JP2005344089A - 樹脂組成物、及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性を維持しつつ、機械的強度を向上させることができる樹脂組成物、および成形体を提供すること。
【解決手段】課題を解決するための手段としては、熱可塑性樹脂と、層状無機化合物を有機化剤で処理してなる有機化層状無機化合物と、極性基を有し、かつ分子鎖末端にフッ化アルキル基を有するフッ素化合物とを含有することを特徴とする樹脂組成物である。
【選択図】 なし


Description

この発明は、樹脂組成物、及び成形体に関する。
液晶ディスプレイ(liquid crystal display、以下、「LCD」と略す場合もある。)等の大画面化、薄型化に伴い、各種光学部材の広面積化、薄型化が進んでいる。この光学部材としては、例えば、導光板、光拡散シート、光学レンズ等を挙げることができる。この光学部材の広面積化、薄型化により、光学部材の自重によるたわみ等が生じており、光学部材の材料の高剛性化(機械的強度の向上)が要求されてきている。
光学部材の剛性を向上させる方法としては、例えば、クレイ等の無機化合物を材料中に添加する方法等を挙げることができる。しかしながら、この無機化合物を材料中に添加する方法においては、材料中の無機化合物の分散性を改良しなければならず、この分散性改良のために、極性基を導入したポリマーを使用することから、材料が吸水しやすくなる。
また、従来の方法としては、例えば、「下記(A)相及び下記(B)相からなる熱可塑性樹脂組成物。
(A)層間が50Å以上である層状無機化合物と熱可塑性樹脂からなるクラスター相
(B)前記層状無機化合物のない熱可塑性樹脂からなる樹脂相」が、開示されている(特許文献1参照)。
特開2003−25312号公報(請求項1)
しかしながら、前述の特許文献1に係る発明においては、機械的強度の向上がある程度達成されているとはいうものの、光学製品に使用できるほどの透明性を有しない場合がある。
この発明は、透明性を維持しつつ、機械的強度を向上させることができる樹脂組成物、および成形体を提供することをその課題とする。
前記課題を解決するための手段であるこの発明の構成として、
請求項1は、熱可塑性樹脂と、層状無機化合物を有機化剤で処理してなる有機化層状無機化合物と、極性基を有し、かつ分子鎖末端にフッ化アルキル基を有するフッ素化合物とを含有することを特徴とする樹脂組成物であり、
請求項2は、前記熱可塑性樹脂は、極性基を有することを特徴とする前記請求項1記載の樹脂組成物であり、
請求項3は、厚み1mmの板に成形した場合に、ヘイズが、5%以下であることを特徴とする前記請求項1または請求項2記載の樹脂組成物であり、
請求項4は、前記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体である。
本発明によれば、熱可塑性樹脂と、有機化層状無機化合物と、極性基を有し、かつ分子鎖末端にフッ化アルキル基を有するフッ素化合物(以下、「フッ化アルキル基含有化合物」と称することがある。)とを含有することにより、熱可塑性樹脂中に、分散した有機化層状無機化合物同士が、前記フッ化アルキル基含有化合物により凝集した状態となる。そして、凝集した有機化層状無機化合物同士は、全体としてみると、あたかも1つのウィスカーのように、挙動すると推測される。
したがって、上記したようなウィスカー状の挙動をすると思われるので、当該樹脂組成物を成形した後の機械的強度を向上させることができる。なお、前記フッ化アルキル基含有化合物により凝集した状態とは、有機化層状無機化合物同士が物質的に重なり合うようなものではなく、分子間力等により、ある程度離れた空間を有していながら結合した状態である、と推測される。
したがって、ナノオーダーの粒径を有する有機化層状無機化合物同士が一定の空間を隔てて分離独立して存在しているので、樹脂組成物中にこのような有機化層状無機化合物が配合されているにもかかわらず、光透過性が阻害されることがない。したがって、当該樹脂組成物を成形した場合でも、その成形体は、有機化層状無機化合物を含有しない樹脂組成物の成形体と同様の透明性を実現することができる。
また、本発明によれば、前記熱可塑性樹脂は、極性基を有することにより、有機化層状無機化合物と、前記特定のフッ化アルキル基含有化合物との親和性が良くなる。したがって、この熱可塑性樹脂を仲立ちとして有機化層状無機化合物とフッ化アルキル基含有化合物とをより一層強固に相互に結合させることができる。
さらに、本発明によれば、厚み1mmの板に成形した場合に、ヘイズが、5%以下であることにより、好適に、例えば、透明性が要求される光学部品等に使用することができる。
そして、本発明によれば、成形体は、前記樹脂組成物を成形してなることにより、上記と同様の作用・効果を奏することができる。
また、本発明においては、フッ化アルキル基含有化合物は、極性基を有し、かつ分子鎖末端にフッ化アルキル基の存在するが故に層状無機化合物を有機化剤で処理してなる有機化層状無機化合物との親和性がよい。そのため、熱可塑性樹脂と、有機化層状無機化合物と、フッ化アルキル基含有化合物とを含有する樹脂組成物は、樹脂組成物内で前記有機化層状無機化合物が上記ウィスカー状に凝集していると考えると理解することができるように、当該樹脂組成物から得られた成形体の機械的強度を向上させることができる。
なお、上記したように、フッ化アルキル基含有化合物は、相互に分離独立した有機化層状無機化合物同士を結合するのであるが、有機化層状無機化合物自体は互いに空間をもって分離しているので、光透過性を阻害しない。したがって前記樹脂組成物を成形して得られる成形体は、有機化層状無機化合物が存在しない場合と同様の透明性を発揮することができる。
[樹脂組成物]
この発明の一実施形態に係る樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、層状無機化合物を有機化剤で処理してなる有機化層状無機化合物と、極性基を有し、かつ分子鎖末端にフッ化アルキル基を有するフッ素化合物とを含有することを基本とする。
[熱可塑性樹脂]
この発明における熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、鎖状オレフィン系樹脂、脂環式構造含有重合体樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも鎖状オレフィン系樹脂及び脂環式構造含有重合体樹脂が好ましく、特に脂環式構造含有重合体樹脂が好ましい。この発明における熱可塑性樹脂としては、その全光線透過率は、85%以上であることが好ましい。熱可塑性樹脂の全光線透過率が前記値以上であると、この発明に係る樹脂組成物自体の透明性が良好になり、その成形体を光学部材に好ましく適用することができる。
前記鎖状オレフィン系樹脂としては、炭素数2〜20のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、及び1−ドデセン等の単独重合体、又は共重合体である。これらの具体的な重合体としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、及びポリ−4−メチル−1−ペンテン等の単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・1−デセン共重合体、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体、プロピレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピレン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−デセン共重合体等を挙げることができる。
