JP2007262977A - 油圧ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】振動や低粘土オイルなどの厳しい潤滑下においても、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面との間を良好な潤滑状態を維持でき、摩耗や焼き付きを抑えることができて、長寿命化を図ることが可能な油圧ポンプを提供する。
【解決手段】滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのとのどちらか一方に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設ける。くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内である。Sk値が−1.6以下である。さらに、くぼみの平均面積が30〜100μm2の範囲内で、かつ、Rymaxが0.4〜1.0μmの範囲内である。これにより、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのとのどちらか一方が高い油膜形成能力を奏し、長寿命を得ることができる。
【選択図】図1
【解決手段】滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのとのどちらか一方に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設ける。くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内である。Sk値が−1.6以下である。さらに、くぼみの平均面積が30〜100μm2の範囲内で、かつ、Rymaxが0.4〜1.0μmの範囲内である。これにより、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのとのどちらか一方が高い油膜形成能力を奏し、長寿命を得ることができる。
【選択図】図1
Description
この発明は、油圧ポンプに関し、特に可変容量型斜板式油圧ポンプに関する。
可変容量型斜板式油圧ポンプは、図10に示すように、ハウジング50と、ハウジング50に収納されるスワッシュプレート56及びシリンダバレル52と、ハウジング50に挿入される駆動軸51とを備える。そして、前記シリンダバレル52に複数のシリンダ53が設けられ、このシリンダ53内にピストン54がスライド可能に挿入されている。
前記ピストン54の尾部には球体部55が形成され、この球体部55がシュー60に回動自在に装着される。また、スワッシュプレート56は、前記シリンダバレル52に臨む平坦な滑り面57を有し、各シュー60が、シリンダバレル52側から円板状の押え板61に嵌まり込んでいる。この押え板61は、駆動軸51に外嵌される押圧体62と、この押圧体62を押圧する弾性体63等を介して斜板側56に押付けられる。
このため、油圧ポンプにおいて、駆動軸51の回転によってシリンダバレル52を回転させると、シュー60は、スワッシュプレート56の滑り面57に沿って回転することにより、ピストン54が往復運動を行う。
また、前記スワッシュプレート56は、角度変更機構64によって角度変更が可能となっている。この場合、ハウジング50には、凹円弧状案内面59が設けられ、この凹円弧状案内面59に対向してスワッシュプレート56には凸円弧状背面58が設けられている。また、角度変更機構64は、前記駆動軸51の軸線と平行な軸線に沿った往復動が可能なスプール65と、このスプール65とスワッシュプレート56とを連結する連結部材(ピン)66等を備える。このため、スプール65がその軸線に沿って往復動することによって、スワッシュプレート56は、その凸円弧状背面58がハウジング50の凹円弧状案内面59に摺動しつつ揺動して、スワッシュプレート56の滑り面57の角度が変更できるようになっている。このスワッシュプレート56の滑り面57の角度変更によって、各ピストンのストローク量を変更して流体の吐出量を調整できるようにしている。
このため、従来では、スワッシュプレート56を滑らかに揺動させるために、スワッシュプレート56と、これを受けるハウジング50の受け部との間に滑り軸受を配設して、スワッシュプレート56の角度調整を滑らかに行えるようにしているものがある(特許文献1)。
ところで、前記油圧ポンプのスワッシュプレート56は、オイルの吐出量を変更するときに揺動運動を行い、一定オイル量の時は揺動しない。このため、振動や低粘土オイルなどの厳しい使用環境において、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート56の凸円弧状背面58との間に摩耗が発生する。このように摩耗が発生すれば、摩耗粉がより摩耗を促進させることになり、滑り軸受41の寿命が大幅に短くなるおそれがあった。
そこで、前記特許文献1に記載のものでは、滑り軸受とスワッシュプレートの円弧状背面との間に潤滑オイルを強制給油できるようにしている。
特開平9−49487号公報
しかしながら、潤滑オイルを強制給油できるようにするには、装置全体を複雑な機構に構成する必要があり、生産性に劣ると共に、コスト高を招いていた。しかも、前記のような潤滑油の供給方法では、振動や低粘土オイルなどの厳しい使用環境においては、滑り軸受とスワッシュプレートの凸円弧状背面との間を十分に潤滑油を供給する作用が安定しなかった。そのため、摩耗粉がより摩耗粉を促進させて、低寿命となるおそれがあった。
