JP2005205488A - 金属管の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 同一金型を用いた曲げ加工,ハイドロフォーミングにより、素管M0から製品プロフィールをもつ製品管M2を製造する。
【解決手段】 凹内面1aをもつ受け金型1と凸内面2aをもつ押し金型2との合せ面に軸押しパンチ5,6を備え、凹内面1aに穿設した孔部3にカウンターパンチ4を挿入したハイドロフォーミング金型を用い、ハイドロフォーミング金型にセットした素管M0内に加圧流体を送り込み、軸押しパンチ5,6を金型方向に押し込んで素管M0に圧縮力を加えながら、素管M0を曲管M1に曲げ加工する。次いで、曲管M1に圧縮力,内圧Pを加えながら加工中の張出し高さに同調してカウンターパンチ4を製品プロフィールに相当する位置まで移動させ、曲管M1を製品管M2に成形する。
【選択図】 図1
【解決手段】 凹内面1aをもつ受け金型1と凸内面2aをもつ押し金型2との合せ面に軸押しパンチ5,6を備え、凹内面1aに穿設した孔部3にカウンターパンチ4を挿入したハイドロフォーミング金型を用い、ハイドロフォーミング金型にセットした素管M0内に加圧流体を送り込み、軸押しパンチ5,6を金型方向に押し込んで素管M0に圧縮力を加えながら、素管M0を曲管M1に曲げ加工する。次いで、曲管M1に圧縮力,内圧Pを加えながら加工中の張出し高さに同調してカウンターパンチ4を製品プロフィールに相当する位置まで移動させ、曲管M1を製品管M2に成形する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両用排気管を始め、曲管部や分岐部をもつ各種流体輸送管の製造に適した加工方法に関する。
自動車,二輪車等の車両用排ガス系統には、車体形状に応じて曲げ加工,バルジ加工した金属管や所定個所に分岐口を空けた金属管が使用されている。通常は、所定形状にプレス加工した素管を溶接する方法で製造されるが、複雑形状の素管を溶接しているので溶接不良,溶接部の強度低下等が生じやすい。プレス,溶接の多工程を経ることは製造コスト低減のネックでもあり、工数の削減が望まれている。
複雑形状の製品管を製造する方法として、割り型にセットした素管の内部に高圧流体を導入し、流体圧で割り型の内面形状に対応するプロフィールに素管を成形するハイドロフォーミング法が知られており、車両用排ガス系統への適用も検討されている。家電,空調,サニタリ,建築,電力,ガス,水道等の分野で使用される曲管や分岐管も同様な方法で製造可能である。
複雑形状の製品管を製造する方法として、割り型にセットした素管の内部に高圧流体を導入し、流体圧で割り型の内面形状に対応するプロフィールに素管を成形するハイドロフォーミング法が知られており、車両用排ガス系統への適用も検討されている。家電,空調,サニタリ,建築,電力,ガス,水道等の分野で使用される曲管や分岐管も同様な方法で製造可能である。
ハイドロフォーミングされる素管は、通常、中間段階の曲管形状に予成形されている。被加工物に鋼管を使用する場合、別工程で鋼管を予成形した後、ハイドロフォーミング用金型に鋼管をセットし、内圧,軸押込みによって目標形状に成形する。しかし、予成形工程で曲げ加工された金属管は曲げ部の肉厚が増減しており、ハイドロフォーミング時に加わる内圧,軸押込み力に対する変形抵抗が肉厚に応じて異なるため、割れ,皺等の加工欠陥が発生しやすい。なかでも、曲げ部外側の肉厚は、張出し加工が困難な程度に著しく減少する傾向にある。
