JP2005339609A - 光ディスク用ハードコート剤 - Google Patents

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正則 松田
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Abstract

【課題】 光ディスク表面にハードコート層を形成する工程において、端部の盛り上がり部分をなくす工程、ハードコート剤の回収工程、及び溶剤乾燥工程を必要としない光ディスク用ハードコート剤、及び該ハードコート剤を用いた光ディスクの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 カチオン重合性物質と、カチオン重合開始剤とを含有し、チクソトロピー値が2.0〜15.0である、光ディスク用ハードコート剤及び該ハードコート剤を用いた光ディスクの製造方法。
【選択図】 なし

Description

光ディスク表面にハードコート層を形成する塗工工程において、塗工工程を簡略化することができる光ディスク用ハードコート剤、及び該ハードコート剤を用いた光ディスクの製造方法に関する。
近年、情報記録用メディアとして、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク(Blu−Ray Disk)等の光記録媒体(以下、光ディスクという。)が普及している。
光ディスクでは、読み取り波長が小さいこともあり、極微細な傷によっても情報の読み取りに支障をきたす場合がある。そのため、光ディスク表面をハードコート樹脂層でコートすることにより、記録された情報の保護が図られている。ハードコート樹脂層を有する光ディスクは、耐擦傷性、耐磨耗性に優れている。従って、ユーザーの誤使用、情報の書き換えによる繰り返し使用等によっても表面に傷が付きにくい。
ハードコート用の樹脂は、溶剤または反応性希釈剤を用いて常温で低粘度の液体とされ、スピンコート法によって光ディスク表面に塗工される。ハードコート用の樹脂としては、主に紫外線ラジカル重合性樹脂が用いられる。しかし、光ラジカル重合によって硬化した樹脂は、体積収縮が大きいため記録媒体面に対する密着性が低下したり、光ディスクの反りを引き起こしたりすることがある。さらに、空気中の酸素により重合を阻害されるため、不活性雰囲気下で塗工する必要がある。
そこで、近年、光ディスク用ハードコート剤として、紫外線カチオン重合型コート剤が注目されている。
下記の特許文献1には、プロペニルエーテル末端基を有する化合物及び光カチオン重合開始剤を必須成分とする、光カチオン硬化型の光ディスク用オーバーコート組成物が開示されている。該オーバーコート組成物は、硬化性に優れており、光ディスクに対する密着性及び耐湿性に優れた硬化塗膜を形成することができるとされている。
下記の特許文献2には、光ディスク用ハードコート剤として、カチオン重合型のエポキシ系紫外線硬化組成物が開示されている。該エポキシ系紫外線硬化組成物を用いることにより、膜厚が薄くなった場合でも、空気中の酸素による硬化阻害により硬化不良を引き起こすことがない。また、膜厚が厚くなった場合でも、光ディスクが反り難いとされている。
特開平9−143391号公報 特開2003−157578号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の光ディスク用ハードコート剤を、スピンコート法によって光ディスク表面に塗工した場合、光ディスク上の中心からの距離によって膜厚が変わりがちであった。特に、該ハードコート剤は液状物であるため、光ディスク端部でハードコート剤が少し盛り上がりがちであった。
従って、光ディスク表面の膜厚を平坦にするには、上記盛り上がり部を無くすための加
工を必要としていた。さらに、スピンコート法で樹脂を塗布した場合、樹脂が飛散しがちであった。そのため、余分なハードコート剤を回収しなければならなかった。また、ハードコート剤の粘度調整に溶剤が用いられているため、溶剤を乾燥する工程も必要であった。
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、光ディスクの端部の盛り上がり部分をなくす工程、余分なハードコート剤の回収工程、及び溶剤乾燥工程を必要としない光ディスク用ハードコート剤、及び該ハードコート剤を用いた光ディスクの製造方法を提供することにある。
本発明に係る光ディスク用ハードコート剤は、カチオン重合性物質と、カチオン重合開始剤とを含み、チクソトロピー値が2.0〜15.0であることを特徴とする。
本発明のある特定の局面では、光ディスク用ハードコート剤は有機フィラー及び/または無機フィラーを含有している。
本発明に係る光ディスク用ハードコート剤のさらに他の特定の局面では、厚み50μmの硬化シートとされたとき、波長400nmにおける光透過率が80%以上とされている。
本発明に係る光ディスク用ハードコート剤のさらに他の特定の局面では、前記カチオン重合性物質は、一分子中にグリシジル基を2個以上有し、かつエポキシ当量が100〜200である脂肪族系ポリグリシジルエーテル化合物を50重量%以上含んでいる。
本発明に係る光ディスク用ハードコート剤のさらに他の特定の局面では、前記無機フィラーが、1次粒子径が1〜300nmの無機粒子であり、かつ前記カチオン重合性物質100重量部に対して1〜30重量部含まれていることを特徴とする。
本発明の光ディスクの製造方法は、本発明に係る光ディスク用ハードコート剤を、塗工装置を用いることにより、光ディスクに塗工することを特徴とする。