本発明の課題は、振動や低粘土オイルなどの厳しい潤滑下においても、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面との間を良好な潤滑状態を維持でき、摩耗を抑えることができて、長寿命化を図ることが可能で、しかも構成も簡略化できて生産性に優れると共にコスト低減を図れる油圧ポンプを提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の油圧ポンプは、ハウジングと、このハウジングに収納されるスワッシュプレートと、ハウジングに挿入される駆動軸とを備え、前記ハウジングに凹円弧状案内面を設けると共に、スワッシュプレートに凸円弧状背面を設け、この凸円弧状背面を滑り軸受を介して凹円弧状案内面にて受けた状態にて、前記駆動軸が回転することによって、前記スワッシュプレートの前面側に摺接しているピストンが軸心方向に往復動する油圧ポンプにおいて、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの凸円弧状背面との少なくともどちらか一方に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内であり、かつ、Sk値が−1.6以下でありさらに、前記くぼみの平均面積が30〜100μm2の範囲内で、かつ、Rymaxが0.4〜1.0μmの範囲内である。
パラメータRyniとは、基準長毎最大高さの平均値すなわち、粗さ曲線から、その平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した値である(ISO 4287:1997)。
また、パラメータSkとは、粗さ曲線の歪み度(スキューネス)を指し(ISO 4287:1997)、凹凸分布の非対称性を知る目安の統計量である。ガウス分布のような対称な分布ではSk値は0に近くなり、凹凸の凸部を削除した場合は負、逆の場合は正の値をとることになる。
本発明の油圧ポンプでは、くぼみを設けた滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面とのどちらか一方の面粗さパラメータRyniを0.4μm以上、1.0μm以下の範囲内に規定することで、希薄潤滑下でも油膜切れを防ぐことが可能となり、極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。また、受け部のSk値を幅方向、円周方向とも−1.6以下とすることにより、微小凹形状のくぼみが油溜りとなり、圧縮されても滑り方向、直角方向への油のリークは少なく、油膜形成に優れ、表面損傷を極力抑える効果が発揮される。また、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面とのどちらか一方に、前記したような表面性状を満たす表面処理を施せばよいので、装置の機構としては、既存のものを使用することができる。
また、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面とのどちらか一方のくぼみの平均面積を30〜100μm2の範囲内に規定するとともに、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4〜1.0μmの範囲内に設定することで、油膜形成能力を向上させることができるため、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。この油圧ポンプにおいても、滑り軸受の受け面等に、前記したような表面性状を満たす表面処理を施せばよいので、装置の機構としては、既存のものを使用することができる。
前記くぼみを設けた面におけるくぼみの面積率が5〜20%の範囲内である。これにより、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面とのどちらか一方のくぼみを設けた面におけるくぼみの面積率を5〜20%の範囲内に規定するとともに、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4〜1.0μmの範囲内に設定することで、油膜形成能力を向上させることができるため、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。この油圧ポンプにおいても、滑り軸受の受け面等に、前記したような表面性状を満たす表面処理を施せばよいので、装置の機構としては、既存のものを使用することができる。
以上のように、本発明によると、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設けることによって、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面とのどちらか一方が微小粗面となって油膜が形成しやすくなる。しかもこのくぼみが油溜まりとなるため、すべり面の油膜形成が確実に行える。このため、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面との間を良好な潤滑状態を維持でき、摩耗や焼き付きを抑えることができて、長寿命化を図ることができる。すなわち、金属接触による摩耗を低減することができる延命効果を発揮することができる。また、装置の機構としては既存のものを使用することができ、コスト低減に寄与する。このように、既存の装置において、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの円弧状背面とのどちらか一方に本発明に係る表面性状を満たす表面処理を施すのみで、従来において発揮できなかった長寿性を備えることができる。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の油圧ポンプの要部拡大断面図を示す。この油圧ポンプは、ハウジング46と、ハウジング46に収納される斜板(スワッシュプレート)6及びシリンダバレル2と、ハウジング46に挿入される駆動軸1とを備えた可変容量型斜板式油圧ポンプである。そして、前記シリンダバレル2に複数のシリンダ3が設けられ、このシリンダ3内にピストン4がスライド可能に挿入されている。
