JP2005331251A - 観察用試料の作成方法、試料の観察方法、成形体の焼成方法、観察用試料、観察装置 - Google Patents

観察用試料の作成方法、試料の観察方法、成形体の焼成方法、観察用試料、観察装置 Download PDF

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Abstract


【課題】 観察対象が保形力の弱い、焼結前の成形体や多孔質体等であっても、TEMやFIBによる観察が行える観察用試料の作成方法、試料の観察方法、観察用試料、観察装置等を提供することを目的とする。
【解決手段】 観察対象物2に樹脂3を塗布し、チャンバ10に収容し、チャンバ10内を真空引きすることによって、観察対象物2の空隙にも樹脂3を引き込む。そして、この後、樹脂3を硬化させ、観察対象物2の観察面に、機械研磨やイオン研磨等、所定の研磨を施すことで、厚さ100nm以下の薄片状の観察用試料を形成する。このようにすることで、焼成開始後、所定の焼成温度に到達する前に取り出した観察対象物2を、TEMやFIBで観察することが可能な観察用試料とすることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、透過型電子顕微鏡や集束イオンビーム装置等で観察するのに好適な観察用試料の作成方法等に関する。
周知のように、粉末冶金的手法は、工業的にも幅広く用いられている手法である。その原料や完成品等の組織や組成を観察するため、各種解析装置が用いられている。
このような解析装置には、大きく分けて、透過型解析装置と反射型解析装置とがある。透過型解析装置には、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型透過電子顕微鏡(STEM:Scanning Transmission Electron Microscope)、電子エネルギー損失分光装置(EELS:Electron Energy-loss Spectroscopy)等があり、反射型解析装置には、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA:Electron Probe Micro-Analysis)、集束イオンビーム(FIB:Focused Ion Beam)装置、エネルギー分散型X線分析装置(EDS:Energy-dispersive X-ray Spectroscopy)等がある。
これらの解析装置では、試料を観察に適した形状、サイズとする必要がある。例えばTEMの場合、試料を100nm以下の薄片に加工することで観察用試料を形成する。そして、このように薄片化された観察用試料に電子線を照射し、透過させることで撮像を行っていた。
このような観察用試料は、バルクの状態の試料の場合、切断機等による試料の所定サイズへの切り出し、機械研磨、イオン研磨等を経て形成している(例えば、特許文献1参照。)。
また、粉体の状態である原料粉を試料とする場合、この試料を樹脂に練り込み、この樹脂を所定サイズに成型した後、機械研磨、イオン研磨等を行って観察用試料を形成していた。また近年、粒子の充填密度を向上させるとともに、より簡単な方法で薄片の試料を作製するために、粉体を樹脂に混ぜた後、この混合体を加圧する手法も提供されている(例えば、特許文献2参照。)
特開平7−209155号公報(第2頁) 特開2003−294594号公報(請求項1)
しかしながら、従来の観察用試料の作成手法は、粉体、あるいはバルクの状態の試料を対象とするものであり、製造過程におけるその中間の状態、例えば、粉体を成形することで形成した成形体を、焼結する前の段階で観察することはできなかった。焼結前の成形体は、粉体の集合体に過ぎないために保形力が十分ではなく(非常に脆い)、例えば樹脂に埋め込もうとしたり、研磨を行おうとすると、成形体が崩れてしまい、観察用試料を作成できないからである。また、所望の物質の偏析や拡散状態等を観察するために、ArやGaイオンによるエッチングを行ったとしても、途中で試料の脱落が発生したり、エッチングが不均一となり、観察に適した試料とすることはできなかった。
また、多孔質の物質の場合も、焼結前の成形体の状態に限らず、焼結後の状態であっても、機械研磨を行ったり、イオン研磨しようとすると、細孔のエッジの部分から研磨されてしまい、一様な薄片を形成できず、同様に、観察に適した試料とすることは困難であった。
このように、保形力の弱い観察対象物では、例えば焼結過程で、組織や組成の変化や添加剤の働きを観察することができなかった。
