JP2006089706A - 光学材料用組成物および光学材料 - Google Patents

光学材料用組成物および光学材料 Download PDF

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Abstract

【課題】高屈折率、光散乱性、環境特性に優れる光学材料を提供する。
【解決手段】 有機成分と無機成分からなる光学材料用組成物において、イットリウム酸化物からなる無機粒子成分、重合性官能基を有する有機成分、および重合開始剤もしくは硬化剤を含む光学材料用組成物およびそれから得られた光学材料。さらに、金属(Al、Si、Ti、Zr)アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる第2の無機成分を含む光学材料用組成物およびそれから得られる光学材料。前記有機成分としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ化合物、硫黄含有化合物、芳香族含有有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、例えばカメラ等の撮像光学系、表示デバイス等の投影光学系、画像表示装置等の観察光学系などの光学系に用いる光学素子を形成するに適した光学材料用組成物およびそれを重合して得られる光学材料に関するものであり、光散乱性、環境特性、成形性に優れ、且つ所望の光学恒数を得られる光学材料に関するものである。
近年、銀塩フィルム用やデジタル用のカメラ、ビデオカメラあるいはカメラ付携帯電話、テレビ電話あるいはカメラ付ドアホンなどに用いられる撮像モジュール等の光学系では小型軽量、低コスト化が大きな課題となっている。そこでこれらの光学系では、光学素子の大きさを小さくしやすい高屈折率の光学材料、色収差補正のし易い低分散、高分散の光学材料、あるいは成形が簡単で安価な光学材料を多用するようになってきた。
このような光学材料としては、光学ガラス、熱可塑性光学樹脂、高温で押圧成形し所望の光学素子を得るための低融点ガラス、あるいは成形しつつ熱や光で重合し所望形状の光学素子を得るために熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂等が用いられてきた。
また近年、光学素子用の光学材料として無機化合物と有機化合物を用いた有機無機複合材料、例えば合成樹脂中に粒子径数nm〜150nmの無機微粒子を均一に分散させた微粒子分散型の光学材料が提案されている。
このような微粒子分散型の光学材料の場合、すなわち光学系の使用波長より小さい粒子等の不均一成分を含んだ有機無機複合材料を用いる場合、粒径が小さい不均一成分は光学性能に影響を与えないと考えられており、それ故に、およそ400〜800nmが使用波長域である白色光学系の光学素子の光学材料として、30nmないし100nm程度の不均一成分である微粒子を含む微粒子分散型の光学材料が提案されてきた。
例えば、粒径1〜150nmのダイヤモンド微粉末を合成樹脂に均一に分散させてなる高屈折率を実現する光学用樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、粒子径5〜100nmの金属粉末あるいは金属酸化物粉末を有機樹脂中に分散させることで高屈折率を実現する超微粒子分散型光学材料が提案されている(例えば、特許文献2)。
また、チタンとケイ素の複合金属酸化物(Six−Ti(1-x)2)の微粒子やTiO2、Nb25、ITO、Cr23、BaTiO3 などの粒径が2〜100nmの微粒子を熱可塑性の非晶性樹脂に分散させ高分散を実現する光学材料が提案されてきた(例えば、特許文献3)。
特許第2867388号公報 特開2000−44811号公報 特許第3517625号公報
光学有効面を非球面形状とした光学素子は、収差補正性能に優れる等の多くの特徴を有しているが、光学ガラスによって非球面形状とすることは、加工工程が複雑となり、また時間を要するので、大量生産品の製造には問題があった。
また、融点が比較的低いガラスを用いて成形によって光学素子を製造する方法が知られている。この方法では、所定の形状に加工した成形用の型を用いることによって光学素子の光学有効面を非球面形状に加工することが容易であるが、大口径あるいは大偏肉形状の素子の成形が難しいという問題点、あるいはガラス成形用の金型の寿命等に問題点があった。
また、光学用熱可塑性樹脂および紫外線硬化型樹脂等においては、大口径あるいは複雑形状の素子に成形できるので、成形性や量産性に優れる利点があるものの、光学材料として選択できる屈折率および分散の範囲が狭く、光学系の小型軽量化あるいは高性能化を制限してしまう問題がある。
一方、近年提案されてきた微粒子分散型の有機無機複合材料は、複雑形状の素子に成形できるという成形性に優れ、また透明性等にも優れ、比較的簡単に量産できる利点はあるものの、これまでの材料では選択できる屈折率および分散の範囲に限りがあり、光学系の小型軽量化あるいは高性能化を制限してしまうという問題点がある。特に高屈折率で低分散の材料は実現されていない。
また、上記の微粒子分散型の有機無機複合材料からなる光学素子は、微粒子が十分に分散していないので、光散乱性が大きいという問題点がある。光散乱性は、光学素子内部における散乱光の指標であって、光学素子の特性に大きな影響を及ぼす。例えば、散乱光の強度が大きい光学素子では仮にその光学素子の収差が全くないとしても、光学素子を透過した光により形成される像がぼやけてしまい、特性が劣った光学素子となる。
光散乱性は、光学素子を構成する材料自身に起因するもので、光学素子内部が光学的に均一でない、すなわち、屈折率、透過率が均一でない場合に光が散乱してしまうことによる。光学系の使用波長より小さい微粒子を含有した有機無機複合材料のように不均一成分が多量に光学素子内部に存在すると、プリズムあるいは導波路など光学素子単体内での光路長が長い光学素子、あるいは顕微鏡や高精細デジタルカメラなど光学素子自身に高度な光学性能が要求される光学系用の光学素子においては、散乱光の大きさが問題になってしまう。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、とり得る屈折率および分散の範囲が広く、光散乱性も含めた光学特性、および成形性に優れた光学素子を形成するため光学材料を提供するものである。
本発明は、有機成分と無機成分からなる光学材料用組成物において、イットリウム酸化物からなる無機粒子成分、重合性官能基を有する有機成分、および重合開始剤もしくは硬化剤を含む光学材料用組成物である。
化学式1で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる第2の無機成分を更に含む前記の光学材料用組成物である。
化学式1
1 a2 bM(OR3c
(R1およびR2は、同一あるいは異なる有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1から6のアルキル基またはアリール基、MはAl、Be、Cu、Ge、Hf、La、Mg、Nb、Sc、Si、Ta、Ti、V、W、Zn、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、aおよびbは0ないし2、金属元素Mの価数mであり、c=m−(a+b)である。)
前記化学式1において、金属元素MがAl、Si、Ti、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記の光学材料用組成物である。
無機粒子成分が、下記の化学式2で表されるイットリウムのアルコキシド、またはハロゲン化イットリウム、あるいはそれらの加水分解物を重合させたものからなる前記の光学材料用組成物である。
化学式2
Y(OR43
前記有機成分がメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル、エポキシ化合物、硫黄含有有機化合物、芳香族含有有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記の光学材料用組成物である。
また、有機成分と無機成分からなる光学材料において、無機成分としてイットリウム酸化物からなる無機粒子成分、重合性官能基を有する有機成分、および重合開始剤もしくは硬化剤を含む組成物を重合したものである光学材料である。
無機粒子成分の含有量が、光学材料の総質量に対する酸化イットリウム(III)換算で、0.1〜70質量%である前記の光学材料である。
化学式1で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる第2の無機成分を更に含む前記の光学材料である。
化学式1
1 a2 bM(OR3c
