JP2017018964A - U字曲がり管の製造方法およびu字曲がり管の製造装置 - Google Patents

U字曲がり管の製造方法およびu字曲がり管の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】曲がり部分内側の曲率が実質的にゼロのU字曲がり管を製造する方法、装置を提供する。【解決手段】上型部材と下型部材との間に素材管が挿入される溝部が形成され、一方の型部材に、溝部内の空間に連続しかつ他方の型部材の内部に向かって窪む凹部が形成され、他方の型部材に、溝部の内面から凹部内に向けて突出する突出部が設けられた金型を用いる。素材管内に液圧を加えた状態で型締めして、突出部により素材管の外周面の一部に局部的窪み部を形成し、続いて素材管を両端部から軸線に沿った方向に加圧(軸押し)して、局部的窪み部分の両側の部分を突出部に対して滑らせながら凹部内に押し込み、突出部の先端から局部的屈曲部分を離脱させるとともに、局部的窪み部分の両側の部分が相互に近接するように素材管を曲げ変形させ、これにより凹部内に素材管のU字曲がり部分を形成する。【選択図】図7

Description

本発明は、熱交換器や自動車部品などに使用される中空管、特にU字形状に曲げられた部分(U字曲がり部分)を有する中空管(U字曲がり管)であってしかもそのU字曲がり部分の内側の曲率がゼロもしくはゼロに近いU字曲がり管を、ハイドロフォーミングを適用して製造するための方法、およびその実施のために使用される装置に関するものである。
熱交換器や自動車部品、建築内装材・外装材、あるいは化学プラントなどにおいては、直線状のパイプ(直管)の一部に、U字形状に曲げられた部分を有する中空管を用いることがある。ここで、U字形状に曲げられた部分(U字曲がり部分)とは、2以上の直管部の間に、各直管部の軸線方向に対し所定の角度をなす方向に突出して、その突出部分がU字形状をなす部分、と言い換えることができる。典型的な例としては、図18(a)に示しているように、共通軸線Oを有する二つの直管部1A、1Bの間に、それらの直管部1A、1Bの軸線方向に対して直角をなす方向に突出するU字曲がり部分3を有する中空管(U字曲がり管)5がある。ここで、図18(a)の例の場合、一方の直管部1AからU字曲がり部分3に向かってほぼ直角に曲がる第1の曲がり部9Aと、U字曲がり部分3内において所定の曲率でほぼ180°に曲がる第2の曲がり部(180°曲げ部)9Bと、U字曲がり部分3から他方の直管部1Bに向かってほぼ直角に曲がる第3の曲がり部9Cとの合計3箇所の曲がり部を有している。
このようなU字形状に曲げられた部分を有する中空管(以下単にU字曲がり管と称する)、特に鋼管や銅管、アルミ管などの金属管からなるU字曲がり管を製造するための従来の方法としては、せん断曲げプレス機によって直管に曲げ加工を複数回繰り返す方法がある。また、類似の方法として、いわゆるパイプベンダーを用い、直管に曲げ加工を施す方法もある。これらの直管に対する曲げ加工によってU字曲がり管を成形する場合、曲げによって中空管が潰れないように、予め中空管内に砂等の充填材を充填しておくことが通常である。
また、鋳造やダイキャストによって、金属溶湯から直接、U字曲がり管を製造する方法も知られている。この場合、中子を用いて中空部を形成し、中空管とするのが通常である。
前述のようなせん断曲げプレス機やパイプベンダーを用いて、直管に機械的な曲げ加工を施す方法により、図18(a)に示すような複数の曲がり部を有するU字曲がり管を得るためには、複数回の曲げ加工を施す必要があり、そのため生産性が低くならざるを得ない。また、予め砂などの充填材を充填しておく必要があり、その充填、および加工後の充填材除去のための作業も、生産性向上の阻害要因となる。
さらにこれらの機械的な曲げ加工による方法では、U字曲がり部分3の両側の平行部3A、3Bの間の間隔Sが小さく、180°曲げ部(U字形状の頂部)9Bの内側の曲率半径rが小さいU字曲がり管を得ることは困難であった。そしてU字曲がり管の用途によっては、図18(b)に示しているように、平行部3A、3Bの間の間隔Sが実質的にゼロで、180°曲げ部9Bの内側の曲率半径rが実質的にゼロのU字曲がり管が必要とされることがあるが、上述のようなせん断曲げプレス機やパイプベンダーなどによる曲げ加工では、このようなU字曲がり管を効率よく製造することは困難であった。
一方、鋳造やダイキャストによって、金属溶湯からダイレクトにU字曲がり管を製造する方法では、薄肉のU字曲がり管を製造することが困難であり、また鋳造品、ダイキャスト製品として使用されて、冷間加工が施されないため、強度などの面で問題が生じることがあり、さらには生産性が低く、特に中子の成形、除去に手間を要し、高コストとならざるを得ないという問題もある。
ところで、ハイドロフォーミングは、成形用素材として、鋼管やステンレス鋼管、あるいはアルミ管などの中空管状の素材(素材管)を用い、その素材管を金型のキャビティ内にセットして、素材管内に水などの加圧用液体を充填し、素材管内に高圧の液圧を加えるとともに、素材管の両端部からその軸線方向に沿って圧縮(軸押し)して、素材管を金型の内面形状に沿った形状に成形する加工法であり、複雑な形状の中空部材を一体に形成することができるため、近年、自動車などの各種部品の製造に適用されている。
このようなハイドロフォーミングを利用しつつ、曲がり部分を有する中空管を製造する方法は、例えば特許文献1、特許文献2等によって提案されている。
特許文献1で提案されている方法は、曲がり部分を有しかつその曲がり部分の径を拡大させた中空管、すなわち膨出部付きの曲がり管を、ハイドロフォーミングにより製造する方法についてのものであり、その特許文献1の方法について、図19の(a)〜(c)を参照して説明する。
図19の(a)において、金型10は、上下に分離可能な上型10Aと下型10Bとによって構成されている。上型10Aには下向きの凸部12が形成され、また下型10Bには、上型10Aの凸部12に対応して上向きの凹部13が形成されている。一方、素材管14は、その両端の管端部14A、14Bが、管端封止部材15A、15Bによってシールされる(図19の(c)参照)。なおこれらの管端封止部材15A、15Bは、単に素材管11内の空間を密閉するばかりでなく、素材管14をその軸線方向に沿って圧縮する(軸押しする)ための軸押し部材を兼ねており、その少なくとも一方は、図示しない油圧シリンダなどの軸押し駆動装置に連結される。またこれらの管端封止部材15A、15Bには、素材管11内に加圧用液体、例えば水を導入したり、素材管11内の残留空気を排出したりするための流路17が形成される。
そして、図19の(a)に示すように、上型10Aと下型10Bとを離隔させた状態(金型開放状態)で素材管14を下型10B上に配置して、管端部14A、14Bを下型10Bの素材管端部支持部位16A、16Bに支持させ、次いで図19の(b)に示すように、上型10Aを降下させて、素材管14の中間部分を上型10Aの凸部12に沿って曲げ変形させる。さらに、図19の(c)に示すように、素材管14内に加圧用液体を導入(図中矢印)して、素材管14内を加圧用液体で満たし、引き続き加圧用液体により素材管14内を高圧に加圧する。同時に軸押し部材を兼ねた管端封止部材15A、15Bによって、素材管14にその軸線方向に沿った荷重(軸押し力)を加える。これによって素材管14の曲がり部分が拡径され、膨出部付きの曲がり管が得られる。
このような特許文献1に示される方法は、ハイドロフォーミングを適用してはいるが、主として曲がり部の拡径(膨張)を図ったものであって、前述のようなせん断曲げプレス機やパイプベンダーを用いた場合と同様に、U字曲がり部分内における平行部間の間隔Sが小さく、180°曲げ部9Bの曲率半径が小さいU字曲がり管、特に図18の(b)に示したような、平行部間の間隔Sが実質的にゼロで、180°曲げ部9Bの内側の曲率半径rが実質的にゼロのU字曲がり管を製造することについては、まったく考慮されていない。
