JP2005343153A - メラミン樹脂化粧板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メラミン樹脂が含浸された化粧紙21の表面に、シリコーン樹脂を含む表面樹脂層24を設ける。化粧紙21と表面樹脂層24との間には、浸透防止層23を設ける。シリコーン樹脂として、アミノ基含有シリコーン樹脂を用いる。
【選択図】図2
Description
特許文献1には、表面の耐汚染性を改善したメラミン樹脂化粧板が開示されている。図6は、同文献記載の化粧板の構成を示す図である。この化粧板は、不燃性基材60の上に樹脂含浸紙61が積層した構成を有しており、樹脂含浸紙61中の表層部分が、シリコーン樹脂を含有する構成となっている。
しかしながら、同文献記載の技術では、充分な耐汚染性を得ることは困難であり、特に、良好な意匠耐久性を維持しつつ耐汚染性を向上させることが困難であった。
本発明によれば、基材の表面上に設けられた表面樹脂層がシリコーン樹脂を含有する構成となっているため、メラミン樹脂化粧板の防汚性および意匠耐久性を顕著に改善することができる。従来技術の項で述べたように、基材中の表層部分にシリコーン樹脂を含有させる構成はすでに知られているが、これでは、意匠耐久性および耐汚染性の両立を図ることは困難である。これに対して本発明では、基材の表面上に設けた表面樹脂層にシリコーン樹脂を含有させているため、意匠耐久性および耐汚染性に優れる化粧板が得られる。ここで、基材は、単層、多層のいずれでもよく、いずれかの層中の少なくとも一部にメラミン樹脂を含んでいる。
シリコーン樹脂とは、シロキサン結合の繰り返し単位からなる主鎖を有し、アルキル基やアリール基などの側鎖を有する重合体である。シリコーン樹脂として、反応性官能基を導入し変性したものも好適に用いることができる。変性処理としては、たとえば、アミノ変性、カルビノール変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、アルキル変性、エーテル変性等が挙げられ、このうち、アミノ変性、カルビノール変性が好ましい。メラミン樹脂との反応性に富み、優れた防汚性および良好な外観が得られるからである。
上記メラミン樹脂化粧板によれば、メラミン樹脂化粧板が本来有する耐摩耗性や表面硬さを保持した上で、化粧面に付着する汚染物質が化粧層内部へ浸透するのを抑制することができる。このメラミン樹脂化粧板は、耐汚染性要求が高く、かつ意匠耐久性に優れ、洗浄メンテナンスが日常的に必要とされるキッチン廻り用途等に好適に利用される。
本実施例では、図1および図2に示す構造の化粧板を作製し、評価を行った。以下、この化粧板を構成する化粧層用メラミン樹脂含浸紙30およびフェノール樹脂含浸紙31の作製方法について説明する。
化粧紙21として、晒しクラフト紙に柄模様が印刷されたものを用いた(米坪80g/m2 )。また、メラミンに対するホルムアルデヒドのモル比1.7、粘度37cps/20℃の水溶性メラミン樹脂を水/メタノール混合溶剤により粘度23cps/30℃に調整し、触媒、内部離型剤を添加し、更に浸透防止層23の構成材料として、水性の変性アクリレートラテックス(平均粒子径(D50)が0.2μm、ガラス転移温度Tgが室温付近である熱可塑性樹脂エマルジョン)をメラミン樹脂固形分比で25%の混合率で混合し1次含浸用メラミン樹脂ワニスを得た。ここで、1次含浸用メラミン樹脂ワニスの原材料として、以下のものを用いた。
触媒:商品名セパール328、中京油脂株式会社製
内部離型剤:脂肪族系界面活性剤、商品名キャタニット、MRCユニテック株式会社製
水溶性アクリルラテックス:商品名LX−851E、日本ゼオン株式会社製
触媒:0.4%
内部離形剤:0.6%
増粘用無機フィラー:3%
増粘用無機フィラー:SiO2、商品名トクシールU、平均粒子径が2〜6μmの範囲にあるものを用いた。
カルビノール変性シリコーン樹脂:反応型変性シリコーン、商品名X−22−4015、信越化学工業株式会社製
コア材として通常の高圧メラミン樹脂化粧板に使用される米坪190g/m2 の未晒しクラフト紙基材を用い、これに水溶性フェノール樹脂を含浸し、加熱乾燥して、樹脂量30%、揮発分7%のフェノール樹脂含浸紙31を作製した。
