JP2005344165A - 希土類焼結磁石の製造方法、熱処理方法 - Google Patents

希土類焼結磁石の製造方法、熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 原料粉に加えた有機物を有効に除去し、高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることのできる希土類焼結磁石の製造方法、熱処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 磁場中成形により得られた成形体に、脱バインダ処理を施すに際し、炭素残留による磁気特性低下を防止するため、成形体をモリブデン製の容器10に収め、さらに水素雰囲気中で行うようにした。このとき、脱バインダ処理によって成形体から発生(脱出)した炭素が、成形体表面に付着する等を防ぐため、容器10は、収容する成形体の体積に対し、内容積が例えば2倍以上のものとするのが好ましい。このようにして、脱バインダ処理時に、加熱炉内に堆積した炭素が成形体に付着するのを防止するとともに、成形体から抜け出た炭素が成形体に再付着するのを防止して、最終的に得られる焼結体の炭素量を低減し、高い磁気特性を得ることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、Nd−Fe−B系に代表される希土類焼結磁石の製造方法、熱処理方法に関する。
希土類焼結磁石は高性能な磁石として広く使用されており、各種電子デバイスの小型化、また、自動車における電子デバイスの増加に伴いますますその需要が増している。一般に磁石は、その配向度が高いほど高い残留磁束密度を示す。このため成形時には原料粉に磁場を与え、原料粉を配向させたまま圧縮成形を行うことが多い。
このとき磁場に対する原料粉の配向性を向上させるため、原料粉に潤滑剤が加えられることがある。このような潤滑剤には、金属石鹸等の有機物が使われる。
しかしながら、潤滑剤として用いられる有機物に含まれる炭素は、希土類焼結磁石中の元素、特に希土類元素と反応してしまい、希土類焼結磁石外に抜けないため、磁気特性を低下させるという問題がある。
また、希土類焼結磁石の小型化が進んでおり、金型への原料粉の充填性が重要化している。これを解決する手段の一つとして希土類焼結磁石粉の顆粒化が試みられている。この造粒方法としてはスプレードライヤや転動流動層などが用いられているが、いずれの方法でも原料粉に有機バインダが加えられ、原料粉の一次粒子同士を結合させることによって顆粒を得ている。
しかし、このように加えられる有機バインダも、前述の潤滑剤と同様、有機物が磁気特性を低下させることになる。
このため、原料粉との反応を抑制することのできる有機バインダを用い、希土類焼結磁石を製造する技術が模索されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平9−74036号公報
有機バインダ等を用いる場合、焼結に先立ち、成形体からバインダ成分を除去するための熱処理(脱バインダ処理)が行われている。この熱処理は、加熱炉内で成形体を所定の温度条件で加熱することで、成形体に含まれるバインダ成分を除去し、磁気特性の低下を抑制するものである。
しかし、熱処理時にバインダ等の有機物から発生した炭素が加熱炉の炉壁に付着(堆積)し、その後に同様の熱処理を行う際に、炉壁に付着した炭素が熱処理すべき成形体に付着し、その結果、磁気特性低下の抑制効果が妨げられることになる。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、原料粉に加えた有機物を有効に除去し、高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることのできる希土類焼結磁石の製造方法、熱処理方法を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の希土類焼結磁石の製造方法は、原料合金粒子と有機物を含むバインダとを含むスラリから得られた顆粒粉を所定形状の金型キャビティに充填する工程と、顆粒粉に磁場を印加しつつ加圧成形して成形体を作製する工程と、成形体に外部からの炭素が付着するのを防止する容器に成形体を収容して、成形体中に含まれるバインダを除去する脱バインダ工程と、脱バインダされた成形体を焼結する焼結工程と、を備えることを特徴とする。
このようにして、脱バインダ工程で、容器に成形体を収容することで、容器内の成形体に外部からの炭素が付着するのを防止することができる。このとき、容器自体は、いかなる材料、厚さ、構造を有していても良いが、容器自体が成形体と反応しにくく、耐熱性、十分な強度を有した材料で容器を形成するのが好ましい。このような材料としては、ステンレス(SUS)やモリブデン等が代表的である。また、容器の構造については、成形体を容易に出し入れできるものが好ましい。さらに、成形体に含まれる炭素等の有機物が脱バインダ工程で抜け出るのを妨げないよう、また成形体から抜け出た有機物が成形体に再付着しないよう、容器と成形体との間に十分な隙間(空間)を形成するのが好ましい。このような容器としては、例えば、容器に収容する成形体の体積に対し、2倍以上の内容積を有するものが好ましい。
