JP2005330195A - 銀系抗菌剤及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な抗菌活性を備えるとともに、抗菌性を付与すべき各種マトリックスに対して良好に分散可能な抗菌剤を提供する。
【解決手段】銀系抗菌剤2を、難水溶性銀塩4と、難水溶性フィラー6と、を有する抗菌性粒子2を含んで構成する。この抗菌性粒子2によれば、難水溶性銀塩を均一にマトリックスに分布させることができ、耐久性に優れた抗菌活性と耐変色性とを備えるマトリックスを構成できる抗菌剤となっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、銀系抗菌剤及びその製造方法に関する。
近年、清潔志向の高まりに伴って、多くの分野において抗菌化が進められている。抗菌剤としては、近年、安全性および抗菌活性の点から無機系抗菌剤が使用されるようになってきており、その代表的なものとして銀系抗菌剤がある。銀系抗菌剤としては、硝酸銀などの水溶性銀塩を抗菌成分として含有するものと(特許文献1)、難水溶性銀塩である塩化銀とアルカリ金属塩化物との混合粉末を有効成分とするものが知られている(特許文献2)。水溶性銀塩を用いる銀系抗菌剤は良好な抗菌性能を発揮するものの水の存在下においては銀イオンが溶出し抗菌性能が低下するとともに、環境下に存在する塩化物と塩化銀を生成し、塩化銀が還元されて黒化するという問題があった。これに対して難水溶性銀塩である塩化銀は、それ自体の抗菌性能が高くはないものの水存在下での抗菌性能の維持という点において有利である。
特開平11−228320号公報 特開2002−161012号公報
しかしながら、塩化銀は、粘性の高い粉末であって乾式混合では粒径制御が困難であるとともに、マトリックスへの分散も困難である。また、抗菌成分たる塩化銀以外に大量のアルカリ金属塩化合物を伴う混合粉末であるため、適用対象が制限されることになる。一方、抗菌剤は、通常、なんらかのマトリックスに分散相として存在する状態で使用される。たとえば、抗菌性樹脂成形品においては、プラスチックマトリックスに混合され分散されることになる。本発明者によれば、銀系抗菌成分がマトリックスに分散される場合には、マトリックスにおいて抗菌成分が均一に分散保持されていないと、抗菌活性が低下しやすい他、耐変色性が低下することがわかった。すなわち、十分な分散性能を有していない抗菌剤は、マトリックスにおける使用状態においてマトリックスの抗菌活性を低下させ変色性を増大させることがわかった。
本発明は、良好な抗菌活性を備えるとともに、抗菌性を付与すべき各種マトリックスに対して良好に分散可能な抗菌剤及びその製造方法を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、耐久性ある抗菌活性と適用製品の外観を良好に維持できる抗菌剤及びその製造方法を提供することを、他の一つの目的とする。
本発明者は、耐水性に優れる銀系抗菌成分であるが、凝集しやすくて分散性が低い難水溶性の銀塩に着目して検討し、かかる難水溶性銀塩を難水溶性無機フィラーの存在下で分散させうることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明によれば以下の手段が提供される。
本発明の一つの形態によれば、難水溶性銀塩と、難水溶性フィラーと、を有する粒子を含有する、銀系抗菌剤が提供される。この形態においては、前記粒子は、多数個の前記難水溶性無機系フィラーが前記難水溶性銀塩を介して集合された形態を有することが好ましい態様である。また、この形態においては、前記粒子は、その表面に前記難水溶性フィラーが突出された形態を有することの好ましい態様である。さらに、この形態においては、前記難水溶性銀塩は、塩化銀、ヨウ化銀、及び硫酸銀からなる群から選択される1種あるいは2種以上であることが好ましく、さらに好ましくは、前記難水溶性銀塩は塩化銀である。
また、この形態においては、前記難水溶性フィラーは、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト及びその炭酸化物、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム及び硫酸バリウムからなる群から選択される1種あるいは2種以上であることが好ましく、さらに好ましくは、前記難水溶性フィラーは第三リン酸カルシウムである。
さらに、この形態においては、前記粒子の平均粒径が0.1μm以上50μm以下であることが好ましい態様であり、また、前記難水溶性銀塩1重量部に対して前記難水溶性フィラー0.1重量部以上10重量部以下含有することも好ましい態様である。
