JP2005194485A - ハードコート組成物及びハードコート層形成方法。 - Google Patents

ハードコート組成物及びハードコート層形成方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】
防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とに優れたハードコート組成物を1液で提供することにある。また、加熱塗工すれば、溶剤の使用を省き、端部の膨らみを押さえることで、塗工後の端部の膨らみを押さえる工程を省き、飛散した樹脂回収工程も省くことができる。本発明はそのような利点を有したハードコート組成物及びそれが塗工されて得られるハードコートを有する物品及びハードコート層の形成方法を提供することにある。
【解決手段】
カチオン重合硬化性化合物及びカチオン重合開始剤と、溶剤希釈時又は加熱溶融時に均一分散もしくは相溶し、塗工後、表面に偏析及び/又は析出する防汚及び/又は潤滑機能を有する物質を含むハードコート組成物とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ハードコート組成物及びハードコート層の形成方法に関する。本発明において、ハードコートとは、物体表面に設けられた耐擦傷性及び耐摩耗性を担うハードコート層と、ハードコート層表面に偏析及び/又は析出した防汚性及び潤滑性を担う表面材料層とを含む。より詳しくは、防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とを必要とする各種物品の分野において、これら諸性能を具備したハードコート組成物、該ハードコート層の形成方法に関する。
特に、光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子などの表面に、それらの光学性能や記録特性を損なうことなく防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とを有するハードコート層を形成する方法に関する。
耐擦傷性や耐摩耗性が必要とされる各種の物体、例えば、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−Ray Diskなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子の表面には、通常保護層としてハードコート層が付与されている。
これらの各種物品においては、使用時、その表面に指紋、皮脂、汗、化粧品等の汚れが付着する場合が多い。このような汚れは、一度付着すると除去することは容易でなく、特に、光記録媒体や、この記録再生に用いられる光学レンズにおいては、付着した汚れによって情報信号の記録及び再生に著しい支障が生じるために、大きな問題となる。
また、光磁気記録媒体においては、記録層の上に設けられた有機保護層上を磁界ヘッドが走行するため、保護層の耐摩耗性を高めると同時に、摩擦係数を低くすることが求められる。
紫外線カチオン重合硬化性化合物は、光ラジカル重合に比べて硬化時の収縮が小さく、空気中の酸素による硬化阻害を受けないので不活性雰囲気下で塗工する必要がない点で優れたコーティング材である。特許文献1では、プロペニルエーテル化合物をカチオン硬化のベース材に用い、光ディスクのオーバーコート剤に用いている。また、特許文献2では2層構造のハードコート及びハードコート方法が提案されている。それによれば耐擦傷性に優れた厚みのある下層と防汚性、潤滑性に優れた薄い上層の2層構成のものを、2段階で塗工しカチオン硬化、及び/又は加熱硬化させることにより耐擦傷性に優れたハードコート層ができるとしている。それにより従来の2段階でのハードコート構成体に比べ、下層と上層の密着が優れているため長期に渡りこの耐擦傷性を維持し、さらに指紋等の汚れを抑え、汚れが拭き取りやすいとしている。さらに上層をコートする際、プライマー処理をする必要がないため生産性も優れたものとしている。しかしながらこの上記方法はやはりハードコート層を2段階で塗工する必要が残されたままである。
特開平9−143391号公報 特願2003−37958号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、防汚性及び潤滑性と、耐擦傷性及び耐摩耗性とに優れたハードコート組成物を1液で提供することにある。また、ハードコート組成物を実質的に溶剤を使用しないホットメルトとし、ハードコート層端部の膨らみを押さえるた膜厚の均一ハードコート層形成方法を提供することにある。また、塗工後の端部の膨らみを押さえる工程、飛散した樹脂回収工程も省くことができる、溶剤を使用しない製造工程を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、カチオン硬化法を用いれば空気中での硬化が可能であるために空気中に偏析し易い防汚・潤滑層を形成する物質を予めハードコート組成物中に混入することができることが分かった。さらに、ハードコート剤を溶剤を用いないホットメルト組成物とし、加熱塗工する場合でもこの偏析することが分かった。そして本発明に到達した。即ち、本発明には、以下の発明が含まれる。
