JP2005348278A - 所望波到来方向推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】到来波のうち所望波の到来方向を推定することによって良好な通信品質を得る。
【解決手段】互いに同一波形の信号を含むガード区間及び末尾区間を単位信号区間に含む無線伝送方式にて使用され、無線信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアンテナ素子50と、アンテナ素子50により受信された複数チャネルの受信信号X’k(t)(以下、kは1以上の整数)からそれぞれガード区間と末尾区間を抽出し、ガード区間信号ベクトルXh(t)と末尾区間信号ベクトルXt(t)とを算出し、これらのベクトルから相関関係Rxx及びRyyを算出すると共に、差ベクトルD(t)を算出し、相関関係Rxx及びRyy、並びに、前記差ベクトルD(t)を用いて角度スペクトルPCPx(θ)及びPCPy(θ)を算出してアンテナ素子50によって受信される到来波のうち所望波の到来方向を推定する所望波到来方向推定装置によって上記課題を解決できる。
【選択図】図3
【解決手段】互いに同一波形の信号を含むガード区間及び末尾区間を単位信号区間に含む無線伝送方式にて使用され、無線信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアンテナ素子50と、アンテナ素子50により受信された複数チャネルの受信信号X’k(t)(以下、kは1以上の整数)からそれぞれガード区間と末尾区間を抽出し、ガード区間信号ベクトルXh(t)と末尾区間信号ベクトルXt(t)とを算出し、これらのベクトルから相関関係Rxx及びRyyを算出すると共に、差ベクトルD(t)を算出し、相関関係Rxx及びRyy、並びに、前記差ベクトルD(t)を用いて角度スペクトルPCPx(θ)及びPCPy(θ)を算出してアンテナ素子50によって受信される到来波のうち所望波の到来方向を推定する所望波到来方向推定装置によって上記課題を解決できる。
【選択図】図3
Description
本発明は、アレイアンテナを用いて所望波の到来方向を推定する装置に関する。
多量のデータを高速に伝送する無線通信方式としてマルチキャリア伝送方式が知られ、実用化に向けて研究開発が進められている。中でも、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数多重分割)方式の研究が盛んである。OFDMは互いに直交する多数のキャリア(サブキャリア)を用いた変調方式であり、周波数利用効率が比較的高く、またFFT(Fast Fourier Transform)による変復調処理が可能などの多くの特徴を有する。
OFDM方式におけるガード区間を利用したMMSEアダプティブアレーを用いた受信原理を説明する。アダプティブ受信機は、送信信号を複数(K個とする)のアンテナ素子からなるアレーアンテナで受信する。各アンテナ素子で得られるベースバンド信号x'k(t)(k=1,2,…,K)は、ウエートwk(k=1,2,…,K)により重み付け合成される。この合成受信信号y'(t)から先頭ガード区間の信号を除去し、送信機のOFDM変調部とは逆の処理を行うことにより、送信されたデータ系列が再生される。
ここで、互いに同一信号となるはずである2つのガード区間の一方にて得られるベースバンド信号を入力信号とし、他方にて得られる合成受信信号を参照信号として、先頭ガード区間と末尾ガード区間と信号の差異が最小となるようにウェートを決定する。この最適ウエートを決定するためにMMSE規範が用いられる。
また、所望波と当該所望波の反射波(遅延波)とが受信される環境において、遅延波の影響を軽減し正確にデータを再生するために、各OFDMの有効シンボルに対応した単位信号区間(シンボル区間)の末尾の所定長区間と同一波形を繰り返すガード区間が先頭に設けられる。遅延波が所望波に対してこのガード区間の長さ以下で遅延している場合には、所望波の1シンボル区間の信号と、この1シンボル区間に同期して受信される遅延波の信号とは位相差を有するが同一のデータ内容を含んでいる。ガード区間を設けることにより、所望波と遅延波とが混在していてもシンボルを正確に復調することが可能である。よって、特にマルチパス環境において、単一キャリア方式に比べて優れた性能を発揮することができる。
