JP7105559B2 - 液体状医薬品入り蓋付き容器 - Google Patents

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Description

本発明は、針刺検知用シート、特に針刺検知用蓋材に関する。
輸液、注射液等の液体状の医薬品は、例えば、開口部にゴム栓を嵌合したキャップを有する容器中に保管されることがある。キャップのゴム栓上には、例えば、保管中のゴム栓の汚染防止、未使用品であることの表示等の目的で、ピール材が貼付されることがある。このような容器中の医薬品は、ゴム栓上のピール材を剥がしたうえで、ゴム栓に注射針を刺して使用される。
しかし、使用方法を誤って、又は医薬品中に異物を故意に混入させるために不正に、ピール材を剥がさずに、ピール材を通してゴム栓に針、典型的には注射針が刺される場合があり得る。このような場合、ピール材を通して針を刺すことは、本来想定されていないため、ピール材に針が刺されたか否かの判別は困難であった。
特許文献1及び2は、それぞれ、注射針の跡が残る輸液用キャップに関し、熱可塑性樹脂の外枠体に熱可塑性エラストマーの栓体を内設した構造を有する輸液用キャップが記載されている。この輸液用キャップでは、栓体の針刺面と最大5mmの隙間を空けて、栓体の針刺面を覆うように、厚み1.0mm以下の熱可塑性樹脂の膜部が配置されている。
特許文献3は、上方から見たときに内部の薬液を特定することができ、かつ内部の薬液が使用されているか否かを識別できる薬用瓶の蓋に関する。この特許文献3には、ゴム栓によって瓶口が閉塞された薬用瓶に装着される薬用瓶の蓋であって、金属薄板から成る口金と、口金の内側に嵌合する合成樹脂製の蓋体との組み合わせから成る、薬用瓶の蓋が記載されている。この蓋では、口金は周胴部上面に頂面板を有する逆有底円筒状に形成され、口金の頂面板は中央部に透孔が穿設されている。更に、蓋体の上面は口金の頂面板の透孔に嵌合可能であり、透孔に嵌合する部分の一部は肉薄に形成され、かつその肉薄部分の下面は、薬用瓶の瓶口を閉塞しているゴム栓の上面と当接しない形状に形成されている。
特開2011-78810号公報 特許第4904501号公報 特開平10-310154号公報
本発明の目的は、使用方法を誤って、又は不正に注射針等の針が刺された場合に、針刺孔が視覚的に強調された外観で残り、針刺履歴の有無が容易かつ確実に判断できるシートを提供することである。
本発明は、以下のとおりのものである。
〈態様1〉針刺検知用シートであって、
白化樹脂層を有し、
上記白化樹脂層は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、上記針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する樹脂層である、
針刺検知用シート。
〈態様2〉上記白化樹脂層は、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂の層である、〈態様1〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様3〉上記ハードセグメントは、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン、及びアクリロニトリル-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上を含み、かつ
上記ソフトセグメントは、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、及び非晶性ポリオレフィンより成る群から選択される1種以上を含む、〈態様2〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様4〉上記白化樹脂層は、耐衝撃性ポリスチレン、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上の樹脂の層である、〈態様1〉~〈態様3〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様5〉上記白化樹脂層は、ブロックコポリマータイプのポリプロピレンの層である、〈態様1〉~〈態様3〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様6〉上記白化樹脂層が着色されている、〈態様1〉~〈態様5〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様7〉上記白化樹脂層のL値が75以下である、〈態様6〉記載の針刺検知用シート。
〈態様8〉上記白化樹脂層に積層されているシーラント層又は接着層を更に有する、〈態様1〉~〈態様7〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様9〉上記シーラント層又は接着層が着色されている、〈態様8〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様10〉上記シーラント層又は接着層のL値が75以下である、〈態様9〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様11〉上記白化樹脂層に積層されている着色樹脂層を更に有する、〈態様1〉~〈態様7〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様12〉着色樹脂層を更に有し、上記白化樹脂層、上記着色樹脂層、及び上記シーラント層又は接着層の順に積層されている、〈態様8〉~〈態様10〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様13〉上記着色樹脂層のL値が75以下である、〈態様11〉又は〈態様12〉に記載の針刺検知用シート。
