JP2005344928A - オイルシールおよびこれを含む密封構造 - Google Patents

オイルシールおよびこれを含む密封構造 Download PDF

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Abstract

【課題】鳴き音を確実に抑制するオイルシールおよび密封構造を提供すること。
【解決手段】シールリップの摺接面の断面曲線をフーリエ変換して得られた波長と振幅の関係で表される表面性状において、波長30μm成分の振幅を0.3μm以上、好ましくは0.5μm以上とする。摺接面に深い凹(高い凸)を付与し、相手方(被摺接面)への真実接触部を小さくする。摩擦係数が摺動速度に依存する度合いを少なくして、鳴き音の発生を抑制する。波長120μm成分の振幅を2.5μm以下、より好ましくは2μm以下とすることにより、必要な密封性を確保する。
【選択図】図3

Description

本発明は、オイルシールおよびこれを含む密封構造に関する。
従来、潤滑性や摩擦特性を向上させることを目的として、シールリップの摺動面に粗さ加工を施して摺動面に油等を保持するオイルシールが提供されている(例えば特許文献1,2)。
また、摺動面に潤滑油膜を長期に保持するために、摺接面の円周方向に高さが5〜50μm多数の凸部をランダム又は所定配列にて形成した密封装置が提供されている(例えば特許文献3)。
特開2002−22027号公報 特開2001−355740号公報 特開平10−196664号公報
軸受用のオイルシールにおいては、その摺動面に塗布されたグリースがなくなってドライ状態になると、シールリップが振動して鳴き音が発生するという問題がある。
この鳴き音対策として、表面粗さを適宜に設定しても、鳴き音が発生する場合と発生しない場合があった。すなわち、従来の十点平均粗さ等の表面粗さの指標では、鳴き音が発生するか否かの区別ができなかった。
そこで、本発明の課題は、鳴き音を確実に抑制することのできるオイルシールおよびこれを含む密封装置を提供することである。
本願発明者は、摺接面の摺動速度の増大によってオイルシールのゴムの動摩擦係数が低下し、スティックスリップ現象を起こし、シールリップの先端が振動して鳴き音が発生するという知見を得た。本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、摺接面を含むシールリップを備え、上記摺接面の断面曲線をフーリエ変換して得られた波長と振幅の関係で表される表面性状において、波長30μm成分の振幅が0.3μm以上で、且つ波長120μm成分の振幅が2.5μm以下であるオイルシールを提供する。
本発明では、サンプリングされた表面の形状曲線を波の関数とみなしてフーリエ変換し、周波数解析する。波長30μmという相対的に高周波の(周期の短い)成分の振幅を0.3μm以上とすることで、摺接面に細くて深い凹(高い凸)を付与することになる。これにより、相手方(被摺接面)への真実接触部を小さくすることができ、その結果、静止摩擦係数を小さくして軌道トルクを小さくすることができる。また、摩擦係数が摺動速度に依存する度合いを少なくして、鳴き音の発生を抑制することができる。一方、波長120μmという相対的に低周波の(周期の長い)成分の振幅が2.5μmを超えると、シール機能が不安定になるおそれがあるので、2.5μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。
本発明において、波長30μm成分の振幅が0.5μm以上であれば、摺接面に細くてより深い凹(高い凸)を付与することで、摺接時の真実接触部をより小さくでき、その結果、静止摩擦係数をより小さくすることができると共に、摩擦係数が摺動速度に依存する度合いをより少なくして鳴き音の発生を確実に防止することができる。
本発明は、上記のオイルシールと、オイルシールのシールリップの摺接面と摺動する被摺接面を備える被摺動部材とを有し、被摺接面の表面粗さが摺接面の表面粗さよりも小さいことを特徴とする密封構造を提供する。この場合、摺接面に相手方よりも深くて高い凹凸を付与することにより、摺動と共に凹凸が変形し、摺接面の真実接触部を静止摩擦から動摩擦へと徐々に移行させることができる。したがって、見かけ上の静止摩擦係数を低下させて起動トルクを小さくすることができる。また、摩擦係数が摺動速度に依存する度合いを小さくすることができ、オイルシールの鳴き音の発生を抑制することができる。
