JP7105560B2 - 液体状医薬品入り蓋付き容器 - Google Patents

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Description

本発明は、針刺検知用シート、特に針刺検知用蓋材に関する。
輸液、注射液等の液体状の医薬品は、例えば、開口部にゴム栓を嵌合したキャップを有する容器中に保管されることがある。キャップのゴム栓上には、例えば、保管中のゴム栓の汚染防止、未使用品であることの表示等の目的で、ピール材が貼付されることがある。このような容器中の医薬品は、ゴム栓上のピール材を剥がしたうえで、ゴム栓に注射針を刺して使用される。
しかし、使用方法を誤って、又は医薬品中に異物を故意に混入させるために不正に、ピール材を剥がさずに、ピール材を通してゴム栓に針、典型的には注射針が刺される場合があり得る。このような場合、ピール材を通して針を刺すことは、本来想定されていないため、ピール材に針が刺されたか否かの判別は困難であった。
特許文献1及び2は、それぞれ、注射針の跡が残る輸液用キャップに関し、熱可塑性樹脂の外枠体に熱可塑性エラストマーの栓体を内設した構造を有する輸液用キャップが記載されている。この輸液用キャップでは、栓体の針刺面と最大5mmの隙間を空けて、栓体の針刺面を覆うように、厚み1.0mm以下の熱可塑性樹脂の膜部が配置されている。
特許文献3は、上方から見たときに内部の薬液を特定することができ、かつ内部の薬液が使用されているか否かを識別できる薬用瓶の蓋に関する。この特許文献3には、ゴム栓によって瓶口が閉塞された薬用瓶に装着される薬用瓶の蓋であって、金属薄板から成る口金と、口金の内側に嵌合する合成樹脂製の蓋体との組み合わせから成る、薬用瓶の蓋が記載されている。この蓋では、口金は周胴部上面に頂面板を有する逆有底円筒状に形成され、口金の頂面板は中央部に透孔が穿設されている。更に、蓋体の上面は口金の頂面板の透孔に嵌合可能であり、透孔に嵌合する部分の一部は肉薄に形成され、かつその肉薄部分の下面は、薬用瓶の瓶口を閉塞しているゴム栓の上面と当接しない形状に形成されている。
特開2011-78810号公報 特許第4904501号公報 特開平10-310154号公報
本発明の目的は、通常想定される態様で使用される場合には、傷、折り目等が付き難いが、使用方法を誤って、又は不正に注射針等の針が刺された場合に、針刺孔が視覚的に強調された外観で残り、針刺履歴の有無が容易かつ確実に判断できるシートを提供することである。
本発明は、以下のとおりのものである。
〈態様1〉白化樹脂層と、上記白化樹脂層の片面又は両面上の補強層とを有し、
上記白化樹脂層は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、上記針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する樹脂層である、
針刺検知用シート。
〈態様2〉上記白化樹脂層は、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂の層である、
〈態様1〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様3〉上記ハードセグメントは、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン、及びアクリロニトリル-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上を含み、かつ
上記ソフトセグメントは、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、及び非晶性ポリオレフィンより成る群から選択される1種以上を含む、〈態様2〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様4〉上記白化樹脂層は、耐衝撃性ポリスチレン、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上の樹脂の層である、
〈態様1〉~〈態様3〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様5〉上記白化樹脂層は、ブロックコポリマータイプのポリプロピレンの層である、〈態様1〉~〈態様4〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様6〉上記補強層は、針を刺したときに白化を生じない熱可塑性樹脂の層である、〈態様1〉~〈態様5〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様7〉更に着色樹脂層を有し、
上記補強層、上記白化樹脂層、及び上記着色樹脂層の順、
上記白化樹脂層、上記補強層、及び上記着色樹脂層の順、又は
上記補強層、上記白化樹脂層、上記補強層、及び上記着色樹脂層の順
に積層されている、〈態様1〉~〈態様6〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様8〉更に外部接着層又は外部シーラント層を有し、
上記補強層、上記白化樹脂層、及び上記外部接着層又は外部シーラント層の順、
上記白化樹脂層、上記補強層、及び上記外部接着層又は外部シーラント層の順、又は
上記補強層、上記白化樹脂層、上記補強層、及び上記外部接着層又は外部シーラント層の順
に積層されている、〈態様1〉~〈態様6〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様9〉更に着色樹脂層と、外部接着層又は外部シーラント層とを有し、
上記補強層、上記白化樹脂層、上記着色樹脂層、及び上記外部接着層又は外部シーラント層の順、
上記白化樹脂層、上記補強層、上記着色樹脂層、及び上記外部接着層又は外部シーラント層の順、又は
上記補強層、上記白化樹脂層、上記補強層、上記着色樹脂層、及び上記外部接着層又は外部シーラント層の順
に積層されている、〈態様1〉~〈態様6〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様10〉上記着色樹脂層のL値が75以下である、〈態様7〉又は〈態様9〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様11〉上記白化樹脂層の片面上に、直接又は上記補強層を介して、層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層を、この順に更に有し、
上記針刺検知用シートに、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、上記白化樹脂層又は上記補強層と上記剥離樹脂層との間の上記針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で剥離する、
〈態様1〉~〈態様10〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様12〉上記剥離樹脂層は、JIS Z 0237に準拠して、試験速度300mm/分にて測定した伸び率が100%以上であり、かつ、
上記白化樹脂層又は上記補強層と上記剥離樹脂層との間の粘着強さは、JIS Z 0237に準拠して、引きはがし角度180°にて測定したときに、1.0N/10mm以上10.0N/10mm以下である、
〈態様11〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様13〉上記剥離樹脂層は、熱可塑性樹脂、天然ゴム、及び合成ゴムから選択される重合体の層である、〈態様11〉又は〈態様12〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様14〉上記剥離樹脂層が着色されている、〈態様11〉~〈態様13〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様15〉上記剥離樹脂層のL値が75以下である、〈態様14〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様16〉蓋材である、〈態様1〉~〈態様15〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様17〉開口部を有する容器と、上記容器中に収納された液体状医薬品と、上記容器の上記開口部を密封する栓と、上記栓を覆う蓋材とを有する液体状医薬品入り蓋付き容器であって、
上記蓋材が〈態様16〉に記載の針刺検知用シートである、液体状医薬品入り蓋付き容器。
本発明の針刺検知用シートは、通常想定される態様で使用される場合には、傷、折り目等が付き難いが、使用方法を誤って、又は不正に注射針等の針が刺された場合に、針刺孔が視覚的に強調された外観で残り、針刺履歴の有無を容易かつ確実に判断できるものである。本発明の特別の態様による針刺検知用シートは、針を刺すことが本来は想定されていない部位、例えば輸液バッグのピール材等に適用することができ、傷、折り目等が付き難いにもかかわらず、針刺履歴の有無を容易かつ確実に判断できるものである。
図1は、本発明の針刺検知用シートの効果を説明するための概略斜視図である。 図2は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の一例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の別の一例を示す概略断面図である。 図4は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図5は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図6は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図7は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図8は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図9は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図10は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図11は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図12は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図13は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図14は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図15は、実施例で使用した評価試料の形状を示す概略斜視図である。