この発明における熱可塑性樹脂として、これらの鎖状オレフィン系樹脂は単独で用いることもできるし、その2種類以上を併用することもできる。これらの鎖状オレフィン系樹脂のうちではポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリ−1−ブテン等の、結晶化度が40%以上であるようなガラス転移点の高い樹脂が、ガスバリアー性が優れるので好ましい。
なかでも、ポリエチレン、及びポリプロピレンが成形性、及び剛性等が優れているので最も好ましい。ポリプロピレンは、単独重合体、エチレンおよび/または1−ブテンとのランダム共重合体、およびブロック共重合体のいずれをも好適に使用することができるが、成形品の強度とガスバリアー性との点から、前記ブロック共重合体が好ましい。この発明で用いるポリオレフィンは、135℃のデカリン中で測定される極限粘度が0.01〜20dl/g、好ましくは、0.1〜10dl/gの範囲にあることが望ましい。そのような極限粘度を有する鎖状オレフィン系樹脂は、成形性に優れるという利点があるからである。
前記脂環式構造含有重合体樹脂は、その重合体の繰り返し単位中に脂環式構造を含有する重合体樹脂である。この脂環式構造としては、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等を挙げることができる。これら脂環式構造の中でも、この発明に係る樹脂組成物から得られる成形体の熱安定性を向上させることを目的とするのであれば、シクロアルカン構造が好ましい。脂環式構造を形成する炭素数は、通常は4〜30、好ましくは、5〜20、より好ましくは、5〜15である。炭素数がこの範囲にあると、この発明に係る樹脂組成物は、優れた耐熱性と柔軟性を有する成形体に成形されることができる。この脂環式構造は、重合体の主鎖、側鎖のいずれに存在していてもよい。
前記脂環式構造含有重合体樹脂における脂環式構造を含有する繰り返し単位の含有割合に制限はなく、得られる樹脂組成物の性状、物性等に応じて適宜、選択されるが、通常は50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
この繰り返し単位の含有割合が少量に過ぎると、得られる樹脂組成物の耐熱性が低下することがある。なお、この発明に用いる脂環式構造含有重合体樹脂は、脂環式構造を含有する繰り返し単位以外の繰り返し単位を含有していてもよい。
前記脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及びこれらの水素添加物等を挙げることができる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体、環状共役ジエン系重合体及びそれらの水素添加物、及びそれらの混合物等が好ましく、ノルボルネン系重合体が耐熱性、機械強度の点からより好ましい。
前記ノルボルネン系重合体(1)としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体、ノルボルネン系モノマーとこのノルボルネン系モノマーに対して開環共重合可能な他のモノマーとの開環共重合体、およびこれら開環共重合体の水素化物、ならびにノルボルネン系モノマーの付加重合体、およびノルボルネン系モノマーとこのノルボルネン系モノマーに対して共重合可能な他のモノマーとの付加共重合体等を挙げることができる。
これら重合体および共重合体の中でも、得られる脂環式構造含有重合体樹脂組成物の耐熱性、機械的強度の観点からすると、ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素化物が特に好ましい。
前記ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)およびその誘導体(環に置換基を有するもの、以下、同じ。)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)およびその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)およびその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)およびその誘導体等を挙げることができる。
前記置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基等を挙げることができ、前記ノルボルネン系モノマーは、これら置換基を一種有していてもよく、二種以上有していてもよい。
これら置換基を有するノルボルネン系モノマーとしては、8−メチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデン−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等を挙げることができる。
前記ノルボルネン系重合体(1)を製造するために用いられるこれらノルボルネン系モノマーは、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記ノルボルネン系モノマーの開環重合体またはノルボルネン系モノマーとこのノルボルネン系モノマーに対して開環共重合可能な他のモノマーとの開環共重合体は、前記モノマーを公知の開環重合触媒の存在下に重合することによって製造することができる。
前記ノルボルネン系モノマーに対して開環共重合可能な他のモノマーとしては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環の環状オレフィン系モノマーを挙げることができる。
前記ノルボルネン系モノマーの開環重合体の水素化物は、通常、ノルボルネン系モノマーの重合液に、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素化触媒と水素とを添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することによって製造することができる。
前記ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとこのノルボルネン系モノマーに対して共重合可能な他のモノマーとの付加共重合体は、前記モノマーを公知の付加重合触媒の存在下に重合することによって製造することができる。
ノルボルネン系モノマーに対して付加共重合可能な他のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素数2〜20のα−オレフィンおよびこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、3a,5,6,7a−テトラヒドロ−4,7−メタノ−1H−インデン等のシクロオレフィンおよびこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等を挙げることができる。これらモノマーの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