本発明に係る光ディスク用ハードコート剤は、カチオン重合性物質と、カチオン重合開始剤とを含有しており、かつチクソトロピー性を有している。従って、スピンコート法などによって光ディスク表面に塗工した場合、塗工厚みのばらつきが少なくなり、均一な膜厚のハードコート層を形成することができる。
本発明の光ディスク用ハードコート剤は、良好なチクソトロピー性を有しているため、塗工するのに溶剤を必要としないので、溶剤乾燥工程を必要としない。よって、歩留まりを向上することができる。
本発明の光ディスク用ハードコート剤において、有機/または無機フィラーがさらに含有される場合には、感温性が低くなり、温度の変化による粘度変化が小さくなる。従って、ハードコート剤を塗工する際に厳密な温度制御を要しない。
無機フィラーが、1次粒子径が1〜300nmの無機粒子であり、かつ前記カチオン重合性物質100重量部に対して1〜30重量部含まれている場合には、光ディスク用ハードコート剤は、良好なチクソトロピー性を有する。
光ディスク用ハードコート剤が、厚み50μmの硬化シートとされたとき、波長400nmにおける光透過率が80%以上である場合には、透明性に優れているため、記録された情報の読み取りに支障が生じ難い。
本発明の光ディスク用ハードコート剤において、カチオン重合性物質が、一分子中にグリシジル基を2個以上有し、かつエポキシ当量が100〜200である脂肪族系ポリグリシジルエーテル化合物を50重量%以上含んでいる場合には、耐擦傷性、耐磨耗性に優れたハードコート層を形成することができる。
本発明の光ディスクの製造方法では、本発明の光ディスク用ハードコート剤を、塗工装置を用いて光ディスクに塗工するため、光ディスクの端部において、ハードコート層の盛り上がり部分を無くすための加工を必要としない。さらに、良好なチクソトロピーを有するハードコート剤を用いるため、余分なハードコート剤を用いる必要がなく、塗工後にハードコート剤を回収しなくてもよい。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明で使用されるカチオン重合性物質は、環状エーテル基及びビニルエーテル基から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものであれば、特に限定されるものではない。活性エネルギー線照射により硬化した際、十分な硬度を得るため、カチオン重合性物質は、一分子内に2個以上の重合性基を含む多官能でありかつ、エポキシ当量が100〜200であるモノマーもしくはオリゴマーを少なくとも1種類以上含んでいることが好ましい。さらに、エポキシ当量が100〜200、かつ一分子内にグリシジル基を4つ以上有するモノマーがより好適に用いられる。
環状エーテル基を有するカチオン重合性物質としては、例えば、エポキシ基、脂環エポキシ基、又はオキセタニル基を有するものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
エポキシ基を有するカチオン重合性物質としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂類、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
脂環エポキシ基を有するカチオン重合性物質としては、2,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、EHPE−3150(ダイセル化学工業株式会社製、脂環式エポキシ樹脂)等が挙げられる。
オキセタニル基を有するカチオン重合性物質としては、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−
オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
カチオン重合性物質として、ビニルエーテル基を有する化合物を用いることもできる。ビニルエーテル基を有するカチオン重合性物質としては、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、ポリエステルジビニルエーテル、ポリウレタンポリビニルエーテル等が挙げられる。
本発明においてカチオン重合性物質としては、耐擦傷性を高めるため、脂肪族系化合物が好適に用いられる。脂肪族系化合物を用いる場合には、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。脂肪族系化合物としては、耐擦傷性をより一層高め得るので、一分子中にグリシジル基を2個以上有し、かつエポキシ当量が100〜200である脂肪族系ポリグリシジルエーテル化合物がより好ましい。カチオン重合性物質が、上記脂肪族系ポリグリシジルエーテル化合物を50重量%以上含んでいる場合には、さらに耐擦傷性および耐磨耗性に優れたハードコート層を形成することができる。
光ディスク用ハードコート剤において、カチオン重合性物質と同時に、ラジカル重合性物質を併用してもよい。ラジカル重合性物質としては、分子内に1つ以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基を有する化合物を用いることができる。
上記(メタ)アクリロイル基を有するラジカル重合性物質としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタアクリレート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ビニル基を有するラジカル重合性物質としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
