JP2005342805A - ラジアスエンドミル及びそれを用いた切削加工方法 - Google Patents

ラジアスエンドミル及びそれを用いた切削加工方法 Download PDF

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英利 寒河江
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Abstract

【課題】 微小曲面を高精度で効率の高い鏡面切削加工ができる加工方法を提供する。
【解決手段】 丸棒状のシャンク部材14と、該丸棒状のシャンク部材の先端に装着され円弧状の切れ刃をもつチップ11とから成るエンドミル工具を前提として、該シャンク部材には、エンドミル工具の先端に向けて先細りとなるコーン形状部が形成されており、該コーン形状部の一部は取り外し可能な部材13から成り、該取り外し可能な部材に対して上記チップが接着されていることである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、曲率半径が1mm以下の円弧状の切れ刃を持つ単結晶ダイヤモンドエンドミルの構造に関し、丸棒材の工具シャンクに対するダイヤモンドチップの位置決めを自在に調整することができるラジアスエンドミル構造に関するものであり、曲率半径が10mm以下である微細な曲面を持つ光学素子や成形用部材の製作に適用することができる。成形用部材とは光学面を転写するための入れ子であり、この光学面加工に適用するものである。
対象形状としては回転対称に限らず非回転対称であっても適用可能であり、光学素子のみならず、電場や磁場等のエネルギーを照射又は制御するための精密加工部品の加工技術としても適用可能である。
超精密切削加工法は、曲面形状加工において生産性が高く高精度であることから、数mm〜数μm程度の周期構造やこれをピッチとするレンズアレイ加工など、微細構造の加工に適用される場合が増えてきた。表面粗さを50nmRy程度の鏡面とし、サブミクロンレベルの形状精度を得る加工方法として、その効率の高さから単結晶ダイヤモンドバイトによるフライカッティングが主流となっている。単結晶ダイヤモンドバイトによる従来のフライカッティグは、図10に示すように、回転軸部材124に固定されたフライホイール125の外周に1枚刃のダイヤモンドチップ121を取り付けて、これを回転し走査することにより、自由曲面を有する被加工部材120の加工を実施していた。この図10からも明らかなように、この従来の事例は被加工面の曲率半径が充分大きい場合である。上記のような微細形状の加工においては、被加工面の曲率半径が極めて小さくなっており、これに対応するために、図9(b)に示すようにフライホイールを介さず、シャンク104に直接ダイヤモンドチップ111を取り付けたボールエンドミルが活用されていた。
このボールエンドミル工具における問題点は、特開2002−361510号公報にも記載されているように、工具先端部で周速が得られないことである。この工具先端部のゼロ周速となる箇所をなくすために、図9(b)において“S”で示されているように、回転中心近傍の切れ刃を無くして“逃げ”を設けた形態が採用されていた。このように“逃げ”を形成すると当然その部分に切り残し部が生ずることとなり、上記公開公報に記載されているものにおいては、この切り残し部を除去するために、自転するボールエンドミルがさらにもう一つの軸周りに公転できるような構成となっている。このように構成することによって切り残し部は除去し得るが、図9(b)に示されているように、工具先端部には“逃げ”の形成によって生じた角部111aが形成されており、これが仕上げ面に円弧状の擦過キズ110aを形成して加工面品位を劣化させるという問題を発生している(図9(a))。
また、図9(b)に示すような工具形態では、シャンク104に対してダイヤモンドチップ111を直接ろう付けする構造であるため、シャンク104に対するダイヤモンドチップ111の位置決め精度が充分に得られず、更にろう付け後の微調整も困難であるという問題を有していた。
特開2002−361510号公報
