JP2005194484A - 光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物及びハードコート層の形成方法 - Google Patents
光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物及びハードコート層の形成方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005194484A JP2005194484A JP2004004851A JP2004004851A JP2005194484A JP 2005194484 A JP2005194484 A JP 2005194484A JP 2004004851 A JP2004004851 A JP 2004004851A JP 2004004851 A JP2004004851 A JP 2004004851A JP 2005194484 A JP2005194484 A JP 2005194484A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- hard coat
- composition
- optical disk
- hot
- hot melt
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Paints Or Removers (AREA)
- Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)
Abstract
【課題】
光ディスクのハードコート層を形成するためのコーティング剤をホットメルト化し加熱してコーティングを行うことで端部の盛り上がりをなくす工程及び樹脂回収工程の減少、歩留まりの低下、及び溶剤を使用しない方法を提供することにある。
【解決手段】
カチオン重合硬化性化合物及びカチオン重合開始剤を含み且つ透明性に優れた加熱塗工して光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物とする。
【選択図】 なし
光ディスクのハードコート層を形成するためのコーティング剤をホットメルト化し加熱してコーティングを行うことで端部の盛り上がりをなくす工程及び樹脂回収工程の減少、歩留まりの低下、及び溶剤を使用しない方法を提供することにある。
【解決手段】
カチオン重合硬化性化合物及びカチオン重合開始剤を含み且つ透明性に優れた加熱塗工して光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物及び表面にハードコート層が設けられた光ディスク及び光ディスクの表面にハードコート層を形成する方法に関する。本発明において、ハードコート層とは、光ディスクに設けられた表面層で、透明で耐擦傷性及び耐摩耗性を有するものである。
耐擦傷性や耐摩耗性が必要とされる光ディスクとは、例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−Ray Diskなどの光記録媒体のことであり、通常記録層の保護、形状を保持するために透明プラスチック材料で形成され、サンドイッチ構造となっている。
これらの透明プラスチック材料は、使用時、その表面に傷が付きやすい。光ディスクの読み取り装置は、読みとり波長が小さいために、非常に微細な傷でもノイズとして読みとるため記録の読み取りに支障を来す。そこで通常、表面を保護するためにハードコート層で覆っている。
通常、このハードコート層の形成は、コーティング用樹脂を用いて行なわれる。例えば、コーティング用樹脂は、溶剤希釈されるか又は反応性希釈剤を用いて常温で低粘度の液状体とされ、この液状体を含むコーティング剤が調製され、スピンコート法によって光ディスクの表面に塗工される。コーティング用樹脂には、主に紫外線ラジカル重合型樹脂が用いられている。紫外線ラジカル重合型樹脂のように、光ラジカル重合によって硬化した樹脂は体積収縮が大きいため光ディスクの記録媒体面に対する密着性が低下したり、光ディスクの反りを引き起こす。さらに空気中の酸素により重合を阻害されるので不活性雰囲気下でコーティング処理を行う必要がある。そこで特許文献1や特許文献2では、紫外線カチオン重合型樹脂を用いるコート剤が提案されている。ラジカル重合に比べて体積収縮が小さく、空気中の酸素による硬化阻害を受けない。しかし、これらの紫外線カチオン重合型樹脂をコーティング用樹脂として用いても問題がある。先に説明したようにスピンコート法などでこれらの樹脂を塗工した場合にディスクの中心からの距離に従って表面の塗布厚みが変わる。また液状物であるため端部は盛り上がる傾向が強かった。結果として現状では盛り上がりを無くすために、盛り上がり部をなくすための新たな工程を必要としている。そして、さらに塗工後、余分に樹脂が飛散するため樹脂回収工程まで設けている。また溶剤を使用する方法であるため大気中への気散が避けられない点も解決すべき課題である。
特開平9−143391号公報
特開2003−157578号公報
本発明は、上記の如き事態を鑑みてなされたものであって、透明で耐擦傷性及び耐摩耗性を有する光ディスク用ホットメルトハードコート用組成物及びハードコート層を形成する方法を提供し、ハードコート層の端部の盛り上がりをなくし厚みを均一にすること、従来、端部の盛り上がりをなくために必要とされていた工程及び樹脂回収工程を省くことを目的とする。
請求項1の本発明では、カチオン重合硬化性化合物及びカチオン重合開始剤を含み、実質的に溶剤を含まず、且つ、透明性に優れた加熱塗工して光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物とする。
請求項2の発明では、硬化後の波長400nmでの光透過率が90%以上である請求項1に記載の加熱塗工して光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物とする。
