JP2005337456A - 樹脂製シールリング - Google Patents
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Abstract
【課題】 低温域から高温域において安定した低オイルリーク特性を有し、トルクコンバータのロックアップクラッチ部に好適に用いることのできる樹脂製シールリングを提供する。
【解決手段】 トルクコンバータのロックアップクラッチに用いられる相互に対向する合口を有する矩形断面の樹脂製シールリングであって、一方の合口は、該樹脂製シールリング内径面側に突き合わせ面と、外径面側に上記突き合わせ面から突出したリップおよび後退したポケットとを有し、他方の合口は、上記突き合わせ面、上記リップおよびポケットと、相補的に嵌合するように形成された突き合わせ面、ポケットおよびリップとを有する。
【選択図】図2
【解決手段】 トルクコンバータのロックアップクラッチに用いられる相互に対向する合口を有する矩形断面の樹脂製シールリングであって、一方の合口は、該樹脂製シールリング内径面側に突き合わせ面と、外径面側に上記突き合わせ面から突出したリップおよび後退したポケットとを有し、他方の合口は、上記突き合わせ面、上記リップおよびポケットと、相補的に嵌合するように形成された突き合わせ面、ポケットおよびリップとを有する。
【選択図】図2
Description
本発明は、トルクコンバータのロックアップクラッチ部に用いられる樹脂製シールリングに関する。
オートマチックトランスミッション(AT)、無段変速機構(CVT)などの油圧機構部であるトルクコンバータは、作動油を介してエンジンからの動力をタービン側に伝達する機構を有するものである。また、作動油のみによる動力伝達では、液体の滑りによりエネルギーロスが生じ、燃費が悪くなるなどの問題が生じるため、入力側と出力側との回転数差が少ない場合などは、入力側と出力側とを機械的に接続するロックアップクラッチがトルクコンバータ内部に取り付けられている。ロックアップクラッチは、トルクコンバータ本体内を流れる作動油により制御される。
上記トルクコンバータでは、動力伝達およびロックアップクラッチなどの動作を正常に行なわせるため、作動油を密封するためのオイルシールリングがオイルシールを必要とする要所に取り付けられている。このようなオイルシールリングは回転軸との接触部位などに装着可能で、かつ高速回転時においても充分なオイルシール性が要求される。
上記トルクコンバータでは、動力伝達およびロックアップクラッチなどの動作を正常に行なわせるため、作動油を密封するためのオイルシールリングがオイルシールを必要とする要所に取り付けられている。このようなオイルシールリングは回転軸との接触部位などに装着可能で、かつ高速回転時においても充分なオイルシール性が要求される。
従来上記のようなオイルシールリングとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂に炭素繊維などの補強材を配合し圧縮成形したものを、リング状に機械加工したものが多用されている。このようなリングは一部分でカットされたものであり、組み込み時において該カット箇所を拡張して装着される。
合口部の形状としてはストレートカット形状、アングルカット形状、複合ステップカット形状(特許文献1参照)などが知られており、トルクコンバータ用のシールリングとしては、図5(a)に示すようなストレートカット形状、図5(b)に示すようなアングルカット形状などが用いられている。例えば、トルクコンバータに、合口に臨む端面を傾斜させたアングルカット形状のシールリングを用いたものとして特許文献2などがある。
合口部の形状としてはストレートカット形状、アングルカット形状、複合ステップカット形状(特許文献1参照)などが知られており、トルクコンバータ用のシールリングとしては、図5(a)に示すようなストレートカット形状、図5(b)に示すようなアングルカット形状などが用いられている。例えば、トルクコンバータに、合口に臨む端面を傾斜させたアングルカット形状のシールリングを用いたものとして特許文献2などがある。
しかしながら、合口部の形状がストレートカット形状、アングルカット形状の樹脂製シールリングでは、該シールリングのオイルリーク特性が合口形状の影響を顕著に受けるため以下のような問題が発生する。すなわち、ストレートカット形状では、高温域でのオイルリークを最小にするため、該高温域で合口の隙間幅がなくなるよう寸法設定をすると、低温域では該隙間幅が大きくなり、オイルリーク量が増加するという問題がある。また、アングルカット形状では、合口の隙間幅がなくなるよう設定した温度以外において、該設定温度より低温域では該隙間幅が大きくなり、該設定温度より高温域では合口部の横ズレのためオイルリーク量が増加するという問題がある。
