JP2005341840A - 散水チューブ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 レーザー穿孔法によって長さ方向に適切な間隔をおいて配置された多数の散水用孔を有し、長さ方向に沿って延びたヒートシール部を有しない散水チューブにおいて、該散水チューブの原反は、主基材が密度が0.90〜0.94g/cm3であるポリエチレン、密度が0.90〜0.94g/cm3であるエチレン−αオレフィン共重合体、および酢酸ビニル単位の含有量が1〜20重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれた少なくとも1種の樹脂であり、補強基材としての熱可塑性樹脂製繊維状組成物を主基材と主基材の層の間に介在させた層構成を有することを特徴とする散水チューブ。
【選択図】 なし
Description
しかしながら、最近では散水チューブの利用のされ方として、広範囲の面積をより均一に散水する傾向にあり、そのため散水チューブの敷設長さもそれに合せて長くなり、併せて、より均一な散水形状と散水幅を達成することが必要とされている。このため、散水チューブの元水圧は、これまで以上に高圧値に設定して対応しなければならなくなっているが、この場合、散水チューブの耐久性、耐圧性が限界を超え、長期間に亘る散水チューブの高品質の維持に問題を来たすケースが発生している。
また、夏季には高温度の外気環境下で長時間、未使用の状態で散水チューブを圃場に放置するケースが多々ある。この場合、散水チューブの表面温度は60〜80℃と極めて高温に曝され、このような状態で散水チューブに物理的な応力が過度に加わると、チューブの破損、変形など、散水チューブ本来の機能を損なう不具合が生じる恐れがある。
しかし、これらの何れの方法でも散水チューブを作成する際の溶融押出加工性の制約、穿孔処理加工性の制約、チューブ自身の柔軟性の低下による散水チューブの取扱い利便性の不具合などの問題を来たし、散水チューブの材質として要求される耐久性、耐圧性、耐熱性、柔軟性、加工性、穿孔処理性、均一散水性、取扱い利便性などの諸性能の全ての性能を満足することはできない。
また、これに対して、耐圧性を有する散水チューブとして、主基材をポリエチレン樹脂などの熱可塑性樹脂と合成樹脂製織布とを積層化した構成で、長手方向に沿ってヒートシール部を有した耐水ホースの記載例(例えば、特許文献3)があるが、せっかく合成樹脂製織布で基材の補強を行っても、その構成上、ヒートシール部には補強効果が少なく、その結果、高温環境条件下で高水圧の送水環境下での使用の場合には、内圧に対してヒートシール部からの剥離の懸念の不具合を依然として有している。
本発明に係わる散水チューブは、特定のポリオレフィン系樹脂を主基材として、熱可塑性樹脂製繊維状組成物を主基材と主基材の層の間に介在させた層構成で、長手方向にヒートシール部を有しない非貼合タイプの構造を有し、レーザー穿孔法によって多数の小孔が高精度に規則正しく配列されていることを特徴とする散水チューブである。また、この散水チューブは、通水時は膨張して円筒形状を呈するが非通水時は扁平となるものである。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体については、酢酸ビニル単位の含有量が多すぎると、散水チューブの機械強度が低くなり、優れた耐久性、耐圧性、耐熱性を有するものが得られ難くなる。かかる点を考慮するとき、ポリエチレンおよびエチレン−αオレフィン共重合体の密度、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量については、上記範囲のものとなる。
上記、エチレン−αオレフィン共重合体樹脂において、使用されるαオレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、4メチルペンテン−1、オクテン−1などの公知の単量体が挙げられる。また、その樹脂の重合方法としては、従来のチーグラー系触媒法による合成法、または最近のメタロセン系触媒による合成法にて得られるエチレン−αオレフィン共重合体樹脂が挙げられる。
特に、当該ポリオレフィン系樹脂にカーボンを添加することにより、後述するレーザー穿孔法により穿孔加工する際、近赤外線領域のエネルギー吸収性を向上させることができ、穿孔速度を大幅に上げることができる。通常、当該ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、カーボン1〜6重量部を添加することが好ましい。
従って、その後、前述の方法により製造されたチューブに、レーザー穿孔法、具体的には、実質的にYAG、炭酸ガス、その他の方法で形成された励起体に励起光が集光し、その励起体から近赤外線を放出する構造のレーザー光発生装置を用いて、穿孔しようとするチューブを所定の速度で移送しながらレーザー光を照射することにより多数の小孔が高精度に規則正しく配列された穿孔部を有した散水チューブを得ることができる。
<破壊荷重(kg/15mm幅)>
各実施例、または比較例で得られた穿孔のないチューブを幅方向(TD方向)に沿ってチューブの折り目部またはヒートシール部が試料片の中心部となるように、試料片幅15mm、試料片長さ100mmの所定ダンベルを用いて打ち抜き、試料片を作成する。この試料片を、JIS7113に準拠して引張速度300mm/分の条件にて引張試験を行い、散水チューブの引張破断点荷重(破壊荷重)(kg/15mm)の測定を行う。(測定雰囲気温度23℃)
<耐圧試験(kg/cm2)>
各実施例、または比較例で得られた穿孔のないチューブ(チューブ長さ:500mm)の一端部を完全密閉封止し、チューブ内に水を充填した後、端部を圧力計付きのプランジャー式水注入ポンプに接続する。この装置一式を60℃の温水に浸漬して、60℃の温水をポンプにてチューブ内に350ml/分の給水速度で送り込み、徐々にチューブ内を加圧化する。チューブが水内圧に耐え切れずに破壊する時のチューブ内圧を計測して破壊圧力(kg/cm2)とする。
<散水試験>
