JP2005339952A - 非水系電解液および非水系電解液電池 - Google Patents
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Abstract
Description
そこで、非水系電解液二次電池を高容量化する方法として、電極内部の空隙を減少させるために、電極の活物質層を加圧して高密度化するなど、限られた電池体積の中にできるだけ多くの活物質を詰め込む設計が一般的となっている。しかし、電池内の空隙を減少させると、電解液の分解で少量のガスが発生しても電池内圧は顕著に上昇してしまうという問題がある。
例えば、非水系電解液に、1,1−スルホニルイミダゾール、N−ビスメチルチオメチレン−p−トルエンスルホンアミド、1−p−トリルスルホニルピロールなどの分子数が500未満であり、>N−SO2−で表わされる構造を有する化合物を添加すると、高温保存時の容量低下を抑え、高温でのサイクル特性に優れた電池が得られることが特許文献1に開示されている。
また、非水系電解液などのイオン導電材料を構成する非水溶媒として、一般式R1R2N−SO2−NR3R4で表されるスルファミド誘導体を用いると、放電率が向上することが特許文献2に開示されている。
また、特許文献2に開示されているスルファミド化合物は、溶媒量で使用すると高温での保存特性が低下して、高容量でかつ高レベルの高温保存特性およびサイクル特性を達成することができないことが判明した。
すなわち、本発明の要旨は、主としてリチウム塩とそれを溶解する非水溶媒とからなる非水系電解液であって、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を0.001〜5重量%の割合で含有することを特徴とする非水系電解液に存する。
本発明に係る非水系電解液の主成分は、常用の非水系電解液と同じく、リチウム塩およびこれを溶解する非水溶媒である。
リチウム塩としては、この用途に用いることが知られているものであれば特に制限がなく、任意のものを用いることができ、具体的には以下のものが挙げられる。
これらのうち、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2 またはLiN(C2F5SO2)2が好ましく、特にLiPF6またはLiBF4が好ましい。
これらのリチウム塩は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、他の一例は、無機リチウム塩と含フッ素有機リチウム塩との併用であり、この場合には、両者の合計に占める無機リチウム塩の割合は、70〜99重量%であることが望ましい。この両者の併用は、一般に連続充電時のガス発生を抑制し、かつ高温保存による劣化を少なくする効果がある。
また、非水溶媒がγ−ブチロラクトンを55容量%以上含むものである場合には、リチウム塩としては、LiBF4又はLiBF4と他のものとの併用が好ましい。この場合LiBF4は、リチウム塩の40モル%以上を占めるのが好ましい。特に好ましくは、リチウム塩に占めるLiBF4の割合が40〜95モル%であり、残りがLiPF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2およびLiN(C2F5SO2)2よりなる群から選ばれるものからなる組合せである。
鎖状カーボネート類としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート等の炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネート類が挙げられる。これらの中では、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
鎖状エーテル類としては、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等が挙げられる。
環状カルボン酸エステル類としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等が挙げられる。
含燐有機溶媒としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸ジメチルエチル、リン酸メチルジエチル、リン酸エチレンメチル、リン酸エチレンエチル等が挙げられる。
プロピレンカーボネートを含有する場合には、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの容量比は、通常99:1〜40:60、好ましくは95:5〜50:50である。
なお、本明細書において、非水溶媒の容量は25℃での測定値であるが、エチレンカーボネートのように25℃で固体のものは融点での測定値を用いる。
アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル等の炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。
アルケニル基としてはビニル基、プロペニル基等の炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜8、特に好ましくは炭素数2〜4のアルケニル基が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜12のものが挙げられ、なかでもフェニル基が好ましい。
アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜12のものが挙げられる。
これらのアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されていてもよく、また、鎖中にエーテル結合を有していてもよい。