本発明の他の一つの形態によれば、銀イオンと、銀イオンと難水溶性銀塩を生成可能な対イオンと、難水溶性フィラーと、該難水溶性無機系フィラーを分散可能な溶媒と、を含む難水溶性銀塩析出系を調製して前記難水溶性銀塩を前記溶媒中に析出させる析出工程と、前記難水溶性銀塩を析出後の前記難水溶性銀塩析出系から溶媒を除去する溶媒除去工程と、を備える、銀系抗菌剤の製造方法が提供される。この形態においては、前記溶媒除去工程における固形分を粉砕する工程を備えることが好ましい態様であり、前記銀系抗菌剤は、多数個の前記難水溶性フィラーが前記難水溶性銀塩を介して集合された形態を有することも好ましい態様である。さらに、この形態においては、前記析出工程において、前記難水溶性銀塩析出系を、前記対イオンと前記フィラーと前記溶媒とを含む系に対して前記銀イオンを供給することにより形成することが好ましい態様である。
本発明のさらに他の一つの態様によれば、これらのいずれかの銀系抗菌剤の製造方法によって得られる、銀系抗菌剤も提供される。
本発明の銀系抗菌剤は、難水溶性銀塩と、難水溶性フィラーと、を有する粒子を含有することを特徴としている。本発明の銀系抗菌剤によれば、難水溶性銀塩と難水溶性フィラーとを有する粒子は、両者を有することで粒子形態を容易に形成可能であり、難水溶性フィラーを有するために粒子中において良好な分散状態で難水溶性銀塩を保持することができる。このため、難水溶性銀塩を抗菌性成分とし、かつ分散性の良好な銀系抗菌剤を提供することができる。また、優れた分散性と抗菌性とを有するため、十分な耐変色性を有する抗菌性マトリックスを構成できる。なお、本発明の銀系抗菌剤は、従来問題とされていた難水溶性銀塩の凝集性を利用して難水溶性フィラーと粒子を形成することで、良好な分散と粒子形態の形成とを同時に達成するものであるということもできる。
また、本発明の銀系抗菌剤の製造方法は、銀イオンと、銀イオンと難水溶性銀塩を生成可能な対イオンと、難水溶性フィラーと、該難水溶性無機系フィラーを分散可能な溶媒と、を含む難水溶性銀塩析出系を調製して前記難水溶性銀塩を前記溶媒中に析出させる析出工程と、前記難水溶性銀塩を析出後の前記難水溶性銀塩析出系から溶媒を除去する溶媒除去工程と、を備えている。本発明の銀系抗菌剤の製造方法によれば、難水溶性フィラーが分散して存在する溶媒中に難水溶性銀塩を析出させ、その後溶媒を除去することで、析出し固形化した難水溶性銀塩に良好に分散された難水溶性フィラーを有する固形分を得ることができる。この固形分はそのままあるいはその形態に応じて必要あれば粉砕することで、難水溶性銀塩と難水溶性フィラーとを有する粒子形態とすることができる。したがって、本製造方法によれば、優れた分散性を有する抗菌剤を容易に製造することができる。また、本製造方法によれば、抗菌性マトリックスの抗菌性能と外観を維持できる抗菌剤を容易に製造することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について適宜図面を参照しながら説明する。なお、これらの図面に示される本発明の各種の形態は本発明を説明するための一例であって本発明を限定するものではない。
(銀系抗菌剤)
本発明の銀系抗菌剤の一形態を模式的に図1に示す。本抗菌剤は、難水溶性銀塩4と難水溶性フィラー6とを有する抗菌性粒子2を含有している。
本銀塩系抗菌剤における難水溶性銀塩4は、水に難溶あるいは不溶の銀塩をいい、例えば、塩化銀、ヨウ化銀、臭化銀などのハロゲン化銀、炭酸銀、硫酸銀などの無機酸銀、酢酸銀などの有機酸銀を挙げることができる。難水溶性銀塩を実質的な抗菌成分である銀イオンの供給源として用いることで、遊離の銀イオンの溶出を抑制し、結果として適用製品における変色傾向を抑制することができる。難水溶性銀塩4としては、好ましくは、塩化銀、ヨウ化銀、硫酸銀であり、より好ましくは塩化銀である。塩化銀は、凝集性が強く本抗菌性粒子2を容易に形成することができる。また、塩化銀は、水における溶解性が低いため水系から容易に析出させることができる。
難水溶性銀塩4は、難水溶性フィラー6を集合可能に、難水溶性フィラー6間を充てんするように存在していることが好ましい。こうして難水溶性フィラー6間に難水溶性銀塩4が存在することで、抗菌性粒子2の形態を容易に維持できるとともに、外力等によってその粒子形状やサイズも変化させやすくなる。難水溶性銀塩4は分散される難水溶性フィラー6に対して必ずしも連続相を形成している必要はなく、空隙などの非連続部分を有していてもよい。
