JP2005331708A - 光学材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】高屈折率で、低分散及び光散乱性を含めた光学特性及び成形性に優れた光学素子を形成するために好適な光学材料を提供する。
【解決手段】タンタル酸化物を構成成分とする無機粒子成分と、重合性官能基を有する有機成分を含む。
【選択図】なし
【解決手段】タンタル酸化物を構成成分とする無機粒子成分と、重合性官能基を有する有機成分を含む。
【選択図】なし
Description
本発明は、例えばカメラ等の撮像光学系、表示デバイス等の投影光学系、画像表示装置等の観察光学系などの光学系に用いる光学素子を形成するに適した光学材料に関し、特に、高屈折率、分散制御性、光散乱性及び環境特性に優れる光学材料に関する。
近年、銀塩フィルム用やデジタル用のカメラ、ビデオカメラあるいはカメラ付携帯電話、テレビ電話あるいはカメラ付ドアホンなどには、撮像モジュールが使用されている。このような撮像モジュールなどに用いられる光学系では、小型軽量、低コスト化が大きな課題となっている。そこで、これらの光学系では、光学素子の大きさを小さく(光学有効面の曲率半径を小さく)しやすい高屈折率の光学材料あるいは成形が簡単で安価な光学材料を多用するようになっている。
このような光学材料としては、光学ガラス、光学用熱可塑性樹脂、高温で押圧成形し所望の光学素子を得るための低融点ガラス、あるいは成形しながら熱や光で重合し所望形状の光学素子を得ることができるエネルギー硬化型樹脂が用いられている。
また近年、光学素子用の光学材料として、無機化合物と有機化合物を用いた有機無機複合材料、例えば樹脂中に粒子径が数nm〜150nmの微粒子を均一に分散させた微粒子分散型の光学材料が提案されている。
この微粒子分散型の光学材料の場合、即ち、光学系の使用波長より小さい粒子等の不均一成分を含んだ有機無機複合材料からなる光学素子の場合、小さい不均一成分は光学性能に影響を与えないと考えられている。このため、およそ400〜800nmが使用波長域である白色光学系の光学素子の光学材料としては、100nmあるいは30nm程度の不均一成分である微粒子を含む微粒子分散型の光学材料が提案されている。
例えば、特許第2867388号公報では、粒径1〜150nmのダイヤモンド微粉末を合成樹脂に均一に分散させてなる高屈折率を実現する光学用樹脂組成物が提案されている。また、特開2000−44811公報では、粒子径5〜100nmの金属粉末あるいは金属酸化物粉末を有機樹脂中に分散させることにより高屈折率を実現する超微粒子分散型光学材料が提案されている。さらに、特開2001−74901公報では、チタンとシリコンの複合金属酸化物(Six−Ti(1−x)O2)の微粒子やTiO2、Nb2O5、ITO、Cr2O3、BaTiO3などの粒径が2〜100nmの微粒子を熱可塑性の非晶性樹脂に分散させて高分散を実現する光学材料が提案されている。
特許第2867388号公報
特開2000−44811公報
特開2001−74901公報
光学ガラスでは、光学有効面を収差補正性能の優れる非球面形状に加工することが難しい、あるいは加工に時間がかかるので量産には不向きであるという欠点がある。
また、低融点ガラスにおいては、光学素子の光学有効面を非球面形状に加工するのが容易であり、高屈折率で耐環境性などに優れる利点はある反面、大口径あるいは大偏肉形状の光学素子としての成形が難しい、あるいは成形機及び金型が高価になるなどの成形性等に欠点がある。
また、光学用熱可塑性樹脂及びエネルギー硬化型樹脂においては、大口径あるいは複雑形状の光学素子に成形できる成形性や量産性に優れる利点があるものの、光学材料として選択できる屈折率及び分散の範囲が狭く、光学系の小型軽量化あるいは高性能化を制限する問題がある。
近年、提案されている微粒子分散型の有機無機複合材料は、複雑形状の光学素子に成形する成形性や透明性などに優れ、比較的簡単に量産できる利点はあるものの、高屈折率化は満足するレベルに達してはいない。また微粒子分散型の有機無機複合材料からなる光学素子は、光散乱性が大きいという問題点がある。
光散乱性は、光学素子内部における光の散乱の強度を評価するものであり、光散乱性が悪い、つまり散乱光の強度が大きい光学素子では、仮にその光学素子の収差がゼロであっても、光学素子を透過した光により形成される像がぼやけてしまい、優れた光学素子とはいえないものとなる。光散乱性は、光学素子を構成する材料自身に起因するもので、光学素子内部が光学的に均一でない、すなわち、屈折率、透過率が均一でない場合に光が散乱してしまうことに起因している。
すなわち、このように光学系の使用波長より小さな不均一成分であっても、多量に光学素子内部に存在すると、プリズムあるいは導波路など光学素子単体内での光路長が長い光学素子、あるいは顕微鏡や高画素デジタルカメラなど光学素子自体に高性能な光学性能が要求される光学系の光学素子においては、散乱光の大きさが問題になる。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたもので、高屈折率で、分散制御性及び光散乱性を含めた光学特性及び成形性に優れた光学素子を形成するために好適な光学材料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明の光学材料は、タンタル酸化物を構成成分とする無機粒子成分と、重合性官能基を有する有機成分を含むことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学材料であって、前記無機粒子成分中にアルミニウム化合物からなる無機化合物を含むことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の光学材料であって、前記無機粒子成分の含有量が、光学材料の総質量に対する酸化物換算の質量%で5〜50%であることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の光学材料であって、下記の化学式(1)で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる無機成分をさらに含むことを特徴とする。
