JP2005332204A - 移動制御装置、環境認識装置及び移動体制御用プログラム - Google Patents

移動制御装置、環境認識装置及び移動体制御用プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 GPS衛星からの電波を受信していなくても目標経路に沿って移動体を正確に移動させ、目標経路上の予期しない障害物を回避するように制御すること。
【解決手段】 予め設定された目標経路情報に従って自律移動する移動体11に、その移動を制御する移動制御装置12が設けられている。移動制御装置12は、移動体11の現在位置及び方位を検出する自己位置検出手段23と、移動体11とその周囲に存在する物体との距離を検出するALR24と、自己位置検出手段23及びALR24のデータに基づいて移動体11の進路を決定するとともに、当該進路に沿って移動体11を移動させるように移動体11を制御する制御手段25とを備えている。制御手段25は、移動体11の移動に伴い物体の存在を考慮した移動体周囲の環境地図を移動方向に累積的に生成し、目標経路情報及び環境地図に基づいて物体に非干渉となる移動体の進路を決定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、移動制御装置、環境認識装置及び移動体制御用プログラムに係り、更に詳しくは、GPS衛星からの電波が届かないような場所でも、予め設定した目標経路に従って正確に移動体を自律移動させることができ、且つ、目標経路上に予期しない障害物が存在していても、当該障害物を回避するように移動体の移動を制御できる移動制御装置、環境認識装置及び移動体制御用プログラムに関する。
移動体の自律移動を制御する装置として、移動体を目標経路に沿って自動走行させる誘導制御装置が知られている(特許文献1参照)。この誘導制御装置は、GPS(Grobal Positioning System)位置データを利用することで、移動体の現在位置を把握するようになっており、特に、検出遅れのあるGPS位置データに対し、慣性航法システム(INS)によって求められた位置データ(INSデータ)を補間することで、現在時刻の移動体の位置を正確に求めるようになっている。
特開平9−91038号公報
しかしながら、このような誘導制御装置にあっては、前記特許文献1での使用態様に見られるように、GPS衛星からの電波をほぼ確実に受信できるような田畑等の場所での移動体の移動制御には有用であるものの、例えば、高層ビル街、山間地、地下、トンネル内等、GPS衛星からの電波が受信し難くなるような場所での制御には不向きであるという問題がある。この場合、前述のINSによる補間があるものの、GPSが長時間使用できないケースでは、INSを構成するジャイロセンサがドリフトし、正確な位置の検出が困難になるという問題がある。
また、前記誘導制御装置では、目標経路上に予期しない障害物があっても、それを回避することができず、このような予期しない障害物が存在する場所を自律走行する移動体の制御には適さないという問題がある。
本発明は、このような問題に着目して案出されたものであり、その目的は、GPS衛星からの電波を常時受信していなくても、予め設定した目標経路に沿って移動体を正確に移動させるとともに、目標経路上に予期しない障害物があっても、それを回避するように移動体の移動を制御できる移動制御装置、環境認識装置及び移動体制御用プログラムを提供することにある。
(1)前記目的を達成するため、本発明は、予め設定された目標経路情報に従って自律移動する移動体の移動制御装置において、
前記移動体の現在位置を検出する自己位置検出手段と、前記移動体に取り付けられて、当該移動体とその周囲に存在する物体との距離及び方位を検出する物体検出手段と、前記自己位置検出手段及び前記物体検出手段の検出データに基づいて前記移動体の進路を決定するとともに、当該進路に沿って前記移動体を移動させるように当該移動体を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記移動体の移動に伴い、前記物体検出手段の検出データから移動体周囲の物体の存在状態を示す環境地図を移動方向に累積的に生成し、前記目標経路情報及び前記環境地図に基づいて、前記物体に非干渉となる前記移動体の進路を決定する、という構成を採っている。