請求項3の発明では、硬化前の軟化点が15℃以上である請求項1〜2記載の加熱塗工して光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物とする。
請求項4の発明では、前記ホットメルトハードコート組成物中のカチオン重合硬化性化合物が、環状エーテル基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものである請求項1〜3項に記載の加熱塗工して光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物とする。
請求項5の発明では、請求項1〜4項に記載のホットメルトハードコート用組成物に、さらに無機フィラーが含まれている光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物とする。
請求項6の発明では、 ハードコート処理すべき光ディスク表面に、請求項1〜5項に記載のホットメルトハードコート用組成物を加熱塗布してハードコート組成物層を形成し、形成されたハードコート組成物層に活性エネルギー線を照射し、光ディスク表面にハードコート層を形成する方法とする。
請求項7の発明では、活性エネルギー線として電子線又は紫外線を用いる請求項6に記載の光ディスク表面にハードコート層を形成する方法とする。
本発明の光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物は、用られる用途から透明性が要求される。従って通常のハードコート剤とはその点で区別される。この透明性は光学機器、表示素子として考慮すると可視光波長380〜800nmでの透明性が必要とされ、特に光ディスクの読みとり波長を考慮するとDVDであれば650nm、ブルーレイディスクでは405〜410nmでの光透過率が90%以上であることが好ましい。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の光ディスクでは表面にハードコート層が形成される。
本発明で用いられる光ディスクに用いられる基材は、特に限定されず一般にはポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチルが挙げられる。。
本発明の光ディスクに用いられるホットメルトハードコート用組成物について説明する。
本発明のホットメルトハードコート用組成物には、実質的に溶剤が含まれない。実質的に溶剤が含まれないホットメルトとすることによってハードコート端部の盛り上がりがない厚みの均一なハードコートが形成できる。
ホットメルトハードコート用組成物に含まれるカチオン重合硬化性化合物は、カチオン重合性を有するものであればよく、特に限定されないが、例えば、環状エーテル基及びビニルエーテル基の中から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものが好ましい。
このようなカチオン重合硬化性化合物のうち、環状エーテル基を有する化合物としては、例えばエポキシ基や脂環式エポキシ基、オキセタニル基を有する化合物が挙げられる。活性エネルギー線照射により硬化したハードコートとして十分な硬度が得やすいため、1つの分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上の重合性基を含む多官能モノマーもしくはオリゴマーを含んでいることが好ましい。
エポキシ基を有する化合物として、具体的には、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂類、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。但しこれらの中の純度が高く透明性の高い物が使用される。
また、脂環式エポキシ基を有する化合物として、具体的には、例えば、2,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル、市販品としては、EHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製、脂環式エポキシ樹脂)等が使用できる。エポキシ基を有する化合物と同様に純度が高く透明性の高い物が使用される。
オキセタニル基を有する化合物として、具体的には、例えば、1,4-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,3-ビス〔(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル〕プロパン、エチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
カチオン重合硬化性化合物のうち、ビニルエーテル基を有する化合物として、具体的には、例えば、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、シクロヘキサン-1,4-ジメチロールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、ポリエステルジビニルエーテル、ポリウレタンポリビニルエーテル等が挙げられる。
ホットメルトハードコート用組成物に含まれるカチオン重合硬化性化合物としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
更に、ホットメルトハードコート用組成物には、上記のカチオン重合硬化性化合物と同時に、ラジカル重合硬化性の化合物が併用されてもよい。ラジカル重合硬化性の化合物としては、分子内に1つ以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するものであれば特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基を有する化合物を用いることができる。