〈態様14〉蓋材である、〈態様1〉~〈態様13〉のいずれか一項に記載の針刺検知用シート。
〈態様15〉開口部を有する容器と、前記容器中に収納された液体状医薬品と、前記容器の前記開口部を密封する栓と、前記栓を覆う蓋材とを有する液体状医薬品入り蓋付き容器であって、
前記蓋材が〈態様14〉に記載の針刺検知用シートである、液体状医薬品入り蓋付き容器。
本発明の針刺検知用シートは、使用方法を誤って、又は不正に注射針等の針が刺された場合に、針刺孔が視覚的に強調された外観で残り、針刺履歴の有無を容易かつ確実に判断できるものである。本発明の特別の態様による針刺検知用シートは、針を刺すことが本来は想定されていない部位、例えば輸液バッグのピール材等に適用することができ、針刺履歴の有無を容易かつ確実に判断できるものである。
図1は、本発明の針刺検知用シートの効果を説明するための概略斜視図である。 図2は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の一例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の別の一例を示す概略断面図である。 図4は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図5は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図6は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図7は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図8は、本発明の針刺検知用シートの積層構造の更に別の一例を示す概略断面図である。 図9は、実施例で使用した評価試料の形状を示す概略斜視図である。
《針刺検知用シート》
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層を有し、この白化樹脂層は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する樹脂層である。注射針の刃型「R・B」とは、刃面が通常の長さであることを意味する「Regular Bevel」の略であり、針先の角度は約12°である。
図1に、本発明の針刺検知用シートに針を刺して針刺孔を形成したときの状態を、模式的に表す概略斜視図を示す。
図1の針刺検知用シート(100)は、白化樹脂層(10)及び他の層(15)を有する。なお、本発明の針刺検知用シートでは他の層(15)の存在は任意である。他の層(15)は、単層であってもよいし、2層以上から成っていてもよい。
図1の針刺検知用シート(100)中の白化樹脂層(10)は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する特性を有する。
このような白化樹脂層(10)を有する図1の針刺検知用シート(100)に、針が刺されて針刺孔(40)が形成されると、白化樹脂層(10)のうちの針刺孔(40)の周囲が白化して、白化領域(50)が形成される。したがって、針刺孔(40)は、周囲の白化領域(50)によって視覚的に強調された外観を呈する。これにより、図1の針刺検知用シート(100)では、針刺履歴の有無を、使用者が容易かつ確実に知ることができる。
本発明の針刺検知用シートは、白化樹脂層の他に、他の層として、着色樹脂層と、シーラント層又は接着層とから選択される1つ以上の層を更に有していてよい。
以下、本発明の針刺検知用シート中の各層について、説明する。
〈白化樹脂層〉
本発明の針刺検知用シートにおける白化樹脂層は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する特性を有する。
この白化樹脂層の白化特性は、樹脂が塑性変形されたときに白化する現象によると考えられる。理論に拘束されるものではないが、樹脂の塑性変形に伴う白化は、樹脂中のクレーズ(craze)構造の形成、樹脂中のフィラーの介在による空隙の形成等に起因すると考えられる。
樹脂は、例えば折り曲げられて塑性変形する際に、クレーズ構造を形成することがある。クレーズ構造は、塑性変形の際に樹脂の分子鎖が主応力方向に引き伸ばされて配向した配向鎖と、分子鎖の配向に伴って発生した微小なボイドとから成る構造体である。クレーズ構造が形成された部分は、光を散乱するから白く見える。
層状の樹脂に針を刺したときにも、針刺方向を主応力方向として分子鎖が引き伸ばされることにより、配向鎖と微小なボイドとから成るクレーズ構造を形成し得る。
一方、樹脂のマトリクス中にフィラーを含むフィラー含有樹脂の場合、例えば折り曲げられたときに、樹脂のマトリクスは塑性変形するがフィラーは変形しないことにより、両者の変位量に差が生じて分離し、両者の界面に空隙が形成されることがある。このようなフィラー含有樹脂の空隙は、光を散乱するから白く見える。
フィラー含有樹脂の層に針を刺したときにも、針刺方向を主応力方向として分子鎖が引き伸ばされて塑性変形することにより、樹脂マトリクスとフィラーとの間に空隙を形成し得る。
このような機構により、白化樹脂層に針を刺して針刺孔を形成したときに、針刺孔の周囲が白化すると推察される。
上記いずれの場合であっても、白化樹脂層に、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときの、針刺孔周囲の白化領域の幅は、針刺孔の視認性を十分に高くする観点から、0.2mm以上であり、0.3mm以上、0.4mm以上、又は0.5mm以上であってよい。また、視認性を高くする観点からは、針刺孔周囲の白化領域の幅は、1.0mm以下でよく、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、又は0.6mm以下であってよい。