《針刺検知用シート》
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層と、上記白化樹脂層の片面又は両面上の補強層とを有し、この白化樹脂層は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する樹脂層である。注射針の刃型「R・B」とは、刃面が通常の長さであることを意味する「Regular Bevel」の略であり、針先の角度は約12°である。
図1に、本発明の針刺検知用シートに針を刺して針刺孔を形成したときの状態を、模式的に表す概略斜視図を示す。
図1の針刺検知用シート(100)は、白化樹脂層(10)と、この白化樹脂層(10)の両面上の補強層(20)とを有する。補強層(20)は、白化樹脂層(10)の片面のみに存在していてもよい。
図1の針刺検知用シート(100)中の白化樹脂層(10)は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する特性を有する。
このような白化樹脂層(10)を有する図1の針刺検知用シート(100)に、針が刺されて針刺孔(70)が形成されると、白化樹脂層(10)のうちの針刺孔(70)の周囲が白化して、白化領域(80)が形成される。したがって、針刺孔(70)は、周囲の白化領域(80)によって視覚的に強調された外観を呈する。これにより、図1の針刺検知用シート(100)では、針刺履歴の有無を、使用者が容易かつ確実に知ることができる。
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層の片面上に、直接又は補強層を介して、層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層をこの順に更に有していてよい。この場合、本発明の針刺検知用シートに直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、白化樹脂層又は補強層と剥離樹脂層との間の、針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で剥離する。そのため、この態様の針刺検知用シートでは、針刺孔の視認性が更に向上されたものとなる。
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層及び補強層、並びに任意的に使用される層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層の他に、着色樹脂層、外部接着層又は外部シーラント層、及び表面層から選択される1つ以上の層を更に有していてよい。
以下、本発明の針刺検知用シートを構成する各層について、説明する。
〈白化樹脂層〉
本発明の針刺検知用シートにおける白化樹脂層は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する特性を有する。
この白化樹脂層の白化特性は、樹脂が塑性変形されたときに白化する現象によると考えられる。理論に拘束されるものではないが、樹脂の塑性変形に伴う白化は、樹脂中のクレーズ(craze)構造の形成、樹脂中のフィラーの介在による空隙の形成等に起因すると考えられる。
樹脂は、例えば折り曲げられて塑性変形する際に、クレーズ構造を形成することがある。クレーズ構造は、塑性変形の際に樹脂の分子鎖が主応力方向に引き伸ばされて配向した配向鎖と、分子鎖の配向に伴って発生した微小なボイドとから成る構造体である。クレーズ構造が形成された部分は、光を散乱するから白く見える。
層状の樹脂に針を刺したときにも、針刺方向を主応力方向として分子鎖が引き伸ばされることにより、配向鎖と微小なボイドとから成るクレーズ構造を形成し得る。
一方、樹脂のマトリクス中にフィラーを含むフィラー含有樹脂の場合、例えば折り曲げられたときに、樹脂のマトリクスは塑性変形するが、フィラーは樹脂の変形に追随できない。このことにより、樹脂とフィラーとの変位量に差が生じて両者が分離し、界面に空隙が形成されることがある。このようなフィラー含有樹脂の空隙は、光を散乱するから白く見える。
フィラー含有樹脂の層に針を刺したときにも、針刺方向を主応力方向として樹脂の分子鎖が引き伸ばされて塑性変形することにより、樹脂マトリクスとフィラーとの間に空隙を形成し得る。
このような機構により、白化樹脂層に針を刺して針刺孔を形成したときに、針刺孔の周囲が白化すると推察される。
上記いずれの場合であっても、白化樹脂層に、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときの、針刺孔周囲の白化領域の幅は、針刺孔の視認性を十分に高くする観点から、0.2mm以上であり、0.3mm以上、0.4mm以上、又は0.5mm以上であってよい。また、視認性を高くする観点からは、針刺孔周囲の白化領域の幅は、1.0mm以下でよく、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、又は0.6mm以下であってよい。
白化樹脂層は、針刺孔を形成する注射針の直径が、例えば0.60mm又は0.40mmであった場合でも、針刺孔の周囲が白化する特性を有していてよい。この場合、針刺孔周囲の白化領域の幅は、例えば、0.2mm以上、0.3mm以上、0.4mm以上、又は0.5mm以上であってよく、例えば、1.0mm以下、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、又は0.6mm以下であってよい。
白化樹脂層は、上記のような白化特性を有する限り、その構造は任意である。しかしながら白化樹脂層は、例えば、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂の層(以下、「海島型白化樹脂層」ともいう。)であってよく、又はフィラーを含有する樹脂の層(以下、「フィラー含有型白化樹脂層」ともいう。)であってよい。
白化樹脂層が海島型白化樹脂層であるときのハードセグメントは、例えば、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、結晶性ポリジエン、結晶性ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド等から選択される1種以上を含んでいてよい。結晶性ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン等であってよい。結晶性ポリジエンは、例えば、シンジオ-1,2-ポリブタジエン、トランス-1,4-ポリイソプレン等であってよい。
ハードセグメントは、特に、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン、及びアクリロニトリル-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上を含んでいてよい。
ソフトセグメントは、例えば、非晶性ポリオレフィン、非晶性ポリジエン系ゴム、非晶性ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエーテル等から選択される1種以上を含んでいてよい。非晶性ポリオレフィンは、例えば、低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、水添ブタジエンゴム、水添イソプレンゴム等であってよい。非晶性ポリジエン系ゴムは、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム等であってよい。
ソフトセグメントは、特に、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、及び非晶性ポリオレフィンより成る群から選択される1種以上を含んでいてよい。
海島型白化樹脂層を構成する樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントとが共有結合によって結合している共重合体であってよく、又は、ハードセグメントとソフトセグメントとが別個の高重合体分子として存在しているブレンド物であってよい。また、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相との間の界面張力を制御して分散相の粒径を調節するための相溶化剤を、更に含有していてよい。相溶化剤とは、例えば、ハードセグメントを構成する樹脂と同種の重合体鎖を有するブロックと、ソフトセグメントを構成する樹脂と同種の重合体鎖を有するブロックとから構成される、ブロック共重合体、グラフト共重合体等であってよい。
海島型白化樹脂層は、具体的には例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン(ブロックPP)、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)より成る群から選択される1種以上の樹脂の層であってよい。
HIPSは、ハードセグメントとしてポリスチレンを含む連続相中に、ソフトセグメントとして非晶性ポリジエン及び非晶性ポリオレフィンから選択される1種以上を含む分散相を有する構成であってよい。ブロックPPは、ハードセグメントとしてポリプロピレンを含む連続相中に、ソフトセグメントとして非晶性ポリエチレンを含む分散相を有し、これら連続相と分散相との界面に、相溶化剤としてのエチレン-プロピレンゴムを有する構造であってよい。ABSは、ハードセグメントとしてアクリロニトリル-スチレン共重合体を含む連続相中に、ソフトセグメントとしてブタジエンゴム及びスチレン-ブタジエンゴムから選択される1種以上を含む分散相を有する構成であってよい。
白化樹脂層としてブロックPPを用いると、得られる針刺検知用シートの耐熱性(耐熱形状維持性)が高くなるため、煮沸又は高温による殺菌を行う医薬、食品等の用途への適用に好適である。
ブロックPPを用いたときに耐熱性が高くなる理由について、本発明者らは、樹脂のガラス転移温度Tg若しくは融点mp、又はこれらの双方が関係しているのではないかと推察している。すなわち、ブロックPPのTgは約0℃に現れ、mpは150~160℃程度に現れる。そのためブロックPPは、医薬、食品用途における殺菌又は滅菌の代表温度である100~130℃程度の温度で相変化を伴わず、したがって、白化樹脂層としてブロックPPを用いた針刺検知用シートの耐熱性が向上すると推察される。なお、本発明は、理論に拘束されるものではない。
白化樹脂層がフィラー含有型白化樹脂層であるとき、樹脂のマトリクス中にフィラーが分散された構造を有していてよい。