また特許文献2には、2以上の曲がり部を有し、かつその曲がり部の断面形状として角形などの異形断面を有する金属管を、ハイドロフォーミングを利用して製造する方法が開示されている。しかしながらこの特許文献2の方法も、主として曲がり部の拡径(膨張)を図ったものであって、特許文献1に示される方法と同様に、U字曲がり部分内における平行部間の間隔Sが小さく、180°曲げ部9Bの曲率半径が小さいU字曲がり管、特に図18の(b)に示したような、平行部間の間隔Sが実質的にゼロで、180°曲げの曲げ部9Bの内側の曲率半径rが実質的にゼロのU字曲がり管を製造することについては、まったく考慮されていない。
そして、これらの特許文献1あるいは特許文献2に示されている装置を用いて、U字曲がり部分内における平行部間の間隔Sが実質的にゼロで、U字曲がり部分3における180°曲げ部9Bの内側の曲率半径rがゼロもしくはゼロに近いU字曲がり管を製造しようとしても、実際上困難であった。
特開2003−103314号公報 特開2004−50279号公報
本発明は、前記事情を背景としてなされたもので、高い生産性をもって、U字曲がり部分を有する中空管、特にU字曲がり部分における平行部間の間隔Sが実質的にゼロで、曲げ内側の曲率半径がゼロもしくはゼロに近い中空管(U字曲がり管)を容易かつ効率的に得ることができる方法を提供し、併せてその方法の実施に最適な装置を提供することを課題としている。
本発明者は、上述の課題を解決するため、種々実験・検討を重ねた結果、素材管に曲げ加工を施すに際して、ハイドロフォーミングのための金型構造に巧みな工夫を凝らすと同時に、ハイドロフォーミングの際の軸押し力を巧みに利用することにより、180°曲げの平行部間間隔が小さく、曲げ内側の曲率半径が小さいU字曲がり部分、とりわけこれらがゼロもしくはゼロに近いU字曲がり部分を有する中空管を、容易に製造し得ることを見い出し、本発明をなすに至った。
したがって本発明の要旨とするところは、下記の通りである。
すなわち、本発明の基本的な態様(第1の態様)によるU字曲がり部分を有する中空管(U字曲がり管)の製造方法は、
2以上の直管部の間に、その直管部の軸線方向に対し所定の角度をなす方向に突出するU字曲がり部分を有する中空管を製造するための方法であって、
上型を構成する型部材と下型を構成する型部材との間に、中空管状をなす素材管が挿入される溝部が形成されるとともに、前記上下の型部材のうちの一方の型部材に、前記溝部内の空間に連続しかつその型部材の内部に向かって窪む凹部が形成され、しかも前記上下の型部材のうちの他方の型部材に、前記溝部の内面から前記凹部内に向けて突出する突出部が設けられた金型を用い、
前記素材管の内側空間に液圧を加えた状態で、前記溝部に素材管が位置するように前記上下の型部材を型締めして、前記突出部により素材管の長さ方向の中間部分の外周面の一部に、局部的窪み部を形成し、続いて前記液圧の付与を継続させたまま、素材管をその両端部側からその軸線に沿った方向に加圧することによって、素材管における前記局部的窪み部分の両側の部分を、前記突出部に対して滑らせながら前記凹部内に押し込み、これにより前記凹部内において突出部の先端から前記局部的屈曲部分を離脱させるとともに、その局部的窪み部分の両側の部分が相互に近接するように凹部内において素材管を曲げ変形させ、これによって素材管のU字曲がり部分を前記凹部内において形成することを特徴とするものである。
このような第1の態様の製造方法では、素材管の内側空間に液圧を加えた状態で上下の型部材を型締めして素材管の外周面の一部に形成した局部的窪み部は、その後に素材管を両端部から軸線方向に加圧(軸押し)したときに、凹部内に押し込まれた素材管がU字状に曲げ変形される起点となる。すなわち、局部的窪み部を軸押しに先立って予め形成しておくことによって、素材管の中間部分(局部的窪み部分の両側の部分)が軸押し力によって凹部内に押し込まれる際に、素材管の凹部内でのU字曲げ変形がイニシエートされる(契機付けられる)ことになる。
そして素材管の中間部分が凹部内に押し込まれる過程で、局部的窪み部分の両側の部分が前記突出部に対して滑りながら、局部的窪み部分が突出部の先端から離脱することによって、その局部的窪み部分の両側の部分の間に何も介在しない状態となる。その結果、局部的窪み部分の両側の部分が相互に近接するように曲げ変形させることができる。したがってU字曲がり部分の平行部間の間隔およびU字曲がり部分の頂部内側の曲率半径が、ゼロもしくはゼロに近くなるように成形することができる。
このように、素材管内に液圧を加えて型締めし、その後、液圧付与のまま、素材管を軸押しするという、簡単なプロセスによって、U字曲げの平行部間の間隔および曲がり部内側の曲率半径が小さいU字曲がり部分、とりわけ平行部間の間隔および曲がり部内側の曲率半径がゼロもしくはゼロに近いU字曲がり部分を有する中空管を、容易かつ効率的に製造することができる。
また本発明の第2の態様によるU字曲がり部分を有する中空管の製造方法は、前記第1の態様の製造方法において、前記素材管における前記局部的窪み部分の両側の部分を前記凹部内に押し込んで曲がり部を形成するにあたり、その素材管における局部的窪み部分の両側の部分が相互に接するまで曲げ変形させることを特徴とするものである。
このような第2の態様の製造方法では、平行部間の間隔がゼロで、曲がり部の内側の曲率半径が実質的にゼロのU字曲がり部分を有する中空管を製造することができる。
また本発明の第3の態様によるU字曲がり部分を有する中空管の製造方法は、前記第1もしくは第2の態様の製造方法において、前記素材管における前記局部的窪み部分の両側の部分を前記凹部内に押し込んでU字曲がり部を形成するにあたり、U字曲がり部の曲げ外側の面の一部が前記凹部の底面に接した後、素材管の軸線方向への加圧を継続させたまま、素材管の内側空間に加える液圧を高めることによって、凹部内のU字曲がり部分の外面を、凹部の内面に沿った形状に成形することを特徴とするものである。
このような第3の態様の製造方法では、U字曲がり部分の外面形状を、所望の形状に高精度で成形することができる。
さらに本発明の第4の態様によるU字曲がり部分を有する中空管の製造方法は、前記第1もしくは第2の態様の製造方法において、
前記金型として、さらに、前記一方の型部材に、前記凹部内において前記他方の型部材に向けて進退し得るカウンタ部材を備えたものを用い、
前記素材管における前記局部的窪み部分の両側の部分を前記凹部内に押し込んでU字曲がり部を形成するにあたり、その素材管の凹部内の曲がり部外面の少なくとも一部を前記カウンタ部材の先端面に当接させながら、カウンタ部材を凹部内で後退させることを特徴とするものである。
このような第4の態様の製造方法では、素材管の中間部が前記凹部内に押し込まれて曲げ変形される過程で、カウンタ部材の先端面に素材管の曲げ部分の頂部外面が接しながら曲げ変形されるため、素材管の径が凹部内で局部的に拡大してしまったり、素材管が異常な形状に変形したりして、本来の正しいU字曲げ形状が得られなくなるような事態が発生することを有効に防止することができる。
また本発明の第5の態様によるU字曲がり部分を有する中空管の製造方法は、前記第4の態様の製造方法において、前記素材管の一部がカウンタ部材の先端面に接しながら凹部内においてカウンタ部材が最後退位置に達した後に、素材管の軸線方向への加圧を継続させたまま、素材管の内側空間に加える液圧を高めることによって、前記凹部内のU字曲がり部分を、カウンタ部材の先端面および凹部の内側面に沿った形状に成形することを特徴とするものである。
このような第5の態様の製造方法では、第4の態様の製造方法と同様に、U字曲がり部分の外面形状を、所望の形状に高精度で成形することができる。
また本発明の第6の態様によるU字曲がり部分を有する中空管の製造方法は、前記第1〜第5のいずれかの態様の方法によって素材管の中間部の所定の個所に1または2以上のU字曲がり部分を形成した後、さらにそのU字曲がり部分とは別の個所にU字曲がり部分を同じ方法によって形成する工程を1または2回以上行ない、これによって多数の曲がり部分を有する中空管を製造することを特徴とするものである。
一方本発明の第7〜第10の態様は、U字曲がり部分を有する中空管を製造するための装置についてのものである。
すなわち本発明の第7の態様のU字曲がり管の製造装置は、
