JP2005343223A - 産業車両の運転シート旋回機構 - Google Patents

産業車両の運転シート旋回機構 Download PDF

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Abstract

【課題】 車両の加減速時に運転シートが浮き上がらないようにすることができ、しかも、部品点数及び組立工数の増加を招かない産業車両における運転シートの旋回機構を提供する。
【解決手段】 フォークリフト・トラックのバッテリフード13に対し、運転シートの下側に固定した基板19を、旋回中心となる旋回軸20を介して相対回動可能に連結する。バッテリフード13には、旋回軸20を中心とする円弧に沿った内側貫通溝22及び外側貫通溝23を貫通形成する。バッテリフード13の内側から各貫通溝22,23を挿通させた第1連結ピン24及び第2連結ピン27を、基板19に固定したナット28,29に螺合させ、各貫通溝22,23及び各連結ピン24,27を介してバッテリフード13に基板19を連結する。また、基板19を、バッテリフード13の上面から突出させた複数のスライダ30で支持する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、産業車両において運転シートを旋回させて横方向の向きを変更するための運転シート旋回機構に関するものである。
この種の技術としては、例えば、特許文献1に開示される運転シートの回動装置がある。この装置は、車両の車室床面に固定する台座と、この台座の上方で運転シートを支持する運転シート支持部材とを、2本のリンクアームを回動自在に交差させたX型リンク機構で連結した構成を備えている。そして、運転シートは、X型リンク機構の作用により、台座上方において車両の前方を向く位置と、左側方を向くとともに台座の上方から左側方に退避した位置との間で移動する。
また、特許文献2に開示される産業車両のシート回動装置は、フォークリフトのエンジンフード上に固定されるベースプレートと、このベースプレートの上方で運転シートを支持する回動プレートとを備えている。回動プレートは、ベースプレートに対し、運転シートの座面よりも前方に位置するピンを介して相対回動可能に連結されるとともに、ベースプレート上に固定された滑りパッドを介して支持されている。そして、運転シートは、ベースプレートに対して回動プレートが回動することにより、座面前方のピン回りに回動する。
特開平11−129797号公報 特開2000−318498号公報
ところで、上記特許文献1のものは、台座に設けた貫通溝と、運転シート支持部材に設けた貫通溝とに、X型リンク機構の各アームに設けた凸部を係合させているだけである。このため、車室床面に固定する台座に対して運転シート支持部材が強固に拘束されず、車両の加減速時に運転シート支持部材ともに運転シートが浮き上がる虞がある。
また、上記特許文献2のものは、ベースプレートに対し、回動プレートがピンのみを介して連結されている。このため、ベースプレートに対して回動プレートが強固に拘束されないので、特許文献1のものと同様の問題がある。
しかしながら、特許文献1において運転シートの浮き上がりを防止しようとするには、台座及び運転シート支持部材に対してX型リンク機構の各アームを強固に連結する構造を新たに設ける必要があり、部品点数及び組立工数の増加を招く。また、特許文献2においては、ベースプレートに対して回動プレートを強固に連結する構造を新たに設ける必要があり、同様に部品点数及び組立工数の増加を招く。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。その目的は、車両の加減速時に運転シートが浮き上がらないようにすることができ、しかも、部品点数及び組立工数の増加を招かない産業車両における運転シートの旋回機構を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車体のアウタパネル上に、横方向の向きを変更可能に運転シートを支持するようにした産業車両の運転シート旋回機構である。前記運転シートの下側に固定した基板と、前記アウタパネルとを、旋回中心となる旋回軸を介して相対回動可能に連結した。前記アウタパネル及び前記基板のいずれか一方に、前記旋回軸を中心とする円弧に沿った貫通溝を設け、前記アウタパネル及び前記基板の他方に、前記基板の回動に伴って前記貫通溝に沿って移動するようにした連結部材を設けた。そして、前記アウタパネルと基板とを、前記貫通溝及び連結部材を介して連結した。