フィラー含有型白化樹脂層のマトリクスを構成する樹脂は、熱可塑性樹脂等であってよく、具体的には例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン触媒によるポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒によるポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、飽和ポリエステル、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMAC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性EVA、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、熱可塑性エラストマー等を挙げることができ、これらから選択される1種、又は2種以上の組み合わせであってよい。
フィラーは、樹脂の透明性を損なわず、かつ針刺しによって白化樹脂層を白化させる機能を有するものであってよい。フィラーとして、具体的に例えば、モレキュラーシーブ(親水性ゼオライト)3A、4A、5A、13X等の他、シリカ、ポーラスシリカ等を挙げることができ、これらから選択される1種、又は2種以上の組み合わせであってよい。これらのうちモレキュラーシーブは、吸水によって透明となるため、煮沸又は高温水蒸気によるレトルト殺菌を行う医薬、食品等の用途への適用に好適である。
フィラーは、粒子状であってよく、その粒径は、例えば10μm以下であってよい。
フィラー含有型白化樹脂層中のフィラーの含有割合は、白化樹脂層の全質量を基準として、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上であってよく、例えば、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。
海島型白化樹脂層及びフィラー含有型白化樹脂層の双方について、白化樹脂層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、10μm以上、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、又は80μm以上であってよく、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、又は120μm以下であってよい。
〈補強層〉
本発明の針刺検知用シートにおける補強層は、白化樹脂層の片面又は両面上に存在し、針刺検知用シート及びこれを適用する容器等の製造、保管等の際に、針刺検知用シートが擦過され、又は折り曲げられた場合の白化樹脂層への線状の白化痕の形成を抑制する機能を有する。したがって補強層は、白化樹脂層とは異なり、針を刺したときに白化を生じない材料から構成される層であってよい。
上記の機能を発現できる限り、補強層を構成する材料は任意である。しかしながら、加工及びハンドリングの容易性を確保するために、熱可塑性樹脂を使用することができ、特に、柔軟性を有する熱可塑性樹脂の使用が好適である。上述のとおり、補強層は針を刺したときに白化を生じなくてもよいから、補強層を構成する熱可塑性樹脂は、針を刺したときに白化を生じない熱可塑性樹脂であってよい。
したがって、補強層を構成する熱可塑性樹脂としては、ハードセグメントを含む連続相とソフトセグメントを含む分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構造を有する熱可塑性樹脂、及びフィラーを含有する熱可塑性樹脂は、採用しないことが好ましい。
補強層の材料として使用される熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル系樹脂、オレフィン-アクリルモノマー共重合体、その他の有機重合体等であってよい。ポリエチレンは、例えば、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等であってよい。ポリプロピレンは、例えば、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン等であってよい。ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等であってよい。アクリル系樹脂は、例えば、ポリメチルメタクリレート等であってよい。オレフィン-アクリルモノマー共重合体は、例えば、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMAC)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)等であってよい。その他の有機重合体は、例えば、ポリ塩化ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エラストマー等であってよい。
補強層の材料として、オレフィン-アクリルモノマー共重合体を用いると、針刺検知用シートに針を刺して針刺孔が形成されたときに、白化樹脂層のうちの針刺孔の周囲が白化するのみならず、補強層において、針刺孔を中心として放射状の亀裂が生じる現象が見られ、針刺孔の視認性向上の面から好ましい。
一方で、補強層の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等を用いると、針刺検知用シートの耐熱性(耐熱形状維持性)が高くなるため、好ましい。
補強層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、1μm以上、3μm以上、5μm以上、10μm以上、15μm以上、20μm以上、25μm以上、又は30μm以上であってよく、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、120μm以下、又は100μm以下であってよい。
〈白化樹脂層及び補強層の着色〉
本発明の針刺検知用シート中の白化樹脂層及び補強層は、それぞれ、着色されていなくてよいし、着色されていてもよい。
白化樹脂層若しくは補強層、又はこれらの双方が着色されていると、針を刺したときに形成される針刺孔の周囲の白化領域を視覚的に目立つようにさせることができ、針刺孔の視認性をより高めることができる。また、白化樹脂層又は補強層の色を、容器内容物の識別の標識として用いることができる。
しかしながら後述するように、本発明の針刺検知用シートの製造に使用する製造装置の管理上の観点からは、白化樹脂層及び補強層は着色されていないことが好ましい。このとき、針刺孔の視認性をより高めるためには、例えば、本発明の針刺検知用シートに後述の着色樹脂層を配置すればよい。
〈層間接着層〉
本発明の針刺検知用シートにおける層間接着層は、積層方向でこの層間接着層の両側に隣接する2層、例えば、白化樹脂層と剥離樹脂層、又は補強層と剥離樹脂層とを適当な粘着強さで接着させることにより、針刺検知用シートの積層構造を維持し、かつ、針刺検知用シートに針が刺されて針刺孔が形成されたときには、この層間接着層とその隣接層のうちの少なくとも一方との間のうちの、針刺孔の周囲を剥離させる機能を有する。
剥離を確実かつ効果的に起こすため、白化樹脂層又は補強層と剥離樹脂層との間の粘着強さは十分に低い必要がある。この観点から、白化樹脂層又は補強層と剥離樹脂層との間の粘着強さは、10.0N/10mm以下であり、8.0N/10mm以下、6.0N/10mm以下、4.0N/10mm以下、3.0N/10mm以下、又は2.0N/10mm以下であってよい。一方で、積層体である針刺検知用シートがその形状を維持すべき観点から、白化樹脂層又は補強層と剥離樹脂層との間の粘着強さは、0.8N/10mm以上、1.0N/10mm以上、1.2N/10mm以上、1.4N/10mm以上、又は1.5N/10mm以上であってよい。
粘着強さは、以下の方法により測定される。針刺検知用シートを幅10mmの短冊状にカットした試験片につき、市販の引張試験機を用いて、JIS Z 0237の引きはがし粘着力の測定方法に準拠して180°引きはがし粘着力を測定する。そして、得られた引きはがし粘着力の、変位量25mm~70mmの範囲の区間平均を、白化樹脂層又は補強層と剥離樹脂層との間の粘着強さとして採用する。
ここで、「白化樹脂層又は補強層と剥離樹脂層との間の粘着強さ」とは、
層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層を、白化樹脂層上に直接有する針刺検知用シートの場合には、白化樹脂層と剥離樹脂層との間の粘着強さを意味し;
層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層を、白化樹脂層上に補強層を介して有する針刺検知用シートの場合には、補強層と剥離樹脂層との間の粘着強さを意味する。
針刺検知用シートに針が刺されたときの針刺孔周囲の剥離領域は、針刺検知用シートの使用者が白化樹脂層側から観察したときに、針刺孔を視覚的に目立たせるためのものである。したがって、観察者にできるだけ近い層間で剥離が起こった方が、針刺孔を目立たせる効果は大きい。これを実現するために、例えば、層間接着層が白化樹脂層に直接積層され、白化樹脂層/層間接着層/剥離樹脂層の積層構造を有し、かつ、観察者が白化樹脂層側から観察する場合には、白化樹脂層と層間接着層との間が剥離してよい。一方、層間接着層が補強層を介して白化樹脂層に積層され、白化樹脂層/補強層/層間接着層/剥離樹脂層の積層構造を有し、かつ、観察者が白化樹脂層側から観察する場合には、補強層と層間接着層との間が剥離してよい。
この層間接着層に対して白化樹脂層又は補強層とは反対側に積層された隣接層(例えば、剥離樹脂層)と、層間接着層との間の粘着強さは、白化樹脂層又は補強層と、層間接着層との間の粘着強さよりも強くてよく、例えば、2.5N/10mm以上、3.0N/10mm以上、4.0N/10mm以上、又は5.0N/10mm以上であってよい。
このような層間接着層は、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びウレタン系粘着剤から選択される1種以上の粘着剤の層であってよい。これらの粘着剤には、任意的に例えば、粘着付与剤、架橋剤、軟化剤、充填剤等が含まれていてよい。粘着付与剤は、例えば、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、キシレン系樹脂等であってよい。
層間接着層は、着色されていなくてよいし、着色されていてもよい。層間接着層が着色されている場合、暗色に着色されていてよく、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等に着色されていてよい。着色された層間接着層のL値は、例えば、80以下であってよく、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
層間接着層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、1.0μm以上、1.5μm以上、2.0μm以上、又は2.5μm以上であってよく、例えば、3.0μm以下、2.5μm以下、又は2.0μm以下であってよい。
