JP2005339595A - 光ヘッド装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 素子特性の劣化が少なく歩留まりを向上させることができる位相板を備え、延いては装置としての歩留まりの向上も図ることができる光ヘッド装置を提供する。
【解決手段】 光の偏光状態を制御する位相板6は、少なくとも1枚の透明基板61を有し、この透明基板61には交差する少なくとも2つの有機系複屈折層である高分子液晶層62、63が積層されており、かつ、高分子液晶層62、63の間にこの形成材料とは異なる材料で、所定条件を満たす有機膜若しくは無機系膜の配向膜64、65を設けるか、または有機膜もしくは無機系膜を介在させずに有機系複屈折層どうしを直接積層してある。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光源から出射した光の偏光状態を制御するための位相板を搭載した光ヘッド装置に関する。
近時、光ディスクおよび光磁気ディスクなどの光記録媒体に光学的情報を書き込んだり、光記録媒体から光学的情報を読み取ったりするために光ヘッド装置が開発され、使用されている。
この光ヘッド装置は、例えば図6に示すように、光記録媒体であるCD110(またはDVD120)での情報の読取や書込みを行う場合、光源102Aである半導体レーザを用い、ここから出射する光をコリメータレンズ103Aで平行光とし、そのままビームスプリッタプリズム104を透過させた後、対物レンズ105を用いてCD110(またはDVD120)の記録面上に集光し、情報の読取りまたは書込みを行う。
一方、この装置によりDVD120(またはCD110)の情報の読取や書込みを行うため、前述の光源102Aとは別の光源102Bの光を用いる場合には、コリメータレンズ103Bで平行光とした後、ビームスプリッタプリズム104で反射させて光路を折曲し、光源102Aからの光が進行する光路方向に進行させて、対物レンズ105を用いてDVD120(またはCD110)の記録面上に集光し、情報の書き込みまたは読み取りを行う。なお、ここで、受光系は、説明を分かりやすくするため省略した。
この例のように、2種類の異なる光ディスクであるCDおよびDVDでの情報の読み取りや書き込みを行う光ヘッド装置では、その光源である半導体レーザとして、それぞれ790nmおよび660nmの2つの異なる波長を出射する半導体レーザが必要となる。ところがこの構成において、光ディスクからの反射戻り光が、光源である半導体レーザからの出射光と同じ偏光方向で戻ると、半導体レーザの出力が不安定となる。
そのため、ビームスプリッタプリズム104と対物レンズ105との間にいわゆる1/4波長板といわれる位相板200を配置して、戻り光の偏光方向を出射光の偏光方向と直交させることにより、半導体レーザの出力が不安定になることを抑制している。この場合、位相板200としては、CD、DVD用の二つの波長に対して1/4波長板としての機能を有する必要がある。そこで、従来は、複屈折性を有する2枚の位相板の光軸方向を交差させて積層することにより、2つの異なる波長に対してともに1/4波長板として機能する広帯域波長板が提案されている(特許文献1参照)。
上記のような機能を要求されている位相板200は、図7に示すように、2枚のガラス基板201とガラス基板202との間に、有機材料で形成した有機系複屈折層である2つの複屈折フィルム203、204を3つの接着層206〜207を介して貼り合わせた構造としていた。
特開平11−149015号公報
しかしながら、有機材料で作製されていた複屈折フィルムを用いる場合には、2枚のガラス基板の間に2つの有機フィルムと3層の接着層があり、2層分の有機層の厚さが合算されて増大し、位相板全体としての厚さが厚くなる。即ち、具体的には、図7において、接着層206〜207の厚さが約5μm、有機系複屈折層である複屈折フィルム203、204の厚さか約75μmであって、位相板としてのトータルの厚さが約165μmと非常に厚いものであった。
このように、ガラス基板に有機層を厚く挟みこんだ場合には、主に以下の4つの問題点があった。
(1)第1の問題点は、信頼性の問題で、この位相板を高温高湿下で保管すると、この有機層が厚いことにより大量の水分を含むことになる。これにより、位相板の透過波面収差が劣化する。特に位相板材料としてポリカーボネートのような有機フィルム(約80μm)を用いると水分を吸湿してしまい、透過波面収差の劣化が大きいので、波面収差歩留まりが非常に低く、コスト高となっていた。
