JP2005273854A - シール装置およびそのシール装置を備える軸受装置 - Google Patents

シール装置およびそのシール装置を備える軸受装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 摺動部が摩耗しにくくて鳴き音が発生しにくく、かつ、油漏れを確実に防止できるシール装置およびこのシール装置を備えた軸受装置を提供すること。
【解決手段】 シール装置の摺動部5の十点平均粗さRzを、10μm<Rz<100μmに設定すると共に、摺動部5の平均間隔Smを、Sm<40μmに設定する。また、シール装置の摺動部5を、その振幅分布曲線のピークが、一つになるように設計する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、シール装置およびそのシール装置を備える軸受装置に関する。
軸受装置においては、軸受装置のシール装置の摺動部と、その摺動部が摺動する軌道輪の摺動面との間の摩擦を低減するために、摺動面に油を塗布している。
しかしながら、上記摺動面と上記摺動部との間に存在する油は移動し易いことから、上記摺動面と上記摺動部の間は、油が存在しないドライ状態に成り易く、軸受装置では、特に、回転数が小さい領域で、上記摺動面と上記摺動部の間でスティックスリップ現象が頻繁に発生するという問題がある。このことから、上記摺動部の摩耗が激しく、かつ、鳴き音が頻繁に発生するという問題がある。
また、上記問題を回避するために、すなわち、上記摺動部の摩耗および上記鳴き音を低減するために、摺動部と摺動面との摩擦を小さな値に設定すると、摺動部と摺動面との間から油漏れが生じるという問題がある。
特開2003−166549号公報
そこで、本発明の課題は、摺動部が摩耗しにくくて鳴き音が発生しにくく、かつ、油漏れを確実に防止できるシール装置およびこのシール装置を備えた軸受装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明のシール装置は、摺動部を有する弾性部材を備え、上記摺動部の十点平均粗さRzは、10μm<Rz<100μmであり、上記摺動部の凹凸の平均間隔Smは、Sm<40μmであり、上記摺動部の振幅分布曲線(確率密度関数)ADFは、1つのみのピークを有することを特徴としている。
ここで、上記十点平均粗さ(Rz)とは、2次元の場合、粗さ曲面の最高から5番目までの山頂の平均と、最深から5番目までの谷底の平均との間隔である。
Rz=(1/5)((P1+P2+P3+P4+P5)−(V1+V2+V3+V4+V5))(図8に、1次元(曲線)の例におけるP1〜P3と、V1〜V3を示す)
(ISO規格4287/1)。
また、上記凹凸の平均間隔(Sm)とは、2次元の場合、粗さ曲面よりX方向に1ラインだけを抜き取り、山から谷になる点を変化点とし、変化点から次の変化点までの間隔の平均値を求める。これを測定範囲のY方向分繰り返し、すべてのラインで求めたものの平均を求める(Smx)。同様に、Y方向に1ラインだけを抜き取り、山から谷になる点を変化点とし、変化点から次の変化点までの間隔の平均値を求める。これを測定範囲のX方向分繰り返し、すべてのラインで求めたものの平均を求める(Smy)。
Smx=(S1+S2+・・・+Sn)/n、
Smy=(S1+S2+・・・+Sn)/n、
そして、このSmxとSmyから以下のように演算されるSmとして定義する。
Sm=(Smx+Smy1/2(図9に、1次元(曲線)の例におけるS1〜S4を示す)
(ISO規格4287/1)。
また、上記振幅分布曲線(確率密度関数)(ADF)とは、一次元においては、粗さ曲面を一定幅(1%)ごとに切断したときのその中に存在する粗さ曲線の長さの測定長さに対する百分率をグラフ化したものであり、この発明のように、二次元においては、粗さ曲線を粗さ曲面に拡張したものである。(図10に、1次元(曲線)の例を示す)
(ISO規格4287/1)。