また、抗菌性粒子2においては、難水溶性銀塩4は、その凝集性から充てん相として存在する傾向があるため、表層側には難水溶性フィラー6が露出されやすくなっている。このため、抗菌性粒子2の凝集性が低下されて抗菌剤の分散性が向上されている。
難水溶性フィラー6は、水に不溶あるいは難溶の粒子である。難水溶性フィラー6としては、特に限定しないで有機系フィラー及び無機系フィラーを用いることができる。有機系フィラーとしては、ゴムやプラスチックなどの高分子材料を主体とすることが好ましい。特にプラスチック材料によれば、粒径制御や密度など流動性及び分散性に関連する特性を制御することが容易である。また、抗菌剤調製時に使用する溶媒に応じて適切な濡れ性や溶媒分散性を得ることのできる表面特性(疎水性及び親水性)や密度を制御するのが容易であるからである。
プラスチック材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタクリレート−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルケトン、ポリエーテルニトリル、ポリチオエーテルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリベンズイミダゾール、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、液晶ポリマー、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は単独で、あるいは2種以上をそれぞれあるいは組み合わせてポリマーブレンドとして用いることができる。熱可塑性樹脂を主体とするフィラーは、抗菌剤をプラスチックマトリックスへ適用する場合にフィラーを溶融させてプラスチックマトリックスに複合化させることもできる。懸濁重合法が適用される熱可塑性樹脂は球状の粒子を容易に得ることができる点において好ましい。熱可塑性樹脂としては、好ましくは、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びこれらの誘導体等を用いることができる。
なかでも、スチレン単量体ユニットからなるポリマー(ポリスチレン)あるいはスチレン単量体ユニットを有するコポリマーあるいはこれらのいずれかと他のポリマーとのポリマーブレンドを含むスチレン系ポリマーを用いることが好ましい。スチレン系ポリマーは、懸濁重合によって取得される場合には球に近い粒子形状が得られやすいとともに、表面疎水性や密度の面において、抗菌剤調製時に使用する溶媒が水のときに有効である。また、スチレン系ポリマーは、水を溶媒として塩化銀などの難水溶性銀塩で被覆した抗菌剤のフィラーとして使用したときには、溶媒除去後に複合粒子の分離性が良好であり、解砕を省略することも可能である。これらのスチレン系ポリマーは、スチレン単量体ユニットの芳香環の1あるいは2以上の水素原子が置換基により置換されていてもよいし、また、ジビニルベンゼンなどの架橋剤を用いて架橋されていてもよい。
また、メタクリル酸メチル単量体ユニットからなるホモポリマー(ポリメタクリル酸メチル)あるいはこの単量体ユニットを有するコポリマーあるいはこれらのポリマーとのポリマーブレンドを含むメタクリル酸メチル系ポリマーを用いることも好ましい。メタクリル酸メチル系ポリマーは、懸濁重合によって取得される場合には球に近い粒子形状が得られやすい。また、粒径制御の点においても有効である。
また、例えば、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂等)等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は単独で、あるいは2種以上をそれぞれあるいは組み合わせてポリマーブレンドとして用いることができる。
また、無機系フィラーとしては、抗菌剤調製時あるいは抗菌剤の適用先を考慮して公知の材料から選択して用いることができる。例えば、各種の有機材料及び無機材料を用いることができる。無機材料としては、ガラス、セラミックスの他、無機塩類などの各種無機化合物の粉末を用いることができる。なかでも、リン酸カルシウム系材料を用いることが好ましい。リン酸カルシウム系材料は、動植物の生体内に含まれる材料であって、動植物及び環境に対して安全性が高くしかも分散性に優れるからであり、後述するように、抗菌剤調製時において溶媒中で好ましいスラリーを形成できるからある。