前記ハウジング46に凹円弧状案内面44が設けられると共に、斜板6に前記凹円弧状案内面44に対向して凸円弧状背面40が設けられている。そして、凹円弧状案内面44と凸円弧状背面40との間に円弧状体からなる滑り軸受41が介装されている。
前記ピストン4の尾部は、球体部5とこれに回動自在に装着されるシュー8とで構成される。また、スワッシュプレート6は、前記シリンダバレル2に臨む平坦な滑り面47を有し、各シュー8がシリンダバレル側から円板状の押え板9に嵌まり込んでいる。
そして、駆動軸1には、スリーブ20とスプリング21とが外嵌され、そのスプリング21によりスリーブ20が軸方向に押圧される。これにより、押え板9をスワッシュプレート6に向けて押圧している。
前記油圧ポンプにおいて、駆動軸1を回転させると、駆動軸1の回転に伴って前記シリンダバレル2が回転する。これにより、ピストン4の尾部のシュー8は、スワッシュプレート6の滑り面47に沿って回転することになり、ピストン4が往復運動を行う。
なお、前記スワッシュプレート6は、従来と同様に、図示省略の角度変更機構(例えば、シリンダ機構を備えたもの)によって角度変更が可能となっている。すなわち、角度変更機構は、図10に示した従来の構造のものを使用することができる。このスワッシュプレート6の滑り面47の角度変更によって、各ピストン4のストローク量を変更して流体の吐出量を調整できるようにしている。
このため、スワッシュプレート6は、角度変更時等にその凸円弧状背面40が滑り軸受41の受け面42を摺動することになる。この場合、振動や低粘土オイルなどの厳しい使用環境においては、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40との間に摩耗が発生する。このように摩耗が発生すれば、摩耗粉がより摩耗を促進させることになり、滑り軸受41の寿命が大幅に短くなるおそれがあった。
そこで、本発明では、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのどちらか一方に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内であり、かつ、Sk値が−1.6以下に設定する。
また、前記くぼみの平均面積が30〜100μm2の範囲内で、かつ、Rymaxが0.4〜1.0μmの範囲内とする。
さらに、前記くぼみを設けた面におけるくぼみの面積率が5〜20%の範囲内であり、かつ、前記くぼみを設けた面の面粗さのパラメータRymaxが0.4〜1.0μmの範囲内とする。
なお、前記のような微小粗面を得るための表面加工処理としては、特殊なバレル研磨によると所望の仕上げ面を得ることができるが、これに限らず、例えばショット等を用いてもよい。
上記のように、本発明では、くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniを0.4μm以上、1.0μm以下の範囲内に規定することで、希薄潤滑下でも油膜切れを防ぐことが可能となり、極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。また、接触面(滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのどちらか一方)のSk値を幅方向、円周方向とも−1.6以下とすることにより、微小凹形状のくぼみが油溜りとなり、圧縮されても滑り方向、直角方向への油のリークは少なく、油膜形成に優れ、表面損傷を極力抑える効果が発揮される。
また、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのどちらか一方のくぼみの平均面積を30〜100μm2の範囲内に規定するとともに、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4〜1.0μmの範囲内に設定することで、油膜形成能力を向上させることができるため、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。
さらに、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのどちらか一方のくぼみを設けた面におけるくぼみの面積率を5〜20%の範囲内に規定するとともに、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRymaxを0.4〜1.0μmの範囲内に設定することで、油膜形成能力を向上させることができるため、希薄潤滑下で極端に油膜厚さが薄い条件下でも長寿命を得ることができる。