2以上の直管部の間に、その直管部の軸線方向に対し所定の角度をなす方向に突出するU字曲がり部分を有する中空管を製造するための装置であって、
上型を構成する型部材と下型を構成する型部材とからなる金型を備え、
前記上下の型部材の間に、中空管状をなす素材管が挿入される溝部が形成されるとともに、前記上下の型部材のうちの一方の型部材に、前記溝部内の空間に連続しかつ他方の型部材の内部に向かって窪む凹部が形成され、
前記上下の型部材のうちの他方の型部材には、前記溝部の内面から前記凹部内に向けて突出する突出部が形成されており、かつ前記突出部における前記溝部の長さ方向両側の側面の最大傾斜角度が、45°を越え90°以下の範囲内とされており、しかも溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さが、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さより小さく定められていることを特徴とするものである。
このように前記突出部における前記溝部の長さ方向両側の側面の最大傾斜角度を、45°を越え90°以下の範囲内とし、かつ溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さを、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さより小さく定めておくことによって、U字曲がり管の製造方法を実施するにあたり、型締めして局部的窪み部を形成した後、軸押し力によって素材管の中間部分を凹部内に押し込む過程で、局部的窪み部分の両側の部分を前記突出部に対して滑らせて、局部的窪み部分を突出部の先端から離脱させることができ、したがってU字曲がり部分の平行部間の間隔およびU字曲がり部分の内側の曲率半径が、小さくなるように成形することが実際に可能となる。
また本発明の第8の態様によるU字曲がり部分を有する中空管の製造装置は、前記第7の態様の製造装置において、前記溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さが、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さの1/2以下とされていることを特徴とするものである。
このように前記溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さを、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さの1/2以下に定めておくことによって、軸押し力により素材管の中間部分を凹部内に押し込む過程で、局部的窪み部分の両側の部分を前記突出部に対して滑らせて、局部的窪み部分を突出部の先端から離脱させることが、より確実に可能となる。なお上記の溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さは、好ましくは、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さの1/10以上、1/4以下とすることが望ましい。
さらに本発明の第9の態様によるU字曲がり部分を有する中空管の製造装置は、
2以上の直管部の間に、その直管部の軸線方向に対し所定の角度をなす方向に突出するU字曲がり部分を有する中空管を製造するための装置であって、
上型を構成する型部材と下型を構成する型部材とからなる金型を備え、
前記上下の型部材の間に、中空管状をなす素材管が挿入される溝部が形成されるとともに、前記上下の型部材のうちの一方の型部材に、前記溝部内の空間に連続しかつ他方の型部材の内部に向かって窪む凹部が形成され、しかもその型部材には、前記凹部内において前記上下の型部材のうちの他方の型部材に向けて進退し得るカウンタ部材が設けられており、
前記他方の型部材には、前記溝部の内面から前記凹部内に向けて突出する突出部が形成されており、その突出部における前記溝部の長さ方向両側の側面の最大傾斜角度が、45°を越え90°以下の範囲内とされており、しかも溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さが、凹部における前記溝部内面からカウンタ部材の先端面までの深さより小さく定められていることを特徴とするものである。
このような装置を用いれば、カウンタ部材の先端面に素材管の曲げ部分の頂部外面が接しながら曲げ変形されるため、素材管の径が凹部内で局部的に拡大してしまったり、素材管が異常な形状に変形したりして、本来の正しいU字曲げ形状が得られなくなるような事態が発生することを有効に防止することができる。
またここで、前記突出部における前記溝部の長さ方向両側の側面の最大傾斜角度を、45°を越え90°以下の範囲内とし、かつ溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さを、凹部における前記溝部内面からカウンタ部材の先端面までの深さより小さく定めておくことによって、U字曲がり管の製造方法を実施するにあたり、型締めして局部的窪み部を形成した後、軸押し力によって素材管の中間部分を凹部内に押し込む過程で、局部的窪み部分の両側の部分を前記突出部に対して滑らせて、局部的窪み部分を突出部の先端から離脱させることができ、したがってU字曲がり部分の平行部間の間隔およびU字曲がり部分の内側の曲率半径が、小さくなるように成形することが実際に可能となる。
また本発明の第10の態様によるU字曲がり部分を有する中空管の製造装置は、前記第9の態様の製造装置において、前記溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さが、凹部における前記溝部内面からカウンタ部材の先端面までの深さの1/2以下とされていることを特徴とするものである。
このように前記溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さを、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さの1/2以下に定めておくことによって、軸押し力により素材管の中間部分を凹部内に押し込む過程で、局部的窪み部分の両側の部分を前記突出部に対して滑らせて、局部的窪み部分を突出部の先端から離脱させることが、より確実に可能となる。なお上記の溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さは、好ましくは、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さの1/10以上、1/4以下とすることが望ましい。
本発明によれば、U字曲がり部分の両側の平行部間隔が小さくて、曲げ内側の曲率半径が小さいU字曲がり部分、とりわけ平行部間隔がゼロもしくはゼロに近くて、曲げ内側の曲率半径がゼロもしくはゼロに近いU字曲がり部分を有する中空管を、容易にかつ効率的に製造することができる。
本発明のU字曲がり管の製造方法の第1の実施形態を実施するための装置を、金型を開放した状態で示す縦断正面図である。 前記第1の実施形態を実施するための装置を、型締めした状態(金型を閉じた状態)で示す縦断正面図である。 図1におけるIII−III線での縦断側面図である。 図1におけるIV−IV線での縦断側面図である。 図1におけるV−V線での横断平面図である。 図1〜図5に示す装置の金型の型部材(下型部材)における突出部付近を拡大して示す斜視図である。 図1〜図6に示す装置を用いて本発明方法の第1の実施形態を実施している状況を段階的に示す模式的な縦断正面図である。 本発明方法の第1の実施形態により製造されたU字曲がり部を有する中空管の一例を示す斜視図である。 本発明の方法を実施するための装置における下型部材の突出部の断面形状の3例を示す略解的な縦断正面図である。 本発明方法の第2の実施形態を実施するための装置を、型締めした状態(金型を閉じた状態)で示す縦断正面図である。 図10に示す装置を用いて本発明方法の第2の実施形態を実施している状況を段階的に示す模式的な縦断正面図である。 本発明方法の第2の実施形態に使用されるカウンタ部材の別の例を示す縦断正面図である。 本発明方法を適用して複数のU字曲がり部を有する中空管を製造する方法の一例を段階的に示す略解図である。 本発明のU字曲がり部を有する中空管の製造方法の別の例として、金型の凹部および突出部の部分を拡大して示す縦断側面図である。 図14のXV−XV線における横断平面図である。 本発明のU字曲がり部を有する中空管の製造方法のさらに別の例として、金型の凹部および突出部の部分を拡大して示す縦断側面図である。 図16のXVII−XVII線における横断平面図である。 本発明で製造対象となるU字曲がり部を有する中空管の二つの例を示す略解的な正面図である。 ハイドロフォーミングを適用して曲がり部を有する中空管を製造するための従来の方法の一例を段階的に示す模式図である。