(R1およびR2は、同一あるいは異なる有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1から6のアルキル基またはアリール基、MはAl、Be、Cu、Ge、Hf、La、Mg、Sc、Si、Ta、Ti、V、W、Y、Zn、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、aおよびbは0ないし2、金属元素Mの価数mであり、c=m−(a+b)である。)
前記化学式1において、金属元素MがAl、Si、Ti、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記の光学材料である。
また、光学材料のd線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合に、(nd,νd)が、(1.46,58)、(1.6,22)、(1.84,22)、(1.76,38)、(1.54,58)で囲まれた領域に存在する前記の光学材料である。
無機粒子成分が、下記の化学式2で表されるイットリウムのアルコキシド、またはハロゲン化イットリウム、あるいはそれらの加水分解物を重合させたものからなる前記の光学材料である。
化学式2
Y(OR43
4 は、炭素数1から6のアルキル基またはアリール基
前記無機粒子成分が、平均粒子径が20nm以下で、かつ90%粒子径が30nm以下のイットリウム酸化物粒子である前記の光学材料である。
前記有機成分がメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル、エポキシ化合物、硫黄含有有機化合物、芳香族含有有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である前記の光学材料である。
本発明の光学材料用組成物によって作製した光学材料は、とり得る屈折率および分散の範囲が広く、光学系の高性能化を可能にするとともに、光散乱性、耐環境性に優れている。また、本発明の光学材料用組成物は常温付近で液状であるので、高温や高い圧力を加えることなく複雑形状の光学素子を短時間で製造できる高い加工性を有しており、光学系の小型軽量化、製造効率の改善等の効果が得られる。
本発明は、イットリウム酸化物からなる無機粒子成分と、重合性官能基を有する有機成分、重合開始剤もしくは硬化剤を含む光学材料用組成物を重合させて得られた光学材料によって光散乱が少ない有機無機複合材料からなる光学材料を得ることが可能であることを見出したものである。
本発明の光学材料用組成物においては、イットリウム酸化物からなる無機粒子成分は光学特性を変化させるための必須の成分である。なお、イットリウム酸化物からなる無機粒子成分は、光学材料の総質量に対して酸化イットリウム(III) 換算で0.1質量%以上70質量%以下が好ましい。
0.1質量%未満では、イットリウム酸化物を添加した効果が小さく、70質量%を超える場合は光散乱性が悪化したり、所望の形状に成形することが難しい等の問題が発生する。
より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。この範囲の添加量であれば光散乱性は良好となる。
なお、光散乱性が良好というのは、光の散乱が少ないことを意味する。
本願の発明のイットリウム酸化物粒子は、イットリウム酸化物からなる無機粒子成分であって、光透過率、散乱等に悪影響を及ぼさない大きさの微粒子からなり、光学材料用組成物および硬化して得られる光学材料中に分散して存在している。
イットリウム酸化物粒子は、下記の化学式3で表されるイットリウムのアルコキシド、またはハロゲン化イットリウム、あるいはそれらの加水分解物を重合させたものから製造したものを用いることができる。
化学式3
Y(OR43
4 は、炭素数1から6のアルキル基またはアリール基
イットリウムのアルコキシド、またはハロゲン化イットリウムあるいはそれらの加水分解物の具体例としては、トリメトキシイットリウム、トリエトキシイットリウム、トリイソプロポキシイットリウム、トリブトキシイットリウム、塩化イットリウム、臭化イットリウムあるいはそれらの加水分解物などを挙げることができる。加水分解や重縮合反応時の希釈溶剤の種類や量、触媒の種類や量、反応温度、時間を適宜調整することで、粒子径にかかわる分子量や、屈折率および分散にかかわる結晶性や密度が調整可能となる。
また、イットリウム酸化物の微粒子を製造する方法としては、上記した方法以外に、液相法や気相法がある。液相法のうち化学的液相法としては、共沈法、均一沈殿法、還元法、水熱合成法、超臨界液体法などが挙げられる。これらの方法は、凝集の抑制がし易く、重合性官能基を有する有機成分との混合過程への移行が容易、また大量生産が可能などの利点がある。特に、水熱合成法や、超臨界液体法により製造した微粒子を用いると結晶性の高い微粒子が得られ、高屈折率化が容易になる。また、物理的液相法としては、噴射乾燥法、凍結乾燥法などが挙げられる。
また、気相法としては蒸発凝縮法や気相反応法などがあり、これらの方法によってイットリウム酸化物の微粒子を製造し、水やアルコールなどの各種有機溶剤から選ばれる分散媒に均一に分散させたものを用いることができる。気相法で製造した場合、微粒子が単分散し易く、高純度の微粒子が得られやすく、散乱特性が良くなるなどの利点がある。
また、固体状のイットリウム酸化物を砕いて粉末化し微粒子にしたものを、水やアルコールなどの各種有機溶剤から選ばれる分散媒に均一に分散させたものも用いることができる。このようなイットリウム酸化物粒子を無機粒子成分として用いる場合、イットリウム酸化物粒子の大きさは平均粒子径が20nm以下で、かつ90%粒子径が30nm以下であることが好ましい。より好ましくは平均粒子径が15nm以下で、かつ90%粒子径が20nm以下である。
ここで粒子径は動的光散乱法よって求めたもので平均粒子径とは粒子径分布の中心値を、また90%粒子径とは全粒子の90%が含まれる範囲の粒子径のことを言う。いずれの粒子径より大きい場合は透過率や光散乱が大きくなってしまう。つまり、たとえ平均粒子径が20nm以下で小さくても、粒子径分布の幅が広く30nmより大きな粒子径の粒子が全粒子の10%を超えた割合で存在してしまうと、光散乱が大きくなってしまうことになる。
本発明においては、イットリウム酸化物粒子と、重合性官能基を有する有機成分以外にも、他の無機成分(第2の無機成分)を用いることができる。この他の無機成分としては、下記の化学式4で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる無機成分を用いることができる。
化学式4
1 a2 bM(OR3c
1およびR2は同一あるいは異なる有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基である。
具体例としてはメチル基、エチル基、イソブチル基、トリフルオロメチル基、ビニル基、アクリロイル基、メタクロイル基、スチリル基、エポキシ基、オキセタニル基、フェニル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基などが挙げられる。これらのなかでも、好ましくはメチル基、エチル基、イソブチル基、アクリロイル基、メタクロイル基、フェニル基、エポキシ基、オキセタニル基が挙げられる。
3 は炭素数1から6のアルキル基またはアリール基、MはAl、Be、Cu、Ge、Hf、La、Mg、Nb、Sc、Si、Ta、Ti、V、W、Zn、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、aおよびbは0ないし2、cは、金属元素Mの価数mとすれば、c=m−(a+b)である。
前記無機成分は、イットリウム酸化物粒子とは独立した粒子、イットリウム酸化物粒子と一緒になって複合粒子を形成したもの、またイットリウム酸化物粒子の表面を修飾している状態などの形態のものを挙げることができ、選択する元素によって屈折率や分散、透過率などの光学特性を調整することができる。
特にイットリウム酸化物粒子の表面を修飾する場合は、イットリウム酸化物粒子と、重合性官能基を有する有機成分との相溶性や分散性を調整し、イットリウム酸化物粒子同士の凝集を防止して、粒子径が30nmより大きくならないようにして、透過率や光散乱性の低下を防ぐことが好ましい。また、R1およびR2の有機基としてビニル基、アクリロイル基、メタクロイル基、エポキシ基、オキセタニル基などの重合性有機基を有する金属アルコキシドを用いると、有機成分と無機成分の間に強固な共有結合ができるので、相溶性および結合性が向上して、より環境安定性や光散乱性を向上させることができ、さらに機械的強度も向上することができる。