曲げ加工時の偏肉は、浮動プラグを素管に挿入した状態で曲げ加工することにより抑制される(特許文献1)。素管内径よりも大きな径の浮動プラグを素管に挿入し、浮動プラグを相対移動させながら拡管,曲げ加工すると、曲げ方向に沿って浮動プラグが偏心し、管軸方向の圧縮変形が偏心側で大きくなり、曲げ部の扁平,偏肉が抑えられる。
ハイドロフォーミング時、張出し部となる側の素管押込み量を大きく設定することによっても偏肉が少なくなる。局部的に大きな押込み量は、管端が傾斜した素管や段部付き拡径部を管端に形成した素管を使用することにより達成できる(特許文献2)。
特公平6-42967号公報
特開2003-71528号公報
ハイドロフォーミング時、張出し部となる側の素管押込み量を大きく設定することによっても偏肉が少なくなる。局部的に大きな押込み量は、管端が傾斜した素管や段部付き拡径部を管端に形成した素管を使用することにより達成できる(特許文献2)。
しかし、ハイドロフォーミング前に別途曲げ加工又は予成形することは、工数の増加を意味し、生産性向上のネックとなりやすい。曲げ又は予成形工程からハイドロフォーミング工程に素管を搬送しセットすることや、比較的作業スペースの少ない工場内空間を有効利用する上でも改善の余地があり、同一設備を用いた曲げ加工,ハイドロフォーミングが望まれる。
本発明は、素管曲げ加工時のメタルフローに関する調査・検討結果から得られた知見をベースとし、曲げ加工時の素管に圧縮力を加え、ハイドロフォーミング時にカウンターパンチを移動制御することにより、同一金型内での曲げ加工,ハイドロフォーミングによって素管を加工欠陥のない製品プロフィールに成形することを目的とする。
本発明は、製品プロフィールを区画する凹内面をもつ受け金型と凸内面をもつ押し金型との合せ面両側に軸押しパンチを備え、凹内面に穿設した孔部にカウンターパンチを移動自在に設けたハイドロフォーミング金型を用い、同一金型内で素管を曲げ加工し、製品プロフィールにハイドロフォーミングする。
ハイドロフォーミング金型にセットした素管内に加圧流体を送り込み、軸押しパンチを金型方向に押し込んで素管に圧縮力を加えながら、受け金型に押し金型を押し込んで素管を曲管に曲げ加工する。次いで、曲管に圧縮力及び内圧を加えながら加工中の張出し高さに同調してカウンターパンチを製品プロフィールに相当する位置まで移動させ、曲管を製品管に成形する。
曲げ加工時には、軸押しパンチの押込みにより曲管の長手方向線長を素管長さ以下に設定することが好ましい。加圧開始当初から軸押込みによる圧縮,内圧が素管に加えられるが、内圧-軸押込み量の二次元平面において割れ限界線,皺座屈限界線,張出し高さ限界線で区画される領域内で軸押込み量,内圧を増加させると、割れ,皺,座屈等の加工欠陥が抑えられた製品プロフィールに成形される。割れ限界線,皺座屈限界線,張出し高さ限界線は、素管の材質,サイズ,製品プロフィールの張出し部形状に応じて予め作成できる。
本発明では、素管M0の外径に対応するサイズの溝が形成された受け金型1,押し金型2を組み合わせたハイドロフォーミング用金型に使用している(図1a)。金型1,2の内面1a,2aは、製品プロフィールに対応するキャビティを区画する。受け金型内面1aは中央が凹んだ凹面に形成されており、素管M0の管軸方向に直交する孔部3がほぼ中央に開口している。孔部3には、孔部3の長手方向に沿って移動可能なカウンターパンチ4が挿入される。押し金型内面2aは凸曲面をもち、中央の突出部2bが孔部3に対向している。
金型1,2の合せ面に、両側から軸押しパンチ5,6が挿し込まれている。軸押しパンチ5,6は、素管M0の管軸方向に沿って移動可能に配置される。
曲げ加工では、素管M0に内圧を加えながら受け金型1に押し金型2を押し込むことにより、素管M0が中間形状の曲管M1に成形される(図1b)。受け金型1の押込みと同時に軸押しパンチ5,6を管軸方向に押し込み、素管M0の圧縮変形で生じるメタルフローによって曲げ変形時の肉不足を解消する。
