JP2005343525A - 気密容器用栓体 - Google Patents

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JP2005343525A JP2004166091A JP2004166091A JP2005343525A JP 2005343525 A JP2005343525 A JP 2005343525A JP 2004166091 A JP2004166091 A JP 2004166091A JP 2004166091 A JP2004166091 A JP 2004166091A JP 2005343525 A JP2005343525 A JP 2005343525A
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Hideo Anraku
秀雄 安楽
Masahiro Nakaizumi
政博 中泉
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Abstract

【課題】生産性に優れており、検体採取容器内の減圧度や採血針貫通部の衛生性を維持することができる、針管刺通性、及び、針穴シール性に優れた気密容器用栓体を提供する。
【解決手段】容器の開口部を着脱自在に気密封止するための気密容器用栓体1であって、熱可塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーからなる栓体本体2と、前記栓体本体の表面に配置されたガスバリヤー性フィルム3とからなり、前記ガスバリヤー性フィルムは、前記栓体本体に直接接する前記栓体本体を構成する材料と融着性又は接着性を有する材料からなる接着層3b、低ガス透過性材料からなるガスバリヤー層3a、及び、最外層に配置された人力で引き剥がし可能な剥離層3dの少なくとも3層を有する多層構造である気密容器用栓体。
【選択図】図1

Description

本発明は、生産性に優れており、検体採取容器内の減圧度や採血針貫通部の衛生性を維持
することができる、針管刺通性、及び、針穴シール性に優れた気密容器用栓体に関する。
従来、内部が減圧状態とされている各種真空検体採取容器が知られている。このような真
空検体採取容器としては、例えば、真空採血管が最も一般的であり、例えば、特許文献1
に開示された真空採血管等が開示されている。
図2(a)〜(c)に特許文献1に開示された真空採血システムの一例を示した。この真
空採血システムは、図2(a)に示した真空採血容器30と、図2(b)に示した真空採
血用ホルダー33と、図2(c)に示した真空採血針35とからなる。真空採血容器30
は、一端に開口を有する採血管32と、採血管32の開口を閉塞している栓体31とから
なる。栓体31は、針穴シール性及びガスバリヤー性を備えた弾性材料からなる。また、
真空採血用ホルダー33は、真空採血容器30が一端開口から挿入されるように構成され
ている。真空採血用ホルダー33の他端には、採血針保持穴34が設けられており、採血
針保持穴34には雌ねじが形成されている。他方、真空採血針35は、両端に針先37、
38を有する。針先37側には、雄ねじ部が形成されたハブ36が設けられている。ハブ
36は、真空採血用ホルダー33の採血針保持穴34にねじ込まれ、固定されるように構
成されている。
図3は、特許文献1に開示された真空採血システムを用いて採血する方法を説明するため
の模式的斜視図である。図2及び図3を参照して採血工程を説明する。
採血に際しては、真空採血針35が、真空採血用ホルダー33の採血針保持穴34にねじ
止めされる。次に、真空採血容器30が、ホルダー33内に挿入され、採血針35の針先
37が栓体31を貫通しない程度に押し込まれ、針先37が一旦封止される。これは、針
先38を血管に挿入した時に、針先37から血液が漏れるのを防止するためである。図3
に示されているように、採血者は、採血針35、ホルダー33及び採血容器30が連結さ
れた構造全体を、被採血者の血管軸に沿った方向に寝かせるように手で保持しつつ、血管
刺通側の針先38を血管に刺通する。次に、採血容器30をホルダー33内にさらに押し
込むことにより、針先37が栓体31を貫通し、採血容器側と血管側の圧力差に応じて血
液が採血容器30内に流入する。両側の圧力差がなくなると血液の流入が停止するため、
