JP2005340616A - コンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムおよびフィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルム中に存在する重合触媒に起因する金属結晶として析出したアンチモン、ゲルマニウム、マグネシウム化合物の大きさおよび量を最適化することが極めて有効であることを見いだした。
すなわち厚さ0.5〜20μmの二軸配向されたポリエステルフィルムであって、
(A)溶融比抵抗が1×107〜5×1010Ω・cmである。
(B)実質上粒径を持たないチタン化合物を含有する。
(C)等価円直径が1μm以上である、チタン元素を含有する粒子の個数密度がポリマ1mgに換算した場合 5000個/mg未満
であるコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルムである。
【選択図】 なし
Description
すなわち厚さ0.5〜20μmの二軸配向されたポリエステルフィルムであって、
(A)溶融比抵抗が1×107〜5×1010Ω・cmである。
(1)チタン化合物触媒を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解させた溶液に、リン化合物を原液で又は溶媒に溶解希釈させた液でもって滴下して反応させる。
(2)ヒドロキシカルボン酸系化合物や多価カルボン酸系化合物等のチタン化合物の配位子を用いる場合は、チタン化合物または配位子化合物を溶媒に混合してその一部または全部を溶媒中に溶解させた溶液に、配位子化合物またはチタン化合物を原液で又は溶媒に溶解希釈させた液でもって滴下する。さらに、この混合溶液にリン化合物を原液でまたは溶媒に溶解希釈させた液でもって滴下して反応させる。この反応方法の方が、熱安定性及び色調改善の観点から好ましい。
上記式1の官能基としては、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、ブトキシド、2−エチルヘキソキシド等のアルコキシ基、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸系化合物からなる官能基が挙げられる。また、上記式2の官能基としては、アセチルアセトン等のβ−ジケトン系化合物、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケトエステル系化合物からなる官能基が挙げられる。また、上記式3の官能基としては、フェノキシ、クレシレイト、サリチル酸等からなる官能基が挙げられる。
熱処理して得られたフィルムをいったん室温程度まで冷却した後、さらに40〜90℃の比較的低温で、5秒から1週間程度エージングすることもできる。エージングを行なうことで、耐電圧性をさらに良好とすることができる。エージングは、金属化後に行なっても良い。
(1)フィルム厚み
重量法厚み:測定試料の重量を測定し、下記計算式より求める。
但し、ポリエチレンテレフタレートの密度を1.40とする。
アタゴ社のアッベの屈折率計を用い、光源をナトリウムとして、フィルムの屈折率(長手方向na、幅方向nb)を測定した。本特許では、前記na、nbのいずれもが1.56を超えるものを2軸配向フィルムと判断した。
押出機の出口短管部に25cm2の電極を2枚対立して設置し(この際、電極間の空の絶縁抵抗を1012Ω・cm以上にする。)、試料となるポリエステルチップを280℃で押し出しする。次いで、電極間に直流5kVを印加し、その際に流れる電流I(mA)を測定する。280℃における溶融比抵抗ρは、下記の式から求められる。
蛍光X線(FLX)法により、蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用い、ポリエステルフィルム中のポリエステルに含まれるTiの量を定量した。なお、添加剤や被膜中にそれら元素が含まれない場合にはフィルム全体を試料にして測定すればよい。
測定にはハイビジョン画像解析装置を適用し、測定装置として、ハイビジョンパーソナル画像解析システム(株)ピアス製PIAS−IV、光学顕微鏡としてLeitz社製Metaloplanを使用して、下記(a)〜(c)の手順で測定した。
ポリエステルチップを希塩酸で洗浄し、その後、精製水で洗浄した後、スライドグラスの上に試料0.2mgを乗せ、280℃にて溶融した後、挟み込むようにカバーグラスをその上に置く。試料はスライドガラスとカバーグラス間で引き延ばされた状態になり、この後カバーガラスをスライドさせながら相互に剥離した。このようにしてカバーガラス上にポリマー薄膜が形成されたプレパラートを作成した。プレパラート上のポリマー薄膜には鋭利なカミソリにて10行×10列の切れ込みを入れ、合計100個の升目を作成した。
光学顕微鏡の対物レンズを32倍に設定して、暗視野法で検鏡し、画像解析装置のハイビジョンモニターにその画像を取り込む。このとき、対物レンズが高倍率であり焦点深度が小さくなるため、上側の面にピントを合わせると上側の表層約1μm程度の部分を観察することになる。
二値化して得られた画素の等価円の直径を粒子径とし、1μm以上の粒子個数をカウントし、その粒子位置を升目から読みとった。
蛍光X線(FLX)法により、蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)を用い、ポリエステルフィルム中のポリエステルに含まれるTi,P、Sb、Geの量を定量した。なお、添加剤や被膜中にそれら元素が含まれない場合にはフィルム全体を試料にして測定すればよい。
JIS−C2318に準じて測定した。