次に本発明について詳細に説明する。
図1〜図5には、本発明の第1の実施形態のU字曲がり部を有する中空管(U字曲がり管)の製造方法を実施するための装置構成の要部、特に金型部分の一例を示し、図6には、図1〜図5に示される装置の一部(下型部材の突出部の部分)を拡大して示し、また図7には、第1の実施形態におけるU字曲がり部を有する中空管の製造方法を段階的に示し、さらに図8にはその第1の実施形態によって製造されたU字曲がり部を有する中空管の一例を示す。なお図1は、金型31を開放した状態、すなわち型締めしていない状態で示し、図2〜図5は、素材管37を金型31の所要個所に配置して型締めした状態で示している。
図1〜図5において、金型31は、上型を構成する型部材33Aと、下型を構成する型部材33Bとによって構成されており、これらの型部材33A、33Bは、図示しない型締め手段によって型締めされる構成となっている。金型31を構成する型部材33A、33Bの材質は特に限定されるものではなく、通常のハイドロフォーミング用の金型と同様に、FC250、S50C、SKD11などによって構成すれば良い。なお以下の説明では、上型を構成する型部材33Aを上型部材33Aと称し、下型を構成する型部材33Bを下型部材33Bと称することとする。
下型部材33Bの上面は、本実施形態では全体として平面状をなすように作られ、かつその下型部材33Bの上面には、断面が半円形の半割り溝(下型溝)35Bが水平方向に沿って上向きに形成されている。また上型部材33Aの下面には、下型部材33Bの半割り溝(下型溝)35Bに対応して、断面が半円形の半割り溝(上型溝)35Aが水平方向に沿って下向きに形成されている。そして、型締めした状態では、これらの下型溝35Bおよび上型溝35Aが、全体として断面円形をなす溝部35を形成することになる。この溝部35は、本発明の製造法の適用対象となる中空な素材管37を収容するためのものである。そこで下型溝35Bおよび上型溝35Aの最大径(すなわち溝部35の内径)は、素材管37の外径Rと同じかそれよりわずかに大きい寸法に定められる。
ここで、上型部材33Aおよび下型部材33Bにおける溝部35(上型溝35A、下型溝35B)の両端部付近は、素材管37の両端部37A、37Bを支持するための管端支持部43A、43Bとされている。これらの管端支持部43A、43Bは、型締め状態で、素材管37の両端部付近の部分(より正確には、素材管37の両端部37A、37Bとそれに続く管端封止部材45A、45Bの部分)を、その部分が素材管37の長さ方向に沿って移動することを許容するように支持する構成とされている。管端封止部材45A、45Bは、素材管37内の空間を封止するだけではなく、素材管37をその軸線方向に沿ってその両端側から中間部分に向けて機械的に加圧駆動(軸押し)するための軸押し部材を兼ねたものである。そしてこれらの管端封止部材45A、45Bには、素材管37内に液圧付与のための水などの液体を導入したり、また素材管37内から残留空気を排出(エア抜き)したりするための1または2以上の流路47A,47Bが軸線方向に沿って形成されている。
さらに前記金型31の上型部材33Aには、上型溝35A内の空間に連続しかつ上方(上型部材33Aの内部)に向かって窪む凹部39が形成されている。この凹部39は、図1〜図5に示しているように、上型溝35Aの長さ方向(したがって素材管37の長さ方向)に沿った垂直断面が、略矩形状をなすように(したがって逆U字形状もしくは下向きのコ型に)作られ、また上型溝35Aの長さ方向(したがって素材管37の長さ方向)に直交する垂直断面は、上型溝35Aの最大幅(したがって溝部35の最大幅)と実質的に同じ幅W1(図3参照)で上方に窪んだ形状とされている。ここで、凹部39における、上型溝35Aの長さ方向と平行な方向の幅W2(図1、図2参照)、すなわち上型溝35Aの長さ方向に直交する二つの内側面39A、39B間の間隔W2は、素材管37の外径Rの2倍とほぼ同じ寸法に定められている。具体的には、上記の幅W2は、断面形状や材質にもよるが、素材管37の外径Rの2倍〜2.2倍程度の範囲内に定めることが適当である。なお凹部39の深さ(上型溝35Aの内面から凹部39の底面39Cまでの距離)D1は、得るべきU字曲がり部分の高さに応じて定めれば良いが、通常は素材管37の外径Rの寸法よりも大きい深さ、好ましくは素材管37の外径Rの2倍以上に定められる。
また下型部材33Bにおける下型溝35Bには、上型部材33Aの凹部39の中央に対応する位置に、突出部41が形成されている。この突出部41は、下型溝35Bから、上型部材33Aの凹部39の底面39Cに向かって突出するものであって、溝部35の長さ方向と平行な垂直断面が、例えば略三角形状をなすように形成されている。なおこの突出部41の断面形状および望ましい寸法などについては、後に改めて説明する。
次に図1〜図6に示す装置を用いて、素材管37にU字曲がり部分を形成する方法について、図7(a)〜(e)を参照して説明する。
なお素材管37の材質は、冷間もしくは温間での塑性加工が可能な材料であれば特に限定されず、例えば炭素鋼、ステンレス鋼、銅もしくは銅合金、アルミもしくはアルミ合金、チタンもしくはチタン合金などを適用することができる。また素材管37の外径および肉厚も特に限定されないが、通常は外径が21.7〜114.3mm程度、肉厚が1.2〜5.0mm程度のものに適用することができる。
図7(a)に示すように、素材管37の両端部(管端部37A、37B)には、予め、軸押し部材を兼ねた管端封止部材45A、45Bを取り付けておく。そして図7(a)に示すように、金型31を開放した状態(型締めしていない状態)で、上型部材33Aと下型部材33Bとの間(上型溝35Aと下型溝35Bとの間)に素材管37を配置する。そして上型部材33Aを下降させて、型締めする。なおこの型締め以前の段階で、管端封止部材45A、45Bの流路47A,47Bを経て素材管37内に、水などの液圧付与のための液体を充満させて、素材管37内に液圧を印加しておく。なお素材管37内に液体を充満させる際には、素材管37内に空気が残留しないように、エア抜きを行なうのが通常である。型締めした直後の状態を図7(b)および図2に示す。
型締めした状態で、素材管37は、その両端部37A、37Bが、軸線方向への移動を許容された態様で、上型部材33Aと下型部材33Bとの間に支持される。そして素材管37は、上型溝35Aと下型溝35Bとからなる溝部35内に挿入された状態となっている。
ここで、型締めの際には、図7(b)および図2に示しているように、素材管37における上型部材33Aの凹部39に対応する中間部分の下面が、下型溝35Bから突出する突出部41に当接し、さらに型締め力が加えられることによって、突出部41により凹部39内に向け上方に突き上げられる。これにより素材管37の中間部分の下面には局部的に塑性変形が与えられ、凹部39内に向けて逆V字形状もしくは逆U字形状に局部的に窪んだ状態となる。その素材管37の局部的窪み部分を符号37Dで示す(図2、図7(b)参照)。