〈層間シーラント層〉
層間シーラント層については、後述の外部シーラント層についての記載を、そのまま参考にしてよい。
〈剥離樹脂層〉
剥離樹脂層は、本発明の針刺検知用シートに針が刺されたときに、層間接着層とともに針刺方向に伸び、層間接着層と隣接層との間の剥離を誘発するとともに、剥離が開始した後にも伸び続け、形成された剥離領域を拡張する機能を有する。
剥離及びその拡張を確実かつ効果的に起こすため、剥離樹脂層は十分な伸び率を有する必要がある。この観点から、剥離樹脂層の伸び率は、100%以上であり、150%以上、200%以上、250%以上、300%以上、又は350%以上であってよい。一方で、剥離樹脂層の伸び率が過度に高いと、針刺検知用シートの機械的強度が不足する場合がある。これを避ける観点から、剥離樹脂層の伸び率は、1,000%以下、800%以下、600%以下、550%以下、500%以下、450%以下、又は400%以下であってよい。
剥離樹脂層の伸び率は、具体的には、剥離樹脂層を幅15mmの短冊状にカットしたものを試験片とし、市販の引張試験機を用いて、JIS Z 0237に準拠して試験速度300mm/分にて引張試験を行い、その結果を下記数式(1)に代入することにより、算出される。剥離樹脂層の伸び率は、剥離樹脂層と層間接着層とが積層された状態で測定してもよい。
Figure 0007105560000001
このような剥離樹脂層は、例えば、熱可塑性樹脂、天然ゴム、合成ゴム等から選択される重合体の層であってよい。
熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-メチルアクリレート共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、エチレン-メチルメタクリレート共重合体、ポリ塩化ビニル等であってよい。合成ゴムは、例えば、ブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、クロロプレン系ゴム等であってよい。
剥離樹脂層は、着色されていなくてよいし、着色されていてもよい。剥離樹脂層が着色されている場合、暗色に着色されていてよく、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等に着色されていてよい。着色された剥離樹脂層のL値は、例えば、80以下であってよく、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
剥離樹脂層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、1μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、又は50μm以上であってよく、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、又は120μm以下であってよい。
剥離樹脂層としては、層間接着層と積層された状態で市販されているものを用いてもよい。剥離樹脂層及び層間接着層が、それぞれ本発明所定の要件を具備する限り、剥離樹脂層及び層間接着層の積層体として、例えば、粘着フィルム、粘着テープ等として市販されているものを用いてよい。粘着フィルムとしては、例えばマーキングフィルム等が挙げられる。粘着テープとしては例えばビニールテープ等が挙げられる。
〈着色樹脂層〉
本発明の針刺検知用シートにおいて任意的に用いられる着色樹脂層は、本発明の針刺検知用シートに針を刺したときに形成される針刺孔の周囲の白化領域を視覚的に目立つようにさせる機能を有する。
着色樹脂層の色は任意である。しかしながら、針を刺したときの針刺孔周囲の白化領域を視覚的に目立たせるとの着色樹脂層の機能を効果的に発現させる観点から、着色樹脂層は暗色に着色されていてよく、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等に着色されていてよい。
着色樹脂層が着色されている場合、着色樹脂層の表面のみが着色されていてもよく、着色樹脂層の内部まで着色されていてもよく、内部まで着色されている着色樹脂層の表面が別の又は同じ色で更に着色されていてもよい。
着色樹脂層のL値は、例えば、80以下であってよく、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
着色樹脂層は、例えば熱可塑性樹脂の層であってよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン(Ny)、ポリ塩化ビニル(PVC)等であってよい。ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等であってよい。ポリエチレンは、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等であってよく、ポリプロピレン(PP)は、例えば、ホモポリマーであっても、ランダム型又はブロック型のコポリマーであってもよく、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のフィルムを用いてもよい。
本発明の針刺検知用シートにおける着色樹脂層としては、市販品のカラーフィルムをそのまま用いてもよく、市販品の無色又は着色されたフィルムに印刷により着色された、印刷フィルムであってもよい。カラーフィルムは、例えば、LLDPE、LDPE、HDPE、PP、PET、PVC等に顔料を練り込んでフィルム状に形成されたフィルムであってよい。印刷フィルムは、例えば、PET、OPP、Ny等から構成されるフィルムの片面又は両面に、例えば、オフセットインキ、油性インキ、大豆油インキ、ベジタブルオイルインキ、UVインキ、LED-UVインキ、樹脂凸版(フレキソ)インキ、グラビアインキ、スクリーンインキ等を用いて適宜の印刷方法により着色されたものであってよい。
着色樹脂層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、1μm以上、3μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってよく、例えば、100μm以下、80μm以下、60μm以下、40μm以下、又は20μm以下であってよい。
〈外部シーラント層〉
本発明の針刺検知用シートにおいて任意的に用いられる外部シーラント層は、針刺検知用シートを、例えば輸液バッグ等のキャップに接着させる機能を有し、外部シーラント層を有する針刺検知用シートは、輸液バッグ等の保存時にキャップを保護するために用いることができる。また、この外部シーラント層がイージーピール性を有する場合には、輸液バッグ等の使用時に針刺検知用シートを容易に剥離可能とすることができる。針刺検知用シートの外部シーラント層とキャップとの接着は、例えば熱融着等であってよい。
外部シーラント層は、例えば熱可塑性樹脂の層であってよく、単層であっても多層から成る積層体であってもよい。
外部シーラント層を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等から選択される1種以上であってよい。
外部シーラント層は、着色されていなくてよいし、着色されていてもよい。
外部シーラント層が着色されていると、第1の樹脂層、層間接着層、又は第2の樹脂層が着色されている場合と同様に、針を刺したときに形成される針刺孔の周囲の剥離領域を視覚的に目立つようにさせることができ、針刺孔の視認性をより高めることができる。
外部シーラント層が着色されている場合、針を刺したときの針刺孔周囲の剥離領域を視覚的に目立たせる観点から、外部シーラント層は暗色に着色されていてよく、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等に着色されていてよい。着色された外部シーラント層のL値は、例えば、80以下であってよく、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
外部シーラント層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、又は80μm以上であってよく、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、又は120μm以下であってよい。
本発明の針刺検知用シートにおける外部シーラント層としては、いわゆる「イージーピールフィルム」、「イージーオープンフィルム」等の名称で市販されているものを使用してもよい。このような市販品としては、例えば、三井化学東セロ(株)製のCMPS、T.A.F.;DIC(株)製のDIFAREN;オカモト(株)製のショウレックス、東レフィルム加工(株)製のトレファンCF等が例示される。
〈外部接着層〉
本発明の針刺検知用シートにおいて任意的に用いられる外部接着層は、針刺検知用シートを、例えば輸液バッグ等のキャップに接着させる機能を有し、外部接着層を有する針刺検知用シートは、輸液バッグ等の保存時にキャップを保護するために用いることができる。また、この接着層により、輸液バッグ等の使用時に針刺検知用シートを剥離可能とできてもよい。
外部接着層は、層間接着層に関して上記に例示したものの中から適宜に選択された粘着剤の層であってよい。外部接着層を構成する粘着剤は、層間接着層と同じであってもよいし、相違していてもよい。
外部接着層は、着色されていなくてよいし、着色されていてもよい。接着層が着色されている場合、暗色に着色されていてよく、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等に着色されていてよい。着色された外部接着層のL値は、例えば、80以下であってよく、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
外部接着層の厚みは、例えば、1.0μm以上、1.5μm以上、2.0μm以上、又は2.5μm以上であってよく、例えば、3.0μm以下、2.5μm以下、又は2.0μm以下であってよい。
〈表面層〉
本発明の針刺検知用シートは、印字や印刷を施すための層として、任意的に表面層を有していてもよい。
〈針刺検知用シートの適用〉
本発明の針刺検知用シートは、例えば、蓋材等として使用することができ、特に、液体状医薬品入り容器の蓋材として有用である。
白化樹脂層及び補強層、並びに任意的に層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層を有し、かつ外部シーラント層及び外部接着層を有さない針刺検知用シートは、例えば、特許文献1(特開2011-78810号公報)及び特許文献2(特許第4904501号公報)に記載された輸液用キャップの「膜部」として使用してよい。