(2)また、前記物体検出手段は、前記物体に対する距離検出を複数回行い、
前記制御手段は、前記距離検出に基づき求められた物体の座標に対し、移動体の周囲に仮想的に設定された占有グリッド毎に投票処理をし、物体の存否を決定する、という構成を採ることが好ましい。
(3)更に、前記制御手段は、前記環境地図のノイズを除去した二値化画像に対し、走行可能領域を細線化してハフ変換を行うことで進路となる線分を求めるとともに、前記二値化画像と予め記憶された交差点テンプレートとの間のマッチングによって交差点の種類を特定し、前記目標経路情報に合致する線分を選択することで、前記進路を決定する、という構成を採用している。
(4)また、本発明に係る環境認識装置は、移動体に搭載されて周囲に存在する物体との距離及び方位を検出する物体検出手段の検出データに基づき、前記移動体の周囲の物体の存在状態を示す環境地図を、移動体の移動に伴って累積的に生成し、生成した環境地図に基づいて移動体の走行可能領域を識別する、という構成を採用している。
(5)更に、本発明に係る移動体制御用プログラムは、移動体に搭載されるマイクロプロセッサを、
移動体の周囲に存在する物体との距離及び方位の検出データに基づいて、前記移動体の周囲の物体の存在状態を示す環境地図を、移動体の移動に伴って累積的に生成する環境地図生成手段と、
前記環境地図生成手段で生成された環境地図に基づいて移動体の走行可能領域を識別する識別手段として機能させる、という構成を採っている。
前記(1)、(4)、(5)の構成によれば、移動体の移動に伴って、移動体周囲の環境地図が移動方向に累積的に生成され、この環境地図を使うことで移動体の移動が制御されるため、GPS衛星からの電波の受信を必要とすることなく、当該電波の受信し難い高層ビル街、山間地、地下、トンネル内等における移動体の自律移動制御に活用することができる。また、前記環境地図は、移動体が移動する過程で検知した物体の存在を考慮したものであり、当該環境地図を使って、物体に非干渉となる移動体の進路が決定されるため、目標経路上に予期しない障害物が存在していたとしても、その横をすり抜けるように移動体を移動させることが可能になる。
前記(2)のように構成することで、物体検出手段をレーザレーダ装置で構成したような場合、物体の種類や形状によるレーザ光の反射率の相違による誤検出を少なくすることができ、物体の検出をより正確に行うことができる。
前記(3)の構成によれば、比較的簡単な構成で、予期しない障害物等を考慮した実際の状態に対応して生成された走行可能領域に対し、その道なりに移動体を移動させることができる。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明に係る移動制御装置が適用された自律移動システムの概略構成図が示されている。この図において、自律移動システム10は、予め設定された目標経路に従って自律移動する移動体11と、この移動体11に搭載されて当該移動体11の移動を制御する移動制御装置12と、無線LAN等を使って、移動体11の通信装置100との間での各種情報の通信を行う基地局13とにより構成されている。
前記移動体11は、特に限定されるものではないが、その前方位置にカメラ等の撮像装置15が取り付けられた車体16と、この車体16の底部側に回転可能に取り付けられた複数の車輪18と、少なくとも一部の車輪18を回転させるモータ等の駆動装置20と、少なくとも一部の車輪18の左右方向角度(ステアリング角)を調整するステアリング機構21とを備えている。ここで、駆動装置20の駆動及びステアリング機構21の動作は、後述するように、移動制御装置12によって制御される。
前記移動制御装置12は、移動体11の現在位置を検出する自己位置検出手段23と、移動体11とその周囲に存在する物体との距離と方位を検出する物体検出手段としてのALR(Area Laser Rader)24と、自己位置検出手段23及びALR24のデータに基づいて移動体11の進路を決定するとともに、当該進路に沿って移動体11を移動可能に前記駆動装置20及びステアリング機構21の動作を制御する制御手段25とを備えて構成されている。