請求項1の発明は、 カチオン重合硬化性化合物、カチオン重合開始剤および、溶剤希釈時又は加熱溶融時においては、ハードコート組成物中に均一分散もしくは相溶し、対象表面塗工後においては表面上に析出する、防汚又は潤滑機能を有する物質を含有することを特徴とするハードコート組成物とする。
請求項2の発明は、 ハードコート組成物に含まれるカチオン重合硬化性化合物が、環状エーテル基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものである請求項1に記載のハードコート組成物とする。
請求項3の発明は、上記析出する防汚又は潤滑機能を有する物質が、シリコーン系の置換基を有する化合物又は炭化水素系ワックスからなる化合物である請求項1〜2いずれか1項に記載のハードコート組成物とする。
請求項4の発明は、 前記ハードコート組成物には、さらに無機フィラーが含有されている、請求項1〜3いずれか1項に記載のハードコート組成物とする。
請求項5の発明は、ハードコート組成物が、光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、又は各種表示素子に用いるものである請求項1〜4いづれか1項に記載のハードコート組成物とする。
請求項6の発明は、請求項1〜5いづれか1項に記載のハードコート組成物を対象表面に塗布して、塗布層表面上に、防汚又は潤滑機能を有する物質を析出させた後、塗布層に活性エネルギー線を照射して対象表面上の表面から順にハードコート層、防汚又は潤滑機能層の二重層を形成する機能層付きハードコート層の形成方法とする。
請求項7の発明は、 活性エネルギー線が、電子線又は紫外線である、請求項6記載の機能層付きハードコート層形成方法とする。
本発明のハードコート組成物は、表示素子等、例えば、液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等に適用されハードコート層を形成する。
本発明で用いられるハードコート層は上記物品に適用されるので透明性であることが必要である。従って通常のハードコート層とはその点で区別される。この透明性は光学機器、表示素子として考慮すると可視光波長380〜800nmでの透明性であり、特に光ディスクの読みとり波長を考慮するとDVDであれば650nm、ブルーレイディスクでは405〜410nmでの光透過率は90%以上は必要である。
本発明のハードコート層が付与された物品の層構成例はハードコート処理すべき対象物品の表面にハードコート層が形成され、ハードコート層の表面に偏析及び/又は析出した防汚性有する表面材料層が形成されている。ハードコート層、防汚又は潤滑機能層の二重層を形成し一体としてハードコート層とする。
本発明のハードコート組成物に含まれるカチオン重合硬化性化合物はカチオン重合により硬化する化合物であれば特に限定されないが、好ましくは、環状エーテル基及びビニルエーテル基の中から選択される少なくとも1つの反応性基を有する化合物である。カチオン重合硬化性化合物は、活性エネルギー線照射によりハードコート層として十分な硬度を得るため、1つの分子内に2つ以上、好ましくは3つ以上の重合性基を含む多官能モノマーもしくはオリゴマーを含んでいることが好ましい。
このようなカチオン重合硬化性化合物のうち、環状エーテル基を有する化合物としては、例えば、エポキシ基や脂環式エポキシ基、オキセタニル基を有する化合物が挙げられる。
エポキシ基を有する化合物として、具体的には、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂類、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
脂環式エポキシ基を有する化合物として、具体的には、例えば、2,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、市販品としてEHPE−3150(脂環式エポキシ樹脂:ダイセル化学工業(株)製、)等が挙げられる。
オキセタニル基を有する化合物として、具体的には、例えば、1,4−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕プロパン、エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