白化樹脂層は、針刺孔を形成する注射針の直径が、例えば0.6mm又は0.4mmであった場合でも、針刺孔の周囲が白化する特性を有していてよい。この場合、針刺孔周囲の白化領域の幅は、例えば、0.2mm以上、0.3mm以上、0.4mm以上、又は0.5mm以上であってよく、例えば、1.0mm以下、0.9mm以下、0.8mm以下、0.7mm以下、又は0.6mm以下であってよい。
白化樹脂層は、上記のような白化特性を有する限り、その構造は任意である。しかしながら白化樹脂層は、例えば、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構造を有する樹脂の層(以下、「海島型白化樹脂層」ともいう。)であってよく、又はフィラーを含有する樹脂の層(以下、「フィラー含有型白化樹脂層」ともいう。)であってよい。
白化樹脂層が海島型白化樹脂層であるときのハードセグメントは、例えば、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、結晶性ポリジエン、結晶性ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド等から選択される1種以上を含んでいてよい。結晶性ポリオレフィンは、例えば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン等であってよい。結晶性ポリジエンは、例えば、シンジオ-1,2-ポリブタジエン、トランス-1,4-ポリイソプレン等であってよい。
ハードセグメントは、特に、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン、及びアクリロニトリル-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上を含んでいてよい。
ソフトセグメントは、例えば、非晶性ポリオレフィン、非晶性ポリジエン系ゴム、非晶性ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエーテル等から選択される1種以上を含んでいてよい。非晶性ポリオレフィンは、例えば、低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、水添ブタジエンゴム、水添イソプレンゴム等であってよい。非晶性ポリジエン系ゴムは、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム等であってよい。
ソフトセグメントは、特に、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、及び非晶性ポリオレフィンより成る群から選択される1種以上を含んでいてよい。
海島型白化樹脂層を構成する樹脂は、ハードセグメントとソフトセグメントとが共有結合によって結合している共重合体であってよく、又は、ハードセグメントとソフトセグメントとが別個の高重合体分子として存在しているブレンド物であってよい。また、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相との間の界面張力を制御して分散相の粒径を調節するための相溶化剤を、更に含有していてよい。相溶化剤とは、例えば、ハードセグメントを構成する樹脂と同種の重合体鎖を有するブロックと、ソフトセグメントを構成する樹脂と同種の重合体鎖を有するブロックとから構成される、ブロック共重合体、グラフト共重合体等であってよい。
海島型白化樹脂層は、具体的には例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン(ブロックPP)、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)より成る群から選択される1種以上の樹脂の層であってよい。
HIPSは、ハードセグメントとしてポリスチレンを含む連続相中に、ソフトセグメントとして非晶性ポリジエン及び非晶性ポリオレフィンから選択される1種以上を含む分散相を有する構成であってよい。ブロックPPは、ハードセグメントとしてポリプロピレンを含む連続相中に、ソフトセグメントとして非晶性ポリエチレンを含む分散相を有し、これら連続相と分散相との界面に、相溶化剤としてのエチレン-プロピレンゴムを有する構造であってよい。ABSは、ハードセグメントとしてアクリロニトリル-スチレン共重合体を含む連続相中に、ソフトセグメントとしてブタジエンゴム及びスチレン-ブタジエンゴムから選択される1種以上を含む分散相を有する構成であってよい。
白化樹脂層としてブロックPPを用いると、得られる針刺検知用シートの耐熱性(耐熱形状維持性)が高くなるため、煮沸又は高温による殺菌を行う医薬、食品等の用途への適用に好適である。
ブロックPPを用いたときに耐熱性が高くなる理由について、本発明者らは、樹脂のガラス転移温度Tg若しくは融点mp、又はこれらの双方が関係しているのではないかと推察している。すなわち、ブロックPPのTgは約0℃に現れ、mpは150~160℃程度に現れる。そのためブロックPPは、医薬、食品用途における殺菌又は滅菌の代表温度である100~130℃程度の温度で相変化を伴わず、したがって、白化樹脂層としてブロックPPを用いた針刺検知用シートの耐熱性が向上すると推察される。なお、本発明は、理論に拘束されるものではない。
白化樹脂層がフィラー含有型白化樹脂層であるとき、樹脂のマトリクス中にフィラーが分散された構造を有していてよい。