これに対し、非特許文献1に開示された技術では、電熱線で試料を直接加熱しながら、その焼結過程を電子顕微鏡で観察するようになっており、これによって粉体の焼結過程を観察できる。しかしながら、この方法では、真空中で焼成するため、実際の焼成条件と完全に一致させることができない。したがって、実際の焼成時に起こる反応過程と異なる過程が観察される場合がある。また、高温になったときに試料からガスが発生すると、真空度の低下と装置内の汚染を招き、観察に適さない。さらに、高温下では、EDS(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)組成分析を行うことができない。この問題があるため、非特許文献1に開示された手法は、限定的な用途でしか用いることができないのが現状である。
"村田製作所が電子セラミックスの微粒子焼結過程の「その場」観察に世界で初めて成功"、[online]、1999年7月16日、村田製作所、[平成16年4月26日検索]、インターネット<URL: http://www.murata.co.jp/news/1999/0716.html>
このように、焼結過程での組織や組成の状態等を正確に把握するのが困難であるのが現状であるため、各種化合物や製品等を製造する際の製造条件も、確実に最適化されていたとは言い切れない。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、観察対象物が保形力の弱いものであっても観察が行える観察用試料の作成方法、試料の観察方法、観察用試料、観察装置を提供することを目的とする。
さらなる目的は、焼結前の焼結体、多孔質体等の観察対象の高精度な観察を行うことで、製造条件を最適化することのできる成形体の焼成方法を提供することにある。
かかる目的のもと、本発明の観察用試料の作成方法は、多数の空隙を有する観察対象物と、樹脂とを容器に収容する工程と、容器内を真空引きし、観察対象物の内部に樹脂を含浸させる工程と、樹脂を硬化させる工程と、樹脂が含浸した観察対象物の観察面を研磨する工程と、を含むことを特徴とする。本発明において、観察対象物は、多数の空隙を有したものであればいかなるものであっても良いが、このような観察対象物としては、例えば、粉体を原料とし、所定の形状に成形されたものがある。より具体的には、焼結が完了する前の段階の成形体や、焼結が完了した状態で多数の空隙を有する多孔質体等である。
このようにして、容器内を真空引きし、負圧の状態とすると、観察対象物に存在する空隙に樹脂が引き込まれ、これによってこの空隙に樹脂を確実に含浸させることができる。空隙に入り込んだ樹脂が硬化すれば、観察対象物を研磨しても、そのままの微細構造を維持することができる。
これにより、炉中で所定の温度で焼成する過程において、所定の温度に到達する以前に炉から取り出した観察対象物から観察用試料を作成することが可能となる。
このとき、樹脂に、固化時の収縮率が2.5%未満のものを用いるのが好ましい。樹脂が固化する際の樹脂の収縮によって観察対象物が壊れるのを防止するためである。
本発明は、多数の空隙を有する観察対象物と、樹脂とを容器に収容する工程と、容器内を真空引きし、観察対象物の内部に樹脂を含浸させる工程と、樹脂を硬化させる工程と、樹脂が含浸した観察対象物の観察面を研磨することで観察用試料を形成する工程と、観察用試料を観察装置で観察する工程と、を含むことを特徴とする試料の観察方法として捉えることもできる。ここでも、観察対象物は、多数の空隙を有したものであればいかなるものであっても良いが、例えば、粉体を原料とし、所定の形状に成形されたものを観察対象物とすることができる。
また、本発明は、粉体を原料として形成される成形体または多孔質体の製造、あるいはこれら成形体や多孔質体を用いて形成される電子部品等の製造に際して、成形体や多孔質体の特性を最適化するのに好適な成形体の焼成方法とすることもできる。この方法は、粉体を原料とし、所定の形状に成形されて多数の空隙を有する成形体に、負圧を利用して樹脂を含浸させるとともに、樹脂を硬化させた後、成形体の観察面を研磨し、観察用試料を作成する工程と、観察用試料の観察面を電子顕微鏡で観察する工程と、観察用試料の観察結果に基づいて設定された製造条件下で、成形体を焼成する工程と、を含むことを特徴とする。
この場合、観察用試料となる成形体は、焼成中に所定の焼成温度に至る前に取り出されたものとするのが好ましい。つまり、粉体を原料として形成される成形体を焼成する工程において、適宜タイミングで、焼成中に成形体を取り出して、品質管理用試料を作成するのである。従来、観察が困難であった焼成途中での成形体を品質管理用試料として観察することにより、製造条件を改良することが可能となる。
ここで、製造条件とは、成形体や多孔質体に用いる原料や添加物の種類や量、焼成条件等である。上記したような透過型解析装置や反射型解析装置等の観察装置での観察によって成形体や多孔質体を評価し、それに基づいてこれらの製造条件を最適なものに設定することができる。そして、設定された製造条件下で成形体を焼成することで、焼結体の特性を向上させることが可能となる。
