JP2005344571A - 故障診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ECU4は、各出力吸収装置2の吸収トルクを加味した見込出力を算出するF/F算出手段41と、アイドリング時にエンジン回転数NEを所定のアイドリング回転数NEiに補正するF/B量を算出するF/B算出手段42とを備え、エンジン1のアイドリング時にF/B量が0でない場合、まず複数のインジェクタを順に強制停止させて、F/B量が0になるインジェクタを検出することで、故障したインジェクタを特定する。インジェクタの故障が特定できない場合、特定の出力吸収装置2(エアコン2a、パワステ装置2b、オルタネータ2c等のいずれか)が停止した際に、F/B量が0になる出力吸収装置2を検出することで、故障した出力吸収装置2を特定する。
【選択図】 図1
Description
なお、本発明では、フィードフォワードをF/Fと称し、フィードバックをF/Bと称するものである。
自動車などの車両は、複雑に電子制御化されており、システムに異常が発生した場合に、その原因究明に高度な知識と判断が要求される。このため、近年では、電子制御システム自体に故障診断の自己診断機能を備え、異常が発生した場合には、運転者に故障箇所を知らせたり、故障箇所を特定できる故障情報として記憶し、メンテナンスを容易にする技術が知られている。
しかし、従来の故障診断装置は、全ての故障箇所を特定できるものではなく、故障箇所を特定することが困難な場合がある。従って、従来にない新しい故障診断装置の開発が要求されている。
請求項1の手段を採用する故障診断装置は、エンジンがアイドリング状態で、且つF/B算出手段が出力トルク(または噴射量)を変更するF/B量を算出する場合に、複数のインジェクタを順に強制停止させて、複数のインジェクタを順に強制停止した際におけるF/B量の変化状態から、複数の気筒のうち、燃焼が停止した気筒を特定するものである。
このように、請求項1の手段を採用する故障診断装置は、F/B量の変化状態から燃焼が停止した気筒を特定することができる。
請求項2の手段を採用する故障診断装置のエンジンはディーゼルエンジンであるため、故障特定手段は、燃焼しない気筒を特定すると、その気筒のインジェクタが故障していると判断する。
このように、請求項2の手段を採用する故障診断装置は、F/B量の変化状態から故障したインジェクタを特定することができる。
請求項3の手段を採用する故障診断装置は、エンジンがアイドリング状態で、且つF/B算出手段が出力トルク(または噴射量)を変更するF/B量を算出する場合に、特定の出力吸収装置が作動または停止した場合におけるF/B量の変化状態から、特定の出力吸収装置の故障を判定するものである。
このように、請求項3の手段を採用する故障診断装置は、F/B量の変化状態から特定の出力吸収装置の故障を判定することができる。
請求項4の手段を採用する故障診断装置は、故障特定手段の特定した故障箇所を、特定できる故障情報として故障情報記憶手段に記憶する。
このように設けることにより、メンテナンス時に故障情報記憶手段から故障情報を読み込むことによって、故障の発生箇所を容易に特定することができ、メンテナンス性を向上させることができる。
この車両は、少なくともアイドリング時に作動し、運転状態に応じたエンジンの出力トルクまたは噴射量をF/Fにより算出するF/F算出手段と、アイドリング時に作動し、目標のアイドリング回転数と、実際のエンジン回転数とに回転差がある場合、その回転差を無くすF/B量を算出し、このF/B量によってF/F算出手段で算出した出力トルクまたは噴射量を補正するF/B算出手段と、エンジンがアイドリング状態で、且つF/B算出手段が出力トルクまたは噴射量を変更するF/B量を算出する場合、複数のインジェクタを順に強制停止させて、複数のインジェクタを順に強制停止した際におけるF/B量の変化状態から、複数の気筒のうちにおいて燃焼しない気筒を特定する故障特定手段とからなる故障診断装置を備える。