アタゴ社のアッベの屈折率計を用い、光源をナトリウムとして、フィルムの屈折率(長手方向na、幅方向nb、厚さ方向nc)を測定し、次式により求めた。
JIS B0601に従い、(株)小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用いて下記の条件にて測定した。
触針加重 :5mg
測定長 :1mm
カットオフ値:0.08mm
上記の条件で、位置xについて粗さ曲線f(x)が得られたとき、表面粗さRaは、下記の式で与えられる。
ポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムを真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、マージン部の幅1mmの繰り返し)。この蒸着フィルムを製造した際に、蒸着始めから終わりまでを目視で観察し、しわやずれが発生したものを不合格とし、不合格となったものの数の製造数全体に対する割合を百分率で示し加工性の指標とした(以下蒸着収率と称する)。蒸着収率は高いほど好ましい。95%以上を良、90%以上を可、90%未満を不可とした。
上記蒸着フィルムを製造した後、各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左もしくは右に0.5mmのマージンを有する全幅4.5mmのテープ状に巻取リールにした。得られたリールの左マージン及び右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部より0.5mmはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、静電容量約0.5μFおよび50μFの巻回体を得た。素子巻回には皆藤製作所製KAW・4NHBを用いた。この巻回体から芯材を抜いて、そのまま150℃、10kg/cm2 の温度、圧力で5分間プレスした。この両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型コンデンサ素子を得た。
上記のコンデンサの製造の際、巻き始めから巻き終わりまでを目視で観察し、しわやずれが発生したものを不合格とし、不合格となったものの数の製造数全体に対する割合を百分率で示し加工性の指標とした(以下素子巻収率と称する)。素子巻収率は高いほど好ましい。95%以上を良、90%以上を可、90%未満を不可とした。
25℃雰囲気下で、上記の方法で得たコンデンサ素子を100Vにて1分荷電後の抵抗値を超絶縁計(HP製)を用い測定した。10000MΩ以上を良好、10000MΩ未満を不良とした。
上記のコンデンサの製造方法で得たコンデンサ素子を試料とし、春日製高電圧直流電源を用いて、100V/sの速度で昇圧しながら電圧を印加し、10mA以上流れた時絶縁破壊したものとした。絶縁破壊電圧は50個の測定結果の平均値として求めた。耐電圧0.25kV未満を不良と評価した。
(実施例1)
[ポリエチレンテレフタレートの製造方法]
高純度テレフタル酸(三井化学(株)製)100kgとエチレングリコール(日本触媒(株)製)45kgのスラリーを、予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×105Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物123kgを重縮合槽に移送した。
[ポリエステルフィルムの製造方法]
上記した方法により重合して得られ、実質的に不活性粒子を含有しないポリエチレンテレフタレートに、平均粒径0.4μmの凝集シリカ粒子を0.15重量%含有させて押出し、冷却ドラムに密着させシート化し、ロール延伸法で120℃で5.7倍に縦延伸した。なお、原料の押し出し系には12μmカット(95%カット径)の性能を有するフィルターを設けた。
[金属化フィルムの製造方法]
スリットしたポリエステルフィルムの片面に表面抵抗が2Ω/□となるようにアルミニウムを真空蒸着した。その際、長手方向に走るマージン部を有するストライプ状に蒸着した(蒸着部の幅8mm、マージン部の幅1mmの繰り返し)。
[フィルムコンデンサの製造方法]
上記金属化フィルムの各蒸着部の中央と各マージン部の中央に刃を入れてスリットし、左もしくは右に0.5mmのマージンを有する全幅4.5mmのテープ状に巻取リールにした。得られたリールの左マージン及び右マージンのもの各1本ずつを、幅方向に蒸着部分がマージン部より0.5mmはみ出すように2枚重ね合わせて巻回し、静電容量約0.5μF及び50μFの巻回体を得た。素子巻回には皆藤製作所製KAW・4NHBを用いた。この巻回体から芯材を抜いて、そのまま150℃、10kg/cm2 の温度、圧力で5分間プレスした。この両端面にメタリコンを溶射して外部電極とし、メタリコンにリード線を溶接して巻回型コンデンサ素子を得た。
実施例1のベースフィルム製造において、平均粒径0.03μmのシリカ粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
実施例1のベースフィルム製造において、ロール延伸法で125℃で4倍に縦延伸した後、ステンターにて横方向に115℃で3倍に延伸したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
実施例1のベースフィルム製造において、ロール延伸法で125℃で3倍に縦延伸したこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
実施例1のベースフィルム製造において、平均粒径1μmのシリカを用いたこと以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを作製し、さらに、実施例1と同様にフィルムコンデンサを製作した。