しかしながら、OFDM伝送方式は、電力増幅器の非線形特性に弱いことが知られている。また、多数のサブキャリアを用いて伝送を行うため、ピーク対平均電力比(PAPR:Peak-to-Average Power Ratio)がサブキャリア数に比例して高くなり、送信電力増幅器での非線形歪みに起因した帯域外スペクトル放射が生ずる問題がある。
これらを防ぐために、電力増幅器を線形領域で動作させる必要があるが、電力増幅器の所要バックオフが大きく、電力効率の低下や消費電力の増大を招く原因となる。
本発明は、上記従来技術の問題を鑑み、所望波の方向を推定し、アンテナ利得を向上させることによって電力増幅器の負担や消費電力を低減することができる所望波到来方向推定装置を提供することを目的とする。
本発明は、互いに同一波形の信号を含む第1部分区間及び第2部分区間を無線信号の単位信号区間に内包する無線伝送方式にて使用される所望波到来方向推定装置において、前記無線信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナと、複数の前記アンテナ素子により受信された複数チャネルの原受信信号X’k(t)(以下、kは1以上の整数)からそれぞれ前記第1部分区間を抽出して第1区間信号xhk(t)として出力する第1区間抽出部と、前記複数チャネルの原受信信号X’k(t)からそれぞれ前記第2部分区間を抽出して第2区間信号xtk(t)として出力する第2区間抽出部と、前記第1区間抽出部から第1区間信号xhk(t)を受けて、第1区間信号ベクトルXh(t)を次式
に基づいて算出する第1前処理部と、前記第2区間抽出部から第2区間信号xhk(t)を受けて、第2区間信号ベクトルXt(t)を次式
に基づいて算出する第2前処理部と、前記第1前処理部及び前記第2前処理部とから第1区間信号ベクトルXh(t)及び第2区間信号ベクトルXt(t)を受けて、次式
に基づいて相関関係Rxx及びRyyを算出すると共に、第1区間信号ベクトルXh(t)と第2区間信号ベクトルXt(t)との差ベクトルD(t)を算出し、前記相関関係Rxx及びRyy、並びに、前記差ベクトルD(t)を用いて次式
に基づいて角度スペクトルPCPx(θ)及びPCPy(θ)を算出し、前記角度スペクトルPCPx(θ)及びPCPy(θ)に基づいて前記アンテナアレイによって受信される到来波のうち所望波の到来方向を推定する所望波到来方向推定部と、を備えることを特徴とする。
本発明の別の態様は、互いに同一波形の信号を含む第1部分区間及び第2部分区間を無線信号の単位信号区間に内包する無線伝送方式にて使用される所望波到来方向推定装置において、前記無線信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナと、複数の前記アンテナ素子により受信された複数チャネルの原受信信号X’k(t)(以下、kは1以上の整数)からそれぞれ前記第1部分区間を抽出して第1区間信号xhk(t)として出力する第1区間抽出部と、前記複数チャネルの原受信信号X’k(t)からそれぞれ前記第2部分区間を抽出して第2区間信号xtk(t)として出力する第2区間抽出部と、前記第1区間抽出部から第1区間信号xhk(t)を受けて、第1区間信号ベクトルXh(t)を次式
に基づいて算出する第1前処理部と、前記第2区間抽出部から第2区間信号xhk(t)を受けて、第2区間信号ベクトルXt(t)を次式
に基づいて算出する第2前処理部と、前記第1前処理部及び前記第2前処理部とから第1区間信号ベクトルXh(t)及び第2区間信号ベクトルXt(t)を受けて、次式
に基づいて相関関係Rxx及びRyyを算出すると共に、第1区間信号ベクトルXh(t)と第2区間信号ベクトルXt(t)との差ベクトルD(t)を算出し、Lを到来波の数、Rxxの固有値、固有ベクトルをそれぞれλxi,exi(i=1,2,・・・,K)、同様にRyyの固有値、固有ベクトルをλyi,eyi(i=1,2,・・・,K)として、前記相関関係Rxx及びRyy、並びに、前記差ベクトルD(t)を用いて次式
