JP2005342756A - 金属製容器の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属板をプレス加工法による深絞り成形にて2つの有底円筒状の中間加工品を成形した後、当該の中間加工品の一つをその開口端縁部に拡径加工を施して雌側半体とするとともに、前記の中間加工品の他の一つをその開口端縁部にしわ押え力を付与しつつフランジアップを施して“しゃくれ”が軽減された雄側半体とし、さらにその後、前記雄側半体の開口端縁部に縮径加工を施して残存“しゃくれ”を除去し、“しゃくれ”が除去された当該雄側半体の開口端縁部を前記雌側半体の開口端縁部内に挿入し、挿入部の全周をレーザー溶接する。
【選択図】 図5
Description
この方法でマフラーシェルを製造しようとすると、工程が複雑になるばかりでなく、接合箇所も多いために接合に要する工数が増加し、結果的にコスト高となり易い。また溶接箇所が多いために、凝縮水が貯まりやすい部位をも接合せざるを得ず、当該部位の腐食により、金属製マフラーシェルの耐久性を低下させる場合もある。
そこで、プレス加工により円筒状に絞った後、開口端縁部にフランジアップを施し、2つの加工品の開口端縁部を異径にして互いに嵌め合わせ、嵌合部を溶接する方法も試みられている。
異径にした2つの絞り加工品の開口端縁部を嵌め合わせようとするとき、2つの加工品の間で径差が余りに小さいと嵌め合わせが困難になる。逆に径差が大きくなると2者間の隙間が大きくなり、その後の溶接が困難になる。殊にプレス加工で絞り加工品を製造しようとするとき、金型やプレス条件の変動により開口端縁部の径にバラツキが生じやすく、2者間の寸法差の調整が難しくなっている。また、絞り込んだ開口端縁部にフランジアップを施す際、弾性変形により周辺しわ・口辺しわが発生しやすい。本明細書中では、この周辺しわ・口辺しわを“しゃくれ”と称することとする。“しゃくれ”が発生すると、この“しゃくれ”の影響で嵌合部の隙間が大きくなり、その後の溶接が困難になる。
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、2つの深絞り加工品の開口端部を嵌め合わせ、嵌合部を溶接してマフラーシェルを製造する際に、開口・嵌合部の隙間を極力少なくし、かつ溶接効率を高めて、気密性の良い金属製容器を生産性良く製造する方法を提供することを目的とする。
2枚の板を溶接で接合しようとしたとき、例えばTIG溶接法で隅肉溶接する際には、図2に示すような、2枚間の隙間の大きさはさほど大きな問題とはならない。しかしながら、レーザー溶接法で2枚の板材を接合しようとする際には、2枚間の隙間が大きな問題となる。レーザー溶接法で、安定して溶接を続行させるためには、2枚の板間の隙間は板厚の約1/3以下にする必要がある。材料間の隙間が板厚の1/3を超えると、レーザー溶接が正常にできなくなる。
そこで、本発明者等は、簡便な方法で2枚の板間の隙間を極力小さくできる手法について検討した。
次に、トリミングした開口端縁部にフランジアップを施すとき発生しやすい“しゃくれ”の抑制方法について説明する。トリミングされた有底円筒状中間加工品を、パンチを用いて再度ダイス内に押し込むことにより行われる。この際、図10に示すように、開口端縁部にしわ押え力を付与した状態でパンチを押し込み、しゃくれ部に曲げ加工を施してフランジを倒す。本明細書中では、フランジを曲げ加工で倒すことも、広義の意味で“フランジアップ”と称することにする。
しわ押え力を付与した状態で押し込むことにより、しわの発生を防止するとともに、肉余りで外側に膨らむのを防止し、その結果として“しゃくれ”を軽減できることになる。
安定したレーザー溶接が行えるため、溶接部の品質が安定したマフラーシェルが歩留り良く、かつ高生産性で製造できることになる。
まず、深絞りのプレス加工を、通常のプレス装置を用いて行う。例えば図6に示されるような、ダイス1上に所要の金属板Mを載置し、その上から、しわ押え3でフランジ部を押えつつパンチ2を押し込んで、所要形状の一端が閉ざされた円筒状ボディ部を形成する。プレス加工後の断面形状は図7のようになっている。しわ押え力を付与しつつプレス加工を行っているので、しわの発生量が少なくなっている。このため、トリミングされた後の開口端縁部のフランジアップ施工時に生成しやすい“しゃくれ”の形成量を少なくすることができる。