一方、白化樹脂層及び補強層、並びに任意的に層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層とともに、外部シーラント層又は外部接着層を有する針刺検知用シートは、例えば、輸液バッグのピール材等として使用してよい。このような針刺検知用シートを輸液バッグのピール材として使用する場合、針刺検知用シートは、輸液バッグのキャップに外部シーラント層又は外部接着層を介して貼付して使用される。針刺検知用シートを輸液バッグのキャップに貼付する方法は、例えば、ヒートシールであってよい。
〈針刺検知用シートの構成〉
本発明の針刺検知用シートの層構成について、以下に、図を参照しつつ具体例を挙げながら説明する。以下の説明において、各層は、本発明の針刺検知用シートを容器の蓋材として適用したときに、蓋の外側から容器の方向に向かう順に記載されている。
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層と、白化樹脂層の片面又は両面上の補強層とを有する。例えば、図2に示した針刺検知用シート(101)のように、蓋の外側から容器の方向に向かって、補強層(20)、及び白化樹脂層(10)をこの順で有していてよく;図3に示した針刺検知用シート(102)のように、白化樹脂層(10)、及び補強層(20)をこの順で有していてよく;又は図4に示した針刺検知用シート(103)のように、補強層(20)、白化樹脂層(10)、及び補強層(20)をこの順で有していてよい。
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層及び補強層の他に、更に着色樹脂層を有していてよい。着色樹脂層は、針刺しによって針刺孔周囲に形成される白化樹脂層の白化領域と、その他の領域とのコントラスト差を大きくし、針刺孔を視覚的に目立たせるためのものである。したがって、着色樹脂層は、白化樹脂層よりも容器側に配置することが効果的である。
具体的には例えば、図5に示した針刺検知用シート(104)のように、補強層(20)、白化樹脂層(10)、及び着色樹脂層(50)をこの順で有していてよく;
図6に示した針刺検知用シート(105)のように、白化樹脂層(10)、補強層(20)、及び着色樹脂層(50)をこの順で有していてよく;
図7に示した針刺検知用シート(106)のように、補強層(20)、白化樹脂層(10)、補強層(20)、及び着色樹脂層(50)をこの順で有していてよい。
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層及び補強層の他に、更に外部接着層又は外部シーラント層を有していてよい。外部接着層又は外部シーラント層は、本発明の針刺検知用シートを容器の蓋材として適用するときに、針刺検知用シートをキャップ等に接着させる機能を有する。したがって、外部接着層又は外部シーラント層は、針刺検知用シートの容器側最外層に配置することが効果的である。
具体的には例えば、図8に示した針刺検知用シート(107)のように、補強層(20)、白化樹脂層(10)、及び外部接着層又は外部シーラント層(60)をこの順に有していてよく;
図9に示した針刺検知用シート(108)のように、白化樹脂層(10)、補強層(20)、及び外部接着層又は外部シーラント層(60)をこの順に有していてよく;
図10に示した針刺検知用シート(109)のように、補強層(20)、白化樹脂層(10)、補強層(20)、及び外部接着層又は外部シーラント層(60)をこの順に有していてよい。
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層及び補強層の他に、着色樹脂層と、外部接着層又は外部シーラント層とを更に有し、針刺孔周囲の白化領域を視覚的に目立たせる効果と、針刺検知用シートを蓋材に適用するときの接着性とを併有するものとしてもよい。この場合でも、着色樹脂層は、白化樹脂層よりも容器側に配置することが効果的であり、外部接着層又は外部シーラント層は、針刺検知用シートの容器側最外層に配置することが効果的である。
具体的には例えば、図11に示した針刺検知用シート(110)のように、補強層(20)、白化樹脂層(10)、着色樹脂層(50)、及び外部接着層又は外部シーラント層(60)をこの順に有していてよく;
図12に示した針刺検知用シート(111)のように、白化樹脂層(10)、補強層(20)、着色樹脂層(50)、及び外部接着層又は外部シーラント層(60)をこの順に有していてよく;
図13に示した針刺検知用シート(112)のように、補強層(20)、白化樹脂層(10)、補強層(20)、着色樹脂層(50)、及び外部接着層又は外部シーラント層(60)をこの順に有していてよい。
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層の片面上に、直接又は補強層を介して、層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層をこの順に更に有していてよい。この場合、針刺検知用シートに針を刺して針刺孔を形成したときに、白化樹脂層又は補強層と剥離樹脂層との間の、針刺孔の周囲が剥離して、針刺孔の視認性が更に向上されたものとなる。したがって、層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層は、白化樹脂層よりも容器側に、この順で配置することが効果的である。
この態様の針刺検知用シートは、具体的には例えば、蓋の外側から容器の方向に向かって、補強層、白化樹脂層、層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層をこの順に有していてよく;
白化樹脂層、補強層、層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層をこの順に有していてよく;
補強層、白化樹脂層、補強層、層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層をこの順に有していてよく;
補強層、白化樹脂層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、及び着色樹脂層をこの順に有していてよく;
白化樹脂層、補強層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、及び着色樹脂層をこの順に有していてよく;
補強層、白化樹脂層、補強層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、及び着色樹脂層をこの順に有していてよく;
補強層、白化樹脂層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、及び外部接着層又は外部シーラント層をこの順に有していてよく;
白化樹脂層、補強層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、及び外部接着層又は外部シーラント層をこの順に有していてよく;
補強層、白化樹脂層、補強層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、及び外部接着層又は外部シーラント層をこの順に有していてよく;
補強層、白化樹脂層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、着色樹脂層、及び外部接着層又は外部シーラント層をこの順に有していてよく;
白化樹脂層、補強層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、着色樹脂層、及び外部接着層又は外部シーラント層をこの順に有していてよく;
補強層、白化樹脂層、補強層、層間接着層又は層間シーラント層、剥離樹脂層、着色樹脂層、及び外部接着層又は外部シーラント層をこの順に有していてよい。
上述したように、剥離樹脂層は着色されていてよい。この場合、剥離樹脂層の着色により、針刺孔の視認性は十分に高められているから、着色された剥離樹脂層の他に着色樹脂層を配置する必要はない。しかし、着色された剥離樹脂層、及び着色樹脂層の双方を有する針刺検知用シートも、本発明から除外されるものではない。
着色された剥離樹脂層を有する針刺検知用シートとして特に好ましくは、図14に示した針刺検知用シート(113)のように、補強層(20)、白化樹脂層(10)、補強層(20)、層間接着層又は層間シーラント層(30)、着色された剥離樹脂層(41)、及び外部接着層又は外部シーラント層(60)をこの順に有している場合である。
本発明の針刺検知用シートが擦過されることを保護する観点から、白化樹脂層に対して、針刺検知用シートを容器の蓋材としたときの蓋の外側方向(白化樹脂層に対して容器側とは反対の方向)に補強層を配置してよい。また、白化樹脂層の折り曲げ耐性を高める観点から、白化樹脂層の両面に補強層を配置してよい。
〈液体状医薬品入り蓋付き容器〉
本発明の液体状医薬品入り蓋付き容器は、
開口部を有する容器と、この容器中に収納された液体状医薬品と、この容器の開口部を密封する栓と、この栓を覆う蓋材とを有し、かつ、
蓋材が本発明の針刺検知用シートである。
容器は、例えば、ガラス製、合成樹脂製等であってよく、収納されている液体状医薬品の特性に応じて、適宜に選択されてよい。
栓は、容器の開口部を密閉し、かつ、針、特に注射針によって、針刺し及び貫通されることが可能な材料から構成されていてよく、例えば、ゴム栓等であってよい。
液体状医薬品入り蓋付き容器における蓋材の形態は、例えば、ピール材等であってよい。
《針刺検知用シートの製造方法》
本発明の針刺検知用シートは、原料樹脂をフィルム状に成形し、必要に応じて積層することにより、製造されてよい。
原料樹脂をフィルム状に成形するには、例えば、押出成形(Tダイ法、インフレーション法)、カレンダー成形、圧縮成形、射出成形等の適宜の方法を用いてよい。これらのうち押出成形が好ましく、特に押出インフレーション法、押出Tダイ法等の方法を採用してよい。
針刺検知用シートにおける各層を積層するには、熱ロール、熱プレス等を用いて各層間を融着させる方法、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いる方法、ドライラミネート法、押出ラミネート法等、共押出法によってよい。
本発明の針刺検知用シートの製造では、白化樹脂層と補強層とを、例えば共押出等によって一体的な積層体として形成し、白化樹脂層を保護したうえで後工程に供することが望まれる。本発明の針刺検知用シートをこのような方法によって製造することにより、白化樹脂層のハンドリング中に白化痕が形成されることを避けることができるため、製品歩留まりを向上することができ、好ましい。
〈実施例1〉
(針刺検知用シートの作製)
白化樹脂層として、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン(ブロックPP)(日本ポリプロ(株)製、品名「ノバテックPP BC6DRF」)のペレットをインフレーション製膜機により厚み50μmのフィルムに製膜したものを用いた。