このようなラジカル重合硬化性化合物のうち、好ましい例として、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、エポキシ基を有する化合物と同様に純度が高く透明性の高い物が使用される。
また、ビニル基を有する化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
ホットメルトハードコート用組成物において、ラジカル重合硬化性の化合物を用いる場合には、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ホットメルトハードコート用組成物には、カチオン重合開始剤が含まれる。カチオン重合開始剤としては、カチオン重合硬化性化合物のカチオン重合を開始させるものであればよく特に限定されず、例えば、熱で活性化させるもの、活性エネルギー線で活性化させるものがある。活性エネルギー線で活性化させるものとしたは光カチオン重合開始剤がある。本発明においては、ホットメルトハードコート用組成物を塗布する際に加熱をする場合があるので光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。
中でも光カチオン重合開始剤を含むホットメルトハードコート用組成物とした場合には、塗工に際して、塗工工程で加熱されてもカチオン重合が開始されず活性エネルギー線を照射することによりハードコート用組成物は硬化するので塗工工程で安定であるので好適である。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等のオニウム塩を用いることができ、特に、芳香族オニウム塩を用いることが好ましい。その他、フェロセン誘導体等の鉄−アレーン錯体や、アリールシラノール−アルミニウム錯体等も好ましく用いることができ、これらの中から適宜選択するとよい。市販の光カチオン重合開始剤としては、例えば、サイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990(いずれも米国ダウケミカル社製)、イルガキュア264(チバスペシャルティケミカルズ社製)、CIT−1682(日本曹達製)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤の含有量は、例えば、ホットメルトハードコート用組成物(溶剤を含む場合は固形分として)中に0.5〜5重量%程度であることが好ましい。光カチオン重合開始剤もエポキシ基を有する化合物と同様に純度が高く透明性の高い物が使用される。
また、ホットメルトハードコート用組成物が、カチオン重合硬化性化合物の他にラジカル重合硬化性化合物をも含む場合は、上記の光カチオン重合開始剤と同時に、光ラジカル開始剤を含んでいることが好ましい。このような光ラジカル開始剤としては、例えば、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907、(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)が挙げられる。光ラジカル開始剤の含有量は、例えば、ホットメルトハードコート用組成物(溶剤を含む場合は固形分として)中に0.5〜5重量%程度であることがが好ましい。光ラジカル開始剤もエポキシ基を有する化合物と同様に純度が高く透明性の高い物が使用される。
ホットメルトハードコート用組成物は、必要に応じて耐摩耗性向上のために、無機フィラーが含有されてもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が挙げられる。無機フィラーの平均粒径は、大きくなると透明性が低下する場合があるので100nm以下が好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
更に、無機フィラーの表面は、活性エネルギー線重合性基を有する化合物で修飾されていることが好ましい。平均粒径が50nm以下であり、且つ活性エネルギー線重合性基を有する化合物で表面修飾されている無機フィラーとして、例えば、特開平11−60235号公報、特開平9−100111号公報、及び特開2001−187812号公報に記載されている反応性シリカ粒子があり、本発明において好ましく用いることができる。このような無機フィラーをハードコート用組成物に添加しておくことにより、透明性を低下させることなく、ハードコート層の耐摩耗性をより高めることができる。なお、特開平11−60235号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてカチオン反応性のオキセタニル基を含むものであり、特開平9−100111号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてラジカル反応性の(メタ)アクリロイル基を含んでいる。特開2001−187812号公報に記載のシリカ粒子は、(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性不飽和二重結合と、エポキシ基等のカチオン反応性基とを同時に含むものである。
無機フィラーの含有量は、例えば、ホットメルトハードコート用組成物(溶剤を含む場合は固形分として)中に5〜80重量%程度であることが好ましい。無機フィラーを80重量%よりも多く含有させると、ハードコート層の膜強度が弱くなりやすい。