この車両は、少なくともアイドリング時に作動し、特定の出力吸収装置の吸収トルクを加味してエンジンの出力トルクまたは噴射量を算出するF/F算出手段と、アイドリング時に作動し、目標のアイドリング回転数と、実際のエンジン回転数とに回転差がある場合、その回転差を無くすF/B量を算出し、このF/B量によってF/F算出手段で算出した出力トルクまたは噴射量を補正するF/B算出手段と、エンジンがアイドリング状態で、且つF/B算出手段が出力トルクまたは噴射量を変更するF/B量を算出する場合、特定の出力吸収装置が作動または停止した場合におけるF/B量の変化状態から、特定の出力吸収装置の故障を判定する故障特定手段とからなる故障診断装置を備える。
自動車は、エンジン1、複数の出力吸収装置2(この実施例ではエアコン2a、パワステ装置2b、オルタネータ2c)、出力発生装置3(燃料噴射装置)、およびECU4(エンジン・コントロール・ユニットの略:制御装置)を搭載する。
この実施例に示すエンジン1は、燃料(軽油)の高圧圧縮によって気筒内で燃焼が開始され、燃料の燃焼によって出力トルクを発生するディーゼルエンジンであり、吸入・圧縮・爆発・排気の各工程を連続して行う気筒を複数備える。なお、この実施例では、4気筒エンジンを例に示すが、他の気筒数のエンジンであっても良い。
複数の出力吸収装置2の一例として、図1に示すように、この実施例ではエアコン2a(空気調和装置)、パワステ装置2b、オルタネータ2cを例示する。
エアコン2aは、車室内に向かう空気流を発生させるブロワを備えた周知の空調ダクトと、冷媒圧縮機(コンプレッサ)、冷媒凝縮器(コンデンサ)、冷媒膨張弁、冷媒蒸発器(エバポレータ)等からなる周知の冷凍サイクル等とで構成されるものであり、空調ダクト内に配置された冷媒蒸発器の内部で冷媒が蒸発する際に、空調ダクト内を通過する空気から熱を奪うことで、冷媒蒸発器を通過する空気(車室に向かう空気)が除湿、冷却されるものである。
冷媒圧縮機は、エンジン1の出力トルクを吸収して冷媒の吸入・圧縮・吐出の作動を行うものであり、エアコン2aは、冷媒圧縮機の作動時(エンジン1の回転トルクを冷媒圧縮機に伝える電磁クラッチのオン時)に、エアコン作動信号XACをECU4に出力するように設けられている。
オイルポンプは、エンジン1の出力トルクを吸収してパワステ油圧を算出するものであり、パワステ装置2bは、所定速度以下の作動時に、パワステ信号XPWSをECU4に出力するように設けられている。
このオルタネータ2cは、エンジン1の出力トルクを吸収して電力を発生するものであり、オルタネータ2cの作動時に、オルタネータ信号XALをECU4に出力するように設けられている。
出力発生装置3の一例を、図7、図8を参照して説明する。
出力発生装置3は、エンジン1の各気筒に燃料を供給する燃料噴射装置であり、この実施例ではコモンレール式燃料噴射装置を例示する。
コモンレール式燃料噴射装置は、図7に示されるように、コモンレール5、インジェクタ6、サプライポンプ7等から構成され、インジェクタ6の開閉時期およびサプライポンプ7の吐出圧(コモンレール圧)がECU4によって制御される。
なお、インジェクタ6からのリーク燃料は、リーク配管(燃料還流路)9を経て燃料タンク10に戻される。
また、コモンレール5から燃料タンク10へのリリーフ配管(燃料還流路)11には、プレッシャリミッタ12が取り付けられている。このプレッシャリミッタ12は圧力安全弁であり、コモンレール5内の燃料圧が限界設定圧を超えた際に開弁して、コモンレール5の燃料圧を限界設定圧以下に抑える。
インジェクタ6の具体的な一例を図8を参照して説明する。インジェクタ6は、制御室(背圧室)21の圧力を電磁弁22で制御し、制御室21の圧力によってニードル23を駆動する電磁燃料噴射弁である。電磁弁22は、電磁ソレノイド22aとバルブ(可動子)22bとから構成される。
制御室21の圧力が開弁圧以下まで低下すると、ニードル23が上昇を開始する。ニードル23がノズルシート26から離座すると、ノズル室27と噴孔28とが連通し、ノズル室27に高圧供給された燃料が噴孔28から噴射する。
ニードル23が下降して、ニードル23がノズルシート26に着座すると、ノズル室27と噴孔28との連通が遮断されて、噴孔28からの燃料噴射が停止する。
また、サプライポンプ7には、高圧ポンプに吸引される燃料の量を調整する吸入調量弁(図示しない)が搭載されており、この吸入調量弁がECU4によって調整されることにより、コモンレール圧が調整されるようになっている。