上記発明のシール装置によれば、摺動部の十点平均粗さRzを10μmよりも大きな値に設定して、摺動部に形成される凹凸の大きさをある程度以上の大きさにしているので、上記摺動部に形成された凹凸の谷の部分に、油を溜め込む油溜めを形成することができて、上記摺動部と上記摺動部が摺動する摺動面との間に油を確実に保持できて、上記摺動部と上記摺動面との間の状態が、油がなくて鳴き音が発生し易いドライな状態になることを防止できる。また、上記摺動部の可撓性を増大させることができて、上記摺動部と上記摺動面との間の摩擦を低減できる。したがって、上記摺動部と上記摺動面との間の鳴き音の発生を抑制できると共に、摺動部の摩耗を抑制できて、シール装置の寿命を長くすることができる。また、トルクを低減できて、運転コストを低減できる。仮に、摺動部の十点平均粗さRzを10μm未満に設定すると、鳴き音が発生するという問題が生じる。
また、上記発明のシール装置によれば、摺動部のRzを100μmよりも小さな値に設定して、摺動部に形成される凹凸の大きさをある程度以下の大きさにしているので、摺動部に形成される凹凸が大きくなりすぎることがなくて、摺動部とこの摺動部が摺動する摺動面との間から油漏れが発生することを防止できる。一方、摺動部のRzを100μm以上に設定すると、油漏れが発生するという問題が生じる。
また、上記発明のシール装置によれば、上記摺動部の平均間隔Smを40μmよりも小さくして、摺動部の山と次の山との間隔を所定の間隔よりも小さくして、摺動部の平坦性を所定の平坦性よりも小さくしているので、摺動部の凹凸の谷の部分に収容できる油の量を一定以上の量にできると共に、摺動部の可撓性も一定以上の量にできる。したがって、摺動部と、この摺動部が摺動する摺動面との間で発生する鳴き音の発生および摺動部の摩耗を更に抑制することができる。仮に、摺動部の平均間隔Smを40μm以上に設定すると、鳴き音が発生するという問題が生じる。
また、上記発明のシール装置によれば、上記摺動部の振幅分布曲線(確率密度関数)が、1つのみのピークを有するように、すなわち、摺動部において、一番深い谷の高さを基準にしたとき、ある高さの領域に位置する山の数が一番多くて、山の数が一番多い領域よりも高さが低い領域と、山の数が一番多い領域よりも高さが高い領域では、山の数が一番多い領域から離れるに従って、山の数が減少するようにしたので、上記摺動部の油保持効果を増大させることができる。したがって、鳴き音の発生を更に抑制できる。仮に、摺動部の振幅分布曲線(確率密度関数)が、2つ以上のピークを有するように設定すると、鳴き音が発生するという問題が生じる。
また、一実施形態のシール装置は、上記摺動部の振幅分布曲線は、略正規分布に従っていることを特徴としている。
上記実施形態のシール装置によれば、上記摺動部の振幅分布曲線が、略正規分布に従う曲線、すなわち、上記摺動部の振幅分布曲線が、ピークが一つで、かつ、このピークに対して対称な曲線であるので、摺動部において、一番深い谷の高さを基準にしたとき、この谷の高さと一番高い山の高さの中間の高さに位置する山の数が、略一番多くなる。したがって、上記摺動部の油保持効果を更に増大させることができて、鳴き音の発生を更に抑制できる。
また、この発明の軸受装置は、上記発明のシール装置を備えることを特徴としている。
上記発明の軸受装置によれば、上記発明のシール装置を備えるので、トルクを低減できて、鳴き音の発生も防止でき、更に、油漏れも確実に防止できる。
本発明のシール装置によれば、摺動部の十点平均粗さRzを10μmよりも大きな値に設定しているので、上記摺動部に形成された凹凸の谷の部分に、油を溜め込む油溜めを形成することができると共に、上記摺動部の可撓性を増大させることができる。したがって、上記摺動部と上記摺動面との間の鳴き音の発生を抑制できると共に、摺動部の摩耗を抑制できてシール装置の寿命を長くすることができ、更に、トルクを低減できて運転コストを低減できる。
また、上記発明のシール装置によれば、摺動部のRzを100μmよりも小さな値に設定しているので、摺動部に形成される凹凸が大きくなりすぎることがなくて、摺動部とこの摺動部が摺動する摺動面との間から油漏れが発生することを防止できる。