また、金属アルコキシドあるいはその加水分解物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリブトキシシラン、ビニルエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリス(ビニルジメチルシロキシ)シラン、アルミニウムイソプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタメトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシド、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマニウムエチルトリエトキシド、ハフニウムノルマルブトキシド、ランタンイソプロポキシドおよびこれらの異性体、あるいはそれらの加水分解物などを挙げることができる。
特に、アルミニウム、チタン、ケイ素、ジルコニウムのアルコキシドあるいはその加水分解物は入手が容易であり、アルミニウムのアルコキシドあるいはその加水分解物は低分散化に、チタンのアルコキシドあるいはその加水分解物は高屈折化に、ケイ素のアルコキシドあるいはその加水分解物は低屈折率化に、ジルコニウムのアルコキシドあるいはその加水分解物は低分散化に有効な成分である。
さらに金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる無機成分は、単独であるいは複数種類の混合物として用いることができる。このため、光学設計上で求められる屈折率や分散、透過率などの光学特性にあわせて、混合する数種類の無機成分の組成比を決めることができる。
金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる無機成分の添加量は、酸化イットリウム(III) 換算で表したイットリウム酸化物粒子のモル数に対して1/5以上1/2以下が好ましい。
また、イットリウム酸化物粒子と他の無機成分の質量は、前記光学材料の総質量に対して酸化物換算で0.1質量%以上70質量%以下であることが好ましい。0.1質量%未満ではイットリウム酸化物粒子を添加した効果が小さく、70質量%を超える場合では光散乱性が悪化したり、所望の形状に成形すること難しいなど問題が発生する。より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。
重合性官能基を有する有機成分としては、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル(以下、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステルの少なくともいずれか一方を含むものを(メタ)アクリレートと称す)、エポキシ化合物、およびエピスルフィド化合物、チオウレタン等の硫黄含有有機化合物、スチレン等の芳香族含有有機化合物を用いることができる。
具体例としては、メタクリル酸、アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチルロールトリシクロデカンジメタクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、ノニルフェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、スチレン、カーボネートなどを挙げることができる。
また、モノマーをそのまま使用しても、モノマーを重合させたオリゴマーとしてから用いても良い。
重合性官能基を有する有機成分としては、他の成分と相溶するものであれば、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、イミド樹脂、エステル樹脂、ノルボルネン系樹脂などを挙げることができる。
本発明の光学材料用組成物には、イットリウム酸化物粒子、重合性有機成分、あるいはイットリウム酸化物以外の無機成分、重合開始剤、あるいは硬化剤以外の成分として、光増感剤、連鎖移動剤、酸化防止剤などが添加される。
重合開始剤には、光重合開始剤および熱重合開始剤があげられ、具体的には有機成分が(メタ)アクリレートの場合および無機成分の金属アルコキシドの有機基R1 あるいはR2 がビニル基、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基である場合は、熱重合開始剤としては過酸化ベンゾイル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスカルボアミド、イソプロピルヒドロペルオキシド、第3ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビスヘキサンなどを挙げることができる。
また、光重合開始剤としてはベンゾフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1、2−ジフェニルエタン−1−オンなどを挙げることができる。
また、本発明における重合性官能基とは、有機成分中の高分子化反応し得る原子、原子団であり、具体的には、炭素−炭素二重結合や三重結合を含む不飽和炭化水素基、ヒドロキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ基、ニトロ基、エポキシ基、エピチオ基を挙げることができる。また、重合性官能基を有する有機成分とは、ラジカル重合、縮合重合、付加重合等のいずれかの重合系で用いられるモノマーを意味し、例えばラジカル重合の場合はビニル系化合物等のモノマー、縮合重合の場合は多価アルコール化合物、ジカルボン酸化合物等、付加重合の場合はエポキシ化合物等を含む。
また有機成分がエポキシ樹脂の場合、および無機成分の金属アルコキシドの有機基R1 あるいはR2 がエポキシ基あるいはオキセタニル基である場合は、触媒型硬化剤として芳香族系3級アミン類、イミダゾール類、ルイス酸類などを挙げることができ、重付加型硬化剤としては、ポリアミン系硬化剤、変性ポリアミン系硬化剤、カルボン酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、硫黄含有化合物系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ポリエステル系硬化剤などを挙げることができる。
ここで、本発明の光学材料用組成物を重合して得られる光学材料において、d線の屈折率nd、アッベ数νdとする。そして屈折率nd、アッベ数νdとをそれぞれ縦軸と横軸に示したとする。この場合に、本発明の光学材料用組成物を重合して得られる光学材料では、光学恒数(nd,νd)を、(1.46,58)、(1.6,22)、(1.84,22)、(1.76,38)、(1.54,58)で囲まれた範囲で変化させることができる。言い換えれば、本発明の光学材料用組成物を重合することにより、上記範囲内の光学恒数(nd,νd)を有する光学材料を得ることができる。
例えば、前記有機成分として、硬化後のd線の屈折率が1.45〜1.55、d線のアッベ数が60〜45程度である低屈折材料、およびd線の屈折率が1.55〜1.65、d線のアッベ数が45〜20程度である中屈折材料を選択した場合、これらの有機成分にイットリウム酸化物粒子と無機成分の合計を酸化物換算において0〜70質量%まで増加させるとともに、前記無機成分の種類を選択することにより(nd,νd)が、(1.46,58)、(1.6,22)、(1.76,22)、(1.63,49)、(1.54,58)で囲まれた範囲で光学恒数を変化させることができる。
この領域の光学恒数を有する光学材料を形成する有機成分としてはアクリレート、スチレン、カーボネートなどが代表的で、高屈折率化とともに構造中に芳香環構造をもつという傾向があり、光学用途として用いられている種類も多く、低コスト化も望めるという点で有利である。
また、有機成分のみを硬化した硬化物のd線の屈折率が1.6〜1.8、d線のアッベ数が45〜25程度である高屈折率低分散の有機成分を選択した場合は、光学恒数(nd,νd)を、(1.59,43)、(1.59,34)、(1.73,22)、(1.84,22)、(1.76,38)、(1.71,43)で囲まれた範囲で変化させることができる。言い換えれば、本発明の光学材料用組成物を重合することにより、上記範囲内の光学恒数(nd,νd)を有する光学材料を得ることができる。
一般的に光学材料として用いられている有機成分の硬化後の屈折率と分散は、図1に示されるような範囲に分布している。そこで、前記重合性官能基を有する有機成分として、これらの有機成分から1つまたは複数選択することで光学材料を得ることができる。このようにして得られる前記光学材料では、d線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合に、光学恒数(nd、νd)を、(1.46,58)、(1.6,22)、(1.84,22)、(1.76,38)、(1.54,58)で囲まれた範囲で変化させることができる。言い換えれば、本発明の光学材料用組成物を重合することにより、上記範囲内の光学恒数(nd,νd)を有する光学材料を得ることができる。