本発明の課題は、丸棒状の工具シャンクに対するダイヤモンドチップの位置決め調整や取り外しを自在にし、1本のエンドミル工具をラジアスエンドミルとボールエンドミルの2つの用途に使用可能にして、切り残し部を生じることなく加工面品位を高くすることにより、従来技術の問題を解決することである。また、このようなエンドミル工具を用いて、微小曲面を高精度で効率の高い鏡面切削加工ができる加工方法を提供することである。
上記課題に対する解決手段は、丸棒状のシャンク部材が取り外し可能な部材を備えており、この取り外し可能な部材に対して円弧状の切れ刃をもつチップを接着することが基本となっている。
〔解決手段1〕(請求項1に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段1は、丸棒状のシャンク部材と、該丸棒状のシャンク部材の先端に装着され円弧状の切れ刃をもつチップとから成るエンドミル工具を前提として、該シャンク部材には、エンドミル工具の先端に向けて先細りとなるコーン形状部が形成されており、該コーン形状部の一部は取り外し可能な部材から成り、該取り外し可能な部材に対して上記チップが接着されていることである。
〔作 用〕
シャンク部材に対してチップの位置を調整することが可能であり、またチップを取り外すことによってチップの再研磨をすることができる。シャンク部材の先端をコーン形状に形成しているので、微細曲面加工においてシャンク部材による干渉を回避することができる。
〔実施態様1〕(請求項2に対応)
実施態様1は、上記解決手段1の切削工具において、チップが接着された取り外し可能な部材は、少なくとも1本のクランプネジによってシャンク部材に締結可能であり、該クランプネジを中心とした任意の回転位置において、該シャンク部材に対して締結されることである。
〔作 用〕
チップが接着された取り外し可能な部材をクランプネジを中心とした任意の回転位置おいて固定することができるので、工具開き角ωを任意に調整することができる。
〔実施態様2〕(請求項3に対応)
実施態様2は、上記解決手段1又は実施態様1の切削工具において、シャンク部材のコーン形状部は少なくとも2つ以上の取り外し可能な部材を有し、該取り外し可能な部材の少なくとも1つには円弧状の切れ刃をもつチップが接着され、該2つの以上の取り外し可能な部材は相対的な位置が調整されて該シャンク部材に締結されることにより、工具が有するアンバランス量を低減することである。
〔作 用〕
2つ以上の取り外し可能な部材の相対的な位置を調整することにより、工具単体でのバランス調整が可能であり、高速回転で使用することができる。
〔実施態様3〕(請求項4に対応)
実施態様3は、上記実施態様1、又は実施態様2の切削工具において、チップにおける円弧状の切れ刃の曲率中心とクランプネジ穴の中心とを結んだ直線が回転軸線となす角をωとするとき、該ωの値を任意に調整することにより、ラジアスエンドミルとしての加工とボールエンドミルとしての加工を1本の工具で実施できることである。
〔作 用〕
チップが接着された取り外し可能な部材をクランプネジを中心とした任意の回転位置に固定することにより、工具開き角ωを大きく調整することができるので、ラジアスエンドミルとしての機能と、ボールエンドミルとしての機能を1本の工具に集約することができる。ボールエンドミルとしては、円弧状の切れ刃の曲率中心を回転軸線よりわずかにずらした擬似的なボールエンドミルとすることができる。
〔実施態様4〕(請求項5に対応)
実施態様4は、上記実施態様3の切削工具において、ωの値は0度を含まない任意の値で調整し、工具回転時にチップがそのスクイ面側より被加工物に接する範囲において用いることである。
〔作 用〕
ωの値がこの範囲となるように使用することによって、むしれや擦過キズが生じない高品位な鏡面切削を行うことが可能である。
〔実施態様5〕(請求項6に対応)
実施態様5は、上記解決手段1、又は実施態様1〜実施態様4のいずれかの切削工具において、円弧状の切れ刃をもつチップは単結晶ダイヤモンドから成り、取り外し可能な部材への接着面は、スクイ面と反対側の面であることである。
〔作 用〕
取り外し可能な部材とチップとの接着(ろう付け)を剥離することなく、チップの再研磨をすることが可能である。