カチオン重合硬化性化合物のうち、ビニルエーテル基を有する化合物として、具体的には、例えば、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、シクロヘキサン-1,4-ジメチロールジビニルエーテル、1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、ポリエステルジビニルエーテル、ポリウレタンポリビニルエーテル等が挙げられる。
ハードコート組成物に含まれるカチオン重合硬化性化合物としては、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ハードコート組成物において、上記のカチオン重合硬化性化合物と同時に、ラジカル重合硬化性の化合物を併用しても差し支えない。ラジカル重合硬化性の化合物としては、分子内に1つ以上のラジカル重合性不飽和二重結合を有するものであれば特に制限はないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基を有する化合物を用いることができる。
このようなラジカル重合硬化性の化合物のうち、(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
また、ビニル基を有する化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
ハードコート組成物において、ラジカル重合硬化性の化合物を用いる場合には、1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ホットメルトハードコート組成物には、カチオン重合開始剤が含まれる。カチオン重合開始剤としては、カチオン重合硬化性化合物のカチオン重合を開始させるものであればよく特に限定されず、例えば、熱で活性化させるもの、活性エネルギー線で活性化させるものがある。活性エネルギー線で活性化させるものとしては、光カチオン重合開始剤がある。本発明においては、ホットメルトハードコート用組成物を塗布する際に加熱をする場合があるので光カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等のオニウム塩を用いることができ、特に、芳香族オニウム塩を用いることが好ましい。その他、フェロセン誘導体等の鉄−アレーン錯体や、アリールシラノール−アルミニウム錯体等も好ましく用いることができ、これらの中から適宜選択するとよい。具体的には、市販品のサイラキュアUVI−6970、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6990(いずれも米国ダウケミカル社製)、イルガキュア264(チバスペシャルティケミカルズ社製)、CIT−1682(日本曹達製)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤の含有量は、例えば、ハードコート組成物中に0.5〜5重量%程度であることが好ましい。
また、ハードコート組成物が、カチオン重合硬化性化合物の他にラジカル重合硬化性の化合物をも含む場合は、上記の光カチオン重合開始剤と同時に、光ラジカル重合開始剤を含んでいることが好ましい。このような光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ダロキュア1173、イルガキュア651、イルガキュア184、イルガキュア907、(いずれもチバスペシャルティケミカルズ社製)が挙げられる。光ラジカル重合開始剤の含有量は、例えば、ハードコート組成物(溶剤を含む場合固形分として)中に0.5〜5重量%程度が好適である。
本発明のハードコート組成物には、塗工後、偏析及び/又は析出する防汚及び/又は潤滑機能を有する物質が添加される。防汚及び/又は潤滑機能を有する物質としては、偏析及び/又は析出する防汚及び/又は潤滑機能を有する物質であれば特に限定されない。
本発明のハードコート組成物を塗工後、偏析及び/又は析出する防汚及び/又は潤滑機能を有する物質は、表面に偏析又は偏析及び/又は析出するものであればカチオン重合性のものであっても重合性のないものでもよい。ラジカル重合物質は酸素による硬化阻害を受けるため窒素雰囲気化で行われるが、本反応はカチオン重合であるため通常の空気雰囲気下で反応ができ空気界面で偏析及び/又は析出が起こり、機能を発揮できるものを使用する。
上記偏析及び/又は析出する防汚又は潤滑機能を有する物質としては、シリコーン系の置換基を有する化合物又は炭化水素系ワックスからなる化合物が好ましい。