補強層として、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)(日本ポリプロ(株)製、品名「ウィンテック WFX6」)のペレットをインフレーション製膜機により厚み50μmのフィルムに製膜したものを用いた。
着色樹脂層としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製、品名「E5100」、厚み12μm)の片面上に、グラビア印刷インキ(東洋インキ(株)製、品名「リオアルファR92墨」)を印刷したものを使用した。
外部シーラント層としては、イージーオープンフィルム(三井化学東セロ(株)製、品名「CMPS013C#30」)をそのまま使用した。
白化樹脂層の両面に、補強層を、それぞれ熱融着によって積層し、補強層/白化樹脂層/補強層の3層構成の積層体を得た。
上記3層構成の積層体の片面に、着色樹脂層及び外部シーラント層を順次にドライラミネートすることにより、実施例1の針刺検知用シートを作製した。
(針刺孔視認性の評価)
得られた針刺検知用シートに対して、注射針を白化樹脂層側の面から刺して、針刺検知用シートを貫通する直径0.80mmの針刺孔を形成した。針刺孔形成後の針刺検知用シート中の白化樹脂層について、針刺孔周囲の白化状態を調べた。また、針刺孔形成後の針刺検知用シートを、L値60のグレーのゴム栓の上面から1mm離れた位置に配置した。この状態で、両目視力0.7の観察者が針刺検知用シートの針刺孔を視認できるかどうかを、観察距離3mにて調べた。そして、白化樹脂層における針刺孔周囲の白化状態と、観察距離3mにおける針刺孔の視認状態とから、針刺検知用シートの針刺孔視認性を以下の基準で評価した。
白化樹脂層における針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化しており、かつ、針刺検知用シートの針刺孔が明確に確認できた場合:A
白化樹脂層における針刺孔周囲の白化の幅が0.2mm未満であり、かつ、針刺検知用シートの針刺孔が視認できなかった場合:C
注射針としては、テルモ(株)製の品名「NN-2138R」(ゲージ21G(0.80mm)、針長1+1/2インチ(38mm)、刃型R・B)、及び品名「NN-2725R」(ゲージ27G(0.40mm)、針長1+1/2インチ(38mm)、刃型R・B)の2種類を使用し、それぞれの評価結果を表1に示した。
(補強性の評価)
i)耐擦過性(引掻き評価)
耐擦過性の評価は、図15に示した試料を用いて行った。すなわち、得られた針刺検知用シート(114)を50mm×50mmの正方形状に切り出し、直径25mmφ、高さ29mmの円柱状のゴム栓(91)の円形面上に、円周状に塗布した接着剤(92)により固定した。
この試料のシートが固定されていない方のゴム栓末端部を治具で把持して固定した状態で、固定されたシートの略中央部を、10mm×10mm×150mmの金属製角柱の角で引掻いた。引掻き後のシートの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。評価結果は表1に示した。
シートの引掻き部に白線状の引掻き痕が形成されなかった場合:A
シートの引掻き部に白線状の引掻き痕が形成された場合:C
ii)耐折り曲げ性(握り込み評価)
耐折り曲げ性の評価は、耐擦過性の評価におけるのと同様の、50mm×50mmの正方形状シートを直径25mmφ、高さ29mmの円柱状のゴム栓上に接着剤により固定した試料を用いて行った。
この試料を、ゴム栓ごと手で包むように握り込んだ後のシートの状態を目視で観察し、以下の基準で評価した。評価結果は表1に示した。
シートの折り曲げ部に白線状の折り曲げ痕が形成されなかった場合:A
シートの折り曲げ部に白線状の折り曲げ痕が形成された場合:C
(耐熱性の評価)
耐熱性の評価は、耐擦過性の評価におけるのと同様の、50mm×50mmの正方形状シートを直径25mmφ、高さ29mmの円柱状のゴム栓上に接着剤により固定した試料を用いて行った。
この試料を、100℃の水中で40分間煮沸した後の状態を目視で観察し、以下の基準により評価した。評価結果は表1に示した。
針刺検知用シートに変形が見られなかった場合:A
針刺検知用シートは変形したが、シート面同士に融着が見られなかった場合:B
針刺検知用シートが変形し、シート面同士が融着した場合:C
〈実施例2~25〉
白化樹脂層、補強層、及び着色樹脂層の種類、並びに白化樹脂層と補強層との積層方法を、それぞれ、表1に記載のとおりとした他は、実施例1と同様にして針刺検知用シートを作製し、各種の評価を行った。なお、白化樹脂層の両面の補強層が異なる場合、着色樹脂層及び外部シーラント層は、表1の右側欄に記載した補強層の面上にラミネートした。評価結果は表1に示した。
〈実施例26~30〉
(針刺検知用シートの作製)
白化樹脂層及び補強層としてそれぞれ表1に記載のものを用い、白化樹脂層の片面に補強層をそれぞれ表1に記載の方法によって積層し、補強層/白化樹脂層の2層構成の積層体を得た。この2層構成の積層体の白化樹脂層側の面上に、表1に記載の着色樹脂層及び外部シーラント層を順次にドライラミネートすることにより、各針刺検知用シートを作製した。
(評価)
上記の各針刺検知用シートを用いて、実施例1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
〈実施例31~38〉
(針刺検知用シートの作製)
白化樹脂層及び補強層としてそれぞれ表1に記載のものを用い、白化樹脂層の片面に補強層をそれぞれ表1に記載の方法によって積層し、白化樹脂層/補強層の2層構成の積層体を得た。この2層構成の積層体の補強層側の面上に、表1に記載の着色樹脂層及び外部シーラント層を順次にドライラミネートすることにより、各針刺検知用シートを作製した。
(評価)
上記の各針刺検知用シートを用いて、実施例1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
〈参考例1~3〉
白化樹脂層としてそれぞれ表1に記載のものを用い、その片面上に、表1に記載の外部シーラント層をドライラミネートすることにより、各針刺検知用シートを作製し、実施例1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
〈比較例1及び2〉
白化樹脂層に代えて、それぞれ、表2に記載の樹脂層を用い、その片面上に、表2に記載の外部シーラント層をドライラミネートすることにより、各針刺検知用シートを作製し、実施例1と同様にして各種の評価を行った。評価結果は表2に示した。
〈実施例39〉
(針刺検知用シートの作製)
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)のペレット(東洋スチレン(株)製、品名「トーヨースチロールHI H700自然色」)を熱プレスして、厚み50μmのフィルムを作製し、これを白化樹脂層として用いた。
補強層として、ランダムポリプロピレン(ランダムPP)(日本ポリプロ(株)製、品名「ウィンテック WFX6」)のペレットをインフレーション製膜機により厚み50μmのフィルムに製膜したものを用いた。
白化樹脂層の両面に、補強層を、それぞれドライラミネートによって積層し、補強層/白化樹脂層/補強層の3層構成の積層体を得た。
更に、層間接着層及び剥離樹脂層として、黒色ビニールテープ(日東電工(株)製、電気絶縁用ビニールテープ、品名「No.21黒」、総厚み192μm、黒色軟質ポリ塩化ビニル基材(L値28)、ゴム系粘着剤)を用い、その粘着剤側を、上記3層構成の積層体の片側の補強層の面上に貼付して、補強層/白化樹脂層/補強層/層間接着層/剥離樹脂層の5層構成の積層体を得た。ここで、黒色ビニールテープの黒色軟質ポリ塩化ビニル基材が着色された剥離樹脂層として機能し、ゴム系粘着剤が層間接着層として機能する。
得られた5層構成の積層体のうち、剥離樹脂層となるテープ基材側の面に、外部シーラント層としてのイージーオープンフィルム(三井化学東セロ(株)製、品名「CMPS013C#30」)を接着剤により貼り付けることにより、補強層/白化樹脂層/補強層/層間接着層/剥離樹脂層/外部シーラント層の6層構成を有する針刺検知用シートを作製した。
〈剥離樹脂層の伸び率の測定〉
本実施例で使用した黒色ビニールテープの伸び率を、JIS Z 0237の伸びの測定方法に準拠して測定した。具体的には、次のとおりである。黒色ビニールテープを幅15mmの短冊状にカットしたものを試験片とした。測定装置として(株)東洋精機製作所製のストログラフVGS05Eを用い、上記試験片について試験速度300mm/分にて引張試験を行った。得られた結果を上記数式(1)に代入することにより、伸び率(%)を算出した。結果は表3に示した。
(粘着力の測定)
本実施例針刺検知用フィルムにおける黒色ビニールテープの補強層(ランダムPPフィルム)に対する粘着力を、JIS Z 0237の引きはがし粘着力の測定方法に準拠して、180°引きはがし粘着力として測定した。具体的には、次のとおりである。黒色ビニールテープを幅10mmの短冊状にカットし、ランダムPPフィルム上に圧着ローラーにより貼付したものを試験片とした。測定装置として(株)東洋精機製作所製のストログラフVGS05Eを用い、上記の試験片について、試験速度300mm/分にて180°引きはがし粘着力を測定した。そして、位量25mm~70mmの範囲の区間平均を、粘着力とした。結果は表3に示した。なお、本実施例では、引きはがしの際、補強層(ランダムPPフィルム)と層間接着層(黒色ビニールテープのゴム系粘着剤)との間が剥離した。
(針刺孔視認性の評価)
得られた針刺検知用シートに対して、注射針(テルモ(株)製、品名「NN-2138R」、ゲージ21G(0.80mm)、針長1+1/2インチ(38mm)、刃型R・B(Regular Bezel、刃面角度12°))を白化樹脂層側の面から刺して、針刺検知用シートを貫通する直径0.80mmの孔を形成した。針刺孔形成後の針刺検知用シートを、L値60のグレーのゴム栓の上面から1mm離れた位置に配置した。この状態で、両目視力0.7の観察者が、針刺検知用シートの針刺孔を視認できるかどうかを、観察距離3m及び5mにて調べ、各観察距離において以下の基準で評価した。結果は、表3に示した。
針刺検知用シートの針刺孔が明確に確認できた場合:A
針刺検知用シートの針刺孔が視認できなかった場合:C
上記のすべての評価結果は表3に示した。
〈実施例40〉
(針刺検知用シートの作製)
白化樹脂層として、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン(ブロックPP)(日本ポリプロ(株)製、品名「ノバテックPP BC6DRF」)のペレットをインフレーション製膜機により厚み50μmのフィルムに製膜したものを用い、白化樹脂層と補強層との積層を熱融着によった他は実施例39と同様にして、補強層/白化樹脂層/補強層の3層構成の積層体を得た。