このような成形体の観察は、成形体の焼成条件や原料組成等を決定するに先立って行うこともできるし、製造開始後、適宜タイミングで成形体を抜き取って行うこともできる。後者の場合、製造条件の管理を行うことができる。
本発明は、粉体を原料とし、所定の形状に成形されて多数の空隙を有する観察対象物の空隙に樹脂が充填され、かつ観察装置で観察対象物を観察するため研磨された観察面を有することを特徴とする観察用試料として捉えることもできる。このような観察用試料は、上記したような観察用試料の作成方法によって作成することができる。
このような観察対象物は、空隙率が10%以上であるものに適用が可能である。
本発明は、観察装置とすることもできる。この観察装置は、粉体を原料とし、所定の形状に成形されて多数の空隙を有する観察対象物に、負圧を利用して樹脂を含浸させて、観察対象物の観察面を研磨することによって形成した観察用試料を観察する観察部と、観察部で観察された観察用試料の観察像を画像処理することで、観察用試料の評価値を算出する評価部と、を備えることを特徴とする。
このような観察装置としては、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型透過電子顕微鏡(STEM)、電子エネルギー損失分光装置(EELS)等の透過型解析装置、あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)、電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)、集束イオンビーム(FIB)装置、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)等の反射型解析装置がある。
本発明によれば、観察対象物が、保形力の弱い成形体や多孔質体等であっても、空隙に樹脂を確実に含浸させ、保形力を高い状態とすることができ、観察のために必要な研磨や加工を行うことが可能となる。これにより、従来、観察が不可能であった状態での観察、例えば成形体の状態で焼成を行う場合における、焼成過程での組織や組成の変化や添加剤の働きの観察が可能となる。また、焼成工程自体は、実際の焼成工程そのものと同条件で行え、実際の焼成時に起こる反応過程と同じ過程を観察できる。また、焼成を観察装置の装置外で行うため、観察時に観察用試料からガスが発生することもない。さらに、このような観察用試料であれば、EDS組成分析を行うことも可能である。
また、このような観察用試料で観察装置での観察を行うことによって、従来、正確には把握できなかった焼結過程での組織や組成の状態等を把握できるため、各種化合物や製品等を製造する際の製造条件を最適化することが可能となる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の観察用試料の作成方法によって観察用試料を作成する、観察対象物の製造過程を説明するための図である。
本発明の観察用試料の作成方法を適用できる観察用試料としては、粉体を原料とし、所定の形状に成形されて多数の空隙を有するものであれば良い。例えば、焼結が完了する前の段階の保形力の弱い成形体や、焼結が完了した状態で多数の空隙を有する多孔質体等である。
より具体的に、粉体を原料とし、所定の形状に成形された成形体を焼成することで焼結体を得るものとしては、セラミックチップコンデンサや高周波用フィルタ、センサ等の各種電子部品、フェライト磁石、誘電体材料、磁性フェライト材料等がある。
このような各種電子部品、フェライト磁石は、図1に示すような工程を経て製造される。
例えば、誘電体層と内部電極層とが積層されることで構成される積層型チップコンデンサにおいて、誘電体層を形成する誘電体材料の場合、原料粉末を、分散媒に混合してペースト化する。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極用ペーストを、PETフィルム等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップ(成形体)とする(ステップS101)。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層し、所定の形状に切断したものをグリーンチップ(成形体)とする(ステップS101)。
このグリーンシートをPETフィルムからシートを剥離した後、脱バインダ処理を経た後、加熱炉で焼成処理(ステップS102)、アニール処理した後、所定形状に加工することで、積層型チップコンデンサを得る(ステップS103)。
また、例えばフェライト磁石の場合、原料粉末を所定の配合比で混合したものを仮焼してフェライト化させる。原料粉末としては、酸化物粉末、または焼成により酸化物となる化合物、例えば炭酸塩、水酸化物、硝酸塩等の粉末を用いる。得られた仮焼体を粗粉砕工程、微粉砕工程を経ることでサブミクロンサイズまで粉砕し、フェライト粒子からなる仮焼粉末を得る。