リン酸カルシウム系材料としては、例えば、第一リン酸カルシウム(Ca(HPO(1水和物及び無水物など)、第二リン酸カルシウム(CaHPO(2水和物など)、第三リン酸カルシウム(Ca(PO、3[Ca(PO]・Ca(OH)、ヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))及びその炭酸化物、ピロリン酸二水素カルシウム(CaH)、ピロリン酸カルシウム(Ca)、メタリン酸カルシウム等を挙げることができる。例えば、第三リン酸カルシウムを好ましく用いることができる。第三リン酸カルシウムは、分散性が良好であり、凝集性の高い難水溶性銀塩中に良好に分散されるからである。また、第三リン酸カルシウムは水に対する溶解性が低いことから水の存在下においても抗菌性マトリックスに維持されるからである。また、その他の無機系フィラーとしては、硫酸バリウム及び水酸化アルミニウムも用いることができる。
本抗菌性粒子2においては、無機系の難水溶性フィラー6を用いることが好ましい。無機系フィラーによれば、難水溶性銀塩とともに無機系材料のみからなる銀系抗菌剤を容易に得ることができるからである。
難水溶性フィラー6の形態は、特に問わないで各種形態を採ることができる。例えば、柱状、板状、球状、薄片状、針状、不定形状、花弁状、繊維状等各種の形態を採ることができる。また、襞などを有する表面形態を有していてもよい。
難水溶性フィラー6の平均粒径は、50μm以下であることが好ましい。50μm以下であると、好ましい平均粒径範囲の抗菌性粒子2を得ることができる。より好ましくは、10μm以下である。なお、特に、難水溶性フィラー6の一次粒子径は、1μm以下程度であることが好ましい。一次粒子径が1μm未満であると、難水溶性銀塩4を良好に分散でき、また、粒子の大きさの調製が容易となるからである。より好ましくは、100nm以下である。なお、難水溶性フィラー6の平均粒径は、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法等によって測定することができるが、好ましくは、レーザー回折法によって測定する。
難水溶性フィラー6は、難水溶性銀塩4の凝集性によって集合される結果、難水溶性銀塩4を分散することができる。抗菌性粒子2においては、難水溶性フィラー6は、分散相として存在する傾向があり、この結果、抗菌性粒子2の表面に露出されて存在されやすくなっている。
このような難水溶性銀塩4と難水溶性フィラー6とを有する抗菌性粒子2は、難水溶性銀塩4と難水溶性フィラー6とは互いに分散した状態を有しているが、好ましくは、多数個の難水溶性フィラー6が難水溶性銀塩4を介して集合された形態を有している。また、上述したように、難水溶性銀塩4は難水溶性フィラー6に対して凝集性の充てん相として存在する傾向があり、難水溶性フィラー6は分散相として存在する傾向があるため、抗菌性粒子2の表面においては難水溶性フィラー6が露出され、難水溶性フィラー6の少なくとも一部が突出する形態を有することができる。このような粒子形態は、難水溶性銀塩4の凝集性を抑制して、抗菌性粒子2の流動性を向上させることができる。
抗菌性粒子2の平均粒径は0.1μm以上であることが好ましい。0.1μm以上であると、抗菌性粒子2同士の凝集傾向が小さくなり、流動性が低下し、最終製品への良好な分散性が得られるようになるからである。好ましくは、1μm以上である。1μm以上であると1μm未満の場合と比較して、流動性の低下を一層抑制して取り扱いやすい抗菌剤粉末を得ることができる。また、抗菌性粒子2の平均粒径は50μm以下であることが好ましい。50μm以下であると、抗菌性能を良好に維持できるとともに変色傾向の十分に抑制して得ようとする抗菌性マトリックスの抗菌性と外観を良好に維持できるからである。より好ましくは10μm以下である。10μm以下であると、10μm超の場合と比較してこれらの性能の低下傾向を一層良好に抑制することができる。したがって、抗菌性粒子2の平均粒径の好ましい範囲としては0.1μm以上50μm以下であり、さらに好ましくは1μm以上10μm以下とすることができる。なお、抗菌性粒子2の平均粒径は、レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法等によって測定することができるが、好ましくは、レーザー回折法によって測定する。