ラジカル重合性物質を用いる場合には、上述した1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明において、光ディスク用ハードコート剤に含まれるカチオン重合性物質では、酸素による硬化阻害が起こらない。一方、ラジカル重合性物質が含まれる場合には、活性エネルギー線照射雰囲気下の酸素濃度を制御する必要がある。また、カチオン重合性物質の場合には、水分、アミン系化合物、アルカリ化合物による活性種の失活が起きやすいため、これらの成分が混入しないように注意を要する。
本発明で使用されるカチオン重合開始剤としては、公知の光カチオン重合開始剤、熱重合カチオン硬化開始剤等が用いられる。光カチオン重合開始剤を用いた場合には、活性エネルギー線を照射することにより光ディスク用ハードコート剤が硬化する。
光カチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩またはヨードニウム塩等のオニウム塩を用いることができ、特に、芳香族オニウム塩を用いることが好ましい。その他、フェロセン誘導体等の鉄−アレーン錯体や、アリールシラノール−アルミニウム錯体等も好ましく用いることができ、これらの中から適宜選択すればよい。具体的には、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI
−6990(いずれも米国ダウケミカル社製)、イルガキュア264(チバスペシャルティケミカルズ社製)、CIT−1682(日本曹達製)等が挙げられる。光カチオン開始剤の含有量は、好ましくは、ハードコート剤組成物(固形分として)全体の中に0.5〜5重量%程度である。
光ディスク用ハードコート剤において、カチオン重合性物質と同時に、ラジカル重合性物質を併用する場合には、カチオン重合開始剤と同時に、ラジカル重合開始剤を有させることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)等が挙げられ、純度の高いものが好適に用いられる。ラジカル重合開始剤の含有量は、好ましくは、ハードコート剤組成物(固形分として)全体の中に0.5〜5重量%程度である。
光ディスク用ハードコート剤は、好ましくは有機フィラー及び/又は無機フィラーを含んでもよく、それによって、良好なチクソトロピー性を発現させることができる。また、有機フィラー及び/又は無機フィラーがハードコート剤に含有されると、ハードコート剤の粘度の温度依存性が小さくなる。
有機フィラーとしては、アクリル粒子、アクリル中空粒子等が挙げられる。
無機フィラーとしては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が挙げられる。光ディスクのハードコート層の透明度を高めるためには、無機フィラーとしては、好ましくは1次粒子径が1〜300nm、より好ましくは5〜100nm、最も好ましくは5〜50nmの無機粒子が用いられる。
硬化被膜の強度や耐磨耗性を高めるためには、無機フィラーは、表面が活性エネルギー線重合性基を有する化合物で修飾されていることが好ましい。
1次粒子径が50nm以下であり、表面が活性エネルギー線重合性基を有する化合物で表面修飾されている無機フィラーとしては、特開平11−60235号公報、特開平9−100111号公報、及び特開2001−187812号公報に記載されている反応性シリカ粒子が挙げられ、本発明において好ましく用いることができる。
特開平11−60235号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてカチオン反応性のオキセタニル基を含んでいる。特開平9−100111号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてラジカル反応性の(メタ)アクリロイル基を含んでいる。特開2001−187812号公報に記載のシリカ粒子は、(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性不飽和二重結合と、エポキシ基等のカチオン反応性基とを同時に有している。このような無機フィラーをハードコート剤組成物に添加することにより、ハードコート層の耐磨耗性をより高めることができる。
無機フィラーの含有量は、カチオン重合性物質100重量部に対して1〜30重量部が好ましい。無機フィラー含有量が、カチオン重合性物質100重量部に対して1〜30重量部である場合には、ハードコート剤のチクソトロピー値を2.0〜15.0とすることが容易となる。より好ましくは、1〜10重量部である。
カチオン重合性物質100重量部に対して、無機フィラーが30重量部より多く含まれると、ハードコート層の膜強度が弱くなる場合があり、また粘度が高くなることにより塗工が困難となることがある。カチオン重合性物質100重量部に対して、無機フィラーが1重量部より少ないときは、良好なチクソトロピー性を発現する効果、ハードコート剤の
粘度の温度依存性を小さくする効果が充分でないことがある。
本発明に係る光ディスク用ハードコート剤は、さらに必要に応じて、増感剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料などを含んでいても差し支えない。増感剤については、紫外線ランプの種類によっては触媒に適合する波長光を照射できないものもあり、光ディスクのレーザー読み取りに支障を来たす特定吸収波長のあるものは除かれる。