この後、所定濃度のスラリーを調製し、これを型に注入し、所定方向の磁場をかけながら圧縮成形することで磁場成形を行う(ステップS101)。これにより、所定形状の成形体が形成される。
この後、得られた成形体を加熱炉で焼成して焼結させることで、フェライト磁石を得る(ステップS102)。この後、所定形状への加工を経て(ステップS103)、製品としてのフェライト磁石が完成する。
また、多孔体としては、排ガスフィルタ、排水フィルタ、触媒担体、断熱材、ヒータ、軽量構造材等を形成する材料や、燃料電池、ガスセンサ、温度センサ用の多孔質電極、さらにはフォトニック結晶等がある。
さて、本発明の観察用試料の作成方法によれば、上記のような製造工程の途中で形成される成形体を、透過型解析装置や反射型解析装置等の観察装置で観察可能な観察用試料を形成することができる。本実施の形態では、TEM用の観察用試料を形成することとする。
これには、ステップS101で得られる成形体を観察するのであれば、この成形体に樹脂を塗布する。また、ステップS102の焼成工程の途中、つまり最終焼結温度に至るまでの途中の温度における成形体を観察したいのであれば、焼成過程で所望の温度に至った時点で加熱を中止し、炉外に取り出すことで成形体を急冷した後、この成形体に樹脂を塗布する。
ところで、TEMにおける観察用試料は、φ3mmのものが一般的である。このため、図2(a)に示すように、外径φ3mmのリング型1内に観察対象物2となる成形体を入れ、ここに樹脂3を塗布(充填)するのが好ましい。このとき、樹脂3としては、例えば、TEM用の試料作成として一般的に用いられている、熱硬化性樹脂である、Gatan社・G−1エポキシ樹脂を好適に用いることができる。
続いて、図2(b)に示すように、樹脂3を塗布した観察対象物2を、リング型1ごと、チャンバ(容器)10に収容する。
このチャンバ10は、開閉可能で、かつ観察対象物2を収容した状態で、気密に閉塞できるようになっている。また、チャンバ10には、管11の一端が接続されており、この管11の他端は真空ポンプ等の負圧源12に接続されている。
このようなチャンバ10において、負圧源12の作動により、チャンバ10内を真空引きする。このとき、目標真空度は、例えば100Paとするのが好ましい。
すると、粉体が成型され、多数の微細な空隙を有している観察対象物2の空隙に存在している雰囲気も吸引され、ここに樹脂3が引き込まれる(含浸される)。
所定時間、例えば30分間、真空状態を維持した後、負圧源12の作動を停止させ、チャンバ10を開放する。
次いで、チャンバ10から、観察対象物2を取り出し、ヒータで、樹脂3が硬化する所定の温度、例えば150℃に加熱し、樹脂3を硬化させる。
その後、従来の観察用試料の作成方法と同様、観察対象物2の観察面に、機械研磨や、ArイオンやGaイオンによるイオン研磨等、所定の研磨を施すことで、厚さ100nm以下の薄片状の観察用試料20が形成される。
なお、観察用試料20が、例えばFIB用のものである場合は、機械研磨後に、Arイオン研磨を施さず、FIB加工を施せばよい。
このようにして作成された観察用試料20は、TEMやFIB等の観察装置で観察することができる。
例えば、図3(a)に示すように、観察装置30が透過型解析装置である場合は、荷電粒子発生部31で発生させた荷電粒子を、観察用試料20に透過させ、分析部(観察部)32により、観察用試料20を観察し、その観察像を撮影することができる。また、図3(b)に示すように、観察装置30が反射型解析装置である場合は、荷電粒子発生部31で発生させた荷電粒子を観察用試料20に照射することにより放出された荷電粒子やX線を、分析部32により観察し、その観察像を撮影する。
そして、観察装置30では、撮影した撮影像を画像処理部(評価部)33で画像処理することで、観察用試料20の評価値を、例えばCV(Coefficient of Variation:変動係数)値などで算出することができる。このような評価値に基づき、観察用試料20を評価することができる。
このようにして、保形力の弱い成形体や多孔質体等であっても、空隙に樹脂を確実に含浸させ、保形力を高い状態とすることができ、観察装置30での観察のために必要な研磨や加工を行うことが可能となる。これにより、従来、観察が不可能であった状態での観察、例えば成形体の状態で焼成を行う場合における、焼成過程での組織や組成の変化や添加剤の働きの観察が可能となる。また、焼成工程自体は、実際の焼成工程そのものと同条件で行え、実際の焼成時に起こる反応過程と同じ過程を観察できる。また、焼成を観察装置30の装置外で行うため、観察時に観察用試料20からガスが発生することもない。さらに、このような観察用試料20であれば、EDS組成分析を行うことも可能である。
さて、このような観察用試料20で観察装置30での観察を行うことによって、従来、正確には把握できなかった焼結過程での組織や組成の状態等を把握できるため、各種化合物や製品等を製造する際の製造条件を最適化することが可能となる。