前記ノルボルネン系モノマーに対して共重合可能な他のモノマーは、単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
ノルボルネン系モノマーとこれに対して共重合可能な他のモノマーとを付加共重合するに当っては、得られる付加共重合体中のノルボルネン系モノマーに由来する構造単位と、付加共重合可能な他のモノマーに由来する構造単位との割合が、質量比で、50:50〜99:1、好ましくは70:30〜97:3の範囲となるよう、各モノマーの使用量が選択される。
前記単環の環状オレフィン系重合体(2)としては、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の単環を有する環状オレフィン系モノマーの付加重合体を挙げることができる。
前記環状共役ジエン系重合体(3)としては、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン等の環状共役ジエン系モノマーの1,2−または1,4−付加重合体およびその水素化物を挙げることができる。
また、前記ビニル脂環式炭化水素重合体(4)としては、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサン等のビニル脂環式炭化水素系モノマーの重合体およびその水素化物、スチレン、α−メチルスチレン等のビニル芳香族炭化水素系モノマーを重合してなる重合体に含まれる芳香族部分を水素化してなる水素化物、ビニル脂環式炭化水素系モノマーまたはビニル芳香族炭化水素系モノマーとこれらビニル芳香族炭化水素系モノマーに対して共重合可能な他のモノマーとのランダム共重合体、ブロック共重合体等の共重合体およびその芳香環の水素化物等を挙げることができる。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロックまたはそれ以上のマルチブロック、傾斜ブロック共重合体等を挙げることもできる。
この発明における熱可塑性樹脂は、実質的に疎水性であることが望ましい。この発明における熱可塑性樹脂が実質的に疎水性であるためには、重合体内に極性基を含有していないことが望ましい。もっとも、極性基は、層状無機化合物との親和性を向上させ、得られる樹脂組成物の耐熱性及び機械的強度等を向上させることができる。
したがって、樹脂組成物の耐熱性及び耐機械的強度等を向上させつつ熱可塑性樹脂が実質的に疎水性であり得るように許容することのできる極性基の、熱可塑性樹脂中の含有量は、0.8mmol/g以下、好ましくは0.5mmol/g以下、更に好ましくは0.3mmol/g以下である。つまり、極性基が0.8mmol/gを超えると、熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物の吸水率が増加してしまう。
前記極性基としては、フッ素原子を除くヘテロ原子またはヘテロ原子を有する原子団等を挙げることができ、ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、ハロゲン原子等を挙げることができる。これらヘテロ原子の中でも、無機化合物との分散性および相溶性の観点からすると、酸素原子および窒素原子が好ましい。前記極性基として、具体的には、ヒドロキシル基、カルボキシル基、オキシ基、エポキシ基、グリシジル基、オキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、カルボニル基、アミノ基、エステル基、ハロゲン基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、スルホン基、酸無水物基等を挙げることができる。
極性基を有する熱可塑性樹脂を得る方法としては特に制限はないが、熱可塑性樹脂の一種である脂環式構造含有重合体樹脂、例えばノルボルネン系重合体である場合、例えば、(a)各種のノルボルネン系モノマーの中から選択されたところの、極性基を有しないノルボルネン系モノマーを重合して得られる未変性重合体に、極性基を有する化合物を反応(変性反応)させる方法、(b)各種のノルボルネン系モノマーの中から選択されたところの、極性基を有しないノルボルネン系モノマーと極性基を有するノルボルネン系モノマーとを共重合させる方法、(c)各種のノルボルネン系モノマーの中から選択されたところの、極性基を有しないノルボルネン系モノマーを重合して得られる重合体と、前記(a)の方法または(b)の方法により得られた極性基を有するノルボルネン系重合体とを混合する方法等を挙げることができる。ノルボルネン系重合体以外の脂環式構造含有重合体樹脂についても、ノルボルネン系重合体の場合と同様である。
前記(a)の方法で得られる極性基を有する熱可塑性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂の塩素化物、クロロスルホン化物、極性基含有不飽和化合物のグラフト変性物等を挙げることができ、中でも、極性基含有不飽和化合物のグラフト変性物が好ましい。
前記極性基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、p−スチリルカルボン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテルのグリシジルエーテル等の不飽和エポキシ化合物;アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸化合物;無水マレイン酸、クロロ無水マレイン酸、ブテニル無水コハク酸等の不飽和カルボン酸化合物;マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレート等の不飽和エステル化合物;アリルアルコール、2−アリル−6−メトキシフェノール、4−アリロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン等の不飽和アルコール酸化合物;クロロジメチルビニルシラン、トリメチルシリルアセチレン、5−トリメチルシリル−1,3−シクロペンタジエン、3−トリメチルシリルアリルアルコール、トリメチルシリルメタクリレート等の不飽和シラン化合物等を挙げることができる。
これら極性基含有不飽和化合物の中でも、層状無機化合物の分散性の観点からすると、不飽和エポキシ化合物および不飽和カルボン酸化合物が特に好ましい。なお、これら極性基含有不飽和化合物を効率よく共重合させるためには、汎用のラジカル開始剤の存在下に重合反応を実施することが好ましく、この好適なラジカル開始剤としては、有機ペルオキシド、有機ペルエステル等を挙げることができる。
なお、前記極性基含量は、前記(a)の方法においては、極性基を有する化合物の反応による極性基の導入率により、前記(b)の方法においては、極性基を有するモノマーの共重合割合により、前記(c)の方法においては、極性基を有しない重合体と極性基を有する重合体との混合割合により、調節することができる。