ECU4は、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよびデータを保存する記憶装置(ROM、スタンバイRAMまたはEEPROM、RAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路等の機能を含んで構成されている周知構造のマイクロコンピュータよりなる。なお、この実施例では、ECU4と一体にEDU4a(エレクトリック・ドライブ・ユニットの略:インジェクタ駆動回路およびポンプ駆動回路:符号、図2参照)が搭載されている例を示すが、EDU4aをECU4とは別に搭載しても良い。
ECU4は、読み込まれた信号(エンジンパラメータ:乗員の運転状態、出力吸収装置2の作動状態、エンジン1の運転状態等の信号)に基づいて各種の演算処理を行うようになっている。
また、ECU4には、図7に示すように、アクセル開度を検出するアクセルセンサ15、エンジン回転数(NE)を検出する回転数センサ16、エンジン1の冷却水温(THW)を検出する水温センサ17、コモンレール圧を検出するコモンレール圧センサ18、およびその他のセンサ類19が接続されている。
この実施例のインジェクタ駆動回路は、チャージ回路31、定電流回路32、各インジェクタ6の選択スイッチ(気筒スイッチ)33を備え、インジェクタ6の駆動時(選択スイッチ33のON時)に、チャージ回路31のコンデンサ34に蓄えた電気エネルギーをインジェクタ6(具体的には、電磁弁22)に与え、インジェクタ6の応答性(具体的には、インジェクタ6に搭載される電磁弁22の応答性)を向上させるようになっている。
ここで、ECU4は、コンデンサ34の充電電圧をモニターするように設けられており(モニター回路は図示しない)、コンデンサ34の充電電圧が規定値(予め設定された満充電電圧)より低下すると、コンデンサ34の電圧が規定値となるようにチャージ回路31の充電回路35を作動させて、コンデンサ34の充電電圧を規定値へ上昇させるように設けられている。
定電流回路32は、所定の電流値を発生させる回路を用いても良いし、バッテリと直接接続する回路であっても良い。
ECU4は、燃料の各噴射毎に、ROMに記憶されたプログラム(マップや演算式)と、RAMに読み込まれたエンジンパラメータとに基づいて、エンジン1の「出力トルク」を算出し、その出力トルクに応じた噴射量と、噴射に適した噴射タイミングとを求めて、その噴射タイミングでインジェクタ6から燃料噴射を開始させるとともに、インジェクタ6から演算された噴射量を噴射させるように、噴射パルスの制御をEDU4aにおいて実行させるものである。
ECU4は、出力トルクを算出する手段として、F/F算出手段41と、F/B算出手段42とを備える。
一方、F/B算出手段42は、アイドリング時にエンジン回転数NEと、所定のアイドリング回転数NEiとに回転差がある場合、その回転差を無くす「F/B量」を算出するものであり、F/F算出手段41の算出した見込出力に、F/B量を加算することにより、噴射量を算出するベースとなる出力トルク(目標出力)を求めるものである。
基本出力算出手段43は、RAMに読み込まれたエンジン回転数NEおよび冷却水温THWと、ROMに記憶されたマップに基づいて、エンジンフリクションに応じた基本トルクを算出する。
補機負荷補正手段44は、出力吸収装置2(エアコン2a、パワステ装置2b、オルタネータ2c等)に応じて設けられるものであり、この実施例ではエアコン補正手段44a、パワステ補正手段44bおよびオルタネータ補正手段44cを備える。
オルタネータ補正手段44cは、オルタネータ2cからオルタネータ信号XALを受けると、オルタネータ2cの吸収するトルク分(例えば、TAL=5Nm)を基本トルクに加算するものである。
エンジン1のアイドリング時は、エンジン回転数NEを所定のアイドリング回転数NEに保つものである。
エンジン1がアイドリングで安定している状態では、エンジン1の出力トルクと、吸収トルクとが、釣り合った状態にある。
そして、エンジン出力を発生および吸収する各装置類が正常の場合、F/F算出手段41の算出した見込出力(目標出力トルク:場合によっては経時劣化補正量を加算した出力)に基づく噴射量によるエンジン回転数NEは、所定のアイドリング回転数NEiに保たれることになり、その時のF/B量は0である。