R1 aR2 bM(OR3)c ……化学式(1)
(式中、R1及びR2は同一あるいは異なる有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基または一部をアルキルエーテル基で置換したアルキル基、MはBe、Cu、Ge、Hf、La、Mg、Nb、Sc、Si、Zr、Ti、V、W、Y、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、a及びbは0ないし2、cは金属元素Mの価数−(a+b)から計算される正の整数である。)
R1 aR2 bM(OR3)c ……化学式(1)
(式中、R1及びR2は同一あるいは異なる有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基または一部をアルキルエーテル基で置換したアルキル基、MはBe、Cu、Ge、Hf、La、Mg、Nb、Sc、Si、Zr、Ti、V、W、Y、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、a及びbは0ないし2、cは金属元素Mの価数−(a+b)から計算される正の整数である。)
請求項5記載の発明は、請求項4記載の光学材料であって、前記化学式(1)において、金属元素MがSi、Tiからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載の光学材料であって、前記光学材料が、d線の屈折率nd及びアッベ数νdが(nd、νd)=(1.60、70)、(2.00、30)、(1.70、10)、(1.35、50)、(1.35、60)で囲まれた光学恒数を有することを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載の光学材料であって、前記光学材料が、d線の屈折率nd及びアッベ数νdが(nd、νd)=(1.50、62)、(1.82、30)、(1.80、23)、(1.63、23)、(1.38、53)で囲まれた光学恒数を有することを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項記載の光学材料であって、前記無機粒子成分が、下記の化学式(2)で表されるタンタルアルコキシドあるいはその加水分解物を重合させたものからなることを特徴とする。
R4 dTa(OR3)5−d ……化学式(2)
(式中、R4は有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基または一部をアルキルエーテル基で置換したアルキル基、dは0ないし1である。)
R4 dTa(OR3)5−d ……化学式(2)
(式中、R4は有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基または一部をアルキルエーテル基で置換したアルキル基、dは0ないし1である。)
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項記載の光学材料であって、前記無機粒子成分が、タンタルの有機酸塩を熱処理して得られたものからなることを特徴とする。
請求項10記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項記載の光学材料であって、前記無機粒子成分が、平均粒子径が20nm以下で、かつ90%粒子径が30nmのタンタル酸化物粒子あることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項1〜10のいずれか1項記載の光学材料であって、前記有機成分がメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル、エポキシ化合物、含硫黄化合物から選ばれる少なくとも1種類を有することを特徴とする。
本発明の光学材料によれば、分散を制御しつつ高屈折率化できるため、光学素子の大きさを小さくでき、収差も効率よく取り除くことができるとともに、光散乱性、耐環境性に優れている。また、比較的高温や高い圧力をかけることなく複雑形状の光学素子を短時間で製造できる高い加工性を有しているため、光学系の小型軽量化、低コスト化を行うことができる。
本発明の光学材料は、タンタル酸化物を構成成分とする無機粒子成分と、重合性官能基を有する有機成分を含むものである。
タンタル酸化物を構成成分とする無機粒子成分は、高屈折率で高分散を実現するための必須の成分である。また、アルミニウム化合物を構成成分とする無機粒子成分は高屈折率で低分散を実現するための必須の成分である。これらの無機粒子成分は光学材料の総質量に対する酸化物換算で5質量%以上50質量%以下が好ましい。5質量%以下ではタンタル酸化物などの無機粒子を添加した効果が小さく、50質量%以上では光散乱性が悪化したり、所望の形状に成形すること難しいなどの問題が発生するためである。より好ましくは10質量%以上40質量%以下である。