〔実施態様6〕(請求項7に対応)
実施態様6は、上記実施態様5の切削工具において、チップのスクイ面がシャンク部材と接触しないように、該チップのスクイ面と該シャンク部材との間に空隙が設けられていることである。
〔作 用〕
チップのスクイ面とシャンク部材との間に空隙が設けられているので、チップのスクイ面の高さを調整をすることが可能である。
〔実施態様7〕(請求項8に対応)
実施態様7は、上記実施態様5の切削工具において、チップのスクイ面とその反対面との距離であるチップ厚さが、少なくとも10μm以上であることである。
〔作 用〕
工具製作時の研磨及び加工時の耐久性において、経験的に得られた必要寸法である。10μm以上の厚さを設けることにより、制作時及び切削加工に使用する時の安定性を確保することが可能である。
〔解決手段2〕(請求項9に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段2は、上記解決手段1、又は実施態様1〜実施態様7のいずれかに記載の切削工具を用いて、被加工面上の工具接触領域の中心における法線と工具の回転軸とを平行とした姿勢を保ちながら、該切削工具を走査して曲面を切削加工する切削加工方法である。
〔作 用〕
工具の被加工物への接触状態は、バスタブ形状の底面を加工する場合と同様に連続切削状態となるので、工具の振動が抑制されると共に、広い工具接触域をとることが可能となるので、少ない工具走査により広い面積の切削加工を行うことができる。
〔解決手段3〕(請求項10に対応)
上記課題を解決するために講じた解決手段3は、上記解決手段1、又は実施態様1〜実施態様7のいずれかに記載の切削工具であって、チップにおける円弧状の切れ刃の曲率中心とクランプネジ穴の中心とを結んだ直線が回転軸線となす角ωの値を、上記実施態様4において特定した範囲内で極力小さくした擬似的なボールエンドミルを用いて、工具の回転軸と切り込み方向であるZ軸とを平行とした姿勢を保ちながら切削を行う第1の工程と、該工具の回転軸を切り込み方向であるZ軸に対して傾けた姿勢を保ちながら、該第1の工程での削り残しを除去する第2の工程により切削加工する切削加工方法である。
〔作 用〕
本切削加工方法によれば、通常のボールエンドミルとしてのツールパスで加工することができるため、汎用のCADCAMシステムによりツ−ルパスを生成することが可能である。
本発明の効果を主な請求項毎に整理すると次ぎのとおりである。
(1) 請求項1に係る発明
シャンク部材に対してチップの位置を調整することができる。また、チップを取り外すことによりチップの再研磨をすることができる。そして、シャンク部材の先端がコーン形状に形成されているので、微細曲面加工においてシャンク部材の干渉を容易に回避することができる。
(2) 請求項2及び請求項4に係る発明
チップが接着された取り外し可能な部材をクランプネジを中心とした任意の回転位置において固定することにより、工具開き角ωを大きく調整することができるので、ラジアスエンドミルとしての機能と、ボールエンドミルとしての機能を1本の工具に集約することができる。ボールエンドミルとしては、円弧状の切れ刃の曲率中心を回転軸線よりわずかにずらした擬似的なボールエンドミルとすることができる。
(3) 請求項3に係る発明
2つ以上の取り外し可能な部材の相対的な位置を調整することにより、工具単体におけるバランスを調整することができ、高速回転で使用することができる。これにより、微小曲面の加工効率を高くすることができる。
(4) 請求項5に係る発明
ωの値がこの範囲となるように使用することによって、むしれや擦過キズの発生がない高品位な鏡面切削を行うことが可能である。
(5) 請求項6及び請求項7に係る発明
取り外し可能な部材とチップとの接着(ろう付け)を剥離することなく、チップの再研磨をすることが可能である。また、該チップのスクイ面とシャンク部材との間に空隙が設けられているので、チップのスクイ面の高さを調整をすることができる。
(6) 請求項8に係る発明
チップ厚さを10μm以上にすることにより、制作時及び切削加工に使用する時の安定性を確保することができ、耐久性も向上する。
(7) 請求項9に係る発明
