JP2005330303A - 無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体及びその製造方法。 - Google Patents
無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体及びその製造方法。 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】 下記式(1)で表されるα−オレフィンと無水マレイン酸を、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤を使用して共重合させた無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体であって、下記(A)及び(B)の要件を満たす無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体。
CH2=CR1−R2 (1)
(式中、R1は水素又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基であり、R2は炭素数1〜22の直鎖又は分岐状アルキル基を示す。)
(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が500〜4000
(B)示差走査型熱量計(DSC)で測定したガラス転位温度(Tg)又は
融点(Tm)が20℃〜100℃
【選択図】 なし
Description
また、特許文献1〜3には、1−ヘキセン、1−オクタデセン等のα−オレフィンを用いた無水マレイン酸共重合体に関する製造方法が開示されている。
また、これらの共重合体は、温度による粘度変化が大きいため、温度変化に対する粘度変化が小さいことが求められる分野での使用が困難であった。
1.下記式(1)で表されるα−オレフィンと無水マレイン酸を、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤を使用して共重合させた無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体であって、下記(A)及び(B)の要件を満たす無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体。
CH2=CR1−R2 (1)
(式中、R1は水素又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基であり、R2は炭素数1〜22の直鎖又は分岐状アルキル基を示す。)
(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が500〜4000
(B)示差走査型熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)が20℃〜100℃
2.さらに、下記(C)の要件を満たす1に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体。
(C)流動の活性化エネルギー(E)が8kJ/モル以下
3.前記無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体が、多官能性化合物により架橋された共重合体である2に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体。
4.α−オレフィンと無水マレイン酸を、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤を使用して共重合させる工程と、前記工程で得られた共重合体を、多官能性化合物により架橋する工程とを含む3に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体の製造方法。
5.前記連鎖移動剤がハロゲン含有化合物又は硫黄系化合物である4に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体の製造方法。
6.前記多官能性化合物が、アミノ基を2以上有する化合物である4に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体の製造方法。
7.上記3に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体を用いた印刷用又は染色用成分。
(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が500〜4000
(B)示差走査型熱量計(DSC)で測定したガラス転位温度(Tg)又は融点(Tm)が20℃〜100℃
尚、本明細書において、「共重合体」には、後述する無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体の多官能性化合物による架橋物も含む。
尚、Mw及びMw/Mnは、後述の実施例に示す条件により測定する。
Tg又はTmの値は、好ましくは25℃〜95℃であり、特に好ましくは、30℃〜90℃である。
尚、Tg又はTmは、後述する実施例の条件により測定する。
尚、流動の活性化エネルギー(E)は、下記式(2)で示されるAndradeの粘度測から算出した値である。
η=A・exp(E/RT) ・・・(2)
(式中、ηは溶融粘度、Eは流動の活性化エネルギー、Rは気体定数、Tは絶対温度、Aは定数である。)
具体的には、絶対温度Tにおける溶融粘度ηを複数点測定し、その結果から絶対温度Tの逆数と溶融粘度ηの対数プロットを作成し、一次近似直線の傾きから流動の活性化エネルギーEを算出する(詳細な条件については後述する実施例を参照)。
本発明の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体を構成するα−オレフィンは下記式(1)で表される。
CH2=CR1−R2 (1)
(式中、R1は水素又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基であり、R2は炭素数1〜22の直鎖又は分岐状アルキル基を示す。)
好ましくは、R1が水素であり、R2が炭素数4〜22の直鎖又は分岐アルキル基を持つ化合物であり、特に好ましくは、R1が水素であり、R2が炭素数6〜22の直鎖アルキル基を持つ化合物である。
尚、α−オレフィンは1種単独で使用してもよく、また、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上のα−オレフィンを選択することにより、共重合体のガラス転移温度(Tg)、融点(Tm)等を所望の値に制御しやすくなる。
重合方法としては、例えば、液体のα−オレフィンモノマーに、無水マレイン酸、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤を添加し、重合させる方法が好ましい。ラジカル開始剤は、重合を開始することができる。また、分子量を制御する連鎖移動剤を用いることにより、重合中にポリマー鎖ラジカル末端が連鎖移動を起こしやすくなり、ラジカル開始剤の量を調整するだけでは困難なレベルまで共重合体の分子量を低下できる。
これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、四塩化炭素、クロロホルム、四臭化メタン、三臭化炭素、ヨウ化メチル、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、オルトジクロロベンゼン、1−ブロモ−2,4−ペンタジエン、2−(ブロモメチル)アクリルニトリル、n−ブチルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタン、ドデカンチオール、チオフェノール、フェニルジスルフィドが挙げられる。
好ましくは、四臭化メタン、1,2−ジブロモエタン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、n−ブチルメルカプタン、フェニルジスルフィドが挙げられる。