また、上記発明のシール装置によれば、上記摺動部のSmを40μmよりも小さくして、摺動部の平坦性をある程度より小さくしているので、摺動部の凹凸の谷の部分に収容できる油の量を一定以上の量にできると共に、摺動部の可撓性も一定以上の量にできる。したがって、摺動部と、摺動面との間で発生する鳴き音の発生と摺動部の摩耗を更に抑制することができる。
また、上記発明のシール装置によれば、上記摺動部の振幅分布曲線(確率密度関数)が、1つのみのピークを有するようにしたので、上記摺動部の油保持効果を増大させることができて、鳴き音の発生を更に抑制できる。
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態のシール装置の断面図である。
このシール装置は、図示しない軸受装置の内輪と外輪との間をシールするシール装置であり、芯金部材1と、この芯金部材1を略取り囲むように芯金部材1に固着された弾性部材2とから成っている。上記弾性部材2は、軸受装置のオイルシールで最もあるふれた材料であるニトリルゴム(NBR)を用いて成形されている。このシール装置の紙面における上部側(軸受装置の径方向の外側)は、上記図示しない外輪に固定される固定部3となっており、このシール装置の紙面における下部側は、紙面の左側方向(軸受装置の軸方向の内方)に突出したシールリップ部4になっている。
上記シールリップ部4の紙面の左側の表面は、軸受装置の運転中、上記図示しない内輪の外周面上を摺動する摺動部5になっている。上記摺動部5には、加硫成形時に金型表面凹凸を転写させることにより、凹凸が形成されている。
上記摺動部5の十点平均粗さRzは、10μm<Rz<100μmに設定されており、摺動部5の平均間隔Smは、Sm<40μmに設定されている。また、上記摺動部5は、その振幅分布曲線のピークが、一つになるように設計されている。
図2は、シール装置の鳴き音の有無、摩擦トルクの測定および油漏れの観察を行うための試験機の断面図である。
以下に、図2を用いて、この試験機の構造の説明と、鳴き音の有無の判定方法、摩擦トルクの測定方法および油漏れの観察方法を述べることにする。
図2において、21は、試験機のハウジングであり、22は、試験機の油槽であり、23は、試験機の回転軸である。また、24は、外輪であり、25は、普通焼入の軸受鋼(SUJ2)製の内輪であり、26は、ニトリルゴム製の弾性部材である。
図2に示すように、上記ハウジング21は、円筒形状に成形されている。また、上記油槽22は、ハウジング21の一端部に固定されており、その内部空間に油を収容できるようになっている。上記油槽22の鉛直方向上部には、油を注入するための油注入穴28が形成されている。また、上記外輪24は、円筒形状に成形され、弾性部材26は、中心に円柱形状の貫通穴が形成された円板形状に成形されている。また、上記内輪25は、円板形状に成形され、その直径は、上記貫通穴の直径よりも大きくなっている。また、上記回転軸23は、円筒形状の棒部材であり、その直径は、上記貫通穴の直径よりも小さくなっている。上記回転軸23は、上記ハウジング21の円柱状の内部領域の略中心を、ハウジングの軸方向に移動できるようになっている。
上記試験機、外輪24、内輪25および弾性部材26を用いて、以下のように、鳴き音の発生と、摩擦トルクの測定を行う。
先ず、上記弾性部材26の一端面の貫通穴の周辺の摺動部に、様々な表面凹凸処理を施した後、レーザー顕微鏡により、上記表面凹凸処理を施した摺動部の粗さを観察する。そして、この観察結果から、弾性部材26の摺動部のRz、Smおよび振幅分布曲線のピーク数を算出する。
次に、図2に示すように、弾性部材26の円筒形の外周面を、外輪24の円筒形の内周面の一端部に固定し、更に、外輪24の円筒形の外周面を、試験機のハウジング21の円筒形の内周面に固定する。また、上記回転軸23を、上記貫通穴の略中心部分を貫通するように配置し、上記回転軸の一方の側の端面に、内輪25の一方の端面の略中心部を固定した上で、回転軸23を軸方向に移動させて、回転軸23を、所定の位置に配置する。このようにして、上記円板状の内輪25の一端面の周辺部を、弾性部材26の一端面の貫通穴の周辺部で構成される摺動部に押し付けて、内輪25の一端面の周辺部を、0.2mmの締め代で摺動部に当接させる。