抗菌剤における難水溶性銀塩4と難水溶性フィラー6との比率は特に限定しないが、難水溶性銀塩4の1重量部に対して難水溶性フィラー6が0.01重量部以上30重量部以下の範囲で含まれていることが好ましい。この範囲であると、マトリックスに対して好ましい抗菌性能を付与しつつ耐変色性を確保することができる。より好ましくは、難水溶性銀塩4の1重量部に対して難水溶性フィラー6が0.1重量部以上である。難水溶性フィラー6が0.1重量部以上であると、一層良好な分散性により高い抗菌性と耐変色性を付与できる。また、難水溶性銀塩4の1重量部に対して難水溶性フィラー6が10重量部以下であることが好ましい。難水溶性フィラー6が10重量部以下であると、一層良好な分散性により高い抗菌性と耐変色性を付与できる。したがって、難水溶性銀塩4と難水溶性フィラー6との好ましい重量比率は、難水溶性銀塩4の1重量部に対して、難水溶性フィラー6を0.1重量部以上10重量部以下である。
本抗菌剤においては、このように、難水溶性銀塩4に対して比較的少ない難水溶性フィラー6の配合で十分な分散性を得ることができる。また、抗菌剤に含まれる難水溶性銀塩4の量が高いため、結果として、マトリックスに添加する抗菌剤量を減少させることができ、これにより、マトリックスの着色や変色傾向を効果的に抑制することができる。
以上説明したように、本抗菌剤によれば、抗菌剤を適用すべきマトリックス材料に対して良好な分散性を有する抗菌剤が提供される。抗菌剤の適用先のマトリックス材料において抗菌剤が良好に分散されて抗菌成分が均一に分布される結果、高い抗菌活性を安定して維持でき、しかも耐変色性に優れるマトリックスを得ることができる。さらに、本抗菌剤は、難水溶性銀塩を用いるため、耐熱性、耐水性にも優れている。また、本抗菌剤は高い比率で難水溶性銀塩4を含有するため、少ない添加量でも優れた抗菌性能を付与するとともに低着色性と耐変色性を付与できる。また、少ない添加量とできることでマトリックスに対する分散性をより一層容易に確保できる。
本抗菌剤は、従来の各種抗菌剤と同様に各種の適用先のマトリックスに分散されて製品に抗菌性を付与することができる。抗菌性製品としては、例えば、抗菌性樹脂成形品、抗菌性コート製品、抗菌性接着剤、抗菌性塗料、抗菌性繊維、抗菌性インク、トナーあるいはペースト、抗菌性エマルジョンあるいはスラリー等を挙げることができる。特に、フィラーとしてプラスチック材料を主体とする場合は、各種のプラスチックマトリックスに本抗菌剤を良好に分散させることができ、また、特に熱可塑性樹脂フィラーを軟化あるいは溶融してプラスチックマトリックスに複合化させることもできる。
(銀系抗菌剤の製造方法)
次に、本発明の銀系抗菌剤の製造方法について説明する。まず、析出工程について説明する。
析出工程は、銀塩を生成可能な対イオンと、難水溶性フィラーと、該難水溶性無機系フィラーを分散可能な溶媒と、を含む難水溶性銀塩析出系を調製して前記難水溶性銀塩を前記溶媒中に析出させる工程である。この析出工程には、難水溶性銀塩の構成要素である、銀イオンとその対イオンのほか、フィラーと、該フィラーを分散可能な溶媒とを用いる。
難水溶性フィラーとしては、既に述べた各種形態、サイズ、及び材料のものから、本析出工程に適合するものを選択して用いることができる。特に、析出系に使用する溶媒との関係において、適切なものを選択することが好ましい。すなわち、使用溶媒における不溶性及び分散性、乾燥後における解砕性などを考慮して選択することが好ましい。
析出系を構成する溶媒は、難水溶性フィラーを分散可能であってかつ難水溶性銀塩を析出する条件を形成可能な溶媒を用いる。用いる溶媒の種類は特に限定しないが、難水溶性銀塩を析出生成させることから、少なくとも溶媒の一部として水を用いることができる。好ましくは水のみを用いる。なお、適宜、難水溶性フィラーの分散性等を確保するべく適宜有機溶媒や界面活性剤などを用いることもできる。例えば、フィラーとしてスチレン系ポリマーを用いる場合には、析出系の溶媒として、水のみとするほか、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸などの有機溶媒を水と混合して用いることができる。
析出系における銀イオンの供給体としては、単独で溶媒への溶解性を示す銀塩あるいは酸あるいは塩基の添加により溶媒への溶解性を示す銀塩を用いることができる。例えば、硝酸銀、亜硝酸銀、塩素酸銀等を用いることができる。好ましくは、硝酸銀である。なお、銀イオン供給体としての銀塩は単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
析出系における対イオンの供給体は、析出させようとする難水溶性銀塩の種類によって選択することができる。また、溶解性や溶媒のpHを考慮して適切な化合物を選択することができる。対イオンとしての塩化物イオンの供給体としては、塩酸、塩化アンモニウム、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物等を用いることができる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。溶媒に水を用いる場合には、溶解性及びpHの観点から塩化ナトリウムなどの中性塩類を用いることが好ましい。なお、対イオンとしては、各種ハロゲンイオン、炭酸イオン、硫酸イオン等の無機酸イオン、酢酸等の有機酸イオン等を挙げることができる。