ところで、脱バインダ工程は、真空中、あるいは不活性ガス雰囲気で行っても良いが、水素雰囲気中で行うのが好ましい。また、脱バインダ処理を効率よく行える温度は300〜600℃であり、さらに好ましい温度範囲は400〜500℃である。
また、真空中で、脱バインダ工程よりも高温で成形体を焼結する焼結工程を備える場合、脱バインダ工程と焼結工程を、同一の加熱炉内で連続的に行うのが好ましい。
ここで、原料粉体の酸化を防止するため、顆粒粉作製のためのスラリの分散媒を、非水性の物質、例えばアルコールとするのが好ましい。その場合、低鹸化度のポリビニルアルコール(PVA)をアルコールに溶解した溶液、あるいはポリビニルブチラール(PVB)をアルコールに溶解した溶液を分散媒とするスラリを用いることができる。
なお、PVAやPVBの添加量はなるべく少なくするのが好ましく、例えば、原料粉体に対し、1%未満、さらに好ましくは0.5wt%未満の添加量に留めるのが好ましい。
本発明は、原料合金粒子が、R214B相(Rは希土類元素から選択される1種又は2種以上の元素、TはFe又はFe及びCoを含む遷移金属元素から選択される1種又は2種以上の元素)を含む希土類焼結磁石である場合に、適用することが望ましい。R−T−B系の焼結磁石は、特に酸化しやすいためである。
本発明は、有機物を含むバインダによって顆粒状とされた原料合金粒子を含む成形体を、加熱炉内で熱処理する熱処理方法として捉えることもでき、この方法は、成形体を、加熱炉の炉壁から発生する炭素が成形体に直接付着するのを遮蔽物によって防止するように加熱炉内に収容し、成形体を300〜600℃に加熱することを特徴とする。
このとき、熱処理は、水素雰囲気中で行うのが好ましい。
ところで、遮蔽物は、加熱炉の炉壁から発生する炭素が成形体に直接付着するのを防止できるのであれば、容器状であっても良いし、加熱炉内で成形体を囲うように設けられる壁体等であっても良い。この場合も、成形体に含まれる炭素等の有機物が脱バインダ工程で抜け出るのを妨げないよう、また成形体から抜け出た有機物が成形体に再付着しないよう、遮蔽物は、容器と成形体との間に隙間(空間)を形成するように設けるのが好ましい。さらに言えば、容器に収容する成形体の体積に対し、例えば2倍以上の内容積を有するものが好ましい。
また、成形体を300〜600℃に加熱した後、引き続き、加熱炉内で、成形体を真空中で成形体の焼結温度に加熱するのが好ましい。
ところで、成形体には、ポリビニルアルコールまたはポリビニルブチラールが溶解されているアルコールを分散媒として生成されたスラリを造粒し、造粒された顆粒を所定形状に成形することによって得られたものを用いるのが好ましい。
本発明によれば、原料粉に加えた有機物を有効に除去し、高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得ることが可能となる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
本発明は希土類焼結磁石、特にR−T−B系焼結磁石に適用することが望ましい。
このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR214B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR214B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は29〜33wt%である。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、ホウ素(B)を0.5〜4.5wt%含有する。Bが0.5wt%未満の場合には高い保磁力を得ることができない。一方で、Bが4.5wt%を超えると残留磁束密度が低下する傾向がある。したがって、Bの上限を4.5wt%とする。望ましいBの量は0.5〜1.5wt%、さらに望ましいBの量は0.8〜1.2wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Coを2.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1.0wt%、さらに望ましくは、0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
また、本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、Al及びCuの1種又は2種を0.02〜0.5wt%の範囲で含有することができる。この範囲でAl及びCuの1種又は2種を含有させることにより、得られる焼結磁石の高保磁力化、高耐食性化、温度特性の改善が可能となる。Alを添加する場合において、望ましいAlの量は0.03〜0.3wt%、さらに望ましいAlの量は、0.05〜0.25wt%である。また、Cuを添加する場合において、望ましいCuの量は0.15wt%以下(0を含まず)、さらに望ましいCuの量は0.03〜0.12wt%である。