曲げ加工では、素管M0に内圧を加えながら受け金型1に押し金型2を押し込むことにより、素管M0が中間形状の曲管M1に成形される(図1b)。受け金型1の押込みと同時に軸押しパンチ5,6を管軸方向に押し込み、素管M0の圧縮変形で生じるメタルフローによって曲げ変形時の肉不足を解消する。
曲げ加工時に軸押しパンチ5,6の押込みにより曲管M1の長手方向線長L1を素管長さL0以下に設定すると、パンチ5,6の押込みで生じたメタルフローにより曲げ外周部分の線長増加に伴う肉厚減少が抑えられる。
次いで、内圧Pを加えながら軸押しパンチ5,6を曲管M1に更に押し込むと、加工中の張出し高さに同調してカウンターパンチ4が移動し、目標とする製品プロフィールに成形される(図1c)。偏肉が抑えられた曲管M1から製品管M2が成形されるので、従来のハイドロフォーミングで生じがちであった割れ,皺等の加工欠陥がない良好な形状の製品管M2が得られる。
次いで、内圧Pを加えながら軸押しパンチ5,6を曲管M1に更に押し込むと、加工中の張出し高さに同調してカウンターパンチ4が移動し、目標とする製品プロフィールに成形される(図1c)。偏肉が抑えられた曲管M1から製品管M2が成形されるので、従来のハイドロフォーミングで生じがちであった割れ,皺等の加工欠陥がない良好な形状の製品管M2が得られる。
素管M0が曲管M1を経て製品管M2に成形加工される際、軸押しパンチ5,6の軸押込みによって張出し部Bに材料が供給され、張出し部Bの減肉が抑制される。内圧に対する軸押込み量の比率が大きくなるほど大きな減肉抑制効果が得られるが、過剰な軸押込み量は皺発生の原因となるので、内圧負荷に対する最適な比率で軸押込みする必要がある。そこで、素管の材質,サイズ,製品プロフィールの張出し部形状に応じて割れ限界線,皺座屈限界線,張出し高さ限界線を予め作成しておき、内圧-軸押込み量の二次元平面において割れ限界線,皺座屈限界線,張出し高さ限界線で区画される領域内で内圧,軸押込み量を増加させることが好ましい。
割れ限界線,皺座屈限界線は、たとえば次の手順で求められる。
金型1,2にセットした素管M0に加える軸押込み量U,内圧Pを一定比率で負荷する負荷経路G(ΔP/ΔU)で増加させ、皺や割れの発生状況を調査する。比率Gを種々変えながら、皺や割れが発生した時点の軸押込み量U,内圧Pを測定する。測定結果を軸押込み量U-内圧Pの二次元平面にプロットし、割れが発生した座標位置を結ぶと割れ限界線W,皺や座屈が発生した座標位置を結ぶと皺座屈限界線Sが求められる(図2)。割れ限界線W,皺座屈限界線Sに挟まれた座標領域が、割れや皺の発生がなく製品プロフィールに成形できる加工条件を表す。割れ限界線W,皺座屈限界線Sは、素管M0の材質,サイズ,製品プロフィールに応じて定まる特性曲線であることから、予め作成しておくことが可能である。
金型1,2にセットした素管M0に加える軸押込み量U,内圧Pを一定比率で負荷する負荷経路G(ΔP/ΔU)で増加させ、皺や割れの発生状況を調査する。比率Gを種々変えながら、皺や割れが発生した時点の軸押込み量U,内圧Pを測定する。測定結果を軸押込み量U-内圧Pの二次元平面にプロットし、割れが発生した座標位置を結ぶと割れ限界線W,皺や座屈が発生した座標位置を結ぶと皺座屈限界線Sが求められる(図2)。割れ限界線W,皺座屈限界線Sに挟まれた座標領域が、割れや皺の発生がなく製品プロフィールに成形できる加工条件を表す。割れ限界線W,皺座屈限界線Sは、素管M0の材質,サイズ,製品プロフィールに応じて定まる特性曲線であることから、予め作成しておくことが可能である。