析出系においては、銀イオンとその対イオンとは、難水溶性銀塩の理論構成比に対応させる配合比で含めることが好ましい。こうすることで、確実に所望の難水溶性銀塩を生成及び析出させることができる。例えば塩化銀(AgCl)を析出させる場合には、銀イオンと塩化物イオンとが1:1のモル比となるようにすることが好ましい。
析出系は、析出させようとする難水溶性銀塩の種類に応じて、各種イオン供給体、溶媒、さらには液性調整成分などが選択されて調製される。例えば、塩化銀の場合には、一般に硝酸銀溶液(硝酸酸性中)に塩化物溶液を加えて析出させることができる。したがって、銀イオンあるいは塩素イオンと、難水溶性フィラーと、溶媒とを含む系を準備しておき、ここに、塩素イオンあるいは銀イオンを添加し混合することで、両イオンが均一に分布して良好な状態で塩化銀を析出可能な析出系を調製することができる。好ましくは、対イオン(塩素イオン)と難水溶性フィラーと溶媒とを含む系を準備しておき、この系に銀イオン(硝酸銀等)を加えることが好ましい。こうすることで、難水溶性フィラーが分散された溶媒中に得ようとする銀塩を確実に析出させることができる。難水溶性塩を形成する対イオンがない状態あるいは銀イオンに対して相対的に少ない状態下で難水溶性フィラーに対して銀イオンを添加すると、フィラーの表面電荷特性等(特に、フィラーが樹脂の場合に生じやすい)によって、銀イオンが還元され難水溶性塩が析出する前に還元銀が生じて黒化しやすくなるからである。このように、銀が難水溶性銀塩を形成する前に、析出系にて還元銀のほか、コロイドや金属銀などといった安定な形態となることを避けて対イオンとの反応性を維持させるために、難水溶性フィラーと対イオンとが予め存在する状態で銀イオンを添加することが好ましいのである。
このように予備的な系に対して銀イオンあるいは対イオンを加えて、両者を含む析出系を調製することのほか、両イオンの存在下、析出系の液性を調整することによって難水溶性銀塩を析出可能な析出系を調製することもできる。例えば、銀イオン(硝酸酸性中)、フィラーと溶媒とを含む予備的系に炭酸水素ナトリウムなどの対イオンとして炭酸イオンを供給したときには、炭酸銀は生成・析出しないが、液性を中性域とすると、炭酸銀が析出してくる。
析出系の調製時及び析出系における銀塩の析出過程においては、析出系を遮光することが好ましい。銀塩が光の照射によって分解して暗色化し、あるいは所望の銀塩が生成されないおそれがあるからである。また、析出系の調製時においては、均一な系を形成するべく系を攪拌することが好ましいが、気泡等を発生させない程度に緩やかに攪拌することが好ましい。また、難水溶性フィラーを析出系において良好に分散させるためには、予めフィラーの分散性の良好な溶媒中にフィラーを分散させてスラリー状とした上で析出系溶媒に添加することが有効である。例えば、難水溶性フィラーとして、第三リン酸カルシウムを用いる場合には、水を用いてスラリーとしたものを用いることが好ましい。具体的には、TCP−10・U(松尾薬品産業製)などを用いることができる。また、難水溶性フィラーとしてスチレン系ポリマーを用いる場合には、エタノール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒を用いてスラリー状とすることができる。
析出工程は、特に限定しないが、反応系中から得られる難水溶性銀塩の98%以上、好ましくは99%以上が析出するまで行うことが好ましい。このような析出率を得るのに、例えば析出工程を1時間〜24時間以内程度とすることができるが、通常は、3〜6時間程度である。また、温度も特に限定しないが、5℃以上40℃以下で行うことができ、好ましくは15℃以上30℃以下である。また、析出工程では継続して攪拌を行い、懸濁液の均一性を確保しておくことが好ましい。この析出工程において、第三リン酸カルシウムなどのフィラーを用いることで塩化銀などの難水溶性銀塩の分散性が向上するため、得られる抗菌性粒子の粒径の増大を抑制できる。したがって、粒径の増大を抑制しつつ高い難水溶性銀塩の析出率を確保することができる。