本発明の好ましい実施の形態を添付図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施の形態の密封装置が適用された転がり軸受の概略断面図である。図1を参照して、転がり軸受1は、回転側の軌道輪としての内輪2と、固定側の軌道輪としての外輪3と、内輪2と外輪3との間に配置された複数の転動体としての玉4と、これ1の玉4を保持するための保持器5と、内輪2と外輪3との間を密封するための密封装置としてのオイルシール6とを備える。転がり軸受1の内部にはグリースが封入されている。
オイルシール6は外輪3の一対の端部の内周にそれぞれ固定されている(図1では一方のオイルシール6のみを示す)。他方のオイルシール6に代えて密封板を用いることも可能である。
オイルシール6は、ゴムを含む環状のシール部材7と、環状にて断面略L字型をなす芯金8とを備えている。芯金8は、シール部材7と加硫接着されることにより、シール部材7を補強する。
シール部材7に含まれるゴムの材質としては、例えばNBR(ニトリルゴム)、HNBR(水素添加ニトリルゴム)、ACM(アクリルゴム)、FKM(フッ素ゴム)を示すことができる。シール部材7は、内輪2の端部外周のシール溝9に臨む内周部10と、外輪3の端部内周の装着溝11に圧入された外周部12とを備える。シール部材7の内周部10には、シールリップ13と、第1および第2のラビリンス形成用リップ14,15とが形成されている。
シールリップ13は、シール部材7の内周縁において軸方向内側に張出し、シール溝9の軸方向外側を向いた側面9aに摺接する。
第2のラビリンス形成用リップ15は第1のラビリンス形成用リップ14よりも径方向外側に配置されている。
第1のラビリンス形成用リップ14は、シール部材7の内周縁近傍に形成され、シール溝9の外径側を向く面に近接対向している。第1のラビリンス形成用リップ15は、シールリップ13より少し外径側の部分において軸方向内側に張り出し、シール溝9と内輪2の外径との間の角部に近接対向している。
図1およびオイルシールの要部の拡大図である図2を参照して、シールリップ13の表面はシールリップ13の先端縁を含む領域に内輪2と摺接する摺接面16を含んでいる。シール部材6の少なくとも摺接面16を含む領域A(図2参照)の表面粗さは、下記のように設定されている。
すなわち、摺接面16の断面曲線をフーリエ変換して得られた波長と振幅の関係で表される表面性状において、波長30μm成分の振幅が0.3μm以上で、且つ波長120μm成分の振幅が2.5μm以下である。断面曲線は例えばレーザー光を走査して得られるスキャンデータや、断面曲線を得ようとするラインを含む所定面積のエリアのレーザ光による撮像データを二値化処理して求めることができる。また、触針式の表面粗さ測定機により得られる断面形状を情報化して断面曲線を得るようにしても良い。
波長30μmという相対的に高周波の(周期の短い)成分の振幅を0.3μm以上とすることで、摺接面16に細くて深い凹(高い凸)を付与することになる。これにより、相手方(被摺接面17)への真実接触部を小さくすることができ、その結果、静止摩擦係数を小さくして軌道トルクを小さくすることができる。また、摩擦係数が摺動速度に依存する度合いを少なくして、鳴き音の発生を抑制することができる。
また、波長30μmの成分の振幅を0.5μm以上とすれば、摺接面に細くてより深い凹(高い凸)を付与することで、摺接時の真実接触部をより小さくでき、その結果、静止摩擦係数をより小さくすることができると共に、摩擦係数が摺動速度に依存する度合いをより少なくして鳴き音の発生を確実に防止することができる。
波長120μmという相対的に低周波の(周期の長い)成分の振幅が2.5μmを超えると、シール機能が不安定になるおそれがあるので、2.5μm以下が好ましく、より好ましくは2μm以下である。
一方、内輪2のシール溝9の側面9aには、シール部材7のシールリップ13の摺接面16が摺接する被摺接面17が設けられ、シール溝9の側面9aの少なくとも被摺接面17の表面粗さは、Rz3.2μm以下となるように加工されている。