光ディスク用ハードコート剤では、光ディスク表面に塗工された場合、記録された情報の読み取り等の観点から、ハードコート層の透明性が要求される。この透明性は、光学機器、表示素子として考慮すると、可視光波長380〜800nmでの透明性を示しており、その波長領域において光透過率が80%以上であることが好ましい。本発明において、光ディスク表面に塗工されるハードコート剤は、厚み50μmの硬化シートとされたとき、波長400nmにおける光透過率が80%以上であることが好ましい。
本発明に係る光ディスク用ハードコート剤のチクソトロピー値は2.0〜15.0、好ましくは2.0〜10.0である。チクソトロピー値が2.0より小さい場合は、塗工後の膜厚が均一にならず、チクソトロピー値が15.0より大きい場合は、塗工性が悪くなる。
なお、チクソトロピー値は、粘弾性測定装置を用い測定され、25℃における粘度(1rpm)/25℃における粘度(10rpm)の値で示される。
チクソトロピー値を容易に2.0〜15.0の範囲とするために、ハードコート剤には、カチオン重合性物質に、例えば、超微粒子シリカを添加すればよい。
以下、本発明に係る光ディスクの実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1には本発明の一実施形態に係る光ディスク1の側面図が示されている。
光ディスク1では、円板状の光ディスク基材2の上面2aと下面2bとに、厚みのある円板状のハードコート層3,4が形成されている。
光ディスク1は、上述したCD、DVD、ブルーレイディスクの他にも、CD−ROM、DVD−ROM、MD、MO等、用途に応じて多種多様のものが存在するが、いずれにおいても、本発明の光ディスク用ハードコート剤を用いることができる。
光ディスク基材2は、通常はポリカーボネートからなるが、基材性能を満たすものであれば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル等、他の材料からなるものでもよく、特に限定されない。
光ディスク基材2の上面2aと下面2bとに、光ディスク用ハードコート剤を塗布し、硬化されることによりハードコート層3,4が形成される。塗布方法としては、ディップコート法、クラビアコート法、ロールコーター、コンマコーター、シム、プレス等が挙げられるが、これらの内の適宜の方法が用いられる。
ハードコート剤を光ディスク基材2に塗工する場合には、均一な鏡面状態に低速で塗工出来る装置を用いるとよい。このような装置としては、ロールコート、バーコート、Tダイ等が挙げられる。
塗工工程において、温度が高すぎると、光ディスク基材2が傷むことがあり、さらにカチオン重合開始剤の反応が進行することがある。温度が低すぎると、ハードコート剤の粘度が高くなり、塗工が困難となるおそれがある。従って、塗工温度は15〜80℃が好ましい。ただし、選ばれるカチオン重合性物質の反応性、カチオン重合開始剤により塗工温度は調整される。
本発明において、光ディスク用ハードコート剤を硬化させる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光などの適切なものを選択し、用いればよい。
紫外線を用いる場合、適切な紫外線照射量は、例えば、1〜500mJ/cm2、好ま
しくは1〜200mJ/cm2である。電子線を照射する場合には、電子線照射量は、例
えば、1〜30Mrad、好ましくは1〜10Mradである。紫外線照射及び電子線照射いずれの場合にも、該照射量は、使用するカチオン重合性物質の反応性基の種類や量、光ディスク基材2に塗工されたハードコート層3,4の厚さ、反応時の触媒量、及び含有されるフィラー等の添加剤に応じて調整すればよい。
ハードコート層3,4の厚さは、特に限定されるものではなく、光ディスク1の種類、用途等によって適宜設定される。例えば、光により記録再生されるCD等においては、ハードコート層3,4の厚さは、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下とされる。1μm未満では、ハードコート層3,4の硬度が充分でないことがあり、10μmを超えるとハードコート層3,4にクラックが発生したり、光ディスク基材2の反りが大きくなる傾向がある。
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
ソルビトールポリグリシジルエーテル(PA36−PEP:四日市合成社製、エポキシ当量:160、約4官能)60重量部と、2官能脂環式エポキシ化合物(セロキサイド2021P:ダイセル化学社製、エポキシ当量:130、2官能)40重量部と、超微粒子無水シリカ(HDK T−40:旭化成ワッカー社製)8重量部と、カチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)3重量部とを攪拌混練し、ハードコート剤を調製した。
(実施例2)
ポリグリセリンポリグリシジルエーテル(SR−4GL:坂本薬品工業社製、エポキシ当量:170、約6官能)100重量部と、超微粒子無水シリカ(HDK T−40:旭化成ワッカー社製)8重量部と、カチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)3重量部とを攪拌混練し、ハードコート剤を調製した。
(実施例3)