シリコーン系の置換基を有する化合物としては、シリコーン系置換基を有する化合物であれば特に限定されないが、好ましくはシリコーン系置換基を有する部位と、環状エーテル基及びビニルエーテル基の中から選択される少なくとも1つの反応性基とを有する化合物が挙げられ、より詳細には、例えば下記式(1)から(3)に示す化合物が挙げられるが、例えば、UV硬化型剥離紙用シリコーンとして市販されているシリコーン化合物も好ましく用いることができる。このようなUV硬化型剥離紙用シリコーンとしては、例えば、GE東芝シリコーン(株)製のTPR6500、UV9315、XS56−A2982や、ローディア社製(仏国)のシリコリースUVシステムなどが市販されており、好ましく用いることができる。
R−[Si(CH3)2O]n−R (1)
R−[Si(CH3)2O]n−Si(CH3)3 (2)
(CH3)3SiO−[Si(CH3)20]n−[Si(CH3)(R)O]m−Si(CH3)3 (3)
(ここで、Rは、環状エーテル基及びビニルエーテル基の中から選択される少なくとも1つの反応性基を含む置換基であり、n、mは重合度であり、nは5〜1000、mは2〜100である。)
また、重合性のない物質として炭化水素ワックスを用いることもできる。但し、脂肪酸アマイド系ワックスは、カチオン重合の硬化阻害が起こすため好ましくない。
塗工後に空気界面等表面で偏析及び/又は析出する防汚及び/又は潤滑機能を有する物質は、上記シリコーン系の置換基を有する化合物又は炭化水素系ワックスからなる化合物の内から1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハードコート組成物は、必要に応じて耐摩耗性向上のために、無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア等が挙げられる。無機フィラーの平均粒径は、大きくなると透明性が低下するので100nm以下が好ましく、50nm以下であることがより好ましい。
さらに、ハードコート層の強度、耐擦傷性や耐摩耗性をより高めるためには、無機フィラーの表面が、活性エネルギー線重合性基を有する化合物で修飾されていることが好ましい。このような無機フィラーをハードコート組成物に添加しておくことにより、ハードコート層の耐摩耗性をより高めることができる。平均粒径が50nm以下であり、且つ活性エネルギー線重合性基を有する化合物で表面修飾されている無機フィラーとして、例えば、特開平11−60235号公報、特開平9−100111号公報、及び特開2001−187812号公報に記載されている反応性シリカ粒子があり、本発明において好ましく用いることができる。なお、特開平11−60235号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてカチオン反応性のオキセタニル基を含むものであり、特開平9−100111号公報に記載のシリカ粒子は、反応性基としてラジカル反応性の(メタ)アクリロイル基を含んでいる。特開2001−187812号公報に記載のシリカ粒子は、(メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性不飽和二重結合と、エポキシ基等のカチオン反応性基とを同時に含むものである。
無機フィラーの含有量は、例えば、ハードコート組成物中に5〜80重量%程度であることが好ましい。無機フィラーを80重量%よりも多く含有させると、ハードコート層の膜強度が弱くなりやすい。
また、ハードコート組成物は、さらに、必要に応じて、増感剤、有機フィラー、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、レベリング剤、顔料、ケイ素化合物などを含んでいても差し支えない。
本発明において、ハードコート層がハードコート組成物から得られる。
本発明において、ハードコート組成物を対象表面に塗布して、塗布層表面上に、防汚又は潤滑機能を有する物質を析出させた後、塗布層に活性エネルギー線を照射して対象表面上の表面から順にハードコート層、防汚又は潤滑機能層の二重層を形成する機能層付きハードコート層の形成方法とする。塗布方法は、限定されることなく、スピンコート法、ディップコート法、グラビアコート法、ロールコーター法、コンマコーター法、シム法等の各種塗布方法を用いるとよい。
加熱塗工する場合、塗工時の温度は高すぎると基材を傷めるし、カチオン重合開始剤は熱でも反応が進行する場合もあるためむやみに上げてはいけない。ホットメルト化の目的は、実質的に溶剤を用いずに塗工し、ハードコート層端部の膨らみを生ずるまでに室温で一旦固化させ端部膨らみを減少させることがが目的である。従って塗工温度は15〜80℃が好ましく、選ばれるカチオン重合硬化性化合物の反応性とカチオン重合開始剤によって調整される。