ラジカル開始剤の使用量については特に制限はなく、目的とする共重合体の物性に応じて適宜選定されるが、無水マレイン酸100重量部に対し、通常0.01〜50重量部、好ましくは0.01〜40重量部の範囲で用いられる。
連鎖移動剤の量が0.001重量部より少ない場合、目的とする分子量の調節ができなくなる。また、1000重量部より多くなると、重合後、生成した共重合体から連鎖移動剤を取除くプロセスが必要となるため、工業的に望ましくない。
また、2種類以上のα−オレフィンを用いた場合には、ランダムに配列したα−オレフィンの間に無水マレイン酸が交互に配列する共重合体となる。
多官能性化合物は、官能基を2又は3以上有する化合物であり、無水マレイン酸残基と反応する活性基を保有すればよい。このような官能基としてはアミノ基、水酸基、チオール等がある。この中でもアミノ基又は水酸基を2つ以上有する化合物が好ましい。
好ましくは、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオールであり、特に好ましくは、1,6−ヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミンである。
(1)融点(Tm)
示差走査型熱量計(DSC法)で、試料を窒素雰囲気下、20℃/分で昇温して実施し、その時のプロファイルからピークトップをTmとした。
(2)重量平均分子量(Mw)・分子量分布(Mw/Mn)
GPC法により、下記の装置(a)及び条件(b)にて測定してポリスチレン換算値として求めた。
(a)GPC測定装置
カラム:TSK−GEL GMH6
検出器:液体クロマトグラム用RI検出器
(b)測定条件
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
測定温度:40℃
流速:1.0ミリリットル/分
共重合体を架橋したものを溶媒に溶解した場合、条件によって一部不要なゲル成分が生成することがあるが、これはろ過により除いて測定した。
尚、最も低分子量側に出現する溶媒ピークのすその一部が共重合体のピークにかぶる場合は、分子量100以下をカットしてデータ処理を行ない、分子量、分子量分布を計算した。
B型粘度計を用いて、160℃における溶融粘度を測定した。
下記式(2)で表されるAndrade粘度則から算出した。
η=A・exp(E/RT)(2)
(式中、Eは流動の活性化エネルギー、ηは溶融粘度、Rは気体定数、Tは絶対温度、Aは定数である。)
溶融粘度ηは、レオメトリクス社製回転レオメータARESを用い測定した。その際、角周波数6.28rad/秒、歪1%で、初期温度80℃から最終温度240℃まで、3℃/分の速度で昇温しながら各温度での貯蔵弾性率(G’)、損失剛性率(G’’)を測定した。貯蔵弾性率(G’)、損失剛性率(G’’)から換算して、各温度での溶融粘度(η)を算出した。
上記換算結果から、絶対温度Tの逆数と溶融粘度ηの対数のプロットを作成し、一次近似直線の傾きから流動の活性化エネルギーEを算出した。
尚、上記式(2)において、流動の活性化エネルギーEは、温度が上昇すると粘度は低下するため、通常正の値をとるが、未反応官能基残存のため、測定温度を高温とした場合は、曲線の傾きがさらにゆるやかになり、負の値になるケースもある。この場合、低温側の直線性のよい部分を用いて活性化エネルギーを算出した。
0.5Lの三つ口フラスコに、窒素バブリングにより脱水した1−デセン95ml、及び四臭化メタン0.64gを入れ、約160℃まで昇温した。その後、撹拌しながら、フラスコに加熱溶融した無水マレイン酸49g、及び過酸化ジ−t−ブチル9.0mlを、1時間かけて滴下した。さらに1時間加熱撹拌した後、反応を停止した。そのまま、160℃にて2時間真空乾燥後、約115gの共重合体を回収した。
この共重合体の重量平均分子量(Mw)は2900、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。また、160℃におけるB型粘度計で測定した溶融粘度は、1040mPa・sであった。
ARES曲線解析から算出した流動の活性化エネルギーは、11.7kJ/モルであった。
実施例1及び以下に示す実施例2−4、比較例1,2で作製した共重合体の物性を表1に示す。
四臭化メタンの添加量を1.28gに変更した以外は、実施例1と同様にして共重合体を作製した。
四臭化メタンを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして共重合体を作製した。
過酸化ジ−t−ブチル22.5mlを用い、滴下を2.5時間かけて実施した以外は、比較例1と同様にして共重合体を作製した。
実施例1にて作製した低分子量共重合体10gに、1,6−ヘキサンジアミン0.1gを添加して、均一に分散させ、オイルバスにより、160℃にて2時間加熱した。その後、回収して、150℃にて24時間加熱乾燥をして、架橋処理をした共重合体を得た。
この共重合体の流動の活性化エネルギーは、3.7kJ/モルであった。
実施例1にて作製した低分子量共重合体50gに、1,6−ヘキサンジアミン2.5gを添加して、溶融混錬装置(東洋製機社製、ラボプラストミル)を用いて160℃にて3分攪拌して、架橋処理をした共重合体を得た。
この共重合体の流動の活性化エネルギーは、5.4kJ/モルとなった。
Claims (7)
- 下記式(1)で表されるα−オレフィンと無水マレイン酸を、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤を使用して共重合させた無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体であって、下記(A)及び(B)の要件を満たす無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体。
CH2=CR1−R2 (1)
(式中、R1は水素又は炭素数1〜20の直鎖又は分岐状アルキル基であり、R2は炭素数1〜22の直鎖又は分岐状アルキル基を示す。)
(A)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量(Mw)が500〜4000
(B)示差走査型熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)又は融点(Tm)が20℃〜100℃ - さらに、下記(C)の要件を満たす請求項1に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体。
(C)流動の活性化エネルギー(E)が8kJ/モル以下 - 前記無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体が、多官能性化合物により架橋された共重合体である請求項2に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体。
- α−オレフィンと無水マレイン酸を、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤を使用して共重合させる工程と、
前記工程で得られた共重合体を、多官能性化合物により架橋する工程と、
を含む請求項3に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体の製造方法。 - 前記連鎖移動剤がハロゲン含有化合物又は硫黄系化合物である請求項4に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体の製造方法。
- 前記多官能性化合物が、アミノ基を2以上有する化合物である請求項4に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体の製造方法。
- 請求項3に記載の無水マレイン酸−α−オレフィン共重合体を用いた印刷用又は染色用成分。
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