燃焼しない気筒が生じると、F/B算出手段42は、エンジン1の出力トルクの不足分を補うため、エンジン1の出力トルクを増加させる正側のF/B量を算出して、その値を見込出力に加算補正する。この結果、エンジン回転数NEが所定のアイドリング回転数NEiに保たれる。
即ち、インジェクタ6のいずれかに無噴射異常が生じると、正側のF/B量が大きくなる。
そこで、F/B算出手段42は、エンジン1の出力トルクの過剰分を補うため、エンジン1の出力トルクを減少させる負側のF/B量を算出して、その値を見込出力に加算補正する。この結果、エンジン回転数NEが所定のアイドリング回転数NEiに保たれる。
即ち、複数の出力吸収装置2のいずれかが故障してエンジン1の出力トルクを吸収しない場合、負側のF/B量が大きくなる。
この故障特定手段45は、アイドリング時においてF/B量が0でない場合、まずインジェクタ6の故障箇所を自己診断する。そして、故障したインジェクタ6が特定できない場合は、故障した出力発生装置3を特定する自己診断を行う。
図3を参照して、故障したインジェクタ6を特定する方法を説明する。
図3では、第3気筒のインジェクタ6が停止した場合における故障特定方法を説明する。
正常時は、図3(a)に示すように、エンジン1がアイドリングで安定している状態であり、エンジン1の出力トルクa1と吸収トルクa2とが釣り合った状態にあり、F/F算出手段41の算出した見込出力に基づく噴射量によるエンジン回転数NEは、所定のアイドリング回転数NEiに保たれることになり、F/B量は0となる。
故障特定手段45は、各インジェクタ6を順に強制停止させる。この強制停止時は、1気筒噴射しないため、残りの気筒のインジェクタ6でエンジン回転数NEを所定のアイドリング回転数NEiに保つのに必要なトルクを実現できるように、各インジェクタ6の噴射量を算出するものである。
強制停止インジェクタ6と、故障インジェクタ6が一致しない場合、正側のF/B量がさらに大きくなる。例えば、図3(c)に示すように、正常な第1気筒のインジェクタ6を停止させた場合、故障している第3気筒の出力トルクの不足分と、強制停止した第1気筒の出力トルクの不足分を補ってエンジン1の出力トルクを増加するため、さらに大きな正側のF/B量a4を算出し、その値を見込出力に加算する。この結果、エンジン回転数NEが所定のアイドリング回転数NEiに保たれる。
このように、各インジェクタ6を順に強制停止させ、F/B量が0になる気筒を特定することで、故障したインジェクタ6を特定する。
図4を参照して、どの出力吸収装置2が故障しているかを特定する方法を説明する。
図4では、複数の出力吸収装置2のうち、オルタネータ2cが故障してオルタネータ2cが無負荷になった場合における故障特定方法を説明する。
オルタネータ2cが正常で作動している時は、図4(a)に示すように、見込トルクには、基本トルクb1にオルタネータ2cの作動に応じたオルタ補正トルクb2(オルタ要求トルク)が加味されて、見込出力(b1+b2:エンジン1の出力トルク)と吸収トルク(エンジンフリクションによって吸収される基本吸収トルクb3+オルタネータ2cの吸収トルクb4)とが釣り合った状態にあり、F/F算出手段41の算出した見込出力に基づく噴射量によるエンジン回転数NEは、所定のアイドリング回転数NEiに保たれることになり、F/B量は0となる。
故障特定手段45は、オルタネータ2cの作動が停止した時、オルタネータ信号XALが停止されると、図4(c)に示すように、見込トルクにオルタ補正トルクb2が加味されなくなるとともに、過剰分を減らすための負側のF/B量−b2が無くなり、結果的にF/B量が0になる。
このように、オルタネータ2cの作動が停止した時に、F/B量が0になることで、オルタネータ2cの異常を判定することができる。即ち、停止した際にF/B量が0になる出力吸収装置2を特定することで、故障した出力吸収装置2を特定する。
故障診断装置による故障特定制御の一例を、図5、図6を参照して説明する。
アイドリング時になると、故障診断制御を開始する(スタート)。
まず、ステップS1において、エンジン回転数NEと、所定のアイドリング回転数NEiとの回転差(DELNE)が0であるか否かの判断を行う。
ステップS1の判断結果がNOの場合、エンジン1が安定した状態ではないと判断し、故障判定を実施することなく、リターンする。