特にトルクコンバータ内の作動油は、オイルクーラーによる冷却は行なうものの、急変動的な負荷を受けた場合では温度変化が大きく、該作動油をシールするためのシールリングにおいて上記の問題が起こりやすい。オイルリークが発生すると、トルクコンバータ内の作動油の流れの乱れや、油圧の変化などにより、ロックアップ動作またはロックアップ解除動作を確実に行なうことができない、または、そのレスポンスが遅くなるという問題が起こる。また、該オイルリークによりトルクコンバータ内の油圧が上昇すると、ロックアップクラッチがフロントカバー側(エンジン側)に押圧され、ロックアップクラッチの摩擦係合部にすべりが生じ、ロックアップの耐久性を低下させるという問題もある。特に最近の自動車ではその高出力化に伴い、ロックアップクラッチ作動時の摩擦係合力を、低温域から高温域(0 ℃〜120℃)の広い領域で保持することが必要である。従って、シールリングには、該温度領域(0 ℃〜120℃)にて安定した低オイルリーク特性が要求される。
特開2001−4032号公報(段落「0006」)
特開2003−278880号公報(段落「0053」)
特にトルクコンバータ内の作動油は、オイルクーラーによる冷却は行なうものの、急変動的な負荷を受けた場合では温度変化が大きく、該作動油をシールするためのシールリングにおいて上記の問題が起こりやすい。オイルリークが発生すると、トルクコンバータ内の作動油の流れの乱れや、油圧の変化などにより、ロックアップ動作またはロックアップ解除動作を確実に行なうことができない、または、そのレスポンスが遅くなるという問題が起こる。また、該オイルリークによりトルクコンバータ内の油圧が上昇すると、ロックアップクラッチがフロントカバー側(エンジン側)に押圧され、ロックアップクラッチの摩擦係合部にすべりが生じ、ロックアップの耐久性を低下させるという問題もある。特に最近の自動車ではその高出力化に伴い、ロックアップクラッチ作動時の摩擦係合力を、低温域から高温域(0 ℃〜120℃)の広い領域で保持することが必要である。従って、シールリングには、該温度領域(0 ℃〜120℃)にて安定した低オイルリーク特性が要求される。
本発明はこのような問題に対処するためになされたもので、低温域から高温域において安定した低オイルリーク特性を有し、トルクコンバータのロックアップクラッチ部に好適に用いることのできる樹脂製シールリングを提供することを目的とする。
本発明の樹脂製シールリングは、トルクコンバータのロックアップクラッチに用いられる、相互に対向する合口を有する矩形断面の樹脂製シールリングであって、一方の合口は、該樹脂製シールリング内径面側に突き合わせ面と、外径面側に上記突き合わせ面から突出したリップおよび後退したポケットとを有し、他方の合口は、上記突き合わせ面、上記リップおよびポケットと、相補的に嵌合するように形成された突き合わせ面、ポケットおよびリップとを有することを特徴とする。
また、上記樹脂が射出成形できる樹脂組成物であることを特徴とする
また、上記樹脂組成物がポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物であることを特徴する。
また、上記樹脂が射出成形できる樹脂組成物であることを特徴とする
また、上記樹脂組成物がポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物であることを特徴する。
本発明の樹脂製シールリングは、上記構成の複合ステップカット形状の合口を有するので、トルクコンバータのロックアップクラッチ部のオイルシールに用いた場合、その使用温度範囲内における低温域から高温域において安定した低オイルリーク特性を有する。この結果、トルクコンバータ内でのオイルリークを防止でき、ロックアップクラッチを正常に制御することができる。
本発明の樹脂製シールリングを取り付けるトルクコンバータのロックアップクラッチの断面図を図1に示す。
このトルクコンバータは、エンジンの出力軸に連結されるインペラ5と、トランスミッションの入力軸に連結されるタービン6とが対向配置され、ケーシングに固定されるステータシャフトに一方向クラッチ7を介してステータ8が取り付けられるものであり、それぞれ椀状に形成されたインペラブレード5aとタービンブレード6aとの間で還流する流体を、これらの内径側でタービン6側からインペラ5側へ戻す際に、流体の流れ方向を変えてインペラ5に順方向の回転力を付与し、伝達トルクを増幅するものである。