その状態において、採血システム全体を移動させて針先38を血管から抜去する。
採血針35は、いわゆるシングル採血針と呼ばれているものであり、1本の真空採血容器
にのみ採血するときに用いられるものである。複数の採血容器に採血する場合には、この
シングル採血針は用いることができない。即ち、採血容器を交換する際に針先38は血管
に刺入されたままとしておかねばならないことから、シングル採血針を用いると針先37
から血液が漏れてしまう。これに対して、図4に示した構造を有するマルチプル採血針3
9は、栓体刺通側の針先37に弾性鞘体40が外挿されており、針先37が気密的に被覆
されており、血液の漏洩を防止し得るようにされている。
このようなマルチプル採血針39を用いる場合には、マルチプル採血針39とホルダー3
3とからなる組立て体を用意した後、血管にマルチプル採血針39の針先38を刺入する
。しかる後、採血容器30がホルダー33内に挿入されて、採血容器30と血管とが連通
される。
ところで、図2(a)に示した栓体31に用いられる弾性材料では、採血容器内部の減圧
度を維持することができるガスバリヤー性が要求される。また、針先37が引き抜かれた
後の針穴シール性も求められる。これらの性能を満たす弾性材料としては、従来から架橋
イソプレンゴム、架橋ブチルゴム、架橋イソブチレン・イソプレンゴム等の架橋ゴムが用
いられていた。しかし、これらの架橋ゴムは、加硫反応工程に長時間を要することから比
較的高価であることに加え、加硫反応剤又は加硫反応副産物の有害な不純物を含有するこ
とから、長時間水洗することによりこれらの不純物を除去しなければならないこともコス
トアップの要因となっていた。そこで、架橋ゴムに代わるものとして、ウレタン系、エチ
レンプロピレン系、エチレン酢酸ビニル系、エチレンアクリル酸系、エチレンアクリル酸
エステル系、スチレン系等の熱可塑性エラストマーを用いた栓体が検討されてきた。
しかし、これらの熱可塑性エラストマーは一般にガスバリヤー性が低く、栓体に用いた場
合に採血容器内部の減圧度を維持することができないという問題があった。
これに対して特許文献2には、熱可塑性エラストマーからなる栓体本体に、ナイロン6、
ナイロン66、ポリエステル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン
等のガスバリヤー性が高い膜を被着した構造を有する栓体や、熱可塑性エラストマーから
なる栓体本体にガスバリヤー性が高い膜を埋設した構造を有する栓体が開示されている。
そして、このような栓体を製造する方法として、ガスバリヤー性が高い膜を射出成形や真
空成形等により成形した後、インサート成形により熱可塑性エラストマーからなる栓体本
体と接合させる方法;熱可塑性エラストマーからなる栓体本体とガスバリヤー性の高い膜
とを別々に射出成形や真空成形等により成形した後、高周波シール、超音波シール、ヒー
トシール等により接着又は溶着する方法;熱可塑性エラストマーからなる栓体本体とガス
バリヤー性の高い膜とを同時に射出成形する方法等が挙げられている。
しかしながら、一般に熱可塑性エラストマーからなる栓体本体とこれらのガスバリヤー性
の高い膜との接着性又は溶着性は低く、インサート成形や各種シール方法を採用したとし
ても、両者が容易に剥離してしまうおそれがあった。また、両者を同時に射出成形したと
しても、栓体中にガスバリヤー性材料を膜状に形成することは困難であり、特に多数個取
りの射出成形では、両材料を各キャビティに均一に分配することは極めて困難であり、実
際的ではなかった。仮に成形が可能であったとしても、両材料の接着性又は溶着性が乏し
いため、両材料の界面での剥離が生じやすく、栓体全体としては充分なガスバリヤー性を
発揮することができないおそれも大きかった。
また、特許文献3、特許文献4、特許文献5には、射出成形が可能であり、生産性に優れ
た栓体が開示されている。これらの先行技術では、射出成形可能な材料として熱可塑性樹
脂や熱可塑性エラストマーが挙げられているが、充分な弾性やガスバリヤー性を確保する
ためには、未架橋のブチルゴムや平板状の無機充填剤等の配合が必要であるとされている

しかしながら、未架橋のブチルゴムや平板状の無機充填剤などを配合した場合、圧縮永久
歪みが大きくなり、採血管との密着力が経時により低くなり、減圧度が低下してしまうお
それがあった。また、針穴シール性が不充分であるため、別の種類の熱可塑性エラストマ