本発明が適用されるR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下、さらには3000ppmと以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
R−T−B系焼結磁石に本発明を適用することが望ましいが、他の希土類焼結磁石に本発明を適用することも可能である。例えば、R−Co系焼結磁石に本発明を適用することもできる。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、MnおよびCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、望ましくはさらにCuまたは、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に望ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、望ましくはSm2 Co17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo5 系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、MnおよびCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、TiおよびVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が望ましい。
以上、R−T−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
以下本発明による希土類焼結磁石の製造方法を工程順に説明する。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはアルゴン雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をアルゴンガス雰囲気などの非酸化雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R214B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
原料合金は粉砕工程に供される。混合法による場合には、低R合金及び高R合金は別々に又は一緒に粉砕される。粉砕工程には、粗粉砕工程と微粉砕工程とがある。まず、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕する。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素吸蔵のための加熱保持の温度は、200℃以上、望ましくは350℃以上とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の厚さ等によって変わるが、少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。脱水素処理は、真空中又はアルゴンガスフローにて行う。なお、水素吸蔵処理、脱水素処理は必須の処理ではない。この水素粉砕を粗粉砕と位置付けて、機械的な粗粉砕を省略することもできる。
粗粉砕工程後、微粉砕工程に移る。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径数百μm程度の粗粉砕粉末を、平均粒径2.5〜6μm、望ましくは3〜5μmとする。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルより開放して高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットあるいは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。
混合法による場合、2種の合金の混合のタイミングは限定されるものではないが、微粉砕工程において低R合金及び高R合金を別々に粉砕した場合には、微粉砕された低R合金粉末及び高R合金粉末を窒素雰囲気中で混合する。低R合金粉末及び高R合金粉末の混合比率は、重量比で80:20〜97:3程度とすればよい。低R合金及び高R合金を一緒に粉砕する場合の混合比率も同様である。なお、成形時の潤滑及び配向性の向上を目的とした脂肪酸又は脂肪酸の誘導体、例えばステアリン酸系やオレイン酸系であるステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等を微粉砕時に0.01〜0.3wt%程度添加することができる。
以上で得られた微粉砕粉末を造粒して顆粒を作製する。
ここで、この造粒工程における酸素量の増加を抑制するために、造粒用のスラリを構成するバインダとして鹸化度が50mol%以下のポリビニルアルコール(PVA)を用いるとともに、スラリの分散媒としてアルコールを用いるのが好ましい。
スラリの分散媒としてアルコールを用いることにより、スラリ状態における前記微粉砕粉末の酸素量増加を抑制することができる。ただし、アルコールを分散媒とした場合、PVAの鹸化度が高くなければアルコールにPVAが溶解しないため、例えば、鹸化度が50mol%以下のPVAを用いることとした。PVAの望ましい鹸化度は45mol%以下、さらに望ましい鹸化度は40mol%以下である。