また、イットリウム酸化物粒子としてトリイソプロポキシイットリウムをイソプロパノールを希釈溶剤として加水分解反応と縮重合反応を行いポリスチレン換算分子量2000〜1000000程度まで高分子量化させたものを用い、また重合性官能基を有する有機成分としてメチルメタクリレート、また化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分として、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、またその他の成分としてベンゾフェノンを含む紫外線硬化剤を用いて製造した光学材料用組成物Aにおいて、トリイソプロポキシイットリウムと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの割合を酸化イットリウム(III)、二酸化ケイ素に換算した時のモル比Y23:SiO2=4:1とする。
そして、光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの合計質量が、酸化イットリウム(III) と二酸化ケイ素に換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製し、硬化させることによって得られる光学材料aのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図2にAで示す。
また、光学材料用組成物Aにおいて、化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分のみをチタニウムテトライソプロポキシドに変更し、酸化物換算でのモル比Y23:TiO2=2:1とする。
また、光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムとチタニウムテトライソプロポキシドの合計質量が、酸化イットリウム(III) と二酸化チタンに換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物Bを硬化させることによって得られる光学材料bのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図2においてBで示す。
また、光学材料用組成物Aにおいて、化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分のみをアルミニウムトリ−s−ブトキシドに変更し、酸化物換算でのモル比Y23:Al23=2:1とする。
そして、光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムとアルミニウムトリ−s−ブトキシドの合計質量が、酸化イットリウム(III)と酸化アルミニウムに換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物Cを硬化させることによって得られる光学材料cのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図2にCで示す。
更に、光学材料用組成物Aにおいて、化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分のみをジルコニウムテトライソプロポキシドに変更し、酸化物換算でのモル比 Y23:ZrO2=4:1とする。
また、組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムとジルコニウムテトライソプロポキシドの合計質量が、酸化イットリウム(III) と酸化ジルコニウムに換算した値で、硬化後の光学材料の状態において、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物Xを硬化させることによって得られる光学材料xのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図2にXで示す。
次に、光学材料用組成物Aにおいて、酸化イットリウムの粒子成分を平均粒子径が9nmで、90%粒子径が20nmの酸化イットリウム粒子を水分散させたものに、また化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分をフェニルトリメトキシシランに変更し、水分散酸化イットリウム粒子とフェニルトリメトキシシランの割合を酸化物換算でのモル比Y23:SiO2=4:1とする。
そして、光学材料用組成物全体に含まれる水分散酸化イットリウム粒子とフェニルトリメトキシシランの合計質量が、酸化イットリウム(III)と二酸化ケイ素に換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物Dを硬化させることによって得られる光学材料dのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図2にDで示す。
メタクリレート単体を重合した場合に得られる光学材料の光学恒数(nd,νd)=(1.492,58)に対して、全無機成分の割合を増やしていくことで、光学恒数を高屈折率高分散の方向に変化させることができる。また、配合割合のみではなく製造方法の異なる酸化イットリウムの粒子成分を用いることでも、光学恒数を変化させることができる。
また、光学材料用組成物AないしCと同様にして、重合性官能基を有する有機成分のみをジメチルロールトリシクロデカンジメタクリレートに変更し、光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムと化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分の質量を、酸化物換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0、10、20、30、40、50、60、70質量%となるように調製した光学材料用組成物E〜Gを重合した場合に得られる光学材料e:無機成分として二酸化ケイ素を含有するもの、光学材料f:無機成分として二酸化チタンを含有するもの、光学材料g:無機成分として酸化アルミニウムを含有するものについて、d線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合の(nd、νd)を、図2においてE、F、Gとして示す。
また、シクロデカンジメタクリレート単体を重合して得られる光学材料の光学恒数(nd,νd)=(1.535,52)に対して、全無機成分量を増加させていることで、光学恒数を高屈折率高分散の方向に変化させられる。
また、光学材料用組成物AないしCにおいて、重合性官能基を有する有機成分をスチレンに変更し、化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをフェニルトリエトキシシランに変更し、他の条件は変更せずに、光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムと化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分の質量を、酸化物換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物HないしJを重合した場合に得られる光学材料h:無機成分として二酸化ケイ素を含有するもの、光学材料i:無機成分として二酸化チタンを含有するもの、光学材料j:無機成分として酸化アルミニウムを含有するものについて、d線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合の(nd、νd)を、図2においてH、I、Jとして示す。
スチレン単体を重合して得られる光学材料の光学恒数(nd,νd)=(1.59,30)に対して、全無機成分量を増やしていくことで、光学恒数を高屈折率高分散の方向にに変化させることができる。
また、光学材料用組成物AないしCにおいて、重合性官能基を有する有機成分を化学式5で示されるアクリレートに変更し、化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランをフェニルトリエトキシシランに変更し、他の条件は変更せずに光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムと化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分の質量を、酸化物換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物KないしMを重合した場合に得られる光学材料k:無機成分として二酸化ケイ素を含有するもの、光学材料l:無機成分として二酸化チタンを含有するもの、光学材料m:無機成分として酸化アルミニウムを含有するものについて、d線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合の(nd、νd)を、図2においてK、L、Mとして示す。