ーを針管刺通部に組み込む必要があった。更に、多量の無機充填剤を配合した場合には、
針の刺通抵抗も大きくならざるを得ないという問題もあった。
また、特許文献6及び特許文献7には、針刺し可能な弾性部材に熱可塑性エラストマー等
の射出成形可能な材料が用いられており、更に血液の飛沫を遮断するカバーが栓体に被せ
られた構造が提案されている。しかしながら、熱可塑性エラストマーのガスバリヤー性の
改善については特に言及されておらず、別種のガスバリヤー性シートがカバーの上面に取
り付けられていることが説明されているに過ぎない。
また、特許文献8、特許文献9、特許文献10及び特許文献11には、アルミ箔と針穴シ
ール性ゴムシート又はゴムチップ等からなる積層シートが、直接採血容器の開口端部に融
着又は接着された構造を有する栓体が記載されている。この栓体では、アルミ箔等のガス
非透過性材料が用いられているため、ガスバリヤー性において優れている。また、アルミ
箔は薄いため、採血針の刺通抵抗も非常に小さく、採血作業の負担を軽減することができ
るとされている。更に、このシートを用いた栓体は、生産性においても優れている。しか
しながら、採血容器の開口端部に直接融着された栓体は、一旦剥離されると、再度着脱す
ることができず、検体の保存には別途着脱可能な栓体を用いねばならないという問題があ
った。
更に、特許文献12には、射出成形可能な熱可塑性樹脂からなる栓体の軸心に沿って針管
が通り抜けることが可能な連通孔が設けられており、該連通孔に注射針が挿入される弾性
密封部材が充填されている栓体や、アルミ箔と加硫ゴムシートの積層密封部材により連通
孔が密封されている栓体が開示されている。特許文献12に記載された栓体と採血容器と
の嵌合は、弾性嵌合ではなく硬質の熱可塑性樹脂同士の強嵌合である。従来のゴム弾性を
有する栓体を用いた場合には、採血済みの採血管から一旦抜き取った後に再度挿入した場
合、密封性が非常に優れているため、栓体挿入中に採血管内部の空気が圧縮されて内部の
気圧が高まり、栓体がその反力により浮き上がるおそれがあった。これに対して、特許文
献12に記載の栓体は採血容器に強嵌合されているため、このような栓体の浮き上がりが
防止される。また、弾性嵌合ではなく強嵌合であっても、採血管内部の減圧は確実に維持
されるとされている。しかしながら、熱可塑性樹脂の成形には、成形不良や残留歪みによ
る変形が不可避であり、栓体と採血管の内壁との密着性が損なわれないことは保証できず
、従って強嵌合方式は真空採血管においては実用的なものではなかった。
また、真空検体採取容器を真空採血管等の医療用具として用いる場合には、その衛生性も
極めて重要である。一般に、真空採血管は、γ線や電子線等の放射線照射により採血管内
部が滅菌されている。しかし、通常の包装形態では、真空採血管を1本ずつ個包装するこ
とはコスト的にも難しかった。そこで、採血針が貫通する栓体頭部表面の滅菌状態を容易
に維持することのできる方法が望まれていた。
特開昭62−227316号公報 特開昭57−59536号公報 特開昭58−58057号公報 特開昭61−64253号公報 特開昭59−28965号公報 特開平4−279152号公報 特開平7−51253号公報 特開昭57−154057号公報 実開昭62−160908号公報 特開平1−76831号公報 特開平2−174835号公報 特開平3−97450号公報
本発明は、上記現状に鑑み、生産性に優れており、検体採取容器内の減圧度や採血針貫通
部の衛生性を維持することができる、針管刺通性、及び、針穴シール性に優れた気密容器
用栓体を提供することを目的とする。
本発明は、容器の開口部を着脱自在に気密封止するための気密容器用栓体であって、熱可
塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーからなる栓体本体と、前記栓体本体の表面に
配置されたガスバリヤー性フィルムとからなり、前記ガスバリヤー性フィルムは、前記栓
体本体に直接接する前記栓体本体を構成する材料と融着性又は接着性を有する材料からな
る接着層、低ガス透過性材料からなるガスバリヤー層、及び、最外層に配置された人力で
引き剥がし可能な剥離層の少なくとも3層を有する多層構造である気密容器用栓体である

以下に本発明を詳述する。
本発明の気密容器用栓体は、栓体本体と該栓体本体の表面に配置されたガスバリヤー性フ