従って、この発明においては、アウタパネルに対し、旋回中心と旋回中心の外周側とで基板が連結されるので、アウタパネルに対して基板を強固に連結することができる。しかも、運転シートが固定される基板、または、車体のアウタパネルに設けた貫通溝と、この貫通溝に沿って移動する連結部材を介して基板とアウタパネルとが連結されるので、部品点数及び組立工数の増加を招かない。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記アウタパネル上には、前記基板の下面に当接し、基板が回動可能な状態で基板を支持する支持部材を設けた。
従って、この発明においては、摩擦係数が低い材質で支持部材を形成することにより、アウタパネルに対して基板を円滑に回動させることができ、運転シートの向きを容易に切り替えることができる。
本発明によれば、アウタパネルに対し、旋回中心と旋回中心の外周側とで基板が連結されるので、アウタパネルに対して基板を強固に連結することができる。しかも、運転シートが固定される基板、または、車体のアウタパネルに設けた貫通溝と、この貫通溝に沿って移動する連結部材を介して基板とアウタパネルとが連結されるので、部品点数及び組立工数の増加を招かない。
次に、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図12に従って説明する。
図2及び図3に示すように、産業車両としてのフォークリフト・トラック10は、カウンタバランス型のバッテリ式であって、車体11の中央に運転台12が設けられている。運転台12には、図示しないバッテリが収容されたバッテリフード13(アウタパネル)が設けられ、このバッテリフード13の上面には運転シート14が設けられている。なお、車体11には、その左側にのみ昇降ステップ15が設けられ、車両の左側から乗り降りが行われるようになっている。
運転シート14は、鉛直軸回りに旋回可能に設けられ、その横方向の向きが異なる3位置に切り替え可能となっている。この3位置は、図3に二点鎖線で示すように運転シート14が車両正面を向く前向き位置PF、図3に一点鎖線で示すように運転シート14が左側方を向く左向き位置PL、及び、図3に実線で示すように運転シート14が右側方を向く右向き位置PRである。前向き位置PFは、車両の前進時、荷役作業時に使用される運転シート14の位置であり、左向き位置PLは、運転者が昇降ステップ15を使って車両の運転シート14に乗り降りするときに使用される運転シート14の位置である。また、右向き位置PRは、車両の後進時に使用される運転シート14の位置である。
図1に示すように、運転シート14は、シート旋回機構16及びシートスライド機構17を介してバッテリフード13上に支持されている。なお、シートスライド機構17は、周知のものであるのでその説明を省略する。
シート旋回機構16は、バッテリフード13の上面に形成された下部構造18と、この下部構造18に対して連結される基板19とを備えている。
図4に示すように、下部構造18は、バッテリフード13の前端部中央の貫通孔★に回動可能な状態で挿通された旋回軸20を備えている。旋回軸20は、図6に示すように、その先端が雄ねじ部20aとなっている。一方、基板19の前端部中央には、旋回軸20の雄ねじ部20aが螺合する第1ナット21が溶接されている。そして、図6及び図8に示すように、前記基板19は、第1ナット21に螺合された旋回軸20を中心として、バッテリフード13に対し旋回可能に連結される。
また、図4に示すように、下部構造18は、バッテリフード13の上壁を貫通して形成された内側貫通溝22及び外側貫通溝23を有している。内側貫通溝22は、旋回軸20の中心軸線を中心とする円弧に沿って形成されている。外側貫通溝23は、旋回軸20の中心軸線を中心とし、内側貫通溝22よりも外周側の円弧に沿って形成されている。
内側貫通溝22には、バッテリフード13の内側から、第1連結ピン24が挿通される。第1連結ピン24は、図6に示すように、その先端部が雄ねじ部24aとなっている。第1連結ピン24は、内側貫通溝22に沿って移動可能となっている。
外側貫通溝23には、図4に示すように、バッテリフード13の内側から、第2連結ピン27が挿通される。第2連結ピン27も、その先端部が第1連結ピン24と同様の雄ねじ部となっている。第2連結ピン27は、外側貫通溝23に沿って移動可能となっている。本実施形態では、第1連結ピン24及び第2連結ピン27が連結部材を構成する。
一方、基板19の前部には、前記第1連結ピン24の雄ねじ部24aがそれぞれ螺合する2つの第2ナット28が溶接されている。また、基板19の後部には、前記第2連結ピン27の雄ねじ部が螺合する第3ナット29が溶接されている。
そして、基板19は、図8に示すように、第2ナット28に第1連結ピン24の雄ねじ部24aがそれぞれ螺合し、第3ナット29に第2連結ピン27の雄ねじ部が螺合することにより、旋回軸20回りに旋回可能な状態でバッテリフード13に連結されている。