前記自己位置検出手段23は、GPS(Grobal Positioning System)位置データに対し、慣性航法システム(INS)によって求められた位置データ(INSデータ)を補間する公知のGPS・INS方式と、車体16の姿勢角を検出するジャイロセンサ27及び移動体11の移動距離を検出するエンコーダ28の検出値に基づいて移動体11の位置を求める公知のデッドレコニング方式とを併用することにより、移動体11の現在位置を検出できるようになっている。具体的に、特に限定されるものではないが、本実施例では、GPS・INS方式は、移動体11が移動を開始する際の初期位置の決定時に用いられ、その後は、公知のデッドレコニング方式によって、ジャイロセンサ27及びエンコーダ28の検出値から時々刻々と移動体11の現在位置を演算で求めるようになっている。従って、移動体11が移動しているときには、GPSの測位データ(緯度、経度、方位角)の受信は不要になる。
なお、前記初期位置としては、GPSの電波を受信できなくなった場合、そのときの位置としても良い。また、初期位置以外では、GPS・INS方式を利用しなくても良く、後述では、説明を簡単にするために、初期位置以外でGPS・INS方式を利用しない場合についてのみ例示を行う。ただし、初期位置以外でGPS・INS方式を利用しても良いことは言うまでもない。
また、移動体11の位置を正確に把握できる限りにおいて、GPS・INS方式を用いる必然性はなく、当該GPS・INS方式に代え、例えば、ランドマーク認識等による初期位置の検出を行うことも可能である。要するに、自己位置検出手段23としては、移動体11の現在位置を正確に検出できる限りにおいて、種々の方式の装置を採用することが可能である。
前記ALR24は、送受信部30とALR信号処理部300とを備えている。
前記送受信部30は、車体16の前方すなわち図1中左方における下側位置に取り付けられ、赤外線レーザの送受信を行う。送受信部30から送信され物体で反射した赤外線レーザは、送受信部30で受信される。
また、送受信部30は、水平面内における前側約180度の範囲内でレーザ光を旋回照射可能に設けられている。具体的には、送受信部30は、赤外線レーザの出力光をミラーで反射させ、当該ミラーを鉛直軸周りに回動させることによってレーザ光を旋回照射する。
前記ALR信号処理部300は、送受信部30による赤外線レーザの送信タイミングを制御するとともに、送受信部30で受信した赤外線レーザの受信タイミングを制御する。
これによって、ALR24は、移動体11の前方約180度の範囲内に存在する物体に対する反射波の受信に基づいて、移動体11からの物体の距離と、その時に送信される赤外線レーザの出力ビームの旋回角度(方位)を測定可能になっている。
本実施例のALR24は、1度毎に10mmの分解能で最大誤差±40mm以下の距離情報を得られるものが用いられている。また、ALR24は、ビームの旋回に応じて、旋回角度が1度間隔で、移動体11からの物体の距離情報とその時の方位情報のデータを出力する。
なお、移動体11とその周囲に存在する物体との距離を検出できる限りにおいて、ALR24に代え、超音波レーザ等の公知の物体検出手段を採用することも可能である。
前記制御手段25は、ソフトウェア的及び/又はハードウェア的に、複数のプログラムモジュール及び/又は処理回路によって成り立っており、移動体11の前方周囲の物体の存在状態を示す環境地図を移動体11の移動に伴って累積的に生成し、当該環境地図に基づいて移動体11の走行可能領域を識別する環境認識装置としても機能する。
制御手段25は、図2に示されるように、自己位置検出手段23から移動体11の初期位置を検出する初期位置検出部25Aと、前記環境地図を生成する環境地図生成部25B(環境地図生成手段)と、環境地図に基づいて移動体11の走行可能領域を識別する走行可能領域識別部25C(識別手段)と、環境地図から交差点の種類を決定する交差点判定部25Dと、基地局13で設定される後述の目標経路情報と走行可能領域識別部25C及び交差点判定部25Dからの情報とから移動体11の進路を決定する進路決定部25Eと、進路決定部25Eで決定された移動体11の進路に従って移動体11が移動するように、駆動装置20及びステアリング機構21の動作を制御する走行制御部25Fとを備えている。