素管M0が曲管M1を経て製品管M2に成形加工される際、加工段階に応じて軸押込み量U,内圧Pを上昇させるが、割れ限界線W,皺座屈限界線Sを横切らない経路(1)→(2)を経るとき、割れや皺のない製品プロフィールに成形できる。
割れ限界線W,皺座屈限界線Sに加え張出し高さ限界線hを予め求めておくことで、張出し部Bの張出し高さhを制御できる(図3)。張出し高さ限界線hは,図2に示すように種々の負荷経路によって求めた同一の張出し高さの座標を結ぶことにより得られる。目標とする張出し高さをもつ製品管M2は、割れ限界線W及び皺座屈限界線Sで挟まれた座標領域を通り張出し高さ限界線h以上の軸押込みで内圧を負荷することにより成形できる。
割れ限界線W,皺座屈限界線Sに加え張出し高さ限界線hを予め求めておくことで、張出し部Bの張出し高さhを制御できる(図3)。張出し高さ限界線hは,図2に示すように種々の負荷経路によって求めた同一の張出し高さの座標を結ぶことにより得られる。目標とする張出し高さをもつ製品管M2は、割れ限界線W及び皺座屈限界線Sで挟まれた座標領域を通り張出し高さ限界線h以上の軸押込みで内圧を負荷することにより成形できる。
このように曲げ加工,ハイドロフォーミングを組み合わせるとき、一連の工程を同一金型で実施でき、予成形工程が別途必要であった従来のハイドロフォーミング法に比較して生産性が飛躍的に向上する。オーステナイト系は勿論、難加工性材料であるフェライト系のステンレス鋼管も欠陥のない製品プロフィールに成形でき、ステンレス鋼本来の優れた耐食性,高温強度,高温疲労特性等を活用した製品が得られる。
直径:45mm,長さ:300mm,肉厚:2.0mmのSUS430ステンレス鋼高周波溶接管を素管M0に用いた。図4の寸法をもつS50C工具鋼製金型を受け金型1,押し金型2に使用し、素管M0と金型1,2との間に粘度:67mm2/sのプレス加工油を塗布した。
金型1,2に素管M0をセットした後、内圧P:41MPaを素管M0に加えた状態で押込み圧:150トンで押し金型2を49.7mmまで押し込み型締めした。このとき、押し金型2の押込みに同調して、9.8mmづつ各軸押しパンチ5,6を素管M0に押し込んだ。成形された曲管M1(図5)の外周部Moutの最大減肉率を式(1)に従って計算したところ5%であった。
減肉率(%)=(素管肉厚−曲げ後の外周部肉厚)/素管肉厚×100 ・・・・(1)
金型1,2に素管M0をセットした後、内圧P:41MPaを素管M0に加えた状態で押込み圧:150トンで押し金型2を49.7mmまで押し込み型締めした。このとき、押し金型2の押込みに同調して、9.8mmづつ各軸押しパンチ5,6を素管M0に押し込んだ。成形された曲管M1(図5)の外周部Moutの最大減肉率を式(1)に従って計算したところ5%であった。
減肉率(%)=(素管肉厚−曲げ後の外周部肉厚)/素管肉厚×100 ・・・・(1)
次いで、最終的な内圧Pを168MPa,軸押しパンチ5,6それぞれの追加押込み量を28mmに設定し、曲管M1を製品管M2にハイドロフォーミングした(図6)。ハイドロフォーミング時、加工の進展に伴い比例関係で内圧P,軸押込み量Uを増加させた(図7)。製造された製品管M2(図8)について、張出し部Bの最大減肉率を式(2)に従って算出したところ25%であった。
減肉率(%)=(素管肉厚−張出し部の肉厚)/素管肉厚×100 ・・・・(2)
減肉率(%)=(素管肉厚−張出し部の肉厚)/素管肉厚×100 ・・・・(2)
更に、曲げ加工,ハイドロフォーミング時の加工条件を種々変更し、曲管M1,製品管M2への成形に及ぼす影響を調査した。表1の調査結果にみられるように、内圧Pを加えながら所定の軸押込み量で曲げ加工する工程,圧縮力及び内圧Pを加えながらハイドロフォーミングする工程の組合せ(パターン3)によって初めて割れや皺がない目標形状の製品管M2を製造できることが判った。