(2)第2の問題点は、これらの有機層を接着剤で積層する際にひずみが生じ波面収差を劣化させ生産歩留まりの低下を招いた。この接着層の厚さも厚ければ厚いほどそのひずみは大きくなる。
(3)第3の問題点は、この位相板を切断したり、他の光学部品に積層する際に、柔らかい有機層が厚いために素子にひずみが入りやすく、波面収差を劣化させた。
(4)第4の問題点は、積層フィルムの厚さに加えて、基材としてのガラスが存在するために小型・軽量化には適していなかった。
これら4つの問題点のうち第2および第3の問題点は、比較的やわらかい有機層が厚くて、歪みやすいためと考えられる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、素子特性の劣化が少なく歩留まりを向上させることができる位相板を備え、延いては装置としての歩留まりの向上も図ることができる光ヘッド装置を提供することを目的とする。
本発明は、光源と、この光源から出射する光を光記録媒体へ集光する対物レンズと、前記光記録媒体によって反射された光を検出する光検出器と、前記光源と対物レンズとの間、または前記光検出器と対物レンズとの間の光路中に設けた光の偏光状態を制御する位相板とを備える光ヘッド装置において、
前記位相板は、少なくとも1枚の透明基板を有し、前記透明基板には、交差する少なくとも2つの有機系材料により形成された有機系複屈折層が積層されており、かつ、
前記積層された有機系複屈折層間にこの有機系複屈折層の形成材料とは異なる材料で所定の反射制御式を満たす関係に形成された有機膜若しくは無機系膜を設けるか、または前記有機膜もしくは無機系膜を介在させずに前記有機系複屈折層どうしを直接積層してあることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。
また、前記有機系複屈折層は、前記一枚の透明基板に固定され積層されているとともに、光学的等方性基板にてカバーされていることを特徴とする上記の光ヘッド装置を提供する。
また、前記有機製複屈折層は、一枚の透明基板に固定され積層された最上層が、前記反射制御式を満たし、前記有機系複屈折材料とは異なる前記有機膜または無機系膜でカバーされていることを特徴とする上記の光ヘッド装置を提供する。
また、前記有機系複屈折層は、液晶性モノマーが硬化された高分子液晶膜であることを特徴とする上記の光ヘッド装置を提供する。
また、前記有機系複屈折層は、コート法によって形成されることを特徴とする上記の光ヘッド装置を提供する。
本発明によれば、素子特性の劣化が少なく歩留まりを向上させることができる位相板を備え、延いては装置としての歩留まりの向上も図ることができる光ヘッド装置を提供できる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の光ヘッド装置1を示すものであり、この光ヘッド装置1は、光ディスクDに記載された情報の読取および/または記録を行う図示外の光記録再生装置に搭載されており、光ディスクDの種類に応じて異なる光を使い分けるために、それぞれ、波長が異なる光を出射する2つの光源2A、2Bと、この光源2A、2Bからの光を平行光とするコリメータレンズ3A、3Bと、光の偏光方向に応じて透過または反射する偏光ビームスプリッタプリズム4と、入射する光の偏光状態を制御する位相板6と、この光を情報の記録を行うために光ディスクDへ集光させる対物レンズ5と、光ディスクDで反射する戻り光を入射して情報の読取りを行う図示外の受光光学系とを備えている。
光源2A、2Bには、例えば、それぞれ、波長λ(DVD用の660nm波長帯)、λ(CD用の790nm波長帯)のレーザ光を出射する半導体レーザ(LD)を用いている。
位相板6は、2つのレーザ光の位相状態を制御する広帯域の積層位相板であって、光源2A、2Bと対物レンズ5との間に設置されており、本実施形態の位相板は、2枚の複屈折を有する有機系複屈折層(後述する第1、第2の高分子液晶層62、63)がそれぞれの光軸を交差するように重ねられている。
本発明の位相板6の一部に用いる有機系複屈折材料(有機系複屈折層)としては、吸湿性を考慮すると、従来のようなポリカーボネート等の厚膜材料ではなく、液晶モノマーを配向させた状態で重合させた高分子液晶が望ましい。本実施形態では、図2に示すように、透明基板61の一面に、第1、第2の高分子液晶層62、63を積層させている。有機系複屈折材料(第1、第2の高分子液晶層62、63)の膜厚は、なるべく薄いことが吸湿性の点では望ましいが、膜厚制御等のプロセスを考慮すると10μm以下とすることが望ましい。