また、この発明における熱可塑性樹脂の分子量に特に制限はないが、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常は、5,000〜500,000、好ましくは、8,000〜200,000、より好ましくは、10,000〜100,000である。重量平均分子量がこの範囲にあることにより、得られる樹脂組成物の成形加工性が良好となり、機械的強度を向上させることもできる。この重量平均分子量は、シクロヘキサン(または樹脂が溶解しないときはトルエン)溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより測定することができる。
さらに、この発明における熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)にも特に制限はないが、通常は、80℃以上、好ましくは、100〜250℃である。ガラス転移温度がこの範囲にあることにより、得られる樹脂組成物において、高温下の使用に耐え、熱変形、応力集中等を生じることがなく、優れた耐久性を与えることができる。
[有機化層状無機化合物]
この発明で用いる有機化層状無機化合物は、層状無機化合物を有機化剤により有機化処理を行ったものである。
この発明の樹脂組成物において、前記層状無機化合物は、有機化剤により有機化処理をされた状態、すなわち、有機化層状無機化合物の状態で存在している。いいかえれば、有機化処理を行うことにより、層状無機化合物そのものではなくて、層状無機化合物の層間の引力を低減して、層間距離を拡大させて各層が分離して微細な板状の粒子を形成させることができる。この発明の樹脂組成物では、その微細な板状の粒子が、熱可塑性樹脂であるマトリックス中に分散した状態となっている。
この発明で用いる層状無機化合物は、その化合物が平面的に配列されたシート構造を有する状態(層状)にあり、その垂直方向にシート構造の繰り返しが見られる、多結晶層構造を有する化合物である。この層状無機化合物は、結晶層が相互にイオン結合または水素結合力により結合されているものと、各結晶層間に陽イオンが介在していて、負電荷に荷電した結晶層が相互に前記陽イオンを介して微弱な静電力により結合されているものとに大別することができる。
このような層状無機化合物としては、グラファイト、TiS、NbSe、MoS等の遷移金属ジカルコゲン化物;CrPS等の二価金属リンカルコゲン化物;MoO、V等の遷移金属の酸化物;FeOCl、VOCl、CrOCl等のオキシハロゲン化物;Zn(OH)、Cu(OH)等の水酸酸化物;Zr(HPO・nHO、Ti(HPO・nHO、Na(UOPO・nHO等のリン酸塩;NaTi、KTiNbO、RbMnTi2−x等のチタン酸塩;Na、K等のウラン酸塩;KV、K14、CaV16・nHO、Na(UO)・nHO等のバナジン酸塩;KNb、KNb17等のニオブ酸塩;Na13、Ag1013等のタングステン酸塩;MgMo、CsMo16、CsMo22、AgMo1033等のモリブデン酸塩;モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ヘクトライト、ノントロナイト、スティブンサイト等のスメクタイト系粘度鉱物、トリオクタヘドラルバーミキュライト、ハロイサイト、ジオクタヘドラルバーミキュライト、マスコバイト、フィロゴバイト、バイオタイト、レピドライト、バラゴナイト、テトラシリシックマイト、カオリナイト、ハロイサイト、ディッカイト、HSiO、HSi1429・5HO等の珪酸塩またはこの珪酸塩により構成される鉱物類等を挙げることができる。
これら層状無機化合物の中でも、前記樹脂への分散性、得られる樹脂組成物の耐熱性、機械的強度の観点から、珪酸塩、リン酸塩およびモリブデン酸塩が好ましく、さらには、珪酸塩が特に好ましい。
前記層状無機化合物は、その長径の平均値が通常0.01〜30μm、好ましくは0.02〜10μm、より好ましくは0.03〜5μmである。前記層状無機化合物における長径の平均値が前記範囲であると、樹脂組成物及び成形体の耐熱性、及び機械強度等が特に優れる。
この有機化処理は、例えば、後述する有機化剤を用いて行うことができる。
前記有機化剤として、陽イオン性界面活性剤を挙げることができる。陽イオン性界面活性剤の具体例として、R+-で表される第四級アンモニウム塩を挙げることができる。
前記R+-において、有機オニウムイオンR+中のR、R、RおよびRは、それぞれ同一であっても、別異であってもよく、炭素数1〜30の飽和または不飽和炭化水素基を表す。この炭素数1〜30の飽和炭化水素基または不飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ラウリル基、オレイル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;フェニル基、ベンジル基等の芳香族炭化水素基を挙げることができる。X-としては、Cl-、Br-、NO -、OH-、CHCOO-等の陰イオンを挙げることができる。
有機オニウムイオンR+としては、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ラウリルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ステアリルアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン、トリオクチルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオン、ステアリルトリメチルアンモニウムイオン、又はラウリン酸アンモニウムイオン等を用いることができる。
層状無機化合物の有機化処理は、例えば、層状無機化合物を水に分散させて層状無機化合物の分散液を調製し、この分散液に前記陽イオン性界面活性剤を添加し、常温または加熱下で撹拌することによって行うことができる。このときの層状無機化合物分散液における層状無機化合物の濃度は、0.01〜70質量%に調整することが好ましい。
有機化層状無機化合物の配合割合は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部であり、好ましくは0.5〜15質量部である。有機化層状無機化合物の配合量が前記上限値を超えると、得られる脂環式構造含有重合体樹脂組成物の透明性を低下させることとなる。
[フッ化アルキル基含有化合物]
この発明で用いるフッ化アルキル基含有化合物は、極性基と、分子鎖末端にフッ化アルキル基とを有する化合物であれば特に限定されない。
前記極性基としては、フッ素原子を除くヘテロ原子を含む官能基であれば特に制限がなく、例えばカルボン酸、アミン、スルホン基、リン酸基、水酸基、エーテル基、エステル基、アクリレート基等を挙げることができる。
これら極性基のフッ化アルキル基含有化合物における含有量は、通常20〜100モル%が好ましく、特に40〜100モル%が好ましい。フッ化アルキル基含有化合物中の極性基量が前記範囲内にあると、有機化層状無機化合物との親和性があがるといった技術的効果が奏されて好ましい。
フッ化アルキル基含有化合物の具体例としては、末端フッ化アルキル基含有界面活性剤、末端フッ化アルキル基含有重合体を挙げることができる。
末端フッ化アルキル基含有界面活性剤としては、カチオン性、アニオン性、ノニオン性のいずれも使用可能であり特に限定されないが、入手の容易性からアニオン性界面活性剤が好ましい。