タンタル酸化物からなる無機粒子成分としては、下記の化学式(3)で表されるタンタルアルコキシドあるいはその加水分解物を重合させたものから製造したものを用いることができる。
R4 dTa(OR3)5−d ……化学式(3)
化学式(3)において、式中、R4は有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基または一部をアルキルエーテル基で置換したアルキル基、dは0ないし1である。
アルキル基としてはメチル基、エチル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基などを用いることができる。ハロゲン化アルキル基としては、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタクロロエチル基などを用いることができる。アリール基としてはフェニル基、スチリル基などを用いることができ、好ましくはメチル基、フェニル基である。タンタルアルコキシドあるいはその加水分解物としては、ペンタメトキシタンタル、ペンタエトキシタンタル、ペンタプロポキシタンタル、ペンタブトキシタンタル、メチルテトラメトキシタンタル、メチルテトラエトキシタンタル、メチルテトラブトキシタンタル、フェニルテトラメトキシタンタル、フェニルテトラエトキシタンタルあるいはそれらの加水分解物などを用いることができる。
タンタルアルコキシドから製造される無機粒子成分を用いる場合、タンタルアルコキシドの縮重合反応における希釈溶剤の種類や量、触媒の種類や量、反応温度、時間を適宜調整することにより、粒子径にかかわる分子量や屈折率及び分散にかかわる結晶性や密度を調整することができる。
さらに、タンタル酸化物からなる無機粒子成分としては、タンタルの有機酸塩を熱処理して得られたものを用いることができる。有機酸としては、2−エチルヘキサン酸、オクチル酸などがある。
また、タンタル酸化物結晶を砕いて粉末化して微粒子としたものや、キレート化合物のような金属錯塩を熱分解させる方法、気相酸化法、ジュールクエンチ法あるいは熱プラズマ法や火炎法、噴霧法などの公知の方法で製造された微粒子を水やアルコールなどの各種有機溶剤から選ばれる分散媒に均一に分散させたものを用いることができる。
このようなタンタル酸化物微粒子を無機粒子成分として用いる場合、タンタル酸化物粒子の大きさは、平均粒子径が20nm以下で、かつ90%粒子径が30nm以下であることが好ましい。より好ましくは平均粒子径が15nm以下で、かつ90%粒子径が20nm以下である。粒子径は動的光散乱法によって求めたもので、平均粒子径とは粒子径分布の中心値であり、また90%粒子径とは全粒子の90%が含まれる範囲の粒子径である。いずれの粒子径より大きい場合は、透過率や光散乱が大きくなる。従って、たとえ平均粒子径が20nm以下で小さくても、粒径分布の幅が広く30nmより大きな粒子径の粒子が全粒子の10%を超えた割合で存在すると、透過率は悪化しないが光散乱が大きくなる。
タンタル酸化物と共に混入するアルミニウム化合物からなる無機化合物としては、アルミナ粒子、ベーマイト型水酸化アルミニウム、アルミニウムアルコレート及びその加水分解物、アルミニウムキレートの熱分解物などを用いることができる。
タンタル酸化物粒子成分と、重合性官能基を有する有機成分以外にも、下記の化学式(4)で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる無機成分を用いることができる。
R1 aR2 bM(OR3)c ……化学式(4)
化学式(4)中、R1及びR2は同一あるいは異なる有機基であり、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基を用いることができる。具体的には、メチル基、イソブチル基、トリフルオルメチル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、フェニル基、スチリル基、エポキシ基、エポキシプロピル基、オキセタニル基、グリシジル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基などを選択することができる。特に好ましくは、メチル基、エチル基、イソブチル基、フェニル基、エポキシ基、オキセタニル基、グリシジル基、アクリロイル基、メタクリロイル基である。
化学式(4)中、R3は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基または一部をアルキルエーテル基で置換したアルキル基、MはBe、Cu、Ge、Hf、La、Mg、Nb、Sc、Si、Zr、Ti、V、W、Y、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、a及びbは0ないし2、cは金属元素Mの価数−(a+b)から計算される正の整数である。
前記無機成分は、タンタル酸化物粒子成分の粒子表面を修飾して、タンタル酸化物粒子成分と、重合性官能基を有する有機成分との相溶性や分散性を調整し、タンタル酸化物粒子同士の凝集を防止することにより、粒子径が30nmより大きくならないように透過率や光散乱性の低下を防ぐ。これとともに、R1及びR2の有機基としてビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基などの重合性有機基を有する金属アルコキシドを用いることにより、有機成分と無機成分の間に強固な共有結合ができるため、相溶性及び結合性が向上し、より環境安定性や光散乱性を向上させることができ、さらに機械的強度も向上することができる。