例えば、上記のような、焼成過程での組織や組成の状態、添加剤の挙動等を観察することによって、より最適な焼成温度、焼成温度プロファイルや、焼成時間等の焼成条件、添加物の種類や添加量等を決めるのである。そして、このようにして設定した条件を用い、焼結体を形成し、電子部品等を製造するのである。
焼成によって最終的に得られる焼結体の微細構造は、焼成過程における構成元素の挙動に大きく依存しており、例えば凝集が発生する場合、凝集が発生する温度付近での添加物元素の分布状態は、焼成前の添加物元素の分布状態とは大きく異なっていることが多い。このため、焼成過程における組織や組成の状態を確認できる効果は非常に大きい。
また、組成物や電子部品等を製造する際、適宜タイミングで上記のようにして焼成過程で試料を抜き取って観察用試料20を作成し、これを観察装置30で観察することで、製造工程の(品質)管理を行うこともできる。その結果、不具合があれば、焼成条件や添加物の添加量等を見直すことができ、安定した品質で組成物や電子部品等を製造することが可能となる。
このような観察用試料20の製造方法は、焼結過程の成形体に限らず、保形力の弱い観察対象物であれば、例えば多孔質体等、他の観察対象物にも同様に適用することが可能である。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
ここで、積層型チップコンデンサの誘電体層を形成する誘電体材料の観察用試料を、本発明の方法を用いて作成し、さらにTEMおよびEDSで観察したのでその結果を示す。
粒径0.1〜1μm のBaTiO 、(MgCO ・Mg(OH)・5H O、MnCO 、BaCO 、CaCO 、SiO、Y から選択した材料粉末をボールミルにより16時間湿式混合し、次いでスプレードライヤーで乾燥させて、誘電体原料とした。各粉末の混合比率は、最終的に得られる誘電体層材料の組成が、表1に示すものになるよう、決定した。
Figure 2005331251
誘電体原料100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部、塩化メチレン40重量部、トリクロロエタン20重量部、ミネラルスピリット6重量部およびアセトン4重量部とをボールミルで混合してペースト化した。そして、誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上に厚さ20μm のグリーンシートを形成し、PETフィルムからシートを剥離した。
これらを積層し、所定形状に切断しグリーンチップとした。このグリーンチップを脱バインダ処理した。脱バインダ処理は、昇温速度:15℃/時間、保持温度:280℃、温度保持時間:8時間、雰囲気ガス:空気中とした。
続いて、得られたシートを焼成した。焼成は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1320℃、温度保持時間:2時間、雰囲気ガス:加湿したN とH との混合ガス、酸素分圧:10−9気圧とした。
このとき、焼成過程で、600、1000、1200℃のそれぞれの温度で焼成を中止し、試料となる成形体を炉から取り出し、雰囲気(大気)中で冷却した(試料1〜3)。また、1320℃での焼成が完了した成形体、つまり焼結体も、炉から取り出し、雰囲気(大気)中で冷却した(試料4)。
その後、それぞれの試料を内径3mmのリング型に入れ、熱硬化性樹脂である、Gatan社・G−1エポキシ樹脂を塗布した。
続いて、樹脂を塗布した試料を、リング型ごと、密閉可能なチャンバに収容し、このチャンバに接続された真空ポンプを作動させ、チャンバ内を真空引きした。このとき、チャンバ内の真空度は、100Paとし、この状態を30分間維持した。
その後、真空ポンプの作動を停止させ、チャンバを開放し、試料を取り出した。そして、取り出した試料を、150℃に加熱し、樹脂を硬化させた。
この試料の観察面に、機械研磨、ディンプリング加工、イオン研磨を施し、厚さ100nm以下の薄片状の観察用試料を形成した。
形成されたそれぞれの観察用試料をTEMで観察した。図4はその観察像である。図4(a)は、各温度での明視野観察像、図4(b)はEDSを用いた特性X線による組成分析データを、YのL線を利用し、Yの分布状態を示す組成マッピング像として画像化させたもの、図4(c)はEDSを用いた特性X線による組成分析データを、SiのK線を利用して、Siの分布状態を示す組成マッピング像として画像化させたものである。
図4(a)に示すように、従来でもTEMによる観察が可能であった試料4はもちろんのこと、従来、観察が不可能であった、焼成途中の成形体である試料1〜3についても、その微細構造が観察できた。
さらに、図4(b)、(c)は、TEMにおいて、EDS組成マッピングを行った観察像である。