直径:45mm,長さ:350mm,肉厚:2mmのSUS430ステンレス鋼高周波溶接管を素管M0に用い、実施例1と同じ製品プロフィールに曲げ,ハイドロフォーミングした。素管M0の材質,サイズ,製品プロフィールから予め求められた割れ限界線W,皺座屈限界線S,張出し高さ限界線hを図9に示す。本実施例では、張出し高さ限界線hを15mmとし、張出し高さが15mm以上となることを目標とした。ハイドロフォーミングでは、内圧:41MPa,片側の軸押込み量:9.8mmで曲げ加工した後、三種類の負荷経路パターンに沿って内圧P,軸押込み量Uを増加させた(図10)。
パターン(a)では、曲げ加工後に内圧Pを41MPaから145MPaまで上昇させ、次いで片側の軸押込み量Uが9.8mmから27.5mmになるまでパンチ5,6を押し込んだ。
パターン(b)では、曲げ加工後に片側の軸押込み量Uが9.8mmから27.5mmになるまではパンチ5,6を押し込み、次いで内圧Pを41MPaから145MPaまで上昇させた。
パターン(c)では、曲げ加工後、内圧P,片側軸押込み量Uの負荷経路GをG(ΔP/ΔU)=5.9に設定してハイドロフォーミングし、内圧Pが145MPa,片側軸押込み量Uが27.5mmになるまで曲管M1を成形した。
三パターンに沿って内圧P,軸押込み量Uを増加させながら成形した三種の製品管M2を目視観察し、割れ,皺,座屈の発生状況を調査すると共に張出し高さを測定した。ハイドロフォーミングに及ぼす負荷経路Gの影響を表2に示す。
パターン(a)で製造された製品管M2では、成形内圧P:93MPaで割れが発生した。割れ発生は、軸押込み量Uなしで内圧Pを増加させたことにより生じた肉厚減少が原因と考えられる。また、成形が張出し高さ限界線hに達しなかったため,張出し高さが目標値(15mm)を下回る10mmに留まっていた。
パターン(b)で製造された製品管M2では、目標張出し高さ:15mmを達成できたものの、管端部に皺が発生していた。皺の発生は、内圧Pの増加なしに軸押込み量Uを増加させたことで過剰なメタルフローが生じた結果と考えられる。
パターン(c)で製造された製品管M2は、割れや皺の発生がなく、目標値を超える16mmの張出し高さが得られた。良好な製品プロフィールは、内圧P,軸押込み量Uの適正管理によって曲げ変形から張出し変形に至る各段階で適正量のメタルフローが生じ、製品管M2の各部分が肉不足や肉余りなく成形されたことを意味する。
以上の結果から、割れ限界線W,皺座屈限界線S,張出し高さ限界線hで挟まれる領域内で内圧P,軸押込み量Uを増加させると、張出し部Bの成形に必要なメタルが軸押しパンチ5,6の押込みで過不足なく確保され、割れ,皺,座屈が発生することなく目標とする張出し高さを出すことができる。
パターン(a)では、曲げ加工後に内圧Pを41MPaから145MPaまで上昇させ、次いで片側の軸押込み量Uが9.8mmから27.5mmになるまでパンチ5,6を押し込んだ。
パターン(b)では、曲げ加工後に片側の軸押込み量Uが9.8mmから27.5mmになるまではパンチ5,6を押し込み、次いで内圧Pを41MPaから145MPaまで上昇させた。
パターン(c)では、曲げ加工後、内圧P,片側軸押込み量Uの負荷経路GをG(ΔP/ΔU)=5.9に設定してハイドロフォーミングし、内圧Pが145MPa,片側軸押込み量Uが27.5mmになるまで曲管M1を成形した。
三パターンに沿って内圧P,軸押込み量Uを増加させながら成形した三種の製品管M2を目視観察し、割れ,皺,座屈の発生状況を調査すると共に張出し高さを測定した。ハイドロフォーミングに及ぼす負荷経路Gの影響を表2に示す。