また、ロックアップクラッチのピストン9が、タービンハブ6b上に該ハブに対して軸線方向移動可能または回動可能に支承されている。該ピストン9とタービンハブ6bとの間でオイルシールを行なうため樹脂製シールリング1が設けられている。該樹脂製シールリングにより、油室Aが油室Bに対して密閉されている。油室Aの圧力を高め、ピストン9を、エンジンからの出力の入るフロントカバー10に圧接することにより動力を直接タービン6に伝達することができる。
本発明の樹脂製シールリングはかかるロックアップクラッチのシール部位などに用いられるものである。
このトルクコンバータは、エンジンの出力軸に連結されるインペラ5と、トランスミッションの入力軸に連結されるタービン6とが対向配置され、ケーシングに固定されるステータシャフトに一方向クラッチ7を介してステータ8が取り付けられるものであり、それぞれ椀状に形成されたインペラブレード5aとタービンブレード6aとの間で還流する流体を、これらの内径側でタービン6側からインペラ5側へ戻す際に、流体の流れ方向を変えてインペラ5に順方向の回転力を付与し、伝達トルクを増幅するものである。
また、ロックアップクラッチのピストン9が、タービンハブ6b上に該ハブに対して軸線方向移動可能または回動可能に支承されている。該ピストン9とタービンハブ6bとの間でオイルシールを行なうため樹脂製シールリング1が設けられている。該樹脂製シールリングにより、油室Aが油室Bに対して密閉されている。油室Aの圧力を高め、ピストン9を、エンジンからの出力の入るフロントカバー10に圧接することにより動力を直接タービン6に伝達することができる。
本発明の樹脂製シールリングはかかるロックアップクラッチのシール部位などに用いられるものである。
本発明の複合ステップ形状の合口を有する樹脂製シールリングについて図2を参照して説明する。図2は合口を広げた状態の斜視図(a)、嵌合した状態の斜視図(b)、および全体斜視図(c)である。
樹脂製シールリングの合口は、相互に対向する合口1および1´より形成される。合口1は、樹脂製シールリングの矩形断面における側面二辺を結んでリング内径面側1aとリング外径面側1bとに二分割するとき、リング内径面側1aの矩形断面の先端部分に突き合わせ面2が形成される。また、リング外径面側の矩形断面部分1bには、この部分をさらに径方向に二分割する一方の矩形断面部分に突き合わせ面2から所定の長さ(L)だけ突出したリップ3と、他方の矩形断面部分を削除して突き合わせ面2から後退したポケット4とが形成される。なお、リップ3およびポケット4の内外周面は樹脂製シールリングの所定の曲率をもつように形成される。
一方、他方の合口1´は、突き合わせ面2、リップ3およびポケット4と、相補的に嵌合するように形成された突き合わせ面2´、ポケット4´およびリップ3´とを有している。すなわち、突き合わせ面2および2´が衝合したとき、リップ3とポケット4´とが、ポケット4とリップ3´とがそれぞれ嵌合する。このように、リップ3とポケット4´との長さ、およびポケット4とリップ3´との長さが略同一となるように形成される。
合口1における矩形断面は所定の幅(w)および厚さ(t)を有しており、幅(w)および厚さ(t)の長さは、シールリングの種類や径によって変化する。例えば、幅(w)と厚さ(t)の長さが同じ場合、幅(w)が厚さ(t)よりも長い場合、あるいはその逆の場合がある。
合口の嵌合時には、合口1のリップ3が合口1´のポケット4´に嵌合し、樹脂製シールリングはほぼ真円形となる(図2(c))。
樹脂製シールリングの合口は、相互に対向する合口1および1´より形成される。合口1は、樹脂製シールリングの矩形断面における側面二辺を結んでリング内径面側1aとリング外径面側1bとに二分割するとき、リング内径面側1aの矩形断面の先端部分に突き合わせ面2が形成される。また、リング外径面側の矩形断面部分1bには、この部分をさらに径方向に二分割する一方の矩形断面部分に突き合わせ面2から所定の長さ(L)だけ突出したリップ3と、他方の矩形断面部分を削除して突き合わせ面2から後退したポケット4とが形成される。なお、リップ3およびポケット4の内外周面は樹脂製シールリングの所定の曲率をもつように形成される。