化学式5で示されるアクリレート単体を重合して得られる光学材料の光学恒数(nd,νd)=(1.631,24)に対して、全無機成分量を増やしていくことで、光学恒数を高屈折率高分散、及び高屈折率低分散の方向にも変化させることができる。
Figure 2006089706
更に、光学材料用組成物AないしCと同様にして、重合性官能基を有する有機成分をスチレンとメチルメタクリレートの混合物として、その混合比を変えた場合には、光学材料用組成物を重合することによって得られた光学材料の光学恒数は、有機成分としてスチレンを用いた場合とメチルメタクリレートを用いた場合の間の値をとる。同様に、重合性官能基を有する有機成分として化学式5のアクリレートとメチルメタクリレートの混合物を用いて、混合比を変えた場合には、重合後に形成される光学材料の光学恒数は、有機成分として化学式5のアクリレートとメチルメタクリレートとを用いた場合の間の値をとる。
したがって、d線の屈折率が、1.45〜1.55、d線のアッベ数が60〜45程度の低屈折材料、およびd線の屈折率が1.55〜1.65、d線のアッベ数が45〜20程度の中屈折材料である有機成分を選択した場合、光学恒数が(nd,νd)=(1.46,58)、(1.6,22)、(1.76,22)、(1.63,49)、(1.54,58)で囲まれた範囲で変化させることができる。言い換えれば、本発明の光学材料用組成物を重合することにより、上記範囲内の光学恒数(nd,νd)を有する光学材料を得ることができる。
また、光学材料用組成物Aと同様にして、重合性官能基を有する有機成分のみを化学式6で示される含硫黄有機化合物に変更し、その他の成分としてアミン系硬化剤を用いた光学材料用組成物Nにおいて、トリイソプロポキシイットリウムと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの割合を酸化イットリウム(III)、 二酸化ケイ素に換算した時のモル比Y23:SiO2=4:1 する。
そして、光学材料用組成物の全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムと3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランの合計質量が、酸化イットリウム(III)、 二酸化ケイ素に換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製し、これを重合させることによって得られる光学材料nのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図3にNで示す。
Figure 2006089706
また、光学材料用組成物Nにおいて、化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分をチタニウムテトライソプロポキシドに変更し、酸化イットリウム(III) のモル比を、酸化イットリウム(III)、二酸化チタンに換算した時のモル比Y23:TiO2=2:1とする。
そして、光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムとチタニウムテトライソプロポキシドの合計質量が、酸化イットリウム(III) 、二酸化チタンに換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物Oを硬化させることによって得られる光学材料oのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図3においてOで示す。
また、上記光学材料用組成物Nにおいて化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分をアルミニウムトリ−s−ブトキシド に変更し、酸化イットリウム(III)、二酸化ケイ素に換算した時のモル比Y23:Al23 =2:1とする。
そして、光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムとアルミニウムトリ−s−ブトキシドの合計質量が、酸化イットリウム(III) 、酸化アルミニウムに換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物を硬化させることによって得られる光学材料pのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図3においてPで示す。
化学式6に示される含硫黄有機化合物単体を重合して得られる光学材料の光学恒数(nd,νd)=(1.71,36)に対して、全無機成分の割合を増やしていくことで、光学恒数を高屈折率高分散、及び高屈折率低分散の方向に変化させることができる。
また、上記光学材料用組成物N、O、Pにおいて重合性官能基を有する有機成分のみを化学式7で示される含硫黄有機化合物に変更し、光学材料用組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムと化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分の合計の質量を、酸化物換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物Q、R、Sを重合した場合に得られる光学材料q:無機成分として二酸化ケイ素を含有するもの、光学材料r:無機成分として二酸化チタンを含有するもの、光学材料s:無機成分として酸化アルミニウムを含有するものについて、d線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合の(nd、νd)を、図3においてそれぞれQ、R、Sとして示す。
また、光学材料用組成物Dと同様にして、重合性官能基を有する有機成分を化学式7で示される含硫黄有機化合物に変更し、その他の成分としてアミン系硬化剤を用いて、組成物全体に含まれる水分散酸化イットリウムとフェニルメトキシシランの合計の質量を、酸化物換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物Tを硬化させることによって得られる光学材料tのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図3にTで示す。
化学式7で示される含硫黄有機化合物単体を重合して得られる光学材料の光学恒数(nd,νd)=(1.740,25)に対して、全無機成分量を増やしていくことで、光学恒数を高屈折率高分散、及び高屈折率低分散、更には低屈折率の方向にも変化させることができる。
Figure 2006089706
また、光学材料用組成物N、O、Pにおいて重合性官能基を有する有機成分を化学式8で示される硫黄含有有機化合物とし、その他の成分を化学式9で示されるイソシアネート化合物に変更し、光学材料全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムと化学式4で表される金属アルコキシドから得られる無機成分の合計の質量を、酸化物換算した値で、硬化後の光学材料の状態で、0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物U、V、Wを重合した場合に得られる光学材料u:無機成分として二酸化ケイ素を含有するもの、光学材料v:無機成分として二酸化チタンを含有するもの、光学材料w:無機成分として酸化アルミニウムを含有するものについて、d線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合の(nd、νd)を、図3においてそれぞれU、V、Wとして示す。
Figure 2006089706
更に、光学材料用組成物Uにおいて、化学式4で表される金属アルコキシドからなる無機成分のみをジルコニウムテトライソプロポキシドに変更し、酸化物換算でのモル比 Y23:ZrO2=4:1とする。また、組成物全体に含まれるトリイソプロポキシイットリウムとジルコニウムテトライソプロポキシドの合計質量が、酸化イットリウム(III) と酸化ジルコニウムに換算した値で、硬化後の光学材料の状態において0,10,20,30,40,50,60,70質量%となるように調製した光学材料用組成物Yを硬化させることによって得られる光学材料yのd線の屈折率ndと分散を表すアッベ数νdの測定点の変化を図3にYで示す。