ィルムとからなる。
上記栓体本体は、熱可塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーからなる。
上記熱可塑性エラストマーとしては特に限定されず、例えば、スチレン系、オレフィン系
、ウレタン系、アミド系、エステル系、シリコーン系のエラストマーを主成分とするもの
等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは1種のみが用いられてもよく、2種以
上が併用されてもよい。なかでも、圧縮永久歪みが比較的小さく、安価であることから、
スチレン系エラストマー又は動的架橋オレフィン系エラストマーが好適である。
上記熱硬化性エラストマーとしては特に限定されず、例えば、天然又は合成イソプレン系
、エチレンプロピレンジエンモノマー系、イソプレンイソブチレン系、ニトリルブタジエ
ン系、クロロプレン系、シリコーン系のエラストマーを主成分とするもの等が挙げられる
。これらの熱硬化性エラストマーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されて
もよい。なかでも、圧縮永久歪みが比較的小さく、安価であることから、合成イソプレン
系エラストマー又はエチレンプロピレンジエンモノマー系エラストマーが好適である。
上記栓体本体は、JIS硬度A又はASTMのショア硬度Aが80以下であることが好ま
しい。80を超えると、針管刺通抵抗や採血管への装着抵抗が大きくなり過ぎたり、採血
管の内面に対する密着性が低下したりすることがあり、作業性や気密性が低下することが
ある。より好ましくは70以下である。
本発明の気密容器用栓体を採血管等の容器の開口部へ着脱を容易とするためには、各種オ
イル、ワックス、脂肪酸/脂肪酸塩、脂肪酸アミド、界面活性剤、可塑剤、滑性無機微粉
末等の潤滑材料を、上記栓体本体の表面にスプレー法、浸漬法、塗擦法等の方法により塗
布してもよい。また、栓体本体を成形する際に潤滑剤等を予め配合しておいてもよい。
上記ガスバリヤー性フィルムは、接着層、ガスバリヤー層、及び、剥離層の少なくとも3
層からなる多層構造を有する。
上記接着層は、上記ガスバリヤー性フィルムと栓体本体との接着性を担保する役割を有す
るものであり、本発明の気密容器用栓体の製造を容易にするとともに、栓体本体とガスバ
リヤー性フィルムとが剥離するのを防止する。
上記ガスバリヤー層は、本発明の気密容器用栓体を用いて容器の開口部を気密封止したと
きに容器内部の気密性を担保する役割を有するものである。
上記剥離層は、必要に応じて剥離することにより、清潔な栓体表面を表出させ滅菌の効果
を高める役割を有するものである。
上記接着層は、栓体本体2を構成する材料と融着性又は接着性を有する材料からなる。
本明細書において融着性又は接着性を有するとは、融着又は接着させたときにJIS K
6854に準拠した180°剥離試験により測定した接着層の剥離接着強さが20N/
25mm以上となるように融着又は接着できることを意味する。
このような材料としては、例えば、栓体本体2がスチレン系エラストマー又は動的架橋オ
レフィン系熱可塑性エラストマー、若しくは、合成イソプレン系エラストマー又はエチレ
ンプロピレンジエンモノマー系熱硬化性エラストマーからなる場合には、低密度ポリエチ
レン、直鎖低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系熱可塑性樹脂;これら
のオレフィン系熱可塑性樹脂にカルボキシル基や水酸基等を含む共重合モノマー成分を少
量共重合してなる変性オレフィン系熱可塑性材料等が挙げられる。また、栓体本体2がエ
ステル系熱可塑性エラストマーで構成されている場合には、ポリエチレンテレフタレート
、ポリブチレンテレフタレート等の伸長性の熱可塑性樹脂を用いることができる。
いずれの場合においても、栓体本体2の成形温度以下の融点又はビカット軟化点を有する
材料によりが構成されることが好ましい。また、本発明の気密容器用栓体の製造性を高め
る目的で伸長性に優れるものが好適である。
上記接着層の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限
は1000μmである。10μm未満であると、上記栓体本体との充分な接着性を発揮で
きないことがあり、100μmを超えると、上記ガスバリヤー性フィルム全体の厚さが不