最後に、上記油槽22に、油を充填しなくて油槽22を空にした状態で、回転軸23を、0〜1500min−1(摺動速さ0.0〜1.5m/s)の回転数で回転させて、摩擦トルクを測定すると共に、聴覚によって鳴き音の有無を確認する。
また、上記試験機、外輪24、内輪25および弾性部材26を用いて、以下のように、油漏れの観察を行う。
先ず、上記弾性部材26の一端面の貫通穴の周辺の摺動部に、様々な表面凹凸処理を施した後、レーザー顕微鏡により、上記表面凹凸処理を施した摺動部の粗さを観察する。そして、この観察結果から、弾性部材26の摺動部のRz、Smおよび振幅分布曲線のピーク数を算出する。
次に、図2に示すように、弾性部材26の円筒形の外周面を、外輪24の円筒形の内周面の一端部に固定し、更に、外輪24の円筒形の外周面を、試験機のハウジング21の円筒形の内周面に固定する。また、上記回転軸23を、上記貫通穴の略中心部分を貫通するように配置し、上記回転軸の一方の側の端面に、内輪25の一方の端面の略中心部を固定した上で、回転軸23を軸方向に移動させて、回転軸23を、所定の位置に配置する。このようにして、上記円板状の内輪25の一端面の周辺部を、弾性部材26の一端面の貫通穴の周辺部で構成される摺動部に押し付けて、内輪25の一端面の周辺部を、0.2mmの締め代で摺動部に当接させる。
最後に、上記油槽22の油注入穴28から、粘度が20ctsのシリコーンオイルを注入して、油槽22を油で満たして、30分待機した後、目視によって油漏れの有無の判断を行う。
図3は、Rz、Smおよび振幅分布関数のピークの数と、鳴き音の発生の有無および油漏れの有無との関係を示す図である。
図3において、縦軸のSmは、上記測定に用いた弾性部材26の摺動部の平均間隔を示し、横軸のRzは、上記測定に用いた弾性部材26の摺動部の十点平均粗さを示している。
また、図3において、◆は、上記測定に用いた弾性部材26の摺動部の振幅分布関数のピークが1個で、鳴き音が発生しなかった試料(弾性部材26)を示し、■は、上記測定に用いた弾性部材26の摺動部の振幅分布関数のピークが1個で、鳴き音が発生した試料を示し、▲は、上記測定に用いた弾性部材26の摺動部の振幅分布関数のピークが2個で、鳴き音が発生した試料を示し、●は、油漏れが発生した試料を示している。
図3に示すように、Rzが、100μm以上の試料(弾性部材26)では、例外なく油漏れが発生しており、Rzを、100μm以上に設定すると、弾性部材は、シール機能を果たさない。
また、Rzが、10μm以下の試料(弾性部材26)では、例外なく鳴き音が発生しており、Rzを、10μm以下に設定すると、弾性部材は、シール機構として不適格になる。
また、Smが、40μm以上の試料(弾性部材26)では、弾性部材の摺動部の振幅分布関数のピークが1個でも2個でも、例外なく鳴き音が発生しており、Smを、40μm以上に設定すると、弾性部材は、シール機構として不適格になる。
一方、Rzが、10μm<Rz<100μmで、かつ、Smが、Sm<40μmの範囲に、領域を限定すると、この領域には、ピークが1個で鳴き音発生の試料と、油漏れの試料が一つも存在せず、この領域には、ピークが1個で鳴き音未発生の試料と、ピークが2個で、鳴き音発生の試料しか存在しない。したがって、この領域において、更に、ピークが1個の条件をかすと、この条件を満たす試料は、油漏れを起こらず、かつ、鳴き音を発生することもない。
このことから、Rzが、10μm<Rz<100μmで、かつ、Smが、Sm<40μmで、かつ、振幅分布関数のピークの数が、1個の摺動部を用いてシール装置を作成すれば、油漏れも起こさず、かつ、鳴き音も発生させない理想的なシール装置を構成できる。
図4、図5、図6および図7は、振幅分布関数の形状と、回転数に対する摩擦トルクおよび鳴き音の発生の有無との関係を示す図である。
詳細には、図4(A)、図5(A)、図6(A)および図7(A)は振幅分布関数(確率密度関数)を示している。図4(A)、図5(A)、図6(A)および図7(A)において、横軸は、切断レベルCを示し、縦軸は、確率密度を示している。また、図4(B)、図5(B)、図6(B)および図7(B)は、振幅分布関数が夫々図4(A)、図5(A)、図6(A)および図7(A)であるときの、上記回転軸23の回転数に対する、内輪25と弾性部材26との摩擦に起因する回転軸23の摩擦トルクを示す図である。