ステップS2では、F/B量が略0であるか否かの判断を行う。
ステップS2の判断結果がYESの場合、故障によるF/B補正がないと判断し、リターンする。
ステップS2の判断結果がNOの場合、故障によるF/B補正が生じていると判断し、ステップS10の故障箇所特定ルーチン(異常部位判定ルーチン)へ進む。
このルーチンへ侵入すると、ステップS11〜S15において、上述の「故障したインジェクタ6の特定方法」により、故障したインジェクタ6を特定する制御を実施する。
ステップS11では、各インジェクタ6を順に強制停止させる制御を実施し、ステップS12では、1気筒噴射しないため、残りの3気筒のインジェクタ6でエンジン回転数NEを所定のアイドリング回転数NEiに保つのに必要なトルクを実現できる各インジェクタ6の噴射量を算出する。そして、ステップS13において、全気筒のインジェクタ6の強制停止制御を実施したか否かの判断を行い、全気筒のインジェクタ6の強制停止制御が実行されるまで、ステップS11、S12を繰り返す。
ステップS14の判断結果がYESの場合、特定のインジェクタ6に故障が生じていたと判断し、ステップS15において、インジェクタ6の強制停止を実施した際にF/B量が略0となったインジェクタ6に故障が生じていると判定する。
なお、ステップS15では、故障を特定したインジェクタ6を、故障箇所を特定できる故障情報として故障情報記憶手段(記憶装置)に記憶するとともに、図示しないモニター装置によって、車両の乗員にエンジン1に異常が生じた旨の警告を表示する制御を実施する。
ステップS16では、特定の出力吸収装置2の停止を判定する。続いて、ステップS17では、特定の出力吸収装置2が停止したことにより、F/B量が略0になったか否かの判断を行う。
ステップS17の判断結果がNOの場合、停止した出力吸収装置2に異常はなく、他の動作中の出力吸収装置2に異常があると判断し、ステップS18へ進む。
ステップS18の判断結果がNOの場合は、特定の出力吸収装置2の停止したことにより、F/B量が略0になったか否かの判断が、全ての出力吸収装置2で実施されていないと判断し、ステップS16へ戻る。
ステップS18の判断結果がYESの場合は、故障箇所を本制御で特定できない箇所であると判断し、上記の制御を停止してリターンする。
なお、ステップS19では、故障を特定した出力吸収装置2を、故障箇所を特定できる故障情報として故障情報記憶手段(記憶装置)に記憶するとともに、図示しないモニター装置によって、車両の乗員に特定した出力吸収装置2が故障した旨の警告を表示する制御を実施する。
この実施例の故障診断装置は、上述したように、エンジン1がアイドリング状態で、且つF/B量が0でない場合、まず複数のインジェクタ6を順に強制停止させて、複数のインジェクタ6を順に強制停止した際におけるF/B量の変化状態から、故障したインジェクタ6を特定するものである。具体的には、各インジェクタ6を順に強制停止させて、F/B量が0になるインジェクタ6を特定することによって、故障したインジェクタ6を特定する。
また、故障特定手段45が特定した故障箇所を、図示しないモニター装置によって、乗員に表示するように設けているため、故障箇所を早期になおすことができる。
上記の実施例の故障診断装置は、各インジェクタ6のうち、故障したインジェクタ6を特定する自己診断機能と、各出力吸収装置2のうち、故障した出力吸収装置2を特定する自己診断機能との両方の機能を同時に搭載する例を示した。
これに対し、各インジェクタ6のうち、故障したインジェクタ6のみを特定する故障診断装置としても良いし、各出力吸収装置2のうち、故障した出力吸収装置2を特定する故障診断装置としても良い。
これに対し、1つのインジェクタ6が停止した際におけるF/B量を予め記憶しておき、そのF/B量が発生したことによって1つのインジェクタ6が停止したことを診断するようにしても良い。
これに対し、特定の出力吸収装置2が作動した場合におけるF/B量の変化状態(作動を開始した出力吸収装置2の吸収トルクの過剰分を減らすための負側のF/B量の増加)から、故障した出力吸収装置2を特定するように設けても良い。