金属アルコキシドあるいはその加水分解物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、アルミニウムイソプロポキシド、ペンタエトキシタンタル、ペンタメトキシタンタル、チタニウムイソプロポキシド、チタニウムメタクリレートトリイソプロポキシド、テトラエトキシゲルマニウム、エチルトリエトキシゲルマニウム、ハフニウムノルマルブトキシド、ランタニウムイソプロポキシドあるいはそれらの加水分解物などを用いることができる。
また、タンタル酸化物粒子成分の粒子表面を修飾する前記無機成分以外にも、粒子表面を修飾する成分として、粒子表面と反応するためのイソシアネート基と、有機成分と相溶したり共重合するための官能基を分子内に有している化合物を用いても良い。
さらに、金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる無機成分は、単独であるいは複数種類の混合物として用いることができる。このため、光学設計上で求められる屈折率や分散、透過率などの光学特性に合わせて、混合する数種類の無機成分の組成比を決めることができる。
金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる無機成分の添加量は、タンタル酸化物と金属アルコキシドとの割合を、それぞれの酸化物Ta2O5、SiO2に換算した時の質量比Ta2O5:SiO2で6:1〜10:1程度が好ましい。
重合性官能基を有する有機成分としては、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル(以下、両者をあわせて(メタ)アクリレートと記す)、エポキシ化合物、含硫黄化合物を用いることができる。
具体的には、メタクリル酸、アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシナネート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィド、ビス(4−ビニルチオフェニル)スルフィドなどを用いることができる。また、モノマーのまま用いても良いし、モノマーを少し重合させたオリゴマーとして用いても良い。
重合性官能基を有する有機成分としては、上記以外にも全ての成分が完全に相溶すれば特に限定されるものではない。例えばポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシランなどを用いることができる。
本発明の光学材料は、上記タンタル酸化物粒子成分、有機成分及び無機成分以外にも、その他の成分として硬化剤、光増感剤、連鎖移動剤、酸化防止剤などを添加することができる。
硬化剤としては、光重合開始剤あるいは熱重合開始剤を選択することができる。具体的には、有機成分が(メタ)アクリレートの場合及び無機成分の金属アルコキシドの有機基R1あるいはR2がビニル基、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基である場合は、熱重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスカルボアミド、イソプロピルヒドロペルオキシド、第3ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビスヘキサンなどを用いることができ、光重合開始剤としてはベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オンなどを用いることができる。
また、有機成分がエポキシ樹脂の場合及び無機成分の金属アルコキシドの有機基R1あるいはR2がエポキシ基あるいはオキセタニル基である場合は、触媒型硬化剤として芳香族系3級アミン類、イミダゾール類、ルイス酸類などを用いることができ、重付加型硬化剤としては、ポリアミン系硬化剤、変性ポリアミン系硬化剤、カルボン酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、硫黄含有化合物系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ポリエステル系硬化剤などを用いることができる。
本発明の光学材料の屈折率及び分散(アッベ数)の調整は、タンタル酸化物粒子成分の添加量、分子量、結晶性及び密度、重合性官能基を有する有機成分の種類と添加量、無機成分の種類と添加量及び硬化条件によって行うことができる。
例えば、高屈折率高分散化する場合、タンタル酸化物粒子成分として、ペンタブトキシタンタルをブタノールを希釈溶剤として加水分解反応と縮重合反応を行いポリスチレン換算分子量2000〜1000000程度まで高分子量化させたものを用い、また重合性官能基を有する有機成分としてメチルメタクリレートを用い、また化学式(4)で表される金属アルコキシドからなる無機成分として、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用い、その他の成分としてベンゾフェノンを含む紫外線硬化剤を用いた場合の光学材料においては、ペンタブトキシタンタルと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの割合をそれぞれの酸化物Ta2O5、SiO2に換算した時の質量比Ta2O5:SiO2で10:1として、光学材料全体に含まれるTa2O5の割合を質量%で0〜50%まで変化させたとき、光学材料のd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの変化は図1の曲線Aとなる。