化学式8で示される含硫黄有機化合物と化学式9で示されるイソシアネート化合物を重合して得られる光学材料の光学恒数(nd,νd)=(1.60,40)に対して、全無機成分の割合を増やしていくことで、光学恒数を高屈折率高分散、及び高屈折率低分散の方向に変化させることができる。
また、光学用途として用いることができる含硫黄有機化合物はd線の屈折率が1.6〜1.8、d線のアッベ数が45〜25の範囲に分布しており、これらの有機成分を選択する事により(nd,νd)=(1.59,43)、(1.59,34)、(1.73,22)、(1.84,22)、(1.76,38)、(1.71,43)で囲まれた範囲で光学恒数を変化させることができる。
以上のように、重合性官能基を有する有機成分の種類、酸化イットリウムの粒子成分の添加量、無機成分の種類と添加量により光学材料の光学恒数を変化させることができる。また、酸化イットリウムの粒子成分の分子量、結晶性および密度、および重合性官能基を有する有機成分の硬化条件などを調整することでも、光学材料の光学恒数を変化させることができる。
以下、本発明によって作製した光学材料用組成物およびそれを重合した光学材料を実施例を示して説明する。
トリイソプロポキシイットリウム11.0g、イソプロパノール100g、0.1N塩酸0.2gとを混合し、25℃にて1時間撹拌して、トリイソプロポキシイットリウムの加水分解反応と縮重合反応させて高分子量のイットリアゾルを調製した。
このイットリアゾルに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン2.6g、水0.5gを混合して25℃において12時間撹拌した液を添加して、さらに25℃にて8時間撹拌した後、水、イソパノールおよび副生成物を50℃で蒸発操作で取り除きイットリア−シリカゾルを得た。
このイットリア−シリカゾル全量、メチルメタクリレート90gおよび光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア500)0.1gを混合し、光学材料用組成物を得た。このとき、イットリア−シリカゾル量は、硬化後の光学材料における無機成分量が酸化イットリウム(III) と二酸化ケイ素に換算した酸化物換算で10質量%となるように調製されている。
次いで、紫外線照射によって25℃にて、15mW/cm2 の照射量で硬化させて光学材料を作製したところ、d線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合の(nd,νd)は、(1.501,56)であった。この結果を図4に示した。
また、硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で20質量%となるように、10質量%の場合に対してイットリア−シリカゾルの原料量を2倍にし、メチルメタクリレート80gに変更し、硬化させた。同様にして硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が30,40、50,60,70質量%となるように、イットリア−シリカゾルとメチルメタクリレートとの混合比を変えて、光学材料用組成物を調整し、同様に硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図4に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.492,58)から70質量%を含有した光学材料の(1.618,43)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から形成した光学材料に比べて高屈折高分散である光学材料を得ることができた。
実施例1におけるイットリアゾルに、チタニウムテトライソプロポキシド5.8g、水1.0gを混合して25℃において12時間撹拌した液を添加して、さらに25℃にて8時間撹拌した後、水、イソパノールおよび副生成物を50℃で蒸発操作で取り除きイットリア−チタニアゾルを得た。
このイットリア−チタニアゾル全量、メチルメタクリレート99gおよび光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア500)0.1gを混合し、紫外線照射によって25℃にて硬化させて光学材料を作成した。このとき、イットリア−チタニアゾル量は、硬化後の光学材料における無機成分量が酸化イットリウム(III) と二酸化チタンに換算した酸化物換算で10質量%となるように調製されている。
また、硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で20質量%となるように、10質量%の場合に対してイットリア−シリカゾルの原料量を2倍にし、メチルメタクリレート88gに変更し、硬化させた。同様にして硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が30,40,50,60,70質量%となるように、イットリア−チタニアゾルとメチルメタクリレートとの混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、同様に硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図5に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(nd,νd)の(1.492,58)から70質量%を含有した光学材料の(1.641,35)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から形成した光学材料に比べて高屈折高分散である光学材料を得ることができた。
実施例1におけるイットリアゾルに、アルミニウムトリ−s−ブトキシド5.1g、水1.0gを混合して25℃において12時間撹拌した液を添加して、さらに25℃にて8時間撹拌した後、水、ブタノールおよび副生成物を50℃で蒸発操作で取り除きイットリア−アルミナゾルを得た。
このイットリア−アルミナゾル全量、メチルメタクリレート103gおよび光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア500)0.1gを混合し、紫外線照射によって25℃にて硬化させて光学材料を作製されている。
このとき、イットリア−アルミナゾル量は、硬化後の光学材料における無機成分量が酸化イットリウム(III) と酸化アルミニウムに換算した酸化物換算で10質量%になるように調製した。
また、硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で20質量%となるように、10質量%の場合に対してイットリア−シリカゾルの原料量を2倍にし、メチルメタクリレート91.6gに変更し、硬化させた。同様にして硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が30,40,50,60,70質量%となるように、イットリア−アルミナゾルとメチルメタクリレートとの混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、同様に硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図6に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
得られた光学材料の(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.492,58)から70質量%を含有した光学材料の(1.6041,50)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から形成した光学材料に比べて高屈折高分散である光学材料を得ることができた。
実施例1におけるイットリアゾルに、ジルコニウムテトライソプロポキシド4.0g、水0.5gを混合して25℃において12時間攪拌した液を添加して、さらに25℃にて8時間攪拌した後、水、イソパノールおよび副生成物を50℃で蒸発操作で取り除きイットリア−ジルコニアゾルを得た。
このイットリア−ジルコニアゾル全量、メチルメタクリレート96gおよび光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア500)0.1gを混合し、紫外線照射によって25℃にて硬化させて光学材料を作製した。このとき、イットリア−ジルコニアゾル量は、硬化後の光学材料における無機成分量が酸化イットリウム(III) と酸化ジルコニアに換算した酸化物換算で10質量%になるように調製されている。