これに対し、ROMに記憶されたプログラムと、RAMに読み込まれたエンジンパラメータとに基づいて、現運転状態に適した「噴射量」を直接的に算出するように設けるとともに、F/B算出手段42は、噴射量を補正するF/B量(噴射量補正値)を算出するように設け、そのF/B量(噴射量補正値)に基づいて故障箇所を特定するように設けても良い。
上記の実施例では、電磁弁22で制御室21の圧力を制御して、その制御室21の圧力変化によってニードル23を駆動するインジェクタ6を例に示したが、アクチュエータ(電磁アクチュエータ、磁歪素子を用いたアクチュエータ、圧電素子を用いたアクチュエータ)がニードル(弁体)23を直接的に駆動するインジェクタを用いても良い。
上記の実施例では、本発明をコモンレール式燃料噴射装置に適用した例を示したが、コモンレール5を用いない燃料噴射装置に本発明を適用しても良い。
上記の実施例では、エンジン1の一例としてディーゼルエンジンを搭載する例を示し、燃焼を行わない気筒のインジェクタ6の故障を判別する例を示した。
これに対し、本発明をガソリンエンジンなど、他のエンジンの故障診断に用いても良い。例えば、ガソリンエンジンの場合、F/B量が略0から外れた場合に、複数のインジェクタ6を順に強制停止させて、F/B量の変化状態を監視し、複数のインジェクタ6を順に強制停止した際のF/B量の変化状態から、複数の気筒のうち、燃焼しない気筒を特定することができる。
2 出力吸収装置
2a エアコン
2b パワステ装置
2c オルタネータ
3 出力発生装置
4 ECU
6 インジェクタ
41 F/F算出手段
42 F/B算出手段
43 基本出力算出手段
44 補機負荷補正手段
44a エアコン補正手段
44b パワステ補正手段
44c オルタネータ補正手段
45 故障特定手段
Claims (4)
- 複数気筒のエンジンの各気筒毎に燃料を噴射する複数のインジェクタを備える出力発生装置を搭載する車両に設けられ、
(a1)少なくともアイドリング時に作動し、運転状態に応じた前記エンジンの出力トルクまたは噴射量をフィードフォワードにより算出するF/F算出手段と、
(b1)アイドリング時に作動し、目標のアイドリング回転数と、実際のエンジン回転数とに回転差がある場合、その回転差を無くすフィードバック量を算出し、このフィードバック量によって前記F/F算出手段で算出した出力トルクまたは噴射量を補正するF/B算出手段と、
(c1)前記エンジンがアイドリング状態で、且つ前記F/B算出手段が出力トルクまたは噴射量を変更するフィードバック量を算出する場合、
複数のインジェクタを順に強制停止させて、複数のインジェクタを順に強制停止した際におけるフィードバック量の変化状態から、複数の気筒のうちにおける燃焼しない気筒を特定する故障特定手段と、
を備える故障診断装置。 - 請求項1に記載の故障診断装置において、
前記エンジンは、燃料の高圧圧縮によって気筒内で燃焼が開始されるディーゼルエンジンであり、
前記故障特定手段は、燃焼しない気筒を特定すると、その気筒のインジェクタが故障していると判断することを特徴とする故障診断装置。 - エンジンの出力トルクを吸収する特定の出力吸収装置と、燃料を前記エンジンに供給する出力発生装置と、を搭載する車両に設けられ、
(a2)少なくともアイドリング時に作動し、前記特定の出力吸収装置の吸収トルクを加味して前記エンジンの出力トルクまたは噴射量を算出するF/F算出手段と、
(b2)アイドリング時に作動し、目標のアイドリング回転数と、実際のエンジン回転数とに回転差がある場合、その回転差を無くすフィードバック量を算出し、このフィードバック量によって前記F/F算出手段で算出した出力トルクまたは噴射量を補正するF/B算出手段と、
(c2)前記エンジンがアイドリング状態で、且つ前記F/B算出手段が出力トルクまたは噴射量を変更するフィードバック量を算出する場合、
特定の出力吸収装置が作動または停止した場合におけるフィードバック量の変化状態から、特定の出力吸収装置の故障を判定する故障特定手段と、
を備える故障診断装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の故障診断装置において、
前記故障特定手段の特定した故障箇所は、その故障箇所を特定できる故障情報として故障情報記憶手段に記憶されることを特徴とする故障診断装置。
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