外周がトリミングされた深絞り加工品の開口端縁部に曲げ加工であるフランジアップを施して接合し易いように成形加工する。このフランジアップにも、基本的にはダイスとパンチを利用する。円筒体の内径と同じ外径寸法を有するパンチを使用し、内径が前記深絞りしたときのダイスと同じ径のダイス中に押し込むと、図9(a)に示したように、開口端縁部は円筒状胴体部と連続面になるように同径寸法形状に変形される。また、内径が前記深絞りしたときのダイスよりも太い径の段付きダイス中に段付きパンチを用いて押し込むと、図9(b)に示したように、円筒状胴体部に対して段付き円筒形状の開口端縁部となる。
この開口端縁部のフランジアップの際に、“しゃくれ”の形成量を少なくするために、前記したように、図10に示した、しわ押えを使用し、開口端縁部にしわ押え力を付与した状態でフランジアップを施す。
図11に示したような先端に湾曲面が形成された凹部を有する矯正金型D中に、雄側半体となる深絞り中間加工品Nの開口部側を押し込んで、開口端縁部に形成されている“しゃくれ”Sを円筒部の内側に縮み込ませることで、先端を内側に縮まる方向に縮径変形加工させることができる。この際、矯正金型Dの先端底部に形成しておく湾曲面の曲率半径Rは、矯正すべき深絞り中間加工品Nの板厚の2倍以上にしておくことが好ましい(図12(a))。Rが小さいと内側に縮み込ませる縮径変形加工が円滑に行い難い。
金型Dの凹部先端をテーパー形状にすると、上方から押し込まれた深絞り中間加工品の開口端縁部は、“しゃくれ”が解消されると同時に縮径された形状となるために、雄側半体となる深絞り中間加工品の小径開口端縁部を、雌側半体となる大径開口端縁部に挿入しやすくなる。
マフラーシェルの胴体部を溶接法で接合する際、本発明の適用により、簡便な方法で隙間の小さい挿入部を得ることができるので、効率の良いレーザー溶接法が適用でき、気密性が良く、また耐久性に優れたマフラーシェルが生産性良く製造される。
なお、雌側半体の深絞り中間加工品開口端縁部内に、雄側半体の深絞り中間加工品開口端縁部を挿入するとき、あるいはそれ以前に、深絞り中間加工品に接続パイプ及び/又は内部構造物が装着されていても良い。
また、上記で説明した方法は、マフラーシェルの製造方法に限らず、同形状の金属製容器の製造に適用できることは言うまでもない。
この供試材を図6に示すプレス装置を使用し、次の表1に示すようなプレス加工条件で深絞り成形した。
この深絞り中間加工品のフランジ部にプレス法でトリミングを施し、形成された開口端縁部の外周をφ235mmの円形に整えた。
そして、トリミングされた当該深絞り中間加工品を雄側半体とするために、中間加工品の開口端縁部に径200.0mmのパンチ及び径202.5mmのダイスを用いたプレス加工によりフランジアップを施し、次に、フランジアップされた開口端縁部の“しゃくれ”を解消するとともに、縮径するために、図12(b)で示すθ=16.7度のテーパーを付したダイス内に上記フランジアップされた中間加工品の開口端縁部を押込んだ。
そして、前記雌側半体の段付き円筒形状を有する拡径開口端縁部に、上記雄側半体の縮径開口端縁部を挿入し、接触線に沿ってレーザー溶接して気密性の高いステンレス鋼製マフラーシェルを得た。
Claims (1)
- 金属板をプレス加工法による深絞り成形にて2つの有底円筒状の中間加工品を成形した後、当該中間加工品の一つをその開口端縁部に拡径加工を施して雌側半体とするとともに、前記中間加工品の他の一つをその開口端縁部にしわ押え力を付与しつつフランジアップを施してしゃくれが軽減された雄側半体とし、さらにその後、前記雄側半体の開口端縁部に縮径加工を施して残存しゃくれを除去し、しゃくれが除去された当該雄側半体の開口端縁部を前記雌側半体の開口端縁部内に挿入し、挿入部の全周を高エネルギー溶接にて気密接合することを特徴とする金属製容器の製造方法。
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2004
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