フィラー含有型白化樹脂層のマトリクスを構成する樹脂は、熱可塑性樹脂等であってよく、具体的には例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン触媒によるポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-エチレンランダム共重合体、メタロセン触媒によるポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、飽和ポリエステル、エチレン-アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン-メチルアクリレート共重合体(EMAC)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、カルボン酸変性ポリエチレン、カルボン酸変性ポリプロピレン、カルボン酸変性EVA、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、熱可塑性エラストマー等を挙げることができ、これらから選択される1種、又は2種以上の組み合わせであってよい。
フィラーは、樹脂の透明性を損なわず、かつ針刺しによって白化樹脂層を白化させる機能を有するものであってよい。フィラーとして、具体的に例えば、モレキュラーシーブ(親水性ゼオライト)3A、4A、5A、13X等の他、シリカ、ポーラスシリカ等を挙げることができ、これらから選択される1種、又は2種以上の組み合わせであってよい。これらのうちモレキュラーシーブは、吸水によって透明となるため、煮沸又は高温水蒸気によるレトルト殺菌を行う医薬、食品等の用途への適用に好適である。
フィラーは、粒子状であってよく、その粒径は、例えば10μm以下であってよい。
フィラー含有型白化樹脂層中のフィラーの含有割合は、白化樹脂層の全質量を基準として、例えば、1質量%以上、5質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上であってよく、例えば、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、又は40質量%以下であってよい。
海島型白化樹脂層及びフィラー含有型白化樹脂層の双方について、白化樹脂層は、着色されていなくてよいし、着色されていてもよい。
白化樹脂層が着色されていると、針を刺したときに形成される針刺孔の周囲の白化領域を視覚的に目立つようにさせることができ、針刺孔の視認性をより高めることができる。また、白化樹脂層の色を、容器内容物の識別の標識として用いることができる。
白化樹脂層が着色されている場合、その色は任意である。しかしながら、針刺孔の周囲の白化領域を視覚的に目立たせるとの観点から、白化樹脂層は暗色に着色されていてよい。この場合の暗色は、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等であってよい。
白化樹脂層が着色されている場合、白化樹脂層の表面のみが着色されていてもよく、白化樹脂層の内部まで着色されていてもよく、内部まで着色されている白化樹脂層の表面が別の又は同じ色で更に着色されていてもよい。
着色された白化樹脂層のL値は、例えば、80以下であってよく、特に、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。このL値は、白化樹脂層の色を、CIE(Commission Internationale de l’Eclairage:国際照明委員会)が策定した「CIE L(CIELAB)色空間」の座標で表したときの、明度Lの値を意味する。このL値は、低い方がより暗い色であることを示し、完全な黒がL値0、白の拡散光がL値100として表現される。L値は、市販の光電色彩計を用いて、JIS Z8722準拠の方法により、D50光源を用いて観測視野角2°にて測定される値である。
白化樹脂層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、又は80μm以上であってよく、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、又は120μm以下であってよい。
〈シーラント層〉
本発明の針刺検知用シートにおいて任意的に用いられるシーラント層は、針刺検知用シートを、例えば輸液バッグ等のキャップに接着させて、輸液バッグ等の保存時にキャップを保護することができる。また、このシーラント層がイージーピール性を有する場合には、輸液バッグ等の使用時に針刺検知用シートを容易に剥離可能とすることができる。針刺検知用シートのシーラント層とキャップとの接着は、例えば熱融着等であってよい。
シーラント層は、例えば熱可塑性樹脂の層であってよく、単層であっても多層から成る積層体であってもよい。
シーラント層を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等から選択される1種以上であってよい。
シーラント層は、着色されていなくてよいし、着色されていてもよい。
シーラント層が着色されていると、白化樹脂層が着色されている場合と同様に、針を刺したときに形成される針刺孔の周囲の白化領域を視覚的に目立つようにさせることができ、針刺孔の視認性をより高めることができる。
シーラント層が着色されている場合、針を刺したときの白化樹脂層の針刺孔周囲の白化領域を視覚的に目立たせる観点から、シーラント層は暗色に着色されていてよく、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等に着色されていてよい。シーラント層が着色されている場合、シーラント層の表面のみが着色されていてもよく、シーラント層の内部まで着色されていてもよく、内部まで着色されているシーラント層の表面が別の又は同じ色で更に着色されていてもよい。
着色されたシーラント層のL値は、例えば、80以下であってよく、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