透明基板61には、透明でかつ有機系複屈折材料(有機系複屈折層)と比べて透湿性の低い光学的等方性基板を用いており、有機系では、例えばエポキシ系、ポリエステル系、フッ素系や熱可塑性ウレタン有機などの基板が好ましく用いられる。さらに好ましくは、ガラス基板を用いることであり、透湿性は有機系複屈折層に比べて非常に低く、かつ複屈折性もほとんどもたず、また平滑性も確保しやすいのでより適している。以下、光学的等方性基板としてガラス基板を用いる場合を説明する。
一方、有機系複屈折層である第1、第2の高分子液晶層62、63には、レーザ光が第1に入射する有機系複屈折層、つまり第1の高分子液晶層62のリタデーション値をRd、第2に入射する有機製複屈折層、つまり第2の高分子液晶層63のリタデーション値をRdとした場合、それらのリタデーション値の比、すなわちRd/Rdが1.8〜2.2であるように構成されている。
さらに、本実施形態の位相板6では、有機系複屈折層である第1、第2の高分子液晶層62、63の間に、液晶モノマーの配向制御を行うため、図3に示すように、第1、第2の配向膜64、65を設けてある。
この配向膜64、65には、例えば、有機系の配向膜を用いる場合、例えばポリイミド膜が適しているが、そのほか配向機能を有する各種の有機系膜でもよい。また、斜方蒸着で成膜した酸化ケイ素等の無機系膜を用いてもよい。さらには、磁場下に基板を設置し、所定に方向に磁場を印加させることにより配向させ、その状態で重合させる磁場配向方法によっても作製することもできる。この場合、上記の配向膜64、65は不要となる。
なお、有機系複屈折層間の媒体である第1、第2の配向膜64、65は、界面(フレネル)反射による透過損失が発生するおそれがあるため、配置しないのが望ましいが、配置する場合は、屈折率が近いものが望ましく、屈折率が異なる場合は、膜の厚さをd、屈折率をn、使用波長をλcとした場合、次式
Figure 2005339595
の条件(以下、これを「反射制御式」とよぶ)を満たすようにして、界面反射をできるだけ抑制することが望ましい。
このように構成することにより、図1に示す光ヘッド装置1において、広帯域位相板である位相板6を透過するいずれの波長の直線偏光レーザ光に対しても、ほぼ1/4波長板として機能し、ほぼ円偏光とすることができる。すなわち光ディスクDから戻ってくる光は、この広帯域波長板を透過することにより偏光状態をほぼ直交させることができ、半導体レーザ光源の出力の不安定化を抑制することができる。
次に、本発明の光ヘッドに用いる位相板6の製造方法について、図2を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、有機系複屈折材料として液晶モノマーを光重合させた高分子液晶を用いた場合について説明する。なお、有機系複屈折層は、コート法により形成することが好ましい。
図2に示すように、初めに、ガラス基板61上に配向制御のための第1配向膜64を成膜し、ラビングにより配向制御を行った後、液晶モノマーをコータにより所望の膜厚になるように塗布し、液晶モノマーを配向させ、UV光を用いて光重合させ、高分子液晶層62を成膜した。
その後、同様にして第2配向膜65を成膜し、所望の特性が出るように第1の高分子液晶層62の光軸(この場合は、ラビング軸)を交差させるようにラビング配向処理を行った。
その後、同様の方法で、液晶モノマーをコータにより塗布し配向させて、UV光により光重合し第2の高分子液晶層63を成膜した。ここで、第1、第2の高分子液晶層62、63は、透湿性を考慮して、10μm以下とする。また、界面反射による透過損失をできるだけ抑制するために、第1、第2の配向膜64、65は、前述した反射制御式を満たすものとする。
なお、前述のコート法を用いると、層厚を制御しやすく、また生産性をあげることができる。コート法としては、スピンコート法やドクターブレード法などを挙げることができる。
有機製複屈折層である高分子液晶層62、63のレタデーション値(Δn×d)は、液晶層62、63の厚さ(d)を調整することや、第1、第2の高分子液晶層62、63の複屈折量(Δn)を変えることで所望の位相差を得ることができ、位相板6の特性として、さらにそれぞれの光軸角度を調整することにより所望の位相特性を実現することができる。