本発明のホットメルトハードコート用組成物は、硬化前の軟化点が15℃以上であることが好ましい。15℃未満であると取り扱いに不便である。従来の溶剤を含むカチオン触媒を利用するコーティング剤では、常温で粘度の低い液状であるために塗工した後、光ディスク表面に塗工されたコーティング剤は端部で表面張力によって盛り上りが生じる。そこで室温雰囲気で一旦固化させることで盛り上がりを防ぐことができの固化工程が必要になる。本発明のホットメルトハードコート用組成物において実質的に溶剤を含まないとは、溶剤を含むことによる端部の盛り上がりが生じない程度に溶剤が含有されてもよいことを意味する。端部に塗工されたコーティング剤は盛り上りを防止するためには、軟化点が高い方が良いが、あまり高すぎるとホットメルトハードコート用組成物の粘度が高くなる傾向があり塗工時充分な流動性が得られないので、その場合塗工温度を高くする必要が出てくるが、不必要に塗工温度を高くするのは光ディスク基材を傷めたり、加熱装置のエネルギーロス、作業者の火傷の問題が出てくるので、好ましく15〜35℃である。
本発明のホットメルトハードコート用組成物は、硬化後、耐熱性や耐擦傷性、透明性が充分である必要がある。従って3官能以上のエポキシ基を有し、且つ軟化点が15〜35℃の化合物であれば1成分でも良し、軟化点60℃の2官能エポキシ基を有する化合物と3官能エポキシ基を有する液状成分を混合してホットメルト化しても良いし、逆に軟化点70℃、15官能のエポキシ基を有する化合物と2官能液状エポキシ化合物を混合して軟化点15〜35℃としても良い。
また、ホットメルトハードコート用組成物はさらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、増感剤、有機フィラー、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、ケイ素化合物などを含んでいても差し支えない。増感剤については紫外線ランプの種類によっては触媒にマッチする波長光を照射できないものもあり、適宜添加されるが、光ディスクのレーザー読みとりに支障を来すような特定吸収波長を有するものは添加できない場合があるので注意が必要である。
本発明のホットメルトハードコート用組成物は、まず、対象物体である光ディスクの表面に塗布してホットメルトハードコート組成物層を形成する。塗布方法は、限定されることなく、スピンコート法、ディップコート法、グラビアコート法、ロールコーター、コンマコーター、シム等の各種塗布方法が用いられる。
塗工時の温度は高すぎると基材を傷めるし、カチオン重合開始剤は熱でも反応が進行する場合もあるためむやみに上げてはいけない。ホットメルト化の目的は溶剤を用いずに塗工し、端部の膨らみを生ずるまでに室温で一旦固化させるのが目的である。従って塗工温度は15〜80℃が望ましいが、選ばれるカチオン重合硬化性化合物の反応性とカチオン重合開始剤によって調整される。
ハードコート組成物層の硬化により得られるハードコート層の厚さは、特に限定されることなく、光ディスクの種類や用途によって適宜決定するとよい。例えば、光ディスクが、光記録ディスクの場合には、1μm以上10μm以下、好ましくは1μm以上5μm以下となるように形成するとよい。1μm未満では、光ディスクに充分な表面硬度を与えることができず、10μmを超えると、クラックが発生したり、光ディスクの反りが大きくなる傾向にある。
ホットメルトハードコート組成物層を硬化させる手段としては、活性エネルギー線の中から適切なものを選択して用いればよく、電子線、紫外線が好適であるが、可視光等も利用できる。本発明においては、光カチオン重合硬化性化合物を含む場合には、酸素による硬化阻害は起こらないため、ラジカル重合系におけるような活性エネルギー線照射雰囲気中の酸素濃度を制御する必要はなく有利である。適切な紫外線照射量は、触媒量にも影響されるが、ハードコート層の厚さにより適宜決定されるが、例えば1〜500mJ/cm2、好ましくは1〜200mJ/cm2とするとよい。電子線照射を行う場合には、電子線の照射量は、例えば1〜30Mrad、好ましくは1〜10Mradとするとよい。これも使用するカチオン重合硬化性化合物の反応性基の種類や量、層の厚さ、含有されるフィラー等の添加剤の影響をうける。また、水分、アミン系化合物、アルカリ化合物による活性種の失活が起きやすいため、系中にこれらの成分が混入しないよう注意する必要がある。
本発明のこのようなプロセスを用いることにより、光ディスク表面に従来よりも工程を2段階省き、また実質的に溶剤を用いないホットメルトハードコート用組成物を用いれば無溶剤でハードコート層を形成することができる。
本発明の光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物は実質的に溶剤を含有しないので、光ディスクのハードコートの厚みが均一にすることができるため、従来の製造工程から(1)端部の膨らみを押さえる工程(2)樹脂の回収工程を減らすことができる。したがって、光ディスクの表面に厚みの均一な耐擦傷性及び耐摩耗性を有するハードコート層が安価に形成される。
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
以下の組成のホットメルトハードコート用組成物を調製し、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板(直径12cm)上に加熱滴下し、スピンコート法により塗布した。
(実施例1)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート1001:ジャパンエポキシレジン社製)100重量部と2官能オキセタニル基化合物(アロンオキセタンOXT−121:東亜合成社製)50重量部と平均粒径10μmの珪砂(珪砂特級2号 白石カルシウム社製)30重量部とカチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)2重量部を溶融撹拌してホットメルトハードコート用組成物を調製した。
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート1001:ジャパンエポキシレジン社製)100重量部と2官能オキセタニル基化合物(アロンオキセタンOXT−121:東亜合成社製)50重量部と平均粒径10μmの珪砂(珪砂特級2号 白石カルシウム社製)30重量部とカチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)2重量部を溶融撹拌してホットメルトハードコート用組成物を調製した。