図1に示すように、2段階塗布による化粧層用メラミン樹脂含浸紙30を表面側に置き、フェノール樹脂含浸紙31を5プライ順次重ね合わせた後に、通常の高圧メラミン樹脂化粧板の加圧成形と同様にして、ステンレス鏡面板(高光沢板)とフェノール樹脂含浸紙31が接触する様に、かつ、鏡面板間に、離形紙を挟んで当該化粧板構成素材セットを背中合わせに2組ずつ組み込み、熱プレスによりこれらを接合した。プレスは、圧力80kg/cm2 に保持したままで加熱・冷却した。熱盤温度を157℃とし、製品最高温度が138℃〜143℃の範囲に入る様に加熱した後、40℃まで冷却し、厚みが1.02mmのメラミン樹脂化粧板20(図5)を得た。
実施例1において、シリコーン樹脂の種類を変更して2次含浸用メラミン樹脂ワニスを作成したこと以外は実施例1と同様にして化粧層用メラミン樹脂含浸紙を得た。これを用い、実施例1と同様にして化粧板を作製した。
本実施例では、以下のシリコーン樹脂を用いた。
エポキシ変性シリコーン樹脂:反応型変性シリコーン、商品名KF−101、信越化学工業株式会社製
実施例1において、シリコーン樹脂の種類を変更して2次含浸用メラミン樹脂ワニスを作成したこと以外は実施例1と同様にして化粧層用メラミン樹脂含浸紙を得た。これを用い、実施例1と同様にして化粧板を作製した。
本実施例では、以下のシリコーン樹脂を用いた。
アミノ変性シリコーン樹脂:反応型変性シリコーン、商品名KF−393、信越化学工業株式会社製
実施例1において、シリコーン樹脂の種類を変更して2次含浸用メラミン樹脂ワニスを作成したこと以外は実施例1と同様にして化粧層用メラミン樹脂含浸紙を得た。これを用い、実施例1と同様にして化粧板を作製した。
本実施例では、以下のシリコーン樹脂を用いた。
アミノ変性シリコーン樹脂:反応型変性シリコーン、商品名KF−859、信越化学工業株式会社製
実施例1において、1次含浸用メラミン樹脂ワニスに含まれる浸透防止材を変更したこと以外は実施例1と同様にして化粧板を作製した。本例では、変性アクリレートラテックスに代え、3元アクリル重合にて合成された固形分35%の有機ピグメント(アクリル系エマルジョン樹脂、中央理化工業株式会社製、平均粒子径が1μm〜6μmの範囲内にあるものを用いた。)を用いた。1次含浸用メラミン樹脂ワニスは、有機ピグメントをメラミン樹脂固形分に対し25%添加し、調合ワニス粘度を18cps/25℃に調整して得た。このワニスを用い、基材にディップ含浸し、加熱乾燥して、樹脂量45%、揮発分6%の1次含浸紙を得た。以下、実施例1と同様の手順で化粧層用メラミン樹脂含浸紙30を得、フェノール樹脂含浸紙31を重ね合わせた後、加熱加圧し、厚みが1.01mmのメラミン樹脂化粧板20を得た。
上記実施例では、1次含浸用メラミン樹脂ワニスに浸透防止材を添加したが、本例では、これを添加せず、メラミン樹脂のみを用いて粘度16cps/25℃に調整されたワニスを調製した。このこと以外は実施例1と同様にしてメラミン樹脂化粧板20を得た。
実施例に使用した基材に、参照例と同様のワニス(浸透防止材を含まないメラミン樹脂のみのワニス)を、通常行う1段塗布方式にて含浸し、樹脂量56%、揮発分6.8%の化粧層用メラミン樹脂含浸紙30(化粧材)を得、実施例1と同一のフェノール樹脂含浸紙31と組み合わせ、通常のプレス成形方法により厚さ1.01mmの表面樹脂層の無いメラミン樹脂化粧板20を得た。
実施例および比較例にて得られた各メラミン樹脂化粧板について特性を測定した。その結果を表1に示す。表中、NO.1〜4は、実施例1〜4にそれぞれ対応する。NO.5は実施例5に対応し、NO.6は比較例にそれぞれ対応する。参照例の結果は表に示していない。
(a)加圧後外観評価
プレス時に使用した当板への樹脂の付着程度を評価した。また、プレス後の化粧板の外観を目視で評価した。
(b)防汚性比較
1.油性マジック拭き取り性
化粧板表面に油性マジックインク(寺西化学工業株式会社製、NO.500、黒色細書き用)で直径10mm程度の円を描き、ティッシュペーパーで拭き取り、汚れ拭き取り性の難易度を比較した。
2.表面撥水性
化粧板表面に滴下した水滴の濡れ性を相対比較した。通常の高圧メラミン樹脂化粧板に比較して水滴の濡れ角の大小、傾斜した際の水滴の流水状態を観察し、判定した。
3.セロハンテープ密着性
塗膜表面にセロハンテープを貼った後、これを剥離する、という操作を繰り返し、塗膜の一部が剥がれてセロハンテープ側に移行する程度を評価した。
4.耐汚染性:JIS K 6902の耐汚染性試験に準拠した。
塗膜表面へ薬品を滴下し、24時間放置後、拭き取り性を評価した。薬品として、青インキおよび1%沃素アルコール溶液を用いた。
24時間放置後、流水で洗浄し、次いで塗膜表面をメタノールで拭き取った。拭き取れなかった場合は、つづいて研磨剤液を用いて拭き取った。
汚染をメタノールで拭き取ることができた場合、○