更に、剥離樹脂層として、カラーフィルム(東京インキ(株)製、黒色カラーフィルム、品名「PEX 3286 BLACK 3S」)を用い、これを上記3層構成の積層体の片側の補強層の面上に、層間接着層としてのウレタン系接着剤を介して積層し、補強層/白化樹脂層/補強層/層間接着層/剥離樹脂層の5層構成の積層体を得た。
得られた5層構成の積層体のうち、剥離樹脂層となるカラーフィルム側の面に、実施例39と同様の外部シーラント層を接着剤により貼り付けることにより、補強層/白化樹脂層/補強層/層間接着層/剥離樹脂層/外部シーラント層の6層構成を有する針刺検知用シートを作製した。
(剥離樹脂層の伸び率の測定)
本実施例で使用したカラーフィルムの伸び率を、黒色ビニールテープの代わりに、当該カラーフィルムを幅15mmの短冊状にカットしたものを試験片として用いた他は、実施例39と同様にして測定した。結果は表3に示した。
(粘着力の測定)
本実施例の針刺検知用フィルムにおけるカラーフィルムの補強層(ランダムPPフィルム)に対する粘着力を、次のとおりに測定した。測定は、ウレタン系接着剤を介して当該カラーフィルムをランダムPPフィルム上に圧着ローラーにより貼付した後、幅10mmの短冊状にカットしたものを試験片として用いた他は、実施例39と同様にして行った。結果は表3に示した。なお、本実施例では、引きはがしの際、補強層(ランダムPPフィルム)と層間接着層(ウレタン系接着剤)との間が剥離した。
(補強性及び耐熱性の評価)
本実施例の針刺検知用シートにつき、実施例39と同様にして、針刺孔視認性、補強性(耐擦過性の引掻き評価及び耐折り曲げ性の握り込み評価)並びに耐熱性の評価を行った。
〈参考例4〉
黒色ビニールテープの代わりに青色クラフトテープ(ニチバン(株)製、品名「ハイクラフトテープ No.320WC青」、総厚み150μm、青色クラフト紙基材(L値60))を用いた他は、実施例39と同様にして、針刺検知用シートを作製し、各種の評価を行った。結果は表3に示した。
〈参考例5〉
(針刺検知用シートの作製)
白化樹脂層として、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)のペレット(東洋スチレン(株)製、品名「トーヨースチロールHI H700自然色」)を熱プレスして、厚み50μmのフィルムに製膜したものを用いた。
層間接着層及び剥離樹脂層として、黒色ビニールテープ(日東電工(株)製、電気絶縁用ビニールテープ、品名「No.21黒」、総厚み192μm、黒色軟質ポリ塩化ビニル基材(L値28)、ゴム系粘着剤)を用い、その粘着剤側を白化樹脂層に貼付して、白化樹脂層/層間接着層/剥離樹脂層の3層構成の積層体を得た。
得られた3層構成の積層体のうち、剥離樹脂層であるテープ基材側の面に、外部シーラント層としてのイージーオープンフィルム(三井化学東セロ(株)製、品名「CMPS013C#30」)を接着剤により貼り付けることにより、白化樹脂層/層間接着層/剥離樹脂層/外部シーラント層の4層構成の針刺検知用シートを作製した。
(剥離樹脂層の伸び率、補強性、及び耐熱性の評価)
上記の針刺検知用シートを用いて、実施例40と同様にして、剥離樹脂層の伸び率、補強性、及び耐熱性の評価を行った。評価結果は表3に示した。
(粘着力の測定)
本参考例の針刺検知用フィルムにおける黒色ビニールテープの白化樹脂層(HIPSフィルム)に対する粘着力を、次のとおりに測定した。測定は、当該黒色ビニールテープをHIPSフィルム上に圧着ローラーにより貼付したものを試験片として用いた他は、実施例39と同様にして行った。結果は表3に示した。なお、本実施例では、引きはがしの際、白化樹脂層(HIPSフィルム)と層間接着層(黒色ビニールテープのゴム系接着剤)との間が剥離した。
〈参考例6〉
(針刺検知用シートの作製)
白化樹脂層として、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン(ブロックPP)(日本ポリプロ(株)製、品名「ノバテックPP BC6DRF」)のペレットをインフレーション製膜機により厚み50μmのフィルムに製膜したものを用いた。
剥離樹脂層として、カラーフィルム(東京インキ(株)製、黒色カラーフィルム、品名「PEX 3286 BLACK 3S」)を用い、これを上記白化樹脂層の片面上に、層間接着層としてのウレタン系接着剤を介して積層し、白化樹脂層/層間接着層/剥離樹脂層の3層構成の積層体を得た。
得られた3層構成の積層体のうち、剥離樹脂層となるカラーフィルム側の面に、実施例39と同様の外部シーラント層を接着剤により貼り付けることにより、白化樹脂層/層間接着層/剥離樹脂層/外部シーラント層の4層構成を有する針刺検知用シートを作製した。
(剥離樹脂層の伸び率、補強性、及び耐熱性の評価)
上記の針刺検知用シートを用いて、実施例40と同様にして剥離樹脂層の伸び率、補強性、及び耐熱性の評価を行った。評価結果は表3に示した。
(粘着力の測定)
本参考例の針刺検知用フィルムにおけるカラーフィルムの白化樹脂層(ブロックPPフィルム)に対する粘着力を、次のとおりに測定した。測定は、ウレタン系接着剤を介して当該カラーフィルムをブロックPPフィルムフィルム上に圧着ローラーにより貼付した後、幅10mmの短冊状にカットしたものを試験片として用いた他は、実施例40と同様にして行った。結果は表3に示した。なお、本実施例では、引きはがしの際、白化樹脂層(ブロックPPフィルム)と層間接着層(ウレタン系接着剤)との間が剥離した。
なお表3には、上記参考例1及び2で得られた針刺検知用シートの補強性及び耐熱性の評価結果を再録するとともに、これらの針刺検知用シートについて実施例39と同様にして得られた針刺孔視認性の評価結果も合わせて示した。
Figure 0007105560000002
Figure 0007105560000003
Figure 0007105560000004
Figure 0007105560000005
Figure 0007105560000006
Figure 0007105560000007
表1~表3に示した各層を構成する材料の略称は、それぞれ以下の意味である。
[白化樹脂層]
ブロックPP:日本ポリプロ(株)製、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン、品名「ノバテックPP BC6DRF」のペレットをインフレーション製膜機により製膜したもの
HIPS:東洋スチレン(株)製、耐衝撃性ポリスチレン、品名「トーヨースチロールHI H700自然色」を熱プレスにより製膜したもの
ABS:デンカ(株)製、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、品名「デンカABSナチュラル」を熱プレスにより製膜したもの
3A/LDPE:ゼオライト(ユニオン昭和(株)製、品名「モレキュラーシーブス3A」)20質量部及び低密度ポリエチレン(東ソー(株)製、品名「ペトロセン190」)のペレット80質量部をバンバリーミキサーで混錬し、押出機でペレタイズした後、インフレーション製膜機により製膜したもの
[補強層]
ランダムPP:日本ポリプロ(株)製、メタロセン系ポリプロピレン、品名「ウィンテック WFX6」のペレットをインフレーション製膜機により製膜したもの
ホモPP:サンアロマー(株)製、ホモポリプロピレン、品名「サンアロマー PC412A」のペレットをインフレーション製膜機により製膜したもの
TPE:エクソンモービルジャパン(同)製、オレフィン系熱可塑性エラストマー、品名「SANTPRENE THERMOPLASTIC VULCANIZATE」のペレットを熱プレスにより製膜したもの
LLDPE:プライムポリマー(株)製、メタロセン系鎖状低密度ポリエチレン、品名「エボリューSP2520」をインフレーション製膜機により製膜したもの
PET:東洋紡(株)製、ポリエチレンテレフタレートフィルム、品名「E5100」
PP+PE:上記ランダムPP及びLDPE(東ソー(株)製、低密度ポリエチレン、品名「ペトロセン190」)を質量比1:1でドライブレンドし、インフレーション製膜機により製膜したもの
PMMA:三菱ケミカル(株)製、ポリメチルメタクリレート、品名「アクリペット」を熱プレスにより製膜したもの
[着色樹脂層又は着色された剥離樹脂層]
印刷フィルム:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東洋紡(株)製、品名「E5100」、厚み12μm)の片面上に、グラビア印刷インキ(東洋インキ(株)製、品名「リオアルファR92墨」)を印刷したもの
カラーフィルム:東京インキ(株)製、黒色カラーフィルム、品名「PEX 3286 BLACK 3S」
[外部シーラント層]
CMPS:三井化学東セロ(株)製、イージーオープンフィルム、品名「CMPS013C#30」
[樹脂層(比較例1及び2)]
ランダムPP:日本ポリプロ(株)製、メタロセン系ポリプロピレン、品名「ウィンテック WFX6」のペレットをインフレーション製膜機により製膜したもの
ホモPP:サンアロマー(株)製、ホモポリプロピレン、品名「サンアロマー PC412A」のペレットをインフレーション製膜機により製膜したもの
なお、表3中、参考例4の耐熱性評価における「*」とは、試験中にクラフト紙が膨潤して剥離したことを示す。
表2を参照すると、白化樹脂層を有さないシートは、注射針によって形成された針刺孔の視認性は極めて不十分であった。また、表1を参照すると、白化樹脂層を有するが補強層を有さない参考例1~3の針刺検知用シートでは、注射針によって形成された針刺孔の視認性には優れていたが、引掻き評価における耐擦過性、及び握り込み評価における耐折り曲げ性は、双方とも不十分であった。
これらに対して、表1に示したように、白化樹脂層の片面又は両面上に補強層を有する実施例1~38の針刺検知用シートでは、針刺孔の視認性に優れるとともに、耐擦過性若しくは耐折り曲げ性、又はこれらの双方にも優れていた。
なお、白化樹脂層としてブロックコポリマータイプのポリプロピレンを用いた針刺検知用シートは、耐熱性に特に優れる傾向がみられた(特に、実施例1~14及び28~35)。
また、補強層としてポリメチルメタクリレート(PMMA)の層を用いた実施例36~38の針刺検知用シートでは、白化樹脂層における針刺孔の周囲が単に白化するのみならず、補強層(PMMA層)において針刺孔を中心とする放射状(「*」の形状)の亀裂が生じる現象が見られ、その結果、針刺検知用シートの針刺孔の視認性が特に高かった。
表3を参照すると、参考例1及び2の針刺検知用シートでは、白化樹脂層のうちの針刺孔の周囲が幅約0.3mmの範囲で白化しており、両目視力0.7の観察者が、観察距離3mでは針刺孔を明確に視認することができたが、観察距離5mでは針刺孔を視認することができなかった。
また、剥離樹脂層としてクラフト紙(伸び率15%)の層を使用した参考例4の針刺検知用シートでは、HIPSフィルム(白化樹脂層)における針刺孔の周囲が幅約0.3mmの範囲で白化して、孔の存在が強調されており、両目視力0.7の観察者が観察距離3mにて針刺孔を視認することができた。しかし、観察距離5mでは、同じ観察者が針刺孔を視認することはできなかった。