また、空気との界面となる高分子液晶層63の表面に、図示しない無反射膜(ARコート)を設けることで、表面反射が低減でき好ましい。また、透明基板61にも、同様の反射防止膜を成膜するのが好ましい。
また、図3に示すように配向制御層である配向膜64、65は配置せず、磁場配向などのプロセスを用いて配向させることも可能であり、この場合には、材料削減/プロセス簡易化、すなわちコスト低減ができ好ましい。この場合も空気との界面である高分子液晶層63、透明基板61の表面には無反射膜(ARコート)を設けることで表面反射が低減できて好ましい。
なお、上記した図2、3では、高分子液晶層63が透明基板66(図4参照)でカバーされていない構造であるため、材料・プロセスを削減でき、低コスト化の点で好ましく、薄型・軽量化の点でも好ましい。特に、この構成式は、低分子液晶を用いた収差補正素子、複屈折材料に格子を形成して作製する偏光ホログラム素子等と組み合わせて、積層構造とする場合に有利である。
用途によってはさらに平坦性及び耐傷性を考慮して、図4に示すように透明基板66を接着層67を介して接着することも可能である。この場合、接着層67は極力薄くすることが望ましい。有機系の接着層67を設ける場合であっても、図7に示す従来の位相板200である積層位相板に比べると薄くでき、高温高湿下での吸湿による透過波面収差の劣化に対しては有利である。また、同様に空気との界面、透明基板61、66の表面に無反射膜(ARコート)を設けることで、表面反射が低減できて好ましい。
さらに、この透明基板66に変えて、図5に示すように、ハードコート膜68にてコーティングすることもできる。このハードコート膜68は、SiO等の材料をCVD、スパッタ等のプロセスで成膜することも可能であるが、SiO等の微粒子を混合したハードコート材料を塗布にて成膜するのがコスト的には好ましい。このような構成とすると、図4の構成のものに比べて、薄型・軽量化の面で好ましい。
さらに、例えば図2において、空気との界面、透明基板61、高分子液晶層63の表面に無反射膜(ARコート)を行うことで、表面反射が低減できて好ましい。このハードコート膜68や無反射膜(ARコート)は、有機系、無機系いずれでもよく、界面反射、透湿特性を考慮してなるべく薄くするほうが望ましい。
また、これらの膜の外面に界面反射低減のための反射防止膜を成膜し、反射防止膜特性を合わせて制御することも可能である。即ち、膜の厚さ及び屈折率を、使用する波長に対して、前述した反射防止式の条件を満たすように設定して、界面反射を防止するのが望ましい。
従って、本実施形態に係る位相板の光ヘッド装置を高温高湿下で所定の期間保管し、波面収差の劣化が発生するか否かについて、本発明者らが実験を行ってみたところ、有機系膜(具体的には、高分子液晶層62、63、配向膜64、65、接着層67など)の膜厚を薄くすることによって低減できることがわかった。これは、有機系膜を通して水分が進入し、波面収差を劣化させていたためであると考えられる。
また、例えば前述した図3に示すように、接着層を用いずに複屈折層である2層の高分子液晶層62、63を積層することで、高分子液晶層62、63の厚さを大きく低減することができる。このような構成の位相板6は、高分子液晶層62、63が薄いため、従来の問題点であった高温高湿下での保管後の波面収差の劣化や、波面収差による歩留まりの低下、位相板6の切断や他の光学部品への貼り付けに伴うひずみが発生しにくいので最も好ましい。
また、これらの位相板6において、前述のように2つの異なる波長で1/4波長板として直線偏光を円偏光に変換するためには、直線偏光入射側の有機系複屈折層である高分子液晶層62のレタデーション値が、使用する光源の2つの中心波長の平均の波長において概ね1/2波長の値として、また出射側の有機系複屈折層ある高分子液晶層63のレタデーション値がその約半分として、それぞれの光学軸方向の角度を入射偏光方向に対して、例えば約75度と例えば約15度とすることにより実現できる。
また、例えば、DVD用の660nm帯およびCD用の790nm波長帯の2種の直線偏光を透過させて用いる2波長用位相板において、660nm波長帯の直線偏光に対し偏光方向を45°回転させるとともに、790nm波長帯の直線偏光に対し直線偏光を円偏光化する2波長用位相板は、次のように構成できる。すなわち、2つの有機系複屈折層である高分子液晶層の光軸方向が19〜29°の範囲内にある角度で交差させ、一方の有機系複屈折層である高分子液晶層は533〜652nmの範囲内にあるレタデーション値を有し、他方の有機系複屈折層である高分子液晶層は356〜434nmの範囲内にあるレタデーション値を与えることで実現できる。