末端フッ化アルキル基含有アニオン界面活性剤としては、下記、式(1)〜(4)で表される化合物が好ましい。
Rf−Q−COOM・・・(1)
Rf−Q−SOM・・・(2)
Rf−Q−OSOM・・・(3)
(Rf−Q−O)dPO(OM)3-d・・・(4)
式(1)〜(4)において、Rfは、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換されたフッ化アルキル基である。Rf基の炭素数は2〜20が好ましく、特に4〜16が好ましい。炭素数が前記範囲であると、層状無機化合物との親和性が良好に保たれる。
また、Rf基は、直鎖構造または分岐構造であるが、直鎖構造が好ましい。分岐構造である場合には、分岐部分がRf基の末端部分に存在し、かつ分岐部分が炭素数1〜4程度の短鎖であるのが好ましい。
さらに、Rf基は、フッ素原子以外の他のハロゲン原子を含んでいてもよい。他のハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。さらに、Rf基中の炭素−炭素結合間には、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入されていてもよい。
Rf基の末端部分の構造としては、−CFCF、−CF(CF、−CFH、−CFH、−CFCl等が挙げられ、−CFCFが好ましい。Rf基の中でも、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換された基であるペルフルオロアルキル基(以下PFR基と記す。)が好ましい。
さらに、PFR基は、直鎖構造のPFR基、すなわちF(CF2)i−(iは2〜20の整数。)で表される基が好ましく、特に、iが4〜16の整数である基が好ましい。
また、式(1)〜(4)において、Qは、単結合または2価の有機基であり、−(CH)p+q−、−(CH)pO(CH)q−、−CF=CH(CH)p−、−(CH2)pCONH(CH2)q−、−(CH2)pOCONH(CH2)q−、−(CH2)pSO2NR(CH2)q−、−(CH2)pNHCONH(CH2)q−、−(CH2)pCH(OH)(CH2)q−等が好ましい。
ただし、Rは水素原子またはアルキル基を示す。また、pおよびqはそれぞれ0以上の整数を示し、p+qは1〜22の整数である。これらのうち、−(CH2)p+q−、−(CH2)pCONH(CH2)q−、−(CH2)pSO2NR(CH2)q−であり、かつ、qが2以上の整数であって、p+qが2〜6である場合が好ましい。特に、p+qが2〜6である場合の−(CH)p+q−、すなわち、ジメチレン基、トリメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。
式(1)〜(4)において、Mは、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムイオンを示し、例えば、H、Na、Ca、NH等を挙げることができる。
Rf基の具体例を以下に挙げる。なお、以下の例においては、同一分子式を有する構造の異なる基である構造異性の基を含み、C、C11、C13、C15、C17、C19、C1021、C1225、C1429、C1633、H(CF)、Cl(CFt(tは2〜20の整数。)、(CFCF(CF)j(jは1〜17の整数)等を挙げることができる。
Rf基が、炭素−炭素結合間にエーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子が挿入された基である場合の具体例としては、F(CFOCF(CF)、F[CF(CF)CFO]rCF(CF)CFCF、F[CF(CF)CFO]zCF(CF)、F[CF(CF)CFO]zCFCF、F(CFCFCFO)zCFCF、F(CFCFO)wCFCF、C17SON(CH)、C17SON(C)等を挙げることができる。ただし、rは1〜5の整数、zは1〜6の整数、wは1〜9の整数である。
式(1)で表される化合物としては、C15COOH、C15COONH、C19COOH、C19COONH、C17CHCOOH、C1021CHCOOH、C17CHCHOCHCHCOOH、C1021CHCHOCHCHCOOH、C17SON(CH)(CHOCHCHCOOH、C17SON(C)(CH)COOK等を挙げることができる。
式(2)で表される化合物の具体例としては、C17SONa、C17SOH、C17SONH等を挙げることができる。
式(3)で表される化合物の具体例としては、C17CHCHOSOH、C1021CHCHOSOH、C17CHCHOSONa、C1021CHCHOSONa、C17SON(CH)(CHOSOH等を挙げることができる。
式(4)で表される化合物の具体例としては、C17CHCHOPO(OH)、C1021CHCHOPO(OH)、(C17CHCHO)PO(OH)、(C1021CHCHO)PO(OH)、C17CHCHOPO[ON(CHCHOH)、C1021CHCHOPO[ON(CHCHOH)、(C17CHCHO)PO[ON(CHCHOH)]、(C1021CHCHO)PO[ON(CHCH2OH)2]等を挙げることができる。
なお、末端フッ化アルキル基含有界面活性剤は、上記した化合物の2種以上の混合物からなっていてもよい。
一方、末端フッ化アルキル基含有重合体は、高分子鎖末端にフッ化アルキル基を含有する。末端フッ化アルキル基含有重合体は、その重合体主鎖が熱可塑性樹脂との親和性を良好にし、その末端フッ化アルキル基が有機化層状無機化合物との親和性を良好にするので、熱可塑性樹脂中での有機化層状無機化合物の分散性及び有機化層状無機化合物同士がウィスカー状に好適に凝集させることができる。
末端フッ化アルキル基含有重合体は、1)含フッ素オレフィン化合物をアゾ系、有機過酸化物若しくは過酸化フルオロアルカノイル等の重合開始剤存在下にて重合反応を行うことにより;又は2)フッ素を含有しない重合性オレフィン化合物を過酸化フルオロアルカノイルの存在下にて重合反応を行うことにより;得ることができる。
含フッ素オレフィン化合物としては、含フッ素ビニルエーテル化合物、含フッ素アリルエーテル化合物、含フッ素ビニルエステル化合物、含フッ素(メタ)アクリレート化合物等を挙げることができる。
含フッ素ビニルエーテル化合物としては、式(5)で表される化合物を挙げることができる。
CX =CX−O−Rf・・・(5)
式(5)中、X、Xはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。Rfとしては、前述したRfであり、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含まないRf基が好ましく、PFR基がさらに好ましい。
式(5)で表される化合物の具体例としては、1,1,1−トリフルオロエチルビニルエーテル、パーフロロエチルビニルエーテル、2,2−ジフルオロエチルビニルエーテル、テトラフルオロエチルビニルエーテル、パーフロロエチルビニルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルビニルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルビニルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニルビニルエーテル等を挙げることができる。