に基づいて角度スペクトルPMNx(θ)及びPMNy(θ)を算出し、前記角度スペクトルPMNx(θ)及びPMNy(θ)に基づいて前記アンテナアレイによって受信される到来波のうち所望波の到来方向を推定する所望波到来方向推定部と、を備えることを特徴とする。
本発明の所望波到来方向推定装置によれば、到来波のうち所望波の到来方向を推定することができ、良好な通信品質が得られる効果がある。
本発明におけるOFDM送信機は、図1に示すように、シリアル/パラレル変換器(S/P器)10、変調器12−1〜12−m、逆離散フーリエ変換器(IDFT器:Invert Discrete Fourier Transformer)14、デジタル/アナログ変換器(D/A変換器)16、低周波通過フィルタ(LPF)18、ミキサ20、帯域通過フィルタ(BPF)22及びアンテナ24を含んで構成される。
S/P器10は、送信データに対してシリアル/パラレル変換を行い、m系列のデータに分割する。m系列のパラレル信号に分割されたデータは、変調器12−1〜12−mにそれぞれ入力される。分割されたデータは、変調器12−1〜12−mでそれぞれ変調を受けた後にIDFT器14に入力される。IDFT器14では、逆離散フーリエ変換を用いてOFDM変調が行われる。IDFT器14からの出力信号にはガード区間が付加された後に、D/A変換器16に送られてアナログ信号に変換される。さらに、LPF18により帯域外成分が除去される。続いて、ミキサ20により搬送波周波数にアップコンバートされた後に、BPF22を経て送信信号としてアンテナ24から放射される。
図2に、OFDM変調された信号の例を示す。図2において、横軸は時間tであり、縦軸は信号の振幅を示している。信号は、ガード区間TgとIDFTの有効シンボル区間Teとを含んで構成される。ガード区間Tgは、有効シンボル区間Teの末尾の時間Tgにおける波形と同一の波形を有効シンボル区間Teの先頭に付加したものである。一般にガード区間Tgには複数の信号値が含まれる。例えば、サブキャリア数を1024とした場合、1シンボルは1024個の信号値で表される。有効シンボル区間TEには、その数の信号値が配列され形成される波形が格納される。ここで例えば、ガード区間TGをTEの1/8に設定すると、ガード区間の信号波形は128個の信号値の配列で表される。ガード区間Tgにより、ガード区間Tg以内の遅延時間で到来する信号によるキャリア間の干渉を防ぎ、伝送特性の劣化を抑制している。なお、以下の説明では、有効シンボル区間Teの末尾の時間Tg分を末尾区間Ttとして示す。
次に、本発明の実施の形態におけるOFDMアダプティブ受信機200は、図3に示すように、K系列の受信システムを含んで構成される。この受信機は、図1に示すOFDM送信機100から放射された無線信号を受信する。本実施の形態におけるOFDMアダプティブ受信機200は、前段の所望波到来方向推定部84において所望波の到来方向の推定を行う。
マルチパス伝搬路を通り到来した信号はK個のアンテナ素子50からなるアレーアンテナで受信される。K個のアンテナ素子50により受信されたKチャネルの原受信信号はそれぞれバンドパスフィルタ52を通過した後、局部発振器54からの局部発振信号とミキサ56にて混合され、周波数がダウンコンバートされる。さらに低域通過フィルタ58により帯域制限を行うことでベースバンド信号x'k(t)(k=1,2,…,K)が得られる。このベースバンド信号はA/D(Analog to Digital)変換器60によりデジタル信号に変換される。
デジタル信号に変換された各チャネルのベースバンド信号x'k(t)は、重み付け部62にてそれぞれウェートwk(k=1,2,…,K)により重み付けされ、しかる後、合成部64にて互いに加算合成され、合成受信信号y'(t)が生成される。重み付けのウェートは、ウェート制御部74において決定される。ガード区間除去部66は、同期がとれているチャネルの信号を基準として、合成受信信号y'(t)から先頭ガード区間部分を取り除き、有効シンボル区間を出力する。離散フーリエ変換器(DFT:Discrete Fourier Transformer)68は、ガード区間除去部66から出力された有効シンボル区間の信号y'(t)を離散フーリエ変換する。これにより、y'(t)に周波数多重化されていた各サブキャリアの成分信号が弁別される。