次いで図7(c)〜図7(d)に示すように、素材管37内に液圧を付与しながら、管端封止部材45A、45Bを、図示しない流体圧シリンダなどの機械的加圧手段によってその両側から軸線方向に沿って加圧駆動(すなわち軸押し)する。この軸押し力によって、素材管37の中間部分における局部的窪み部分37Dに続く両側の部分37E、37Fが、突出部41の側面(溝部35の長さ方向を横切る、一方の側の側面および他方の側の側面)41B、41Cに対して滑りながら、局部的窪み部分37Dと、局部的窪み部分37Dに続く両側の部分37E、37Fが、凹部39内に押し込まれる。このとき素材管37は、局部的窪み部分37Dを曲げの起点とし、その局部的窪み部分37Dを頂点とする逆U字形状に、全体的に曲げ変形されながら、局部的窪み部分37Dを含め、その両側の部分37E、37Fが、凹部39内に全体的に押し込まれる(凹部39内で上昇する)ことになる。その結果、凹部39内において素材管3の中間部分にU字曲がり部分3が形成される。
ここで、局部的窪み部分37Dを形成するための突出部41は、下型部材33Bに一体に形成されていて、下型溝35Bからの突出高さHが一定であるから、局部的窪み部分37Dおよびその両側の部分37E、37Fが凹部39内に全体的に押し込まれる(凹部39内で上昇する)過程では、局部的窪み部分37D近傍の両側部分37E、37Fが、突出部41の側面41B。41Cに対して滑りながら上方に押し上げられ、局部的窪み部分37Dが突出部41の先端から離脱することになる。これは、局部的窪み部分37Dの近傍の両側部分37E、37Fの相互間に、突出部41が介在しなくなることを意味する。そのため、局部的屈曲部分37Dの近傍の両側部分37E、37Fは、軸押し力によって向かい合う面が互いに近接する方向に変形し、最終的に局部的屈曲部分37Dの近傍の両側部分37E、37Fの対向面が接することになる。
なおこのような変形過程では、素材管37内に液圧が加わっているため、素材管37は潰れることなく曲げ変形される。
このように、液圧付与を維持した状態で軸押し力を与えることにより、素材管37の中間部が逆U字形状に変形しながら凹部39内に押し込まれ、そして変形部位(U字曲がり部分)3の頂部上面3Cが凹部39の内底面39Cに接した後、さらに液圧を高めれば、図7(e)に示すように、そのU字曲がり部分3の外面が、凹部39の内面のほぼ全面に沿う形状に成形される。
その後は、液圧付与を停止させるとともに、軸押し加圧力を解除し、金型31を開放する。またそれに前後して素材管37内の加圧用液体を排出し、素材管37を金型31から取り出して、管端封止部材45A、45Bを素材管37から取り外せば、一連の加工プロセス(U字曲がり部分3を有する中空管の製造プロセス)が終了する。
このようにして本実施形態により加工が終了した中空管5の一例を図8に示す。
図8に示すように、この中空管5は、共通軸線Oを有する二つの直管部1A、1Bの間に、それらの直管部1A、1Bの軸線方向に対して直角をなす方向に突出するU字曲がり部分3を有するものとなっている。そしてこの中空管5は、U字曲がり部分3における平行部3A、3B間のスペースSが零またはそれに近いもの、言い換えれば、U字曲がり部分3の曲げ内側の曲率半径rが零もしくはそれに近いものとなっている。
なお、U字曲がり部分3の外側の形状は、凹部39の内面形状によって決定される。そして本実施形態の場合、凹部39の各内面形状をそれぞれ略平面としているため、U字曲がり部分3はその外面が断面矩形状をなすように成形されるが、これに限定されるものではなく、後に改めて説明するように、凹部39の内面形状を変更することによって、種々の異なる外面形状を有するように成形することが可能である。
以上のように、液圧軸付与下での軸押し力により、局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fを突出部41の側面41B、41Cに対して滑らせながら凹部39内に押し込むとともに、局部的窪み部分37Dを曲げの起点として凹部39内において曲げ変形を生じさせることによって、U字曲げの内側の曲率半径がゼロもしくはゼロに近いU字曲がり部分3を有する中空管5を得ることができる。ここで、上記の変形過程において局部的窪み部分37Dは突出部41から離脱するが、その局部的窪み部分37Dは、曲げ変形を生起させるためのイニシエーションを与えている、と言うことができる。
ここで、下型部材33Bの下型溝35Bの底部から突出する突出部41の形状の種々の例を図9(a)、(b)、(c)に示し、その突出部41の断面形状、寸法について、図9(a)、(b)、(c)を参照して説明する。
図9(a)は、前述の第1の実施形態における突出部41を示し、この突出部41は、下型溝35Bの長さ方向に沿う垂直断面での断面形状が、略三角形状をなしている。すなわち、下型溝35Bの底部35Bから両側の側面41B、41Cが最大傾斜角度θ(<90°)の傾斜面として立ち上がり、その両側面41B、41Cの上端部分が、小さい曲率半径rで湾曲する断面円弧状の先端部41Aに連続している。
図9(b)は、突出部41の別の例を示す。この突出部41は、下型溝35Bの長さ方向に沿う垂直断面での断面形状が、垂直壁状となっている。すなわち下型溝35Bの底部35Bから両側の側面41B、41Cが垂直面で立ち上がり(したがって最大傾斜角度=90°)、その両側面41B、41Cの上端部分が、曲率半径rで湾曲する断面円弧状の先端部41Aに連続している。
図9(c)は、突出部41のさらに別の例を示す。この突出部41は、下型溝35Bの底部35Bから両側の側面41B、41Cが最大傾斜角度θ(≦90°)の凹湾曲面として立ち上がり、その両側面41B、41Cの上端部分が、小さい曲率半径rで湾曲する断面円弧状の先端部41Aに連続している。
これらの図9(a)、(b)、(c)においては、突出部41における下型溝35Bの底部35Bから突出部先端41Aまでの高さHは、素材管37の外径Rの1/2よりも若干大きく(したがって下型溝35Bの深さよりも若干大きく)、しかも素材管37の外径Rよりも小さく設定しているが、それに限らず、突出部41の高さHは、素材管37の外径Rの1/2よりも小さく(したがって下型溝35Bの深さよりも小さく)設定しても良い。
突出部41の高さHの具体的な好ましい範囲は、素材管37の外径Rの大きさや材質によっても異なるが、通常は、素材管37の外径Rの0.1倍以上で、しかも凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さD1よりも充分に小さい高さとする。
突出部41の高さHが、素材管の外径Rの0.1倍未満では、型締め時に突出部41により形成される局部的窪み部分37Dの窪み深さが小さすぎて、その後に素材管37の両側から軸押し力を与えて素材管37の中間部分を凹部39に押し込む際に、局部的窪み部分37Dを起点としてその両側部分37E、37Fが相互に接する方向に押し曲げられる作用が確実に得られず、凹部39内で素材管37の異常な変形が生じてしまうおそれがある。
またここで、突出部41の高さHが溝部内面から凹部底面までの深さD1と等しい場合、軸押しによって素材管局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fを凹部39に押し込む過程で、突出部41の両側の部分37E、37Fが突出部41の側面41B、41Cに対して滑らず、軸押しの最初から最後まで突出部41の先端41Aが局部的窪み部分37Dに接していることになってしまう。すなわち、局部的窪み部分37Dが突出部41の先端41Aから離脱しないことになってしまう。言い換えれば、局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fの間に常に突出部41が介在することになり、そのため、両側の部分37E、37Fの相互間のスペースSをゼロもしくはゼロに近い値にすることができなくなり、結果的にU字曲がり部3の内側の曲率半径をゼロもしくはそれに近い値にすることが困難となる。
一方、突出部41の高さHが溝部内面から凹部底面までの深さD1よりも小さい寸法であれば、軸押しによって素材管局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fを凹部39に押し込む過程で、局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fを突出部41の側面41B,41Cに対して滑らせて、局部的窪み部分37Dを突出部41の先端41Aから離脱させることが可能となる。