前記環境地図生成部25Bは、自己位置検出手段23から移動体11の現在位置を逐次検出しながら、ALR24からの検出データに基づき、移動体11の移動に伴って環境地図を累積的に生成するようになっている。
前記基地局13は、予めユーザによって指定された移動体11の目標経路に関する情報(目標経路情報)を移動体11に送信するようになっている。具体的に、目標経路情報は、所定の地図中における目標経路を構成するノード情報と、進行方向情報(直進、右左折等)とで構成される。目標経路情報は、基地局13に設けられたデータベースに格納され、通信装置100は、基地局13から目標経路情報すなわちノード情報と進行方向情報とを受信する。
図3に目標経路と交差点の配置例を示し、図4にノード情報と進行方向情報のデータテーブル例を示す。
図3及び図4に示されるように、ノード情報は、例えばノードP、ノードP、ノードP、・・・、ノードPの順に配列された、各ノードを通過するように設定される。ノード情報は、各ノードの位置座標(緯度、経度)を含んで構成される。
進行方向情報は、例えば、出発点(C)から進行方向1番目の交差点(C)を通って同2番目の交差点(C)までは「直進」、同2番目の交差点(C)は「左折」、そして、次に通る同3番目の交差点(C)は「右折」・・・・等の各交差点における進行方向を示す情報で構成される。また、交差点CにはノードPの座標が設定される。交差点CにはノードPの座標が設定される。交差点CにはノードP11の座標が設定される。
なお、図2中で、点線Mは目標経路、曲線Sは進路、曲線Kはデッドレコニングのみで測位した場合の自己位置検出手段23の位置を示す。出発点から最終位置に向かって誤差が累積するので、曲線Kは次第に曲線Sからずれていく。誤差はジャイロのバイアス誤差や車速検出器(車輪のエンコーダ)の積分誤差によって生じる。
また、基地局13では、移動体11に取り付けられた撮像装置15からの画像情報と、自己位置検出手段23により検出された移動体11の自己位置情報と、その他移動体11のステータス情報等とを移動体11側から受信し、図示しない所定の表示手段に表示する。これらの情報により、基地局13側では、撮像画像による目標経路周辺の監視及び移動体11の運行管理が可能になる。また、基地局13では、移動体11の遠隔操作が可能となっており、緊急時には、基地局13から移動体11の緊急停止や操縦が可能となる。なお、前記ステータス情報としては、車体・各種搭載センサの正常動作・異常動作の状態を示す情報を例示できる。
次に、制御手段25による移動体11の進路の決定手順について説明する。
先ず、基地局13で移動体11の目標経路情報を設定する。この目標経路情報は、基地局13から通信装置100に送信される。通信装置100では、受信した目標経路情報を制御手段25に送出する。制御手段25は、通信装置100から受信した目標経路情報を経路設定メモリに格納する。
そして、移動体11がスタート位置にあるときに、その初期位置を自己位置検出手段23のGPS・INS方式を使って検出する。そして、移動体11の移動に伴い、自己位置検出手段23のデッドレコニング方式を使って移動体11の現在位置を逐次検出しながら、当該移動体11の前方周囲の環境地図を移動体11の移動方向に累積的に生成する。
具体的に、ALR24からのレーザ光の照射によって、移動体11の前方周囲に存在する物体(壁、障害物等)を認識することで、当該物体の存否を反映した環境地図が生成される。ここでは、先ず、レーザ光が照射される物体の反射率の相違による物体の誤検出を防止するために、移動体11の移動に伴い、物体の所定部位にレーザ光を複数回照射する過程で、図5に示されるように、移動体11の周囲に仮想的に設定された格子状の複数の占領グリッドGそれぞれに対し、物体Mの存在確率を複数算出して積算する投票処理を行うことでグリッドG毎に物体Mの存否を決定する。この投票処理は、ALR24のノイズや対象物の誤認識を防止するフィルタ処理の一種であり、原理的には、データの閾値付の平均化処理の一種であり、本実施例では、次のようにして行われる。なお、前記占有グリッドGは絶対座標系(例えば、緯度・経度等)で表される。