一方、他方の合口1´は、突き合わせ面2、リップ3およびポケット4と、相補的に嵌合するように形成された突き合わせ面2´、ポケット4´およびリップ3´とを有している。すなわち、突き合わせ面2および2´が衝合したとき、リップ3とポケット4´とが、ポケット4とリップ3´とがそれぞれ嵌合する。このように、リップ3とポケット4´との長さ、およびポケット4とリップ3´との長さが略同一となるように形成される。
合口1における矩形断面は所定の幅(w)および厚さ(t)を有しており、幅(w)および厚さ(t)の長さは、シールリングの種類や径によって変化する。例えば、幅(w)と厚さ(t)の長さが同じ場合、幅(w)が厚さ(t)よりも長い場合、あるいはその逆の場合がある。
合口の嵌合時には、合口1のリップ3が合口1´のポケット4´に嵌合し、樹脂製シールリングはほぼ真円形となる(図2(c))。
トルクコンバータへの樹脂製シールリングの組み付け時において、合口側端部であるリップ3、3'付近の3a部分に傷がついたり、欠けたりする不具合を防止するため、該部分をR形状などに加工してもよい。該不具合は高弾性のPEEK樹脂組成物を材料とする樹脂製シールリングで顕著に起こるため、上記加工は本発明の樹脂製シールリングに対して有効である。
本発明に用いる樹脂材料は、射出成形可能で使用温度において耐熱性と十分な機械的強度を有するものであればよい。例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂などのポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、熱可塑性ポリイミド(TPI)樹脂などのポリイミド樹脂、全芳香族ポリエステル樹脂などの芳香族系ポリエステル樹脂、46ナイロン、9Tナイロンなどのポリアミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂などのポリシアノアリールエーテル樹脂、ポリエーテルケトン(PEK)樹脂やポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂などの芳香族ポリエーテルケトン系樹脂などが挙げられる、これらの混合物、例えばPPS樹脂とPAI樹脂のポリマーアロイやPEEK樹脂とポリベンゾイミダゾール樹脂の複合樹脂なども用いることができる。
弾性率 5000 MPa 以上の高弾性率の樹脂組成物であって、耐熱性、摺動性に優れることからPEEK樹脂が好ましい。
また、必要に応じて上記樹脂材料に、炭素繊維(CF)やガラス繊維などの繊維状補強材、球状シリカや球状炭素などの球状充填材、マイカやタルクなどの鱗状補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を配合でき、また、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑材、さらにはリン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材も配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。
弾性率 5000 MPa 以上の高弾性率の樹脂組成物であって、耐熱性、摺動性に優れることからPEEK樹脂が好ましい。
また、必要に応じて上記樹脂材料に、炭素繊維(CF)やガラス繊維などの繊維状補強材、球状シリカや球状炭素などの球状充填材、マイカやタルクなどの鱗状補強材、チタン酸カリウムウィスカなどの微小繊維補強材を配合でき、また、PTFE樹脂、グラファイト、二硫化モリブデンなどの固体潤滑材、さらにはリン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどの摺動補強材も配合できる。これらは単独で配合することも、組み合せて配合することもできる。
本発明に好適なPEEK樹脂組成物としては、PEEK樹脂に、上記繊維状強化材、PTFEなどのフッ素樹脂を配合してなるものが、図1で示すようなシールリングの複雑な形状を容易に成形でき、上記樹脂製シールリングに要求される特性を得やすいので好ましい。
PEEK樹脂としては、ビクトレックス・エムシー社製:PEEK150Pを例示することができる。繊維状強化材としては、ピッチ系またはPAN系の炭素繊維等を挙げることができる。
PEEK樹脂組成物の配合割合は、PEEK樹脂 90〜50重量%、繊維状強化材 10〜50重量%である。また、必要に応じて配合されるフッ素系樹脂は、樹脂組成物全体量に対して 2〜25重量%である。