(実施例2)
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート1001:ジャパンエポキシレジン社製)100重量部と可撓性エポキシ化合物(BEO−60E:ジャパンエポキシレジン社製)50重量部と珪砂(雪印特級珪砂#2)30重量部とカチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)2重量部を溶融撹拌してホットメルトハードコート用組成物を調製した。
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(エピコート1001:ジャパンエポキシレジン社製)100重量部と可撓性エポキシ化合物(BEO−60E:ジャパンエポキシレジン社製)50重量部と珪砂(雪印特級珪砂#2)30重量部とカチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)2重量部を溶融撹拌してホットメルトハードコート用組成物を調製した。
(実施例3)
脂環式固形エポキシ樹脂(EHPE−3150:ダイセル化学工業社製) 100重量部と4官能脂環式エポキシ樹脂(デナコールEX411:ナガセケムテックス社製)100重量部と2官能脂環式エポキシ樹脂(UVR−6105:ダウケミカル社製)50重量部と珪砂(雪印特級珪砂#2)30重量部とカチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)2重量部を溶融撹拌してホットメルトハードコート用組成物を調製した。
脂環式固形エポキシ樹脂(EHPE−3150:ダイセル化学工業社製) 100重量部と4官能脂環式エポキシ樹脂(デナコールEX411:ナガセケムテックス社製)100重量部と2官能脂環式エポキシ樹脂(UVR−6105:ダウケミカル社製)50重量部と珪砂(雪印特級珪砂#2)30重量部とカチオン重合開始剤(サイラキュアUVI−6990:ダウケミカル社製)2重量部を溶融撹拌してホットメルトハードコート用組成物を調製した。
上記ホットメルトハードコート用組成物をスピンコートし、大気中で紫外線を照射することによりホットメルトハードコート組成物層を硬化させた。紫外線照射は高圧水銀灯を用い、70mW/cm2×15秒で行なった。
(比較例1〜3)
実施例1〜3の組成の紫外線硬化型ハードコート用組成物を調製し、得られた組成物を、粘度が20℃下で300mPa・sになるようにトルエンで希釈し、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板(直径12cm)上にスピンコート法により塗布した。
実施例1〜3の組成の紫外線硬化型ハードコート用組成物を調製し、得られた組成物を、粘度が20℃下で300mPa・sになるようにトルエンで希釈し、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板(直径12cm)上にスピンコート法により塗布した。
次いで、大気中で紫外線を照射することによりハードコート層を硬化させた。光源としては高圧水銀灯を用い、70mW/cm2×15秒で行なった。
(評価)
実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した各試料について、以下に示す性能試験を行った。
以上の測定結果を表1に示す。本発明は表1の様に実用的に塗工でき、ホットメルトハードコート用組成物として役割を果たし、そして光透過率から読みとりにおいても充分な性能を有する。
実施例1〜3及び比較例1〜3で作製した各試料について、以下に示す性能試験を行った。
以上の測定結果を表1に示す。本発明は表1の様に実用的に塗工でき、ホットメルトハードコート用組成物として役割を果たし、そして光透過率から読みとりにおいても充分な性能を有する。
耐擦傷性の評価は、スチールウール#000を用い、試料のハードコート表面を、荷重4.9N/cm2にて20往復摺動した際に生じた傷の程度を目視により判定した。判定基準は以下の通りである。
○:傷発生なし
△:わずかに傷発生
×:傷発生
軟化温度の測定 :R&B法(JAI−7:日本接着剤工業界規格)に従い測定した。
光透過率の測定 :ホットメルトハードコート用組成物を30μm厚に調製し、紫外線を照射して硬化した層を分光光度計を用いて400nm波長での透過率を測定した。
塗工厚み :ホットメルトハードコート用組成物を塗工し紫外線を照射した光ディスクの端部と中心部の厚みをテクロック社製厚みゲージを用いて測定した。
○:傷発生なし
△:わずかに傷発生
×:傷発生
軟化温度の測定 :R&B法(JAI−7:日本接着剤工業界規格)に従い測定した。
光透過率の測定 :ホットメルトハードコート用組成物を30μm厚に調製し、紫外線を照射して硬化した層を分光光度計を用いて400nm波長での透過率を測定した。
塗工厚み :ホットメルトハードコート用組成物を塗工し紫外線を照射した光ディスクの端部と中心部の厚みをテクロック社製厚みゲージを用いて測定した。
本発明は、ホットメルトハードコート用組成物は記録層が相変化型の光ディスクのみならず、再生専用型光ディスクや、追記型光ディスクにも適用される。
Claims (7)
- カチオン重合硬化性化合物、カチオン重合開始剤を含み、実質的に溶剤を含まず、且つ、透明性に優れた加熱塗工して光ディスクに用いられるホットメルトハードコート用組成物。
- 硬化後の波長400nmでの光透過率が90%以上である請求項1に記載の光ディスクに用いられるホットメルトハードコート用組成物。
- 硬化前の軟化点が15℃以上である請求項1〜2の何れか1項に記載の光ディスクに用いられるホットメルトハードコート用組成物。