図5に示されるように、移動体11が基準となるx−y座標系において、移動体11の前記送受信部30が点A(x,y)に位置し、x軸に対してθ方向を向いているとき、ALR24が基準となるu−v座標系でALR24が点B(u,v)に物体を感知した場合、移動体11が基準となるx−y座標系での物体の位置(x,y)は、
で表せる。ここで、移動体11の所定位置の点Aは、自己位置検出手段23のデッドレコニング方式によって求めた位置である。
次に、点AB間のグリッドGに対する物体Mの存在確率を定義する。この確率は、初期値を0としたとき、物体Mが存在しないときは負の値、物体Mが存在するときは正の値をとるものとする。そして、各値の絶対値が大きいほど、物体Mの有無の確信度が高いものとする。つまり、初期値0に近い確率の場合、そのグリッドG上の物体Mの有無は「不明」ということになる。一方、正の値が大きくなるほど物体Mが存在する確率が高く、負の値が小さくなるほど物体Mが存在する確率が低くなる。そして、図6に示されるようなモデルを仮定する。ここで、点Aは、ALR24の送受信部30が配置される点である。点AB間の距離をR、線分AB上のある点までの距離をl、ALR24の出力(ALR24の検出値)に含まれる誤差をεとしたとき、
物体Mが存在しない確率P(l)は、
とする。
一方 物体Mが存在する確率P(l)は、
とする。
ここで、ALR24のビームを旋回させる度(1度毎)に、ALR24から出力される各ビームのビーム幅Ωに対する物体Mの存否確率Pは、図6(B)に示されるように、ビーム幅Ω方向に一様に分布していると仮定する。これは、ALR24の隣り合うビーム同士の間隔が比較的狭いからである。
移動体11の各位置について、ALR24のビームを旋回させる度(1度毎)に、ALR24から出力される検出データ(ALR24から物体までの距離情報・方位情報)毎に、以上の計算から物体Mの存在する確率若しくは存在しない確率(以下、「存否確率」と称する)が求められ、各グリッドGに投票される。既に投票されているグリッドGには、移動体11の移動やALR24の他出力により新たに計算された存否確率が積算されていく。そして、移動体11の移動速度等によって定められる一定の閾値を超えたときに、そのグリッドGには物体Mが存在するものと決定され、それ以外は物体Mが存在しないものと決定される。
なお、各グリッドGに対し、物体Mの存否確率が最後に計算された時刻を記録しておき、一定時間経過したグリッドGに対して再度計算が必要になった場合は、存否確率を初期値に戻してから再度計算するようにしてもよい。このようにすると、移動体11が再度同じ場所を通過した際に、以前存在していた物体Mが無くなっている等、以前と状況が異なっているような場合に対して有用となる。
また、ALR24単体では計測不可能な物体背後のグリッドG上の物体Mの存否確率の表現は、物体Mの存否確率を初期値に近づけるように、次式に従って存否確率を再計算するとよい。
ここで、Pnow(l)は、すでにグリッドGに割り当てられている確率である。
また、Pdefaultは、確率の初期値、αは、減衰係数である。
(5)式は、物体の後方にあるグリッドGに既にPnow(l)が割り当てられている場合、初期値PdefaultとPnow(l)との差に応じて、そのグリッドGの確率を初期値に近づけるという意味の式である。この表現方法により、新たに登場した物体の背後に以前の計測データが残ってしまうことを防ぐことができる。
以上のようにして、移動体11の前方一定範囲(約半径20m)における物体Mの存否が決定され、物体Mの存在地点を座標上にプロットしていき、移動体11の移動に伴って、当該プロットが物体Mの外形を表す線となって、図7(A)に示される環境地図が逐次生成され更新される。本環境地図の更新手法のフローチャートを図8に示す。