また、硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で20質量%となるように、10質量%の場合に対してイットリア−シリカゾルの原料量を2倍にし、メチルメタクリレート85.3gに変更し、硬化させた。同様にして硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が30,40,50,60,70質量%となるように、イットリア−ジルコニアゾルとメチルメタクリレートとの混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、同様に硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図7に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(nd,νd)の(1.492,58)から70質量%を含有した光学材料の(1.563,52)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から形成した光学材料に比べて高屈折率高分散である光学材料を得ることができた。
イットリウム酸化物無機粒子成分として、平均粒子径が9nmで、90%粒子径が20nmの酸化イットリウム(III) 粒子を20質量%含有しているイットリウム粒子酢酸分散液100g、メタノール20g、フェニルトリメトキシシラン4.4gを混合して、25℃において24時間撹拌して酸化イットリウム粒子表面を表面処理したイットリア−シリカゾルを調製した。
このイットリア−シリカゾル全量、メチルメタクリレート192gおよび光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュア500)0.2gを混合して、水、メタノールおよび副生成物を50℃での蒸発操作で除去し、光学材料用組成物を得た。
このとき、イットリア−シリカゾル量は、硬化後の光学材料における無機成分量が酸化イットリウム(III) と二酸化ケイ素に換算した酸化物換算で10質量%になるように調製されている。
次いで、紫外線照射によって硬化させて光学材料を作製したところ、d線の屈折率ndとアッベ数νdを示した(nd、νd)は、(1.496,56)であった。この結果を図8に示した。
また、硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で20質量%となるように、10質量%の場合に対してイットリア−シリカゾルの原料量を2倍にし、メチルメタクリレート171gに変更し、硬化させた。同様にして硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が30、40、50、60、70質量%と変化させた光学材料用組成物を調製し、同様に硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図8に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
得られた光学材料の(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.492,58)から70質量%を含有した光学材料の(1.546,38)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から形成した光学材料に比べて高屈折高分散である光学材料を得ることができた。
実施例1におけるイットリアゾルに、フェニルトリエトキシシラン2.5g、水0.5gを混合して25℃において12時間撹拌した液を添加して、さらに25℃にて8時間撹拌した後、副生成物、水等を50℃で蒸発操作で取り除きイットリア−シリカゾルを得た。
次いで、このイットリア−シリカゾル全量、スチレン90g、および光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製 イルガキュア500)0.1gを、硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で10質量%になるように光学材料用組成物を調製し、紫外線照射によって硬化させた。
また、硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で20質量%となるように、10質量%の場合に対してイットリア−シリカゾルの原料量を2倍にし、メチルメタクリレート80gに変更し、硬化させた。同様にして硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が30、40、50、60、70質量%となるように、イットリア−シリカゾルとスチレンの混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、紫外線照射によって硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図9に示した。
また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
得られた光学材料のd線の屈折率ndとアッベ数νdを示した(nd、νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.590,30)から70質量%を含有した光学材料の(1.687,30)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物と比べて高屈折低分散である光学材料を得ることができた。
実施例2における光学材料用組成物において、メチルメタクリレートをスチレンに変えるとともに、実施例2と同様の手法で硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で10,20,30,40,50,60,70質量%となるように、イットリア−チタニアゾルとスチレンの混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、同様に硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図10に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
得られた光学材料の(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.590,30)から70質量%を含有した光学材料の(1.710,27)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から得られた光学材料に比べて高屈折高分散である光学材料を得ることができた。
実施例3における光学材料用組成物において、メチルメタクリレートをスチレンに変えるとともに、硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で10,20,30,40,50,60,70質量%となるように、イットリア−アルミナゾルとスチレンの混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、同様に硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図11に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
得られた光学材料の(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.590,30)から70質量%を含有した光学材料の(1.671,34)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から得られた光学材料に比べて高屈折低分散である光学材料を得ることができた。
実施例1における光学材料用組成物において、重合性官能基を有する有機成分を化学式6で示される硫黄含有有機化合物90gに変更し、硬化剤としてトリエチルアミン0.15gとし、実施例1における方法と同様の手法で硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で10,20,30,40,50,60,70質量%となるように、イットリア−シリカゾルと化学式6で示される硫黄含有有機化合物の混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、40℃から100℃まで10時間かけて昇温して硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図11に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