各サブキャリアに対応する成分信号はそれぞれ復調器70により、送信機での例えば16QAM等の変調方式に対応した復調を施された後、P/S(Serial to Parallel)変換器72に入力される。各復調器70から同時並列に出力されるデータは、送信機のS/P変換器10にてサブキャリア数に応じて分割された1シンボル分のデータ系列であり、P/S変換器72は、これら複数の復調器70から同時並列に出力される各データ系列をP/S変換して連続した1シンボルのデータ系列を再生し出力する。
各チャネル毎に設けられベースバンド信号x'k(t)を入力されるガード区間抽出部76は、同期がとれているチャネルの先頭ガード区間の開始時刻からガード区間Tg分のx’k(t)を切り出す。この切り出されたガード区間信号をxhk(t)(k=1,2,…,K)と表す。また、各チャネル毎に設けられベースバンド信号x'k(t)を入力される末尾区間抽出部78は、同期のとれているチャネルの末尾から末尾区間Tt分のx’k(t)を切り出す。この切り出された末尾区間信号をxtk(t)(k=1,2,…,K)と表す。
前処理部80,82では、それぞれガード区間信号xhk(t)(k=1,2,…,K)又は末尾区間信号xtk(t)(k=1,2,…,K)を受けて、ガード区間信号ベクトルXh(t)及び末尾区間信号ベクトルXt(t)を生成する。ガード区間信号Xh(t)及び末尾区間信号ベクトルXt(t)は、ガード区間信号xhk(t)(k=1,2,…,K)又は末尾区間信号xtk(t)(k=1,2,…,K)をそれぞれベクトル表記したものであり、数式(1)及び(2)のように表すことができる。ここで、上添字Tは転置を示す。
図4に、所望波と不要波とのガード区間tgの関係を示す。ここで、所望波は同期が取れている到来波を意味するものとする。
ガード区間抽出部76及び末尾区間抽出部78によって得られたガード区間信号ベクトルXh(t)と末尾区間信号ベクトルXt(t)との差ベクトルD(t)について考察すると、雑音がない理想的な状態では、所望波の信号成分については、ガード区間Tgの性質上からキャンセルされることとなる。従って、相関行列Ryyを数式(3)のように定義すると、相関行列Ryyには所望波の到来方向情報は含まれないこととなる。すなわち、相関行列Ryyには所望波以外(不要波のみ)の到来方向情報が含まれることとなる。ここで、E[・]は期待値演算を示し、上添字Hは共役転置を表す。
一方、相関行列Rxxを数式(4)のように定義すると、相関行列Rxxにはすべての到来方向情報が含まれることとなる。
所望波到来方向推定部84は、前処理部80,82からガード区間信号ベクトルXh(t)及び末尾区間信号ベクトルXt(t)を受けて、これら2つの相関行列Ryy及びRxxを算出し、所望波のみの到来方向を推定する。そこで、以下にその方法について説明する。
<Capon法を利用した推定方法>
第1の方法としてCapon法を利用した所望波の到来方向の推定方法を以下に説明する。2つの相関行列Ryy及びRxxに基づいて数式(5)及び(6)を用いて角度スペクトルPCPx(θ)及びPCPy(θ)を算出することができる。ここで、α(θ)はモードベクトルである。
第1の方法としてCapon法を利用した所望波の到来方向の推定方法を以下に説明する。2つの相関行列Ryy及びRxxに基づいて数式(5)及び(6)を用いて角度スペクトルPCPx(θ)及びPCPy(θ)を算出することができる。ここで、α(θ)はモードベクトルである。
総ての到来波の方向情報はRxxに含まれ、Ryyには所望波以外の到来波の方向情報が含まれる。したがって、角度スペクトルPCPx(θ)は総ての到来波方向にピークを有する。一方、角度スペクトルPCPy(θ)は所望波以外、すなわち不要波のみの到来波方向にピークを有する。そこで、数式(7)によって角度スペクトルPCa(θ)を算出することができる。角度スペクトルPCPx(θ),PCPy(θ)のピークの高さが到来波の電力を示すので、不要波についてのピークはキャンセルされて、図5に示すように、角度スペクトルPCa(θ)は所望波方向のみにピークを有するものとなる。