そのほか、有機系複屈折層のレタデーション値と光軸方向とを組み合わせることにより、任意の波長において偏光制御を行うことができる。
次に、本発明の位相板と比較例(従来)の位相板とについて、図2、7を参照しながら説明する。
(比較例)
初めに、比較例の位相板について説明する。
図7に示す位相子(位相板200)を作成するため、使用波長の無反射膜(ARコート)を設けた厚さ0.3mmのガラス基板201、202の間に、二つの使用中心波長660nmと790nmとの平均波長725nmにおいて1/2波長(約362nm)のレタデーション値をもつ位相板(ポリカーボネート製の複屈折フィルム)203と、レタデーション値がその約半分(約181nm)となる位相板(ポリカーボネート製の複屈折フィルム)204を接着層206〜208により接着した。
この時、位相板(ポリカーボネート製の複屈折フィルム)203、204は、光軸(この場合は延伸方向)を入射偏光方向に対してそれぞれ約75度、約15度となるように調整して貼り付けた。また、接着層206〜208の厚さは約5μmで、位相板(ポリカーボネート製の複屈折フィルム)203、204の厚さは、それぞれ約70μm、約65μmであった。
このようにして作成した位相板200をダイシング・ソーにより、5mm角の形状に素子化した。
次に、この位相板200の楕円率(出射楕円偏光の長軸光強度をa、短軸光強度をbとした場合、(b/a)1/2を、大塚電子製の複屈折位相差測定装置で測定したところ、660、790nmの波長において0.95以上であった。また、透過波面収差をザイゴ(ZYGO)社製の干渉計を用い、測定波長633nm、測定径φ4.3mmで位相の傾き成分(Tilt)、位相のパワー成分(Power)、位相のDCオフセット成分(Piston)を除去した状態で透過波面収差を測定した結果、0.016λrmsであった。
(実施例)
次に、前述した比較例と光学的に同等の構成の実施例を、二層の高分子液晶を用いて製作した場合を、図2にしたがって説明する。
(1)初め、使用波長に対して無反射コート(ARコート)を成膜した0.3mmの基板61の上にポリイミド(日産化学社製ポリイミド膜:SE1410)の配向制御層64を成膜焼成した。
(2)その後、ラビングすることにより配向処理を行った。この時のラビング角度は入射偏光方向に対して約75度とした。
(3)その後、液晶モノマーをコータにより均一に塗布し、窒素雰囲気下でUV光源により5000mJ/cmのUV光を照射させることにより、液晶モノマーを硬化させ高分子液晶層62を成膜した。この時の膜厚は約1.8μmで、レタデーション値は、波長725nmにおいて約360nmであった。
(4)さらに、ポリイミド(日産化学社製ポリイミド膜:SE1410)の配向制御層65を成膜焼成した。
(5)その後、ラビングすることにより配向処理を行った。この時のラビング角度は、入射偏光方向に対して約15度とした。
(6)その後、液晶モノマーをコータにより均一に塗布し、窒素雰囲気下でUV光源により5000mJ/cmのUV光を照射させることにより、液晶モノマーを硬化させ高分子液晶層63を成膜した。このとき、膜厚は約0.9μmで、レタデーション値は、波長725nmにおいて約180nmの膜を形成した。
このようにして作成した位相板6について、最終的には大塚電子製複屈折位相差測定装置を用いて楕円率を測定したところ、660、790nmの波長において0.95以上であった。なお積層後には、二層目のレタデーション値を計測するのが困難となるため、測定した楕円率から推定した。その後、イオンアシストを用いた蒸着装置により、低温下で反射防止膜を成膜した。この基板をダイシング・ソーにより、5mm角の形状に素子化した。比較例と同様に透過波面収差をザイゴ(ZYGO)社製干渉計により、測定波長633nm、測定径φ4.3mmで位相の傾き成分(Tilt)、位相のパワー成分(Power)、位相のDCオフセット成分(Piston)を除去した形で透過波面収差を測定した結果、0.004λrmsであった。
(信頼性評価結果)
ここで、上記した比較例と実施例において作成した位相板6、200について、これらの特性比較を行うために、高温高湿保存試験を行った。このときの試験条件は、温度60℃、湿度90%にて300時間保存し、取り出した24時間後に測定した。素子サンプルは5個として、測定は、ザイゴ(ZYGO)社干渉計を用いて、測定波長633nm、測定径φ4.3mmで位相の傾き成分(Tilt)、位相のパワー成分(Power)、位相のDCオフセット成分(Piston)を除去した形で透過波面収差を測定した。結果の平均は、表1のようになった。
