JP2007187190A - シンクロナイザリング - Google Patents
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Abstract
【課題】厳しい摺動速度(高速度)であっても、摺動面に高い面圧が作用しても異常摩耗や焼付きを防止することができるシンクロナイザリングを提供する。
【解決手段】ギア4のコーン部5に摩擦摺動する摺動面を有するシンクロナイザリングにおいて、摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設ける。くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内である。Sk値が−1.6以下である。これにより、くぼみに潤滑油が保持され、摩耗や焼付きを防止することができる。
【選択図】図1
【解決手段】ギア4のコーン部5に摩擦摺動する摺動面を有するシンクロナイザリングにおいて、摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設ける。くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内である。Sk値が−1.6以下である。これにより、くぼみに潤滑油が保持され、摩耗や焼付きを防止することができる。
【選択図】図1
Description
この発明は、シンクロナイザ(同期噛合機構)に用いられるシンクロナイザリングに関する。
一般に、自動車のマニュアル・トランスミッションにおいては、変速ギアの一側にシンクロナイザ(同期噛合機構)を配して、変速ギアのギアチェンジがスムーズに行えるようにしている。このような同期噛合機構として、キー式、ピン式、サーボ式等の構造のものがある。キー式には、シングルコーンシンクロ、ダブルコーンシンクロ等がある。
シングルコーンシンクロでは、出力軸に対して回り止めされたハブと、ハブの外径側に摺動自在に取付けられたスリーブと、出力軸の外径側に回転自在に配設された変速ギアと、変速ギアに設けられたコーン部の外径側に配設されたシンクロナイザリングとを備える。そして、ハブの外径側はスリーブの内径側の歯部と噛合する歯部が設けられている。また、変速ギアには前記コーン部に隣接してクラッチギアが設けられ、シンクロナイザリングには、その外径側に歯部が設けられている。
すなわち、シンクロナイザリングを変速ギアのコーン部に向けて移動させ、このリングのコーン部のテーパ面と、シンクロナイザリングの内径テーパ面とを接触させることにより、シンクロナイザリングとスリーブを変速ギアに同期回転させ、その状態でスリーブの歯部をシンクロナイザリングの外径側の歯部とクラッチギアの歯部に噛合させ、変速ギアの回転をハブを介して出力軸に伝達している。
このため、自動車のトランスミッションに使用されるシンクロナイザリングの摺動面(内径テーパ面)には、安定した高い摩擦トルクを得ると同時に、高い耐摩耗性と耐焼付性が求められる。そこで、シンクロナイザリングに、銅合金や、鋼製として内径面にMo等を容射したものが使用される。また、従来には、動摩擦係数を低下させるために、内径面に固体潤滑剤被膜を設けたもの(特許文献1)や内径面に摩擦剤と摩擦調整剤等をコーティングするもの(特許文献2)等がある。
シンクロナイザリングとギアの摺動面は、相対滑り速度が10m/Sを越えたり、面圧は20MPaに達したりするような厳しい摺動条件では、油膜を切って摩擦トルクを発生させることと、耐久性を向上させることが必要となる。
このため、銅合金等を使用する場合、油膜を切って摩擦トルクを得るために、その内径面にねじ溝が形成されている。しかしながら、ねじ溝を形成すれば、ねじ山における摩耗が問題であり、固体潤滑剤被膜等を設けたとしても、長期使用に対して摩耗や剥離が発生する問題がある。また、Mo等を溶射したものや摩擦剤と摩擦調整剤等をコーティングするものであっても、摩耗や剥離が発生する問題がある。
本発明の課題は、厳しい摺動速度(高速度)であっても、摺動面に高い面圧が作用しても異常摩耗や焼付きを防止することができるシンクロナイザリングを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明のシンクロナイザリングは、ギアのコーン部に摩擦摺動する摺動面を有するシンクロナイザリングにおいて、前記摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内であり、かつ、Sk値が−1.6以下であることを特徴とする。
パラメータRyniとは、基準長毎最大高さの平均値すなわち、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した値である(ISO 4287:1997)。