得られた光学材料の(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.710,36)から70質量%を含有した光学材料の(1.774,33)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から得られた光学材料に比べて高屈折高分散である光学材料を得ることができた。
実施例2における光学材料用組成物において、重合性官能基を有する有機成分を化学式6で示される硫黄含有有機化合物99gに変更し、硬化剤としてトリエチルアミン0.2gとし、実施例2と同様の手法で硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で10,20,30,40,50,60,70質量%となるように、イットリア−チタニアゾルと化学式6で示される硫黄含有有機化合物の混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、40℃から100℃まで10時間かけて昇温して硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図13に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
得られた光学材料の(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.710,36)から70質量%を含有した光学材料の(1.804,29)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から得られた光学材料に比べて高屈折高分散である光学材料を得ることができた。
実施例3における光学材料用組成物において、重合性官能基を有する有機成分を化学式6で示される硫黄含有有機化合物103gに変更し、硬化剤としてトリエチルアミン0.2gとし、実施例3と同様の手法で硬化後の光学材料において無機成分の合計質量が酸化物換算で10,20,30,40,50,60,70質量%となるように、イットリア−チタニアゾルと化学式6で示される硫黄含有有機化合物の混合比を変えて、光学材料用組成物を調製し、40℃から100℃まで10時間かけて昇温して硬化させた時の屈折率ndと分散νdの変化を図14に示した。また、比較のために、無機成分を含まない成分のみを硬化した場合の光学材料についての(nd,νd)も示した。
得られた光学材料の(nd,νd)は、無機成分を含まない光学材料の(1.710,36)から70質量%を含有した光学材料の(1.756,37)まで変化した。
無機成分を含有しない組成物から得られた光学材料に比べて高屈折低分散である光学材料を得ることができた。
本発明の光学材料は、所望の光学材料を有するものとすることができるので、光学素子の大きさを小さくすることや収差を効率良く取り除くことが可能であると共に、光散乱性、耐環境性に優れている。また、常温付近で液状であるので、複雑形状の光学素子を短時間で製造できる高い加工性を有しているので、光学系の小型軽量化、製造効率の改善等に貢献でき、産業上も極めて有効である。
本発明の光学材料の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 有機物質からなる光学材料の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。 本発明の他の実施例の屈折率とアッベ数の変化を説明する図である。

Claims (14)

  1. 有機成分と無機成分からなる光学材料用組成物において、イットリウム酸化物からなる無機粒子成分、重合性官能基を有する有機成分、および重合開始剤もしくは硬化剤を含むことを特徴とする光学材料用組成物。
  2. 化学式1で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる第2の無機成分を更に含むことを特徴とする請求項1記載の光学材料用組成物。
    化学式1
    1 a2 bM(OR3c
    (R1およびR2は、同一あるいは異なる有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1から6のアルキル基またはアリール基、MはAl、Be、Cu、Ge、Hf、La、Nb、Mg、Sc、Si、Ta、Ti、V、W、Zn、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、aおよびbは0ないし2、金属元素Mの価数mであり、c=m−(a+b)である。)
  3. 前記化学式1において、金属元素MがAl、Si、Ti、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項2記載の光学材料用組成物。
  4. 無機粒子成分が、下記の化学式2で表されるイットリウムのアルコキシド、またはハロゲン化イットリウム、あるいはそれらの加水分解物を重合させたものからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光学材料用組成物。
    化学式2
    Y(OR43
    4 は、炭素数1から6のアルキル基またはアリール基
  5. 前記無機粒子成分が、平均粒子径が20nm以下で、かつ90%粒子径が30nm以下のイットリウム酸化物粒子であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学材料用組成物。
  6. 前記有機成分がメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル、エポキシ化合物、硫黄含有有機化合物、芳香族含有有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の光学材料用組成物。
  7. 有機成分と無機成分からなる光学材料において、イットリウム酸化物からなる無機粒子成分、重合性官能基を有する有機成分、および重合開始剤もしくは硬化剤を含む組成物を重合したものであることを特徴とする光学材料。
  8. 無機粒子成分の含有量が、光学材料の総質量に対する酸化イットリウム(III) 換算で、0.1〜70質量%であることを特徴とする請求項7記載の光学材料。
  9. 化学式1で表される金属アルコキシドあるいはその加水分解物から選ばれる少なくとも1種類からなる第2の無機成分を更に含むことを特徴とする請求項7または8記載の光学材料。
    化学式1
    1 a2 bM(OR3c
    (R1およびR2は、同一あるいは異なる有機基で、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルケニル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、シクロアルキル基、アシル基あるいはエポキシ基含有有機基、R3は炭素数1から6のアルキル基またはアリール基、MはAl、Be、Cu、Ge、Hf、La、Mg、Nb、Sc、Si、Ta、Ti、V、W、Zn、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素、aおよびbは0ないし2、金属元素Mの価数mであり、c=m−(a+b)である。)
  10. 前記化学式1において、金属元素MがAl、Si、Ti、Zrからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項9記載の光学材料。
  11. 光学材料のd線の屈折率ndとアッベ数νdをそれぞれ、縦軸と横軸に示した場合に、(nd,νd)が、(1.46,58)、(1.6,22)、(1.84,22)、(1.76,38)、(1.54,58)で囲まれた領域に存在することを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の光学材料。
  12. 無機粒子成分が、下記の化学式2で表されるイットリウムのアルコキシド、またはハロゲン化イットリウム、あるいはそれらの加水分解物を重合させたものからなることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載の光学材料。
    化学式2
    Y(OR43
    4 は、炭素数1から6のアルキル基またはアリール基
  13. 前記無機粒子成分が、平均粒子径が20nm以下で、かつ90%粒子径が30nm以下のイットリウム酸化物粒子であることを特徴とする請求項7ないし12のいずれか1項に記載の光学材料。
  14. 前記有機成分がメタクリル酸、アクリル酸、メタクリル酸エステルあるいはアクリル酸エステル、エポキシ化合物、硫黄含有有機化合物、芳香族含有有機化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7ないし13のいずれか1項に記載の光学材料。
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