難水溶性銀塩の析出工程を終えたら、析出した銀塩を含む析出系から溶媒を除去する。溶媒の除去方法は、溶媒の種類によって、ろ過、自然乾燥、加熱乾燥、送風乾燥、減圧乾燥、凍結乾燥(フリーズドライ)、噴霧乾燥(スプレードライ)等などを単独であるいは組み合わせて用いることができる。例えば、ろ過を行った後、加熱乾燥、送風乾燥、あるいは加熱減圧乾燥することもできる。また、凍結乾燥は、熱変性を回避できる点において有利であり、噴霧乾燥は過度の凝集を抑制できる点において有利である。なお、溶媒除去工程においてあるいは該工程に先立って、析出系における銀イオン及び対イオン以外の成分を水など適当な溶媒にて洗浄しておくことが好ましい。なお、加熱乾燥時の温度としては、フィラーの耐熱性にもよるが、100℃以下で行うことが好ましく、より好ましくは60℃以上80℃以下程度とする。
析出系から溶媒を除去した後の固形分に対して、必要に応じて解砕等の粉砕工程を行い、本発明の抗菌剤を得ることができる。本抗菌剤は、凝集性の難水溶性銀塩と難水溶性フィラーとから構成されているが、難水溶性銀塩が析出後乾燥されているだけなので比較的簡易な解砕や粉砕により容易に所望の平均粒径の粉末とすることができる。なお、マトリックス材料へ添加後、混合することのみによっても容易に解砕されて容易に微粉化される。
以上の製造方法によれば、難水溶性フィラーと難水溶性銀塩とを分散した状態で有する抗菌性粒子を含有する抗菌剤を容易に得ることができる。これは、溶媒中に分散された難水溶性フィラーを、同溶媒中に難水溶性銀塩を析出させることによって均一な難水溶性フィラーと難水溶性銀塩とを含む懸濁液を調製し、この懸濁液から溶媒を除去することで、難水溶性フィラーが難水溶性銀塩の凝集性によって集合されるからである。加えて、この方法によれば、両者が均一に分散された抗菌剤粒子を容易に得ることができるとともに、難水溶性銀塩を高濃度に含有する抗菌性粒子を容易に得ることができる。
また、こうした製造方法によれば、難水溶性銀塩析出時の難水溶性銀塩の凝集性を利用することで、粒子表面に難水溶性フィラーが突出した形態の抗菌性粒子を容易に得ることができる。
以下、本発明を、具体例を挙げて説明するが、これらの具体例は本発明を説明するものであって本発明を限定するものではない。
(抗菌剤の製造)
本実施例では、難水溶性フィラーとして第三リン酸カルシウムの10重量%スラリー(水スラリー)(TCP−10・U、太平化学産業製)及び第三リン酸カルシウム粉末(工業用、太平化学産業製)を用い、抗菌成分として塩化銀(AgCl)を用いて試料1〜6の計6種の抗菌剤を製造した。表1には、反応溶液におけるAgCl(ここではAg量とCl量との合計量)1重量部に対する難水溶性フィラーの配合量、析出系における銀イオン濃度、塩素イオン濃度、反応時間及び温度を示す。
まず、析出時において表1に示す各種の塩素イオン濃度となるように予め濃度が調整された塩化ナトリウム水溶液を調製し、所定量の塩化ナトリウム水溶液に対し、表1において定められた量になるように難水溶性フィラーを分散させた。なお、難水溶性フィラーが水性スラリーとして添加される場合には、予め塩化ナトリウム水溶液において所定の濃度調整がされている。次いで、塩素イオンと難水溶性フィラーとが存在する水溶液を緩く攪拌しつつ、析出系の調製時において表1に示す銀イオン濃度となるように予め調整された硝酸銀水溶液の所定量を静かに注ぎ入れた後、反応容器を遮光した。それぞれ5時間静置して塩化銀を析出させた。5時間経過後、反応溶液をろ過し、多量の水で洗浄後、固形分を70℃〜80℃のオーブンにて乾燥させた。その後、軽く混合することにより固形分を解砕して各試料の粉体を得た。
また、得られた試料1〜6の各種抗菌剤について、以下の項目を評価した。
1.塩化銀の析出率
反応溶液の残分(ろ液)をICP発光分光分析装置(Optima 2000DV、パーキンエルマージャパン製)にて分析して、銀イオン濃度(mg/L)を測定し、準備した反応液から析出した塩化銀の析出率(%)を算出した。
2.平均粒子径
抗菌剤の平均粒径をマイクロトラックHRA(日機装製)にて測定した。
3.外観
抗菌剤の色を目視にて確認した。
4.プレート着色性
ポリプロピレン(トクヤマ製、ME440)と試料1〜6の各種抗菌剤とをポリプロピレン100重量部に対して抗菌剤が0.007重量部となるように混合し、その後、射出成形機にてプレート(長さ40mm×幅40mm×厚さ2mm)を作製し、これらのプレートの作製時の色を目視にて観察した。
5.抗菌性
4.着色性におけるのと同様の方法でプレートを作製し、これらのプレートについて、JIS Z2801:2000に基づいて大腸菌に対する抗菌効果を評価した。生菌数が検出限界以下のときを「◎」とし、抗菌活性値が2.0以上のときを「○」とし、抗菌活性値が2.0未満のときを「×」とした。