シーラント層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、又は80μm以上であってよく、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、又は120μm以下であってよい。
本発明の針刺検知用シートにおけるシーラント層としては、いわゆる「イージーピールフィルム」、「イージーオープンフィルム」等の名称で市販されているものを使用してもよい。このような市販品としては、例えば、三井化学東セロ(株)製のCMPS、T.A.F.;DIC(株)製のDIFAREN;オカモト(株)製のショウレックス、東レフィルム加工(株)製のトレファンCF等が例示される。
〈接着層〉
本発明の針刺検知用シートにおいて任意的に用いられる接着層は、針刺検知用シートを、例えば輸液バッグ等のキャップに接着させて、輸液バッグ等の保存時にキャップを保護することができる。また、この接着層により、輸液バッグ等の使用時に針刺検知用シートを剥離可能とできてもよい。
接着層は、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びウレタン系粘着剤から選択される1種以上の粘着剤の層であってよい。これらの粘着剤には、任意的に例えば、粘着付与剤、架橋剤、軟化剤、充填剤等が含まれていてよい。粘着付与剤は、例えば、フェノール系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂、キシレン系樹脂等であってよい。
接着層は、着色されていなくてよいし、着色されていてもよい。接着層が着色されている場合、暗色に着色されていてよく、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等に着色されていてよい。
着色された接着層のL値は、例えば、80以下であってよく、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
接着層の厚みは、例えば、1.0μm以上、1.5μm以上、2.0μm以上、又は2.5μm以上であってよく、例えば、3.0μm以下、2.5μm以下、又は2.0μm以下であってよい。
〈着色樹脂層〉
本発明の針刺検知用シートにおいて任意的に用いられる着色樹脂層は、本発明の針刺検知用シートに針を刺したときに形成される針刺孔の周囲の白化領域を視覚的に目立つようにさせる機能を有する。
着色樹脂層の色は任意である。しかしながら、針を刺したときの白化樹脂層の針刺孔周囲の白化領域を視覚的に目立たせるとの着色樹脂層の機能を効果的に発現させる観点から、着色樹脂層は暗色に着色されていてよく、例えば、黒色、墨色、青色、赤色、緑色、紫色、茶色、紺色、橙色等に着色されていてよい。
着色樹脂層が着色されている場合、着色樹脂層の表面のみが着色されていてもよく、着色樹脂層の内部まで着色されていてもよく、内部まで着色されている着色樹脂層の表面が別の又は同じ色で更に着色されていてもよい。
着色樹脂層のL値は、例えば、80以下であってよく、75以下、70以下、60以下、50以下、40以下、又は30以下であってよい。
着色樹脂層は、例えば熱可塑性樹脂の層であってよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等であってよい。ポリエチレンは、例えば、低密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等であってよく、ポリプロピレンは、例えば、ホモポリマーであっても、ランダム型又はブロック型のコポリマーであってもよい。
着色樹脂層の厚みは、適度の加工性を付与するため、例えば、1μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、又は50μm以上であってよく、例えば、200μm以下、180μm以下、160μm以下、140μm以下、又は120μm以下であってよい。
〈針刺検知用シートの適用及び構成〉
本発明の針刺検知用シートは、例えば、蓋材等に使用することができ、特に、液体状医薬品入り容器の蓋材として有用である。
白化樹脂層を有し、かつシーラント層及び接着層を有さない針刺検知用シートは、例えば、特許文献1(特開2011-78810号公報)及び特許文献2(特許第4904501号公報)に記載された輸液用キャップの「膜部」として使用してよい。
白化樹脂層を有し、かつシーラント層及び接着層を有さない針刺検知用シートの構成例を、図2~図4に、それぞれ概略断面図として示す。
図2の針刺検知用シート(101)は、白化樹脂層(10)から構成される。
針刺検知用シートは、図3に示す針刺検知用シート(102)のように、着色された白化樹脂層(11)から構成されていてもよく、図4に示す針刺検知用シート(103)のように、着色されていない白化樹脂層(10)と着色樹脂層(31)とを有し、両層が積層された積層体であってもよい。図4の針刺検知用シート(103)は、白化樹脂層(10)が外側に向き、着色樹脂層(31)が容器側に向く方向で使用されてよい。
白化樹脂層及びシーラント層を有し、かつ、このシーラント層がイージーピール性を有する針刺検知用シートは、例えば、輸液バッグのピール材等として使用してよい。このような針刺検知用シートを輸液バッグのピール材として使用する場合、針刺検知用シートは、輸液バッグのキャップにシーラント層を介して貼付して使用される。針刺検知用シートを輸液バッグのキャップに貼付する方法は、例えば、ヒートシールであってよい。
樹脂層及びシーラント層を有する針刺検知用シートの構成例を、図5~図8に、それぞれ概略断面図として示す。
図5の針刺検知用シート(104)は、白化樹脂層(10)とシーラント層(20)とを有し、両層が積層された積層体から構成される。