含フッ素アリルエーテル化合物としては、式(6)で表される化合物を挙げることができる。
CX =CX−(CX −O−Rf)・・・(6)
式(6)中、X、X及びXはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。Rfとしては、前述したRfであり、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含まないRf基が好ましく、PFR基がさらに好ましい。
式(6)で表される化合物の具体例としては、1,1,1−トリフルオロエチルアリルエーテル、パーフロロエチルアリルエーテル、2,2−ジフルオロエチルアリルエーテル、テトラフルオロエチルアリルエーテル、パーフロロエチルアリルエーテル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアリルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルアリルエーテル、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロノニルアリルエーテル等を挙げることができる。
含フッ素ビニルエステル化合物としては、式(7)で表される化合物を挙げることができる。
CXCX=CX−(−O−CO−Rf)・・・(7)
式(7)中、X、X及びXはそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を表す。Rfとしては、前述したRfであり、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含まないRf基が好ましく、PFR基がさらに好ましい。
式(7)で表される化合物の具体例としては、トリフロロ酢酸ビニル、パーフロロ酢酸ビニル等を挙げることができる。
含フッ素(メタ)アクリレート化合物としては、式(8)で表される化合物を挙げることができる。
CH=CRCOO−Rf・・・(8)
式(8)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。Rfとしては、前述したRfであり、エーテル性酸素原子またはチオエーテル性硫黄原子を含まないRf基が好ましく、PFR基がさらに好ましい。
式(8)で表される化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル等を挙げることができる。
フルオロアルカノイルとしては、具体的には下記式(9)で示されるものが挙げられる。
Rf−CO−O−O−CO−Rf・・・(9)
式(9)におけるRf及びRf2としては酸素原子で中断されてもよい、炭素数1〜25のフルオロアルキル基である。この場合のフルオロアルキル基は直鎖状でも分岐状でもよく、好ましくは−( CF2 )m F(m=1〜15の整数)で示されるパーフルオロアルキル基、またはCF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)n C37 (n=0〜6の整数)で示されるパーフルオロアルキル基を挙げることができる。
特に、Rf及びRf2としては、−CF3、−C25、−C37、−C613および−C715等−Cq2q+1(q=1〜10)で表されるフルオロアルキル基;−CF(CF3)OC37、−CF(CF3)[OCF2CF(CF3)]OC37、および−CF(CF3)[OCF2CF(CF3)]2OC37等で表される基(オキシフルオロアルキレン基およびフルオロアルキル基を含有する基)を例示することができ、中でも−CF(CF3)OC37で表される基が好ましい。
式(9)で表される過酸化フルオロアルカノイルの具体例としては、過酸化ジペルフルオロブチリル、過酸化ジペルフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイル、過酸化ジペルフルオロ−2,5−ジメチル−3,6−ジオキサヘキサノイル等を挙げることができる。
末端フッ化アルキル基含有重合体を合成するのに用いられる重合性モノマーとしてはラジカル重合性があれば特に限定はなく、種々の重合性オレフィン化合物を用いることができる。
重合性オレフィン化合物の具体例としては、前述した含フッ素ビニルエーテル化合物、含フッ素アリルエーテル化合物、含フッ素ビニルエステル化合物、含フッ素(メタ)アクリル酸化合物及び含フッ素(メタ)アクリルアミド化合物のほかにも、フッ素を含有しないオレフィン化合物等を挙げることができる。
末端フッ化アルキル基含有重合体の製造方法において、過酸化フルオロアルカノイルと前記重合性成分を反応させる際における仕込みモル比は生産性の観点から、過酸化フルオロアルカノイル/重合性成分が1/(0.1〜5000)の範囲であるのが好ましく、特に、1/(0.5〜1000)の範囲とするのが好ましい。
また、前記過酸化フルオロアルカノイルの仕込みモル比を調節することにより得られる末端フッ化アルキル基含有重合体の分子量を調節することができる。即ち、過酸化フルオロアルカノイルの仕込みモル比を高くすれば分子量の低い重合体が得られ、過酸化フルオロアルカノイルの仕込みモル比を低くすれば分子量の高い重合体を得ることができる。
末端フッ化アルキル基含有重合体の製造方法において、過酸化フルオロアルカノイルと特定の重合性成分とを反応させるには常圧で行うことが可能であり、また生産性の観点から反応温度は−20℃〜+150℃の範囲が好ましく、0℃〜100℃の範囲が特に好ましく、反応時間は30分〜20時間の範囲が好ましく、1〜10時間の範囲が特に好ましい。
末端フッ化アルキル基含有重合体の製造方法において、過酸化フルオロアルカノイルと前記重合性成分を反応させることにより、目的とする末端フッ化アルキル基含有重合体を直接1段階反応により得ることができるが、過酸化フルオロアルカノイルの取扱い及び反応を、より円滑に行うために溶媒を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、ハロゲン化脂肪族溶媒が特に好ましく、具体的には例えば、塩化メチレン、クロロホルム、2−クロロ−1,2−ジブロモ−1,1,2−トリフルオロエタン、1,2−ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2−ジブロモテトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロテトラクロロエタン、1,2−ジフルオロテトラクロロエタン、フルオロトリクロロメタン、ヘプタフルオロ−2,3,3−トリクロロブタン、1,1,1,3−テトラクロロテトラフルオロプロパン、1,1,1−トリクロロペンタフルオロプロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン等を用いることができる。
特に、工業的には、1,1,1,2,2−ペンタフルオロ−3,3−ジクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタフルオロ−1,3−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン等を挙げることができる。前記溶媒を使用する場合、溶媒中の過酸化フルオロアルカノイル11の濃度は溶液全体に対して0.5〜30質量%であるのが望ましい。