一般式(1)におけるR1〜R4としては、それぞれ独立して、アルキル基、アルケニル基、なかでもエーテル結合をもたないアルキル基が好ましく、また、R1〜R4は互いに同一であることが特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物の分子量としては、通常152以上であり、通常800以下、好ましくは550以下である。分子量が大きすぎると電解液への溶解性が著しく低下する。
一般式(2)で表される化合物の具体例としては、N,N'−ジチオビス(ジメチルアミン)、N,N'−ジチオビス(ジエチルアミン)、N,N'−ジチオビス(ジプロピルアミン)、N,N'−ジチオビス(ジブチルアミン)、N,N'−ジチオビス(ジオクチルアミン)、N,N'−ジチオビス(ジシクロヘキシルアミン)、N,N'−ジチオビス(ジフェニルアミン)、N,N'−ジチオビス(ヘキサフルオロジメチルアミン)、N,N'−ジチオビス(ピペリジン)、N,N'−ジチオビス(モルホリン)等が挙げられる。これらの中で、N,N'−ジチオビス(ピペリジン)、N,N'−ジチオビス(モルホリン)が好ましい。
一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物を併用する場合、非水電解液中における一般式(1)で表される化合物に対する一般式(2)で表される化合物の比率(重量比)は、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、通常5以下、好ましくは1以下である。
なお、一般式(1)又は(2)で表わされる化合物からなる群から複数の化合物を選択して用いる場合には、その合計が前記範囲内になるようにする。
分子内に不飽和結合を有する環状炭酸エステルは、負極の表面に安定な保護被膜を形成するため、電池のサイクル特性を向上させることができる。分子内に不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、ビニレンカーボネート系化合物、ビニルエチレンカーボネート系化合物、メチレンエチレンカーボネート系化合物等が挙げられる。
これらのうち、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートが好ましく、特にビニレンカーボネートが好ましい。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよい
本発明に係る非水系電解液は、非水溶媒に、リチウム塩、一般式(1)又は(2)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物、および必要に応じて他の化合物を溶解することにより調製することができる。非水系電解液の調製に際しては、各原料は、予め脱水しておくのが好ましい。通常50ppm以下、好ましくは30ppm以下まで脱水するのがよい。
なかでも好ましいものは炭素質材料、特に、黒鉛や黒鉛の表面を黒鉛に比べて非晶質の炭素で被覆したものである。
炭素質材料のBET法による比表面積は、通常0.3m2/g以上、好ましくは0.5m2/g以上、より好ましくは0.7m2/g以上、最も好ましくは0.8m2/g以上であり、通常25.0m2/g以下、好ましくは20.0m2/g以下、より好ましくは15.0m2/g以下、最も好ましくは10.0m2/g以下である。
リチウムを吸蔵・放出可能な金属化合物あるいはこの酸化物やリチウムとの合金は、一般に黒鉛に代表される炭素材料に比較し、単位重量あたりの容量が大きいので、より高エネルギー密度が求められるリチウム二次電池には好適である。
特にLiXCo1-yMyO2、LiXNi1-yMyO2、LiXMn1-yMyO2等で表される、コバルト、ニッケル、マンガンの一部を他の金属で置き換えたものは、その構造を安定化させることができるので好ましい。正極活物質は単独で用いても、複数を併用しても良い。
増粘剤としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコ−ル、酸化スターチ、リン酸化スターチ、ガゼイン等が挙げられる。
導電材としては、銅またはニッケル等の金属材料、グラファイトまたはカーボンブラック等の炭素材料などが挙げられる。
また、活物質に結着剤や導電材などを加えたものをそのままロール成形してシート電極としたり、圧縮成型によりペレット電極としたり、蒸着・スパッタ・メッキ等の手法で集電体上に電極材料の薄膜を形成することもできる。
負極活物質に黒鉛を用いた場合、負極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常1.45g/cm3以上であり、好ましくは1.55g/cm3以上、特に好ましくは1.60g/cm3以上である。負極活物質層の密度が高いほど電池の容量が増加するので好ましい。
また、正極活物質層の乾燥、プレス後の密度は、通常3.0g/cm3以上である。正極活物質層の密度が低すぎると電池の容量が不十分となる。
本発明に係る電池に使用する電池の外装体の材質も任意であり、ニッケルメッキを施した鉄、ステンレス、アルミニウムまたはその合金、ニッケル、チタン等が用いられる。
X線回折における格子面(002面)のd値が0.336nm、結晶子サイズ(Lc)が652nm、灰分が0.07重量%、レーザー回折・散乱法によるメジアン径が12μm、BET法による比表面積が7.5m2/g、アルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析から求めたR値(=IB/IAが)0.12、1570〜1620cm-1の範囲にあるピークの半値幅が19.9cm-1である天然黒鉛粉末94重量部とポリフッ化ビニリデン6重量部とを混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー状にした。このスラリーを厚さ18μmの銅箔の片面に均一に塗布、乾燥した後、負極活性層の密度が1.5g/cm3になるようにプレスして負極とした。