次に、基地局13で予め設定された移動体11の目標経路情報と、前述のように生成された環境地図とに基づいて、移動体11の進路が決定される。なお、初期位置が設定した目標経路上に存在しない場合には、GPS衛星の電波に基づいて自己位置を特定しながら、最初に移動体11を目標経路に接近するように動作させる。
そして、交差点の手前(例えば20m手前)の位置から環境地図が生成され、移動に伴って逐次環境地図が更新される。その後、交差点において進路を決定する段階で図7(A)に示されるような環境地図が作成される。
図7(A)は、例えば、移動体11が図3の点Pの位置に到達したときに、制御手段25で獲得される環境地図である。
このようにして獲得された環境地図に対し、次に述べるような画像処理を行う。
先ず、環境地図を二値化する(図7(B))。
当該二値化した画像に対する膨張・収縮処理を繰り返し行ってノイズを除去する(同(C))。
そして、白色で表れる走行可能領域を細線化することにより、走行可能領域をその幅方向ほぼ中央に延びる線分に変換する(同(D))。
得られた細線化画像に対しハフ変換を施す(同(E))。
そして、ハフ変換によって得られた線分が一本の場合には、当該線分に沿って移動体11が移動するように、その駆動装置20(図1参照)とステアリング機構21が制御される。このようにすることで、移動体11が走行可能領域を道なりに走行可能になる。ここで、走行可能領域は、障害物が除外された状態となるから、実際の通路に予期しない障害物が存在していても、それを避けた状態で通過することが可能になる。
また、図7(E)に示されるように、細線化した画像が二直線で構成されるような場合には、その部位が交差点となっている可能性が高いため、図7(C)の膨張・収縮画像に対し、テンプレートマッチングを行う。ここで用いるテンプレートとしては、図9に示されるように、直進、L字路、T字路、十字路の四種類の交差点テンプレートを用いる。
つまり、膨張・収縮画像と各テンプレートとでマッチングを行い、対象となる部分につき交差点の種類を決定する。そして、交差点と認められた場合は、基地局13で予め設定された移動体11の目標経路の情報に基づき、ハフ変換によって得られた線分から不要な線分を除去する。
すなわち、自己位置検出手段23からのデータによって、例えば、移動体11が初期位置からn番目(nは自然数)の交差点を通過していると予想される。ここで、制御手段25はカウンターを有していて、交差点の通過毎にカウンターをカウントしていくことによって、目標経路のn番目の交差点に到達したことが判別される。
そして、テンプレートマッチングにより、図7(E)の部位が確かにn番目の十字路であると決定される。そして、n番目の交差点を右折若しくは左折することが目標経路として設定されていると、二本の線分のうち不要の部分が削除され、その線分が進路として決定される。例えば、図3の例で、2番目の交差点Cで左折する場合、図7(E)の2本の線分501,502のうち、同図(F)に示されるように、一部の線分505,506を削除し、残りの線分503,504を進路として決定する。そして、当該線分に沿って移動体11が移動するように、その駆動装置20とステアリング機構21が制御される。
以上の処理は、移動体11の移動に伴って時系列的に行われることになり、初期位置から、移動体11が到達すべき目標位置である最終位置まで、予め設定された目標経路に従いつつも、障害物の存在等、実際の走路状況に応じて、移動体11が自律移動するようになる。
例えば、図10に示されるように、移動体11の走路の端に予期しない障害物となる駐車車両が点在する場合、生成された環境地図は、走行可能領域を表す白色領域に見られるように、障害物である駐車車両が走行可能領域から除去されることになる。そして、制御手段25で作成された進路(走行軌跡)は、目標経路情報に基づきつつ、障害物に非干渉となるように決定される。なお、走行可能領域は、移動体11の幅よりも大きい場合が前提となる。
以上の最終位置は、目標経路上に適宜設定された、GPS衛星の電波を確実に受信できる目標位置であっても良い。この場合は、目標位置に到達後、GPS・INS方式によって現在位置を精度良く求め、その位置を初期位置に再設定して、再度次の目標位置に向かって移動体11を進行させる。