必要に厚くなってしまうことがある。
上記ガスバリヤー層は、低ガス透過性材料からなる。低ガス透過性材料からなるガスバリ
ヤー層を有することにより気密容器内の減圧度を維持することが可能となる。
本明細書において、低ガス透過性材料とは、例えば、厚さ25μmのフィルム状において
、ASTM D 1434又はJIS K 7126に準拠する方法により測定される、
25℃における酸素透過係数が10mL・mm/m・24hr・atm以下であるもの
を意味する。
このような低ガス透過性材料としては特に限定されないが、例えば、エチレンビニルアル
コール共重合体、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、塩化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート等のそれ
自体のガス透過係数が小さな熱可塑性樹脂を実質的に未延伸状態で製膜したものが挙げら
れる。これらの熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されても
よい。また、上記低ガス透過性材料としては、上記ガス透過係数が小さな熱可塑性樹脂や
ポリエチレン、ポリプロピレン等に数十〜数百nm程度の粒子径の粘土系鉱物を微分散さ
せた組成物をフィルム状に成形してなる複合材料を用いてもよい。また、上記ガス透過係
数が小さな熱可塑性樹脂やポリエチレン、ポリプロピレン等からなるフィルムの片面又は
両面に、アルミニウムやシリカ等を蒸着してなるものも用いることができる。なかでも、
栓体本体を被覆するように成形する際にガスバリヤー性フィルムが引き伸ばされたとして
もガスバリヤー性が低下しにくいことから、それ自体のガス透過係数が小さな熱可塑性樹
脂を実質的に未延伸状態で製膜したものが好適である。
上記ガスバリヤー層の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は5μm、好まし
い上限は100μmである。5μm未満であると、充分な気密性を発揮できないことがあ
り、100μmを超えると、上記ガスバリヤー性フィルム全体の厚さが不必要に厚くなっ
てしまうことがある。
上記剥離層は、上記ガスバリヤー性フィルムの最外層に配置されており、人力で引き剥が
し可能なものである。
ここで人力で引き剥がし可能であるとは、剥離層とその真下の層とを人力にて容易に剥離
することができることを意味し、具体的には、JIS K 6854に準拠した180°
剥離試験により測定した剥離接着強さが10N/25mm以下であることを意味する。好
ましく5N/25mm以下である。5N/25mmを超えると、多数の採血を行う場合に
疲労感を与える恐れがある。剥離接着強さの好ましい下限は1N/25mmである。1N
/25mm未満であると、使用前に管同士の摩擦により、剥離してしまう恐れがある。
このような剥離層としては特に限定されないが、指先でつまんで剥離するという作業の性
質上、ある程度の厚みを必要とするため、安価なポリエチレンやポリプロピレンからなる
もの等が好適である。
また、好適な範囲の剥離接着強さを得るためには、上記ガスバリヤー性フィルムのうち剥
離層以外の層を共押出等により成型した後、剥離層を粘着剤等を介して積層してもよいし
、低分子量ポリエチレン等の表層部に移行しやすい成分を配合した剥離層を他の層と共押
出してもよい。表層部に移行した低分子量ポリエチレンは、剥離層とその真下の層との界
面剥離を容易にする。この場合、粘着剤等は、剥離層とこれに対する層の界面全体に塗布
してもよいが、間隔をあけて線状又は点状に塗布することにより、剥離作業を容易にする
ことができる。
上記剥離層の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は50μm、好ましい上限
は500μmである。50μm未満であると、剥離操作が困難となることがあり、500
μmを超えると、上記ガスバリヤー性フィルム全体の厚さが不必要に厚くなってしまうこ
とがある。
上記ガスバリヤー性フィルムは、栓体本体を成形する際にガスバリヤー層がメルトダウン
したり、急激な延伸によって引き裂かれたりするのを防止する目的で、保護層を有しても
よい。上記保護層は、栓体本体の成形温度よりも高い融点又はビカット軟化点を有するも
のであれば特に限定されず、例えば、栓体本体が合成イソプレン系熱硬化性エラストマー