また、パラメータSkとは、粗さ曲線の歪み度(スキューネス)を指し(ISO 4287:1997)、凹凸分布の非対称性を知る目安の統計量である。ガウス分布のような対称な分布ではSk値は0に近くなり、凹凸の凸部を削除した場合は負、逆の場合は正の値をとることになる。
上記のように、本発明のシンクロナイザリングでは、くぼみを設けた面(摺動面)の面粗さパラメータRyniを0.4μm以上、1.0μm以下の範囲内に規定することで、希薄潤滑下でも油膜切れを防ぐことが可能となり、極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。また、摺動面のSk値を幅方向、円周方向とも−1.6以下とすることにより、微小凹形状のくぼみが油溜りとなり、圧縮されても滑り方向、直角方向への油のリークは少なく、油膜形成に優れ、表面損傷を極力抑える効果が発揮される。
また、本発明の他のシンクロナイザリングは、ギアのコーン部に摩擦摺動する摺動面を有するシンクロナイザリングにおいて、前記摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみの平均面積が30μm2≦平均面積≦100μm2の範囲内で、かつ、Rymaxが0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内であることを特徴とする。
上記のように、本発明の他のシンクロナイザリングでは、摺動面のくぼみの平均面積を30μm2≦平均面積≦100μm2の範囲内に規定するとともに、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内に設定することで、油膜形成能力を向上させることができるため、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。
また、本発明の別のシンクロナイザリングは、ギアのコーン部に摩擦摺動する摺動面を有するシンクロナイザリングにおいて、前記摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面におけるくぼみの面積率が5%≦面積率20≦%の範囲内であり、かつ、前記くぼみを設けた面の面粗さのパラメータRymaxが0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内であることを特徴とする。
上記のように、本発明の別のシンクロナイザリングでは、摺動面のくぼみを設けた面におけるくぼみの面積率を5%≦面積率≦20%の範囲内に規定するとともに、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内に設定することで、油膜形成能力を向上させることができるため、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。
以上のように、本発明によると、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設けることによって、摺動面が微小凹面となって油膜が形成しやすくなる。しかもこのくぼみが油溜まりとなるため、すべり面の油膜形成が確実に行える。すなわち、内径面(摺動面)に微小凹形状のくぼみを設けたことによって、このくぼみに潤滑油が保持され、厳しい摺動速度(高速度)であっても、摺動面に高い面圧が作用しても異常摩耗や焼付きを防止することができる。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明のシンクロナイザリングを使用したシンクロナイザ(同期噛合装置)装置を示し、このシンクロナイザは、出力軸1に対して回り止めされたハブ2と、ハブ2の外径側に摺動自在に取付けられたスリーブ3と、出力軸1の外径側に回転自在に配設された変速ギア4と、変速ギア4に設けられたコーン部5の外径側に配設されたシンクロナイザリング6とを備える。
ハブ2の外径側にシンクロナイザキー7が配置されている。また、変速ギア4には前記コーン部5に隣接してクラッチギア8が設けられ、シンクロナイザリング6の外径面には歯部9が設けられている。シンクロナイザリング6の内周面(内径面)は、前記コーン部5のテーパ面5aに対応したテーパ面6aとされている。
シンクロナイザ装置では、スリーブ3がいずれかのシンクロナイザリング6側に動かされると、シンクロナイザキー7がこれと同じ方向に移動する。この移動によって、シンクロナイザリング6は、その内径面(テーパ面6a)がギア4のテーパ面5aと接触して、このテーパ面6aとテーパ面5aとの間に摩擦力が発生し、シンクロナイザリング6と変速ギア4とで出力軸1の廻りの回転運動の同期化が行われる。