PEEK樹脂としては、ビクトレックス・エムシー社製:PEEK150Pを例示することができる。繊維状強化材としては、ピッチ系またはPAN系の炭素繊維等を挙げることができる。
PEEK樹脂組成物の配合割合は、PEEK樹脂 90〜50重量%、繊維状強化材 10〜50重量%である。また、必要に応じて配合されるフッ素系樹脂は、樹脂組成物全体量に対して 2〜25重量%である。
実施例1
PEEK樹脂(ビクトレックス・エムシー社製:PEEK150P) 70 重量%と、炭素繊維(呉羽化学工業社製:M101S) 15 重量%およびPTFE樹脂(喜多村社製:KT400H) 15 重量%からなる樹脂組成物を用いて、図1に示す、複合ステップカット形状のシールリングを射出成形した。シールリングの寸法は、外径φ50 mm 、厚さ(t) 2 mm、幅(w) 2 mmである。
その後、熱固定治具を用いて、合口部が嵌合するように強制変形させ、その治具のまま電気炉にいれて 200℃で 2時間の熱固定を行ない樹脂製シールリングを得た。
PEEK樹脂(ビクトレックス・エムシー社製:PEEK150P) 70 重量%と、炭素繊維(呉羽化学工業社製:M101S) 15 重量%およびPTFE樹脂(喜多村社製:KT400H) 15 重量%からなる樹脂組成物を用いて、図1に示す、複合ステップカット形状のシールリングを射出成形した。シールリングの寸法は、外径φ50 mm 、厚さ(t) 2 mm、幅(w) 2 mmである。
その後、熱固定治具を用いて、合口部が嵌合するように強制変形させ、その治具のまま電気炉にいれて 200℃で 2時間の熱固定を行ない樹脂製シールリングを得た。
比較例1および比較例2
PEEK樹脂(ビクトレックス・エムシー社製:PEEK150P) 70 重量%と、炭素繊維(呉羽化学工業社製:M101S) 15 重量%およびPTFE樹脂(喜多村社製:KT400H) 15 重量%からなる樹脂組成物を用いて、図5(a)に示すストレートカット形状のシールリング(比較例1)および図5(b)に示すアングルカット形状のシールリング(比較例2)を射出成形した。それぞれのシールリングの寸法は、実施例1と同じである。
PEEK樹脂(ビクトレックス・エムシー社製:PEEK150P) 70 重量%と、炭素繊維(呉羽化学工業社製:M101S) 15 重量%およびPTFE樹脂(喜多村社製:KT400H) 15 重量%からなる樹脂組成物を用いて、図5(a)に示すストレートカット形状のシールリング(比較例1)および図5(b)に示すアングルカット形状のシールリング(比較例2)を射出成形した。それぞれのシールリングの寸法は、実施例1と同じである。
得られた樹脂製シールリングの特性を、図3に示す回転試験機によりオイルリーク性で評価した。図3は回転試験機の要部断面図である。
図3に示すオイルリーク量測定装置の軸11のリング溝12、12’に実施例および比較例の各樹脂製シールリング13、13’を装着し、リング溝12、12’の側面とシリンダー14の内面が摺接するようにした。また、このときシリンダー14の上方の油圧発生装置(図示省略)から、油の供給管15を介して油を圧送し、油圧計16により油圧を測定した。
シリンダー14の下方には、漏れた油を排出する排出管17を設け、油漏れ(オイルリーク)量をメスシリンダ18で測定し、熱電対19によりこのときの油温を測定した。結果を表1および図4に示す。図4において横軸は油温(℃)を、縦軸はオイルリーク量( cc / min )をそれぞれ示す。
なお、用いた油はATF(自動車オートマチックトランスミッション用オイル)であり、試験条件としては、該油を油圧 0.98MPa 、温度 0℃〜120℃で空間20内に満たし、回転数 4000rpm で軸11を回転させた。
図3に示すオイルリーク量測定装置の軸11のリング溝12、12’に実施例および比較例の各樹脂製シールリング13、13’を装着し、リング溝12、12’の側面とシリンダー14の内面が摺接するようにした。また、このときシリンダー14の上方の油圧発生装置(図示省略)から、油の供給管15を介して油を圧送し、油圧計16により油圧を測定した。
シリンダー14の下方には、漏れた油を排出する排出管17を設け、油漏れ(オイルリーク)量をメスシリンダ18で測定し、熱電対19によりこのときの油温を測定した。結果を表1および図4に示す。図4において横軸は油温(℃)を、縦軸はオイルリーク量( cc / min )をそれぞれ示す。