ハードコート組成物を硬化させる手段としては、紫外線、電子線、可視光線などの活性エネルギー線の中から適切なものを選択して用いればよいが、好ましくは、紫外線、電子線である。本発明において、光カチオン重合開始剤を利用する場合には、酸素による硬化阻害は起こらないため、ラジカル重合系におけるような活性エネルギー線照射雰囲気中の酸素濃度を制御する必要はないので工程が簡単になり有利である。しかしながら、水分、アミン系化合物、アルカリ化合物による活性種の失活が起きやすいため、ハードコート組成物中にこれらの成分が混入しないよう注意する必要がある。
塗工後冷却固化したハードコート組成物を、例えば、紫外線によりカチオン重合する場合、適切な紫外線照射量は、カチオン重合開始剤とハードコート層の厚さにも影響されるが、例えば、1〜500mJ/cm2、好ましくは1〜200mJ/cm2とするとよい。電子線照射を行う場合には、電子線の照射量は、例えば1〜30Mrad、好ましくは1〜10Mradとするとよい。これも使用する樹脂の反応性基の種類や量、層の厚さ、含有されるフィラー等の添加剤の影響をうける。
ハードコート組成物の硬化により得られるハードコート層の厚さは、特に限定されることなく、対象物体に種類や用途によって適宜決定するとよい。例えば、対象物体が、光記録ディスクの場合には、1μm以上10μm以下、好ましくは1μm以上5μm以下となるように形成するとよい。1μm未満では、光記録ディスクに充分な表面硬度を与えることができず、10μmを超えると、クラックが発生したり、反りが大きくなる傾向にある。
本発明のハードコート組成物、及びハードコート層形成方法により、耐擦傷性及び耐摩耗性のハードコート層、更にその上に、良好な撥水性・潤滑性、防汚性を有する物質が偏析及び/又は析出すると共に、硬度が高く、耐擦傷性及び耐摩耗性、且つ良好な撥水性・潤滑性、防汚性を有するハードコート層が得られる。
本発明のハードコート層形成方法の対象となる物品としては、ハードコート処理の必要な種々のものが含まれる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂からなるシートや基板が挙げられるが、これらに限定されるものではない。より具体的な物品としては、例えば、光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び液晶ディスプレー、CRTディスプレー、プラズマディスプレー、ELディスプレー等の各種表示素子が挙げられる。
本発明のハードコート組成物、ハードコート層形成方法を用いることによって耐擦傷性、耐摩耗性及び撥水・潤滑性、防汚性に優れ、その耐久性も良好なハードコート層が形成される。
また、本発明によれば、1液で上記ハードコート層が形成され、実質的に溶剤を使用せず加熱塗工することが可能になり、少溶剤又は無溶剤工程、ハードコート剤の回収工程及びハードコート層端部の膨らみを押さえる工程を省くことができ、極めて良好なハードコート層が付与された物品が安価に且つ容易に提供される。
(実施例)
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
以下の組成の紫外線硬化型ハードコート組成物を調製し、得られたものを、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板(直径12cm)上に80℃に加温し、スピンコート法により塗布した。
(紫外線硬化型ハードコート組成物)
脂環式固形エポキシ樹脂(EHPE−3150、ダイセル化学工業社製) 20重量部
4官能脂環式エポキシ樹脂(デナコールEX−411、ナガセエレックス社製)20重量部
2官能脂環式エポキシ樹脂(UVR−6105、ダウケミカル社製) 10重量部
光重合開始剤(UVI−6990、ダウケミカル社製) 1.5重量部
脂環エポキシ変性シリコーンオイルシリコリース(UVPOLY201、荒川化学工業社製)1重量部
次いで、大気中で紫外線を照射することによりハードコート組成物を硬化させハードコート層を形成した。照射光源としては超高圧水銀灯を用い(オーク製作所製:ジェットライトJL−4000)照射条件は70mW/cm2×15秒とした。
(実施例2)
以下の組成の紫外線硬化型ハードコート組成物を調製し、得られたものを、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板(直径12cm)上に80℃でスピンコート法により塗布した。
(紫外線硬化型ハードコート組成物)
脂環式固形エポキシ樹脂(EHPE−3150、ダイセル化学工業社製) 20重量部
4官能脂環式エポキシ樹脂(エポリードGT403、ダイセル化学工業社製)20重量部