従って、このような実施例によれば、比較的簡単な構成により、高層ビル街、山間地、地下、トンネル内等、GPS衛星の電波を受信できないような場所でも、予め指定した目標経路に沿って移動体を自律移動させることができるとともに、目標経路上に予期しない障害物等が存在しても、それを回避して移動体を自律移動させることができるという効果を得る。
なお、発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
本発明は、屋内等における平坦な地面上を走行する移動体の自律移動制御に好適であり、例えば、工場内、変電所、原子力発電所等の施設内の状況を監視する無人監視車両の移動制御に利用できる。
本実施例に係る自律移動システムの概略構成図。 制御手段の構成図。 目標経路と交差点の配置例を示す図。 ノード情報と進行方向情報のデータテーブル例を示す図。 占領グリッドを説明するためのグラフ。 (A)〜(C)は、ALR出力に対する物体の存否確率を説明するためのグラフ。 (A)は、獲得した環境地図の一例を表す図であり、(B)は、(A)を二値化した画像を表す図であり、(C)は、(B)を膨張・収縮処理した画像を表す図であり、(D)は、(C)を細線化した状態の図であり、(E)は、(D)をハフ変換した状態の図である。 環境地図の更新手法を表すフローチャート。 (A)〜(D)は、テンプレートパターンを表す図である。 障害物を回避した走行可能領域を進路及び目標経路とともに示した環境地図。
符号の説明
10 自律移動システム
11 移動体
12 移動制御装置
23 自己位置検出手段
24 ALR(物体検出手段)
25 制御手段
M 物体
G 占領グリッド

Claims (5)

  1. 予め設定された目標経路情報に従って自律移動する移動体の移動制御装置において、
    前記移動体の現在位置を検出する自己位置検出手段と、前記移動体に取り付けられて、当該移動体とその周囲に存在する物体との距離及び方位を検出する物体検出手段と、前記自己位置検出手段及び前記物体検出手段の検出データに基づいて前記移動体の進路を決定するとともに、当該進路に沿って前記移動体を移動させるように当該移動体を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記移動体の移動に伴い、前記物体検出手段の検出データから移動体周囲の物体の存在状態を示す環境地図を移動方向に累積的に生成し、前記目標経路情報及び前記環境地図に基づいて、前記物体に非干渉となる前記移動体の進路を決定することを特徴とする移動制御装置。
  2. 前記物体検出手段は、前記物体に対する距離検出を複数回行い、
    前記制御手段は、前記距離検出に基づき求められた物体の座標に対し、移動体の周囲に仮想的に設定された占有グリッド毎に投票処理をし、物体の存否を決定することを特徴とする請求項1記載の移動制御装置
  3. 前記制御手段は、前記環境地図のノイズを除去した二値化画像に対し、走行可能領域を細線化してハフ変換を行うことで進路となる線分を求めるとともに、前記二値化画像と予め記憶された交差点テンプレートとの間のマッチングによって交差点の種類を特定し、前記目標経路情報に合致する線分を選択することで、前記進路を決定することを特徴とする請求項1又は2記載の移動制御装置。
  4. 移動体に搭載されて周囲に存在する物体との距離及び方位を検出する物体検出手段の検出データに基づき、前記移動体の周囲の物体の存在状態を示す環境地図を、移動体の移動に伴って累積的に生成し、生成した環境地図に基づいて移動体の走行可能領域を識別することを特徴とする環境認識装置。
  5. 移動体に搭載されるマイクロプロセッサを、
    移動体の周囲に存在する物体との距離及び方位の検出データに基づいて、前記移動体の周囲の物体の存在状態を示す環境地図を、移動体の移動に伴って累積的に生成する環境地図生成手段と、
    前記環境地図生成手段で生成された環境地図に基づいて移動体の走行可能領域を識別する識別手段と、
    して機能させるための移動体制御用プログラム。
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