また、図4に示すように、下部構造18は、バッテリフード13の上面に複数の(本実施形態では、3つ。)スライダ30(支持部材)を備えている。スライダ30は、摩擦抵抗が低い合成樹脂によって円筒状に形成され、バッテリフード13に形成された貫通孔(図6に図示)13aに嵌入されている。そして、基板19は、図6及び図9に示すように、各スライダ30を介してバッテリフード13上面に支持されるとともに、旋回時には各スライダ30に対して摺接する。
また、図4に示すように、バッテリフード13上には、バッテリフード13の上壁を貫通する中央係合孔31、左側係合孔32及び右側係合孔33がそれぞれ形成されている。一方、基板19には、各係合孔31,32,33を利用して運転シート14を前記各位置に固定するためのストッパ機構34が設けられている。
ストッパ機構34は、図5に示すように、基板19に切り起こされた一対の支持片35,36により回動可能に支持された回動軸37を備えている。回動軸37は、基板19の外側に延出され、その先端部には、運転者が右手で回動操作する操作レバー38が設けられている。
回動軸37には、支持片35よりも先端側に止め輪39が止着され、支持片36よりも基端側に止め輪40が止着されている。そして、回動軸37は、両止め輪39,40により両支持片35,36が挟まれることにより、その軸線方向での移動が規制されている。なお、支持片36と止め輪40との間には、スペーサ41が介在されている。
また、回動軸37には、図4及び図5に示すように、両支持片35,36の間に配置された部位に、側面視略「L」字状のストッパ42が溶接されている。ストッパ42は、図7(a)に示すように、その一端42aが、基板19に設けられた貫通孔19aを通して基板19の下方まで突出し、前記各係合孔31,32,33のいずれかに係合する規制位置に配置される。また、ストッパ42は、図7(b)に示すように、基板19の下方から一端42aが退避して、一端42aが各係合孔31〜33に係合しない解除位置に配置される。なお、ストッパ42は、解除位置において、その他端42bが基板19の上面に当接することでそれ以上の回動が規制される。
さらに、回動軸37には、ストッパ42と支持片36との間に、捻りコイルばね43が嵌装されている。そして、回動軸37は、捻りコイルばね43の付勢力により一方向に付勢されて、ストッパ42が前記規制位置に保持されるようになっており、操作レバー38が図8に示す矢印F方向に回動操作されることにより規制位置から解除位置に切り替えられる。
次に、以上のように構成された本実施形態の作用について説明する。
運転シート14が前向き位置にあるときには、図10に示すように、捻りコイルばね43の付勢力によりストッパ42の一端42aが中央係合孔31に係合し、運転シート14が前向き位置に固定される。
車両を停止状態から後進させるときには、運転シート14の向きを前向き位置から右向き位置に切り替える。運転シート14が前向き位置にある状態で運転者が操作レバー38を図8におけるF方向に引くと、回動軸37が回動してストッパ42が規制位置から解除位置に切り替わり、前向き位置における運転シート14の固定状態が解除される。この状態で、運転シート14を前向き位置から右向き位置まで旋回させることができる。運転シート14を前向き位置から右向き位置側に旋回させていくとき、基板19が各スライダ30に対して摺接するとともに各連結ピン24,27がそれぞれ各貫通溝22、23に沿って移動する。
運転シート14が右向き位置まで旋回した状態で、運転者が操作レバー38から手を離すと、図11に示すように、捻りコイルばね43の付勢力によってストッパ42が解除位置から規制位置に切り替わり、ストッパ42の一端42aが左側係合孔32に係合して運転シート14が右向き位置に固定される。運転シート14が右向き位置に固定された状態では、運転者の体が右前側方を向くので、運転者が車両後方を視認し易くなり、車両の後進を容易に行うことができる。
また、車両を後進させた後、車両を前進させたり荷役作業を行ったりするときには、運転シート14の向きを右向き位置から前向き位置に切り替える。この場合も、前向き位置から右向き位置への切替時と同様に、運転者が操作レバー38を回動操作した状態で運転シート14を旋回させることで運転シート14の向きを切り替えることができる。
さらに、運転者が車両から降りるときには、運転シート14の向きを前向き位置から左向き位置に切り替える。この場合も、前向き位置から右向き位置への切替時と同様に、運転者が操作レバー38を回動操作した状態で運転シート14を旋回させることで運転シート14の向きを切り替えることができる。