からなり130℃で加硫成形する場合には、変性ポリプロピレン(融点140℃、ビカッ
ト軟化点約110℃)、ポリプロピレン(融点約160℃、ビカット軟化点約140℃)
、エチレン−ビニルアルコール共重合体(融点約170℃)、ナイロン6(融点約220
℃、ビカット軟化点約200℃)等の伸長性の熱可塑性樹脂からなることが好ましい。ま
た、例えば、栓体本体がエチレンプロピレン系熱可塑性エラストマーからなり180℃で
射出成形される場合には、ナイロン6(融点220℃、ビカット軟化点200℃)等の伸
長性の熱可塑性樹脂からなることが好ましい。また、引き裂きや突き破り等を防止する目
的にはナイロン6からなることが好ましい。
上記保護層の厚さとしては特に限定されないが、好ましい下限は10μm、好ましい上限
は100μmである。10μm未満であると、充分なメルトダウンや引き裂き等の防止効
果が得られないことがあり、100μmを超えると、上記ガスバリヤー性フィルム全体の
厚さが不必要に厚くなってしまうことがある。
上記ガスバリヤー性フィルムは、各層を構成する材料をシート状又は筒状に共押出して、
ロール圧延又はインフレーションにより厚さを調整することにより製造することができる
。この際、強い張力を加えないことで、伸長性を付与することができる。なお、各層を構
成する材料間の接着/融着性が乏しい場合には、層間に変性オレフィン系熱可塑性材料等
を同時に共押出することが好ましい。
本発明の気密容器用栓体は、上記栓体本体とガスバリヤー性フィルムとからなる。上記ガ
スバリヤー性フィルムは栓体本体の表面に上記接着層が栓体本体と接するように配置され
る。
配置する位置としては特に限定されず、例えば、栓体本体の全体を覆うようにしてもよい
し、栓体本体の形状にあわせて必要とされる位置にのみ配置してもよい。
配置の方法としては特に限定されないが、例えば、栓体本体を加硫成形により成形する場
合には、栓体本体を構成するための生ゴム配合物とガスバリヤー性フィルムとを重ねて成
形温度に加熱した金型の分割面にセットし、その後金型を閉じて、通常の手順で真空排気
した後、加圧下において加硫成形を行う方法が好適である。
本発明の気密容器用栓体においては、栓体本体の表面に、栓体本体に接着層が接すること
により融着又は接着されて配置されたガスバリヤー性フィルムを備えることから、ガスバ
リヤー性に優れており、例えば真空採血管等の気密容器を構成した場合、内部の減圧度を
確実に維持することができる。更に、ガスバリヤー性フィルムの接着層が、栓体本体2に
対して接着性に優れているため、ガスバリヤー性フィルムが栓体本体に確実に接着され、
容易に剥離することがない。また、上記ガスバリヤー性フィルムが伸長性の熱可塑性樹脂
からなるものである場合には、成形性においても優れており、従って、栓体本体の表面形
状に沿ってガスバリヤー性フィルムを確実に配置することができ、ガスバリヤー性に優れ
た気密容器用栓体を安定にかつ安価に提供することが可能となる。更に、ガスバリヤー性
フィルムの最外層に人力によって剥離可能な剥離層を設けたことにより、採血直前に該剥
離層を剥離すれば、清潔な栓体表面を得ることができ、滅菌の効果を高めることができる

本発明によれば、検体採取容器内の減圧度や採血針貫通部の衛生性を維持することができ
る、針管刺通性、及び、針穴シール性に優れた気密容器用栓体を提供することができる。
図1に本発明の気密容器用栓体の好ましい一実施態様を示す模式図を示した。以下、図面
を参照しつつ、本発明の気密容器用栓体について具体的に説明する。
図1(a)及び(b)は、本発明の一実施形態に係る気密容器用栓体を示す部分切欠半断
面正面図及び(a)の円Aで示す部分を拡大して示す断面図である。気密容器用栓体1は
、栓体本体2と、栓体本体2の非接液面側の外表面に形成されているガスバリヤー性フィ
ルム3とを有する。
栓体本体2は、真空採血管などの容器の開口部に圧入される略円筒状の足部2aを有する
。足部2aの上方に、相対的に径の大きな頭部2bが形成されている。頭部2bの外径は
、取り付けられる容器の開口部の内径よりも大きくされている。従って、頭部2bの下面
であって、足部2aよりも外側に伸びている段差部2cが、容器の開口部上端に接触され
る。
栓体本体2の中央には、頭部2bの上面に開いた中空部2dが構成されている。中空部2
dは足部2aの中間高さ位置に至るように形成されている。中空部2dを設けることによ