シールリップ13の摺接面16に上記の凹凸を付与する方法としては、例えばサンドブラスト処理やエッチング処理で表面を粗くする方法がある。また、金型のキャビティの内面の一部を予めサンドブラスト処理やエッチング処理で凹凸を形成しておき、この凹凸を成形品としてのシール部材7の摺接面16に転写する方法がある。
以上の次第で、本実施の形態によれば、FFT分析データにおいて、波長30μm成分の振幅を0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上とすることで、鳴き音の発生を抑制したり、鳴き音の発生を防止したりすることができる。
また、仮に少量のグリースが摺接面16に流入しても、細くて深い凹の部分にグリースが溜められるので、グリース漏れを防止することができると共に、摩擦トルクを低減することができる。
また、波長120μm成分の振幅を2.5μm以下、好ましくは2μm以下とすることにより、オイルシール6として必要なシール機能を確保することができる。
また、摺接面16に相手方よりも深い凹(高い凸)を付与することにより、摺動と共に凹凸が変形し、摺接面16の真実接触部を静止摩擦から動摩擦へと徐々に移行させることができる。したがって、見かけ上の静止摩擦係数を低下させて軌道トルクを小さくすることができる。また、摩擦係数が摺動速度に依存する度合いを小さくすることができる。
また、本発明のオイルシール6を外輪回転型の転がり軸受に適用する場合には、シール部材7は内輪に固定され、外輪に摺接することになる。
また、本発明のオイルシール6をハウジングの内周面と摺動相手としての回転又は直動のロッドの外周面との間を密封するべくハウジングに固定されるオイルシール6に適用することもできる。
<実施例1〜7および比較例1,2>
上記の図1および図2で示したと同様の形式のオイルシールを作成し、それぞれ摺接面16を粗くする程度を種々変更することで、相異なる表面性状を有する実施例1〜7および比較例1を作成した。また、表面粗さを粗くする処理を施さない比較例2を作成した。1.表面性状測定試験
測定装置
レーザー顕微鏡:レンズ倍率20倍(0.95μm/ピクセル)
画像:横639×縦479ピクセル、輝度値0〜255(256階調)
計測形状曲線:摺接面の周方向に沿う長さ550ピクセルのラインをシール部材の内 周側から外周側へ向かって等間隔で計18本
FFT分析:窓関数としてHanning を用いた
温度:室温
導出方法
レーザー顕微鏡を通して摺接面の所定領域を撮像し、得られた画像を二値化処理して輝度により凹凸を表す二値化画像を得た後、18本の計測形状曲線に沿って横方向長さと高さを求める。次いで、各計測形状曲線の形状をFFT分析し、平均値を求めた。
実施例1〜7および比較例1,2について、波長を横軸にし振幅を縦軸として対数表示したところ、図3に示す結果を得た。
2.摩擦トルク試験および鳴き音発生観測試験
試験装置
図4に示すような試験装置を用い、摩擦トルクを測定すると共に鳴き音発生の有無を観測した。
試験装置20は、筒状のハウジング21に外輪3を固定し、外輪3の端部内周に実施例1〜7および比較例1,2のオイルシール6をそれぞれ固定した。また、回転軸22の端部に円板状の試験内輪23を一体回転可能に取り付け、試験内輪23の側面をオイルシール6のシールリップ13に押圧接触させ、シールリップ13に締め代を与えた。ハウジング21の内部空間は油槽24内に連通している。
試験条件
温度:室温
回転軸の回転数:0〜1500rpm(摺動速度0〜1.5m/s)
シールリップ13の締め代:0.2mm
潤滑状態:油槽23内を空の状態として無潤滑
上記の条件にて、シールリップ13に締め代を与えた状態で回転軸22を回転させ、回転軸22の摩擦トルクを測定した。鳴き音については人の聴覚にて有無および大小を判断した。
その結果、波長30μm成分の振幅が0.3μm未満である比較例1,2では、起動時の摩擦トルクが2mN・mを超えて大きいとともに、低速〜中速回転(0〜250rpm)の領域で回転数の変化に対する摩擦トルクの変化が大きく、また、問題となるレベルの鳴き音を発生した。
一方、実施例1〜7では、起動時の摩擦トルクが2mN・m以下と小さいとともに、低速〜中速回転(0〜250rpm)の領域で回転数の変化に対する摩擦トルクの変化が小さかった。
