JP2005344839A - ピンスライド型車両用ディスクブレーキ - Google Patents

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Shinobu Kaneko
忍 金子
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Abstract

【課題】 液圧室内に過大な液圧が作用してもシリンダ孔外周壁を均一に変形させることによって、ピストンをディスク軸方向に対して平行に保持し、ライニングの偏摩耗、鳴き、引き摺りを効果的に抑制する。
【解決手段】 キャリパボディ3の作用部3aに、ディスクロータ側が開口した有底のシリンダ孔3dを形成する。作用部3aの両側部に突設したスライドピン支持腕部3j,3jに一対のスライドピン5,5を装着し、該スライドピン5,5を介して、キャリパボディ3を、キャリパブラケット4にディスク軸方向にスライド可能に支持する。シリンダ孔3dにおけるピストンシール装着溝3i形成部の反ブリッジ部側外周壁に厚肉部3mを設ける。厚肉部3mとスライドピン支持腕部3j,3jとの間にディスクロータ内周方向に突出するリブを設ける。ピストンシール装着溝3iよりも底部側のシリンダ孔外周壁の厚さを実質的に均一に形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車や自動二輪車等の車両に用いられるピンスライド型車両用ディスクブレーキに関し、詳しくは、作用部と反作用部とをディスクロータの外側を跨ぐブリッジ部にて一体に連結したキャリパボディを有するピンスライド型車両用ディスクブレーキに関する。
ピンスライド型の車両用ディスクブレーキは、ディスクロータの一側部に配設されるシリンダ孔を備えた作用部と、ディスクロータの他側部に配設される反力爪を備えた反作用部とを、ディスクロータの外側を跨ぐブリッジ部で一体に連結したキャリパボディを、ディスクロータの外周を跨いで配置し、ディスクロータの一側部で車体に固設されるキャリパブラケットに、一対のスライドピンを介してディスク軸方向へスライド可能に支持している。また、前記作用部と反作用部との間には、前記ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドが配設されている。摩擦パッドの側部にはトルク伝達部が突設され、該トルク伝達部をキャリパブラケットに設けたトルク受け凹部に支承させて摩擦パッドを保持するとともに、制動トルクをトルク受け凹部で受けるようにしている。
ディスクロータ側が開口した有底のシリンダ孔内には、ピストンシールを介してピストンが摺動自在に内挿されており、ピストンとシリンダ孔底部との間に画成された液圧室内に供給される圧液によってピストンをディスクロータ方向へ移動させ、ピストンで作用部側の摩擦パッドをディスクロータの一側面に圧接させるとともに、その反作用で反力爪が反作用部側の摩擦パッドをディスクロータの側面に圧接させることにより制動力を得ている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平7−145836号公報
上述のような従来のピンスライド型車両用ディスクブレーキでは、前記シリンダ孔における開口周辺部、特に、ピストンシール装着溝形成部の外周壁の肉厚が周方向で異なっており、一般的にブリッジ部側外周壁の肉厚が厚くなっている。さらに、ブリッジ部には、いくつかの補強リブが設けられることが多いことから、シリンダ孔外周壁のブリッジ部側の強度がより高くなっている。これらのことから、液圧室内に供給された圧液によるシリンダ孔外周壁の変形量は、相対的に反ブリッジ部側外周壁の方が大きくなる傾向となる。
したがって、液圧室内に過大な液圧が作用すると、ブリッジ部側に比べて反ブリッジ部側が大きく変形することになり、ピストンがディスク軸方向に対して平行とはならず、僅かに傾いた状態で摩擦パッドを押圧するため、摩擦パッドのライニングが偏摩耗したり、鳴きや引き摺りといった現象が発生することがあった。