工具の被加工物への接触状態が連続切削状態となり、工具の振動が抑制されると共に、広い工具接触域をとることができるので、少ない工具走査によって広い面積の切削加工を低振動で実施することができる。これにより、高精度かつ高効率の鏡面切削加工を実現することができる。
(8) 請求項10に係る発明
本切削加工方法によれば、通常のボールエンドミルとしてのツールパスで加工することができるため、汎用のCADCAMシステムによりツ−ルパスを生成することが可能であり、従来では成し得なかった微小な自由曲面の鏡面切削加工を容易に実現することが可能である。
丸棒状の工具シャンクに対するダイヤモンドチップの位置決め調整や取り外しを自在にして、むしれや擦過キズが生じない高品位の鏡面切削を行うという目的を、丸棒状のシャンク部材が取り外し可能な部材を備えると共に、この取り外し可能な部材に対して円弧状の切れ刃をもつチップを接着する、という比較的簡単な構成により実現した。
ここで、本発明の実施例1及び実施例2について説明する前に、実施例に関する概要を説明する。
切れ刃の逃げ部によって擦過キズを生成しないように、直線的な稜線による逃げ部をなくし、円弧状の切れ刃稜のみが被加工面へ作用する形態とした。ゼロ周速部での工具の逃げは円弧状の切れ刃稜のみを活用する構成とした。これは円弧状の切れ刃の曲率中心を回転軸線に対して5〜10μm程度オフセットすることにより、その機能を持たせている。このような微調整のために、工具切れ刃の回転軸線に対する位置決めを容易にする構造とした。工具先端を取り外し可能な別部材として分割し、この別部材に円弧状の切れ刃を持つダイヤモンドチップを接着した。この別部材はクランプネジを中心に回転可能として、任意の角度姿勢で締結可能としている。円弧状の切れ刃の曲率中心とクランプネジ穴の中心を結んだ直線が回転軸線となす角をωとするとき、ωを30°程度に充分大きくとればラジアスエンドミルとしての加工が実施可能であり、ボールエンドミルでは加工が難しいバスタブ形状の底面部や立ち壁部を高効率で加工することが可能となる。また、ダイヤモンドチップの使用により、従来では成し得なかったバスタブ形状の鏡面切削が実施可能となる。
本発明の実施例1(請求項1,2,4〜8に対応)について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1はラジアスエンドミルの構成を示す図であり、図2はラジアスエンドミルを構成する単結晶ダイヤモンドチップの形状を示す図である。
この実施例1のラジアスエンドミルの先端部は、丸棒状のシャンク本体であるシャンク部材14に対して、回動可能であって取り外しができるチップ取り付け用部材13がクランプネジ12により締結されて構成されている。該チップ取り付け用部材13には単結晶ダイヤモンドチップ11がろう付けされており、該単結晶ダイヤモンドチップ11の上側面がスクイ面11aであり、その反対面がろう付けによる接着面11bである。また、上記シャンク部材14とチップ取り付け用部材13の先端部は、微細曲面加工においてシャンク部材による干渉を回避することができるように、コーン形状に形成されている。
このように構成することによって、上記単結晶ダイヤモンドチップ11のろう付けを剥離することなく、チップ取り付け用部材13をシャンク部材14から取り外すだけで、該スクイ面11aの再研磨を実施することができる。また、上記単結晶ダイヤモンドチップ11のスクイ面11aとシャンク部材14の間には隙間が設けてある。この隙間は、該スクイ面11aの高さを調整するためのものである。再研磨によってスクイ面11aの高さにずれが生じた場合など、チップ取り付け用部材13の上面13aを削り取ることにより、スクイ面11aの高さの微調整をすることができる構造となっている。
図1(c)に示されている裏面図は、ラジアスエンドミルの先端部を単結晶ダイヤモンドチップの接着面11b側から見たものである。この図において、チップ取り付け用部材13はクランプネジ12を中心に回動されており、回転軸線5に対して傾けられた状態で締結されている。円弧状の切れ刃の曲率中心Pとクランプネジ穴の中心Qを結んだ直線PQが回転軸線5となす角(工具開き角)をωとすると、実線で図示されている例では工具開き角ωが約30°に設定され、ラジアスエンドミルとしての加工が実施できる形態となっている。