そこで、角度スペクトルPCa(θ)における最大のピークを有する到来波にメインローブを向けることによって他の波には指向性を低減することができる。このように、端末局から無線アクセス基地局へ到来する所望波の方向を推定することによって、基地局から端末局への送信ビームを絞ってアンテナ利得を向上したり、アンテナ自体を動かすことによって推定した到来方向にアンテナの指向性を機械的に向けたりすることにより、電力増幅器の負担や消費電力を低減することができる。また、推定された所望波の到来方向に基づいて、他の装置のアンテナの指向性を機械的に制御することもできる。
<MUSIC法を利用した推定方法>
第2の方法としてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を利用した所望波の到来方向の推定方法を以下に説明する。Lを到来波の数、Rxxの固有値、固有ベクトルをそれぞれλxi,exi(i=1,2,・・・,K)、同様にRyyの固有値、固有ベクトルをλyi,eyi(i=1,2,・・・,K)とすると、2つの相関行列Rxx,Ryyを用いた角度スペクトルPMNx(θ)及びPMNy(θ)は数式(8)及び(9)により求めることができる。
第2の方法としてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を利用した所望波の到来方向の推定方法を以下に説明する。Lを到来波の数、Rxxの固有値、固有ベクトルをそれぞれλxi,exi(i=1,2,・・・,K)、同様にRyyの固有値、固有ベクトルをλyi,eyi(i=1,2,・・・,K)とすると、2つの相関行列Rxx,Ryyを用いた角度スペクトルPMNx(θ)及びPMNy(θ)は数式(8)及び(9)により求めることができる。
ここで、Ryyには所望波の到来方向情報が含まれないので、Rxxに対して到来波数は1波だけ少なくなる。上記Capon法と同様な考え方でPMu(θ)を数式(10)により算出することができる。
角度スペクトルPMNx(θ),PMNy(θ)のピークの高さが到来波の電力を示すので、不要波についてのピークはキャンセルされて、上記Capon法と同様に、角度スペクトルPMua(θ)は所望波方向のみにピークを有するものとなる。そこで、角度スペクトルPMu(θ)における最大のピークを有する到来波にメインローブを向けることによって他の波には指向性を低減することができる。このように、端末局から無線アクセス基地局へ到来する所望波の方向を推定することによって、基地局から端末局への送信ビームを絞ってアンテナ利得を向上したり、アンテナ自体を動かすことによって推定した到来方向にアンテナの指向性を機械的に向けたりすることにより、電力増幅器の負担や消費電力を低減することができる。また、推定された所望波の到来方向に基づいて、他の装置のアンテナの指向性を機械的に制御することもできる。
<Capon法とMUSIC法との比較>
熱雑音電力をσ2とし、信号電力対雑音電力比(CNR)が十分大きいと仮定すると、相関行列の逆行列Rxx -1及びRyy -1は数式(11)及び(12)で近似することができる。
熱雑音電力をσ2とし、信号電力対雑音電力比(CNR)が十分大きいと仮定すると、相関行列の逆行列Rxx -1及びRyy -1は数式(11)及び(12)で近似することができる。
従って、角度スペクトルPCa(θ)とPMu(θ)との関係は数式(13)で表すことができる。すなわち、CNRが十分大きい場合には両者の結果はほぼ一致するといえる。
<推定結果の例>
以下に、上記2つの方法を用いて所望波の到来方向を推定したシミュレーション結果を示す。計算機シミュレーションで用いた条件を表1に示す。
以下に、上記2つの方法を用いて所望波の到来方向を推定したシミュレーション結果を示す。計算機シミュレーションで用いた条件を表1に示す。
なお、アレイのブロードサイド方向を0°(deg)とし、シンボル同期及び周波数オフセット補償(搬送波周波数同期)は完全であるとした。また、すべての到来波はフェージング変動のない単一波として扱った。また、各角度スペクトルは、OFDMの1シンボルのみを用いて計算した。ここで、キャリア数を1024、ガード区間Tgを有効シンボルの1/8としたので、相関行列Rxx,Ryyを求めるためのスナップショット数は128となる。