また、波長30μm成分の振幅が0.5μm以上である実施例1,2,3,5では、鳴き音が全く発生しなかった。また、波長30μm成分の振幅が0.3〜0.5μmの範囲内にある実施例4,6,7では、微小な鳴き音が発生したものの、無響室でかろうじて確認できる程度であり、通常では、殆ど気にならないレベルであった。
3.耐久試験
図4の試験装置を用い、下記の試験条件にて耐久試験を実施した。
試験条件
温度:室温
回転軸の回転数:1500rpm(摺動速度1.5m/s)
シールリップ13の締め代:0.2mm
潤滑状態:油槽23内に潤滑油(ATFD−III)を充填した。
耐久時間:24時間
その結果、波長120μm成分の振幅が2μm以下である実施例1,2,5,6,7および比較例1,2では、潤滑油の漏れを観測できなかった。また、波長120μm成分の振幅が2〜2.5μmの範囲にある実施例3,4では、非常に微量な潤滑油の漏れ(滲み)が観測されたが、シール機能にほとんど影響のないレベルであった。
<試験例8〜18および比較例3>
相異なる表面性状を有する直径50mmのディスクからなる試験例8〜18および比較例3を作成した。試験例8〜18および比較例3のディスクとしては、下記の物性を有するNBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)を用いた。
そのNBRの物性は、下記である。すなわち、
硬度 :64(ショアーAスケール)
引張強さ:12.7MPa
伸び :580%
50%モジュラス:1.4MPa
損失正接(tanδ):0.18
また、試験例8〜18については、成形金型のキャビティの内面に対して下記の表1のブラスト処理を施すことにより、所定の表面粗さを持つようにした。また、比較例3については処理を施さなかった。
Figure 2005344928
1.表面粗さ測定試験
試験例8〜12および比較例3のそれぞれについて、算術平均粗さRa、最大高さRy、十点平均粗さRz、凹凸の平均間隔Smを測定した。その結果を下記の表2に示す。
Figure 2005344928
表2に示されるように、従来の粗さ表示では、試験例8〜12の各処理に対する摺動面粗さの相違は認識し難い。
2.表面性状測定試験
測定装置
レーザー顕微鏡:レンズ倍率20倍(0.95μm/ピクセル)
画像:横639×縦479ピクセル、輝度値0〜255(256階調)
計測形状曲線:摺接面の周方向に沿う長さ550ピクセルのラインをシール部材の内 周側から外周側へ向かって等間隔で計20本
FFT分析:窓関数としてHanning を用いた
温度:室温
導出方法
レーザー顕微鏡を通して摺接面の所定領域を撮像し、得られた画像を二値化処理して輝度により凹凸を表す二値化画像を得た後、20本の計測形状曲線に沿って横方向長さと高さを求める。次いで、各計測形状曲線の形状をFFT分析し、平均値を求めた。
ブラスト圧力を0.01MPaと同じにしてブラスト時間を違えた試験例13,14,15について、波長を横軸にし振幅を縦軸として対数表示したところ、図5に示す結果を得た。同様に、ブラスト圧力を0.05MPaと同じにしてブラスト時間を違えた試験例16,17,18について、波長を横軸にし振幅を縦軸として対数表示したところ、図6に示す結果を得た。その結果、圧力や温度のブラスト条件は、フーリエ変換に関する表面性状(粗さ)にほとんど影響を与えないことが判明した。
試験例8〜12および比較例3について、波長を横軸にし振幅を縦軸として対数表示したところ、図7に示す結果を得た。
その結果、下記のことが判明した。すなわち、サンドの粒径が大きいほど全波長域で振幅が大きいことが判明した。
一方、ガラスビーズでブラストした摺動面粗さはサンドで処理した摺動面粗さよりも小さく、ガラスビーズの粗さ付与効果は、サンドの粗さ付与効果と比較すると小さい。そのため、サンドブラスト処理後、ガラスビーズでブラスト処理を施しても、各波長の振幅は全波長域で小さくなる。
このように、摺動面粗さには、ブラストする材質および形状も大きく影響すると推察される。
3.摺動試験および鳴き音試験
図8に示すようなピニオンディスク試験機を用いて下記の試験条件にて摺動試験を実施し、摩擦係数を求めると共に鳴き音を測定した。