また、この造粒工程における酸素量の増加を抑制するために、造粒用のスラリを構成するバインダとして、ポリビニルブチラール(PVB)を用いるとともに、スラリの分散媒としてアルコールを用いるのも好ましい。
この場合も、スラリの分散媒としてアルコールを用いることにより、スラリ状態における前記微粉砕粉末の酸素量増加を抑制することができる。
造粒によって得られた顆粒の強度が弱いと、磁場中成形時の金型キャビティへの充填性向上効果を十分に享受することができなくなる。ここで、PVAやPVBの重合度が高いほど顆粒強度は高くなる。そこで本発明では、PVA、PVBの場合には200以上の重合度のものを用いることを推奨する。なお、この重合度の下限値は本発明における望ましい形態であって、必須の要素ではない。重合度が200未満のPVAやPVBであっても、その添加量を多くすれば所定の顆粒強度を確保することができるからである。
本発明で分散媒として用いるアルコールは、よく知られているように、鎖式又は指環式炭化水素の水素原子をヒドロキシ基OHで置換したヒドロキシ化合物をいう。この中で、コスト的なことをも考慮すると、エチルアルコール(エタノール)又はメチルアルコール(メタノール)を用いることが望ましい。
微粉砕粉末を含むスラリをスプレードライすることにより微粉砕粉末を一次粒子とする顆粒に造粒する。
スプレードライヤにおける造粒は、不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。顆粒の酸化を防止して、ひいては磁気特性の劣化を防止するためである。酸化防止を目的とする不活性ガスの種類は問わないが、コストの点を考慮すると窒素ガスを用いることが望ましい。
以上のようにして得られた顆粒状の造粒粉は、金型キャビティに充填され、磁場中成形に供される。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
また、印加する磁場は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。また、印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
磁場中成形により得られた成形体には、脱バインダ処理が施される。炭素残留による磁気特性低下を防止するためである。
本発明において、脱バインダ処理は、成形体を容器に収め、さらに水素雰囲気中で行うことを特徴とする。ここで、容器は、脱バインダ処理のために用いる加熱炉の炉内に付着・堆積した炭素が、成形体に侵入するのを防止できるような形状で形成する。また、この容器は、脱バインダ処理によって成形体から発生(脱出)した炭素が、成形体表面に付着する等を防ぐため、十分な内容積を有しているのが好ましい。例えば、容器内に収容する成形体の体積に対し、内容積が2倍以上となるような容器とするのが好ましい。また、脱バインダ処理時に、成形体、あるいは成形体から抜け出る物質と反応しにくく、耐熱性および十分な強度を有する材料で容器を形成する必要がある。このような材料としては、例えば、モリブデン、ステンレス等がある。
図1は、このような容器の一例を示す図である。この図1に示すように、容器10は、容器本体11、蓋体12、を備えて構成されている。
容器本体11は、底板11aと、その周囲全周から上方に立ち上がる側壁11bとを有し、上方に開口している。
蓋体12は、天板12aと、その周囲全周から下方に延びる縁壁12bとを有している。図1(b)に示すように、天板12aは、蓋体12を容器本体11の上部の開口を塞ぐように側壁11b上に載せた状態で、縁壁12bが側壁11bよりも外周側に位置し、容器本体11に対し、蓋体12を着脱できるようになっている。
このような容器10は、蓋体12を容器本体11に装着して閉じた状態で、完全な密閉構造ではなく、むしろ、成形体から抜け出る炭素が外部に抜けるよう、ある程度の流通性を有しているのが好ましい。例えば、容器本体11の側壁11bの上面と、蓋体12の天板12aの下面との間に隙間を形成し、この隙間から炭素が容器10外に抜けるようにしても良い。その場合、図2に示すように、側壁11b、天板12a、縁壁12bにより、炭素の移動経路がラビリンス構造的なものとなるため、外部からの炭素の直接的な進入は十分に防止できる。
さて、脱バインダ処理は、成形体を、水素雰囲気中にて、バインダにPVA、PVBを用いた場合は300〜600℃の温度範囲で、0.5〜10時間保持することによって行うのが好ましい。この条件の脱バインダ処理により、ポリビニルアルコールあるいはポリビニルブチラールからなるバインダ中に含まれる炭素をほとんど除去することができる。
脱バインダ処理後、成形体を真空又は不活性ガス雰囲気中で焼結する。焼結温度は、組成、粉砕方法、平均粒径と粒度分布の違い等、諸条件により調整する必要があるが、真空中で、1000〜1200℃で1〜10時間程度焼結すればよい。