そこで本発明は、液圧室内に過大な液圧が作用してもシリンダ孔外周壁を均一に変形させることによって、ピストンをディスク軸方向に対して平行に保持することができ、ライニングの偏摩耗、鳴き、引き摺りを効果的に抑制することができる構造を備えたピンスライド型車両用ディスクブレーキを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明のピンスライド型車両用ディスクブレーキは、 ディスクロータを挟んで対向配置される作用部と反作用部とをディスクロータの外側を跨ぐブリッジ部にて一体に連結したキャリパボディを、前記作用部の両側部に突設したスライドピン支持腕部に装着される一対のスライドピンを介して、車体に固設されるキャリパブラケットにディスク軸方向にスライド可能に支持し、前記作用部と反作用部との間に前記ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、前記作用部に形成したディスクロータ側が開口した有底のシリンダ孔の内部にピストンを摺動自在に内挿し、ピストンとシリンダ孔底部との間に画成された液圧室内に供給される圧液によってピストンをディスクロータ方向へ移動させ、該ピストンで作用部側の摩擦パッドをディスクロータの一側面に圧接させるとともに、反作用部が反作用部側の摩擦パッドをディスクロータの他側面に向けて押動圧接する車両用ディスクブレーキにおいて、前記シリンダ孔におけるピストンシール装着溝形成部の反ブリッジ部側外周壁に、ピストンシール装着溝よりもシリンダ孔底部側に位置する底部側外周壁に比べて肉厚に形成された厚肉部を設け、該厚肉部と前記スライドピン支持腕部との間にディスクロータ内周方向に突出するリブを設けるとともに、前記ピストンシール装着溝よりも底部側のシリンダ孔外周壁の厚さを実質的に均一に形成したことを特徴とし、前記厚肉部は、ブリッジ部側外周壁の肉厚と同一になるように形成されていてもよく、また、前記リブは、その突出端がディスクロータ外周方向に向かって凹となる滑らかな曲線を描いて形成されると好適である。
本発明のピンスライド型車両用ディスクブレーキによれば、液圧室内に過大な液圧が作用してもシリンダ孔外周壁を均一に変形させることによって、ピストンをディスク軸方向に対して平行に保持することができ、ライニングの偏摩耗、鳴き、引き摺りを効果的に抑制することができる。
図1乃至図8は、本発明のピンスライド型車両用ディスクブレーキの一形態例を示すもので、図1は図2のI−I断面図、図2はディスクブレーキの正面図、図3はディスクブレーキの一部断面平面図、図4はディスクブレーキ一部断面背面図、図5はキャリパボディの正面図、図6はキャリパボディの側面図、図7は図6のVII−VII断面図、図8はキャリパボディの底面図である。
なお、図中の矢印Aは、車両前進走行時のディスクロータの回転方向を示し、以下の説明で用いるディスクブレーキ回入側と回出側とは、車両前進走行時の場合とする。
ピンスライド型車両用ディスクブレーキ1は、ディスクロータ2を挟んで対向配置される作用部3aと反作用部3bとをディスクロータ2の外側を跨ぐブリッジ部3cにて一体に連結したキャリパボディ3を、ディスクロータ2の一側部で車体に固設されるキャリパブラケット4に一対のスライドピン5を介してディスク軸方向に移動可能に支持し、前記作用部3aと反作用部3bとの間にディスクロータ2を挟んで一対の摩擦パッド6,6を対向配置している。
キャリパブラケット4は、ディスクロータ2の外側を跨いでディスク軸方向へ突出する一対のキャリパ支持腕4a,4aと、該キャリパ支持腕4a,4aの両端部を連結する連結腕4bとを備えている。連結腕4bは、作用部側にのみ設けられ、正面視略U字状を呈し、中央に作用部側の摩擦パッド6を収容する収容凹部4cが設けられるとともに、ディスク周方向両側で前記キャリパ支持腕4a,4aに連結している。
キャリパ支持腕4a,4aは、反作用部3b側から作用部3aに亘る長さの直線状に形成されており、キャリパ支持腕4aの内部には、袋状のピン挿通孔4dが作用部側に開口して設けられている。キャリパ支持腕4a,4a外面のピストン側対向面には、摩擦パッド6,6からの制動トルクを支承するコ字状のトルク受け部4e,4eが相対向して設けられている。また、キャリパ支持腕4a,4aには、一対の車体取付部4f,4fが設けられ、この車体取付部4f,4fには、取付ボルトを装着させる取付ボルト装着孔4g,4gが形成されている。キャリパブラケット4は、車体側から挿通される取付ボルト(図示せず)を、この取付ボルト装着孔4g,4gに螺着することによって車体に固着される。