前記状態からスリーブ3がさらにシンクロナイザリング6側に動かされると、スリーブ3の歯部がシンクロナイザリング6の歯部9に噛合し、スリーブ3とシンクロナイザリング6とで回転運動の同期化が行われる。このとき、シンクロナイザキー7はスリーブ3から外れ、図示省略の弾発部材にて、スリーブ3側へ押圧される。これによって、スリーブ3、シンクロナイザリング6、減速ギア4で回転が同期し、スリーブ3が、シンクロナイザリング6に歯部9とクラッチギア8の歯部20と噛合い、変速動作が完了する。
このため、変速ギア4のコーン部5のテーパ面5aと、シンクロナイザリング6の内径面(テーパ面)6aとが滑り接触することになる。そこで、シンクロナイザリング26の内径面6aである摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内であり、かつ、Sk値が−1.6以下に設定する。
また、前記くぼみの平均面積が30μm2≦平均面積≦100μm2の範囲内で、かつ、Rymaxが0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内とする。
さらに、前記くぼみを設けた面におけるくぼみの面積率が5%≦面積率20≦%の範囲内であり、かつ、前記くぼみを設けた面の面粗さのパラメータRymaxが0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内とする。
なお、前記のような微小凹面を得るための表面加工処理としては、特殊なバレル研磨によると所望の仕上げ面を得ることができるが、これに限らず、例えばショット等を用いてもよい。
上記のように、本発明では、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内に規定することで、希薄潤滑下でも油膜切れを防ぐことが可能となり、極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。また、接触部のSk値を幅方向、円周方向とも−1.6以下とすることにより、微小凹形状のくぼみが油溜りとなり、圧縮されても滑り方向、直角方向への油のリークは少なく、油膜形成に優れ、表面損傷を極力抑える効果が発揮される。
また、シンクロナイザリング6の内径面6aのくぼみの平均面積を30μm2≦平均面積≦100μm2の範囲内に規定するとともに、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内に設定することで、油膜形成能力を向上させることができるため、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。
さらに、シンクロナイザリング6の内径面6aのくぼみを設けた面におけるくぼみの面積率を5%≦面積率≦20%の範囲内に規定するとともに、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4μm≦Rymax≦1.0μm範囲内に設定することで、油膜形成能力を向上させることができるため、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。
従って、本発明のシンクロナイザリングは、内径面(摺動面)6aに形成された微小凹形状のくぼみが油膜を保持することで、このくぼみに潤滑油が保持され、厳しい摺動速度(高速度)であっても、摺動面に高い面圧が作用しても異常摩耗や焼付きを防止することができる
なお、前記実施形態では、シンクロナイザリング6の内径面6aを本発明の表面形状を満たすように表面処理を施したが、シンクロナイザリング6に対向するコーン部5のテーパ面5aにも本発明の表面形状を満たすように表面処理を施すようにしてもよい。
本発明の有用性を示すために、転がり軸受の寿命評価と、歯車の寿命評価を行なった。転がり軸受の転動体(ころ)は軌道面と滑りを伴う接触をし、歯車の歯面は相手側の歯面と転がり接触及び滑り接触をし、その接触は変速ギアのコーン部とシンクロナイザリングの内径面(テーパ面)の接触状態に準じた形態となる。従って変速ギアのコーン部とシンクロナイザリングの内径面(テーパ面)の評価は、転がり軸受と歯車の評価で可能であると考えられる。以下に、パラメータRyni、Rymax、Sk、Rqniの測定方法、条件の一例を示す。これらのパラメータで表される表面性状を、一ヶ所の測定値でも代表値として信頼できるが、たとえば直径方向に対向する二ヶ所を測定するとよい。
パラメータ算出規格:JIS B 0601:1994(サーフコム JIS 1994)
カットオフ種別:ガウシアン
測定長さ:5λ
カットオフ波長:0.25mm
