /A 280は約0.02、A 450/A
280は約0.01、A 500/A 280は約0.002であ
り、血漿由来のHSAと同程度であった。
【0046】(6) 結合脂肪酸量 測定には、NFEA−テストワコー(和光純薬社製)を
用いた。その結果、キレート樹脂処理前は1.6モル
(HSA1モル当たり)であったが、処理後は0.03
7モル(HSA1モル当たり)と大幅に減少した。
【0047】実施例2 参考例2で得た培養液を参考例3と同様に処理した。精
製されたHSAの性状は実施例1で開示した分子量・等
電点および着色度、多糖体含量、ゲル濾過パターンおよ
び酵母由来成分量と同程度であった。
【0048】
【発明の効果】本発明は産生宿主に由来する夾雑成分を
実質的に含まないことを特徴とする遺伝子操作由来のH
SAであり、かかる本発明によれば、産生宿主が分泌す
る物質が夾雑していないがゆえに、これらがHSAと結
合することによって起こる着色および他の夾雑物の混在
が充分に抑えられた高純度のHSAを提供することがで
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 21/02 C12R 1:84) (72)発明者 上出 佳永子 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 野田 宗宏 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 大村 孝男 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内 (72)発明者 横山 和正 大阪府枚方市招提大谷2丁目25番1号 株 式会社ミドリ十字中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒト血清アルブミン以外の産生宿主に由
    来する夾雑物を実質的に含まないことを特徴とする遺伝
    子操作により得られるヒト血清アルブミン。
  2. 【請求項2】 ヒト血清アルブミン以外の産生宿主に由
    来する夾雑物の量が実質的に抗原性を有さない量である
    ことを特徴とする遺伝子操作により得られるヒト血清ア
    ルブミン。
JP10124714A 1998-05-07 1998-05-07 遺伝子操作により得られるヒト血清アルブミン Pending JPH11191A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1119352C (zh) * 1998-05-15 2003-08-27 中国科学院上海生物化学研究所 人血清白蛋白在毕赤酵母中的表达与纯化

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