芳香族ポリグリシジルエーテル(エピコート152:ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量:170、多官能)100重量部と、超微粒子無水シリカ(HDK T−40:旭化成ワッカー社製)8重量部と、カチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)3重量部とを攪拌混練し、ハードコート剤を調製した。
(比較例1)
ソルビトールポリグリシジルエーテル(PA36−PEP:四日市合成社製、エポキシ当量:160、約4官能)100重量部と、カチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−
6990:ダウケミカル社製)3重量部とを攪拌混練し、ハードコート剤を調製した。
(比較例2)
2官能脂環式エポキシ化合物(セロキサイド2021P:ダイセル化学社製、エポキシ当量:130、約2官能)100重量部と超微粒子シリカ(HDK T−40:旭化成ワッカー社製)8重量部と、カチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)3重量部とを攪拌混練し、ハードコート剤を調製した。
(評価)
実施例1〜3及び比較例1、2に記載の光ディスク用ハードコート剤を調製した。ポリカーボネート樹脂からなる光ディスク基材2の上面2aと下面2bとに、得られたハードコート剤を厚さ50μmとなるように、ロールコーター法により塗布した。
ハードコート剤を塗布した後、大気中で紫外線を照射し、ハードコート層3,4を硬化させ、光ディスク1を得た。光源としては、高圧水銀灯を用い、照射量は70mW/cm2、15秒とした。
光ディスク基材2の上面2aと下面2bにおけるハードコート層3,4の塗工端部の状況を目視により評価した。さらに、硬化後のハードコート層3,4の光透過率、ハードコート剤のチクソトロピー値、及びハードコート層3,4の耐擦傷性を測定もしくは評価した。
耐擦傷性の評価は、ハードコート層3,4に対し、耐磨耗性スチールウール#000を用い、荷量4.9N/cm2にて20往復摺動した際に生じた傷の程度を目視により判定
した。判定基準は、○:傷発生なし、△:わずかに傷発生、×:傷発生とした。
光透過率の測定は、ホットメルトハードコート組成物を厚み50μmに調製し、紫外線を照射し硬化したシートについて、分光光度計を用い波長400nmにおける光透過率を測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2005339609
ハードコート層3,4の塗工端部の状況の評価では、実施例1〜3では、盛り上がりがなく、均一な膜厚のハードコート層3,4が形成されていた。ハードコート剤が、カチオン重合性物質と、カチオン重合開始剤とを含有し、良好なチクソトロピー値を有していたためである。従って、ハードコート層3,4の塗工端部の盛り上がり部分をなくす工程が不要であり、工程を簡略化することができる。
比較例1、2のハードコート剤は、チクソトロピー性が低く、従って均一な厚みの膜が形成されず、ハードコート層3,4の塗工端部に盛り上がりを生じていた。従って、ハー
ドコート層3,4の塗工端部の盛り上がり部分をなくすための加工を必要とする。比較例1では、ハードコート剤が無機フィラーを含有していないため、チクソトロピー性が低く、それによって、ハードコート層3,4の塗工端部の盛り上がりを生じたと考えられる。
本発明の一実施形態に係る光ディスクの側面図。
符号の説明
1…光ディスク
2…光ディスク基材
2a…上面
2b…下面
3…ハードコート層
4…ハードコート層

Claims (6)

  1. カチオン重合性物質と、カチオン重合開始剤とを含有し、チクソトロピー値が2.0〜15.0であることを特徴とする光ディスク用ハードコート剤。
  2. 有機フィラー及び/または無機フィラーを含有してなる請求項1に記載の光ディスク用ハードコート剤。
  3. 厚み50μmの硬化シートとされたとき、波長400nmにおける光透過率が80%以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の光ディスク用ハードコート剤。
  4. 前記カチオン重合性物質が、一分子中にグリシジル基を2個以上有し、かつエポキシ当量が100〜200である脂肪族系ポリグリシジルエーテル化合物を50重量%以上含んでいる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ディスク用ハードコート剤。
  5. 前記無機フィラーが、1次粒子径が1〜300nmの無機粒子であり、かつ前記カチオン重合性物質100重量部に対して1〜30重量部含まれている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ディスク用ハードコート剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ディスク用ハードコート剤を、塗工装置を用いて光ディスクに塗工することを特徴とする、光ディスクの製造方法。

JP2004153638A 2004-05-24 2004-05-24 光ディスク用ハードコート剤 Pending JP2005339609A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011038090A (ja) * 2009-07-15 2011-02-24 Three Bond Co Ltd 遅延硬化性樹脂組成物

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