なお、脱バインダ処理と焼結を別個の工程として取り扱うこともできるが、焼結の昇温過程を脱バインダ処理に利用することもできる。すなわち、図3に示すように、まず、昇温過程で、炉内雰囲気を水素に置換した状態で、上記に例示したような条件で脱バインダ処理を行った後、炉内を真空引きし、真空中で、上記に例示したような条件で焼結するのである。このようにすれば、脱バインダ処理と焼結とを連続して効率よく行うことができる。また、焼結前には脆い状態である成形体が、移動によって壊れたりするのを防止できる。
さて、焼結後には、得られた焼結体に時効処理を施すことができる。この工程は、保磁力を制御する重要な工程である。時効処理を2段に分けて行う場合には、800℃近傍、600℃近傍での所定時間の保持が有効である。800℃近傍での熱処理を焼結後に行うと、保磁力が増大するため、混合法においては特に有効である。また、600℃近傍の熱処理で保磁力が大きく増加するため、時効処理を1段で行う場合には、600℃近傍の時効処理を施すとよい。
希土類焼結磁石材料である原料粉として、26.5wt%Nd−5.9wt%Dy−0.25wt%Al−0.5wt%Co−0.07wt%Cu−1.0wt%B−bal.Feという組成を有する粗粉を用意した。
この原料粉には0.1wt%の潤滑剤(オレイン酸アミド)が加えてある。
これにPVA水溶液、あるいはPVB水溶液を0.1〜0.8wt%加え、乳鉢にて混合した。混合によって得られた造粒粉10gをプレス成形し、20mm×18mm×6mmの成形体を得た。
このようにして得られた成形体を、脱バインダ処理した。脱バインダ処理に際しては、50mm×40mm×20mmのモリブデン(Mo)製の容器に成形体を3個収容した。そして、脱バインダ処理は、加熱炉として管状炉を用い、水素雰囲気中で、400℃で1時間行った。引き続き、真空中で、1070℃で4時間、成形体を焼結した。
このようにして得られる焼結体を試料1〜3とした。
比較のため、以下のような比較試料1〜3を用意した。
上記と同様の原料粉に、0.1wt%の潤滑剤(オレイン酸アミド)を加え、これをプレス成形し、成形体を得た。さらにこの後、真空中で、1070℃で4時間、成形体を焼結した。このようにして得られる焼結体を比較試料1とした。
また、上記と同様の原料粉に、0.1wt%の潤滑剤(オレイン酸アミド)を加えた。これにPVA水溶液を0.8wt%加え、乳鉢にて混合した。混合によって得られた造粒粉10gをプレス成形し、成形体を得た。真空中にて1070℃で4時間、成形体を焼結したものを比較試料2とし、試料1〜3の脱バインダ処理と同じ条件で脱バインダ処理した後、真空中にて1070℃で4時間、成形体を焼結したものを比較試料3とした。
上記のようにして得られる試料1〜3、比較試料1〜3の焼結体について、磁気特性(Br、iHc、BHmax)、炭素量、および焼結体密度を測定した。ここで、磁気特性の測定には、B−Hトレーサを用いた。炭素量は、CSガス分析装置を用い、ガス分析法により測定した。焼結体の密度は、研磨した焼結体の重量およびサイズから計算した。
表1は、その測定結果を示すものである。
Figure 2005344165
この表1に示すように、バインダを添加せず、脱バインダ処理を行わなかった比較試料1に対し、バインダとしてPVAを添加し、脱バインダ処理を行わなかった比較試料2では、磁気特性がいずれも大幅に低下し、炭素量が大幅に高くなっていることが明らかである。これにより、バインダを添加した場合には、炭素を減らすための脱バインダ処理が必要なことがわかる。
これに対し、脱バインダ処理を行った試料1〜3および比較試料3は、いずれも、炭素量が比較試料2のもの(3970ppm)よりも低く、脱バインダ処理により炭素が低減していることが分かる。ただし、成形体をSUS箔で包んだ状態で脱バインダ処理を行った比較試料3では、炭素量が2830ppmとなっており、炭素量低減効果が低い。これは、成形体をSUS箔で包んだために、成形体から放出された炭素が成形体の表面に再度付着してしまったか、あるいはSUS箔内の炭素量が飽和値に達し、それ以上の炭素放出が行われなかったためと予測できる。
これに対し、脱バインダ処理を行った試料1〜3は、比較試料1と同等以下の炭素量であり、しかも磁気特性も比較試料2に対して十分に高い。これにより、Mo製の容器中に収めて脱バインダ処理を行うことで、有機物を含むバインダを用いた場合にも、十分に脱炭素を行うことができ、高い磁気特性を得ることができると言える。また、試料1よりもバインダの添加量が少ない試料2、3の方が、磁気特性がはるかに高く、比較試料1と略同等レベルに到達することから、バインダの添加量はなるべく少ないのが好ましいと言える。
続いて、上記と同様の原料粉に、0.1wt%の潤滑剤(オレイン酸アミド)を加え、さらに、PVA水溶液0.8wt%を加え、乳鉢にて混合した。混合によって得られた造粒粉10gをプレス成形し、成形体を得た。このようにして得られた成形体を、モリブデン(Mo)製の容器に収容し、管状炉で脱バインダ処理した。
このとき、脱バインダ処理の雰囲気を、真空、アルゴン(Ar)ガス、水素の3通りとし、また処理温度は400、500℃の2通りとした。
脱バインダ処理後は、真空中で、1070℃で4時間、成形体を焼結した。
このようにして得られる各試料の炭素量を測定した。
図4はその結果を示すものである。
この図4に示すように、真空およびアルゴン雰囲気中に比べ、水素雰囲気中での脱バインダ処理の結果、明らかに炭素量が少なくなっている。これにより、脱バインダ処理は、水素雰囲気下で行うのが好ましいことが明らかである。