なお、用いた油はATF(自動車オートマチックトランスミッション用オイル)であり、試験条件としては、該油を油圧 0.98MPa 、温度 0℃〜120℃で空間20内に満たし、回転数 4000rpm で軸11を回転させた。
比較例1のステップカット形状の合口を有するものでは、75℃以上の高温域ではオイルリークがないが、低温域では0℃〜50℃の領域では、オイルリーク量が多くなっている。これは、該シールリングが、上記高温域で合口の隙間幅がなくなるよう寸法設定をしているので、低温域では樹脂の縮小により隙間幅が大きくなったためであると考えられる。
また、比較例2のアングルカット形状の合口を有するものでは、60℃を基準として、該温度から高温側、低温側に移るほどオイルリーク量が増加している。これは、60℃において合口の隙間幅がなくなるよう寸法設定をしているので、これより高温域では樹脂の膨張によりカット部のズレが発生するため、これより低温域では樹脂の縮小により隙間幅が大きくなったためであると考えられる。
これらに対し、本発明の複合ステップカット形状を有するシールリングでは、オイルリーク量の温度依存性が小さく、0℃〜120℃の範囲において低オイルリーク特性を示した。
また、比較例2のアングルカット形状の合口を有するものでは、60℃を基準として、該温度から高温側、低温側に移るほどオイルリーク量が増加している。これは、60℃において合口の隙間幅がなくなるよう寸法設定をしているので、これより高温域では樹脂の膨張によりカット部のズレが発生するため、これより低温域では樹脂の縮小により隙間幅が大きくなったためであると考えられる。
これらに対し、本発明の複合ステップカット形状を有するシールリングでは、オイルリーク量の温度依存性が小さく、0℃〜120℃の範囲において低オイルリーク特性を示した。
本発明の樹脂製シールリングは、低温域から高温域において安定した低オイルリーク特性を有するので、トルクコンバータ内のオイルシールを必要とする箇所、特にロックアップクラッチ部のオールシール材として好適に用いることができる。
1 合口
2 突き合わせ面
3 リップ
4 ポケット
5 インペラ
6 タービン
7 一方向クラッチ
8 ステータ
9 ピストン
10 フロントカバー
11 軸
12 リング溝
13 シールリング
14 シリンダー
15 供給管
16 油圧計
17 排出管
18 メスシリンダ
19 熱電対
20 空間
2 突き合わせ面
3 リップ
4 ポケット
5 インペラ
6 タービン
7 一方向クラッチ
8 ステータ
9 ピストン
10 フロントカバー
11 軸
12 リング溝
13 シールリング
14 シリンダー
15 供給管
16 油圧計
17 排出管
18 メスシリンダ
19 熱電対
20 空間
Claims (3)
- トルクコンバータのロックアップクラッチ部に用いられる、相互に対向する合口を有する矩形断面の樹脂製シールリングであって、
一方の合口は、該樹脂製シールリング内径面側に突き合わせ面と、外径面側に前記突き合わせ面から突出したリップおよび後退したポケットとを有し、
他方の合口は、前記突き合わせ面、前記リップおよびポケットと、相補的に嵌合するように形成された突き合わせ面、ポケットおよびリップとを有することを特徴とする樹脂製シールリング。 - 前記樹脂が射出成形できる樹脂組成物であることを特徴とする請求項1記載の樹脂製シールリング
- 前記樹脂組成物がポリエーテルエーテルケトン樹脂組成物であることを特徴する請求項2記載の樹脂製シールリング。
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---|---|---|---|
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007205462A (ja) * | 2006-02-01 | 2007-08-16 | Nsk Ltd | ボールねじ装置 |
JP2013519847A (ja) * | 2010-02-10 | 2013-05-30 | アルベルト ボルディニョン, | 改良型シール手段を備えたガススプリング |
WO2014045838A1 (ja) * | 2012-09-20 | 2014-03-27 | Nok株式会社 | 密封装置 |
-
2004
- 2004-05-28 JP JP2004159830A patent/JP2005337456A/ja active Pending
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