まず、到来波の遅延時間に関する検討を行った。電波環境の詳細を表2に示す。ここで、到来波の数は、アレイの素子数が4素子であるので、自由度内の最大数の3波とした。また、第1波に対するCNRは30dBとした。
図6に、遅延時間に対する所望波の到来推定特性を示す。図6において、横軸は到来角度を示し、縦軸はスペクトラム強度を示す。遅延時間に対する所望波の特性では、角度スペクトルのダイナミックレンジはCapon法よりもMUSIC法が広くなり、所望波の到来方向の推定能力を高くすることができる。
また、Capon法を利用した場合、遅延時間によらず同様な特性を示した。これに対して、MUSIC法を利用した場合、遅延時間の変化に伴って特性が僅かに変化している。特に、所望波以外の到来方向である60°(deg)と−30°(deg)におけるスプリアスが顕著である。これは、Capon法の角度スペクトルPCPx(θ),PCPy(θ)のピークの高さが到来波の電力を示し、所望波以外の方向では両者のピークの高さが一致するのに対して、MUSIC法の角度スペクトルPMNx(θ),PMNy(θ)のピークの高さは一致しないことに由来していると考察される。
次に、所望波対不要波比(DUR)に関する検討を行った。電波環境の詳細を表3に示す。ここでも、第1波に対するCNRは30dBとした。
図7に、DURに対する所望波の到来推定特性を示す。図7において、横軸は到来角度を示し、縦軸はスペクトラム強度を示す。Capon法及びMUSIC法のいずれにおいてもDURが増加するほど良好な所望波の到来方向の推定特性を示した。
さらに、異なる電波環境においてCNRに関する検討を行った。電波環境の詳細を表4に示す。ここでは、Capon法を利用した場合には第1波に対するCNRを10,20,30,50dBとし、MUSIK法を利用した場合には第1波に対するCNRを10,20,30dBと変化させて、所望波の到来方向の推定特性を評価した。
図8に、CNRに対する所望波の到来推定特性を示す。図8において、横軸は到来角度を示し、縦軸はスペクトラム強度を示す。Capon法及びMUSIC法のいずれにおいてもCNRが減少するほど良好な所望波の到来方向の推定能力が低下した。その低下の度合いは、MUSIC法を利用した場合の方が大きくなった。また、Capon法を利用した場合では、CNRが大きくなると、MUSIC法を利用した場合に特性が近づくことが分かった。
次に、到来角度に関する検討を行った。電波環境の詳細を表5に示す。ここでは、第2波の到来角度を60,45,30,20°(deg)と変化させて、2つの方法における所望波の到来方向の推定特性を評価した。
図9に、到来角度に対する所望波の到来推定特性を示す。図9において、横軸は到来角度を示し、縦軸はスペクトラム強度を示す。Capon法及びMUSIC法のいずれにおいても第1波と第2波との到来角度が近くなるほど、所望波の到来方向の推定能力が低下した。また、MUSIC法を利用した場合の方がダイナミックレンジが広いことから、高い角度分解能を得ることができる。
最後にスナップショット数に関する検討を行った。電波環境の詳細を表6に示す。ここでは、角度スペクトラムは、OFDMの1シンボルのみを用いて計算しているが、スナップショット数を128,64,32,16と変化させて、2つの方法の所望波の到来方向の推定特性を評価した。第1波に対するCNRは30dBとした。
図10に、ガード区間の先頭から連続して各スナップショット数をサンプルした場合の所望波の到来推定特性を示す。また、図11に、ガード区間において等間隔で各スナップショット数をサンプルした場合の所望波の到来推定特性を示す。各図において、横軸は到来角度を示し、縦軸はスペクトラム強度を示す。
図10及び11から、Capon法を利用した場合には、スナップショット数やそのサンプリング方法による所望波の到来方向の推定特性への影響はほとんど無いことがわかる。一方、MUSIC法を利用した場合には、ガード区間の先頭から連続でサンプルしたときには、スナップショット数が多いほど所望波の到来方向の推定特性が良好であることがわかる。ガード区間において等間隔でサンプルしたときには、スナップショット数が多いほど所望波の到来方向の推定特性が良くなるということはなく、電波環境に応じた最適なスナップショット数が存在するといえる。これは、ガード区間の性質上、雑音の無い理想的な状況では、2つのCHOP区間(h−CHOP,t−CHOP)の差(Xh(t)−Xt(t))が第2波の遅延時間以降生じないことによるものと考察できる。