例えば、高屈折率高分散化する場合、タンタル酸化物粒子成分として、ペンタブトキシタンタルをブタノールを希釈溶剤として加水分解反応と縮重合反応を行いポリスチレン換算分子量2000〜1000000程度まで高分子量化させたものを用い、また重合性官能基を有する有機成分としてメチルメタクリレートを用い、また化学式(4)で表される金属アルコキシドからなる無機成分として、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用い、その他の成分としてベンゾフェノンを含む紫外線硬化剤を用いた場合の光学材料においては、ペンタブトキシタンタルと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの割合をそれぞれの酸化物Ta2O5、SiO2に換算した時の質量比Ta2O5:SiO2で10:1として、光学材料全体に含まれるTa2O5の割合を質量%で0〜50%まで変化させたとき、光学材料のd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの変化は図1の曲線Aとなる。
曲線Aに示すように、メチルメタクリレート単体の(nd,νd)=(1.492,58)からタンタル酸化物の割合を増加させるとともに高屈折率高分散の方向に変化し、タンタル酸化物の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%、50%まで増加させると(nd,νd)=(1.555,46)まで高屈折率高分散化することができる。
上記光学材料において、重合性官能基を有する有機成分のみを下記化学式(5)に示されるアクリレートに変更し、さらに硬化工程において60℃〜160℃まで段階的に昇温させることにより、光学材料全体に含まれるタンタル酸化物の割合を質量%で0〜50%まで変化させたときの光学材料のd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図1の曲線Dに示す。
曲線Dに示すように、化学式(5)に示されるアクリレート単体の(nd,νd)=(1.646,23)からTa2O5の割合を増加させるとともに、分散はそれほど変化せずに高屈折率の方向に変化し、Ta2O5の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%、50%まで増加させると、(nd,νd)=(1.687,23)まで高屈折率化することができる。
さらに、上記曲線Dのように変化する光学材料において、タンタル酸化物粒子成分の他に、ベーマイト型水酸化アルミニウムを10質量%添加することにより、光学材料全体に含まれるタンタル酸化物の割合を質量%で0〜40%まで変化させたときの光学材料のd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図1の曲線Gに示す。
曲線Gで示すように、化学式(5)に示されるアクリレート単体にベーマイト型水酸化アルミニウムを10質量%添加しただけの(nd,νd)=(1.628,24)からTa2O5の割合を増加させるとともに、分散はほとんど変化せずに高屈折率の方向に変化し、Ta2O5の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%まで増加させると、(nd,νd)=(1.657,24)まで高屈折率化することができる。
ベーマイト型水酸化アルミニウムを10質量%添加していない系に対し、若干ではあるが、低分散化した曲線となることがわかり、分散の制御が可能であることがわかる。
さらに、上記重合性官能基を有する有機成分として化学式(5)に示されるアクリレートの代わりに、ビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィドを用いて、同様の処理を行った場合の光学材料全体に含まれるタンタル酸化物の割合を質量%で0〜50%まで変化させたときの光学材料のd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図1の曲線Cに示す。
曲線C示すように、ビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィド単体の(nd,νd)=(1.628,36)からTa2O5の割合が増加するとともに、分散はそれほど変化せずに高屈折率の方向に変化し、Ta2O5の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%、50%まで増加させると、(nd,νd)=(1.676,33)まで高屈折率化することができる。
また、タンタル酸化物粒子成分として平均粒子径が9nmで90%粒子径が20nmのタンタル酸化物粒子を水分散させたものを、重合性官能基を有する有機成分として化学式(6)で示される含硫黄化合物を、化学式(4)で表される金属アルコキシドからなる無機成分としてフェニルトリメトキシシランを、その他の成分としてアミン系硬化剤を用いた光学材料では、硬化工程において60℃〜160℃まで段階的に昇温させた場合、水分散タンタル酸化物粒子とフェニルトリメトキシシランの割合をそれぞれの酸化物Ta2O5、SiO2に換算した時の質量比Ta2O5:SiO2で10:1として、光学材料全体に含まれるTa2O5の割合を質量%で0〜50%まで変化させたときの光学材料のd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図1の曲線Eに示す。