従って、本発明の油圧ポンプは、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40との間を良好な潤滑状態を維持でき、摩耗や焼き付きを抑えることができて、長寿命化を図ることが可能な油圧ポンプを提供できる。すなわち、金属接触による摩耗を低減することができる延命効果を発揮することができる。また、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのどちらか一方に、前記したような表面性状を満たす表面処理を施せばよいので、装置の機構としては既存のものを使用することができ、コスト低減に寄与する。このように、既存の装置において、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのどちらか一方に本発明に係る表面性状を満たす表面処理を施すのみで、従来において発揮できなかった長寿性を備えることができる。
ところで、滑り軸受41の受け面とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのどちらか一方のみではなく、滑り軸受41の受け面42とスワッシュプレート6の円弧状背面40との両方に本発明に係る表面性状を満たす表面処理を施すようにしてもよい。また、ピストン4のシュー8の押え板側端面(ピストンの斜板側接触部)48と斜板6の滑り面47とが摺接することになるので、ピストン4のスワッシュプレート6側接触部48とスワッシュプレート6のピストン4側接触部47とのどちらか一方、または両方に本発明に係る表面性状を満たす表面処理を施すようにしてもよい。
本発明の有用性を示すために、転がり軸受の寿命評価と歯車の寿命評価を行った。転がり軸受は、インナレース(相手軸)ところとアウタレース(外輪)とで転がり及び接触をしている。歯車の歯面は相手側歯面と転がり及び接触をしている。いずれもその接触は、滑り軸受4とスワッシュプレート6との接触状態に準じた形態となる。従って、滑り軸受4とスワッシュプレート6の評価は、転がり軸受と歯車の寿命評価で評価できると考えられる。以下に、パラメータRyni、Rymax、Sk、Rqniの測定方法、条件の一例を示す。これらのパラメータで表される表面性状を測定する場合、一ヶ所の測定値でも代表値として信頼できるが、たとえば直径方向に対向する二ヶ所を測定するとよい。
パラメータ算出規格:JIS B 0601:1994(サーフコム JIS 1994)
カットオフ種別:ガウシアン
測定長さ:5λ
カットオフ波長:0.25mm
測定倍率:×10000
測定速度:0.30mm/s
測定箇所:対象物中央部
測定数:2
測定装置:面粗さ測定器サーフコム1400A(東京精密株式会社)
パラメータ算出規格:JIS B 0601:1994(サーフコム JIS 1994)
カットオフ種別:ガウシアン
測定長さ:5λ
カットオフ波長:0.25mm
測定倍率:×10000
測定速度:0.30mm/s
測定箇所:対象物中央部
測定数:2
測定装置:面粗さ測定器サーフコム1400A(東京精密株式会社)
また、くぼみの定量的測定を行うには、対象物表面を拡大し、その画像から市販されている画像解析システムにより定量化できる。さらには、特開2001−183124に開示されている表面性状検査方法及び表面性状検査装置を用いれば、安定して精度良く測定することができる。この方法は、曲率を有する検査表面に光を照射して検査表面をカメラで撮影し、このカメラで撮影された検査表面の画像の輝度を測定して、この測定された輝度の明部と暗部のコントラストで形成される明暗パターンにより、検査表面の表面性状を検査する表面性状検査方法であって、光をカメラの光軸方向に合致させて照射し、測定される画像の輝度分布がピーク値を示す位置を、カメラの光軸上に一致させるように、検査表面を位置決めすることにより、検査表面の曲率に起因するシェーディング(輝度分布)を抑制するものである。また、光をカメラの光軸方向に合致させて照射し、測定される画像の輝度分布について、この輝度分布がピーク値を示す位置に相当する検査表面の部位を原点とし、曲率の対称軸を一つの軸とする直交二次元座標で、直交する各座標軸に沿う一次元の輝度分布をそれぞれ近似関数で近似し、これらの近似関数を用いて、画像の輝度分布を除去するように、輝度分布のピーク値を基準値として、座標各位置に相当する測定された画像の輝度を補正し、この補正された輝度の明暗パターンにより検査表面の表面性状を検査することにより、シェーディングのない明暗パターンで表面性状を検査することができる。測定条件はたとえば次のとおりである。また、くぼみの面積率、平均面積を測定する場合、上記のパラメータと同様に、一ヶ所の測定値でも代表値として信頼できるが、たとえば一方方向に対向する二ヶ所を測定するとよい。
面積率:観察視野範囲で2値化閾値((明部の輝度+暗部の輝度)/2)よりも小さい画素(黒)の占める割合
平均面積:黒の面積の合計/総数
観察視野:826μm×620μm
測定箇所:対象物中央部
測定数:2
面積率:観察視野範囲で2値化閾値((明部の輝度+暗部の輝度)/2)よりも小さい画素(黒)の占める割合
平均面積:黒の面積の合計/総数
観察視野:826μm×620μm
測定箇所:対象物中央部
測定数:2