特に、突出部41の高さHが、溝部内面から凹部底面までの深さD1の1/2以下であれば、局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fを凹部39に押し込む過程で、局部的窪み部分37Dを突出部41の先端41Aから充分に離脱させて、局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fの間のスペースをゼロもしくはゼロに近い値にすることが確実に可能となる。その結果、曲がり部分の内側の曲率半径をゼロもしくはそれに近いU字曲がり部3を確実に形成することが可能となる。したがって、突出部41の高さHは、溝部内面から凹部底面までの深さD1の1/2以下であることが好ましいが、特に1/10以上、1/4以下が望ましい。
また突出部41の側面41B、41Cの最大傾斜角度θは、45°<θ≦90°の範囲内とすることが好ましい。
突出部41の側面41B、41Cの最大傾斜角度θが45°以下では、素材管37の両側から軸押し力を与えて素材管37の中間部分を凹部39に押し込む際に、局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fを突出部41の側面41B,41Cに対して滑らせることが困難となり、その場合は凹部39内で素材管37の異常な変形が生じてしまう。一方、突出部41の最大傾斜角度θが90°を越えて、突出部41の側面41B、41Cがいわゆるアンダーカット(逆テーパー)となれば、素材管37の中間部分を凹部39に押し込む際に局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fが突出部41の側面に対して滑らず、局部的窪み部分37Dが突出部41から離脱し難くなってしまい、凹部39内で素材管37の異常な変形が生じてしまうおそれがある。
なお、軸押し力を与えて素材管37の中間部分を凹部39に押し込む際に、局部的窪み部分37Dの両側の部分37E、37Fを突出部41の側面41B、41Cに対して円滑に滑らせるためには、突出部41の側面41B、41Cの表面粗さを小さくするとともに、素材管37の外面と突出部41の側面41B、41Cとの間を適切に潤滑して、素材管37の外面と突出部41の側面41B、41Cとの間の摩擦抵抗を小さくすることが望ましい。そのため、例えば突出部41の側面41B、41Cの表面粗さを、中心線平均粗さで6.3μm程度以下とすることが望ましく、また潤滑剤として水性皮膜系潤滑剤などを用いることが望ましい。
さらに、突出部41の先端部41Aの曲率半径rは、0.5mm〜1.0mm程度の範囲内とすることが好ましい。
突出部41の先端部41Aが尖り過ぎている場合、型締め時に突出部41の先端部41Aが素材管37の外面に当接して局部的窪み部分37Dが形成される際に、応力集中によりその当接部位に亀裂が生じたり、破断してしまうおそれがあり、一方突出部41の先端部41Aの曲率半径rが大きすぎる場合、最終的に素材管37にU字曲がり部3が形成された状態で、その曲がり部位の内側の曲率半径rが大きくなってしまうおそれがある。先端部41Aの曲率半径rが0.5mm程度以上では、局部的窪み部分37Dが形成される際の亀裂発生や破断のおそれを少なくすることができ、また先端部41Aの曲率半径rが1.0mm程度以下では、製品のU字曲がり部分3の内側の曲率半径をゼロもしくはゼロに近くすることが容易となる。
さらに、素材管37の両側から軸押し力を与えて素材管37の中間部分を凹部39に押し込む際の素材管37の両側部分の軸線方向移動速度(軸押し速度)は、特に限定されるものではなく、素材管37の材質や硬さ、寸法(外径および肉厚)によっても最適な速度は異なるが、外径が21.7〜114.3mm程度で肉厚が1.2〜5.0mm程度の一般的な構造用炭素鋼管を対象とする場合、軸押し速度は1.0〜10.0mm/sec程度となるように定めることが望ましい。また軸押し力は、上述のような軸押し速度が得られるように素材管37の材質や硬さ、寸法(外径および肉厚)などのよって定められればよく、上記の一般的な構造用炭素鋼管の場合、10kN〜3000kN程度とすれば良い。
また素材管37に付与する液圧も、特に限定されるものではなく、素材管37の材質や硬さ、寸法(外径および肉厚)によっても最適な速度は異なるが、外径が21.7〜114.3mm程度で肉厚が1.2〜5.0mm程度の一般的な構造用炭素鋼管を対象とする場合、液圧は10MPa〜200MPa程度となるように定めることが望ましい。
但し、本発明の方法の場合、液圧を加える主目的は、先行技術で示した場合とは異なり、素材管を膨張させる(拡径)させるためではなく、型締め時および軸押し時において素材管が圧壊したり局部的に凹変形したりすることを防止することにある。そして軸押し時における液圧が過剰に大きくなれば、凹部39内において素材管が膨張変形してしまって、局部的窪み部分37Dと突出部41の先端41Aから離脱させることができなくなり、その結果、曲げ部分の内側の曲率半径がゼロもしくはゼロに近いU時曲がり部分3Cを形成できなくなってしまうおそれがある。したがって軸押し時の液圧は、素材管が圧壊もしくは凹変形しない範囲内で小さく抑えることが望ましい。また同じ観点から、型締め後、軸押しを開始してから凹部内でU字上に曲げ変形した部分の頂部が凹部39の底面39Cに接するまでの間は、液圧は一定に維持しておくことが望ましい。
図10には、本発明の第2の実施形態に使用される装置の金型部分を示し、図11(a)〜(e)にはそれを用いて第2の実施形態の方法を実施している状況を段階的に示す。なお図10は、素材管37を金型31の所要個所に配置しかつ型締めした状態で示している。
なおまた、図10、図11において、図1〜図5に示した第1の実施形態に使用される装置と同じ要素については同じ符号を付し、その詳細は省略する。
図10において、上型部材33Aの凹部39内には、例えば厚板状もしくはブロック状のカウンタ部材49が配設されている。このカウンタ部材49は、その水平断面の形状として凹部39の水平断面の形状と相似形状で、かつ凹部39内において上下動(昇降)可能となるように、凹部39の水平方向断面の寸法よりもわずかに小さい寸法に作られている。またカウンタ部材49の下面(先端面)49Aは、実質的に水平な平面とされている。そしてこのカウンタ部材49は、流体圧シリンダなどの進退駆動手段51によって、凹部39内で昇降し得るように構成されている。
このような第2の実施形態の方法においては、型締め前の金型開放状態(図11(a)参照)では、カウンタ部材49は、その下面(先端面)49Aが上型溝35Aの上底面位置よりも若干上方に位置するように定めておく。そして第1の実施形態について説明したと同様に、素材管37を上型溝35Aと下型溝35Bとの間に配置しかつ素材管37内に液圧を加えた状態で上型部材33Aを下降させ、型締めすれば、図11(b)に示すように、突出部41によって、素材管37の下面側の所定個所に前記と同様にして局部的窪み部分37Dが形成される。このとき、素材管37における局部的窪み部分37Dに対して180度反対側の管璧(上面側の管壁)37Gも、高さhだけ上方に突出するように湾曲するが、そのときの上面側湾曲突出部分37Gが、カウンタ部材49の先端面(下面)に当接した状態となるように、型締め時におけるカウンタ部材49の位置を定めておくことが望ましい。
型締め後、液圧付与を継続させた状態で、素材管37にその長さ方向の両側から軸押し力を与えれば、第1の実施形態について説明したと同様に、素材管37の一部、すなわち局部的窪み部分37Dの両側部分37E、37Fが突出部41の側面に対して滑りながら、凹部39内に押し込まれるとともに、局部的窪み部分37Dの両側部分37E、37Fが、局部的窪み部分37Dを起点として凹部39内で曲げ変形され、U字状曲がり部3が形成される。その過程を図11(c)〜(e)に示す。