この表1のように、本実施例である本発明のような構成をとることによって、高温高湿下において、透過波面収差の劣化を効果的に抑えることができた。比較例の位相板200において透過波面収差が劣化する原因は、有機系膜厚が厚いために、水分を吸収してしまい、素子自体が湾曲し歪んでしまったと考えられる。なお、楕円率に関しては、いずれのサンプルも優位な変化は見られなかった。
Figure 2005339595
次に、比較例と実施例で説明した位相板6、200を、それぞれ、図1、6に示す光ヘッド装置1、100の位相板として組み込んで、記録および再生の実験を行った。
いずれの素子も、初期特性ではDVD、CDとも良好な記録および再生特性を示した。一方、高温高湿試験結果においては、実施例の光ヘッド装置1での位相板6に関してはほとんど問題ない特性レベルであったのに対して、比較例の光ヘッド装置100では、読取りや書込みのできないものがあった。これは、高温高湿試験下において、比較例での光ヘッド装置100においては、位相板200の透過波面収差が大きく変化してしまったためであると考えられる。
なお、本発明は、上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施し得るものである。
本発明は、積層位相板の有機系複屈折層の厚さを薄くして、接着層を介すことなく積層したため、積層位相板での初期の透過波面収差が良好であるばかりか、特に高温高湿下においても、水分の吸湿が少ないために、素子として特性の劣化が少なく、位相板そのものの歩留まりを向上させることができるとともに、この位相板を搭載した光ヘッド装置の歩留まりの向上にも寄与する。さらに、カバー基板を廃した構成の位相板においては、薄型および軽量化を図ることができ、この位相板にさまざまな機能を積層して各種の素子を製作するような場合に有利となる。
本発明の光ヘッド装置の構成例を示す概念図。 本発明における、高分子液晶を用いた位相板の1例を示す断面図。 本発明における、高分子液晶を用いた位相板の変形例を示す断面図。 本発明における、高分子液晶を用いた位相板の他の変形例を示す断面図。 本発明における、高分子液晶を用いた位相板のさらに他の変形例を示す断面図。 従来の光ヘッド装置の構成例を示す概念図。 従来の位相板を示す断面図。
符号の説明
1 光ヘッド装置
2A、2B 光源
3A、3B コリメータレンズ
4 ビームスプリッタプリズム
5 対物レンズ
6 位相板
61、66 透明基板
62、63 高分子液晶層(有機系複屈折層)
64、65 配向膜(配向制御層)
67 接着層
68 ハードコート層
D ディスク

Claims (5)

  1. 光源と、この光源から出射する光を光記録媒体へ集光する対物レンズと、前記光記録媒体によって反射された光を検出する光検出器と、前記光源と対物レンズとの間、または前記光検出器と対物レンズとの間の光路中に設けた光の偏光状態を制御する位相板とを備える光ヘッド装置において、
    前記位相板は、少なくとも1枚の透明基板を有し、前記透明基板には、交差する少なくとも2つの有機系材料により形成された有機系複屈折層が積層されており、かつ、
    前記積層された有機系複屈折層間にこの有機系複屈折層の形成材料とは異なる材料で所定の反射制御式を満たす関係に形成された有機膜若しくは無機系膜を設けるか、または前記有機膜もしくは無機系膜を介在させずに前記有機系複屈折層どうしを直接積層してあることを特徴とする光ヘッド装置。
  2. 前記有機系複屈折層は、前記一枚の透明基板に固定され積層されているとともに、光学的等方性基板にてカバーされている請求項1に記載の光ヘッド装置。
  3. 前記有機系複屈折層は、一枚の透明基板に固定され積層された最上層が、前記反射制御式を満たし、前記有機系複屈折材料とは異なる前記有機膜または無機系膜でカバーされている請求項1に記載の光ヘッド装置。
  4. 前記有機系複屈折層は、液晶性モノマーが硬化された高分子液晶膜である請求項1から3のいずれか1項に記載の光ヘッド装置。
  5. 前記有機系複屈折層は、コート法によって形成される請求項1から4のいずれか1項に記載の光ヘッド装置。
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