各実施例、または比較例で得られた穿孔を有する散水チューブを平坦な露地面に100m長で敷設し、チューブの末端部を専用の止め具を用いて密閉し、他端部を給水ポンプに接続して、送水元圧2.0kg/cm2、散水量5リットル/分・mの条件で10分間散水を行う。その際、散水後での幅方向、長手方向での散水量分布の均等性を評価する。
メルトインデックスが1g/10分、酢酸ビニル含有量が5重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂97重量部、カーボンブラック3重量部の組成よりなるポリオレフィン系樹脂組成物(A)を図1に示す成形装置を用いて、内層側押出機+円筒状スリットダイを介して押出成形(溶融押出温度:160℃)を行い、肉厚0.40mm、管径50mmΦのチューブ状成形物を作成し、その後、繊維径1000dのポリエチレンテレフタレート組成のマルチフィラメント用いて、縦糸、および横糸の順序で、引き込み本数10本×10本/インチの条件で編網を行い、直後に加熱して、サイドフィード方式で上記のポリオレフィン系樹脂組成物(A)を外層側押出機+円筒状スリットダイを介して押出成形、積層化を行い、肉厚0.80mm、内管径50mmΦ、折径80mmで、樹脂組成物(A)/ポリエチレンテレフタレート組成繊維状編網体(B)/樹脂組成物(A)の積層構造のチューブを作成した。これを用いて、前述の測定条件に基づいて、破壊荷重および耐圧試験の評価を実施した。その結果を表1に示す。
また、得られたチューブを引き続き、レーザー穿孔装置を用いて、チューブ片面に図2に示すような、穿孔径1.00、1.00、0.60、0.60、0.50、0.60、0.70、0.70、0.40,0.40mmΦ、各穿孔間隔80mm、穿孔列数10列の、高度に穿孔処理設計された散水チューブを作成した。これを用いて、前述の測定条件に基づいて、散水試験を実施した。その結果を表1に示す。
実施例1において、ポリオレフィン系樹脂組成物(A)を、密度が0.92g/cm3、メルトインデックスが2g/10分のエチレン−(4メチルペンテン−1)共重合体樹脂47重量部、メルトインデックスが1g/10分、酢酸ビニル単位の含有量が10重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂50重量部、カーボンブラック3重量部の組成よりなるポリオレフィン系樹脂組成物(C)に代えて、実施例1と同様の成形を行い、目的とする散水チューブを作成して、その破壊荷重、耐圧試験、散水試験の測定を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、ポリオレフィン系樹脂(A)を用いて、図1の円筒状スリットダイをフラット状スリットダイに変更して押出成形、積層化を行い、肉厚0.80mm、幅90mmで、樹脂組成物(A)/ポリエチレンテレフタレート組成繊維状編網体(B)/樹脂組成物(A)の積層構造のシートを作成した。これを用いて、2枚を重ね合わせて、連続ヒートシール成形装置にかけて、両端部の各5mmを完全融着を施し、両耳付きのチューブを作成した。これを用いて実施例1と同様に、その破壊荷重および耐圧試験の測定を行った。
また、これとは別に、上記の一方の積層シートを実施例1と同様にレーザー穿孔装置を用いて、実施例1と同様の穿孔設計(ただし、ヒートシール面となる5mm幅分を考慮)で穿孔処理を施し、これと穿孔処理なしの積層シートを同様に連続ヒートシール成形装置にかけて、両端部の各5mmを完全融着を施した穿孔を有する散水チューブを作成した。これを用いて実施例1と同様に、その散水試験の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、ポリオレフィン系樹脂(A)を用いて、ポリエチレンテレフタレート組成繊維状編網体(B)を積層することなく、ポリオレフィン系樹脂(A)単独構成で、肉厚0.80mmのチューブを作成して、破壊荷重および耐圧試験の評価を実施した。その結果を表1に示す。
また、得られたチューブを引き続き、実施例1と同様に、レーザー穿孔装置を用いて、同様の穿孔処理設計された散水チューブを作成して、散水試験を実施した。その結果を表1に示す。
実施例1において、ポリオレフィン系樹脂(A)を用いて、実施例1と同様の肉厚0.80mm、内管径50mmΦ、折径80mmで、樹脂組成物(A)/ポリエチレンテレフタレート組成繊維状編網体(B)/樹脂組成物(A)の積層構造のチューブを作成した。次に、これを用いて、引き続き、レーザー穿孔装置の代わりに、熱針穿孔装置を用いて、チューブ片面に図2に示すような、穿孔径1.00、1.00、0.60、0.60、0.50、0.50、0.70、0.70、0.40,0.40mmΦ、各穿孔間隔80mm、穿孔列数10列の、高度に穿孔処理設計された散水チューブを作成した。この時、穿孔部には熱針によるバリが発生し、0.40〜0.50mmΦの微細孔は目標設計どおりの高精度で均一な形状の穿孔を作成することができなかった。
この散水チューブを用いて、前述の測定条件に基づいて、散水試験を実施した。その結果を表1に示す。
Claims (1)
- レーザー穿孔法によって長さ方向に適切な間隔をおいて配置された多数の散水用孔を有し、長さ方向に沿って延びたヒートシール部を有しない散水チューブにおいて、該散水チューブの原反は、主基材が密度が0.90〜0.94g/cm3であるポリエチレン、密度が0.90〜0.94g/cm3であるエチレン−αオレフィン共重合体、および酢酸ビニル単位の含有量が1〜20重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体から選ばれた少なくとも1種の樹脂であり、補強基材としての熱可塑性樹脂製繊維状組成物を主基材と主基材の層の間に介在させた層構成を有することを特徴とする散水チューブ。
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2004
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