ここで、第2の実施形態の場合には、軸押しによって局部的窪み部分37Dの両側部分37E、37Fが凹部39内に押し込まれる過程で、カウンタ部材49を上昇させる。このときのカウンタ部材49の上昇速度は、素材管37の片側あたりの押し込み速度とほぼ等しい速度とする。このようにすることによって、図11(c)〜(d)に示すように、素材管37の曲がり部分は、その上面がカウンタ部材49の下面(先端面)49Aに接しながら凹部39内で上昇し、曲げ変形が進行することになる。すなわち、曲げ変形の進行中に、その曲げ部位の上方に余計な空間がないため、素材管37が凹部39内において局部的に膨張して素材管37の径が拡大してしまったり、異常な形状に変形したりして、本来の正しいU字曲げ形状が得られなくなる事態が発生してしまうことを、有効に防止することができる。
なお第2の実施形態の場合も、突出部41の形状としては、図9(a)〜(c)に示したような種々の形状を適用することができる。
また第2の実施形態の場合における突出部41の高さH、すなわち下型溝35Bの底部35Bから突出部先端41Aまでの高さHは、素材管37の外径Rの0.1倍以上で、しかも凹部39内においてカウンタ部材49が最も後退(上昇)した状態(図10の鎖線で示す状態)における溝部35の内面からカウンタ部材49の先端面49Aまでの深さD2よりも充分に小さい高さとする。その理由は、第1の実施形態について、突出部41の高さHを溝部35内面から凹部39の底面までの深さD1よりも充分に小さくするとした理由と同じである。
さらにこの第2の実施形態では、突出部41の高さHは、上記同様にカウンタ部材49が最も後退(上昇)した状態(図10の鎖線で示す状態)における溝部35の内面からカウンタ部材49の先端面49Aまでの深さD2の1/2以下とすることが好ましく、さらに1/10以上1/4以下がより好ましい。その理由も、第1の実施形態について、溝部内面から凹部底面までの深さD1の1/2以下が好ましく、さらに1/10以上1/4以下がより好ましいとした理由と同様である。
そのほか、突出部41の最大傾斜角度および突出部41の先端部41Aの曲率半径についても、第1の実施形態について説明したと同様であれば良い。
なお上記の第2の実施形態においては、カウンタ部材49の下面49Aが実質的に平面であるものとしたが、図12に示すように、カウンタ部材49の下面49Aを、凹湾曲面としておいても良い。その場合には、凹部39内に素材管37の中間部分を押し込むにあたり、素材管37の曲がり部分3をカウンタ部材49の下面(湾曲面)49Aに広い面積で当接させることができ、その結果、異常な形状に変形することを、より確実に防止することが可能となる。
なお、素材管37における長さ方向に離れた2箇所以上の個所にU字曲がり部分を形成するための方法としては、例えば図13(a)、(b)に示すように、素材管37の一部に本発明の方法(例えば第1の実施形態による方法)によって第1のU字曲がり部分3Jを形成し、その後、改めて図13(c)に示すように素材管37における別の個所に、本発明の方法(例えば第1の実施形態による方法)によって第2のU字曲がり部分3Kを形成し、さらに逐次このような過程を繰り返せば、図13(d)に示すような多数のU字曲がり部分3J、3K、3Lを有する中空管を製造することができる。
また前述の各実施形態では、凹部39の内底面および側面を実質的に平坦な面としておくことにより、U字曲がり部分3の外面形状が矩形状をなす中空管を製造することとしているが、本発明の方法においては、凹部39の内底面および側面の形状を変更することによって、種々の外面形状を有するU字曲がり部分を形成することができる。
例えば外面形状が円形をなすU字曲がり部分を得たい場合には、図14、図15に示しているように、凹部39の内底面39Cおよび側面39D,39Eの断面形状を凹湾曲状の半円形とすれば良い。また例えば外面形状が多角形をなすU字曲がり部分を得たい場合には、図16、図17に示しているように、凹部39の内底面39Cおよび側面39D、39Eの断面形状を凹状の階段形状もしくは多角形とすれば良い。その他、必要に応じて種々の断面形状を有するU字曲がり部分を形成することができる。
なお凹部内にカウンタ部材を配設する場合は、凹部の内底面の断面形状の代わりに、カウンタ部材の先端面の断面形状を、上述のような凹湾曲状の半円形あるいは凹状の階段状もしくは多角形等に設定すれば良いことはもちろんである。
なお以上の各実施形態では、金型31における上型部材33Aに凹部39を形成するとともに、下型部材33Bに突出部41を形成しておくものとしているが、それとは逆に、下型部材33Bに凹部39を形成するとともに、上型部材33Aに突出部41を形成しても良いことはもちろんである。
以下に本発明の実施例を示す。なお以下の実施例は、本発明による作用、効果を確認するためのものであり、実施例に記載した条件が、本発明の技術的範囲を限定するものでないことはもちろんである。
〔実施例1〕
この実施例1は、第1の実施形態に対応するものであり、金型としては、図1〜図6に示すようなものを用い、図7(a)〜(e)に示す方法に従って素材管を加工して、U字曲がり部分を有する中空管を製造した。ここで、金型31における溝部35はその断面が全体として円形で、内径38.1mmとした。また上型部材33Aの凹部39は、溝部35の長さ方向に沿った方向の幅(内側面39A、39B間の間隔)W2を80.0mm、溝部35の長さ方向に直交する方向の内面間距離W1を40.0mm、深さD1を120.0mmとした。一方、突出部41としては、図9(a)に示すように断面が略三角形状を有するものとし、その高さHが5.0mm(したがって素材管の外径Rの0.13倍)、両側面の傾斜角度θが60.0°で、先端面が曲率半径0.5mmで凸面状に湾曲しているものを用いた。素材管としては、外径が38.1mm、肉厚が2.3mmの、機械構造用炭素鋼鋼管:STKM13Bからなる中空管を用いた。
具体的には、素材管37の両端に管端封止部材45A、45Bを取り付けて、上型溝35Aと下型溝35Bとの間に配置し、素材管内に加圧用液体として水を充填して、素材管37内の水に20MPaの圧力を加え、その状態で型締めした。続いて管端封止部材45A、45Bに、軸線方向に50kNの加圧力(軸押し力)を加えて、液圧付与を継続させながら、素材管37をその両側から5.0mm/secの速度で軸押し駆動させた。そして凹部39の内底面に素材管の一部が接した段階で、液圧を70MPaに上昇させた。
その結果、図8に示したように、U字曲がり部分を有しかつそのU字曲がり部分の内側の曲率半径が実質的にゼロの中空管を得ることができた。ここで、成形後の中空管製品を調べたところ、U字曲がり部分の外面が凹部内面に沿った形状に精確に加工されていることが確認された。さらに、U字曲がり部分の外観についても、特に割れ(クラック)や凹凸、皺の発生もなく、良好な外観品質を有していることが確認された。
〔実施例2〕
この実施例2は、第2の実施形態に対応するものであり、製造装置としては、図10に示すようにカウンタ部材49を有するものを用い、素材管としては、実施例1と同様の機械構造用炭素鋼鋼管:STKM13Bからなる外径が38.1mm、肉厚が2.3mmのものを用い、図11(a)〜(e)に示す方法に従って素材管を加工して、U字曲がり部分を有する中空管を製造した。ここで、金型31における溝部35は,その断面が全体として円形で、内径38.1mmとした。また上型部材33Aの凹部39は、溝部35の長さ方向に沿った方向の幅(内側面39A、39B間の間隔)W2を80.0mm、溝部35の長さ方向に直交する方向の内面間距離W1を40.0mm、深さを120.0mmとした。一方、突出部41としては、図9(a)に示すように断面が略三角形状を有するものとし、その高さHが5.0mm(したがって素材管の外径Rの0.13倍)、両側面の最大傾斜角度θが60.0°で、先端面が曲率半径0.5mmで凸面状に湾曲しているものを用いた。
実施例1と同様に素材管37の両端に管端封止部材45A、45Bを取り付けて、上型溝35Aと下型溝35Bとの間に配置し、素材管内に加圧用液体として水を充填して、素材管37内の水に50MPaの圧力を加え、その状態で型締めした。続いて管端封止部材に、軸線方向に35kNの加圧力(軸押し力)を加えて、液圧付与を継続させながら、素材管37をその両側から5.0mm/secの速度で軸押し駆動させた。そして凹部39の内底面に素材管の一部が接した段階で、液圧を65MPaに上昇させた。