汚染をメタノールで拭き取ることができなかったが、研磨剤液を用いて拭き取ることができた場合、△、
研磨剤液を用いても拭き取ることができなかった場合、×
とした。
上記のように2種類の薬品を用いたところ、同じ評価結果が得られたので、表1では、「耐汚染性」として結果をまとめた。
◎:非常に良好
○:良好
△:普通
×:劣る
2 ダンサーロール
3 メラミン樹脂含浸部
4 加熱乾燥部
5 蛇行防止装置
6 1次含浸紙巻取り部
11 1次含浸紙巻出し部
12 ダンサーロール
13 メラミン樹脂塗布部
14 加熱乾燥部
15 蛇行防止装置
16 カッティング部
17 含浸紙積載部
20 メラミン樹脂化粧板
21 化粧紙
22 1次含浸樹脂層
23 浸透防止層
24 表面樹脂層
25 シリコーン樹脂
30 化粧層用メラミン樹脂含浸紙
31 フェノール樹脂含浸紙
Claims (14)
- 単層または多層からなり少なくとも一部にメラミン樹脂を含む基材と、該基材の表面上に設けられた表面樹脂層とを備え、
前記表面樹脂層は、シリコーン樹脂を含有することを特徴とするメラミン樹脂化粧板。 - 請求項1に記載のメラミン樹脂化粧板において、
前記基材は、コア材と、その上に積層されたメラミン樹脂を含む化粧材とを含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板。 - 請求項1に記載のメラミン樹脂化粧板において、
前記表面樹脂層は、メラミン樹脂を含有するものであることを特徴とするメラミン樹脂化粧板。 - 請求項1に記載のメラミン樹脂化粧板において、
前記表面樹脂層の表面部分に前記シリコーン樹脂が偏析していることを特徴とするメラミン樹脂化粧板。 - 請求項1に記載のメラミン樹脂化粧板において、
前記シリコーン樹脂は、アミノ基含有シリコーン樹脂を含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板。 - 請求項1に記載のメラミン樹脂化粧板において、
前記シリコーン樹脂は、カルビノール変成シリコーン樹脂を含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板。 - 請求項1に記載のメラミン樹脂化粧板において、
前記化粧材と前記表面樹脂層との間に、浸透防止材を含む浸透防止層を備えることを特徴とするメラミン樹脂化粧板。 - 請求項7に記載のメラミン樹脂化粧板において、
前記浸透防止材は、エマルジョン樹脂を含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板。 - 原料基材にメラミン樹脂を含浸して化粧材を得る第1の工程と、
メラミン樹脂およびシリコーン樹脂を含む塗布液を前記化粧材に塗布し、前記化粧材の上部に、シリコーン樹脂を含有する表面樹脂層を形成する第2の工程と、
を含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法。 - 請求項9に記載のメラミン樹脂化粧板の製造方法において、
前記メラミン樹脂含有液は浸透防止材を含み、前記メラミン樹脂含有液を塗布することにより前記化粧材の表面に浸透防止層を形成した後、前記塗布液を前記原料基材に塗布して前記表面樹脂層を形成する工程を含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法。 - 請求項10に記載のメラミン樹脂化粧板の製造方法において、
前記浸透防止材は、エマルジョン樹脂を含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法。 - 請求項9に記載のメラミン樹脂化粧板の製造方法において、
第2の工程の後、前記化粧材の裏面側に、コア材を積層配置し、表面樹脂層の設けられた前記化粧材と、前記コア材とを熱プレスにより接合する第3の工程をさらに含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法。 - 請求項9に記載のメラミン樹脂化粧板の製造方法において、
前記シリコーン樹脂は、アミノ基含有シリコーン樹脂を含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法。 - 請求項9に記載のメラミン樹脂化粧板の製造方法において、
前記シリコーン樹脂は、カルビノール変成シリコーン樹脂を含むことを特徴とするメラミン樹脂化粧板の製造方法。
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