測定倍率:×10000
測定速度:0.30mm/s
測定箇所:対象物中央部
測定数:2
測定装置:面粗さ測定器サーフコム1400A(東京精密株式会社)
パラメータ算出規格:JIS B 0601:1994(サーフコム JIS 1994)
カットオフ種別:ガウシアン
測定長さ:5λ
カットオフ波長:0.25mm
測定倍率:×10000
測定速度:0.30mm/s
測定箇所:対象物中央部
測定数:2
測定装置:面粗さ測定器サーフコム1400A(東京精密株式会社)
また、くぼみの定量的測定を行うには、対象物表面を拡大し、その画像から市販されている画像解析システムにより定量化できる。さらには、特開2001−183124に開示されている表面性状検査方法及び表面性状検査装置を用いれば、安定して精度良く測定することができる。この方法は、曲率を有する検査表面に光を照射して検査表面をカメラで撮影し、このカメラで撮影された検査表面の画像の輝度を測定して、この測定された輝度の明部と暗部のコントラストで形成される明暗パターンにより、検査表面の表面性状を検査する表面性状検査方法であって、光をカメラの光軸方向に合致させて照射し、測定される画像の輝度分布がピーク値を示す位置を、カメラの光軸上に一致させるように、検査表面を位置決めすることにより、検査表面の曲率に起因するシェーディング(輝度分布)を抑制するものである。また、光をカメラの光軸方向に合致させて照射し、測定される画像の輝度分布について、この輝度分布がピーク値を示す位置に相当する検査表面の部位を原点とし、曲率の対称軸を一つの軸とする直交二次元座標で、直交する各座標軸に沿う一次元の輝度分布をそれぞれ近似関数で近似し、これらの近似関数を用いて、画像の輝度分布を除去するように、輝度分布のピーク値を基準値として、座標各位置に相当する測定された画像の輝度を補正し、この補正された輝度の明暗パターンにより検査表面の表面性状を検査することにより、シェーディングのない明暗パターンで表面性状を検査することができる。測定条件はたとえば次のとおりである。また、くぼみの面積率、平均面積を測定する場合、上記のパラメータと同様に、一ヶ所の測定値でも代表値として信頼できるが、二ヶ所を測定するとよい。
面積率:観察視野範囲で2値化閾値((明部の輝度+暗部の輝度)/2)よりも小さい画素(黒)の占める割合
平均面積:黒の面積の合計/総数
観察視野:826μm×620μm
測定箇所:対象物中央部
測定数:2
面積率:観察視野範囲で2値化閾値((明部の輝度+暗部の輝度)/2)よりも小さい画素(黒)の占める割合
平均面積:黒の面積の合計/総数
観察視野:826μm×620μm
測定箇所:対象物中央部
測定数:2
図2は供試転がり軸受の一例を示しており、この転がり軸受10は転動体として針状ころ12を外輪13に組み込んだ針状ころ軸受であり、針状ころ12で相手軸14を支持するようになっている。針状ころ表面に、仕上面の異なる表面処理を施した複数種類の針状ころ軸受を製作し、寿命試験を行なった結果について説明する。寿命試験に用いた針状ころ軸受は、図3に示すように、外径Dr=33mm、内径dr=25mm、針状ころ12の直径D1=4mm、長さL=25.8mmで、15本の針状ころを用いた保持器15付きの軸受である。試験軸受として針状ころの表面粗さ仕上の異なる3種類を製作した。すなわち、研削後スーパーフィニッシュを施した軸受A(比較例)と、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に形成した軸受B(比較例)、軸受C(参考例)、軸受D(参考例)とである。各試験軸受の針状ころにおける仕上面状況を図4〜図6に示す。具体的には、図4は軸受Aの表面粗さ、図5は軸受Bの表面粗さ、図6は軸受C及び軸受Dの表面粗さをそれぞれ示す。また、各試験軸受の表面仕上面の特性値パラメータ一覧を表1に示す。なお、軸方向面粗さRqni(L)と周方向面粗さRqni(C)の比Rqni(L/C)については、軸受B、C及びDは1.5以下であり、軸受Aは1.0前後の値である。また、結晶粒度の測定は、JIS G 0551の鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法に基づいて行なった。
使用した試験装置は図7に概略図で示したようなラジアル荷重試験機16で、回転軸17の両側に試験軸受10を取り付け、回転と荷重を与えて試験を行なうものである。試験に用いたインナレース(相手軸)の仕上は研磨仕上のRa0.10〜0.16μmである。アウタレース(外輪)も共通である。試験条件は以下のとおりである。
軸受ラジアル荷重:2000kgf
回転数:4000rpm
潤滑剤:クリセクオイルH8(試験条件で2cst)
軸受ラジアル荷重:2000kgf