曲線Eに示すように、含硫黄化合物単体の(nd,νd)=(1.71,36)からTa2O5の割合が増加するとともに低屈折率低分散の方向に変化し、Ta2O5の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%、50%まで増加させると、(nd,νd)=(1.751,33)まで高分散化することができる。
次に、図1の曲線Aに示した材料系において、重合性官能基を有する有機成分のみをシルセスキオキサンからなるシリコーンレジンに変更し、さらに硬化工程において60℃〜160℃まで段階的に昇温させることにより、光学材料全体に含まれるタンタル酸化物の割合を質量%で0〜50%まで変化させたときの光学材料のd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図1の曲線Bに示す。
曲線Bでは、シリコーン樹脂単体の(nd,νd)=(1.410,50)からTa2O5の割合を増加させるとともに、分散はそれほど変化せずに高屈折率の方向に変化し、Ta2O5の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%、50%まで増加させると、(nd,νd)=(1.474,42)まで高屈折率、高分散化することができる。
また、図1の曲線Aに示した材料系において、重合性官能基を有する有機成分のみをアモルファスポリオレフィン樹脂に変更し、さらに硬化工程において60℃〜160℃まで段階的に昇温させることにより、光学材料全体に含まれるタンタル酸化物の割合を質量%で0〜50%まで変化させたときの光学材料のd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図1の曲線Fに示す。
曲線Fでは、アモルファスポリオレフィン樹脂単体の(nd,νd)=(1.542,56)からTa2O5の割合を増加させるとともに、分散はそれほど変化せずに高屈折率の方向に変化し、Ta2O5の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%、50%まで増加させると、(nd,νd)=(1.594,46)まで高屈折率、高分散化することができる。
以上のように、タンタル酸化物粒子成分の添加量、分子量、結晶性及び密度、タンタル酸化物粒子成分に添加するアルミニウム化合物の添加量、分子量、結晶性及び密度、重合性官能基を有する有機成分の種類と添加量、無機成分の種類と添加量及び硬化条件などを調整することにより、光学材料の屈折率や分散を制御することが可能となる。
制御可能な範囲としては、各種材料を選択し、条件を制御することにより、d線の屈折率nd及びアッベ数νdが(nd、νd)=(1.60、70)、(2.00、30)、(1.70、10)、(1.35、50)、(1.35、60)によって囲まれた図1の破線範囲内での光学恒数を有する領域が制御可能である。
この内、特に、細かく制御し易い領域としては、d線の屈折率nd及びアッベ数νdが(nd、νd)=(1.50、62)、(1.82、30)、(1.80、23)、(1.63、23)、(1.38、53)で囲まれた光学恒数を有する領域である。
以下、本発明を適用した光学材料の実施例を具体的に説明する。
(実施例1)
タンタル酸化物無機粒子成分としてペンタブトキシタンタルを加水分解して縮重合させたものを用い、重合性官能基を有する有機成分としてメチルメタクリレートを用い、金属アルコキシドからなる無機成分として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用い、その他の成分としては光重合開始剤としてイルガキュア500(長瀬産業(社)製、商品名)を用いた。
タンタル酸化物無機粒子成分としてペンタブトキシタンタルを加水分解して縮重合させたものを用い、重合性官能基を有する有機成分としてメチルメタクリレートを用い、金属アルコキシドからなる無機成分として3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用い、その他の成分としては光重合開始剤としてイルガキュア500(長瀬産業(社)製、商品名)を用いた。
ペンタブトキシタンタル27gと、1−ブタノール74gと、0.1N塩酸0.2gとを混合し、室温(25℃)で1時間攪拌することによりペンタブトキシタンタルを加水分解反応と縮重合反応させてTa2O5を繰り返し単位とする高分子量のタンタル酸化物ゾル溶液を用意する。このタンタル酸化物ゾル溶液を、別途用意した3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15gと水0.6gを混合して室温で12時間攪拌した混合溶液に添加して、さらに室温で8時間攪拌した後、水、1−ブタノール及び副生成物を50℃でのエバポレーション操作で取り除き、タンタル酸化物−シリカゾル溶液を得た。
そして、光学材料に占めるTa2O5換算の割合を質量%で10%になるように、タンタル酸化物−シリカゾル溶液9.5gとメチルメタクリレート74gと、イルガキュア500を0.1g混合してこの実施例の光学材料を得た。紫外線照射によって25℃にて硬化させたところ、(nd、νd)=(1.498,57)であった。結果を図2に示す。