LiCoO285重量部、カーボンブラック6重量部とポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製、商品名「KF−1000」)9重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンを加えスラリー化し、これを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に均一に塗布、乾燥した後、正極活性層の密度が3.0g/cm3になるようにプレスして正極とした。
上記の正極、負極、およびポリエチレン製のセパレーターを、負極、セパレーター、正極、セパレーター、負極の順に積層して電池要素を作製した。この電池要素をアルミニウム(厚さ40μm)の両面を樹脂層で被覆したラミネートフィルムからなる袋内に正極負極の端子を突設させながら挿入した後、後述する電解液を袋内に注入し、真空封止を行い、シート状電池を作製した。
リチウム二次電池を、電極間の密着性を高めるためにガラス板で挟んだ状態で、25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.2Vまで充電した後、0.2Cの定電流で3Vまで放電した。これを3サイクル行って電池を安定させ、4サイクル目は、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電を実施し、0.2Cの定電流で3Vまで放電して、初期放電容量を求めた。
ここで、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.2Cとはその1/5の電流値を表す。
容量評価試験の終了した電池を、エタノール浴中に浸して体積を測定した後、60℃において、0.5Cの定電流で定電流充電を行い、4.25Vに到達した後、定電圧充電に切り替え、1週間連続充電を行った。
電池を冷却させた後、エタノール浴中に浸して体積を測定し、連続充電の前後の体積変化から発生したガス量を求めた。
発生ガス量の測定後、25℃において0.2Cの定電流で3Vまで放電させ、連続充電試験後の残存容量を測定し、連続充電試験前の放電容量を100とした場合の連続充電後の残存容量を求めた。
容量評価試験の終了した電池を、0.5Cの定電流で4.2Vまで充電後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Cになるまで充電し、その後、85℃で3日間保存した。電池を十分に冷却させた後、25℃において0.2Cの定電流で3Vまで放電させて保存試験後の残存容量を測定し、保存試験前の放電容量を100とした場合の保存後の残存容量を求めた。
乾燥アルゴン雰囲気下、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物(容量比2:4:4)97.5重量部、ビニレンカーボネート2重量部およびテトラメチルスルファミド0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
得られた電解液を用いて、リチウム二次電池を作成し、連続充電特性および高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物(容量比2:4:4)97.8重量部、ビニレンカーボネート2重量部およびN,N'−ジチオビス(ピペリジン)0.2重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
この電解液を用いて、リチウム二次電池を作成し、連続充電特性および高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物(容量比2:4:4)97.8重量部、ビニレンカーボネート2重量部およびN,N'−ジチオビス(モルホリン)0.2重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
この電解液を用いて、リチウム二次電池を作成し、連続充電特性および高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物(容量比2:4:4)98重量部とビニレンカーボネート2重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
この電解液を用いて、リチウム二次電池を作成し、連続充電特性および高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物(容量比2:4:4)97.5重量部、ビニレンカーボネート2重量部および1,1’−スルホニルジイミダゾール0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
この電解液を用いて、リチウム二次電池を作成し、連続充電特性および高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合物(容量比2:4:4)97.5重量部、ビニレンカーボネート2重量部および1−p−トリルスルホニルピロール0.5重量部を混合し、次いで十分に乾燥したLiPF6を1.0モル/リットルの割合となるように溶解して電解液とした。
この電解液を用いて、リチウム二次電池を作成し、連続充電特性および高温保存特性の評価を行った。評価結果を表−1に示す。
Claims (3)
- 主としてリチウム塩とそれを溶解する非水溶媒とからなる非水系電解液であって、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物からなる群から選ばれる化合物を0.001〜5重量%の割合で含有することを特徴とする非水系電解液。
- 非水系電解液が、更に不飽和結合を有する環状炭酸エステル化合物を、0.01〜8重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1に記載の非水系電解液。
- 正極および負極、ならびに請求項1又は2に記載の非水系電解液からなることを特徴とする非水系電解液電池。
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