さらに、上記と同様にして得た成形体を、モリブデン(Mo)製の容器に収容し、管状炉にて、水素雰囲気中、300、400、450、500、600、700℃でそれぞれ脱バインダ処理した。脱バインダ処理後は、引き続き、真空中で、1070℃で4時間、成形体を焼結した。
このようにして得られる各試料の炭素量を測定した。
図5はその結果を示すものである。
この図5に示すように、脱バインダ処理温度が400〜500℃の範囲において、炭素量が最も少なくなっていることが確認できた。これにより、水素雰囲気で、400〜500℃の範囲で脱バインダ処理を行うのが最も効果的であることがわかる。なお、脱バインダ処理温度が700℃のときも、炭素量が減量しているが、Nd−Fe−B系希土類焼結磁石は、600〜700℃辺りから分解が始まることが知られている。このため、700℃で脱バインダ処理を行うのは好ましくない。
以上の結果から、脱バインダ処理を、水素雰囲気で、かつMo製の容器に成形体を収容した状態で400〜500℃で行うことにより、バインダ等の有機成分を多く含む希土類焼結磁石材料を用いる場合であっても、高い磁気特性を有する希土類焼結磁石を得られることが分かった。
なお、上記実施の形態では、脱バインダ処理を行うに際し、成形体をモリブデン製の容器に収容するようにしたが、脱バインダ処理を行うための加熱炉の炉壁からの炭素の飛来を防止できる遮蔽壁等に代えることもできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本実施の形態における容器の例を示す図であり、(a)は容器を開いた状態、(b)は容器を閉じた状態を示す図である。 容器の断面図である。 脱バインダ処理、焼結を連続的に行う場合の温度プロファイルの例を示す図である。 脱バインダ処理を、真空中、アルゴンガス雰囲気、水素雰囲気で行った場合の、脱バインダ処理温度と焼結体の炭素量の関係を示す図である。 水素雰囲気で脱バインダ処理を行った場合の、脱バインダ処理温度と焼結体の炭素量との関係を示す図である。
符号の説明
10…容器

Claims (8)

  1. 原料合金粒子と有機物を含むバインダとを含むスラリから得られた顆粒粉を所定形状の金型キャビティに充填する工程と、
    前記顆粒粉に磁場を印加しつつ加圧成形して成形体を作製する工程と、
    前記成形体に外部からの炭素が付着するのを防止する容器に前記成形体を収容して、前記成形体中に含まれる前記バインダを除去する脱バインダ工程と、
    脱バインダされた前記成形体を焼結する焼結工程と、
    を備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。
  2. 前記脱バインダ工程では、水素雰囲気中、300〜600℃に昇温して前記バインダを除去することを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  3. 前記焼結工程では、真空中で、前記脱バインダ工程よりも高温で前記成形体を焼結し、
    かつ、前記脱バインダ工程と前記焼結工程を、同一の加熱炉内で連続的に行うことを特徴とする請求項1または2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  4. 前記容器は、前記容器に収容する前記成形体の体積に対し、2倍以上の内容積を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  5. 前記スラリは、ポリビニルアルコールまたはポリビニルブチラールが溶解されているアルコールを分散媒として生成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
  6. 有機物を含むバインダによって顆粒状とされた原料合金粒子を含む成形体を、加熱炉内で熱処理する熱処理方法であって、
    前記成形体を、前記加熱炉の炉壁から発生する炭素が前記成形体に直接付着するのを遮蔽物によって防止するように前記加熱炉内に収容し、前記成形体を300〜600℃に加熱することを特徴とする熱処理方法。
  7. 前記成形体を300〜600℃に加熱した後、引き続き、前記加熱炉内で、前記成形体を真空中で前記成形体の焼結温度に加熱することを特徴とする請求項6に記載の熱処理方法。
  8. 前記成形体は、ポリビニルアルコールまたはポリビニルブチラールが溶解されているアルコールを分散媒として生成されたスラリを造粒し、造粒された顆粒を所定形状に成形することによって得られたものであることを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載の熱処理方法。
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JP2018082146A (ja) * 2016-08-31 2018-05-24 ▲煙▼台正海磁性材料股▲ふん▼有限公司 R‐Fe‐B系焼結磁石を製造する方法

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