り、栓体本体2の足部2aの底面部分の厚みが薄くされており、それによって採血針の針
先刺通性が高められている。また、マルチプル採血針のゴム鞘の圧縮率を低減できるため
キックバックを防止できる。
ガスバリヤー性フィルム3は、栓体本体2の中空部2dの内壁及び底面を覆うように形成
されており、さらに栓体本体2の頭部2bの上面を経て頭部2bの外周側面に至るように
形成されている。本実施態様では、ガスバリヤー性フィルム3は、栓体本体2に接する側
から、接着層3b、ガスバリヤー層3a、保護層3c及び剥離層3dの4層構造を有する

ガスバリヤー性フィルム3が栓体本体2の外表面において、上記のように融着又は接着さ
れていることにより、気密容器用栓体1を容器の開口部に装着した場合、内部の減圧を確
実に維持することができる。即ち、気密容器用栓体2を通した気体の検体採取容器内部へ
の抜けが、ガスバリヤー性フィルム3により確実に防止される。更に、ガスバリヤー性フ
ィルム3の最外層には剥離層3dが形成されていることから、採血直前に剥離層3dを剥
離すれば、清潔な栓体表面2を得ることができ、滅菌の効果を高めることができる。
本実施態様の気密容器用栓体を製造する方法としては特に限定されず、例えば、栓体本体
2が加硫成形により得られる場合には、栓体本体2を構成するための生ゴム配合物と、ガ
スバリヤー性フィルム3とを重ねて成形温度に加熱した金型の分割面にセットし、その後
金型を閉じて、通常の手順で真空排気した後、加圧下において加硫成形を行う方法等が挙
げられる。上記製造方法において、伸長性のガスバリヤー性フィルム3は、金型の凹凸部
分や栓体材料の流動に応じて伸長しつつ栓体本体2の表面に重ね合わされた状態で栓体本
体2が成形される。ガスバリヤー性フィルム3が製造時に強く延伸された延伸フィルムか
らなる場合には、栓体本体2の成形に際して、金型の凹凸や栓体材料の流動に応じて変形
できなくなる。そのため、ガスバリヤー性フィルム3が裂けたり、栓体本体2が欠損した
りする等の成形不良を起こしやすい。従って、ガスバリヤー性フィルム3は、伸長性の熱
可塑性樹脂フィルム等からなることが好ましい。
本発明によれば、検体採取容器内の減圧度や採血針貫通部の衛生性を維持することができ
る、針管刺通性、及び、針穴シール性に優れた気密容器用栓体を提供することができる。
本発明の気密容器用栓体の好ましい一実施態様を示す模式図(図1(a)は、本発明の一実施形態に係る気密容器用栓体を示す部分切欠半断面正面図であり、図1(b)は(a)の円Aで示す部分を拡大して示した断面図)である。 従来の真空採血システムを説明するための図であり、(a)は真空採血容器を示す断面図、(b)は真空採血用ホルダーを示す断面図、(c)は真空採血針を示す正面図である。 真空採血システムを用いた採血方法を説明するための略図的斜視図である。 従来の真空採血法に用いられる真空採血針の他の例を説明するための正面図である。
符号の説明
1 気密容器用栓体
2 栓体本体
2a 足部
2b 頭部
2c 段差
2d 中空部
3 ガスバリヤー性フィルム
3a ガスバリヤー層
3b 接着層
3c 保護層
3d 剥離層
30 真空採血容器
31 栓体
32 採血管
33 真空採血用ホルダー
34 採血針保持穴
35 真空採血針
36 ハブ
37、38 針先
39 マルチプル採血針
40 弾性鞘体

Claims (2)

  1. 容器の開口部を着脱自在に気密封止するための気密容器用栓体であって、
    熱可塑性エラストマー又は熱硬化性エラストマーからなる栓体本体と、前記栓体本体の表
    面に配置されたガスバリヤー性フィルムとからなり、
    前記ガスバリヤー性フィルムは、前記栓体本体に直接接する前記栓体本体を構成する材料
    と融着性又は接着性を有する材料からなる接着層、低ガス透過性材料からなるガスバリヤ
    ー層、及び、最外層に配置された人力で引き剥がし可能な剥離層の少なくとも3層を有す
    る多層構造である
    ことを特徴とする気密容器用栓体。
  2. ガスバリヤー性フィルムにおいて、JIS K 6854に準拠した180°剥離試験に
    より測定した剥離層の剥離接着強さが10N/25mm以下であることを特徴とする請求
    項1記載の気密容器用栓体。
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