図3は供試転がり軸受の一例を示しており、この転がり軸受10は転動体として針状ころ12を外輪13に組み込んだ針状ころ軸受であり、針状ころ12で相手軸14を支持するようになっている。針状ころ表面に、仕上面の異なる表面処理を施した複数種類の針状ころ軸受を製作し、寿命試験を行なった結果について説明する。寿命試験に用いた針状ころ軸受は、図4に示すように、外径Dr=33mm、内径dr=25mm、針状ころ12の直径D1=4mm、長さL=25.8mmで、15本の針状ころを用いた保持器15付きの軸受である。試験軸受として針状ころの表面粗さ仕上の異なる3種類を製作した。すなわち、研削後スーパーフィニッシュを施した軸受A(比較例)と、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に形成した軸受B(比較例)、軸受C(参考例)、軸受D(参考例)とである。各試験軸受の針状ころにおける仕上面状況を図5〜図7に示す。具体的には、図5は軸受Aの表面粗さ、図6は軸受Bの表面粗さ、図7は軸受C及び軸受Dの表面粗さをそれぞれ示す。また、各試験軸受の表面仕上面の特性値パラメータ一覧を表1に示す。なお、軸方向面粗さRqni(L)と周方向面粗さRqni(C)の比Rqni(L/C)については、軸受B、C及びDは1.5以下であり、軸受Aは1.0前後の値である。また、結晶粒度の測定は、JIS G 0551の鋼のオーステナイト結晶粒度試験方法に基づいて行なった。
使用した試験装置は図8に概略図で示したようなラジアル荷重試験機16で、回転軸17の両側に試験軸受10を取り付け、回転と荷重を与えて試験を行なうものである。試験に用いたインナレース(相手軸)の仕上は研磨仕上のRa0.10〜0.16μmである。アウタレース(外輪)も共通である。試験条件は以下のとおりである。
軸受ラジアル荷重:2000kgf
回転数:4000rpm
潤滑剤:クリセフオイルH8(試験条件で2cst)
軸受ラジアル荷重:2000kgf
回転数:4000rpm
潤滑剤:クリセフオイルH8(試験条件で2cst)
図9に油膜パラメータΛ=0.13の下での寿命試験結果を示す。同図の縦軸が寿命時間(h)を表している。同図に示すように、軸受Aが78h、軸受Bが82hであったのに対して軸受Cは105h、軸受Dは121hであった。このデータから明らかなように、針状ころ表面が本発明に係る表面形状を満たすように表面処理された軸受C及びDは、油膜パラメータΛ=0.13という低粘度、希薄の非常に過酷な潤滑条件下でも長寿命効果を得ることができる。従って、滑り軸受41の受け面とスワッシュプレート6の円弧状背面40とのどちらか一方を上記数値範囲に設定した本発明に係る油圧ポンプは、高い長寿命効果を得ることができる。
次に、図10に示す平歯車疲労試験機を使用して歯車のピッチング試験を実施し、ピッチング強度を評価した。図10において、ドライブ側歯車31(歯数29枚)とドリブン側歯車32(歯数30枚)は各々の回転軸33、34の片側に取付けられており、ドライブ側の軸33が図示しないモータにより駆動されている。また、ドライブ側の軸33に取付けてある負荷レバー35及び重錘36によりトルクを負荷する構造となっている。ドライブ側歯車31は、本発明に係る表面処理の有無で2種類を用意した。試験条件等の詳細は、表2のとおりである。
歯車ピッチング試験のデータを表3、表4及び表5に示す。表3はドライブ側及びドリブン側の何れの歯車にも表面処理を施していない場合(a)の結果(比較例)を示し、表4はドライブ側歯車の歯面に、本発明に係る表面性状を満たすように表面処理を施したものを使用した場合(b)の結果(実施例)を示し、表5はドライブ側歯車及びドリブン側歯車の歯面に、本発明に係る表面性状を満たすように表面処理を施したものを使用した場合(c)の結果(実施例)をそれぞれ示す。これらより、ピッチング寿命が、(a)の場合に比べ、(b)の場合では2倍以上向上し、(c)の場合では3倍以上向上していることが確認できる。
1 駆動軸
4 ピストン
6 スワッシュプレート
40 凸円弧状背面
41 滑り軸受
44 凹円弧状案内面
46 ハウジング
4 ピストン
6 スワッシュプレート
40 凸円弧状背面
41 滑り軸受
44 凹円弧状案内面
46 ハウジング
Claims (2)
- ハウジングと、このハウジングに収納されるスワッシュプレートと、ハウジングに挿入される駆動軸とを備え、前記ハウジングに凹円弧状案内面を設けると共に、スワッシュプレートに凸円弧状背面を設け、この凸円弧状背面を滑り軸受を介して凹円弧状案内面にて受けた状態にて、前記駆動軸が回転することによって、前記スワッシュプレートの前面側に摺接しているピストンが軸心方向に往復動する油圧ポンプにおいて、滑り軸受の受け面とスワッシュプレートの凸円弧状背面との少なくともどちらか一方に、微小凹形状のくぼみをランダムに無数に設け、前記くぼみを設けた面の面粗さパラメータRyniが0.4μm≦Ryni≦1.0μmの範囲内であり、かつ、Sk値が−1.6以下でありさらに、前記くぼみの平均面積が30〜100μm2の範囲内で、かつ、Rymaxが0.4〜1.0μmの範囲内であることを特徴とする油圧ポンプ。
- 前記くぼみを設けた面におけるくぼみの面積率が5〜20%の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の油圧ポンプ。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9926968B2 (en) * | 2013-08-21 | 2018-03-27 | Mag Ias Gmbh | Sliding surface |
US10132411B2 (en) * | 2015-02-14 | 2018-11-20 | Eagle Industry Co., Ltd. | Sliding component |
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2006
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