試験例8〜12および比較例3にそれぞれ対応する直径D1(=50mm)の回転ディスク31の表面に、ディスク中心C1から距離R1(=15mm)隔てて配置されたSUJ2製のピン32の半球状の先端部32a(その球の半径R2=5mm)を押圧した。
試験条件
温度:室温
摺動条件:無潤滑(ドライ)
摺動速度:〜1.25m/s(オイルシールの周速に相当)
負荷荷重:約0.1N〔オイルシールのFEM解析(締め代0.3mm)により求めた 平均接触圧力に相当〕
試験の結果
摺動速度と摩擦係数の相関について図9に示す結果を得た。その結果、下記のことが判明した。
すなわち、摩擦係数に及ぼすブラスト粒径の影響は大きく、試験例9および試験例10に示されるように、ブラスト粒径が大きいほど摩擦係数が低下する。しかし、試験例8のようにブラスト粒径が大き過ぎると摩擦係数が増加する。
摺動速度の低速域において、摺動速度の増加に対する摩擦係数の低下度合いは、ブラスト粒径が大きいほど小さくなる。よって、ブラスト粒径が大きいほど短波長の振幅成分が大きくなり、摺動速度の低速域において、摩擦係数の摺動速度依存性は小さくなると推察される。具体的には、試験例8,9については、摩擦係数が摺動速度の変化の影響をほとんど受けないことが判明した。
また、ディスク回転数と鳴き音発生の相関について図10に示す結果を得た。その結果、下記のことが判明した。
波長30μm成分の振幅が0.5μm以上である試験例8,9については回転数域の全域において、鳴き音が発生しなかった。
また、波長30μm成分の振幅が0.3〜0.5μmの範囲にある試験例10,11については、回転数150rpm以下で鳴き音が発生したが、回転数150rpmを超えると、鳴き音が発生しなくなった。
波長30μm成分の振幅が0.3μmである試験例12については、回転数200rpm以下で鳴き音が発生したが、回転数200rpmを超えると鳴き音が発生しなくなった。
一方、処理なしの比較例3については、回転数250rpm以下で鳴き音が発生した。試験例8〜12は比較例3と比較して、鳴き音低減に十分な効果を発揮することができた。すなわち、摺動面粗さをパワースペクトルで表すと、摩擦振動に及ぼす影響度合いを明確にでき、特に短波長の振幅成分を大きくすることにより、摩擦振動が収束することが判明した。
本発明の一実施の形態のオイルシールを含む転がり軸受の概略断面図である。 オイルシールの要部の断面図である。 摺接面の断面曲線をフーリエ変換して得られた波長と振幅の関係で表される表面性状のグラフ図であり、横軸を波長とし、縦軸を振幅としてある。 試験装置の模式的断面図である。 試験例13,14,15の表面性状のグラフ図である。 試験例16,17,18の表面性状のグラフ図である。 試験例8〜12および比較例3の表面性状のグラフ図である。 ピンオンディスク試験機の概略斜視図である。 摺動速度と摩擦係数の相関を示すグラフ図である。 回転数と鳴き音の相関を示すグラフ図である。
符号の説明
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 オイルシール
7 シール部材
8 芯金
9 シール溝
10 内周部
11 装着溝
12 外周部
13 シールリップ
14 第1のラビリンス用リップ
15 第2のラビリンス用リップ
16 摺接面
17 被摺接面

Claims (4)

  1. 摺接面を含むシールリップを備え、上記摺接面の断面曲線をフーリエ変換して得られた波長と振幅の関係で表される表面性状において、波長30μm成分の振幅が0.3μm以上で、且つ波長120μm成分の振幅が2.5μm以下であることを特徴とするオイルシール。
  2. 請求項1において、波長30μm成分の振幅が0.5μm以上であることを特徴とするオイルシール。
  3. 請求項1又は2において、波長120μm成分の振幅が2.0μm以下であることを特徴とするオイルシール。
  4. 請求項1,2又は3に記載のオイルシールと、オイルシールのシールリップの摺接面と摺動する被摺接面を備える被摺動部材とを有し、被摺接面の表面粗さが摺接面の表面粗さよりも小さいことを特徴とする密封構造。
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