- カチオン重合硬化性化合物が、環状エーテル基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ディスクに用いられるホットメルトハードコート用組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ディスク用に用いるホットメルトハードコート用組成物に、さらに無機フィラーが含まれている光ディスクに用いられるホットメルトハードコート用組成物。
- ハードコート処理すべき光ディスク表面に、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物を加熱塗工してハードコート組成物層を形成し、形成されたハードコート組成物層に活性エネルギー線を照射し、光ディスク表面にハードコート層を形成する方法。
- 活性エネルギー線が、電子線又は紫外線である請求項7に記載のハードコート層を形成する方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004004851A JP2005194484A (ja) | 2004-01-09 | 2004-01-09 | 光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物及びハードコート層の形成方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004004851A JP2005194484A (ja) | 2004-01-09 | 2004-01-09 | 光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物及びハードコート層の形成方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005194484A true JP2005194484A (ja) | 2005-07-21 |
Family
ID=34819342
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004004851A Pending JP2005194484A (ja) | 2004-01-09 | 2004-01-09 | 光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物及びハードコート層の形成方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005194484A (ja) |
-
2004
- 2004-01-09 JP JP2004004851A patent/JP2005194484A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4525805B2 (ja) | 複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法 | |
JP4319522B2 (ja) | 光情報媒体 | |
JP4753601B2 (ja) | 感光性組成物 | |
JP2005126453A (ja) | ハードコート剤組成物及びこれを用いた光情報媒体 | |
JP2005112900A (ja) | ハードコート剤組成物及びこれを用いた光情報媒体 | |
JP2005179613A (ja) | ハードコート剤組成物及びこれを用いた光情報媒体 | |
JP3672651B2 (ja) | インクジエット記録方式用紫外線硬化性樹脂組成物及びその硬化物 | |
CN111801222B (zh) | 用于制造偏光板的方法和用于偏光板的粘合剂组合物 | |
US7235292B2 (en) | Article with composite hard coat layer and method for forming composite hard coat layer | |
JP2003315503A (ja) | 複合ハードコート層付き物体及び複合ハードコート層の形成方法 | |
JP2005194484A (ja) | 光ディスクに用いるホットメルトハードコート用組成物及びハードコート層の形成方法 | |
WO2003100777A1 (fr) | Support optique d'informations et procede de lecture associe | |
WO2004099286A1 (ja) | 光カチオン重合性樹脂組成物及び光ディスク表面保護用材料 | |
JP2005194485A (ja) | ハードコート組成物及びハードコート層形成方法。 | |
JP2004352980A (ja) | 光カチオン重合性樹脂組成物及び光ディスク表面保護用材料 | |
JP2005339609A (ja) | 光ディスク用ハードコート剤 | |
JP2005339727A (ja) | 光ディスク用光反応性接着剤 | |
JP2004359779A (ja) | 光ディスク用接着剤組成物 | |
JP2006040323A (ja) | 鏡面加工方法および鏡面加工方法を用いた光ディスクの製造方法 | |
JP2010180300A (ja) | 活性エネルギー線硬化性組成物、硬化物及び積層体 | |
JP2001131518A (ja) | 貼り合わせ形式光ディスク用紫外線硬化型接着剤組成物及びこれを用いた光ディスク | |
JP2007234189A (ja) | 光ディスク用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物およびそれを用いた光ディスク | |
JP2004247015A (ja) | 光記録媒体の製造方法 | |
JP2006299034A (ja) | 光カチオン重合性組成物 | |
JP2006316101A (ja) | 光カチオン重合性組成物及び光ディスク用コーティング剤 |