また、破線により図示されている例では、工具開き角ωを極力小さく設定して擬似的なボールエンドミルとして用いる際の形態となっている。図中dは切れ刃の曲率中心Pと回転軸線5との距離(オフセット量)を示しており、単結晶ダイヤモンドチップ11を用いる場合は5〜20μmに設定する場合が多い。
上記単結晶ダイヤモンドチップ11は、図2に示されているような形状を有しており、円弧状の切れ刃稜の有効域を示すθは、通常ウインドアングルと呼ばれているものである。図1(c)に示されている工具開き角ωの調整幅を考慮すると、該ウインドアングルθは大きいほど望ましく、本実施例においては120°に設定されている。αは円弧状の切れ刃に沿った逃げ角を示し、tはチップ厚さを示している。円弧状の切れ刃の曲率中心Pを回転軸線5に極めて近付けたボールエンドミル形態としての加工においては、逃げ面干渉が生じやすい。これを避けるために工具送り速度も考慮して、上記α及びtの値を設定しなければならない。この実施例においては円弧状の切れ刃の曲率半径は100μm、逃げ角αは15°、チップ厚さtは20μmである。実際に工具スピンドルへ装着して、バックライト照明の投影像を拡大観察し、回転時の逃げ面干渉が無いことを確認している。
本発明の実施例2(請求項3〜8に対応)について、図3を参照しながら説明する。図3はラジアスエンドミルの構成を示す図である。
この実施例2のラジアスエンドミルは、上記実施例1のものにおいて、さらに回動可能なカウンタバランス用可動部材25を、シャンク部材24に対してクランプネジ12により締結したものであり、それ以外の構成は上記実施例1と同じである。このカウンタバランス用可動部材25は、チップ取り付け用部材23と対向する位置に設けられており、チップ取り付け用部材23の開き角(工具開き角)ω1とカウンタバランス用可動部材25の開き角ω2は、加工形態に合わせて初めにω1を決定し、これによって生じたアンバランスをω2の調整によってキャンセルする仕組みである。このように構成することにより、残留アンバラスを10mg・cm以下に低減し得ることが確認されている。これは空気静圧スピンドルを60000rpmで駆動するのに充分なバランス調整に相当する。
次に、本発明のエンドミルを用いたいくつかの加工形態について、図4〜図8を参照しながら具体的に説明する。
図4は加工形態の第1の具体例であり、バスタブ形状の被加工部材31の立ち壁部31aを鏡面切削している加工形態を示したものである。工具開き角ωを約30°とし、工具回転数は20000rpmである。シャンク部材14のシャンク径は6mm、単結晶ダイヤモンドチップ11における切れ刃部の曲率半径は1mmR、そして被加工部材の材質は銅合金である。事前にソリッドタイプの超硬合金製ボールエンドミルによって概略形状を形成した後、表層の数10μmを本発明のラジアスエンドミルで除去加工することにより、鏡面仕上げを行っている。立ち壁部13aの加工は等高線加工によって行い、同じ高さの立ち壁を加工するように、工具を水平方向に周回動作をさせると共に、深さ方向へ微少量ピックフィードして加工を行うものである。
図5は、本発明のエンドミルによる加工形態の第2の具体例であり、バスタブ形状の被加工部材31の底面部31bを鏡面切削している加工形態を示したものである。工具を直線に走査することにより、擦過キズを付けることなく底面部31bを鏡面仕上げすることが可能である。
単結晶ダイヤモンドチップ11のウインドアングルθが充分大きい場合には、工具開き角ωは広い範囲で使用可能であるが、二つの立ち壁が交差するフィレット部の曲率半径よりも切れ刃回転半径が小さくなる範囲で用いる必要がある。
図6は、本発明のエンドミルによる加工形態の第3の具体例であり、被加工部材32の凹球面32aを鏡面切削している加工形態を示したものである。この具体例の特徴は、工具接触域中心(加工領域中心)における加工面の法線7と工具の回転軸とを一致させながら、工具を走査している点である。これによって、工具の接触状態はバスタブ底面の加工と同様に連続切削状態となり、工具の振動が抑制され、また広い工具接触域をとることが可能となり、少ない工具走査により大面積の加工が低振動で実施することができるため、高精度かつ高効率の鏡面切削を実現することができる。そして、図7に示されている被加工部材33の凸球面33aの加工についても同様である。