白化樹脂層及びシーラント層を有する針刺検知用シートは、図6に示す針刺検知用シート(105)のように、着色された白化樹脂層(11)と、着色されていないシーラント層(20)とを有し、両層が積層された積層体から構成されていてもよく、図7に示す針刺検知用シート(106)のように、着色されていない白化樹脂層(10)と、着色されたシーラント層(21)とを有し、両層が積層された積層体から構成されていてもよい。
白化樹脂層及びシーラント層を有する針刺検知用シートは、着色樹脂層を更に有し、白化樹脂層、着色樹脂層、及びシーラント層の順に積層されている積層体であってよい。具体的には例えば、図8に示す針刺検知用シート(107)のように、着色されていない白化樹脂層(10)、着色樹脂層(31)、及び着色されていないシーラント層(20)がこの順に積層された積層体であってよい。
図5~図8の針刺検知用シート(104~107)において、シーラント層(20、21)の代わりに接着層を有する針刺検知用シートも、本発明の針刺検知用シートに包含される。
〈液体状医薬品入り蓋付き容器〉
本発明の液体状医薬品入り蓋付き容器は、
開口部を有する容器と、この容器中に収納された液体状医薬品と、この容器の開口部を密封する栓と、この栓を覆う蓋材とを有し、かつ、
蓋材が本発明の針刺検知用シートである。
容器は、例えば、ガラス製、合成樹脂製等であってよく、収納されている液体状医薬品の特性に応じて、適宜に選択されてよい。
栓は、容器の開口部を密閉し、かつ、針、特に注射針によって、針刺し及び貫通されることが可能な材料から構成されていてよく、例えば、ゴム栓等であってよい。
液体状医薬品入り蓋付き容器における蓋材の形態は、例えば、ピール材等であってよい。
《針刺検知用シートの製造方法》
本発明の針刺検知用シートは、原料樹脂をフィルム状に成形し、必要に応じて積層することにより、製造されてよい。
原料樹脂をフィルム状に成形するには、例えば、押出成形(Tダイ法、インフレーション法)、カレンダー成形、圧縮成形、射出成形等の適宜の方法を用いてよい。これらのうち押出成形が好ましく、特に押出インフレーション法、押出Tダイ法等の方法を採用してよい。
針刺検知用シートが、白化樹脂層と他の層とを有する積層体である場合、各層を積層するには、熱ロール、熱プレス等を用いて各層間を融着させる方法、ホットメルト接着剤等の接着剤を用いる方法、ドライラミネート法、押出ラミネート法等、共押出法によってよい。これらのうち共押出法が好ましく、特に共押出インフレーション法、共押出Tダイ法等の方法を採用してよい。
上記したとおり、本発明の針刺検知用シート中の各層は、それぞれ、層の表面のみが着色されていてもよく、層の内部まで着色されていてもよく、内部まで着色されている層の表面が別の又は同じ色で更に着色されていてもよい。
表面が着色されている層は、例えば、原料樹脂をフィルム状に成形した後に、適当なインキをフィルム表面に印刷又はコーティングすることにより作製してよい。内部まで着色されている層は、例えば、顔料、染料、インキ等の着色剤、又はこれらのうちの1種以上を含むカラーマスターバッチを原料樹脂に練り込んだうえで、フィルム状に成形することにより作製してよい。
本発明の針刺検知用シート中の各層としては、市販の樹脂フィルムを、そのまま、又は必要に応じて着色したうえで用いてもよい。
〈実施例1〉
(針刺検知用シートの作製)
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)のペレット(東洋スチレン(株)製、品名「トーヨースチロールHI H700自然色」)を熱プレスして、厚み100μmのフィルムを作製し、これを白化樹脂層として用いた。
この白化樹脂層に、シーラント層としてのイージーオープンフィルム(三井化学東セロ(株)製、品名「CMPS013C#30」)を接着剤により貼り付けて、白化樹脂層/シーラント層の構成を有する針刺検知用シート(ピール材)を作製した。
(針刺孔視認性の評価)
得られた針刺検知用シートに対して、注射針(テルモ(株)製、品名「NN-2138R」、ゲージ21G(0.80mm)、針長1+1/2インチ(38mm)、刃型R・B)を白化樹脂層側の面から刺して、針刺検知用シートを貫通する直径0.80mmの針刺孔を形成した。針刺孔形成後の針刺検知用シートを、L値60のグレーのゴム栓の上面から1mm離れた位置に配置した。この状態で、両目視力0.7の観察者が針刺検知用シートの針刺孔を視認できるかどうかを、観察距離2m、3m、及び4mにて調べ、以下の基準で評価した。結果は表1に示した。
針刺孔が明確に確認できた場合:A
針刺孔が視認可能であった場合:B
針刺孔が視認できなかった場合:C
(耐熱性の評価)
耐熱性の評価は、図9に示した試料を用いて行った。すなわち、得られた針刺検知用シート(108)を50mm×50mmの正方形状に切り出し、直径25mmφ、高さ29mmの円柱状のゴム栓(60)の円形面上に、円周状に塗布した接着剤(70)により固定した。
この試料を、100℃の水中で40分間煮沸した後の状態を目視で観察し、以下の基準により評価した。結果は表1に示した。
針刺検知用シートに変形が見られなかった場合:A
針刺検知用シートは変形したが、シート面同士に溶着が見られなかった場合:B
針刺検知用シートが変形し、シート面同士が溶着した場合:C
〈実施例2及び3、並びに比較例1〉
白化樹脂層として、又は白化樹脂層に代えて、それぞれ、表1に示した樹脂のペレットを熱プレスして得た厚み100μmのフィルムを用いた他は実施例1と同様にして、白化樹脂層/シーラント層、又は樹脂層/シーラント層の層構成を有する針刺検知用シートを作製し、針刺孔視認性及び耐熱性の評価を行った。結果は表1に示した。
〈比較例2〉
白化樹脂層に代えて、表1に示した樹脂フィルムを使用した他は実施例1と同様にして、樹脂層/シーラント層の構成を有する針刺検知用シートを作製し、針刺孔視認性及び耐熱性の評価を行った。結果は表1に示した。
〈実施例4〉
(針刺検知用シートの作製)