以上のように、本実施の形態によれば、所望波の到来方向の推定確度を高めることができる。従って、最大のピークを有する到来波にメインローブを向けることによって、基地局から端末局への送信ビームを絞ってアンテナ利得を向上することにより、電力増幅器の負担や消費電力を低減することができる。
10 シリアル/パラレル変換器、12 変調器、14 逆離散フーリエ変換器、16 デジタル/アナログ変換器、18 低周波通過フィルタ、20 ミキサ、22 帯域通過フィルタ、24 アンテナ、50 アンテナ素子、52 バンドパスフィルタ、54 局部発振器、56 ミキサ、58 低域通過フィルタ、60 アナログ/デジタル変換器、62 重み付け部、64 合成部、66 ガード区間除去部、68 離散フーリエ変換器、70 復調器、72 シリアル/パラレル変換器、74 ウェート制御部、76 ガード区間抽出部、78 末尾区間抽出部、80,82 前処理部、84 所望波到来方向推定部、100 送信機、200 アダプティブ受信機。
Claims (2)
- 互いに同一波形の信号を含む第1部分区間及び第2部分区間を無線信号の単位信号区間に内包する無線伝送方式にて使用される所望波到来方向推定装置において、
前記無線信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナと、
複数の前記アンテナ素子により受信された複数チャネルの原受信信号X’k(t)(以下、kは1以上の整数)からそれぞれ前記第1部分区間を抽出して第1区間信号xhk(t)として出力する第1区間抽出部と、
前記複数チャネルの原受信信号X’k(t)からそれぞれ前記第2部分区間を抽出して第2区間信号xtk(t)として出力する第2区間抽出部と、
前記第1区間抽出部から第1区間信号xhk(t)を受けて、第1区間信号ベクトルXh(t)を次式
前記第2区間抽出部から第2区間信号xhk(t)を受けて、第2区間信号ベクトルXt(t)を次式
前記第1前処理部及び前記第2前処理部とから第1区間信号ベクトルXh(t)及び第2区間信号ベクトルXt(t)を受けて、次式
前記相関関係Rxx及びRyy、並びに、前記差ベクトルD(t)を用いて次式
前記角度スペクトルPCPx(θ)及びPCPy(θ)に基づいて前記アンテナアレイによって受信される到来波のうち所望波の到来方向を推定する所望波到来方向推定部と、
を備えることを特徴とする所望波到来方向推定装置。 - 互いに同一波形の信号を含む第1部分区間及び第2部分区間を無線信号の単位信号区間に内包する無線伝送方式にて使用される所望波到来方向推定装置において、
前記無線信号を受信する複数のアンテナ素子からなるアレイアンテナと、
複数の前記アンテナ素子により受信された複数チャネルの原受信信号X’k(t)(以下、kは1以上の整数)からそれぞれ前記第1部分区間を抽出して第1区間信号xhk(t)として出力する第1区間抽出部と、
前記複数チャネルの原受信信号X’k(t)からそれぞれ前記第2部分区間を抽出して第2区間信号xtk(t)として出力する第2区間抽出部と、
前記第1区間抽出部から第1区間信号xhk(t)を受けて、第1区間信号ベクトルXh(t)を次式
前記第2区間抽出部から第2区間信号xhk(t)を受けて、第2区間信号ベクトルXt(t)を次式
前記第1前処理部及び前記第2前処理部とから第1区間信号ベクトルXh(t)及び第2区間信号ベクトルXt(t)を受けて、次式
Lを到来波の数、Rxxの固有値、固有ベクトルをそれぞれλxi,exi(i=1,2,・・・,K)、同様にRyyの固有値、固有ベクトルをλyi,eyi(i=1,2,・・・,K)として、前記相関関係Rxx及びRyy、並びに、前記差ベクトルD(t)を用いて次式
前記角度スペクトルPMNx(θ)及びPMNy(θ)に基づいて前記アンテナアレイによって受信される到来波のうち所望波の到来方向を推定する所望波到来方向推定部と、
を備えることを特徴とする所望波到来方向推定装置。
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