また、本加工形態は球面加工に限定されるものではなく、自由曲面に対しても、被加工面の最小曲率半径に応じて、単結晶ダイヤモンドチップ11の円弧状の切れ刃の曲率半径と工具開き角ωを適宜調整することによって実施可能である。
図8は、本発明のエンドミルによる加工形態の第4の具体例であり、工具を擬似的なボールエンドミル形態として、被加工部材34の自由曲面34aを鏡面切削している加工形態を示したものである。むしれや上滑りのない範囲で工具開き角ωを極力小さく、例えばクランプネジ中心からバイト切れ刃までの距離を10mm、ωを0.1degとすることにより擬似的なボールエンドミル形態として、工具の回転軸を切り込み方向であるZ軸と平行姿勢として切削を行う第1の工程と、該回転軸をZ軸に対して傾けて該第1の工程での削り残しを除去する第2の工程によって、自由曲面34aの鏡面加工を行うものである。本加工形態によれば、通常のボールエンドミルとしてのツールパスにより加工することができるため、汎用のCADCAMシステムによってツ−ルパスの生成が可能である。50000rpm以上の高速工具スピンドルを用いる場合、むしれや上滑りを生じないための条件として、切れ刃の回転半径は数ミクロン程度で必要な切削速度を確保できる。このためωの値は0以上であれば、5秒(5/3600deg)程度でも使用可能である。
は、本発明における実施例1のラジアスエンドミルの構成を説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面の断面図、(c)は裏面図である。 は、本発明のラジアスエンドミルに用いる単結晶ダイヤモンドチップを説明する図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。 は、本発明における実施例2のラジアスエンドミル構成を説明する図であり、(a)は側面の断面図、(b)は裏面図である。 は、本発明のラジアスエンドミルによる加工形態の第1の具体例であり、バスタブ形状の立ち壁部を鏡面切削している形態を説明する図である。 は、本発明のラジアスエンドミルによる加工形態の第2の具体例であり、バスタブ形状の底面部を鏡面切削している形態を説明する図である。 は、本発明のラジアスエンドミルによる加工形態の第3の具体例であり、凹球面を鏡面切削している形態を説明する図である。 は、本発明のラジアスエンドミルによる加工形態の第4の具体例であり、凸球面を鏡面切削している形態を説明する図である。 は、本発明のラジアスエンドミルによる加工形態の第5の具体例であり、工具を擬似的なボールエンドミル形態として自由曲面を鏡面切削している形態を説明する図である。 は、従来の工具について説明する図であり、単結晶ダイヤモンドチップを切れ刃とするボールエンドミルにより、底面の切れ刃角部で擦過キズを形成してしまう問題を説明する図であり、(a)は工具の回転軸方向から見た図、(b)は工具の回転軸に直交する方向から見た図である。 は、従来の別の工具ついて説明する図である。フライホイールにバイトチップを取り付けるため、回転半径が大きく微小な曲面の加工に不向きであることを説明する図であり、(a)は切削加工時の斜視図、(b)は工具の回転軸に直交する方向から見た図である。
符号の説明
5:回転軸線 7:加工領域中心の法線
11:単結晶ダイヤモンドチップ 12:クランプネジ
13:チップ取り付け用部材 14:工具シャンク部材
ω:工具開き角
d:円弧状の切れ刃の曲率中心のオフセット量
θ:円弧状の切れ刃稜の有効域(ウインドアングル)
α:円弧状の切れ刃稜に沿った逃げ角 t:チップ厚さ
23:チップ取り付け用部材 24:工具シャンク部材
25:カウンタバランス用可動部材 ω1:工具開き角
ω2:カウンタバランス用可動部材の開き角
31:バスタブ形状の被加工部材 31a:バスタブ形状面の立ち壁部
31b:バスタブ形状面の底面部 32:凹球面をもつ被加工部材
32a:被加工部材の凹球面 33:凸球面をもつ被加工部材