尚、図4(B)、図5(B)、図6(B)および図7(B)において、◆は、鳴き音が発生しなかった試料(弾性部材26)を示し、■は、鳴き音が発生した試料(弾性部材26)を示している。
また、図4に示す測定に用いられた試料は、Rzが、33.23μmで、Smが、38.18μmであり、図5に示す測定に用いられた試料は、Rzが、4.01μmで、Smが、41.85μmである。また、図6に示す測定に用いられた試料は、Rzが、108.16μmで、Smが、8.72μmであり、図7に示す測定に用いられた試料は、Rzが、31.48μmで、Smが、24.10μmである。
また、図4、図5および図7に示す測定で用いられた試料は、油漏れの観察において、油漏れが発生しないことが確認される一方、図6に示す測定で用いられた試料は、油漏れの観察において、油漏れが発生することが確認されている。
図4に示す測定に用いられた試料のように、Rzが、33.23μmで、Smが、38.18μmと、RzとSmの値が適正であっても、図4(A)に示すように、振幅分布関数において、ピークが2個存在した場合、図4(B)に示すように、回転軸の回転数が小さい領域で、鳴き音が頻繁に発生している。このことから、ピークが2個の試料は、回転軸の回転数が小さい領域で、頻繁にスティックスリップ現象が発生し、シール機構として不適格である。
また、図5(A)に示すように、振幅分布関数が、ピークが1個しかない場合であっても、Rzが、4.01μmと、10μmより大きい適正な範囲を下回り、かつ、Smが、41.85μmと、40μmより小さい適正な範囲を上回る場合、図5(B)に示すように、回転軸の回転数が小さい領域で、鳴き音が頻繁に発生している。このことから、Rzが適正な範囲を下回り、かつ、Smが適正な範囲を上回る場合、回転軸の回転数が小さい領域で、頻繁にスティックスリップ現象が発生し、シール機構として不適格である。
また、図6(A)に示すように、振幅分布関数が、ピークが1個しかなくて、かつ、Smが、8.72μmで40μmよりも小さくて適正な範囲に収まっていたとしても、Rzの値が、108.16μmと、100μmより小さい適正な範囲を上回る場合、油漏れを生じて、シール機能を果たさない。
一方、図7(A)に示すように、振幅分布関数が、1個のみのピークを有し、振幅分布関数におけるピークの両側部分が、ピークに対して略対称で、振幅分布関数が、略正規分布に従い、かつ、Rzが、31.48μmで、Smが、24.10μmと、RzおよびSmの両方とも、適正な値に設定されている場合、図7(B)に示すように、回転数がどのような値であっても、鳴き音が発生することがない。また、回転数によらず、摩擦トルクの値も、油漏れを生じない他の試料である図4および図5の試料と比較して、非常に小さな値になっており、この試料を用いてシール装置を形成した場合、シール装置の運転コストを大きく低減できる。
上記実施形態のシール装置によれば、摺動部5の十点平均粗さRzを10μmよりも大きな値に設定して、摺動部5に形成される凹凸の大きさをある程度以上の大きさにしているので、摺動部5に形成された凹凸の谷の部分に、油を溜め込む油溜めを形成することができて、摺動部5と、摺動部5が摺動する摺動面(図示しない)との間に油を確実に保持できて、摺動部5と上記摺動面との間の状態が、油がなくて鳴き音が発生し易いドライな状態になることを防止できる。また、上記摺動部5の可撓性を増大させることができて、摺動部5と上記摺動面との間の摩擦を低減できる。したがって、上記摺動部5と上記摺動面との間の鳴き音の発生を抑制できると共に、摺動部5の摩耗を抑制できて、シール装置の寿命を長くすることができる。
また、上記実施形態のシール装置によれば、摺動部5のRzを100μmよりも小さな値に設定して、摺動部5に形成される凹凸の大きさをある程度以下の大きさにしているので、摺動部5に形成される凹凸が大きくなりすぎることがなくて、摺動部5と上記摺動面との間から油が漏れることを防止できる。