本発明における末端フッ化アルキル基含有重合体の分子量は、特に限定は無いが、層状無機化合物との親和性の観点から、数平均分子量で1,000〜9,000が好ましく、2,000〜8,000がより好ましく、3,000〜7,000がさらに好ましい。末端フッ化アルキル基含有の分子量の測定方法としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
本発明に用いるフッ化アルキル基含有化合物のフッ素含有量は、該フッ化アルキル基含有化合物の表面配向性、層状無機化合物との親和性の観点から、0.5〜90質量%であることが好ましく、1〜80質量%であることがより好ましく、2〜70質量%であることがさらに好ましい。なお、フッ素含有量は公知の方法で測定することができる。例えば、炭酸カリウムカプセル分解法、ピロヒドリシス燃焼法等で求めることができる。
本発明におけるフッ化アルキル基含有化合物の使用量は有機化層状無機化合物の分散状態により適宜調整できる。コストの観点から有機化層状無機化合物に対して、通常、1〜30質量%、好ましくは、2〜20質量%、より好ましくは、3〜10質量%である。
[樹脂組成物の製造方法]
この発明の樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されないが、
(i)熱可塑性樹脂、有機化層状無機化合物、およびフッ化アルキル基含有化合物を、ブラベンダー、押出機、ロール等を用いて溶融混合する方法;
(ii)熱可塑性樹脂、有機化層状無機化合物、およびフッ化アルキル基含有化合物を、有機溶剤中で、混合する方法を挙げることができる。
中でも、有機化層状無機化合物の分散性の向上を図ることのできる前記(ii)の方法が好ましい。なお、熱可塑性樹脂、有機化層状無機化合物、およびフッ化アルキル基含有化合物の製造方法は、上記したとおりである。
本発明の製造方法において、前記(ii)の方法で行う場合、用いる有機溶剤としては、特に制限されないが、芳香族炭化水素系有機溶剤が好ましい。
また前記(ii)の方法で行う場合、混合に際して、有機化層状無機化合物は、これを有機溶剤に分散させて分散液としたもの、熱可塑性樹脂は、有機溶剤に分散させて分散液としたものを用いることが好ましい。
前記(ii)の方法で行う場合、混合及び分散を行う装置に特に制限はなく、公知の混合及び分散装置を用いればよい。
前記(ii)の方法で行う場合において、熱可塑性樹脂、有機化層状無機化合物、およびフッ化アルキル基含有化合物を、有機溶剤中で混合して混合液を調製した後に、溶剤を除去する工程を設けることが好ましい。溶剤を除去する装置としては、特に制限されず、真空乾燥機や薄膜乾燥機等の公知の乾燥機を用いればよい。溶剤を除去するときの温度は60〜250℃である。
前記(ii)の方法で行う場合において、溶剤を除去した樹脂組成物を、二軸押出機等を用いてさらに溶融混練を行ってもよく、その場合、乾燥機として薄膜乾燥機を用いた場合、薄膜乾燥機から吐出された溶融状態の樹脂組成物をそのまま二軸押出機の混練ゾーンに供給して連続的に溶融混練を行うことも可能である。
[成形体]
この発明に係る樹脂組成物を成形して、各種成形体が製造される。この成形体としては、LCDのバックライトやフロントライト用の導光板、導光体等の特に長光路の光透過性が求められるものを挙げることができる。
その他にも、LCDのバックライト用光拡散板(本発明の樹脂組成物にさらに光拡散剤を配合する)、光学フィルム、光学レンズ等を挙げることができる。光学レンズとしては、レーザービームプリンター用のFθレンズ、カメラまたはカメラ付き携帯電話等の撮像用レンズ、光学式情報記録装置用のピックアップレンズ、眼鏡等を挙げることができる。
この成形体の成形方法としては、各種成形体に応じて、公知の成形方法を採用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げて、この発明をより具体的に説明する。なお、この発明は実施例の内容に限定されるものではない。
(製造例1)(脂環式構造含有重合体樹脂の製造例)
窒素雰囲気下に、脱水したシクロヘキサン500質量部、1−ヘキセン0.82質量部、ジブチルエーテル0.15質量部およびトリイソブチルアルミニウム0.30質量部を反応器に入れ、室温で混合した後、45℃に保持しながら、8−メチル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(以下、「MTCD」と略記する。)100質量部および六塩化タングステン(0.7質量%トルエン溶液)40質量部を、2時間に亘り連続的に添加して重合した。
得られた重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06質量部およびイソプロピルアルコール0.52質量部を加えて重合触媒を不活性化し、重合反応を停止させて、開環重合体を含有する重合反応溶液を得た。
次いで、得られた開環重合体を含有する重合反応溶液100質量部に、シクロヘキサン270質量部を加え、さらに水素化触媒として、ニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5質量部を加え、水素により5MPaに加圧して、撹拌しながら200℃まで加温し、4時間、反応させることにより、MTCD開環重合体水素化物を20質量%含有する反応溶液を得た。
得られた反応溶液をろ過して水素化触媒を除去した後、酸化防止剤(チバスペシャリティ・ケミカルズ社製、イルガノックス1010)を、MTCD開環重合体水素化物を100質量部に対して0.1質量部になるように、ろ過して得られた反応溶液に添加、溶解させた。
続いて、円筒型濃縮乾燥機(日立製作所製)を用い、270℃、1kPa以下で、シクロヘキサンおよびその他の揮発成分を除去しつつ、MTCD開環重合体水素化物を溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後、ペレット化してペレットを製造した。
このようにして製造されたところの、極性基を有しない脂環式構造含有重合体樹脂の一例であるMTCD開環重合体水素化物の重量平均分子量は40,000、水素化率は99.9%、ガラス転移点は148℃であった。
(製造例2)(極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂Aの製造例)
製造例1で得られたMTCD開環重合体水素化物100質量部に、無水マレイン酸10質量部、ジクミルパーオキシド3質量部およびtert−ブチルベンゼン230質量部を混合し、オートクレーブ中で135℃、6時間、反応させた後、多量のイソプロピルアルコール中に加えることによって析出させ、ろ過して、樹脂を得た。
この樹脂を100℃、0.1kPa以下で48時間、乾燥して、極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂の一例である無水マレイン酸変性MTCD開環重合体水素化物(極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂A)を得た。この無水マレイン酸変性MTCD開環重合体水素化物の重量平均分子量は65,000、ガラス転移点は146℃、H-NMRで測定した無水マレイン酸変性量は0.45mmol/gであった。
(製造例3)有機化サポナイトの製造