33a:被加工部材の凸球面 34:自由曲面をもつ被加工部材
34a:被加工部材の自由曲面

110:鏡面仕上げが必要な水平面
110a:エンドミル先端で付けられた円弧状の擦過キズ
111:円弧状切れ刃を有するダイヤモンドチップ
111a:“逃げ”の形成による切れ刃の角部
S:エンドミル回転中心に設けた“逃げ”の半径
104:従来のボールエンドミルのシャンク部材
120:自由曲面をもつ被加工部材
121:円弧状切れ刃を有するダイヤモンドチップ
124:回転軸部材 125:フライホイール

Claims (10)

  1. 丸棒状のシャンク部材と、該丸棒状のシャンク部材の先端に装着され円弧状の切れ刃をもつチップとから成るエンドミル工具において、
    該シャンク部材には、エンドミル工具の先端に向けて先細りとなるコーン形状部が形成されており、
    該コーン形状部の一部は取り外し可能な部材から成り、
    該取り外し可能な部材に対して上記チップが接着されていることを特徴とする微細曲面の切削工具。
  2. 上記チップが接着された取り外し可能な部材は、少なくとも1本のクランプネジによって上記シャンク部材に締結可能であり、該クランプネジを中心とした任意の回転位置において、該シャンク部材に対して締結されることを特徴とする請求項1記載の微細曲面の切削工具。
  3. 上記シャンク部材のコーン形状部は少なくとも2つ以上の取り外し可能な部材を有し、該取り外し可能な部材の少なくとも1つには円弧状の切れ刃をもつチップが接着され、該2つの以上の取り外し可能な部材は相対的な位置が調整されて該シャンク部材に締結されることにより、工具が有するアンバランス量を低減することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の微細曲面の切削工具。
  4. 上記チップにおける円弧状の切れ刃の曲率中心とクランプネジ穴の中心とを結んだ直線が回転軸線となす角をωとするとき、該ωの値を任意に調整することにより、ラジアスエンドミルとしての加工とボールエンドミルとしての加工を1本の工具で実施できることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の微細曲面の切削工具。
  5. 上記ωの値は0度を含まない任意の値で調整し、工具回転時に上記チップがそのスクイ面側より被加工物に接する範囲において用いることを特徴とする請求項4記載の微細曲面の切削工具。
  6. 上記円弧状の切れ刃をもつチップは単結晶ダイヤモンドから成り、上記取り外し可能な部材への接着面は、スクイ面と反対側の面であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の微細曲面の切削工具。
  7. 上記チップのスクイ面がシャンク部材と接触しないように、該チップのスクイ面と該シャンク部材との間に空隙が設けられていることを特徴とする請求項6記載の微細曲面の切削工具。
  8. 上記チップのスクイ面とその反対面との距離であるチップ厚さが、少なくとも10μm以上であることを特徴とする請求項6記載の微細曲面の切削工具。
  9. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の切削工具を用いて、被加工面上の工具接触領域の中心における法線と工具の回転軸とを平行とした姿勢を保ちながら、該切削工具を走査して曲面を切削加工することを特徴とする微細曲面の切削加工方法。
  10. 請求項1〜請求項8のいずれかに記載の切削工具であって、チップにおける円弧状の切れ刃の曲率中心とクランプネジ穴の中心とを結んだ直線が回転軸線となす角ωの値を、請求項5において特定した範囲内で極力小さくした擬似的なボールエンドミルを用いて、
    工具の回転軸と切り込み方向であるZ軸とを平行とした姿勢を保ちながら切削を行う第1の工程と、該工具の回転軸を切り込み方向であるZ軸に対して傾けた姿勢を保ちながら、該第1の工程での削り残しを除去する第2の工程により切削加工することを特徴とする微細曲面の切削加工方法。
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