運転シート14が左向き位置まで旋回した状態で、運転者が操作レバー38から手を離すと、図12に示すように、ストッパ42が解除位置から規制位置に切り替わり、その一端42aが右側係合孔33に係合して運転シート14が左向き位置に固定される。運転シート14が左向き位置に固定された状態では、運転者の体が左前側方を向くので、昇降ステップ15を使っての運転シート14への乗り降りが容易となる。
次に、以上詳述した本実施形態が有する効果を列記する。
(1) 本実施形態では、基板19が、旋回中心である旋回軸20と、旋回中心の外周側に位置する第1連結ピン24及び第2連結ピン27とを介してバッテリフード13に連結されている。このため、バッテリフード13に対して基板19が強固に連結されているので、車両の発進、停止又は加減速時に車両に対して大きな加速度が加わっても運転シート14がバッテリフード13から浮き上がることはない。しかも、バッテリフード13に設けた貫通溝22,23と、この貫通溝22,23に沿って移動する各連結ピン24,27を介してバッテリフード13に基板19を連結したので、部品点数及び組立工数の増加を招かない。
(2) バッテリフード13上に、基板19の下面を当接支持するように摩擦係数が低い合成樹脂からなるスライダ30を設けた。このため、基板19がバッテリフード13に対して円滑に旋回させることができるため、運転シート14の位置を容易に切り替えることができる。
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
○ 基板19に内側貫通溝及び外側貫通溝を設け、バッテリフード13に各貫通溝に挿通する連結ピンを設けた構成とすること。
○ 内側貫通溝22をバッテリフード13に設けるとともに、内側貫通溝22に連結される第1連結ピン24を基板19に設ける。また、外側貫通溝23を基板19に設けるとともに、外側貫通溝23に連結される第2連結ピン27をバッテリフード13に設けた構成とすること。
○ 各係合孔31,32,33に代えて、ストッパ42の端部が係合して基板19の旋回を規制可能な凹部を設けた構成とすること。
○ 本発明を、エンジンの上方を覆うエンジン・フード(アウタパネル)の上面に運転シートが設置されるエンジン式フォークリフト・トラックにおける運転シート旋回機構に具体化すること。
○ 本発明を、バッテリが運転台の床よりも低い位置に設けられ、運転台の床面上に設けられた台座(アウタパネル)の上に運転シートが設置される構造のバッテリ式フォークリフト・トラックにおける運転シート旋回機構に具体化すること。
○ 本発明を、ショベルローダ、トーイングトラクタ等の産業車両に具体化すること。
以下、前記各実施形態から把握される技術的思想を列記する。
(1) 請求項1又は請求項2に記載の産業車両における運転シート旋回機構を備えた産業車両。
(2) 請求項1又は請求項2に記載の産業車両における運転シート旋回機構を備えたフォークリフト・トラック。
一実施形態のフォークリフト・トラックのシート旋回機構を示す分解斜視図。 フォークリフト・トラックを示す側面図。 同じく横断面図。 シート旋回機構を示す分解斜視図。 基板の一部を示す縦断面図。 基板の一部を示す縦断面図。 (a)は規制位置のストッパを示す側面図、(b)は解除位置のストッパを示す側面図。 シート旋回機構を示す斜視図。 シート旋回機構を示す側面図。 シート旋回機構の作動状態を示す横断面図。 同じく作動状態を示す横断面図。 同じく作動状態を示す横断面図。
符号の説明
10…産業車両としてのフォークリフト・トラック、11…車体、13…アウタパネルとしてのバッテリフード、14…運転シート、16…シート旋回機構、19…基板、20…旋回軸、22…貫通溝としての左内側貫通溝、23…貫通溝としての外側貫通溝、24…連結部材としての第1連結ピン、27…同じく第2連結ピン、30…支持部材としてのスライダ。

Claims (2)

  1. 車体のアウタパネル上に、横方向の向きを変更可能に運転シートを支持するようにした産業車両の運転シート旋回機構であって、
    前記運転シートの下側に固定した基板と、前記アウタパネルとを、旋回中心となる旋回軸を介して相対回動可能に連結するとともに、
    前記アウタパネル及び前記基板のいずれか一方に、前記旋回軸を中心とする円弧に沿った貫通溝を設け、
    前記アウタパネル及び前記基板の他方に、前記基板の回動に伴って前記貫通溝に沿って移動するようにした連結部材を設け、
    前記アウタパネルと基板を、前記貫通溝及び連結部材を介して連結した産業車両の運転シート旋回機構。
  2. 前記アウタパネル上には、前記基板の下面に当接し、基板が回動可能な状態で基板を支持する支持部材を設けた請求項1に記載の産業車両の運転シート旋回機構。
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