結果を表1に併せて示す。
Figure 2005330195
表1に示すように、作製した抗菌剤はいずれも高い塩化銀析出率を有しており、設計どおりに塩化銀が第三リン酸カルシウムと複合化された。また、抗菌剤は、いずれも平均粒径が10μm以下程度の微細な粉末であり、塩化銀特有の粘着性が抑制されてサラッとした感触の粉末となっていた。また、抗菌剤の色は、白(試料2〜6)〜薄青灰色(試料1)であり、抗菌剤における難水溶性銀塩量が多くなると作製時において着色する傾向があった。樹脂プレートでは、試料1と試料6の抗菌剤を用いたもののみが作製時に薄灰色に着色した。これらの樹脂プレート中には、各抗菌剤の凝集物が観察されており、プラスチック材料に対する分散性がやや劣っていたものと推測された。さらに、樹脂プレートの抗菌性については、いずれも良好な抗菌性能を有していた。樹脂100重量部に対して抗菌剤が0.007重量部という低い含量にもかかわらず良好な結果であった。なかでも、試料2〜5において高い抗菌性能を有していた。また、プレート作製時に着色した試料1及び6の抗菌剤を使用した樹脂プレートでは、抗菌性が良好であるものの試料2〜5に比較してやや低いものとなっていることから、抗菌剤の分散性能と抗菌性能とはよく対応することがわかった。以上のことから、難水溶性銀塩である塩化銀の粘着性が低減されて流動性及び分散性が向上されたことにより、同時に、マトリックスへの抗菌性付与能が向上したことがわかった。
本発明の銀系抗菌剤を構成する抗菌性粒子の一形態を模式的に示す図。
符号の説明
2 抗菌性粒子、4 難水溶性銀塩、6 難水溶性フィラー

Claims (14)

  1. 銀系抗菌剤であって、
    難水溶性銀塩と、
    難水溶性フィラーと、
    を有する粒子を含有する、銀系抗菌剤。
  2. 前記粒子は、多数個の前記難水溶性無機系フィラーが前記難水溶性銀塩を介して集合された形態を有する、請求項1に記載の銀系抗菌剤。
  3. 前記粒子は、その表面に前記難水溶性フィラーが突出された形態を有する、請求項1又は2に記載の銀系抗菌剤。
  4. 前記難水溶性銀塩は、塩化銀、ヨウ化銀、及び硫酸銀からなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の銀系抗菌剤。
  5. 前記難水溶性銀塩は塩化銀である、請求項4に記載の銀系抗菌剤。
  6. 前記難水溶性フィラーは、第一リン酸カルシウム、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト及びその炭酸化物、ピロリン酸二水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、メタリン酸カルシウム及び硫酸バリウムからなる群から選択される1種あるいは2種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の銀系抗菌剤。
  7. 前記難水溶性フィラーは第三リン酸カルシウムである、請求項6に記載の銀系抗菌剤。
  8. 前記粒子の平均粒径が0.1μm以上50μm以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の銀系抗菌剤。
  9. 前記難水溶性銀塩1重量部に対して前記難水溶性フィラー0.1重量部以上10重量部以下含有する、請求項1〜8のいずれかに記載の銀系抗菌剤。
  10. 銀系抗菌剤の製造方法であって、
    銀イオンと、銀イオンと難水溶性銀塩を生成可能な対イオンと、難水溶性フィラーと、該難水溶性無機系フィラーを分散可能な溶媒と、を含む難水溶性銀塩析出系を調製して前記難水溶性銀塩を前記溶媒中に析出させる析出工程と、
    前記難水溶性銀塩を析出後の前記難水溶性銀塩析出系から溶媒を除去する溶媒除去工程と、
    を備える、銀系抗菌剤の製造方法。
  11. 前記溶媒除去工程における固形分を粉砕する工程を備える、請求項10に記載の銀系抗菌剤の製造方法。
  12. 前記銀系抗菌剤は、多数個の前記難水溶性フィラーが前記難水溶性銀塩を介して集合された形態を有する、請求項10又は11に記載の銀系抗菌剤の製造方法。
  13. 前記析出工程において、前記難水溶性銀塩析出系を、前記対イオンと前記フィラーと前記溶媒とを含む系に対して前記銀イオンを供給することにより形成する、請求項10〜12のいずれかに記載の方法。
  14. 請求項10〜13のいずれかに記載の製造方法によって得られる、銀系抗菌剤。
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