前記キャリパボディ3の作用部3aには、ディスクロータ2側が開口した有底のシリンダ孔3dが設けられており、反作用部3bには、反作用部側の摩擦パッド6を押動する反力爪3eが設けられている。ブリッジ部3cは、ディスクロータ外周側に膨出した一対のリブ状部3f,3fを有しており、リブ状部3f,3fの間には、摩擦パッド6の状態を外部から確認するための窓部3gが設けられている。
前記該シリンダ孔3d内には、コップ状のピストン7が摺動自在に内挿されている。さらに、シリンダ孔3dの開口側内周面には環状のダストシール装着溝3hが周設され、該ダストシール装着溝3hよりもシリンダ孔底部側に環状のピストンシール装着溝3iが周設されている。ピストンシール装着溝3iには、ピストン7の外周面に液密かつ移動可能に摺接するとともに、その復元力でピストン7をロールバックさせるピストンシール8が装着され、ダストシール装着溝3hには、ピストン7の外周面に移動可能に摺接してシリンダ孔内への塵埃の侵入を防止するダストシール9が装着されている。ピストン7は、ピストン7とシリンダ孔3dの底部との間に画成された液圧室10にユニオン孔11を介して供給される圧液により、シリンダ孔3d内をディスクロータ方向へ移動して作用部側の摩擦パッド6をディスクロータ2の一側面に向けて押動する。
前記作用部3aのディスクロータ回入側及び回出側には、一対のスライドピン支持腕部3j,3jがディスクロータ2の一側面に沿って直線状に突設されており、各スライドピン支持腕部3jの先端には、固定ボルト12によって前記スライドピン5がディスク軸と平行な方向にそれぞれ取り付けられている。各スライドピン5は、前記キャリパ支持腕4aのピン挿通孔4dに摺動可能に挿通され、キャリパボディ3は、これらスライドピン5とピン挿通孔4dとの摺動により、キャリパブラケット4に対してディスク軸方向に移動可能となっている。
各摩擦パッド6は、ディスクロータ2の側面に摺接するライニング6aと、該ライニング6aを保持する金属製の裏板6bとからなっている。裏板6bには、ディスク回出回入方向に突出するトルク伝達部6c,6cが設けられ、該トルク伝達部6c,6cが前記トルク受け部4e,4eにリテーナ13,13を介して支持されている。
運転者の制動操作によってキャリパボディ3の液圧室10に昇圧した作動液が供給されると、ピストン7がシリンダ孔3d内を開口方向へ前進して作用部3a側の摩擦パッド6を押動し、該摩擦パッド6のライニング6aをディスクロータ2の一側面へ押圧する。次に、この反作用により、キャリパボディ3がスライドピン5,5の案内にて作用部3a方向へ移動し、反作用部3bの反力爪3eが反作用部3b側の摩擦パッド6を押動し、該摩擦パッド6のライニング6aをディスクロータ2の他側面へ押圧する。これにより、ディスクロータ2に制動力が作用する。
このように形成されたディスクブレーキ1において、前記シリンダ孔3dにおけるピストンシール装着溝3i形成部の反ブリッジ部側外周壁には、ピストンシール装着溝3iよりも底部側に位置するシリンダ孔の外周壁(底部側外周壁)3kに比べて肉厚とした厚肉部3mが設けられている。この厚肉部3mの肉厚は、ブリッジ部3cのリブ状部3fを除いたブリッジ部側外周壁3nの肉厚と同一になるように形成されている。さらに、前記底部側外周壁3kの肉厚は、シリンダ孔全周にわたって同一になるように形成している。これにより、シリンダ孔3dにおけるピストンシール装着溝3i形成部を含めたシリンダ孔外周壁全体の強度を略均一にすることができる。
さらに、前記厚肉部3mと前記スライドピン支持腕部3j,3jとの間には、ディスクロータ内周方向に突出するリブ3o,3oがそれぞれ設けられている。このリブ3o,3oの突出端3pは、厚肉部3mの外周面と、スライドピン支持腕部3j,3jのディスクロータ内周側の面との間で、ディスクロータ外周方向に向かって僅かに凹となる滑らかな曲線を描いて形成されている。このようなリブ3o,3oを設けることにより、シリンダ孔3dにおける反ブリッジ部側外周壁に加わる液圧負荷をスライドピン支持腕部3j,3jを含めた広い範囲に分散させることができる。特に、突出端3pを滑らかな曲線としたことにより、リブ3oでの応力集中も防止することができる。