これらに対して、表3に示したように、実施例39及び40、並びに参考例5及び6の針刺検知用シートでは、白化樹脂層のうちの針刺孔の周囲が幅約0.3mmの範囲で白化するとともに、針刺孔の近傍周囲にて白化樹脂層又は補強層と層間接着層との間が幅約0.9mmの範囲で剥離しており、針刺後の針刺検知用シートを白化樹脂層側(外部シーラント層の反対側)から観察したときに、剥離樹脂層の黒色が剥離領域において白っぽく見えていた。これにより、針刺孔の存在が更に強調され、両目視力0.7の観察者が、観察距離3m及び5mの双方で針刺孔を明確に視認することができた。
実施例39及び40、並びに参考例5及び6の針刺検知用シートでは、剥離樹脂層の伸び率が100%以上であり、針刺によって剥離樹脂層が十分に伸びることが可能であったため、白化樹脂層又は補強層と層間接着層との間が広い幅で剥離したものと考えられる。そしてこのことにより、当該剥離領域において、着色樹脂層の色が白っぽく観察されることとなり、そのために針刺孔の存在が更に強調されたものと考えられる。
10 白化樹脂層
20 補強層
30 層間接着層又は層間シーラント層
40 剥離樹脂層
41 着色された剥離樹脂層
50 着色樹脂層
60 外部接着層又は外部シーラント層
70 針刺孔
80 白化領域
91 ゴム栓
92 接着剤
100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114 針刺検知用シート

Claims (19)

  1. 開口部を有する容器と、前記容器中に収納された液体状医薬品と、前記容器の前記開口部を密封する栓と、前記栓を覆う蓋材とを有する液体状医薬品入り蓋付き容器であって、
    前記蓋材は、白化樹脂層と、前記白化樹脂層の片面又は両面上の補強層と、を有する針刺検知用シートから成り、
    前記白化樹脂層は、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構造を有し、注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が白化する樹脂層である、
    液体状医薬品入り蓋付き容器。
  2. 前記ハードセグメントは、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン、及びアクリロニトリル-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上を含み、かつ
    前記ソフトセグメントは、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、及び非晶性ポリオレフィンより成る群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  3. 開口部を有する容器と、前記容器中に収納された液体状医薬品と、前記容器の前記開口部を密封する栓と、前記栓を覆う蓋材とを有する液体状医薬品入り蓋付き容器であって、
    前記蓋材は、白化樹脂層と、前記白化樹脂層の片面又は両面上の補強層と、着色樹脂層と、を有する針刺検知用シートから成り、
    前記白化樹脂層は、注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が白化する樹脂の層であり、
    前記補強層、前記白化樹脂層、及び前記着色樹脂層の順、
    前記白化樹脂層、前記補強層、及び前記着色樹脂層の順、又は
    前記補強層、前記白化樹脂層、前記補強層、及び前記着色樹脂層の順
    に積層されている、
    液体状医薬品入り蓋付き容器。
  4. 開口部を有する容器と、前記容器中に収納された液体状医薬品と、前記容器の前記開口部を密封する栓と、前記栓を覆う蓋材とを有する液体状医薬品入り蓋付き容器であって、
    前記蓋材は、白化樹脂層と、前記白化樹脂層の片面又は両面上の補強層と、外部接着層又は外部シーラント層と、を有する針刺検知用シートから成り、
    前記白化樹脂層は、注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が白化する樹脂の層であり、
    前記補強層、前記白化樹脂層、及び前記外部接着層又は外部シーラント層の順、
    前記白化樹脂層、前記補強層、及び前記外部接着層又は外部シーラント層の順、又は
    前記補強層、前記白化樹脂層、前記補強層、及び前記外部接着層又は外部シーラント層の順
    に積層されている、
    液体状医薬品入り蓋付き容器。
  5. 開口部を有する容器と、前記容器中に収納された液体状医薬品と、前記容器の前記開口部を密封する栓と、前記栓を覆う蓋材とを有する液体状医薬品入り蓋付き容器であって、
    前記蓋材は、白化樹脂層と、前記白化樹脂層の片面又は両面上の補強層と、着色樹脂層と、外部接着層又は外部シーラント層と、を有する針刺検知用シートから成り、
    前記白化樹脂層は、注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が白化する樹脂の層であり、
    前記補強層、前記白化樹脂層、前記着色樹脂層、及び前記外部接着層又は外部シーラント層の順、
    前記白化樹脂層、前記補強層、前記着色樹脂層、及び前記外部接着層又は外部シーラント層の順、又は
    前記補強層、前記白化樹脂層、前記補強層、前記着色樹脂層、及び前記外部接着層又は外部シーラント層の順
    に積層されている、
    液体状医薬品入り蓋付き容器。
  6. 前記白化樹脂層は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する樹脂層である、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  7. 前記着色樹脂層のL値が75以下である、請求項又はに記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  8. 前記針刺検知用シートは、前記白化樹脂層の片面上に、直接又は前記補強層を介して、層間接着層又は層間シーラント層、及び剥離樹脂層を、この順に更に有し、
    前記針刺検知用シートに、注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記白化樹脂層又は前記補強層と前記剥離樹脂層との間の前記針刺孔の周囲が剥離する、
    請求項1~のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  9. 前記針刺検知用シートに、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記白化樹脂層又は前記補強層と前記剥離樹脂層との間の前記針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で剥離する、請求項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  10. 前記剥離樹脂層は、JIS Z 0237に準拠して、試験速度300mm/分にて測定した伸び率が100%以上であり、かつ、
    前記白化樹脂層又は前記補強層と前記剥離樹脂層との間の粘着強さは、JIS Z 0237に準拠して、引きはがし角度180°にて測定したときに、1.0N/10mm以上10.0N/10mm以下である、
    請求項又はに記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  11. 前記剥離樹脂層は、熱可塑性樹脂、天然ゴム、及び合成ゴムから選択される重合体の層である、請求項10のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  12. 前記剥離樹脂層が着色されている、請求項11のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  13. 前記剥離樹脂層のL値が75以下である、請求項12に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  14. 前記白化樹脂層は、耐衝撃性ポリスチレン、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上の樹脂の層であり、
    前記ブロックコポリマータイプのポリプロピレンは、ハードセグメントとしてポリプロピレンを含む連続相中に、ソフトセグメントとして非晶性ポリエチレンを含む分散相を有し、これら連続相と分散相との界面に、相溶化剤としてのエチレン-プロピレンゴムを有する構造である、
    請求項1~13のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  15. 前記白化樹脂層は、ブロックコポリマータイプのポリプロピレンの層である、請求項1~14のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  16. 前記白化樹脂層は、耐衝撃性ポリスチレンの層である、請求項1~14のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  17. 前記白化樹脂層は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体の層である、請求項1~14のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  18. 前記補強層は、針を刺したときに白化を生じない熱可塑性樹脂の層である、請求項1~17のいずれか一項に記載の
    液体状医薬品入り蓋付き容器。
  19. 前記補強層は、鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ランダムポリプロピレン、ホモポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルメタクリレート、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMAC)、エチレン-メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、ポリ塩化ビニル、又はエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)の層である、請求項1~18のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
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