パターン(a)で製造された製品管M2では、成形内圧P:93MPaで割れが発生した。割れ発生は、軸押込み量Uなしで内圧Pを増加させたことにより生じた肉厚減少が原因と考えられる。また、成形が張出し高さ限界線hに達しなかったため,張出し高さが目標値(15mm)を下回る10mmに留まっていた。
パターン(b)で製造された製品管M2では、目標張出し高さ:15mmを達成できたものの、管端部に皺が発生していた。皺の発生は、内圧Pの増加なしに軸押込み量Uを増加させたことで過剰なメタルフローが生じた結果と考えられる。
パターン(c)で製造された製品管M2は、割れや皺の発生がなく、目標値を超える16mmの張出し高さが得られた。良好な製品プロフィールは、内圧P,軸押込み量Uの適正管理によって曲げ変形から張出し変形に至る各段階で適正量のメタルフローが生じ、製品管M2の各部分が肉不足や肉余りなく成形されたことを意味する。
以上の結果から、割れ限界線W,皺座屈限界線S,張出し高さ限界線hで挟まれる領域内で内圧P,軸押込み量Uを増加させると、張出し部Bの成形に必要なメタルが軸押しパンチ5,6の押込みで過不足なく確保され、割れ,皺,座屈が発生することなく目標とする張出し高さを出すことができる。
以上に説明したように、素管M0の軸方向に圧縮力を加えながら曲げ加工すると、圧縮変形で生じるメタルフローが曲げ加工時の肉不足を解消し、中間製品である曲管M1の肉厚減少が抑えられる。その後、内圧,管軸方向の圧縮を加えるハイドロフォーミングで曲管M1を製品プロフィールに成形しても、割れ,皺等の加工欠陥がない製品管M2が得られる。この方法によるとき、同一金型を用いた曲げ加工,ハイドロフォーミングが可能なため、別に予成形工程を必要としていた従来のハイドロフォーミングに比較して生産性が大幅に向上し、各種流体輸送管を安価に提供できる。
1:受け金型 1a:受け金型内面 2:押し金型 2a:押し金型内面 2b:押し金型突出部 3:孔部 4:カウンターパンチ 5,6:軸押しパンチ
M0:素管 M1:曲管 M2:製品管 Mout:曲管外周部 B:張出し部
L0:素管長さ L1:曲管の長手方向線長
W:割れ限界線 S:皺座屈限界線 h:張出し高さ限界線 G:負荷経路
M0:素管 M1:曲管 M2:製品管 Mout:曲管外周部 B:張出し部
L0:素管長さ L1:曲管の長手方向線長
W:割れ限界線 S:皺座屈限界線 h:張出し高さ限界線 G:負荷経路
Claims (3)
- 凹内面をもつ受け金型と凸内面をもつ押し金型との合せ面両側に軸押しパンチを備え、凹内面に穿設した孔部にカウンターパンチを移動自在に設けたハイドロフォーミング金型を用意し、
ハイドロフォーミング金型にセットした素管内に加圧流体を送り込み、軸押しパンチを金型方向に押し込んで素管に圧縮力を加えながら、受け金型に押し金型を押し込んで素管を曲管に曲げ加工し、
次いで、曲管に圧縮力及び内圧を加えながら加工中の張出し高さに同調してカウンターパンチを製品プロフィールに相当する位置まで移動させ、曲管を製品管に成形することを特徴とする金属管の加工方法。 - 曲げ加工時に各軸押しパンチの押込みにより曲管の長手方向線長を素管長さ以下に設定する請求項1記載の加工方法。
- 素管の材質,サイズ及び製品プロフィールの張出し部形状に応じて定まる内圧-軸押込み量の二次元平面において割れ限界線,皺座屈限界線,張出し高さ限界線で区画される領域内で、加工開始当初から素管又は曲管に加える内圧,軸押込み量を増加させる請求項1記載の加工方法。
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