その結果、図8に示したように、U字状曲がり部分を有しかつそのU字状曲がり部分の内側の曲率半径が実質的にゼロの中空管を得ることができた。ここで、成形後の中空管製品を調べたところ、U字曲がり部分の外面が凹部内面に沿った形状に精確に加工されていることが確認された。さらに、U字曲がり部分の外観についても、特に割れ(クラック)や凹凸、皺の発生もなく、良好な外観品質を有していることが確認された。
以上、本発明の好ましい実施形態、実施例を説明したが、本発明はこれらの実施形態、実施例に限定されないことはもちろんであり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本発明のU字曲がり管の製造方法および装置は、熱交換器、あるいは自動車部品、建築内装部品、建築外装部品、門扉等の屋外装置物、その他、化学プラント部品や、各種液体処理装置の部品などに使用される中空管の製造に適している。
1A、1B 直管部
3、3A〜3L U字曲がり部分
5 中空管(U字曲がり管)
31 金型
33A 上型部材
33B 下型部材
35 溝部
37 素材管
37A、37B 両端部
37D 局部的窪み部分
37E、37F 両側部分
39 凹部
39A、39B 側面
39C 底面
41 突出部
41A 先端
41B、41C 側面
42 進退駆動手段
45A、45B 管端封止部材
49 カウンタ部材
49A 先端面

Claims (10)

  1. 2以上の直管部の間に、その直管部の軸線方向に対し所定の角度をなす方向に突出するU字曲がり部分を有する中空管を製造するための方法であって、
    上型を構成する型部材と下型を構成する型部材との間に、中空管状をなす素材管が挿入される溝部が形成されるとともに、前記上下の型部材のうちの一方の型部材に、前記溝部内の空間に連続しかつその型部材の内部に向かって窪む凹部が形成され、しかも前記上下の型部材のうちの他方の型部材に、前記溝部の内面から前記凹部内に向けて突出する突出部が設けられた金型を用い、
    前記素材管の内側空間に液圧を加えた状態で、前記溝部に素材管が位置するように前記上下の型部材を型締めして、前記突出部により素材管の長さ方向の中間部分の外周面の一部に、局部的窪み部を形成し、続いて前記液圧の付与を継続させたまま、素材管をその両端部側からその軸線に沿った方向に加圧することによって、素材管における前記局部的窪み部分の両側の部分を、前記突出部に対して滑らせながら前記凹部内に押し込み、これにより前記凹部内において突出部の先端から前記局部的屈曲部分を離脱させるとともに、その局部的窪み部分の両側の部分が相互に近接するように凹部内において素材管を曲げ変形させ、これによって素材管のU字曲がり部分を前記凹部内において形成することを特徴とするU字曲がり管の製造方法。
  2. 前記素材管における前記局部的窪み部分の両側の部分を前記凹部内に押し込んで曲がり部を形成するにあたり、その素材管における局部的窪み部分の両側の部分が相互に接するまで曲げ変形させることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載のU字曲がり管の製造方法。
  3. 前記素材管における前記局部的窪み部分の両側の部分を前記凹部内に押し込んでU字曲がり部を形成するにあたり、U字曲がり部の曲げ外側の面の一部が前記凹部の底面に接した後、素材管の軸線方向への加圧を継続させたまま、素材管の内側空間に加える液圧を高めることによって、凹部内のU字曲がり部分の外面を、凹部の内面に沿った形状に成形することを特徴とすることを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載のU字曲がり管の製造方法。
  4. 前記金型として、さらに、前記一方の型部材に、前記凹部内において前記他方の型部材に向けて進退し得るカウンタ部材を備えたものを用い、
    前記素材管における前記局部的窪み部分の両側の部分を前記凹部内に押し込んでU字曲がり部を形成するにあたり、その素材管の凹部内の曲がり部外面の少なくとも一部を前記カウンタ部材の先端面に当接させながら、カウンタ部材を凹部内で後退させることを特徴とする請求項1、請求項2のいずれかの請求項に記載のU字曲がり管の製造方法。
  5. 前記素材管の一部がカウンタ部材の先端面に接しながら凹部内においてカウンタ部材が最後退位置に達した後に、素材管の軸線方向への加圧を継続させたまま、素材管の内側空間に加える液圧を高めることによって、前記凹部内のU字曲がり部分を、カウンタ部材の先端面および凹部の内側面に沿った形状に成形することを特徴とすることを特徴とする請求項4に記載のU字曲がり管の製造方法。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載の方法によって素材管の中間部の所定の個所に1または2以上のU字曲がり部分を形成した後、さらにそのU字曲がり部分とは別の個所にU字曲がり部分を同じ方法によって形成する工程を1または2回以上行ない、これによって多数の曲がり部分を有する中空管を製造することを特徴とすることを特徴とするU字曲がり管の製造方法。
  7. 2以上の直管部の間に、その直管部の軸線方向に対し所定の角度をなす方向に突出するU字曲がり部分を有する中空管を製造するための装置であって、
    上型を構成する型部材と下型を構成する型部材とからなる金型を備え、
    前記上下の型部材の間に、中空管状をなす素材管が挿入される溝部が形成されるとともに、前記上下の型部材のうちの一方の型部材に、前記溝部内の空間に連続しかつ他方の型部材の内部に向かって窪む凹部が形成され、
    前記上下の型部材のうちの他方の型部材には、前記溝部の内面から前記凹部内に向けて突出する突出部が形成されており、かつ前記突出部における前記溝部の長さ方向両側の側面の最大傾斜角度が、45°を越え90°以下の範囲内とされており、しかも溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さが、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さより小さく定められていることを特徴とするU字曲がり管の製造装置。
  8. 前記溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さが、凹部における前記溝部内面から凹部底面までの深さの1/2以下とされていることを特徴とする請求項7に記載のU字曲がり管の製造装置。
  9. 2以上の直管部の間に、その直管部の軸線方向に対し所定の角度をなす方向に突出するU字曲がり部分を有する中空管を製造するための装置であって、
    上型を構成する型部材と下型を構成する型部材とからなる金型を備え、
    前記上下の型部材の間に、中空管状をなす素材管が挿入される溝部が形成されるとともに、前記上下の型部材のうちの一方の型部材に、前記溝部内の空間に連続しかつ他方の型部材の内部に向かって窪む凹部が形成され、しかもその型部材には、前記凹部内において前記上下の型部材のうちの他方の型部材に向けて進退し得るカウンタ部材が設けられており、
    前記他方の型部材には、前記溝部の内面から前記凹部内に向けて突出する突出部が形成されており、その突出部における前記溝部の長さ方向両側の側面の最大傾斜角度が、45°を越え90°以下の範囲内とされており、しかも溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さが、凹部における前記溝部内面からカウンタ部材の先端面までの深さより小さく定められていることを特徴とするU字曲がり管の製造装置。
  10. 前記溝部の内面から凹部内に向けての突出部の突出高さが、凹部における前記溝部内面からカウンタ部材の先端面までの深さの1/2以下とされていることを特徴とする請求項9に記載のU字曲がり管の製造装置。
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