実施例1で得られたチタン化合物触媒によるポリエチレンテレフタレートに、従来の一般的なポリエチレンテレフタレート(アンチモン触媒によるもの、ゲルマニウム触媒によるもの)とを混合したポリマー原料を用いた。なお、この混合ポリマー原料中の元素含有量は表1に示すとおりであった。
実施例1のポリエステル製造において、重合触媒として用いたチタンアルコキシド化合物の添加量を、得られるポリマーに対するチタン化合物の量が1ppmとなるように変更し、さらに、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を、得られるポリマーに対するリン化合物の量が1ppmとなるように変更し、それ以外は実施例1と同様にして重合を行い、表1に示す元素含有量のポリエステルを製造した。
実施例1のポリエステル製造において、重合触媒として用いたチタンアルコキシド化合物の添加量を、得られるポリマーに対するチタン化合物の量が10ppmとなるように変更し、さらに、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を、得られるポリマーに対するリン化合物の量が6ppmとなるように変更し、それ以外は実施例1と同様にして重合を行い、表1に示す元素含有量のポリエステルを製造した。
実施例1のポリエステル製造において、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を、得られるポリマーに対するリン化合物の量が0.1ppmとなるように変更し、それ以外は実施例1と同様にして重合を行い、表1に示す元素含有量のポリエステルを製造した。
実施例1のポリエステル製造において、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を、得られるポリマーに対するリン化合物の量が12ppmとなるように変更し、それ以外は実施例1と同様にして重合を行い、表1に示す元素含有量のポリエステルを製造した。
実施例1のベースフィルム製造において、ポリエステル原料を、比較例5で製造した、アンチモン触媒により重合されたポリエチレンテレフタレートに変更し、その他は実施例1と同様にして厚さ6.3μmのポリエステルフィルムを作製し、さらに、幅6.35mm、長さ311mのコンデンサを作製した。得られたポリエステルフィルム及びコンデンサの特性を表1及び表2に示す。なおポリエステルフィルムのB面のRa値、Rz値は8nm、150nmであった。
実施例1のベースフィルム製造において、ポリエステル原料を、比較例1で製造した、ゲルマニウム触媒により重合されたポリエチレンテレフタレートに変更し、その他は実施例1と同様にして厚さ3μmのポリエステルフィルムを作製し、フィルムコンデンサを作製した。得られたポリエステルフィルム及びコンデンサの特性を表1及び表2に示す。
実施例1のポリエステル製造において、重合触媒として用いたチタンアルコキシド化合物の添加量を、得られるポリマーに対するチタン化合物の量が3ppmとなるように変更し、さらに、ジエチルホスホノ酢酸エチルの10重量%エチレングリコール溶液の添加量を、得られるポリマーに対するリン化合物の量が8ppmとなるように変更し、それ以外は実施例1と同様にして重合を行い、表1に示す元素含有量のポリエステルを製造した。
Claims (9)
- 厚さ0.5〜20μmの二軸配向されたポリエステルフィルムであって、下記の要件を満足するコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
(A)溶融比抵抗が1×107〜5×1010Ω・cmである。
(B)実質上粒径を持たないチタン化合物を含有する。
(C)等価円直径が1μm以上である、チタン元素を含有する粒子の個数密度がポリマ1mgに換算した場合 5000個/mg未満である。 - ポリエステルが、下記の要件を満足することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
(D)実質上粒径を持たないチタン化合物を2〜6ppm含有する。
(E)リン化合物を0.2〜9ppm含有する。
(F)アンチモン化合物の量が2ppm以下である。
(G)ゲルマニウム化合物の量が2ppm以下である。
(H)チタン化合物とリン化合物の比率が、チタン化合物とリン化合物のモル比率(Ti/P)で0.7〜10である。 - 加熱収縮率が下記の要件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
(I)加熱収縮率が長手方向で0.5〜5%である。
(J)加熱収縮率が巾方向で−1.0〜2.5%である。 - 面配向係数fnが0.16〜0.18であることを特徴とするであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 少なくとも一方のフィルム表面が平均表面粗さRaで0.02〜0.12μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンデンサ用二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムの片面を金属化した金属化フィルム。
- 請求項6に記載の金属化フィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルムの片面を金属化し、該金属化層の上に絶縁体層もしくは誘電体層を設けることを特徴とする金属化フィルム。
- 請求項8に記載の金属化フィルムを用いてなるフィルムコンデンサ。
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