また、タンタル酸化物−シリカゾル溶液とメチルメタクリレートとの混合比を調整し、Ta2O5換算の割合を質量%で10〜50%まで変化させた光学材料に対して、同様に硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図2に示す。
なお、図2においては、横軸を光学材料に占めるTa2O5換算のタンタル酸化物微粒子成分の含有量を質量%で示し、各質量%で得られた光学材料のd線の屈折率ndを「O」で示し、アッベ数νdを「□」で示している。
図2に示すように、メチルメタクリレート単体の(nd,νd)=(1.492,58)からTa2O5の割合を増加させるとともに高屈折率の方向に変化し、Ta2O5の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%、50%まで増加させると、(nd,νd)=(1.498,57)、(1.504,55)、(1.511,53)、(1.515,52)、(1.522,50)と高屈折率化することができる。
この実施例によれば、高屈折率高分散である光学材料を得ることができる。
(実施例2)
この実施例では、実施例1におけるエバポレーション操作の温度を50℃から80℃に変更し、さらに得られた光学材料を紫外線照射によって硬化させた際に温度を室温(25℃)から段階的に150℃まで昇温し150℃で1時間保持させた。この条件変更によって、タンタル酸化物の分子量と結晶性、及び密度が変化する。実施例1と同様にタンタル酸化物−シリカゾル溶液とメチルメタクリレートとの混合比を調整し、Ta2O5換算の割合を質量%で10〜50%まで変化させて光学材料を作成した。この光学材料を紫外線により硬化させた時の屈折率nd及び分散νdの変化を図3に示す。図3において、「O」が屈折率nd、「口」が分散νdである。
この実施例では、実施例1におけるエバポレーション操作の温度を50℃から80℃に変更し、さらに得られた光学材料を紫外線照射によって硬化させた際に温度を室温(25℃)から段階的に150℃まで昇温し150℃で1時間保持させた。この条件変更によって、タンタル酸化物の分子量と結晶性、及び密度が変化する。実施例1と同様にタンタル酸化物−シリカゾル溶液とメチルメタクリレートとの混合比を調整し、Ta2O5換算の割合を質量%で10〜50%まで変化させて光学材料を作成した。この光学材料を紫外線により硬化させた時の屈折率nd及び分散νdの変化を図3に示す。図3において、「O」が屈折率nd、「口」が分散νdである。
図3に示すように、メチルメタクリレート単体の(nd,νd)=(1.492,58)からTa2O5の割合を増加させるとともに高屈折率の方向に変化し、Ta2O5の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%、50%まで増加させると、(nd,νd)=(1.500,56)、(1.509,54)、(1.521,52)、(1.535,49)、(1.555,46)と高屈折率化することができる。
この実施例によれば、同じ材料を用いながら、実施例1よりも高屈折率、高分散化した光学材料を得ることができる。
(実施例3)
この実施例では、実施例2におけるタンタル酸化物ゾル溶液中に対し、ベーマイト型水酸化アルミニウムを10質量%含有するゾル水溶液を添加した以外は、実施例2と同様に作製した。添加するベーマイト型水酸化アルミニウムのゾル水溶液は、アルミナ換算含有量として10質量%となる量とした。
この実施例では、実施例2におけるタンタル酸化物ゾル溶液中に対し、ベーマイト型水酸化アルミニウムを10質量%含有するゾル水溶液を添加した以外は、実施例2と同様に作製した。添加するベーマイト型水酸化アルミニウムのゾル水溶液は、アルミナ換算含有量として10質量%となる量とした。
実施例1と同様に、タンタル酸化物−ベーマイト型水酸化アルミニウムーシリカゾル溶液とメチルメタクリレートとの混合比を調整し、Ta2O5換算の割合を質量%で0〜40%まで変化させた光学材料を作成し、この光学材料を紫外線によって硬化させた時の屈折率nd及び分散νdの変化を図4に示す。図4において、「O」が屈折率nd、「口」が分散νdである。
図4に示すように、メチルメタクリレート単体にベーマイト型水酸化アルミニウムを10質量%含有するゾル水溶液を添加した場合の(nd,νd)=(1.481,60)からTa2O5の割合を増加させるとともに高屈折率の方向に変化し、Ta2O50の割合を質量%で、10%、20%、30%、40%まで増加させると、(nd,νd)=(1.488,58)、(1.497,56)、(1.507,53)、(1.520,51)と高屈折率化することができる。
この実施例によれば、分散を少し低く変化させて高屈折率化した光学材料を得ることができる。
(実施例4)
この実施例では、タンタル酸化物無機粒子として、平均粒子径が10nmで、90%粒子径が20nmのタンタル酸化物粒子を酢酸水溶液に分散させたものを用い、重合性官能基を有する有機成分としてビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィドを用い、金属アルコキシドからなる無機成分としてフェニルトリメトキシシランとアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを用い、その他の成分として光重合開始剤としてイルガキュア500を用いた。