また、上記実施形態のシール装置によれば、摺動部5の平均間隔Smを40μmよりも小さくして、摺動5における山と次の山との間隔を所定の間隔よりも小さくして、摺動部5の平坦度を所定の平坦度よりも小さくしているので、摺動部5の凹凸の谷の部分に収容できる油の量を一定以上の量にできると共に、摺動部5の可撓性も一定以上の量にできる。したがって、摺動部5と上記摺動面との間で発生する鳴き音の発生と摺動部5の摩耗を更に抑制することができる。
また、上記実施形態のシール装置によれば、上記摺動部5の振幅分布曲線(確率密度関数)が、1つのみのピークを有するように、すなわち、摺動部5において、一番深い谷の高さを基準にしたとき、ある高さの領域に位置する山の数が一番多くて、山の数が一番多い領域よりも高さが低い領域と、山の数が一番多い領域よりも高さが高い領域では、山の数が一番多い領域から離れるに従って、山の数が減少するようにしたので、摺動部5の油保持効果を増大させることができる。したがって、鳴き音の発生を更に抑制できる。
また、この発明において、摺動部の振幅分布曲線が、略正規分布に従う曲線、すなわち、上記摺動部の振幅分布曲線が、ピークが一つで、かつ、このピークに対して対称な曲線である場合、図7に示すように、鳴き音が発生しなくて、油漏れも発生せず、かつ、回転数によらず摩擦トルクが非常に小さくて運転コストが非常に小さい理想的なシール装置を構築することができる。
また、軸受装置のシール装置として、この発明のシール装置を採用すると、トルクを低減できて、鳴き音も発生せず、かつ、油漏れも確実に防止できる軸受装置を構成できる。
尚、上記実施形態のシール装置では、弾性部材5の材質としてニトリルゴム(NBR)を採用したが、この発明のシール装置では、弾性部材の材質としてアクリルゴムやフッ素ゴム等のニトリルゴム(NBR)以外のゴム材質を採用しても良く、この場合においても、弾性部材5の材質としてニトリルゴム(NBR)を採用した場合と同様に、トルクを低減できて、鳴き音の発生を抑止でき、かつ、油漏れを確実に防止できる。
また、上記測定では、内輪の材質として、普通焼入の軸受鋼(SUJ2)を採用したが、例えば、内輪の材質として、浸炭焼入鋼(SAE5120)等の普通焼入の軸受鋼(SUJ2)以外の鋼を採用しても良く、この場合においても、内輪の材質として普通焼入の軸受鋼(SUJ2)を採用した場合と同様に、トルクを低減できて、鳴き音も発生せず、かつ、油漏れも確実に防止できる。
また、上記測定では、粘度が20ctsのシリコーンオイルを採用したが、この発明のシール装置では、軸受装置に使用される油であれば、粘度が20ctsのシリコーンオイル以外のどのような油であっても、油漏れを確実に防止できる。
この発明の一実施形態のシール装置の断面図である。 シール装置の鳴き音の有無、摩擦トルクの測定および油漏れの観察を行うための試験機の断面図である。 Rz、Smおよび振幅分布関数のピークの数と、鳴き音の発生の有無および油漏れの有無との関係を示す図である。 振幅分布関数の形状と、回転数に対する摩擦トルクとの関係を示す図である。 振幅分布関数の形状と、回転数に対する摩擦トルクとの関係を示す図である。 振幅分布関数の形状と、回転数に対する摩擦トルクとの関係を示す図である。 振幅分布関数の形状と、回転数に対する摩擦トルクとの関係を示す図である。 一次元の十点平均粗さを説明する図である。 一次元の平均間隔を説明する図である。 一次元の振幅分布曲線を説明する図である。
符号の説明
1 芯金部材
2,26 弾性部材
5 摺動部

Claims (3)

  1. 摺動部を有する弾性部材を備え、
    上記摺動部の十点平均粗さRzは、
    10μm<Rz<100μmであり、
    上記摺動部の凹凸の平均間隔Smは、
    Sm<40μmであり、
    上記摺動部の振幅分布曲線は、1つのみのピークを有することを特徴とするシール装置。
  2. 請求項1に記載のシール装置において、
    上記摺動部の振幅分布曲線は、略正規分布に従っていることを特徴とするシール装置。
  3. 請求項1または2に記載のシール装置を備えることを特徴とする軸受装置。
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