回転数:4000rpm
潤滑剤:クリセクオイルH8(試験条件で2cst)
図8に油膜パラメータΛ=0.13の下での寿命試験結果を示す。同図の縦軸が寿命時間(h)を表している。同図に示すように、軸受Aが78h、軸受Bが82hであったのに対して軸受Cは105h、軸受Dは121hであった。このデータから明らかなように、針状ころ表面が本発明に係る表面形状を満たすように表面処理された軸受C及びDは、油膜パラメータΛ=0.13という低粘度、希薄の非常に過酷な潤滑条件下でも長寿命効果を得ることができる。従って、シンクロナイザリング6の内径面6aを上記数値範囲に設定した本発明に係るシンクロナイザリング6は、高い長寿命効果を得ることができる。
次に、図9に示す平歯車疲労試験機を使用して歯車のピッチング試験を実施し、ピッチング強度を評価した。図9において、ドライブ側歯車31(歯数29枚)とドリブン側歯車32(歯数30枚)は各々の回転軸33、34の片側に取付けられており、ドライブ側の軸33が図示しないモータにより駆動されている。また、ドライブ側の軸33に取付けてある負荷レバー35及び重錘36によりトルクを負荷する構造となっている。ドライブ側歯車31は、本発明に係る表面処理の有無で2種類を用意した。試験条件等の詳細は、表2のとおりである。
歯車ピッチング試験のデータを表3、表4及び表5に示す。表3はドライブ側及びドリブン側の何れの歯車にも表面処理を施していない場合(a)の結果(比較例)を示し、表4はドライブ側歯車の歯面に、本発明に係る表面性状を満たすように表面処理を施したものを使用した場合(b)の結果(実施例)を示し、表5はドライブ側歯車及びドリブン側歯車の歯面に、本発明に係る表面性状を満たすように表面処理を施したものを使用した場合(c)の結果(実施例)をそれぞれ示す。これらより、ピッチング寿命が、(a)の場合に比べ、(b)の場合では2倍以上向上し、(c)の場合では3倍以上向上していることが確認できる。
4 ギア
5 コーン部
5 コーン部
Claims (3)
- ギアのコーン部に摩擦摺動する摺動面を有するシンクロナイザリングにおいて、前記摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内であり、かつ、Sk値が−1.6以下であることを特徴とするシンクロナイザリング。
- ギアのコーン部に摩擦摺動する摺動面を有するシンクロナイザリングにおいて、前記摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみの平均面積が30μm2≦平均面積≦100μm2の範囲内で、かつ、Rymaxが0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内であることを特徴とするシンクロナイザリング。
- ギアのコーン部に摩擦摺動する摺動面を有するシンクロナイザリングにおいて、前記摺動面に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面におけるくぼみの面積率が5%≦面積率≦20%の範囲内であり、かつ、前記くぼみを設けた面の面粗さのパラメータRymaxが0.4μm≦Rymax≦1.0μmの範囲内であることを特徴とするシンクロナイザリング。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006003960A JP2007187190A (ja) | 2006-01-11 | 2006-01-11 | シンクロナイザリング |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015107821A1 (ja) * | 2014-01-14 | 2015-07-23 | Ntn株式会社 | クラッチユニット |
JP2016132682A (ja) * | 2015-01-15 | 2016-07-25 | いすゞ自動車株式会社 | 摺動部品の摩擦材の製造方法及びその摩擦材 |
-
2006
- 2006-01-11 JP JP2006003960A patent/JP2007187190A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2015107821A1 (ja) * | 2014-01-14 | 2015-07-23 | Ntn株式会社 | クラッチユニット |
JP2016132682A (ja) * | 2015-01-15 | 2016-07-25 | いすゞ自動車株式会社 | 摺動部品の摩擦材の製造方法及びその摩擦材 |
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