2官能脂環式エポキシ樹脂(UVR−6105、ダウケミカル社製) 10重量部
光重合開始剤(UVI−6990、ダウケミカル社製) 1.5重量部
脂環式エポキシ変性シリコーンオイルシリコリース(UVPOLY201、荒川化学工業社製)1重量部
次いで、大気中で紫外線を照射することによりハードコート層を硬化させた。照射光源としては超高圧水銀灯を用い(オーク製作所製:ジェットライトJL−4000)照射条件は、70mW/cm2×15秒とした。
(比較例1)
以下の組成の紫外線硬化型ハードコート剤を調製し、得られたものを、厚さ0.6mmのポリカーボネート基板(直径12cm)上にスピンコート法により塗布した。
(紫外線硬化型ハードコート剤組成物)
脂環式固形エポキシ樹脂(EHPE−3150:ダイセル化学工業社製) 20重量部
4官能脂環式エポキシ樹脂(エポリードGT403:ダイセル化学工業社製)20重量部
2官能脂環式エポキシ樹脂(UVR−6105:ダウケミカル社製) 10重量部
光重合開始剤(UVI−6990:ダウケミカル社製) 1.5重量部
をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50重量部で希釈し、スピンコート後、60℃で3分間乾燥しハードコート層とした。
(紫外線硬化型表面層材料)
脂環式エポキシ変性シリコーンオイル(シリコリースUVPOLY201:荒川化学工業社製)1重量部、
光重合開始剤(シリコリースUVCATA211:荒川化学工業社製) 0.03重量部をn−オクタン199重量部で希釈し上記ハードコート層の上にスピンコートした。
次いで、大気中で紫外線を照射することによりハードコート層を硬化させた。照射光源としては超高圧水銀灯を用い(オーク製作所製:ジェットライトJL−4000)照射条件は70mW/cm2×15秒とした。
(評価)
実施例1、2及び比較例1で作製した各試料について、以下に示す性能試験を行った。
(1)耐擦傷性:
スチールウール#000を用い、試料のハードコート表面を、荷重4.9N/cm2にて20往復摺動した際に生じた傷の程度を目視により判定した。判定基準は以下の通りである。
○:傷発生なし
△:わずかに傷発生
×:傷発生
(2)塗工端部の状況:
端部と中心部の厚みをテクロック社製厚みゲージを用いて測定した。
Figure 2005194485
以上の測定結果を表1に示す。表1から、ハードコート組成物はで充分にハードコート層としての機能を有する。また溶剤を用いず加熱塗工する場合は溶剤の使用もなく、端部の膨らみもなく非常に利点が多い。
本発明のハードコート組成物及びそれを用いたハードコート層形成方法は、記録層が相変化型の光ディスクのみならず、再生専用型光ディスクや、追記型光ディスクにも適用される。さらに、本発明は、光情報媒体のみならず、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、及び各種表示素子にも適用される。

Claims (7)

  1. カチオン重合硬化性化合物、カチオン重合開始剤および、
    溶剤希釈時又は加熱溶融時においては、ハードコート組成物中に均一分散もしくは相溶し、対象表面塗工後においては表面上に析出する、防汚又は潤滑機能を有する物質を含有することを特徴とする、
    ハードコート組成物。
  2. ハードコート組成物に含まれるカチオン重合硬化性化合物が、環状エーテル基及びビニルエーテル基からなる群から選択される少なくとも1つの反応性基を有するものである請求項1に記載のハードコート組成物。
  3. 上記析出する防汚又は潤滑機能を有する物質が、シリコーン系の置換基を有する化合物又は炭化水素系ワックスからなる化合物である請求項1〜2のいずれか1項に記載のハードコート組成物。
  4. 前記ハードコート組成物には、さらに無機フィラーが含有されている請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコート組成物。
  5. ハードコート組成物が、光記録媒体、光磁気記録媒体、光学レンズ、光学フィルター、反射防止膜、又は各種表示素子に用いるものである請求項1〜4いづれか1項に記載のハードコート組成物。
  6. 、請求項1〜5のいづれか1項に記載のハードコート組成物を対象表面に塗布して、塗布層表面上に、防汚又は潤滑機能を有する物質を析出させた後、塗布層に活性エネルギー線を照射して対象表面上の表面から順にハードコート層、防汚又は潤滑機能層の二重層を形成する機能層付きハードコート層の形成方法。
  7. 活性エネルギー線が、電子線又は紫外線である、請求項6記載の機能層付きハードコート層形成方法。


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