この実施例では、タンタル酸化物無機粒子として、平均粒子径が10nmで、90%粒子径が20nmのタンタル酸化物粒子を酢酸水溶液に分散させたものを用い、重合性官能基を有する有機成分としてビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィドを用い、金属アルコキシドからなる無機成分としてフェニルトリメトキシシランとアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを用い、その他の成分として光重合開始剤としてイルガキュア500を用いた。
Ta2O5換算でタンタル酸化物を20質量%含有しているタンタル酸化物粒子酢酸水溶液40gとメタノール8gを混合した溶液に、フェニルトリメトキシシラン2gを添加して、室温で24時間攪拌することによりタンタル酸化物粒子表面を表面処理したタンタル酸化物−シリカゾル溶液を用意する。このタンタル酸化物−シリカゾル溶液にビス(2−メタクリロイルチオエチル)スルフィド40gと0.1gのイルガキュア500を混合して1時間攪拌した後、水、メタノール及び副生成物を50℃でのエバポレーション操作で取り除き、次にアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート1.5gとイソプロピルアルコール8gを添加して室温で24時間攪拌する。その後、水、メタノール及び副生成物を80℃でのエバポレーション操作で取り除き、紫外線照射によって硬化させたところ、(nd、νd)=(1.641,35)であった。
この実施例によれば、より高屈折率化及び高分散化した光学材料を得ることができる。
Claims (11)
- タンタル酸化物を構成成分とする無機粒子成分と、重合性官能基を有する有機成分を含むことを特徴とする光学材料。
- 前記無機粒子成分中にアルミニウム化合物からなる無機化合物を含むことを特徴とする請求項1記載の光学材料。
- 前記無機粒子成分の含有量が、光学材料の総質量に対する酸化物換算の質量%で5〜50%であることを特徴とする請求項1または2記載の光学材料。
- 下記の化学式(1)で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる無機成分をさらに含むことを特徴とする請求項3記載の光学材料。
R1 aR2 bM(OR3)c ……化学式(1)
(式中、R1及びR2は同一あるいは異なる有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基または一部をアルキルエーテル基で置換したアルキル基、MはBe、Cu、Ge、Hf、La、Mg、Nb、Sc、Si、Zr、Ti、V、W、Y、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、a及びbは0ないし2、cは金属元素Mの価数−(a+b)から計算される正の整数である。) - 前記化学式(1)において、金属元素MがSi、Tiからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4記載の光学材料。
- 前記光学材料が、d線の屈折率nd及びアッベ数νdが(nd、νd)=(1.60、70)、(2.00、30)、(1.70、10)、(1.35、50)、(1.35、60)で囲まれた光学恒数を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光学材料。
- 前記光学材料が、d線の屈折率nd及びアッベ数νdが(nd、νd)=(1.50、62)、(1.82、30)、(1.80、23)、(1.63、23)、(1.38、53)で囲まれた光学恒数を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の光学材料。
- 前記無機粒子成分が、下記の化学式(2)で表されるタンタルアルコキシドあるいはその加水分解物を重合させたものからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の光学材料。
R4 dTa(OR3)5−d ……化学式(2)
(式中、R4は有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1〜6のアルキル基またはアリール基または一部をアルキルエーテル基で置換したアルキル基、dは0ないし1である。) - 前記無機粒子成分が、タンタルの有機酸塩を熱処理して得られたものからなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の光学材料。
- 前記無機粒子成分が、平均粒子径が20nm以下で、かつ90%粒子径が30nmのタンタル酸化物粒子あることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の光学材料。
- 前記有機成分がメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル、エポキシ化合物、含硫黄化合物から選ばれる少なくとも1種類を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の光学材料。
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-
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- 2004-05-20 JP JP2004150002A patent/JP2005331708A/ja not_active Withdrawn
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