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)のペレット(東洋スチレン(株)製、品名「トーヨースチロールHI H700自然色」)を熱プレスして、厚み100μmのフィルムを作製し、これを白化樹脂層として用いた。この白化樹脂層に、着色樹脂層としてのクリーム色LDPE(東京インキ(株)製、品名「PEX 3110 CREAM」、L値76、厚み100μm)を接着剤で貼り付けた。次いで、クリーム色LDPEフィルム側の面上にシーラント層としてのイージーオープンフィルム(三井化学東セロ(株)製、品名「CMPS013C#30」)を接着剤で貼り付けることにより、白化樹脂層/着色樹脂層/シーラント層の構成を有する針刺検知用シートを作製した。
(評価)
得られた針刺検知用シートを用いて、実施例1と同様にして針刺孔視認性及び耐熱性の評価を行った。結果は表1に示した。
〈実施例5~7〉
着色樹脂層として、それぞれ、表1に示した樹脂フィルムを使用した他は実施例4と同様にして、白化樹脂層/着色樹脂層/シーラント層の構成を有する針刺検知用シートを作製し、針刺孔視認性及び耐熱性の評価を行った。結果は表1に示した。
〈実施例8〉
(針刺検知用シートの作製)
耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)のペレット(東洋スチレン(株)製、品名「トーヨースチロールHI H700自然色」)に、黒色顔料((有)林ケミカル製、活性炭)を20質量%添加し、熱プレスにて厚み100μmのフィルムを作製し、これを着色された白化樹脂層として用いた。この着色された白化樹脂層のL値は30であった。
得られた着色された白化樹脂層に、シーラント層としてのイージーオープンフィルム(三井化学東セロ(株)製、品名「CMPS013C#30」)を接着剤により貼り付けることにより、着色された白化樹脂層/シーラント層の構成を有する針刺検知用シートを作製した。
(評価)
得られた針刺検知用シートを用いて、実施例1と同様にして針刺孔視認性及び耐熱性の評価を行った。結果は表1に示した。
〈比較例3〉
白化樹脂層に代えて、樹脂層として黒色LDPEフィルム(東京インキ(株)製、品名「PEX 3286 BLACK 3S」、L値30、厚み100μm)を用いた他は、実施例1と同様にして、樹脂層/シーラント層の構成を有する針刺検知用シートを作製し、針刺孔視認性及び耐熱性の評価を行った。結果は表1に示した。
(L値の測定)
各層のL値は、米国X-Rite社製の分光光度計、品名「SpectroEye」を用い、JIS Z8722準拠の方法により、D50光源を用いて、測定モードCIE Lab、観測視野角2°にて測定した。
Figure 0007105559000001
表1中、各層を構成する材料の略称は、それぞれ以下の意味である。
HIPS:耐衝撃性ポリスチレン、東洋スチレン(株)製、品名「トーヨースチロールHI H700自然色」
ブロックPP:ポリプロピレン、ブロックコポリマータイプ、日本ポリプロ(株)製、品名「ノバテックPP BC3HF」
ABS:アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、デンカ(株)製、品名「デンカABSナチュラル」
クリーム色LDPE:東京インキ(株)製、品名「PEX 3110 CREAM」、L値76、厚み100μm
薄緑色LDPE:東京インキ(株)製、品名「PEX H-1522 GREEN」、L値74、厚み100μm
黒色LDPE:東京インキ(株)製、品名「PEX 3286 BLACK 3S」、L値30、厚み100μm
黒色HIPS:耐衝撃性ポリスチレン(東洋スチレン(株)製、品名「トーヨースチロールHI H700自然色」)80質量部と、黒色顔料((有)林ケミカル製、活性炭)20質量%とのブレンド
GPPS:汎用ポリスチレン、透明、東洋スチレン(株)製、品名「トーヨースチロールMW1D」
白色LDPE:東京インキ(株)製、品名「PEX 6800 WHITE A」、厚み100μm
CMPS013C:イージーオープンフィルム(三井化学東セロ(株)製、品名「CMPS013C#30」)
比較例1のGPPS、比較例2の白色LDPE、及び比較例2の黒色LDPEは、いずれも、本発明所定の「白化樹脂層」ではないが、便宜上表中の「白化樹脂層」欄に記載した。
表1を参照すると、従来技術に属する比較例1~3の針刺検知用シートでは、注射針による針刺孔を、両目視力0.7の観察者が観察距離2mにて視認することはできず、針刺孔の視認性は不十分であった。
これに対し、実施例1~3の針刺検知用シートでは、白化樹脂層のうちの針刺孔の周囲が幅約0.3mmの範囲で白化して、孔の存在が強調されており、両目視力0.7の観察者が、観察距離2m及び3mにて針刺孔を明確に視認することができ、観察距離4mにても針刺孔を視認することができた。白化樹脂層とシーラント層との間にL値76の着色樹脂層を配置した実施例4の針刺検知用シートも、両目視力0.7の観察者が、観察距離2mにて針刺孔を明確に視認することができ、観察距離3m及び4mにて、針刺孔を視認することができた。
白化樹脂層とシーラント層との間にL値75以下の着色樹脂層を配置した実施例5及び6の針刺検知用シートでは、白化樹脂層の針刺孔周囲の白化領域と、着色樹脂層との明度差が大きく、白化領域がより強く視認された。このため、これらの針刺検知用シートでは、針刺孔の存在がより強調されて、両目視力0.7の観察者が観察距離2m、3m、及び4mにて針刺孔を明確に視認することができた。
実施例7は、白化樹脂層とシーラント層の積層体において、白化樹脂層を着色してL値75以下とした針刺検知用シートに関する。この場合も、実施例5及び6の針刺検知用シートと同様の効果が得られ、両目視力0.7の観察者が観察距離2、3m、及び4mにて針刺孔を明確に視認することができた。