この図4(b)、(c)に示すように、焼成途中の成形体である試料1〜3についても、SiやYの、偏析や界面への拡散が観察できた。具体的には、600、1000℃の試料1、2では、Y、Siの多くは偏析物として存在していることが観察でき、これに基づき、BaTiO粒子への固溶は少ないものと推察できる。1200℃の試料3では、BaTiO粒子同士のネッキングが観察され、Yはそのネッキング部位に観察される場合が多い。また、Y元素は、BaTiO粒界に拡散しつつあり、SiはYとは別位置に存在することが多い、といった点が観察された。1320℃の試料4では、YのBaTiO粒子内部方向への拡散が進み、Siは粒界、および三重点付近に存在することが観察された。
このようにして、本発明により、保形力の弱い成形体の状態であっても、TEMで観察を行うための観察用試料を形成することができ、その微細構造や、焼結過程での各元素の分布状態や挙動等を観察することが可能となった。
本実施の形態における観察対象物の製造工程を示す図である。 観察用試料の作成方法を示す図であり、(a)は観察対象物に樹脂を塗布した状態、(b)はチャンバ内で樹脂を観察対象物の空隙に入り込ませる状態を示す図である。 観察装置の概略構成を示す図であり、(a)は透過型解析装置、(b)は反射型解析装置である。 実施例でのTEMによる観察結果を示す図であり、(a)は、各温度での明視野観察像、(b)はEDSを用いた特性X線による組成分析データを、Yの分布状態を示す組成マッピング像として画像化させたもの、(c)はEDSを用いた特性X線による組成分析データを、Siの分布状態を示す組成マッピング像として画像化させたものである。
符号の説明
2…観察対象物、3…樹脂、10…チャンバ(容器)、12…負圧源、20…観察用試料、30…観察装置、32…分析部(観察部)、33…画像処理部(評価部)

Claims (10)

  1. 多数の空隙を有する観察対象物と、樹脂とを容器に収容する工程と、
    前記容器内を真空引きし、前記観察対象物の内部に前記樹脂を含浸させる工程と、
    前記樹脂を硬化させる工程と、
    前記樹脂が含浸した前記観察対象物の観察面を研磨する工程と、
    を含むことを特徴とする観察用試料の作成方法。
  2. 前記観察対象物は、粉体を原料とし、所定の形状に成形されたものであることを特徴とする請求項1に記載の観察用試料の作成方法。
  3. 前記観察対象物は、炉中で所定の温度で焼成する過程において、前記所定の温度に到達する以前に前記炉から取り出したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の観察用試料の作成方法。
  4. 前記樹脂に、固化時の収縮率が2.5%未満のものを用いることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の観察用試料の作成方法。
  5. 多数の空隙を有する観察対象物と、樹脂とを容器に収容する工程と、
    前記容器内を真空引きし、前記観察対象物の内部に前記樹脂を含浸させる工程と、
    前記樹脂を硬化させる工程と、
    前記樹脂が含浸した前記観察対象物の観察面を研磨することで観察用試料を形成する工程と、
    前記観察用試料を観察装置で観察する工程と、
    を含むことを特徴とする試料の観察方法。
  6. 前記観察装置は、透過型電子顕微鏡または集束イオンビーム装置であることを特徴とする請求項5に記載の試料の観察方法。
  7. 粉体を原料とし、所定の形状に成形されて多数の空隙を有する成形体に、負圧を利用して樹脂を含浸させるとともに、前記樹脂を硬化させた後、前記成形体の観察面を研磨し、観察用試料を作成する工程と、
    前記観察用試料の観察面を電子顕微鏡で観察する工程と、
    前記観察用試料の観察結果に基づいて設定された製造条件下で、前記成形体を焼成する工程と、
    を含むことを特徴とする成形体の焼成方法。
  8. 前記観察用試料となる前記成形体は、焼成中に所定の焼成温度に至る前に取り出されたものであることを特徴とする請求項7に記載の成形体の焼成方法。
  9. 粉体を原料とし、所定の形状に成形されて多数の空隙を有する観察対象物の空隙に樹脂が充填され、
    かつ観察装置で前記観察対象物を観察するため、研磨された観察面を有することを特徴とする観察用試料。
  10. 粉体を原料とし、所定の形状に成形されて多数の空隙を有する観察対象物に、負圧を利用して樹脂を含浸させて、前記観察対象物の観察面を研磨することによって形成した観察用試料を観察する観察部と、
    前記観察部で観察された前記観察用試料の観察像を画像処理することで、前記観察用試料の評価値を算出する評価部と、
    を備えることを特徴とする観察装置。
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