したがって、シリンダ孔外周壁の一部への応力集中を回避することができるので、液圧室内に過大な液圧が作用したときでも、シリンダ孔外周壁を均一に変形させることができ、全体的に変形することから変形量も小さくすることができる。これにより、ピストン7をディスク軸方向に対して平行に保持することができ、摩擦パッド6を均等に押圧できるので、摩擦パッド6のライニング6aが偏摩耗したり、鳴きや引き摺りといった現象の発生を抑えることができる。
図2のI−I断面図である。 本発明の一形態例を示すディスクブレーキの正面図である。 同じく一部断面平面図である。 同じく一部断面背面図である。 本発明の一形態例を示すキャリパボディの正面図である。 同じく側面図である。 図6のVII−VII断面図である。 同じく底面図である。
符号の説明
1…ディスクブレーキ、2…ディスクロータ、3…キャリパボディ、3a…作用部、3b…反作用部、3c…ブリッジ部、3d…シリンダ孔、3e…反力爪、3f…リブ状部、3g…窓部、3h…ダストシール装着溝、3i…ピストンシール装着溝、3j…スライドピン支持腕部、3k…底部側外周壁、3m…厚肉部、3n…ブリッジ部側外周壁、3o…リブ、3p…突出端、4…キャリパブラケット、4a…キャリパ支持腕、4b…連結腕、4c…収容凹部、4d…ピン挿通孔、4e…トルク受け部、4f…車体取付部、4g…取付ボルト装着孔、5…スライドピン、6…摩擦パッド、6a…ライニング、6b…裏板、6c…トルク伝達部、7…ピストン、8…ピストンシール、9…ダストシール、10…液圧室、11…ユニオン孔、12…固定ボルト、13…リテーナ

Claims (3)

  1. ディスクロータを挟んで対向配置される作用部と反作用部とをディスクロータの外側を跨ぐブリッジ部にて一体に連結したキャリパボディを、前記作用部の両側部に突設したスライドピン支持腕部に装着される一対のスライドピンを介して、車体に固設されるキャリパブラケットにディスク軸方向にスライド可能に支持し、前記作用部と反作用部との間に前記ディスクロータを挟んで一対の摩擦パッドを対向配置し、前記作用部に形成したディスクロータ側が開口した有底のシリンダ孔の内部にピストンを摺動自在に内挿し、ピストンとシリンダ孔底部との間に画成された液圧室内に供給される圧液によってピストンをディスクロータ方向へ移動させ、該ピストンで作用部側の摩擦パッドをディスクロータの一側面に圧接させるとともに、反作用部が反作用部側の摩擦パッドをディスクロータの他側面に向けて押動圧接する車両用ディスクブレーキにおいて、前記シリンダ孔におけるピストンシール装着溝形成部の反ブリッジ部側外周壁に、ピストンシール装着溝よりもシリンダ孔底部側に位置する底部側外周壁に比べて肉厚に形成された厚肉部を設け、該厚肉部と前記スライドピン支持腕部との間にディスクロータ内周方向に突出するリブを設けるとともに、前記ピストンシール装着溝よりも底部側のシリンダ孔外周壁の厚さを実質的に均一に形成したことを特徴とするピンスライド型車両用ディスクブレーキ。
  2. 前記厚肉部は、ブリッジ部側外周壁の肉厚と同一になるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のピンスライド型車両用ディスクブレーキ。
  3. 前記リブは、その突出端がディスクロータ外周方向に向かって凹となる滑らかな曲線を描いて形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のピンスライド型車両用ディスクブレーキ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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TWI399495B (zh) * 2009-07-06 2013-06-21 Shimano Kk 具有單向管道裝置的單件式液壓盤式制動器卡鉗及與液壓盤式制動器卡鉗一起使用的螺栓

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