白化樹脂層としてブロックコポリマータイプのポリプロピレンを用いた実施例2及び7では、100℃40分の煮沸処理によっても針刺検知用シートに変形は見られず、高い耐熱性を示した。
注射針の直径を0.6mm及び0.4mmに変更した場合も、上記と同様の結果が得られた。
10 白化樹脂層
11 着色された白化樹脂層
15 他の層
20 シーラント層
21 着色されたシーラント層
31 着色樹脂層
40 針刺孔
50 白化領域
60 ゴム栓
70 接着剤
100、101、102、103、104、105、106、107、108 針刺検知用シート

Claims (16)

  1. 開口部を有する容器と、前記容器中に収納された液体状医薬品と、前記容器の前記開口部を密封する栓と、前記栓を覆う蓋材とを有する液体状医薬品入り蓋付き容器であって、
    前記蓋材は、白化樹脂層を有する針刺検知用シートから成り、
    前記白化樹脂層は、ハードセグメントを含む連続相と、ソフトセグメントを含む分散相とから構成される海島型ミクロ相分離構造を有し、注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が白化する樹脂層である、液体状医薬品入り蓋付き容器。
  2. 前記ハードセグメントは、ポリスチレン、結晶性ポリオレフィン、及びアクリロニトリル-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上を含み、かつ
    前記ソフトセグメントは、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、及び非晶性ポリオレフィンより成る群から選択される1種以上を含む、請求項1に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  3. 開口部を有する容器と、前記容器中に収納された液体状医薬品と、前記容器の前記開口部を密封する栓と、前記栓を覆う蓋材とを有する液体状医薬品入り蓋付き容器であって、
    前記蓋材は、白化樹脂層を有する針刺検知用シートから成り、
    前記白化樹脂層は、注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が白化する樹脂の層であり、
    前記白化樹脂層に積層されている着色樹脂層を更に有する、
    液体状医薬品入り蓋付き容器。
  4. 前記着色樹脂層のL値が75以下である、請求項3に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  5. 前記白化樹脂層は、直径0.80mm、刃型R・Bの注射針を刺して針刺孔を形成したときに、前記針刺孔の周囲が0.2mm以上の幅で白化する樹脂層である、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  6. 前記白化樹脂層は、耐衝撃性ポリスチレン、ブロックコポリマータイプのポリプロピレン、及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体より成る群から選択される1種以上の樹脂の層であ
    前記ブロックコポリマータイプのポリプロピレンは、ハードセグメントとしてポリプロピレンを含む連続相中に、ソフトセグメントとして非晶性ポリエチレンを含む分散相を有し、これら連続相と分散相との界面に、相溶化剤としてのエチレン-プロピレンゴムを有する構造である、
    請求項1~のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  7. 前記白化樹脂層は、ブロックコポリマータイプのポリプロピレンの層である、請求項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  8. 前記白化樹脂層は、耐衝撃性ポリスチレンの層である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  9. 前記白化樹脂層は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体の層である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  10. 前記白化樹脂層が着色されている、請求項1~のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  11. 前記白化樹脂層のL値が75以下である、請求項10に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  12. 前記白化樹脂層に積層されているシーラント層又は接着層を更に有する、請求項1又は2に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  13. 前記白化樹脂層に積層されているシーラント層又は接着層を更に有する、請求項3又は4に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  14. 前記白化樹脂層、前記着色樹脂層、及び前記シーラント層又は接着層の順に積層されている、請求項13に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  15. 前記シーラント層又は接着層が着色されている、請求項12~14のいずれか一項に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
  16. 前記シーラント層又は接着層のL値が75以下である、請求項15に記載の液体状医薬品入り蓋付き容器。
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