本発明に係る層状無機化合物としての、合成サポナイト(クニミネ工業社製、品名スメクトンSA、平均長径0.05μm)100質量部を60℃の蒸留水1000質量部に均一に分散させ、サポナイト分散液を調製した。
次いで、このサポナイト分散液を撹拌しながら、ジメチルジステアリルアンモニウムクロライド100質量部を蒸留水7000質量部に溶解させた溶液を緩やかに添加し、60℃で3時間、撹拌を続けた後、ろ過して固形物を分取した。この固形物を60℃の蒸留水で2回洗浄した。凍結乾燥法により水分を除去して、本発明に係る有機化層状無機化合物としての、有機化処理サポナイトを製造した。
(製造例4)(フッ化アルキル基含有化合物の製造例)
コンデンサー、温度計、攪拌機及び滴下ロートを備えた四口フラスコに、フッ素系溶媒AK−225(旭硝子社製、1,1,1,2,2‐ペンタフルオロ‐3,3‐ジクロロプロパン:1,1,2,2,3‐ペンタフルオロ‐1,3‐ジクロロプロパン=l:l.35(モル比)の混合溶媒))50質量部、N,Nジメチルアクリルアミド5.22質量部を仕込み、反応容器を45℃に調温し、次いで過酸化ジペルフルオロ−2−メチル−3−オキサヘキサノイルのAK−225 10質量%溶液6.58質量部を5分かけて滴下した。
滴下終了後、45℃、5時間、窒素気流中で反応させ、その後生成物を5mlに濃縮し、ヘキサンで再沈澱を行い、乾燥することにより末端フッ化アルキル基含有重合体(以下、化合物Aと称する。本発明に係るフッ化アルキル基含有化合物である。)3.5質量部(収率60%)を得た。得られた重合体の分子量を、GPCを用いTHF(テトラヒドロフラン)を展開溶剤として測定したところ、Mn=4,000(Mw/Mn=1.77)であり、フッ素含有量は5.89質量%であった。極性基含有量は、100モル%であった。
(実施例1)
製造例2により製造された脂環式構造含有重合体樹脂90質量部と、製造例3により製造された有機化サポナイト(以下、oSAPと称する。)10質量部と、製造例4により製造された化合物A0.7質量部とをトルエン900質量部にラボシェーカーで振とうすることにより溶解後、超音波分散機を用いて2分間分散させた。
その溶液をイソプロピルアルコールに滴下して沈殿してきた組成物をろ過後、真空乾燥機に100℃、一晩かけて乾燥して樹脂組成物を得た。
この組成物をプレス成形にて、厚さ1mmの平板サンプルを作成し、ヘイズ、全光線透過率を測定した。同様にして、厚さ3mmの平板サンプルを作成し、線膨張係数、曲げ弾性率を測定した。結果を表1に示した。
また、前記厚さ1mmの平板サンプルをLEICAウルトラミクロトーム(日立ハイテクノロジーズ社製、ULTRACUT−UCT)用いて超薄切片を作成し、これを透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H−7500)を用いて樹脂組成物の分散状態を観察した。この写真を図1に示す。
(実施例2)
本発明に係るフッ化アルキル基含有化合物として、化合物Aを含フッ素界面活性剤N−プロピル−N−ペルフルオロオクチルスルホニルグリシンカリウム塩(JEMCO社製:EF112)(以下、化合物B)に変える以外は、実施例1と同様に作製し、各種評価を行った。結果を表1に示した。このフッ素化合物の、極性基の含有量、フッ素原子含有量は、50.1質量%であった。極性基含有量は、100モル%であった。
(比較例1)
本発明に係るフッ化アルキル基含有化合物として、化合物Aを使わない以外は、実施例1と同様に作製し各種評価を行った。結果を表1に示した。また実施例1と同様に樹脂組成物の分散状態を観察した。その写真を図2に示す。
(比較例2)
製造例1により製造された、極性基を有する脂環式構造含有重合体樹脂Aのみの物性を表1に示した。
(実施例3)
重合体Aをアクリル樹脂(三菱レーヨン製:アクリペットVH5、荷重たわみ温度101℃)に変える以外は、実施例1と同様に作製し各種評価を行った結果を表1に示した。
(比較例3)
アクリル樹脂(三菱レーヨン製:アクリペットVH5)のみの物性を表1に示した。
Figure 2005344089
<へイズの測定>
JIS K7105の方法に従って、濁度計(NDH−300A、日本電色工業社製)を用いて測定した。
<全光線透過率の測定>
JIS K7105の方法に従って、濁度計(NDH−300A、日本電色工業社製)を用いて測定した。
<線膨張係数の測定>
JIS K7197の方法に従って、TMA(TMA300、セイコーインスツルメンツ社製)を用いて測定した。
<曲げ弾性率の測定>
ASTM D−790に準拠して、曲げ弾性率を測定した。
この表1によれば、各実施例、比較例においても、ヘイズおよび全光線透過率について、あまり差異はなかった。したがって、実施例に係る樹脂組成物を成形した場合でも、その成形体の透明性を維持することができることがわかった。
また、この表1によれば、各実施例は、各比較例のいずれと比較しても、線膨張係数が小さくなった。したがって、実施例に係る樹脂組成物の成形体は、熱による変形を小さくすることができる。
さらに、この表1によれば、各実施例は、比較例3を除けば各比較例のいずれと比較しても、曲げ弾性率が大きくなった。したがって、実施例に係る樹脂組成物の成形体は、機械的強度が向上していることが分かった。
また、図1として示される電子顕微鏡写真によると、実施例1に係る樹脂組成物において、熱可塑性樹脂中に、分散した有機化層状無機化合物同士が、フッ化アルキル基含有化合物により凝集した状態となっている。そして、結合した有機化層状無機化合物同士は、全体としてみると、あたかも1つのウィスカーのように観察される。したがって、上記したようなウィスカー状の挙動をすると思われるので、当該樹脂組成物を成形して得られる成形体の機械的強度を向上させることができる。
これに対して、図2で示される電子顕微鏡写真によると、比較例1に係る樹脂組成物において、熱可塑性樹脂中に、分散した有機化層状無機化合物同士が、実施例1に係る樹脂組成物におけるフッ化アルキル基含有化合物の場合よりも、凝集していない。このことから、実施例1に係る樹脂組成物(図1参照)と、比較例1に係る樹脂組成物(図2参照)との物性に差異が生じたものと推測される。
図1は、本発明の実施例1に係る樹脂組成物の分散状態を観察した電子顕微鏡写真である。 図2は、比較例1に係る樹脂組成物の分散状態を観察した電子顕微鏡写真である。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂と、層状無機化合物を有機化剤で処理してなる有機化層状無機化合物と、極性基を有し、かつ分子鎖末端にフッ化アルキル基を有するフッ素化合物とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、極性基を有することを特徴とする前記請求項1記載の樹脂組成物。
  3. 厚み1mmの板に成形した場合に、ヘイズが、5%以下であることを特徴とする前記請求項1または請求項2記載の樹脂組成物。
  4. 前記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を成形してなることを特徴とする成形体。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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